説明

メタボリックシンドローム診断装置、メタボリックシンドローム診断プログラム、体組成計、及び血圧計

【課題】メタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる装置等を提供する。
【解決手段】被検者の性別、ウエスト周囲長、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、及び中性脂肪値を入力するための入力手段と、少なくともウエスト周囲長条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する手段とを備える。ウエスト周囲長条件は、被検者が男性である場合にはウエスト周囲長が85cm以上、女性である場合にはウエスト周囲長が90cm以上であることである。血液データ条件は、条件A:収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上、条件B:空腹時血糖値が110mg/dl以上、条件C:中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又はHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることのうちの2以上が満たされることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタボリックシンドローム診断装置、メタボリックシンドローム診断プログラム、体組成計、及び血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの動脈硬化危険因子が同一患者に重複して存在する病態を言う。平成17年4月8日に日本内科学会総会において、日本人のためのメタボリックシンドロームの診断基準(該当するか否かの判定基準)が発表された。この診断基準では、メタボリックシンドロームの指標として、ウエスト周囲径、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、中性脂肪値、及びHDLコレステロール値が用いられている。ウエスト周囲径は、ウエストの周囲長のことである。「ウエスト周囲径」という表現では、「ウエスト周囲の直径」と誤解されかねないので、以下ではこれをウエスト周囲長と呼ぶ。
【0003】
ところで、厚生労働省の発表では、1960万人がメタボリックシンドロームに該当し、動脈硬化症を発症する危険があると言われている。
【0004】
一方、メタボリックシンドロームの診断装置(正確には診断プログラム)は、特許文献1に記載されたものが知られている程度である。
【0005】
この診断装置においては、インスリン抵抗指数とβ細胞機能指数から糖代謝の状態を判断することによってメタボリックシンドロームに該当するか否か診断する。
【特許文献1】特開2006−64457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の診断装置は、メタボリックシンドロームの指標として、インスリン抵抗指数及びβ細胞機能指数を用いるため、その診断方法が、日本内科学会総会が発表したメタボリックシンドロームの診断基準に合致しない。
【0007】
そこで、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる装置が要望されている。
【0008】
また、日本内科学会総会発表の診断基準ではメタボリックシンドロームの指標としてウエスト周囲長が用いられているが、これは内臓脂肪面積に代わるものとして用いられたものである。ここで、内臓脂肪面積は内臓脂肪断面積のことである。「内臓脂肪面積」という表現では、内臓脂肪の断面積であることが明確ではないので、以下では内臓脂肪断面積と呼ぶ。このように、ウエスト周囲長が用いられた理由は、内臓脂肪断面積はメタボリックシンドロームに直結する指標であることから、本来はこれを用いることが好ましいが、内蔵脂肪断面積は簡便に測定できないからである。このように、本来好適な内臓脂肪断面積に代えてウエスト周囲長を用いていることから、本来メタボリックシンドロームに該当する人が見逃されているのが現状であり、厚生労働省の発表によれば、そのような人が男性では26%存在すると言われている。
【0009】
そこで、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によって、メタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる装置が要望されている。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できるメタボリックシンドローム診断装置等を提供することを第1の目的とする。
【0011】
また、本発明は、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できるメタボリックシンドローム診断装置等を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のメタボリックシンドローム診断装置は、被検者の性別、内臓脂肪蓄積に関する情報、高血圧に関する情報、インスリン抵抗性に関する情報、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報を入力するための入力手段と、少なくとも内臓脂肪蓄積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記内臓脂肪蓄積条件は、入力された情報から内臓脂肪が蓄積されていると診断されることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、入力された情報から高血圧であると診断されることであり、前記条件Bは、入力された情報からインスリン抵抗性であると診断されることであり、かつ、前記条件Cは、入力された情報から動脈硬化惹起性リポ蛋白異常であると診断されることである。このメタボリックシンドロームの診断基準は、日本内科学会総会発表の診断基準を上位概念化したものである。公的な診断基準は病態の評価項目に追加や削除等が有り得るので、このように上位概念化した構成とすることにより、病態の評価項目に追加や削除等が有っても、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる。
【0013】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、被検者の性別、前記内臓脂肪蓄積に関する情報としてのウエスト周囲長、前記高血圧に関する情報としての収縮期血圧及び拡張期血圧、前記インスリン抵抗性に関する情報としての空腹時血糖値、前記動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報としての中性脂肪値及びHDLコレステロール値を入力するための入力手段と、少なくとも前記内臓脂肪蓄積条件としてのウエスト周囲長条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記ウエスト周囲長条件は、前記被検者の入力されたウエスト周囲長が基準値以上であることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が基準値以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が基準値以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が基準値以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が基準値以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が基準値未満であることであってもよい。このメタボリックシンドロームの診断基準は、日本内科学会総会発表の診断基準を基準値において上位概念化したものである。公的な診断基準は病態の評価項目における基準値が変更され得るので、このように基準値において上位概念化した構成とすることにより、病態の評価項目の基準値が変更されても、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる。
