説明

メイキャップ除去化粧組成物

濡れた手などの湿潤条件下で、メイキャップを効率的に除去する、非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルと糖アルコール脂肪酸テトラエステルおよびオイルの混合物を含有するメイキャップ除去用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効力を改善されたメイキャップ除去用化粧組成物に関する。特に、本発明は、濡れた条件下または湿潤条件下でメイキャップを除去する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の市場で重要な部分は、メイキャップを除去するために利用する製品である。アイシャドー、マスカラ、頬紅、口紅およびフエイスパウダーの顔料の除去は、多くの女性にとって毎日の課題である。この課題は、溶媒の作用または乳化作用によって作用する物質を含有する配合物によって処理されてきた。しかしこのような洗浄剤は、有効に機能しおよび層分離を起こさないように、水に近づけないようにしなければならない。ヒトがシャワー中または入浴中即ち濡れた手で、有効なメイキャップ除去剤を使用できれば便利である。予想外のことであったが、非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルと糖アルコール脂肪酸テトラエステル類との特定比率の混合物に、油を混合した配合物が、例えば濡れた手のような湿潤条件下で、相分離やメイキャップ除去の有効性の低下という問題無しでメイキャップを有効に除去することが分かったのである。
【0003】
2005年8月18日付けで公開されたShimizuらの米国特許公開第2005/0180942号には、各種のグリセロール脂肪酸エステル類から選択された非イオン界面活性剤を油基剤中に含有し、特定のIOB値を有するクレンジング組成物が記載されている。この配合物は層分離に対して耐性であると報告されている。
【0004】
2004年7月15日付けで公開されたTomokuniの米国特許公開第2004/0136943号には、(A)油成分、(B)親水性の非イオン界面活性剤、(C)親油性の両親媒性物質、(D)水溶性溶媒および(E)水を含むクレンジング組成物が記載されている。この組成物は、同相構造を示す等方性液相を有すると報告されている。この組成物は、オイルステインと水溶性ステインの両者を除去する優れた洗浄力を示しおよび高いすすぎ洗い性(rinsability)を示すと記載されている。
【0005】
予想外のことであったが、非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルおよび糖アルコール脂肪酸テトラエステルを特定の比率で含有する実質的に非水性の組成物が、湿潤条件下または濡れた条件下でメイキャップを除去するのに非常に有効であり、組成物の使用者に対して優れた使用特性を示すことが見い出されたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0180942号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0136943号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の一様態は、限定されないが、
a.混合IOB値が0.60から1.15の範囲内である液体のポリエチレングリコールC14−C22脂肪酸エステル類を合計5から40重量%含有し、
b.ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類のうち少なくとも一種が非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルであり、および第二のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが糖アルコール脂肪酸テトラエステルであり、
c.トリエステルおよびテトラエステルが、1.0から3.0の範囲内の比率で存在し、さらに
d.液体オイルを30から70重量%含有し、および
e.水を最大5重量%含有する、
安定なクレンジング組成物である。
【0008】
本発明のもう一つの様態は、限定されないが、
a.
