説明

メタセシスポリマーの付加物及びその製造

不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマー及び不飽和二酸無水物の付加物。不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマー及び不飽和二酸無水物の付加物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、メタセシスポリマーの付加物及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
メタセシスポリマーは先行技術において既知である。しかしながら、種々の用途において役に立つメタセシスポリマーの付加物が必要である。
【発明の概要】
【0003】
開示の概略
本開示は、不飽和メタセシス重合で製造された(metathesis polymerization−produced)ポリマーと下記に示される式を有する不飽和無水物の付加物に関し:
【0004】
【化1】

【0005】
式中、R及びRは同一であるかもしくは異なり、水素又は1価の有機基から選ばれる。1つもしくはそれより多い態様において、1価の有機基は、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリールのような、しかしこれらに限られないヒドロカルビル基又は置換されたヒドロカルビル基を含むことができ、それぞれの基は1〜30個の炭素原子を有する。ヒドロカルビル基は、窒素、ホウ素、酸素、ケイ素、硫黄及びリン原子のような、しかしこれらに限られないヘテロ原子を含有することができる。付加物は、約1〜約60kg/モルの数平均分子量(M)、ポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合及び付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基ならびに50%より高いシス含有率を有することを特徴とする。
【0006】
他の態様において、付加物は約1〜約25kg/モルの数平均分子量(M)を有し、さらに別の態様において、約1〜14kg/モル、さらに1〜12kg/モル及び1〜10kg/モル及び3〜8kg/モルのMを有する。
【0007】
1つもしくはそれより多い態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約5〜約25個の二重結合を含有する。他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約6〜約20個の二重結合を含有し、他の態様において100個の炭素原子当たりに約7〜約18個の二重結合を含有し、そして他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約10〜約16個の二重結合を含有する。
【0008】
別の態様において、付加物は、付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基を有する。別の態様において、付加物は約1〜約10重量%、そして別の態様において約2〜約10重量%の側鎖無水物基を有する。
【0009】
別の態様において、付加物は51%〜99%のシス含有率、他の態様において約52%〜約85%のシス含有率、別の態様において約52%〜約80%のシス含有率、別の態様において約52%〜約75%のシス含有率、別の態様において約52%〜約70%のシス含有率、さらに別の態様において約52%〜約65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜60%のシス含有率、さらに別の態様において約55%〜約75%のシス含有率、別の態様において約55%〜約70%のシス含有率、別の態様において約55%より高いシス含有率、別の態様において約60%より高いシス含有率、別の態様において約65%より高いシス含有率、そして別の態様において約70%より高いシス含有率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示の詳細な記述
本開示は、不飽和メタセシスポリマーと下記に示される式を有する不飽和二酸無水物の付加物に関し:
【0011】
【化2】

【0012】
式中、R及びRは同一であるかもしくは異なり、水素又は1価の有機基から選ばれる。1つもしくはそれより多い態様において、1価の有機基は、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリールのような、しかしこれらに限られないヒドロカルビル基又は置換されたヒドロカルビル基を含むことができ、それぞれの基は1〜30個の炭素原子を有する。ヒドロカルビル基は、窒素、ホウ素、酸素、ケイ素、硫黄及びリン原子のような、しかしこれらに限られないヘテロ原子を含有することができる。
【0013】
付加物は、約1〜約60kg/モルの数平均分子量(M)、ポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合、付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基を有し、且つ50%より高いシス含有率を有することを特徴とする。
【0014】
他の態様において、付加物は約1〜約25kg/モルの数平均分子量(M)を有し、さらに別の態様において、約1〜約14kg/モル、さらに約1〜約12kg/モル及び約1〜約10kg/モル及び約3〜約8kg/モルのMを有する。