【0014】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、被検者の性別、ウエスト周囲長、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、及び中性脂肪値を入力するための入力手段と、少なくともウ前記エスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記ウエスト周囲長条件は、前記被検者が男性である場合には前記入力されたウエスト周囲長が85cm以上であり、かつ、前記被検者が女性である場合には前記入力されたウエスト周囲長が90cm以上であることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が85mmHg以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることであってもよい。このメタボリックシンドロームの診断基準は、現行の日本内科学会総会発表の診断基準である。このような構成とすると、現行の日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる。
【0015】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当しないと判定してもよい。
【0016】
前記入力手段は、さらに被検者の前記内臓脂肪蓄積に関する情報としての内臓脂肪断面積を入力するためのものであり、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件及び前記血液データ条件の他に、前記入力された内臓脂肪断面積が基準値以上であることという内臓脂肪断面積条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は疑似メタボリックシンドロームに該当するか否か判定してもよい。
【0017】
前記内臓脂肪断面積の基準値が100cm以上であってもよい。
【0018】
前記入力手段は、さらに被検者の内臓脂肪断面積を入力するためのものであり、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件及び前記血液データ条件の他に、前記入力された内臓脂肪断面積が100cm2以上であることという内臓脂肪断面積条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は疑似メタボリックシンドロームに該当するか否か判定してもよい。
【0019】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされず及び又は前記ウエスト周囲長条件と前記内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しないと判定してもよい。
【0020】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0021】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記内臓脂肪断面積条件との双方が満たされずかつ前記血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0022】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件及び前記血液データ条件の他に、前記ウエスト周囲長条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和血液データ条件との少なくとも一方の緩和条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当するか否か判定してよい。
【0023】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と、前記緩和ウエスト周囲長条件とを用い、かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0024】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記緩和血液データ条件とを用い、かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされずかつ前記ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0025】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記緩和ウエスト周囲長と前記緩和血液データ条件とを用い、かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされずかつ前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0026】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件の他に、前記ウエスト周囲長条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和内臓脂肪断面積条件との少なくともいずかの緩和条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は疑似メタボリックシンドローム及び又は第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当するか否か判定してもよい。
【0027】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件と前記緩和ウエスト周囲長と前記緩和血液データ条件と前記緩和内臓脂肪断面積条件とを用い、かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされず及び又は前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との双方が満たされず、かつ、前記緩和ウエスト周囲長条件及び又は前記緩和内臓脂肪断面積条件が満たされかつ前記緩和血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和血液データ条件が満たされず及び又は前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定してもよい。
【0028】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、前記被検者の生体インピーダンスを測定するための生体インピーダンス測定手段と、前記測定された生体インピーダンスに基づいて前記被検者のウエスト周囲長を推定するウエスト周囲長推定手段と、を備え、前記判定手段は、前記推定されたウエスト周囲長を前記入力されたウエスト周囲長として前記判定に用い、前記生体インピーダンス測定手段及び前記ウエスト周囲長推定手段が前記入力手段の一部を構成していてもよい。
【0029】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、前記被検者の生体インピーダンスを測定するための生体インピーダンス測定手段と、前記測定された生体インピーダンスと前記入力されたウエスト周囲長とに基づいて前記被検者の内臓脂肪断面積を推定する内臓脂肪断面積推定手段と、を備え、前記判定手段は、前記推定された内臓脂肪断面積を前記入力された内臓脂肪断面積として前記判定に用い、前記生体インピーダンス測定手段及び前記内臓脂肪断面積推定手段が前記入力手段の一部を構成していてもよい。
【0030】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、前記判定手段による前記判定の結果を表示するための表示手段を備えてもよい。
【0031】