i.混合IOB値が0.60から1.15の範囲内である液体のポリエチレングリコールC14−C22脂肪酸エステル類を合計5から40重量%含有し、
ii.ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類のうち少なくとも一種が非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルであり、および第二のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが糖アルコール脂肪酸テトラエステルであり、
iii.トリエステルおよびテトラエステルが、1.0から3.0の範囲内の比率で存在し、さらに
iv.液体オイルを30から70重量%含有し、および
v.水を最大5重量%含有する
組成物を皮膚に塗布し、
b.メイキャップの成分を、遊離、可溶化および/または分散させるのに有効な期間、上記組成物を、皮膚の上に保持させ、および
c.上記組成物を、水で皮膚からすすぎ流す
ステップを含む、メイキャップを皮膚から除去する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載されている刊行物、特許願、特許その他の引用文献は、すべて本明細書に参照により組込まれる。
【0010】
本発明の一様態は、限定されないが、
a.混合IOB値が、0.60から1.15の範囲内にあり、好ましくは少なくとも0.65もしくは0.70で、および最大1.0もしくは1.05もしくは1.10である、液体ポリエチレングリコールC14−C22脂肪酸エステル類を合計5から40重量%含有し、好ましくは最小7もしくは10もしくは15重量%および最大25もしくは30もしくは35重量%含有し、
b.ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類の少なくとも一種が非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルでありおよび第二のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが糖アルコール脂肪酸テトラエステルであり、
c.トリエステルとテトラエステルが、1.0から3.0の比率の範囲内で存在し、好ましくはこの比率は、少なくとも1.2、1.4もしくは1.6で、および最大2.7、2.5もしくは2.3であり、
d.液体オイルを、30から70重量%含有し、好ましくは最小30もしくは40もしくは50重量%で、および最大55もしくは60重量%含有し、および
e.水を、最大5重量%含有し、好ましくは4、3、2、1.5もしくは1重量%未満である
安定なクレンジング組成物である。
【0011】
安定な状態とは、このクレンジング組成物が、約23から25℃において少なくとも30日間、顕著な相分離無しで均一に見える状態と定義する。
【0012】
多価アルコール脂肪酸トリエステルとしては、グリセリルC14−C22脂肪酸エステルが有利であり、好ましくはこのエステルはPEG−10からPEG−30の誘導体であり、より好ましくはこの脂肪酸エステルはC16−C20である。
【0013】
糖アルコール脂肪酸テトラエステルとしては、C14−C22脂肪酸エステルが有利である。好ましくはこのテトラエステルはPEG−20からPEG−40の誘導体であり、より好ましくはこの脂肪酸エステルはC16−C20である。
【0014】
好ましい実施態様では、テトラエステルの濃度は5から15重量%の範囲内であり、好ましくは最小7.5重量%で、および最大12.5重量%であり、およびトリエステルの濃度は2から10重量%の範囲内であり、好ましくは最小4重量%で、および最大7.5重量%である。さらに好ましい実施態様では、上記多価アルコール脂肪酸トリエステルとしてはPEG−20グリセリルトリイソステアレートがあり、および糖アルコール脂肪酸テトラエステルとしてはソルベス−30テトライソステアレートがある。最も好ましくは多価アルコール脂肪酸トリエステルの合計の少なくとも50、60、70、80または90重量%が、PEG−20グリセリルトリイソステアレートである。最も好ましくは糖アルコール脂肪酸テトラエステルの合計の少なくとも50、60、70、80または90重量%が、ソルベス−30テトライソステアレートである。
【0015】
本発明のもう一つの様態は、限定されないが、下記ステップ即ち
a.
i.混合IOB値が0.60から1.15の範囲内の液体ポリエチレングリコールC14−C12脂肪酸エステル類を合計5から40重量%含有し、
ii.ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類のうち少なくとも一種が非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルであり、および第二のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが糖アルコール脂肪酸テトラエステルであり、
iii.トリエステルとテトラエステルが、1.0から3.0の範囲内の比率で存在し、
iv.液体オイルを30から70重量%含有し、および
v.水を最大5重量%含有する
組成物を皮膚に塗布し、
b.メイキャップの成分を遊離、可溶化および/または分散させるのに有効な期間、上記組成物を、皮膚上に保持させ、および
c.この組成物を、水で、皮膚からすすぎ流す
ステップを含む、メイキャップを皮膚から除去する方法である。