【0015】
1つもしくはそれより多い態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約5〜約25個の二重結合を含有する。他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約6〜約20個の二重結合を含有し、他の態様において100個の炭素原子当たりに約7〜約18個の二重結合を含有し、そして他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約10〜約16個の二重結合を含有する。
【0016】
別の態様において、付加物は51%〜99%のシス含有率、他の態様において約52%〜約85%のシス含有率、別の態様において約52%〜約80%のシス含有率、別の態様において約52%〜約75%のシス含有率、別の態様において約52%〜約70%のシス含有率、さらに別の態様において約52%〜約65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜60%のシス含有率
、さらに別の態様において約55%〜約75%のシス含有率、別の態様において約55%〜約70%のシス含有率、別の態様において約55%より高いシス含有率、別の態様において約60%より高いシス含有率、別の態様において約65%より高いシス含有率、そして別の態様において約70%より高いシス含有率を有する。
【0017】
別の態様において、付加物は、付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基を有する。別の態様において、付加物は約0.5〜約20重量%の側鎖無水物基、別の態様において約2〜約10重量%及び他の態様において約2〜約8重量%の側鎖無水物基を有する。
【0018】
付加物は、1よりおおきい数から6より小さい数までの多分散指数(polydispersity index)を有することができる。さらに詳細に言うと、付加物の製造において、ホモポリマー及びインターポリマーを含むいずれのメタセシスで製造された(metathesis produced)ポリマーを用いることもできる。インターポリマーを含むメタセシスポリマーは、先行技術において周知である。そうではあるが、以下はメタセシスポリマーの製造のための典型的な既知の方法の記述である。
【0019】
メタセシス型重合プロセス反応は、開環メタセシス重合(ROMP)、非環状ジエンメタセシス重合(ADMET)などであることができる。ある態様において、高分子量不飽和ポリマーを、メタセシス触媒を用いることにより改質し(例えば分子量減少)、不飽和ポリマーを与えることができる。官能性オレフィン(すなわち1個もしくはそれより多い官能基を含むオレフィン)を用いて、不飽和官能性インターポリマー又は保護された官能性インターポリマーを与えることができる。
【0020】
メタセシス重合が可能ないずれの触媒も、方法の実施に有用である。1つもしくはそれより多い態様において、メタセシス触媒は、遷移金属カルベン錯体又は遷移金属アルキリデン錯体を含む。適した遷移金属錯体は、5−もしくは6−配位している正に帯電した金属中心(例えば+2、+4又は+6酸化状態にある)を含む。代表的な遷移金属には、IUPAC協定に従う周期表の3〜12族の遷移金属が含まれる。
【0021】
やはり有用であるメタセシス触媒には、タングステン及び/又はモリブデンに基づくメタセシス触媒が含まれる。これらの触媒は、タングステン塩のような塩ならびにSchrock’sカルベンとして既知のモリブデン及びタングステン錯体からインサイチューで生成し得るものを含む。さらに、特に気−相重合が用いられる場合、担持された系を用いることができる。タングステンに基づくメタセシス触媒は、米国特許第3,932,373号及び4,391,737号明細書にさらに記載されており、Schrock触媒は、米国特許第4,681,956号、5,087,710号及び5,142,073号明細書に記載されている。
【0022】
1つもしくはそれより多い態様において、メタセシス触媒はルテニウムに基づくか、あるいはオスミウムに基づくメタセシス触媒を含む。メタセシス重合反応に有効であるいずれのルテニウムに基づくか又はオスミウムに基づくメタセシス触媒も用いることができる。
【0023】
1つの態様において、ルテニウムに基づくか又はオスミウムに基づくメタセシス触媒は、Grubbs触媒と呼ばれることもある型のカルベン錯体を含む。Grubbsメタセシス触媒は、米国特許第5,312,940号、5,342,909号、5,831,108号、5,969,170号、6,111,121号、6,211,391号、6,624,265号、6,696,597号明細書ならびに米国公開出願第2003/0181609A1号、2003/0236427A1号及び2004/0097745A9号
明細書に記載されている。
【0024】
RuもしくはOsに基づくメタセシス触媒は、式
【0025】
【化3】

【0026】
により示され得る化合物を含み、式中、Mはルテニウム又はオスミウムを含み、L及びL’は、それぞれ独立していずれかの中性電子ドナーリガンドを含み、A及びA’は、それぞれ独立してアニオン性置換基を含み、R及びRは、独立して水素又は有機基を含んでなり、0から約5の整数を含むか、あるいは式中、R、R、L、L’、A及びA’の2個もしくはそれより多くは一緒になって、二座置換基(bidendate substituent)を形成する。
【0027】