前記メタボリックシンドローム診断装置は、被検者の性別、前記内臓脂肪蓄積に関する情報としての内臓脂肪断面積、前記高血圧に関する情報としての収縮期血圧及び拡張期血圧、前記インスリン抵抗性に関する情報としての空腹時血糖値、前記動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報としての中性脂肪値及びHDLコレステロール値を入力するための入力手段と、少なくとも前記内臓脂肪蓄積条件としての内臓脂肪断面積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記内臓脂肪断面積条件は、前記被検者の入力された内臓脂肪断面積が基準値以上であることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が基準値以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が基準値以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が基準値以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が基準値以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が基準値未満であることであってもよい。このメタボリックシンドロームの診断基準は、日本内科学会総会発表の診断基準を基準値において上位概念化したものである。また、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いるものである。よって、このような構成とすると、病態の評価項目の基準値が変更されても、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる
前記内臓脂肪断面積条件は、前記入力された内臓脂肪断面積が100cm以上であることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が85mmHg以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることであってもよい。このような構成とすると、現行の日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる
また、本発明のメタボリックシンドローム診断プログラムは、コンピュータを、被検者の性別、内臓脂肪蓄積に関する情報、高血圧に関する情報、インスリン抵抗性に関する情報、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報を入力するための入力手段と、少なくとも内臓脂肪蓄積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記内臓脂肪蓄積条件は、入力された結果から内臓脂肪が蓄積されていると診断されることであり、前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、入力された結果から高血圧であると診断されることであり、前記条件Bは、入力された結果からインスリン抵抗性であると診断されることであり、かつ、前記条件Cは、入力された結果から動脈硬化惹起性リポ蛋白異常であると診断されることである。このような構成とすると、病態の評価項目に追加や削除等が有っても、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できる。
【0032】
また、本発明の体組成計は、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置を備える。
【0033】
前記体組成計は、被検者の体組成を演算するために必要な被検者のウエスト周囲長を含むデータを入力するための体組成計データ入力手段を有し、前記メタボリックシンドローム診断装置の前記判定手段は、前記体組成計データ入力手段によって入力されたウエスト周囲長を、前記メタボリックシンドロームに該当するか否かの判定に用いてもよい。
【0034】
また、本発明の血圧計は、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置を備える。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、以上に説明したように構成され、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できるメタボリックシンドローム診断装置等を提供できる。
【0036】
また、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを簡便に診断できるメタボリックシンドローム診断装置等を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るメタボリックシンドローム診断装置の構成を示す正面図である。図2は図1のメタボリックシンドローム診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態に係るメタボリックシンドローム診断装置1は、いわゆるカード型の本体2を有している。本体2の正面中央部には表示部3が配設され、表示部3の下方に操作部15が配設されている。
【0040】
表示部3には、メタボリックシンドローム判定表示領域10と、入力データ表示領域12とが設けられている。
【0041】
操作部15は、電源スイッチ6と、診断モードスイッチ7と、データ入力設定モードスイッチ8と、インクリメントキー9aと、ディクリメントキー9bとを備えている。
【0042】
図2に示すように、メタボリックシンドローム診断装置1は、CPU等の演算処理装置からなる中央処理部19を有している。中央処理部19は、バスを介してメモリ等からなる記憶部20に接続されている。記憶部20には、後述するメタボリックシンドローム診断装置1の動作を遂行するためのプログラムが記憶されかつ後述する判定条件が満たされるか否かの基準となる基準データ値(以下、基準値という)が記憶されている。操作部15の操作入力はI/O17を介して中央処理部19に入力される。表示部3は、中央処理部19によってI/O17を介して表示を制御される。
【0043】
以上の構成により、メタボリックシンドローム診断装置1では、被検者が、操作部15を適宜操作して、被検者の性別、ウエスト周囲長、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、及び中性脂肪値を入力することができ、この操作入力は中央処理部19に入力される。ここで、被検者の性別及びウエスト周囲長はいわゆる個人特定データである。ウエスト周囲長は、別途、被検者についてなされた身体測定によって得られたデータである。収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、及び中性脂肪値は、別途、被検者についてなされた血液検査によって得られた血液測定データである。空腹時血糖値は、被検者の空腹時における血糖値である。中央処理部19に入力された個人特定データ及び血液測定データ(以下、入力データという場合がある)は、適宜、記憶部20に記憶される。中央処理部19は、この入力データ、すなわち入力された被検者の性別、ウエスト周囲長、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、及び中性脂肪値を後述する基準値と対比して判定条件が満たされるか否かによって被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定し、その判定結果を、表示部3に表示する。
【0044】
次に、以上のように構成されたメタボリックシンドローム診断装置1の動作(メタボリックシンドローム診断プログラムの内容)を説明する。図3は図1のメタボリックシンドローム診断装置1における判定条件を示す図である。図4は図1のメタボリックシンドローム診断装置1の診断動作の一例を示すフローチャートである。図5は図1のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【0045】
ここでは、メタボリックシンドローム診断装置1の動作のうち、診断動作のみ図4を用いて説明し、それ以外の動作は図を用いずに説明する。
【0046】
図1及び図2において、記憶部20には、予め、男性のウエスト周囲長=85cm、女性のウエスト周囲長=90cm、収縮期血圧=130mmHg、拡張期血圧=85mmHg、空腹時血糖値=110mg/dl、中性脂肪値=150mg/dl、及びHDLコレステロール値=40mg/dlという基準値(図3参照)が記憶されている。
【0047】
そして、まず、メタボリックシンドロームの診断に必要なデータの入力設定を行う。具体的には、電源スイッチ6を押すとメタボリックシンドローム診断装置1の電源がONする。
【0048】