【0016】
上記本発明の方法は、好ましくはさらに、メイキャップを湿潤条件下で除去するステップを含んでいる。上記湿潤条件は、最も好ましくは濡れた手の使用、シャワー中での使用または入浴中での使用などから選択された条件を一つ以上含んでいる。
【0017】
IOB値
用語「IOB(inorganic/organic balance)」値は、本明細書で使用する場合、親水性−疎水性のバランスを示す指数を意味し、本発明では、IOB値=[無機値(inorganic value)]/[有機値(organic value)]として計算する。ところで、無機値と有機値は、Organic Conceptional Diagram(Fujita,Makoto:「Prediction of Organic Compounds and Organic Conceptional Diagram」化学の領域,11(10),719−725 (1957))に基づいて決定できる。
【0018】
本発明では、前記PEG脂肪酸エステル成分の混合物のIOB値を制御することが重要である。この混合IOB値は、好ましくは0.6から1.15の範囲内であり、より好ましくは0.57から1.0の範囲内である。混合IOB値が0.6より小さいと、水によってすすぎ流される性質が低下して粘液性を示す。従って、0.6より小さい混合IOB値は好ましくない。混合IOB値が1.15を超えると、相分離または濁りが見られ、この結果、外観とメイキャップ除去効率が低下するので、1.15より高い混合IOB値は好ましくない。
【0019】
適切な混合IOB値は、全系が約30℃で濁らないように、PEG脂肪酸エステル成分もしくはその他の界面活性剤の比率を調節することによって決定できる。下記式(式中、a、b、cは、個々のPEG脂肪酸エステル成分もしくはその他の界面活性剤a、b、cを意味する。)を使用して、個々の成分の、特定のIOB値およびさきに述べたように選択した混合比における比率に基づいて計算することによって、混合IOB値を得ることができる。なお、この式は、類似の方法で拡張することによって、より複雑な界面活性剤の混合物にも使用できる。
混合IOB値=(aのIOB値×aの重量%+bのIOB値×bの重量%+cのIOB値×cの重量%)/(aの重量%+bの重量%+cの重量%)
【0020】
組成物
本発明の組成物には、好ましくはポリオール類が存在している。これらポリオール類はモノマーまたはポリマーであってもよい。モノマーのポリオール類は、炭素原子の数が1から20であり、ヒドロキシル基の数が2から10である。代表的なモノマーポリオール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、グリセロール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ソルビトールおよびこれらの混合物がある。
【0021】
ポリマーのポリオール類としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチレングリコール、ジペンタエリスリトールおよびこれらの組合せがある。特に好ましいのは、ジプロピレングリコールとポリエチレングリコールであり、後者の分子量は約200から約5000の範囲内で好ましくは約300から約1000の範囲内である。
【0022】
ポリオールの量は各々、組成物の、約0.5から約20重量%であり、約1から約15重量%が好ましく、約2から約10重量%が最適である。
【0023】
本発明の重要な成分は、グリセロールのトリイソステアレートエステルである。このエステルとしては、アルコキシル化されたエステルが有利であり、1モルグリセロール当たりのアルコキシレートモノマーのモル数は、1から約50モルであり、好ましくは約5から約40モルであり、より好ましくは約15から約30モルであり、最適なのは約20モルである。このアルコキシレートモノマー類は、通常、C2−C5のアルキルジオール類である。これらのモノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびこの混合物がある。この混合物は、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでもよい。単に例示するだけであるが、適切なエステルとしては、POE−20グリセリルトリイソステアレート、POE−15グリセリルトリイソステアレート、POE−10グリセリルトリイソステアレート、POE−5グリセリルトリイソステアレート、POP−20グリセリルトリイソステアレート、POP−15グリセリルトリイソステアレート、POP−5グリセリルトリイソステアレート、POE−POP−10,10−グリセリルトリイソステアレート、POE−POP−5,10−グリセリルトリイソステアレートおよびこの混合物がある。用語POEとPOPは、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの略語である。例えば、POE−POP−10,10−グリセリルトリイソステアレートは、グリセリルトリイソステアレートエステルに重合した10モルのエチレンオキシドと10モルのプロピレンオキシドを示す。本発明にとって、最も好ましいのは、POE−20グリセリルトリイソステアレートである。この物質は、商標Uniox GT−20 ISで入手することができ、Nippon Oil & Fat Companyが販売している。
【0024】