1つの態様において、L及びL’は、独立してホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、チオエーテル、トリゾリデン又はイミダゾリデン基を含むか、あるいはL及びL’は一緒になって、二座リガンドを含むことができる。1つの態様において、L及び/又はL’は、式
【0028】
【化4】

【0029】
により示され得るイミジゾリデン(imidizolidene)基を含み、式中、R及びRは、独立してアルキル、アリール又は置換されたアリールを含む。1つの態様において、R及びRは独立して、置換されたフェニルを含み、他の態様において、R及びRは、独立してメシチルを含む。1つの態様において、R及びRは、アルキル又はアリールを含むか、あるいはシクロアルキルを形成し、他の態様において両方とも水素、t−ブチル又はフェニル基である。R、R、R及びRの2個もしくはそれより多くは、一緒になって環状部分を形成することができる。イミダゾリジンリガンドの例は、4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデンリガンドを含む。
【0030】
1つの態様において、A及びA’は、独立してハロゲン、水素、C−C20アルキル、アリール、C−C20アルコキシド、アリールオキシド、C−C20アルコキシカルボニル、アリールカルボキシレート、C−C20カルボキシレート、アリールスルホニル、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニルを含み、各リガンドは場合によりC−Cアルキル、ハロゲン、C−Cアルコキシで、あるいは場合によりハロゲン、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシで置換されている
ことができるフェニル基で置換されていることができ、且つA及びA’は、場合により一緒になって二座リガンドを含むことができる。
【0031】
1つの態様において、R及びRは、水素、C−C20アルキル、アリール、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル及びC−C20アルキルスルフィニルから独立して選ばれる基を含み、R及びRのそれぞれは、場合によりC−Cアルキル、ハロゲン、C−Cアルコキシで、あるいは場合によりハロゲン、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシで置換されていることができるフェニル基で置換されていることができる。
【0032】
1つの態様において、L又はL’及びA又はA’は、一緒になって1個もしくはそれより多い二座リガンドを形成することができる。この型の錯体の例は、米国特許第6,696,597号明細書中でクラスII触媒(Class II catalysts)として記載されている。別の態様において、RもしくはR及びLもしくはL’又はAもしくはA’は、一緒になって1個もしくはそれより多い二座リガンドを形成することができる。この型の錯体は、Hoveyda又はHoveyda−Grubbs触媒と呼ばれることもある。RもしくはR及びLもしくはL’により形成され得る二座リガンドの例には、オルト−アルコキシフェニルメチレンリガンドが含まれる。
【0033】
他の有用な触媒は、式
【0034】
【化5】

【0035】
により示されるものを含む6価カルベン化合物を含み、式中、Mはルテニウム又はオスミウムを含み、L、L’、L”は、それぞれ独立していずれかの中性電子ドナーリガンドを含み、A、A’及びA”は、それぞれ独立してアニオン性置換基を含み、R及びRは、独立して水素又は有機基を含んでなる。上記の5−価触媒に類似して、6−価錯体中の置換基の1個もしくはそれより多くは、一緒になって二座置換基を形成することができる。
【0036】
ルテニウムに基づくカルベン錯体の例には、ルテニウム,ジクロロ(フェニルメチレン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(フェニルメチレン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(3−メチル−2−ブテニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(3−メチル−2−ブテニリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(3−フェニル−2−プロペニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(3−フェニル−2−プロペニリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(エトキシメチレン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(エトキシメチレン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(t−ブチルビニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(t−ブチルビニリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィ
