メタノール酸化用PtRu系触媒及びその製造方法
【課題】 Pt微粒子の凝集を防止してPt微粒子の大きさのばらつきを低減し、Ptの使用量が少なくても触媒能が高いPtRu系触媒を提供する。
【解決手段】 担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【解決手段】 担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池等に好適に使用できるPtRu系触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の動力源である燃料電池の触媒活性の向上が重要な課題の一つとなっている。このようなメタノールを使用する燃料電池の電極材料として、従来から白金系触媒をカーボンに担持させたものが用いられている。しかし、白金単体をメタノール極の触媒に用いると、メタノールの酸化反応中間物であるCOやアルデヒドによって白金が被毒される問題がある。
そこで、白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金触媒が用いられてきている(例えば、特許文献1、2参照)。Ruは、Pt上に吸着したCOをCO2に酸化し、Ptの被毒を防止する。しかし、これらの技術の場合、担体上でPtやRuの微粒子が凝集して粗大化し、触媒の有効表面積が向上し難いという問題がある。
このようなことから、担体上にアルコール還元法で生成したPtRu合金を、300〜500℃で加熱処理することにより、PtとRuの金属微粒子の原子間距離を更に接近させて合金化する技術が開発されている(例えば、特許文献3参照)。この技術によれば、粒子径1nm〜50nmのPtRu触媒微粒子が得られるとされる。
【特許文献1】特開平2−111440号公報
【特許文献2】特開2004−267961号公報
【特許文献3】特開2005−177661号公報(段落0023)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献3記載の技術を用いても、触媒となるPt微粒子の凝集を防止することは難しく、Pt微粒子の大きさのばらつきが生じて触媒能が低下する問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、Pt微粒子の凝集を防止してPt微粒子の大きさのばらつきを低減し、Ptの使用量が少なくても触媒能が高いPtRu系触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明のPtRu系触媒は、担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【0005】
本発明のPtRu系触媒の製造方法は、表面にチオール基を有する担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、前記Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、前記担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる工程と、前記Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理する工程とを有する。
上記製造方法において、前記熱処理の温度を300℃未満とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、Pt微粒子の凝集を防止してPt微粒子の大きさのばらつきを低減し、Ptの使用量が少なくても触媒能が高いPtRu系触媒が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
本発明の実施形態に係るPtRu系触媒は、担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【0009】
1)担体
担体としては、例えば、炭素、酸化物が挙げられるが炭素を用いることが好ましい。
炭素担体としては、一般に触媒に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、カーボンナノ繊維(CNF)、カーボンブラック(CB)、活性炭(AC)、活性カーボンナノ繊維(ACF)が例示される。
酸化物担体としては、一般に触媒に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト等の無機酸化物が例示される。
その他、一般に電極基板として用いられる金属、半導体等の導電性材料を担体として用いることができる。単体の大きさ及び形状も特に限定されない。
【0010】
2)Ru金属微粒子
担体表面にはRu金属微粒子が分散している。Ruは、メタノールの酸化反応中間物であるCOやアルデヒドによって白金が被毒されることを防止し、Ptの触媒活性を維持するものである。Ru金属微粒子の平均粒径は0.5〜15nm程度であることが好ましい。Ru金属微粒子の平均粒径が0.5nm未満であるものは製造することが困難であり、平均粒径が15nmを超えると、Ruによる白金の被毒防止効果が改善されない。
【0011】
3)Pt金属微粒子
Ru金属微粒子の表面には平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散している。Ptは触媒反応を生じさせるものである。Pt金属微粒子の平均粒径が0.5nm未満であるものは製造することが困難であり、又、以下のTEM像で確認することが困難である。一方、平均粒径が15nmを超えると、Pt粒が粗大となって触媒活性が向上せず、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が低減する。