本発明に使用するグリセロールのトリイソステアレートエステルの量は、組成物の、好ましくは約0.5から約30重量%であり、より好ましくは約2から約20重量%であり、最適なのは約5から約15重量%である。
【0025】
本発明のもう一つの重要な成分は、糖アルコール脂肪酸テトラエステルの成分である。このエステルは、アルコキシル化エステルが有利であり、1モルの糖アルコール当たり、アルコキシレートモノマーを、1から約50モル含有し、好ましくは約5から約40モル含有し、より好ましくは約15から約30モル含有し、および最適には約20モル含有している。これらのアルコキシレートモノマーは、通常C2−C5アルキルジオール類である。これらジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびこの混合物がある。この混合物としてはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでもよい。単に例示するだけであるが、適切なエステルとしては、ソルベス−4テトラオレエート、ソルベス−6テトラオレエート、ソルベス−30テトラオレエート、ソルベス−40テトラオレエート、ソルベス−60テトラオレエート、ソルベス−60テトラステアレート、ソルベス−20テトライソステアレート、ソルベス−30テトライソステアレート、ソルベス−40テトライソステアレート、ソルベス−50テトライソステアレートなどがある。本発明に使用するのに最も好ましいのはソルベス−30テトライソステアレートである。この物質は、商標Uniox ST−30 ISで入手することができ、Nippon Oil & Fat Companyが販売している。
【0026】
本発明に使用する糖アルコール脂肪酸テトラエステルの量は、組成物の、約5から約15重量%の範囲内であり、好ましくは約7.5から12.5重量%である。
【0027】
各種の非イオン乳化剤および両性乳化剤が、本発明の別の任意の成分として使用できる。この非イオン乳化剤は、通常、約10から約22個の炭素原子を有する脂肪族アルコールもしくは脂肪酸、アルキル鎖中に約6から約12個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ソルビタンおよびこれらの混合物のような疎水性単位を含んでいる。これらの疎水性単位は、通常、一種の親水性単位、特に1から約50モル、好ましくは約10から約30モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこの混合物と縮合している。この非イオン乳化剤の例としては、POE−20ソルビタンモノラウレート、POE−20セチルエーテル、POE−7グリセリルココエート、POE−15ステアリルエーテル、POE−10ステアリルエーテル、POE−15パルミチルエーテルおよびこれらの組合せがある。その他の有用な非イオン乳化剤は、例えば、the Henkel Corporationから入手できるデシルポリグルコースのようなアルキルポリグリコシド類がある。もう一つのクラスの非イオン乳化剤は、長鎖の第三級アミンオキシド類である。この例としては、ジメチルドデシルアミンオキシド、ジメチルヘキサデシルアミンオキシド、ジ(2−ヒドロキシ)テトラデシルアミンオキシド、ジメチルデシルアミンオキシドおよびこれらの組合せがある。
【0028】
ベタイン類およびスルタイン(sultaine)類などの両性乳化剤も利用できる。この適切な例としては、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドスルタイン、ドデシルジメチルベタイン、セチルジメチルベタインおよびこれらの組合せがある。
【0029】
非イオン乳化剤または両性乳化剤の量は、各々、組成物の、約0.1から約10重量%であり、好ましくは約0.2から約5重量%であり、最適の量は約0.3から約2重量%である。
【0030】
皮膚保護剤(skin benefit agent)も本発明の組成物に含有させてもよい。このカテゴリーは、10から22個の炭素原子を有する脂肪酸エステル類、脂肪酸類および脂肪族アルコール類である。適切な例としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールおよび/またはステアリン酸、セチル酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ならびにこれらの混合物がある。上記脂肪酸エステル類の代表的なものは、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、(パルミチン酸)、オレイン酸およびベヘン酸のC2−C6の線状および分枝のアルキルエステルである。これらの物質を例示すると、イソトリデシルイソノナノエート、トリ(2−エチルヘキサノエート)、イソプロピルミリステート、イソステアリルイソステアレート、カプリン/カプリルトリグリセリド類およびこれらの組合せがある。本発明に有用な植物由来のエステル類としては、ひまわり種油、サフラワー油、綿実油、大豆油、米ぬか油、ステロール類およびこれらの組合せがある。
【0031】
これら物質の量は、組成物の、約0.1から約30重量%の範囲内にあり、好ましくは約0.5から約25重量%であり、最適なのは約2から約20重量%である。
【0032】
アニオン乳化剤は、一般に、本発明の組成物には含有されない。本発明の組成物は発泡を目的としていない。従って、アニオン乳化剤の含有量は、組成物の、0から5重量%の範囲内であり、好ましくは0から2重量%であり、より好ましくは0から1重量%であり、および最適量は0.05重量%未満または0.01重量%未満である。