ン)、ルテニウム,ジクロロ(フェニルビニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ(フェニルビニリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,[2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(フェニルメチレン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,[2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン][2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(フェニルメチレン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン][2−(((2,6−ビスメチルエチル)−4−ニトロフェニル)イミノ−kN)メチル−4−ニトロフェノラート−kO)]クロロ−(3−メチル−2−ブテニリデン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](フェニルメチレン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](3−フェニル−2−プロペニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](3−フェニル−2−プロペニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](エトキシメチレン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](t−ブチルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](t−ブチルビニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ジヒドロ−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2H−イミダゾール−2−イリデン](フェニルビニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニ
ル)−2−イミダゾリジニリデン](3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン](3−メチル−2−ブテニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン](3−フェニル−2−プロピリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,ジクロロ[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン](3−フェニル−2−プロピリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(エトキシメチレン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(t−ブチルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(t−ブチルビニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)及びルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]−ジクロロ(フェニルビニリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)が含まれる。
【0037】
商業的に入手可能なRuに基づくメタセシス触媒には、ルテニウム,ジクロロ(フェニルメチレン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)(Grubbs第1世代触媒と呼ばれることもある)、ルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)(Grubbs第2世代触媒と呼ばれることもある)、ルテニウム,ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ)フェニル]メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)(Hoveyda−Grubbs第1世代触媒と呼ばれることもある)及びルテニウム,[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ[[2,(1−メチルエトキシ)フェニル]メチレン](Hoveyda−Grubbs第2世代触媒と呼ばれることもある)が含まれる。これらのRuに基づくメタセシス触媒は、Materia Inc.(Pasadena,California)から入手可能である。
【0038】
1つの態様において、Ruに基づくかもしくはOsに基づくメタセシス触媒をインサイチューで調製することができる。例えば上記のもののような金属カルベン錯体の形成のために既知の条件下で、Ru又はOs化合物をアルキン及び適したリガンドと組み合せることができる。
【0039】
1つもしくはそれより多い態様において、有用なオレフィンモノマーには、メタセシス反応を経るであろうもの、すなわち少なくとも1個のメタセシス−活性な二重結合を含むものが含まれる。シクロオレフィンは、シクロアルケン又はシクロポリエンであることができる。非環状モノマーの適した例にはジエン、アルファオメガジエン、オレフィンのオリゴマーなどが含まれる。
【0040】