次いで、デー夕入力設定モードスイッチ8、インクリメントキー9a、及びディクリメントキー9bを操作して被検者の個人特定データと、血液測定データとを順次入力する(ステップS2)。具体的には、例えば、デー夕入力設定モードスイッチ8を押すと、その度に、表示部3の入力データ表示領域12に、個人特定データの各項目(性別、ウエスト周囲長)と血液測定データの各項目(収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、中性脂肪値)とが順次表示される。この操作によって入力項目として、例えば「中性脂肪値」を表示させる。すると、この「中性脂肪値」の文字及びその単位を表す文字とともにこの「中性脂肪値」を表す数値が入力データ表示領域12に表示される。一方、インクリメントキー9aを押すと、その度に、入力データ表示領域12に表示されている数値が増大し、ディクリメントキー9bを押すと、その度に、この数値が減少する。そこで、この操作により、入力データ表示領域12に表示されている数値を所望の数値に設定する。次いで、デー夕入力設定モードスイッチ8を押すと、この「中性脂肪値」の項目と数値とが中央処理部19に入力されるとともに記憶部20に記憶される。そして、入力データ表示領域12に次の項目とその数値が表示されるので、前記の場合と同様の操作によりこの項目とその数値を入力する。このようにして、これらの操作を個人特定データ及び血液測定データの各項目について行うことにより、それらが中央処理部19に入力されるとともに記憶部20に記憶される。
【0049】
次いで、メタボリックシンドローム診断を行う。具体的には、診断モードスイッチ7を押す。すると、図4に示すように、中央処理部19がメタボリックシンドローム診断動作を行う。
【0050】
まず、中央処理部19は、記憶部20に記憶された入力データ、すなわち、個人特定データの各項目(性別、ウエスト周囲長)と血液測定データの各項目(収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、中性脂肪値)とを取得する(ステップS1)。
【0051】
次いで、中央処理部19は、記憶部20に記憶された上述の基準値を取得する(ステップS2)。
【0052】
次いで、中央処理部19は、取得した入力データを取得した基準値と対比して、判定条件が満たされるか否か判定する(ステップS3)。判定条件は、本実施の形態では、日本内科学会総会発表の診断基準における判定条件と同じである。具体的には、この判定条件は、図3に示すように、ウエスト周囲長条件と血液データ条件とで構成されている。ウエスト周囲長条件は、被検者が男性である場合には入力されたウエスト周囲長が85cm以上であり、かつ、被検者が女性である場合には入力されたウエスト周囲長が90cm以上であることである。血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、この条件Aは、入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は入力された拡張期血圧が85mmHg以上であることであり、この条件Bは、入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であることであり、かつ、この条件Cは、入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることである。ところで、日本内科学会総会発表の診断基準においては、メタボリックシンドロームは、「内臓脂肪蓄積」、「高血圧」、インスリン抵抗性」、及び「動脈硬化惹起性リポ蛋白異常」の4つが基本病態とされ、これらは、「ウエスト周囲長」、「収縮期血圧」、「拡張期血圧」、「空腹時血糖値」、「中性脂肪」、及び「HDLコレステロール」をもって評価し、これを客観的に評価するためにそれぞれ基準値が定められている。そして、将来、これらの評価項目は追加又は削除され得、また、基準値は変更され得る。そのような場合には、その評価項目の追加又は削除、及び基準値の変更に合わせて、上述の判定条件を変更すればよい。そのような変更を考慮して、上述の判定条件を上位概念化すると以下のようになる。すなわち、判定には、被検者の性別、内臓脂肪蓄積に関する情報、高血圧に関する情報、インスリン抵抗性に関する情報、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報を用いる。そして、内臓脂肪蓄積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する。この内臓脂肪蓄積条件は、入力された情報から内臓脂肪が蓄積されていると診断されることであり、この血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、この条件Aは、入力された情報から高血圧であると診断されることであり、この条件Bは、入力された情報からインスリン抵抗性であると診断されることであり、かつ、この条件Cは、入力された情報から動脈硬化惹起性リポ蛋白異常であると診断されることである。
【0053】
そして、判定条件(ウエスト周囲長条件及び血液データ条件)が満たされる場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS4)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドロームに該当する」と表示する。
【0054】
一方、判定条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドロームに該当しないと判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS5)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドロームに該当しない」と表示する。
【0055】
本実施形態における診断基準を明確にするため、これを、図5の円グラフを用いて説明する。図5において、符号101はウエスト周囲長条件充足領域を示す。符号102は血液データ条件充足領域を示す。符号103はメタボリックシンドローム該当領域を示す。図5から明らかなように、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件の双方が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)に、被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件と血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドロームに該当しないと判定される。
【0056】
かくして、メタボリックシンドローム診断動作が終了する。
【0057】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを自動的に診断することができる。しかも、この診断に必要とされるデータは、被検者が簡単な身体測定(ウエスト周囲長測定)を自ら行い、かつ血液検査を受けることによって得られる。そして、そのようにして得られたデータをメタボリックシンドローム診断装置に入力するだけで診断結果が得られる。従って、被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かの診断を簡便に行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2に係るメタボリックシンドローム診断装置の構成を示す外観図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。図7は図6のメタボリックシンドローム診断装置の電気的構成を示すブロック図である。図6及び図7において図1及び図2と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1は、被検者の生体インピーダンスを測定可能とし、その測定値から被検者のウエスト周囲長を推定し、この推定値を、予め測定された被検者のウエスト周囲長に代えて、メタボリックシンドローム診断に用いるように構成されている。その他の点は実施の形態1と同様である。
【0060】