なお、Ru及びPt金属微粒子の平均粒径は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)像から求めることができる。
【0012】
本発明の触媒においては、以下に示すようにPt金属微粒子がRu金属微粒子の殆ど表面に存在し、Ruの内部にPtが殆ど存在しないことが確認されている。通常のPtRu合金電極材料は、Ru内部にPtが取り込まれてしまうため、Ptのうち触媒として機能しない部分があるが、本発明においてはRuの表面上にPt粒子が分散して存在することで、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が増大する。
図1、図2は、シンクロトロン放射光(SPring-8)を利用した、後述する実施例の試料についてのXAFS(X線吸収微細構造;X-ray Absorption Fine Structure)スペクトルを示す。XAFSは、着目する元素のX線吸収エネルギー近傍のエネルギーを物質に照射し、吸収スペクトルから着目元素の近傍元素の情報を得るものである。
【0013】
図1は、Ptを着目元素とした場合のXAFSスペクトルを示す。この図において、着目するPt元素からの距離Rが約1.9×10-10mのピークP1は、Ptの第1近接元素(1NN:first nearest neighbor)がS(イオウ)である(以下、「Pt−S」のように1NNを表記する)ピークである。このSはチオール基に由来しており、図の矢印に示す方向に試料の熱処理温度が高くなるほど、チオールが蒸発してP1の高さも減少する。なお、距離Rは正確には着目原子からの距離ではなく、スペクトルのフーリエ(Fourier)変換で得られたパラメータである。例えば、Rが1.9×10-10mである場合、実際の距離は位相差を考慮すると2.2×10-10m程度になる。
P2はPt−Ruのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。つまり、熱処理温度が高くなるほど、Ruの凝集クラスターが大きくなることを示唆する。
P3はPt−Ptのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。しかしながら、P3の高さはP2の高さより低い。つまり、Ptの近傍にはRuがより多く存在することを示唆する。
つまり、図1から、PtはRuのクラスター上に分散して存在することが考えられる。
【0014】
図2は、Ruを着目元素とした場合のXAFSスペクトルを示す。この図において、P4はRu−Ruのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。そして、Ru−Ptのピークは殆ど見られない。つまり、図2から、PtはRuのクラスター上に分散して存在することがより強く示唆される。
【0015】
又、本発明のPtRu系触媒においては、Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。上記した標準偏差はPt金属微粒子の大きさのばらつきを示し、標準偏差が大きくなると、粒子の大きさにばらつきが生じて粒子が凝集していることを示す。ここで、標準偏差を上記範囲に規定した理由は、標準偏差が7未満のものを製造するのは困難であるからである。又、標準偏差が13を超えると、Pt金属微粒子の大きさがばらつき、粒子に凝集が生じて触媒能が低下するとともに、Pt使用量の低減を図ることができなくなる。
【0016】
5)PtとRuの原子比
PtとRuの原子比は特に制限はないが、Pt/Ru=0.01〜5であることが好ましい。本発明においては、Pt金属微粒子がRu金属微粒子の表面に存在し、かつPt金属微粒子の大きさのばらつきが小さいため、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が高くなるため、Pt/Ruの比が小さくても触媒活性を維持することができる。
Pt/Ru=0.01未満であると、Ptの触媒活性が低下する場合があり、Pt/Ru=5を超えると、Ptの使用量が多くなってコスト増となる場合がある。
【0017】
本実施形態に係るPtRu系触媒は、燃料電電池の触媒電極、キャパシター、二次電池の複合電極などに好適に使用できる。
【0018】
本実施形態に係るPtRu系触媒は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0019】
A)担体のチオール化
まず、担体表面にチオール基を修飾する。本発明者らの検討によれば、従来の液状還元法で担体にPtやRuを担持させた場合、担持の際にPtやRuが凝集してその粒子径が大きくなることが判明している。そこで、本発明者らは、担体にチオール基を分散させて修飾させ、チオール基にPtやRuを担持させることとした。これにより、担体上に分散したチオール基に選択的にPtやRuが析出するので、これら粒子の凝集を抑制し、粒子径を微細化することに成功した、この理由としては、チオール基がPtやRuの金属微粒子の表面に強く吸着され、金属微粒子の凝集が効果的に阻止されることが考えられる。
なお、Ru及びPtと相互作用する官能基であれば、チオール基以外の基を用いてもよい。このような官能基としては、アミド基、シアン基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0020】
A−1)酸化処理