【0033】
本発明の乳化組成物の油性相は、上記天然もしくは合成のエステル類、炭化水素類およびシコーン油類を含有していてもよい。これら物質が存在する場合の各々の量は、組成物の約20から約80重量%の範囲内であり、好ましくは約25から約75重量%であり、最適量は約30から約70重量%である。
【0034】
シリコーン油は、揮発性または不揮発性の種類のものでもよい。揮発性シリコーン油は通常、ケイ素原子を、3から9個含有し、好ましくは4から5個含有する環式または線状のポリジメチルシロキサン類である。この線状タイプのものは、ジメチコーンというCTFA名で知られており、一方、環式タイプのものはシクロメチコーンとして知られている。後者は、Dow Corning Corporationが、商標DC 244、DC 245、DC 344およびDC 345で市販している。日本国では、Dow Corning Torayから商標SH−245で入手できる。
【0035】
不揮発性シリコーン油として代表的なものは、ポリアルキルシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類およびポリエーテルシロキサンコポリマー類である。ポリジメチルシロキサンの例は、DC 200シリーズで、Dow Corningから市販されている。ポリアルキルシロキサン類は、SF 1075メチルフェニル流体などの商標で、General Electric Companyから入手できる。有用なポリエーテルシロキサンコポリマー類はSF−1066の商標で、General Electric Companyから入手できる。
【0036】
本発明に適切な炭化水素としては、鉱油、イソパラフィン類およびポリαオレフィン類(例えば、商標Permethyl 99Aまたは101で入手できるもの)およびポリイソブテン類がある。
【0037】
本発明の組成物は増粘剤または粘性化剤を必要とすることが多い。これらの物質の含有量は、約0.01から約10重量%であり、好ましくは約0.01から約5重量%であり、約0.1から約0.5重量%が最適である。これらの物質の例としては、キサンタン、カラゲーニン、グアー、ペクチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロースおよびこれらの組合せなどのガム類がある。有用なポリマータイプの増粘剤としては、架橋されたアクリル酸またはメタクリル酸のポリマー類があり、例えば商標CarbopolでNoveonが販売しているものがある。乳化剤/増粘剤の組合せも利用することができ、例えば、Pemulen TR2(登録商標)などの物質を挙げることができる。
【0038】
場合によって、本発明の組成物は、乳白剤またはパール化剤を必要とする。この目的を達成するために特に有用なのは、エチレングリコールジステアレート、二酸化チタン、二酸化チタンをコートされた雲母(例えば、Timiron(登録商標))、スチレン/アクリレートコポリマー類などのラチス(lattice)(例えば、Acusol(登録商標)OP301)およびこれらの混合物である。
【0039】
保存剤も、通常、上記配合物に組み込まれる。代表的な保存剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩類、ベンジルアルコール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、DMDMヒダントインおよびこれらの組合せがある。これら保存剤の量は、どの場合も、組成物の約0.0001から約1重量%の範囲内であればよい。
【0040】
随意に使用する少量の成分としては、それぞれの機能を発揮するのに有効な量の着色剤、香料、補助成分(promotional ingredient)がある。典型的な補助成分としては、ビタミン類、例えばレチニルパルミテート、トコフェノールアセテートおよびナイアシンアミドがある。他の補助剤としては、共役リノール酸、セラミド類、ペンタペプチド類およびこれらの組合せがある。例えば、シリカ、およびポリエチレン粉末を含む剥離剤も使用される。
【0041】
ここで、本発明を、下記の非限定の実施例によって、より詳細に説明する。これらの実施例は、例示することだけを目的とし、本発明を限定しようとするものではない。物理試験法を以下に説明する。
【0042】
操作実施例および比較実施例を除き、または特に明記しない限り、物質の量もしくは比率または反応条件、物質の物理特性および/または機能を示す、この説明における数値はすべて、用語「約」で修飾するものである。
【0043】
用語「を含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用する場合、記述された特徴、整数、ステップ、成分の存在を含むが、一つ以上の特徴、整数、ステップ、成分またはこのグループが追加されることを妨げない。
【0044】
本明細書と諸実施例における百分率はすべて、特に断らない限り、重量%である。
【実施例1】
【0045】