具体的には、図6に示すように、本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1においては、本体2の上面及び下面に生体イーピーダンス測定用の2対の電極(5a,4b),(5a,5b)が配設されている。各対の電極(4a,4b),(5a,5b)は、本体2の上面及び下面の上下方向において対応する箇所にそれぞれ配設され、電極4aと電極5aとの間、電極4bと電極5bとの間のインピーダンスがそれぞれ測定可能なように構成されている。また、診断モードスイッチ7は、これを押すと、まず、生体インピーダンスが測定可能となり、その後、メタボリックシンドロームの診断が自動的に行われるように構成されている。
【0061】
図7に示すように、この生体インピーダンス測定用の2対の電極(4a,4b),(5a,5b)はインピーダンス測定回路16に接続され、このインピーダンス測定回路16の出力がI/O17を介して中央処部19に入力される。記憶部20には、下記(1)式に示すウエスト周囲長の推定演算式が予め記憶されており、中央処理部19は、この推定演算式に測定した生体インピーダンスを代入して推定ウエスト周囲長を算出する。
【0062】
推定W=a1×Z+d1・・・(1)
(1)式において、W=はウエスト周囲長であり、Zは被検者について測定した生体インピーダンスである。また、a1は、任意の母集団についての生体インピーダンスの測定値とウエスト周囲長のデータとに基づいて、回帰分析等の統計的手法により決定される回帰係数であり、d1は上記回帰分析により決定される回帰定数である。このウエスト周囲長の推定演算式は周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0063】
次に、このように構成された本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の動作を説明する。
【0064】
図6において、電源スイッチ6を押してメタボリックシンドローム診断装置1の電源をONさせた後、デー夕入力設定モードスイッチ8を押す。ここまでは、実施の形態1と同じである。しかし、本実施の形態では、デー夕入力設定モードスイッチ8を操作しても、個人特定データとして、「ウエスト周囲長」が表示されない。つまり、被検者のウエスト周囲長をこの操作によっては入力できないようになっている。これ以外は実施の形態1と同様である。
【0065】
その後、診断モードスイッチ7を押すと、生体インピーダンスの測定が開始される。
【0066】
次いで、左右の手の指を2対の電極(4a,4b),(5a,5b)にそれぞれ接触させると、左右の手の指間の生体インピーダンスが測定され、中央処理部19に入力されるとともに記憶部20に記憶される。
【0067】
次いで、中央処理部19は、(1)式に示すウエスト周囲長の推定演算式に、記憶部20に記憶された生体インピーダンスの測定値を代入して推定ウエスト周囲長Wを算出し、これを記憶部20に記憶させる。これにより、推定ウエスト周囲長Wが、生体イーピーダンス測定用の2対の電極(5a,4b),(5a,5b)を通じて、メタボリックシンドローム診断装置1に入力されたことになる。
【0068】
その後、中央処理部19は、実施の形態1の入力されたウエスト周囲長に代えて、推定ウエスト周囲長Wを用いてメタボリックシンドローム診断を行う。
【0069】
このような本実施の形態によれば、被検者は、ウエスト周囲長を測定して入力する必要がなくなるので、メタボリックシンドロームの診断をより簡便に行うことができる。
【0070】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、メタボリックシンドロームの指標としてさらに内臓脂肪断面積をも用いてメタボリックシンドロームの診断を行うものである。
【0071】
本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1と図1及び図2に示す実施の形態1のメタボリックシンドローム診断装置1とは、ハードウエアの構成は同じであるが、動作が異なる。以下、この相違点を説明する。
【0072】
図1及び図2において、本実施の形態では、メタボリックシンドローム診断装置1に個人特定データとして内臓脂肪断面積が入力でき、かつ記憶部20に記憶されるようになっている。すなわち、デー夕入力設定モードスイッチ8を操作すると、「内臓脂肪断面積」が表示される。この内臓脂肪断面積は、例えば、被検者についての腹部横断面のCTスキャンによって測定されたデータである。また、記憶部20には、予め、男性のウエスト周囲長=85cm、女性のウエスト周囲長=90cm、収縮期血圧=130mmHg、拡張期血圧=85mmHg、空腹時血糖値=110mg/dl、中性脂肪値=150mg/dl、及びHDLコレステロール値=40mg/dlという実施の形態1の基準値の他、内臓脂肪断面積=100cmという基準値(図8参照)が記憶されている。
【0073】
中央処理部19は、この内臓脂肪断面積を用いてメタボリックシンドロームの診断を行う。
【0074】
図8は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における判定条件を示す図である。図9は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の診断動作の一例を示すフローチャートである。図10は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【0075】
具体的には、図8に示すように、本実施の形態では、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件の他に、追加の判定条件として、内臓脂肪断面積が100cm以上であることという内臓脂肪断面積条件が用いられる。
【0076】
図9において、中央処理部19は、まず、記憶部20に記憶された入力データ、すなわち、個人特定データの各項目(性別、ウエスト周囲長、内臓脂肪断面積)と血液測定データの各項目(収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HDLコレステロール値、中性脂肪値)とを取得する(ステップS11)。
【0077】
次いで、中央処理部19は、記憶部20に記憶された上述の基準値を取得する(ステップS12)。
【0078】
次いで、中央処理部19は、取得した入力データを取得した基準値と対比して、血液データ条件が満たされるか否か判定する(ステップS13)。
【0079】
そして、血液データ条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しないと判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS17)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しない」と表示する。
【0080】
一方、血液データ条件が満たされる場合には、中央処理部19は、ウエスト周囲長条件が満たされるか否か判定する(ステップS14)。ウエスト周囲長条件が満たされる場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS15)。
【0081】
一方、ウエスト周囲長条件が満たされない場合には、中央処理部19は、内臓脂肪断面積条件が満たされるか否か判定する(ステップS16)。
【0082】
内臓脂肪断面積条件が満たされる場合には、中央処理部19は、被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS17)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「疑似メタボリックシンドロームに該当する」と表示する。
【0083】
一方、内臓脂肪断面積条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しないと判定し、上述のようの表示部3にその旨を表示する(ステップS18)。
【0084】
かくして、メタボリックシンドローム診断動作が終了する。
【0085】
次に、以上のメタボリックシンドローム診断動作を整理して、本実施形態における診断基準を図10の円グラフを用いて説明する。図10において、図5と同一符号は同一又は相当する領域を示す。符号104は内臓脂肪断面積条件充足領域を示し、符号105は疑似メタボリックシンドローム該当領域を示す。図10から明らかなように、本実施の形態では、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件の双方が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、内臓脂肪断面積条件と血液データ条件とが満たされる場合(符号105で示す領域に含まれる場合)には、被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定される。そして、血液データ条件が満たされず及び又はウエスト周囲長条件と内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しないと判定される。