チオール化に先立ち、担体表面に酸化処理を施す。酸化処理は、次工程で担体表面をハロゲン化するための前処理である。酸化処理は、担体に酸処理を施すか、又は担体を含酸素雰囲気(例えば空気)中で加熱して行うことができる。
担体に酸処理を行う場合、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸等の有機酸;過マンガン酸カリウム、過酸化水素、クロム酸カリウム、二酸化鉛、酸化銅等の酸化剤;を単独で使用し又は2種以上を併用することができる。これらのうち、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸、及び過マンガン酸カリウムを用いることが好ましい。
酸処理の効率を高めると共に安全性を考慮し、酸処理の温度は、通常は好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜500℃とする。酸処理の時間は特に制限されないが、通常、2時間以内である。
含酸素雰囲気中で担体を加熱する際の温度は、担体の材質にもよるが、例えば担体が炭素である場合は、通常、好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜500℃とする。このように、担体を空気中で所定温度で、所定時間(通常、12時間以内)で加熱処理することにより、担体表面にカルボキシル基を導入することができる。
【0021】
A−2)ハロゲン化処理
ハロゲン化処理は、チオール化処理の前処理であり、ハロゲン化にはハロゲン化剤を用いることができる。
ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化アルミニウム、塩化水銀等が挙げられるがこれらに限定されない。そして、担体及びハロゲン化剤を適当な温度、時間で攪拌することによってハロゲン化処理を行うことができる。ハロゲン化処理の温度は、通常50〜100℃程度とすることができ、処理時間は特に限定されないが、通常、12時間以内であればよい。
【0022】
A−3)チオール化
ハロゲン化させた担体表面をチオール化することにより、チオール基を導入する。チオール化の方法は特に限定されないが、有機化学的方法、機械化学的方法を用いることができる。
有機化学的方法としては、担体とチオール化剤とを反応させる方法が挙げられる。この場合、チオール化剤として、アミノメタンチオール、アミノエタンチオール、アミノドデカンチオール等の炭素数1〜12のアミノアルカンチオール;メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトドデカノール等の炭素数1〜12のメルカプトアルコール;アミノチオフェノール、メルカプトフェノール等のベンゼン誘導体;等が挙げられるがこれらに限定されない。
担体とチオール化剤との反応は、例えば両者を接触させて行うことができ、反応効率の点から反応温度は50〜100℃であることが好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常、24時間以内であればよい。
【0023】
B)担体表面へのRu及びPtの担持
次に、チオール化した担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる。これは、金属前駆体を液状還元法で還元させる方法である。
Ru及びPtの前駆体としては、これらの金属の塩又は錯体を用いることができ、たとえば、塩化ルテニウム水溶液及び塩化白金水溶液が挙げられる。そして、これらの水溶液に担体を浸漬し、超音波を与えたり、攪拌することにより、担体と水溶液とを充分に接触させた後、還元剤を添加して前駆体を還元する。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤の量は、通常、上記Ru及びPtの前駆体の合計に対して過剰量(例えば、上記前駆体の合計1moL当り1.5〜10moL)となるように調整することが好ましい。
【0024】
以上のようにして、表面がチオール化した担体に、Ru及びPtの金属微粒子が担持される。これらの金属微粒子は凝集せず、担体上に微細に分散することができる。
なお、担体上に担持されるRu金属微粒子とPt金属微粒子との割合は、Ru前駆体及びPt前駆体の濃度割合を変化させて調整することができる。
Ru及びPtの担持量は、担体表面のチオール基の数、Ru及びPt前駆体の液濃度等によって異なるが、触媒活性を維持する点から、通常、担体の10〜60質量%程度とすることが好ましい。
【0025】
C)熱処理
次に、Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理することにより、担体表面のチオール基が除去されると共に、担体上に担持された隣接する金属微粒子同士が一体化し、所定の粒径となる。
熱処理はチオール基が分解する温度である200℃以上とする必要がある。熱処理を行うと、チオール基が除去され、Ru及びPtの金属原子が担体上に存在する。この状態で、まず融点の低いRuの金属微粒子が担体上を移動して凝集し、上記した所定の粒径となる。Pt金属微粒子は凝集せず、隣接するRuの移動に伴って移動する。Ruの凝集が完了すると、Pt金属微粒子は周囲をRuの凝集体で囲まれているために、他のPt金属微粒子と凝集することが難しく、チオール化した担体に担持された時の粒径をほぼ維持すると考えられる。
【0026】
従って、チオール化の時点で担持されるPtの量(原子比)を、Ruの量より少なくすることにより、熱処理によるPt金属微粒子の凝集を防止し、Ru表面にPtを分散させることができる。