ある態様において、オレフィンは、炭素原子又はヘテロ原子の数ならびに置換基の量及び種類のような少なくとも1つの側面において異なる2種もしくはそれより多種のオレフィンの混合物である。2種もしくはそれより多種のオレフィンは、2種もしくはそれより多種のオレフィン性異性体も指す。1つの態様において、第1のオレフィン対第2のオレフィンの比は、約99:1〜1:99であり、別の態様において約95:5〜5:95で
あり、そしてさらに別の態様において約90:10〜10:90である。ROMPが用いられる場合、シクロオレフィンは、環の大きさ又は置換基において異なる2種もしくはそれより多種のシクロオレフィンの混合物あるいは2種もしくはそれより多種のシクロオレフィンの異性体の混合物を含む。下記で議論するような所望のポリマーの性質を与えるいずれの2種もしくはそれより多種のシクロオレフィンの組み合わせを用いることもできる。1つの態様において、混合物は1,5−シクロオクタジエン及びシクロペンテンを含み、別の態様において1,5−シクロオクタジエン及びシクロオクテン、そしてさらに別の態様においてシクロオクテン及びシクロペンテンを含む。開環メタセシス重合(ROMP)反応に関与することができるいずれのシクロオレフィンを用いることもできる。シクロオレフィンは、1個もしくはそれより多い置換基及び/又は官能基を含むことができる。シクロオレフィンはシクロアルケン又はシクロポリエンであることができる。
【0041】
シクロオレフィンは、式
【0042】
【化6】

【0043】
により示される化合物を含み、式中、zは1〜約18の整数を含む。シクロオレフィンの例にはシクロプロペン、シクロブテン、ベンゾシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロヘプテン、シクロオクテン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、シクロデセン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘプタジエン、[2.2.1]ビシクロヘプテン、[2.2.2]ビシクロオクテン、シクロヘキセニルノルボルネン、ノルボルネンジカルボン酸無水物、シクロドデセン、1,5,9−シクロドデカトリエン及びそれらの誘導体が含まれる。1つの態様において、シクロオレフィンはシクロペンテン、シクロオクテン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン又はそれらの混合物である。当該技術分野における熟練者は、開環重合の熱力学が環の大きさ及び置換基のような因子に基づいて変わることを認識するであろう。開環メタセシスは、K.J.Irvin and J.C.Mol著,Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization,Chap.11(1977)に記載されている。
【0044】
官能基を含む非環状アルケンが重合の間に存在するか、又はそれを重合混合物に加えることができる。官能化剤(functionalizing agent)とも呼ばれ得る官能性アルケンは、少なくとも1個のメタセシス−活性二重結合を含む。非環状アルケンは末端官能基(functional end−groups)を含む。上記を式
【0045】
【化7】

【0046】
により示すことができ、式中、Zは官能基を含み、nは0〜約20の整数を含む。2種もしくはそれより多種の官能基化アルファオレフィンの混合物を用いることができ、それを式
【0047】
【化8】

【0048】
により示すことができ、式中、各Zは同じかもしくは異なることができ、官能基であり、nは0〜約20の整数であり、別の態様においてnは約1〜約9の整数であり、さらに別の態様においてnは約6より小さい整数である。これらの官能性アルケンは、官能化を与える他に、重合の間にメタセシスポリマーの分子量を制御するためにも用いられ得る。
【0049】
1つもしくはそれより多い態様において、メタセシスポリマーのガラス転移温度は−75℃より低く、別の態様において約−77℃より低く、別の態様において約−80℃より低く、そしてさらに別の態様において約−85℃より低い。
【0050】
インターポリマーを含むメタセシスポリマーの製造に用いられる合成法は、通常のメタセシス重合法を含む。これらの反応は開環メタセシス重合(ROMP)及び/又は非環状ジエンメタセシス重合(ADMET)を含むことができる;これらの反応は、米国特許第5,728,917号及び5,290,895号及び5,969,170号明細書に示されている通り、当該技術分野において既知である。より高分子量の不飽和ポリマーのメタセシス解重合によってメタセシスポリマーを製造することもできる(国際公開第2006/127483A1号パンフレットを参照されたい)。メタセシス反応における多官能性アルケンを含む官能性アルケンの使用も既知であり、米国特許第5,880,231号明細書及び米国特許出願第11/344,660号明細書(U.S.Serial No.11/344,660)として開示されている。
【0051】
1つもしくはそれより多い態様において、反応物及び触媒は不活性雰囲気中で導入される。反応物又は触媒の添加の順序は、制限されない。1つの態様において、2種もしくはそれより多種のメタセシス−活性オレフィンモノマーを合わせて混合物を形成し、次いで混合物にメタセシス触媒を加える。材料の1種もしくはそれより多くを、溶媒と一緒に導入することができる。
【0052】