【0086】
従って、この診断基準においては、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドロームに該当するか否かを診断していることになる。但し、この診断基準による場合は、メタボリックシンドロームを疑似メタボリックシンドロームと称している。また、この診断は、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当しない場合に行われる。
【0087】
このような本実施の形態によれば、日本内科学会総会発表の診断基準によってメタボリックシンドロームに該当しない場合でも、日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドローム(疑似メタボリックシンドローム)に該当するか否かを自動的に診断することができる。従って、本来メタボリックシンドロームに該当する人を見逃すことなく、被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かの診断を簡便に行うことができる。
【0088】
(実施の形態4)
本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1は、被検者の生体インピーダンスを測定可能とし、その測定値から被検者の内臓脂肪断面積を推定し、この推定値を、予め測定された被検者の内臓脂肪断面積に代えて、メタボリックシンドローム診断に用いるように構成されている。その他の点は実施の形態3と同様である。
【0089】
具体的には、図6及び図7に示すように、本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1においては、実施の形態2と同様に、生体イーピーダンスが測定できるように構成されている。また、診断モードスイッチ7は、これを押すと、まず、生体インピーダンスが測定可能となり、その後、メタボリックシンドロームの診断が自動的に行われるように構成されている。そして、記憶部20には、(1)式に示すウエスト周囲長の推定演算式に代えて、下記(2)式に示す内蔵脂肪断面積の推定演算式が予め記憶されており、中央処理部19は、この推定演算式に測定した生体インピーダンスを代入して推定内臓脂肪断面積を算出する。
【0090】
推定VFA=a2×Z+b1×W+d2・・・(2)
(2)式において、VFAは内臓脂肪断面積であり、W=はウエスト周囲長であり、Zは被検者について測定した生体インピーダンスである。また、a2及びb1は、任意の母集団についての生体インピーダンス及びウエスト周囲長の測定値と腹部横断面のCT検査による内臓脂肪断面積のデータとに基づいて、回帰分析等の統計的手法により決定される回帰係数であり、d2は上記回帰分析により決定される回帰定数である。この内臓脂肪断面積の推定演算式は周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0091】
次に、このように構成された本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の動作を説明する。
【0092】
図6において、電源スイッチ6を押してメタボリックシンドローム診断装置1の電源をONさせた後、デー夕入力設定モードスイッチ8を押す。しかし、本実施の形態では、デー夕入力設定モードスイッチ8を操作しても、個人特定データとして、「内臓脂肪断面積」が表示されない。つまり、被検者の内臓脂肪断面積をこの操作によっては入力できないようになっている。これ以外は実施の形態3と同様である。
【0093】
その後、診断モードスイッチ7を押すと、生体インピーダンスの測定が開始される。
【0094】
次いで、左右の手の指を2対の電極(4a,4b),(5a,5b)にそれぞれ接触させると、左右の手の指間の生体インピーダンスが測定され、中央処理部19に入力されるとともに記憶部20に記憶される。
【0095】
次いで、中央処理部19は、(2)式の推定演算式に、記憶部20に記憶された生体インピーダンスの測定値を代入して推定内臓脂肪断面積VFAを算出し、これを記憶部20に記憶させる。これにより、推定内臓脂肪断面積VFAが、生体イーピーダンス測定用の2対の電極(4a,4b),(5a,5b)を通じて、メタボリックシンドローム診断装置1に入力されたことになる。
【0096】
その後、中央処理部19は、実施の形態3の入力された内臓脂肪断面積に代えて、推定内臓脂肪断面積VFAを用いてメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームの診断を行う。
【0097】
このような本実施の形態によれば、被検者は、内臓脂肪断面積を測定して入力する必要がなくなるので、メタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームの診断をより簡便に行うことができる。
【0098】
[変形例1]
次に、本実施の形態の変形例1を説明する。なお、本明細書では、変形例には、全ての実施の形態と通じて連続する番号を付す。
【0099】
本変形例のメタボリックシンドローム診断装置1では、記憶部20に、さらに、(1)式に示すウエスト周囲長の推定演算式が記憶されている。そして、被検者のウエスト周囲長がデー夕入力設定モードスイッチ8を操作して入力できないように構成されている。そして、中央処理部19は、生体インピーダンスの測定値を(1)式に示すウエスト周囲長の推定演算式に代入して推定ウエスト周囲長Wを算出する。そして、入力されたウエスト周囲長に代えて、この推定ウエスト周囲長Wを用いて(すなわち、推定ウエスト周囲長W及び推定内臓脂肪断面積VFAを用いて)メタボリックシンドロームの診断を行う。
【0100】
このような本変形例によれば、被検者は、内臓脂肪断面積に加えてウエスト周囲長をも測定して入力する必要がなくなるので、メタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームの診断をさらに簡便に行うことができる。
【0101】
(実施の形態5)
実施の形態1において、メタボリックシンドロームに該当しないと診断(判定)された場合でも、入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は入力された拡張期血圧が85mmHg以上であること(条件A)、入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であること(条件B)、及び入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であること(条件C)のうちの2以上の条件が満たされる場合は、それも問題であると考えられる(第40回日本生活習慣病学会において大阪大学船橋氏)。そこで、本発明の実施の形態5では、メタボリックシンドロームに該当しない場合に、さらにメタボリックシンドローム予備軍に該当するか否かの診断を行うものである。
【0102】
本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1と図1及び図2に示す実施の形態1のメタボリックシンドローム診断装置1とは、ハードウエアの構成は同じであるが、動作が異なる。以下、この相違点を説明する。
【0103】
図11は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の診断動作の一例を示すフローチャートである。
【0104】
図11に示すように、本実施形態では、メタボリックシンドローム診断動作のステップS1〜S2は、実施の形態1と同じである。
【0105】
ステップS2の後、中央処理部19は、取得した入力データを取得した基準値と対比して、血液データ条件が満たされるか否か判定する(ステップS20)。
【0106】