熱処理温度は、200〜600℃の範囲とすることが好ましく、200℃以上300℃未満とすることがより好ましく、200〜250℃とすることが最も好ましい。熱処理温度が600℃を超えると、Ru及びPt金属微粒子が凝集して粗大化し、触媒活性が低下する場合がある。
熱処理時間は特に制限されないが、通常、1時間程度とすることができる。
非酸化雰囲気としては、例えば水素雰囲気が挙げられる。
【0027】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
1.担体のチオール化
直径10〜20nmの多層カーボンナノチューブ100mgを硫酸と硝酸の混合物(3:1)で70℃で1時間酸化処理した後、この多層カーボンナノチューブに塩化チオニル25mLを加えて70℃で12時間攪拌することにより、多層カーボンナノチューブの表面を塩素化させた。
次に、塩素化された多層カーボンナノチューブとアミノエタンチオールとを70℃で24時間反応させることによって多層カーボンナノチューブの表面をチオール化させ、表面にチオール基が導入された炭素担体を得た。
2.Ru及びPtの担持
チオール化した担体に、3.125mmol/Lの塩化ルテニウム水溶液5mLと、3.054mmol/Lの塩化白金酸水溶液5mLとを加え、1時間超音波を与えた後、RuとPtの合計量に対し過剰量となるよう、100mmol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えてRuとPtを還元させ、担体表面にRu及びPt金属微粒子を担持させた。
【0029】
3.熱処理
Ru及びPtを担持した担体を、水素雰囲気下で200℃〜600℃の範囲の所定温度で1時間熱処理し、触媒を得た。
【0030】
4.評価
得られた触媒のTEM像を図3〜図8に示す。各図において、CNTの担体10の表面にRu粒2が析出しているのがわかる(例えば,図6の符号参照)。但し、このTEM像では倍率が低いため、Pt粒子を確認することはできない。
図9〜図13は、それぞれ図4〜図8に対応した試料のPt微粒子の平均粒径分布を示す。Pt微粒子の平均粒径は、高倍率のTEM像から個々のPt微粒子の最大径を目視判定した値を採用した。
図9〜図13の粒径分布をもとに、各試料におけるPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差を求めた。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかなように、各試料のPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差は7〜13の範囲内にあり、Pt金属微粒子の大きさのばらつきを低減できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るPtRu系触媒の金属微粒子のXAFSスペクトルを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るPtRu系触媒の金属微粒子のXAFSスペクトルを示す別の図である。
【図3】チオール化後の熱処理を行わなかった場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図4】チオール化後の熱処理を523Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図5】チオール化後の熱処理を573Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図6】チオール化後の熱処理を673Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図7】チオール化後の熱処理を773Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図8】チオール化後の熱処理を873Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図9】図4に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図10】図5に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図11】図6に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図12】図7に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図13】図8に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2 Ru金属微粒子
10 担体
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池等に好適に使用できるPtRu系触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の動力源である燃料電池の触媒活性の向上が重要な課題の一つとなっている。このようなメタノールを使用する燃料電池の電極材料として、従来から白金系触媒をカーボンに担持させたものが用いられている。しかし、白金単体をメタノール極の触媒に用いると、メタノールの酸化反応中間物であるCOやアルデヒドによって白金が被毒される問題がある。
そこで、白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金触媒が用いられてきている(例えば、特許文献1、2参照)。Ruは、Pt上に吸着したCOをCO2に酸化し、Ptの被毒を防止する。しかし、これらの技術の場合、担体上でPtやRuの微粒子が凝集して粗大化し、触媒の有効表面積が向上し難いという問題がある。