一連の、本発明の実施例(AからD)および対応する比較実施例(A1からD1)をそれぞれ表1と2に従って実施したが、これら実施例は、非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルと糖アルコール脂肪酸テトラエステルの混合物を水中に特別の比率で含有している一連の油乳濁液について、メイキャップを除去する効力を評価するため下記手順を利用して実施した。このメイキャップ除去(MUR)試験の方法は以下の手順で実施した。Bio Skin Plate(例えば、BEAULAX,Co.Ltd.日本国、東京、所在)の試料を切断して3×4cmの大きさのピースにした。これら各ピースのベースカラーを、ミノルタ分光光度計 CM−2002で二回ずつ測定した。0.0080gの量の口紅を、Bio Skin Plate試料の各ピースに、直径3cmの円形で塗布した。5分後、この口紅のカラーを分光光度計で測定し次に水ですすいだ。次いで、試験試料溶液0.2mlを、円形に塗布した口紅に塗布した。次に、この試料ピースを、指を使って、左回りに10回こすり、続いて左回りに10回こすった。約37℃の水道水を使って30秒間すすいだ。次いで5回すすいだ後、この口紅による着色のカラーを、再度測定した。次に、この測定値をカラーの変化率に変換した。三つの反復測定結果の平均値を利用した。試験配合物と試験結果を下記表に報告した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1と2に報告した試験結果から、本発明の試料は、対応する比較試料と比較すると、最大の効力を発揮したことは明らかである。
【0049】
表に示した実施例の試験手順は以下の通りである。
【0050】
表1および2に示す各配合物10mgと水3gを混合することによって試料を調製した。なお、この場合、この試験条件は、濡れた手によってメイキャップを除去する条件をシミュレートしている。MUR試験法は先段に記載した。
【0051】
表に例示した実施例を調製する手順は以下の通りである。
【0052】
表1および2に示す配合物は以下の通りに調製した。
【0053】
成分を混合して、これらの表にA相と記載した油相を調製した。この油相を十分混合した後、この混合物に、これらの表にB相と記載されている界面活性剤相を添加した。十分に混合した後、最後に、この混合物に、これらの表にC相と記載した水とMethylgluceth−10を添加し、混合物が均一におよび透明になるまで混合を続けた。
【0054】
上記記述と実施例は本発明の選択された実施態様を例示している。これら実施態様から、本発明の範囲と趣旨の範囲内にあるすべての変形および変更が、当業者に示唆されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定な、実質的に非水性のメイキャップ除去パーソナルケア組成物であり、
a.混合IOB値が0.60から1.15の範囲内である液体のポリエチレングリコールC14−C22脂肪酸エステル類を合計5から40重量%含有し、
b.ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類のうち少なくとも一種が非糖多価アルコール脂肪酸トリエステルであり、および第二のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが糖アルコール脂肪酸テトラエステルであり、
c.トリエステルおよびテトラエステルが、1.0から3.0範囲内の比率で存在し、
d.液体オイルを30から70重量%含有し、および
e.水を最大5重量%含有する、
組成物。
【請求項2】
多価アルコール脂肪酸トリエステルがグリセリルC14からC22の脂肪酸エステルである、請求項1の組成物。
【請求項3】
エステルがPEG−10から30の誘導体である、請求項2の組成物。
【請求項4】
脂肪酸エステルがC16からC20である、請求項3の組成物。
【請求項5】
糖アルコール脂肪酸テトラエステルがC14からC22の脂肪酸エステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
テトラエステルがPEG−20から40の誘導体である、請求項5の組成物。
【請求項7】
脂肪酸エステルがC16からC20である、請求項6の組成物。
【請求項8】
テトラエステルの濃度が5から15重量%の範囲内にある、請求項5の組成物。
【請求項9】
トリエステルの濃度が2から10重量%の範囲内にある、請求項4の組成物。
【請求項10】
多価アルコール脂肪酸トリエステルがPEG−20グリセリルトリイソステアレートであり、および糖アルコール脂肪酸テトラエステルがソルベス−30テトライソステアレートである、請求項1の組成物。
【請求項11】
メイキャップを皮膚から除去する方法であり、
a.皮膚に、請求項1に記載の組成物を塗布し、
b.メイキャップ成分を、遊離、可溶化および/または分散させるのに有効な期間、前記組成物を、皮膚上に保持させ、および
前記組成物を、水で、皮膚からすすぎ流す
ステップを含む、方法。
【請求項12】
さらに、メイキャップを、湿潤条件下で除去するステップを含む、請求項11の方法。
【請求項13】
湿潤条件が、濡れた手の使用、シャワー中での使用または入浴中での使用から選択された条件を一つ以上含む、請求項12の方法。

【公表番号】特表2010−508323(P2010−508323A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535064(P2009−535064)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061590
【国際公開番号】WO2008/052956
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】