そして、血液データ条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び第1メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS23)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しない」と表示する。
【0107】
一方、血液データ条件が満たされる場合には、中央処理部19は、ウエスト周囲長条件が満たされるか否か判定する(ステップS21)。ウエスト周囲長条件が満たされる場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS4)。
【0108】
一方、ウエスト周囲長条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS17)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当する」と表示する。
【0109】
かくして、メタボリックシンドローム診断動作が終了する。
【0110】
ここで、以上のメタボリックシンドローム診断動作を整理して、本実施形態における診断基準を図12の円グラフを用いて説明する。図12は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。図12において、図5と同一符号は同一又は相当する領域を示す。符号106は第1種メタボリックシンドローム予備軍該当領域を示す。図12から明らかなように、本実施の形態では、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件の双方が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件が満たされずかつ血液データ条件が満たされる場合(符号106で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、血液データ条件が満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。
【0111】
従って、この診断基準においては、日本内科学会総会発表の診断基準におけるウエスト周囲長条件を満たさないが、血液データ条件を満たす場合を第1メタボリックシンドローム予備軍と位置付けて、これに該当するか否かをさらに診断している。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、日本内科学会総会発表の診断基準によるメタボリックシンドロームには該当しないが、メタボリックシンドローム予備軍に該当することを診断することができる。従って、メタボリックシンドロームに至らないよう今後の注意を促すことができる。
【0113】
[変形例2]
次に、本実施の形態の変形例2を説明する。本変形例では、実施の形態3において、上記と同様に、第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当するか否かを診断する。具体的には、図9のフローチャートにおいて、ステップS13で血液データ条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定及び表示し、ステップS16で内臓脂肪断面積条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定及び表示する。
【0114】
図13は本実施の形態の変形例のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。図13の円グラフから明らかなように、本変形例では、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件の双方が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件が満たされずかつ内臓脂肪断面積条件と血液データ条件とが満たされる場合(符号105で示す領域に含まれる場合)には、被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定される。そして、ウエスト周囲長条件と内臓脂肪断面積条件との双方が満たされずかつ血液データ条件が満たされる場合(符号106で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、血液データ条件が満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。
【0115】
これにより、日本内科学会総会発表の診断基準及び日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドローム(疑似メタボリックシンドローム)には該当しないが、メタボリックシンドローム予備軍に該当することを診断することができる。従って、より的確に、メタボリックシンドロームに至らないよう今後の注意を促すことができる。
【0116】
(実施の形態6)
実施の形態1において、メタボリックシンドロームに該当しないと診断(判定)された場合でも、被検者の指標がその診断の基準値に近い場合は、これも問題であると考えられる。そこで、本発明の実施の形態6では、メタボリックシンドロームに該当しない場合に、さらに、このような観点からメタボリックシンドローム予備軍に該当するか否かの診断を行うものである。
【0117】
本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1と図1及び図2に示す実施の形態1のメタボリックシンドローム診断装置1とは、ハードウエアの構成は同じであるが、動作が異なる。以下、この相違点を説明する。
【0118】
図14は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の診断動作の一例を示すフローチャートである。図15は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における緩和された判定条件を示す図である。
【0119】
図14に示すように、本実施形態では、メタボリックシンドローム診断動作のステップS1〜S4は、実施の形態1と同じである。ステップS3における正規の判定条件は、実施の形態1の通常の判定条件のことである。従って、本実施の形態におけるステップS3は、実施の形態1のステップS3と全く同じである。但し、本実施の形態では、この通常の判定条件を緩和してなる後述の判定条件(緩和された判定条件と呼ぶ)と区別するために、この通常の判定条件を正規の判定条件と呼ぶ。
【0120】
そして、ステップS3において、正規の判定条件が満たされない場合には、中央処理部19は、緩和された判定条件が満たされるか否か判定する(ステップS31)。図15に示すように、この緩和された判定条件は、緩和ウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件とで構成されている。換言すれば、正規の判定条件が、ウエスト周囲長条件と血液データ条件との双方において緩和されている。ウエスト周囲長条件と血液データ条件は、各々の条件が満たされるか否かの基準値(基準データ値)を変えて緩和されている。具体的には、実施の形態1で述べたように、ウエスト周囲長条件における基準値は、男性のウエスト周囲長=85cm、女性のウエスト周囲長=90cmであり、血液データ条件における基準値は、収縮期血圧=130mmHg、拡張期血圧=85mmHg、空腹時血糖値=110mg/dl、中性脂肪値=150mg/dl、及びHDLコレステロール値=40mg/dlである。そして、これらの基準値が、判定条件が緩和されるように、所定の割合で変更されている。本実施の形態では、例えば、基準値に対し3%増加又は減少する(ウエスト周囲長、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、及び中性脂肪値は、減少し、HDLコレステロール値は増加する)ように変更される。具体的には、緩和ウエスト周囲長条件における基準値は、男性のウエスト周囲長=82.5(少数点第2位以下は四捨五入)cm、女性のウエスト周囲長=87.5cmであり、緩和血液データ条件における基準値は、収縮期血圧=126.1mmHg、拡張期血圧=82.5(少数点第2位以下は四捨五入)mmHg、空腹時血糖値=106.7mg/dl、中性脂肪値=145.5mg/dl、及びHDLコレステロール値=41.2mg/dlである。
【0121】