このようなことから、担体上にアルコール還元法で生成したPtRu合金を、300〜500℃で加熱処理することにより、PtとRuの金属微粒子の原子間距離を更に接近させて合金化する技術が開発されている(例えば、特許文献3参照)。この技術によれば、粒子径1nm〜50nmのPtRu触媒微粒子が得られるとされる。
【特許文献1】特開平2−111440号公報
【特許文献2】特開2004−267961号公報
【特許文献3】特開2005−177661号公報(段落0023)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献3記載の技術を用いても、触媒となるPt微粒子の凝集を防止することは難しく、Pt微粒子の大きさのばらつきが生じて触媒能が低下する問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、Pt微粒子の凝集を防止してPt微粒子の大きさのばらつきを低減し、Ptの使用量が少なくても触媒能が高いPtRu系触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明のPtRu系触媒は、担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【0005】
本発明のPtRu系触媒の製造方法は、表面にチオール基を有する担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、前記Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、前記担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる工程と、前記Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理する工程とを有する。
上記製造方法において、前記熱処理の温度を300℃未満とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、Pt微粒子の凝集を防止してPt微粒子の大きさのばらつきを低減し、Ptの使用量が少なくても触媒能が高いPtRu系触媒が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
本発明の実施形態に係るPtRu系触媒は、担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。
【0009】
1)担体
担体としては、例えば、炭素、酸化物が挙げられるが炭素を用いることが好ましい。
炭素担体としては、一般に触媒に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、カーボンナノ繊維(CNF)、カーボンブラック(CB)、活性炭(AC)、活性カーボンナノ繊維(ACF)が例示される。
酸化物担体としては、一般に触媒に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト等の無機酸化物が例示される。
その他、一般に電極基板として用いられる金属、半導体等の導電性材料を担体として用いることができる。単体の大きさ及び形状も特に限定されない。
【0010】
2)Ru金属微粒子
担体表面にはRu金属微粒子が分散している。Ruは、メタノールの酸化反応中間物であるCOやアルデヒドによって白金が被毒されることを防止し、Ptの触媒活性を維持するものである。Ru金属微粒子の平均粒径は0.5〜15nm程度であることが好ましい。Ru金属微粒子の平均粒径が0.5nm未満であるものは製造することが困難であり、平均粒径が15nmを超えると、Ruによる白金の被毒防止効果が改善されない。
【0011】
3)Pt金属微粒子
Ru金属微粒子の表面には平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散している。Ptは触媒反応を生じさせるものである。Pt金属微粒子の平均粒径が0.5nm未満であるものは製造することが困難であり、又、以下のTEM像で確認することが困難である。一方、平均粒径が15nmを超えると、Pt粒が粗大となって触媒活性が向上せず、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が低減する。
なお、Ru及びPt金属微粒子の平均粒径は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)像から求めることができる。
【0012】
本発明の触媒においては、以下に示すようにPt金属微粒子がRu金属微粒子の殆ど表面に存在し、Ruの内部にPtが殆ど存在しないことが確認されている。通常のPtRu合金電極材料は、Ru内部にPtが取り込まれてしまうため、Ptのうち触媒として機能しない部分があるが、本発明においてはRuの表面上にPt粒子が分散して存在することで、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が増大する。
図1、図2は、シンクロトロン放射光(SPring-8)を利用した、後述する実施例の試料についてのXAFS(X線吸収微細構造;X-ray Absorption Fine Structure)スペクトルを示す。XAFSは、着目する元素のX線吸収エネルギー近傍のエネルギーを物質に照射し、吸収スペクトルから着目元素の近傍元素の情報を得るものである。