メタセシス重合反応は、典型的にはモノマーの天井温度(ceiling temperature)より低い温度で起こる。1つの態様において、メタセシス反応はマイナス40℃〜約100℃の温度で起こり、別の態様において、温度は約マイナス20℃〜約75℃であり、さらに別の態様において、温度は約0℃〜約55℃である。
【0053】
反応の進行を、場合により標準的な分析法により監視することができる。メタセシス反応を、場合によりエチルビニルエーテルのような触媒失活剤の添加により停止させることができる。
【0054】
反応の後、通常の方法を用いて、メタセシス−重合したポリマーを溶媒から単離することができる。1つもしくはそれより多い態様において、特に官能基が水に敏感な場合、既知の方法を用いて水との接触を妨げるかもしくは少なくすることができる。
【0055】
ポリマーの製造において、メタセシス反応において用いられるモノマー及び場合により用いられる非環状アルケンの量は、特に制限されない。有利には、非環状アルケン対モノマーのモル比を選んで、ポリマーの分子量を調整することができる。例えば非環状アルケン対モノマーのモル比が約1:9〜約1:150である場合、約1kg/モル〜約10kg/モルの分子量を得ることができる。
【0056】
インターポリマーの重合のために、各モノマーの相対的な量は制限されない。1つの態様において、第1のモノマー対第2のモノマーの比は約99:1〜約1:99であり、別の態様において、第1のモノマー対第2のモノマーの比は約95:5〜約5:95であり、さらに別の態様において、第1のモノマー対第2のモノマーの比は約90:10〜約10:90である。
【0057】
メタセシス反応において用いられるメタセシス触媒の量は臨界的ではないが、典型的には触媒量の触媒が用いられる。1つの態様において、触媒の量は100モルのオレフィン当たりに少なくとも約0.1ミリモルの触媒であり、別の態様において、100モルのオレフィン当たりに少なくとも約1ミリモルの触媒であり、別の態様において、触媒の量は100モルのオレフィン当たりに約5ミリモル〜約10モルの触媒であり、そしてさらに別の態様において100モルのオレフィン当たりに約10ミリモル〜約1モルの触媒であり、そしてさらにもっと別の態様において100モルのオレフィン当たりに約0.02〜約0.5モルの触媒である。他の態様において、メタセシス触媒反応を現存する高分子量メタセシスポリマーと一緒に用い、本発明の所望のポリマーを形成することができる。言い換えると、不飽和高分子量ポリマー及び非環状アルケンに触媒を導入することにより、メタセシス触媒反応を用いて所望の分子量のポリマーを製造することができる。この方法において用いることができる高分子量ポリマーには、メタセシス重合により製造される高分子量ポリマーが含まれる。例えば約90kg/モルの分子量、1%より少ない側鎖ビニル及びポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約12〜約15個の二重結合を有するシクロオクテンの重合から生ずる高分子量ポリマーは、VestenamerTM(Degussa)の商品名の下に商業的に入手可能である。これらのポリマーをメタセシス触媒及び非環状アルケンと接触させ、より低い分子量のメタセシスポリマーを製造することができる。また、官能基化非環状アルケンを用いることにより、得られるメタセシスポリマーを末端−官能基化することができる。場合により、メタセシス−反応性二重結合を含有するシクロオレフィン又はジエンを加えて基本のポリマーと共重合させ、それにより少なくとも1個もしくはそれより多い末端官能基を有するインターポリマーを形成することができる。
【0058】
本明細書で用いられる不飽和メタセシスポリマーは、約1〜約40kg/モルのMnを有し、且つ100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合を有する。ポリマーは、1より大きい数から6より小さい数までの多分散指数を有することができる。1つの態様において、ポリマーは約51%より高いか、又は約55%〜約70%又は約55%より高いシス含有率を有することができる。
【0059】
本明細書における付加物の製造に、ホモポリマー又はインターポリマーを含むいずれのメタセシスポリマーを用いることもできる。約0.1〜約33重量%の不飽和二酸無水物が付加したメタセシスポリマー又はインターポリマーは、約1〜約60kg/モルの数平均分子量(M)及びポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合を有することを特徴とする。付加物は、1より大きい数から6より小さい数までの多分散指数を有することができる。
【0060】
他の態様において、付加物は約1〜約25kg/モルの数平均分子量(M)を有し、さらに別の態様において、約1〜約14kg/モルのM、そしてさらに約1〜約12、約1〜約10及び約3〜約8kg/モルのMを有する。
【0061】
1つもしくはそれより多い態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約5〜
約25個の二重結合を含有する。他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約6〜約20個の二重結合を含有し、他の態様において100個の炭素原子当たりに約7〜約18個の二重結合を含有し、そして他の態様において、付加物は100個の炭素原子当たりに約10〜約16個の二重結合を含有する。
【0062】