【0013】
図1は、Ptを着目元素とした場合のXAFSスペクトルを示す。この図において、着目するPt元素からの距離Rが約1.9×10-10mのピークP1は、Ptの第1近接元素(1NN:first nearest neighbor)がS(イオウ)である(以下、「Pt−S」のように1NNを表記する)ピークである。このSはチオール基に由来しており、図の矢印に示す方向に試料の熱処理温度が高くなるほど、チオールが蒸発してP1の高さも減少する。なお、距離Rは正確には着目原子からの距離ではなく、スペクトルのフーリエ(Fourier)変換で得られたパラメータである。例えば、Rが1.9×10-10mである場合、実際の距離は位相差を考慮すると2.2×10-10m程度になる。
P2はPt−Ruのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。つまり、熱処理温度が高くなるほど、Ruの凝集クラスターが大きくなることを示唆する。
P3はPt−Ptのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。しかしながら、P3の高さはP2の高さより低い。つまり、Ptの近傍にはRuがより多く存在することを示唆する。
つまり、図1から、PtはRuのクラスター上に分散して存在することが考えられる。
【0014】
図2は、Ruを着目元素とした場合のXAFSスペクトルを示す。この図において、P4はRu−Ruのピークを示し、熱処理温度が高くなるほどP2も高くなる。そして、Ru−Ptのピークは殆ど見られない。つまり、図2から、PtはRuのクラスター上に分散して存在することがより強く示唆される。
【0015】
又、本発明のPtRu系触媒においては、Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13である。上記した標準偏差はPt金属微粒子の大きさのばらつきを示し、標準偏差が大きくなると、粒子の大きさにばらつきが生じて粒子が凝集していることを示す。ここで、標準偏差を上記範囲に規定した理由は、標準偏差が7未満のものを製造するのは困難であるからである。又、標準偏差が13を超えると、Pt金属微粒子の大きさがばらつき、粒子に凝集が生じて触媒能が低下するとともに、Pt使用量の低減を図ることができなくなる。
【0016】
5)PtとRuの原子比
PtとRuの原子比は特に制限はないが、Pt/Ru=0.01〜5であることが好ましい。本発明においては、Pt金属微粒子がRu金属微粒子の表面に存在し、かつPt金属微粒子の大きさのばらつきが小さいため、触媒反応に有効に寄与するPtの割合が高くなるため、Pt/Ruの比が小さくても触媒活性を維持することができる。
Pt/Ru=0.01未満であると、Ptの触媒活性が低下する場合があり、Pt/Ru=5を超えると、Ptの使用量が多くなってコスト増となる場合がある。
【0017】
本実施形態に係るPtRu系触媒は、燃料電電池の触媒電極、キャパシター、二次電池の複合電極などに好適に使用できる。
【0018】
本実施形態に係るPtRu系触媒は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0019】
A)担体のチオール化
まず、担体表面にチオール基を修飾する。本発明者らの検討によれば、従来の液状還元法で担体にPtやRuを担持させた場合、担持の際にPtやRuが凝集してその粒子径が大きくなることが判明している。そこで、本発明者らは、担体にチオール基を分散させて修飾させ、チオール基にPtやRuを担持させることとした。これにより、担体上に分散したチオール基に選択的にPtやRuが析出するので、これら粒子の凝集を抑制し、粒子径を微細化することに成功した、この理由としては、チオール基がPtやRuの金属微粒子の表面に強く吸着され、金属微粒子の凝集が効果的に阻止されることが考えられる。
なお、Ru及びPtと相互作用する官能基であれば、チオール基以外の基を用いてもよい。このような官能基としては、アミド基、シアン基、カルボキシル基などが挙げられる。
【0020】
A−1)酸化処理
チオール化に先立ち、担体表面に酸化処理を施す。酸化処理は、次工程で担体表面をハロゲン化するための前処理である。酸化処理は、担体に酸処理を施すか、又は担体を含酸素雰囲気(例えば空気)中で加熱して行うことができる。
担体に酸処理を行う場合、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸等の有機酸;過マンガン酸カリウム、過酸化水素、クロム酸カリウム、二酸化鉛、酸化銅等の酸化剤;を単独で使用し又は2種以上を併用することができる。これらのうち、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸、及び過マンガン酸カリウムを用いることが好ましい。
酸処理の効率を高めると共に安全性を考慮し、酸処理の温度は、通常は好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜500℃とする。酸処理の時間は特に制限されないが、通常、2時間以内である。
含酸素雰囲気中で担体を加熱する際の温度は、担体の材質にもよるが、例えば担体が炭素である場合は、通常、好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜500℃とする。このように、担体を空気中で所定温度で、所定時間(通常、12時間以内)で加熱処理することにより、担体表面にカルボキシル基を導入することができる。
【0021】