別の態様において、付加物は、付加物に基づいて約0.1〜約33重量%及び他の態様において約1〜約10重量パーセントの側鎖無水物基を有し、そしてさらに約2〜約10重量%の側鎖無水物基を有する。別の態様において、付加物は約2〜約4重量%の側鎖無水物基を有する。
【0063】
別の態様において、付加物は51%〜99%のシス含有率、他の態様において約52%〜約85%のシス含有率、別の態様において約52%〜約80%のシス含有率、別の態様において約52%〜約75%のシス含有率、別の態様において約52%〜約70%のシス含有率、さらに別の態様において約52%〜約65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜65%のシス含有率、そして別の態様において53%〜60%のシス含有率、さらに別の態様において約55%〜約75%のシス含有率、別の態様において約55%〜約70%のシス含有率、別の態様において約55%より高いシス含有率、別の態様において約60%より高いシス含有率、別の態様において約65%より高いシス含有率、そして別の態様において約70%より高いシス含有率を有する。
【0064】
別の態様において、付加物は40℃より低い、他の態様において約30℃より低い、他の態様において約25℃より低い、そして他の態様において約10℃より低い融点を有することができる。別の態様において、ポリマーは約0℃〜約25℃、他の態様において約5℃〜約20℃の範囲内の融点を有する。
【0065】
別の態様において、付加物は10%より低い、他の態様において約8%より低い、他の態様において約7%より低い、他の態様において約5%より低い、そして別の態様において約3%より低い結晶化度を有する。
【0066】
メタセシスポリマーを、ポリマーの重量に基づいて約0.1〜約50重量%の不飽和二酸無水物と反応させることにより、付加物を製造することができる。反応は、メタセシスポリマーと不飽和二酸無水物との反応を起こさせるであろういずれの方法であることもできる。
【0067】
メタセシスポリマーと不飽和二酸無水物との反応において用いることができる方法の代表的な例は、エン反応法及びラジカル付加法である。これらの方法は以下の通りに記載される:エン反応は、アリル水素を含有するアルケン(エン)と活性化二重結合を含有する化合物(エノフィル)の間の部位−特異的有機化学反応である。モノマーのような小分子上又はポリマー上(主鎖もしくは側鎖基)に反応性エン二重結合が存在することができる。反応は通常熱エネルギーにより、又はBF、AlClのようなルイス酸の存在により触媒される。エン反応の生成物は、置換されたアルケン又は二重結合がアリル位置に1個の炭素分移動した付加物である。
【0068】
エン反応は、純の(neat)かもしくは溶液中の不飽和メタセシスポリマーを不飽和二酸無水物(ポリマーに基づいて約0.1〜50重量パーセント)と混合するか、又は配合することにより行われる。反応内容物を反応容器中で、又は押し出し機中で、約160〜240℃の温度範囲に約0.1〜24時間、又は分光分析が所望のレベルの付加物が生成したことを示すまで、加熱する。
【0069】
あるいはまた、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−
アゾイソブチロニトリル(AIBN)及びペルオキシ安息香酸tert−ブチルのようなラジカル開示剤を、純のかもしくは溶液中のメタセシスポリマー及び不飽和二酸無水物(ポリマーに基づいて約0.1〜約50重量パーセント)と組み合わせて用いることにより、付加物を製造することができる。約50〜約150℃の範囲の温度で反応を行うことができる。場合によりラジカル阻害剤(radical inhibitor)又は酸化防止剤を用いることができる。
【0070】
他の適したラジカル開始剤の例は周知である。これらには、ジアシルペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド及びラウロイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、ジクミルペルオキシド及びα,α’ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン;ペルオキシエステル、例えば過安息香酸t−ブチル、t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン;ペルオキシエステル、例えば過安息香酸t−ブチル、t−ブチルペルアセテート、ジ−t−ブチルペルフタレート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン;ケトンペルオキシド、例えばメチルエチルケトンペルオキシド及びシクロヘキサノンペルオキシド;ヒドロペルオキシド、例えばジ−t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、α−フェニルエチルヒドロペルオキシド及びシクロヘキセニルヒドロペルオキシド;ならびにペルオキシケタール、例えば1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン及び1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの1つ又は混合物が含まれる。典型的に用いられる量は、約0.001〜0.5重量%の範囲である。
【0071】
有用な不飽和無水物の例には、下記に示される式
【0072】
【化9】

【0073】