A−2)ハロゲン化処理
ハロゲン化処理は、チオール化処理の前処理であり、ハロゲン化にはハロゲン化剤を用いることができる。
ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化アルミニウム、塩化水銀等が挙げられるがこれらに限定されない。そして、担体及びハロゲン化剤を適当な温度、時間で攪拌することによってハロゲン化処理を行うことができる。ハロゲン化処理の温度は、通常50〜100℃程度とすることができ、処理時間は特に限定されないが、通常、12時間以内であればよい。
【0022】
A−3)チオール化
ハロゲン化させた担体表面をチオール化することにより、チオール基を導入する。チオール化の方法は特に限定されないが、有機化学的方法、機械化学的方法を用いることができる。
有機化学的方法としては、担体とチオール化剤とを反応させる方法が挙げられる。この場合、チオール化剤として、アミノメタンチオール、アミノエタンチオール、アミノドデカンチオール等の炭素数1〜12のアミノアルカンチオール;メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトドデカノール等の炭素数1〜12のメルカプトアルコール;アミノチオフェノール、メルカプトフェノール等のベンゼン誘導体;等が挙げられるがこれらに限定されない。
担体とチオール化剤との反応は、例えば両者を接触させて行うことができ、反応効率の点から反応温度は50〜100℃であることが好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常、24時間以内であればよい。
【0023】
B)担体表面へのRu及びPtの担持
次に、チオール化した担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる。これは、金属前駆体を液状還元法で還元させる方法である。
Ru及びPtの前駆体としては、これらの金属の塩又は錯体を用いることができ、たとえば、塩化ルテニウム水溶液及び塩化白金水溶液が挙げられる。そして、これらの水溶液に担体を浸漬し、超音波を与えたり、攪拌することにより、担体と水溶液とを充分に接触させた後、還元剤を添加して前駆体を還元する。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤の量は、通常、上記Ru及びPtの前駆体の合計に対して過剰量(例えば、上記前駆体の合計1moL当り1.5〜10moL)となるように調整することが好ましい。
【0024】
以上のようにして、表面がチオール化した担体に、Ru及びPtの金属微粒子が担持される。これらの金属微粒子は凝集せず、担体上に微細に分散することができる。
なお、担体上に担持されるRu金属微粒子とPt金属微粒子との割合は、Ru前駆体及びPt前駆体の濃度割合を変化させて調整することができる。
Ru及びPtの担持量は、担体表面のチオール基の数、Ru及びPt前駆体の液濃度等によって異なるが、触媒活性を維持する点から、通常、担体の10〜60質量%程度とすることが好ましい。
【0025】
C)熱処理
次に、Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理することにより、担体表面のチオール基が除去されると共に、担体上に担持された隣接する金属微粒子同士が一体化し、所定の粒径となる。
熱処理はチオール基が分解する温度である200℃以上とする必要がある。熱処理を行うと、チオール基が除去され、Ru及びPtの金属原子が担体上に存在する。この状態で、まず融点の低いRuの金属微粒子が担体上を移動して凝集し、上記した所定の粒径となる。Pt金属微粒子は凝集せず、隣接するRuの移動に伴って移動する。Ruの凝集が完了すると、Pt金属微粒子は周囲をRuの凝集体で囲まれているために、他のPt金属微粒子と凝集することが難しく、チオール化した担体に担持された時の粒径をほぼ維持すると考えられる。
【0026】
従って、チオール化の時点で担持されるPtの量(原子比)を、Ruの量より少なくすることにより、熱処理によるPt金属微粒子の凝集を防止し、Ru表面にPtを分散させることができる。
熱処理温度は、200〜600℃の範囲とすることが好ましく、200℃以上300℃未満とすることがより好ましく、200〜250℃とすることが最も好ましい。熱処理温度が600℃を超えると、Ru及びPt金属微粒子が凝集して粗大化し、触媒活性が低下する場合がある。
熱処理時間は特に制限されないが、通常、1時間程度とすることができる。
非酸化雰囲気としては、例えば水素雰囲気が挙げられる。
【0027】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
1.担体のチオール化
直径10〜20nmの多層カーボンナノチューブ100mgを硫酸と硝酸の混合物(3:1)で70℃で1時間酸化処理した後、この多層カーボンナノチューブに塩化チオニル25mLを加えて70℃で12時間攪拌することにより、多層カーボンナノチューブの表面を塩素化させた。
次に、塩素化された多層カーボンナノチューブとアミノエタンチオールとを70℃で24時間反応させることによって多層カーボンナノチューブの表面をチオール化させ、表面にチオール基が導入された炭素担体を得た。
2.Ru及びPtの担持
チオール化した担体に、3.125mmol/Lの塩化ルテニウム水溶液5mLと、3.054mmol/Lの塩化白金酸水溶液5mLとを加え、1時間超音波を与えた後、RuとPtの合計量に対し過剰量となるよう、100mmol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えてRuとPtを還元させ、担体表面にRu及びPt金属微粒子を担持させた。
【0029】
3.熱処理
Ru及びPtを担持した担体を、水素雰囲気下で200℃〜600℃の範囲の所定温度で1時間熱処理し、触媒を得た。
【0030】
4.評価
得られた触媒のTEM像を図3〜図8に示す。各図において、CNTの担体10の表面にRu粒2が析出しているのがわかる(例えば,図6の符号参照)。但し、このTEM像では倍率が低いため、Pt粒子を確認することはできない。
図9〜図13は、それぞれ図4〜図8に対応した試料のPt微粒子の平均粒径分布を示す。Pt微粒子の平均粒径は、高倍率のTEM像から個々のPt微粒子の最大径を目視判定した値を採用した。
図9〜図13の粒径分布をもとに、各試料におけるPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差を求めた。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかなように、各試料のPt金属微粒子の平均粒径の標準偏差は7〜13の範囲内にあり、Pt金属微粒子の大きさのばらつきを低減できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るPtRu系触媒の金属微粒子のXAFSスペクトルを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るPtRu系触媒の金属微粒子のXAFSスペクトルを示す別の図である。
【図3】チオール化後の熱処理を行わなかった場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図4】チオール化後の熱処理を523Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図5】チオール化後の熱処理を573Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図6】チオール化後の熱処理を673Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図7】チオール化後の熱処理を773Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図8】チオール化後の熱処理を873Kとした場合の本発明の実施形態に係るPtRu系触媒のTEM像を示す図である。
【図9】図4に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図10】図5に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図11】図6に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図12】図7に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【図13】図8に示すPtRu系触媒のPt微粒子の平均粒径分布を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2 Ru金属微粒子
10 担体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13であるPtRu系触媒。
【請求項2】
表面にチオール基を有する担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、前記Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、前記担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる工程と、
前記Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理する工程とを有するPtRu系触媒の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の温度を300℃未満とする請求項2記載のPtRu系触媒の製造方法。
【請求項1】
担体表面にRu金属微粒子が分散し、該Ru金属微粒子の表面に平均粒径0.5〜15nmのPt金属微粒子が分散し、かつ前記Pt金属微粒子の平均粒径の標準偏差が7〜13であるPtRu系触媒。
【請求項2】
表面にチオール基を有する担体と、Ru前駆体と、Pt前駆体とを共存させた状態で、前記Ru前駆体及びPt前駆体を還元させ、前記担体表面にRu金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させる工程と、
前記Ru金属微粒子とPt金属微粒子とを担持させた担体を、非酸化雰囲気で熱処理する工程とを有するPtRu系触媒の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の温度を300℃未満とする請求項2記載のPtRu系触媒の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−190454(P2007−190454A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8712(P2006−8712)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】
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