[式中、R及びRは同一であるかもしくは異なり、水素又は1価の有機基から選ばれる]を有するものが含まれる。1つもしくはそれより多い態様において、1価の有機基は、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリールのような、しかしこれらに限られないヒドロカルビル基又は置換されたヒドロカルビル基を含むことができ、それぞれの基は1〜30個の炭素原子を有する。ヒドロカルビル基は、窒素、ホウ素、酸素、ケイ素、硫黄及びリン原子のような、しかしこれらに限られないヘテロ原子を含有することができる。
【0074】
そのような不飽和二酸無水物には、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、グルタコン酸無水物、クロトン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物及びジクロロマレイン酸無水物が含まれるが、これらに限られない。1つの態様において、二酸無水物は無水マレイン酸である。
【0075】
本発明の例示の目的で、ある代表的な態様及び詳細を示してきたが、その中で本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を行うことができることは、当該技術分野における熟練者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマー及び式:
【化1】

[式中、R及びRは同一であるかもしくは異なり、水素又は1価の有機基から選ばれる]
を有する不飽和二酸無水物の付加物であって、ここで付加物は、約1〜約60kg/モルの数平均分子量(M)、ポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合、付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基を有し、且つ50%より高いシス含有率を有することを特徴とする付加物。
【請求項2】
数平均分子量が約1〜14kg/モルの範囲である請求項1の付加物。
【請求項3】
側鎖無水物基が約2〜約4重量パーセントの範囲の量で存在する請求項1〜2のいずれかの付加物。
【請求項4】
さらに100個の炭素原子当たりに約6〜約20個の二重結合を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの付加物。
【請求項5】
さらに1より大きい数から6より小さい数までの多分散指数(polydispersity index)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの付加物。
【請求項6】
不飽和二酸無水物が無水マレイン酸である請求項1〜5のいずれかの付加物。
【請求項7】
不飽和二酸無水物が無水マレイン酸であり、数平均分子量が約3〜約8kg/モルの範囲であり、側鎖無水物基が約2〜約10重量%の範囲の量で存在し、多分散指数が1より大きい数から6より小さい数までであり、且つシス含有率が約55%〜75%である請求項1の付加物。
【請求項8】
不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマーがシクロペンテン、シクロオクテン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン又はそれらの混合物より成る群から選ばれる請求項1〜7のいずれかの付加物。
【請求項9】
シス含有率が約52%〜約75%である請求項1の付加物。
【請求項10】
不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマーをポリマーに基づいて約0.1〜約50重量パーセントの量の無水物と反応させることを含んでなる、不飽和メタセシスポリマー又はインターポリマー及び式:
【化2】

[式中、R及びRは同一であるかもしくは異なり、水素又は1価の有機基から選ばれ
る]
を有する不飽和二酸無水物の付加物の製造方法であって、ここでポリマーは、約1〜約60kg/モルの数平均分子量(M)、ポリマー鎖中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合を有し、50%より高いシス含有率及び付加物に基づいて約0.1〜約33重量パーセントの側鎖無水物基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項11】
側鎖無水物基が約1〜約10重量パーセントの量で付加物中に存在する請求項10の方法。
【請求項12】
数平均分子量が約1〜約14kg.モルの範囲である請求項10〜11のいずれかの方法。
【請求項13】
付加物がポリマー中の100個の炭素原子当たりに約2〜約25個の二重結合を有する請求項10〜12のいずれかの方法。
【請求項14】
付加物が約55%〜約70%のシス含有率を有する請求項10〜13のいずれかの方法。

【公表番号】特表2011−530001(P2011−530001A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522162(P2011−522162)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052703
【国際公開番号】WO2010/017197
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(502345360)フアイヤーストーン・ポリマース・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】