従って、緩和ウエスト周囲長条件は、被検者が男性である場合には入力されたウエスト周囲長が82.5cm以上であり、かつ、被検者が女性である場合には入力されたウエスト周囲長が87.3cm以上であることである。緩和血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、この条件Aは、入力された収縮期血圧が126.1mmHg以上であること及び又は入力された拡張期血圧が82.5mmHg以上であることであり、この条件Bは、入力された空腹時血糖値が106.7mg/dl以上であることであり、かつ、この条件Cは、入力された中性脂肪値が145.5mg/dl以上であること及び又は入力されたHDLコレステロール値が41.2mg/dl未満であることである。
【0122】
中央処理部19は、ステップS2で取得した基準値をこのように変更し、この変更した基準値と入力データとを対比することにより、このように緩和された判定条件(緩和ウエスト周囲長条件及び緩和血液データ条件)が満たされるか否か判定する。
【0123】
そして、緩和された判定条件が満たされる場合には、中央処理部19は、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS32)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当する」と表示する。
【0124】
一方、緩和された判定条件が満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS33)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しない」と表示する。
【0125】
かくして、メタボリックシンドローム診断動作が終了する。
【0126】
図16は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。図16において、図5と同一符号は同一又は相当する領域を示す。符号108は緩和ウエスト周囲長条件充足領域を示す。符号109は緩和血液データ条件充足領域を示す。符号110は第2種メタボリックシンドローム予備軍該当領域を示す。
【0127】
本実施の形態の診断基準においては、図16から明らかなように、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件と血液データ条件とが満たされずかつ緩和ウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件とが満たされる場合(符号110で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、緩和ウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。
【0128】
このように、本実施の形態によれば、日本内科学会総会発表の診断基準によるメタボリックシンドロームには該当しないが、被検者の指標がその診断の基準値に近いという観点からのメタボリックシンドローム予備軍に該当することを診断することができる。従って、メタボリックシンドロームに至らないよう今後の注意を促すことができる。
【0129】
[変形例3]
図17は本実施の形態の変形例3のメタボリックシンドローム診断装置1における緩和された判定条件を示す図である。図18は本実施の形態の変形例3のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【0130】
図17に示すように、本変形例は、緩和された判定条件として、正規の判定条件において、ウエスト周囲長条件のみを緩和してなる判定条件を用いたものである。本変形例では、図18から明らかなように、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件が満たされずかつ緩和ウエスト周囲長条件と血液データ条件とが満たされる場合(符号110で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、緩和ウエスト周囲長条件と血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。このような変形例によっても上述の場合(図14〜図16の場合)と同様の効果が得られる。
【0131】
[変形例4]
図19は本実施の形態の変形例4のメタボリックシンドローム診断装置1における緩和された判定条件を示す図である。図20は本実施の形態の変形例4のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【0132】
図19に示すように、本変形例は、緩和された判定条件として、正規の判定条件において、血液データ条件のみを緩和してなる判定条件を用いたものである。本変形例では、図20から明らかなように、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、血液データ条件が満たされずかつウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件とが満たされる場合(符号110で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、ウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者はメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。このような変形例によっても上述の場合(図14〜図16の場合)と同様の効果が得られる。
【0133】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7のメタボリックシンドローム診断装置1と実施の形態3のメタボリックシンドローム診断装置1とは、ハードウエアの構成は同じであるが、動作が異なる。以下、この相違点を説明する。
【0134】
図21は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1の診断動作の一例を示すフローチャートである。図22は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における緩和された判定条件を示す図である。
【0135】
図21に示すように、本実施形態では、メタボリックシンドローム診断動作のステップS11〜S18は、実施の形態3と同じである。但し、ステップS13において血液データ条件が満たされない場合、及びステップS16において内臓脂肪断面積条件が満たされない場合に、ステップS41に進む。ステップS41では、中央処理部19が緩和された判定条件が満たされるか否か判定する。
【0136】
図22に示すように、この緩和された判定条件は、緩和ウエスト周囲長条件と緩和血液データ条件と緩和内臓脂肪断面積条件とで構成されている。緩和ウエスト周囲長条件及び緩和血液データ条件は実施の形態6と同じである。緩和内臓脂肪断面積条件は、内臓脂肪断面積条件と比較すると、内臓脂肪断面積の基準値が100cmから97cmへ3%減少している。
【0137】
そして、緩和された判定条件が所定の態様で満たされる場合には、中央処理部19は、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定及び表示する(ステップS42)。この所定の態様は、複雑であるので、後で、図23を用いて詳しく説明する。
【0138】
一方、緩和された判定条件が所定の態様で満たされない場合には、中央処理部19は、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定し、表示部3にその旨を表示する(ステップS33)。具体的には、表示部3のメタボリックシンドローム判定表示領域10に、例えば、「メタボリックシンドローム及び疑似メタリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しない」と表示する。
【0139】
かくして、メタボリックシンドローム診断動作が終了する。
【0140】
図23は本実施の形態のメタボリックシンドローム診断装置1における診断基準を模式的に示す円グラフである。図23において、図10及び図15と同一符号は同一又は相当する領域を示す。符号111は緩和内臓断面積長条件充足領域を示す。
【0141】
本実施の形態の診断基準においては、図23から明らかなように、ウエスト周囲長条件及び血液データ条件が満たされる場合(符号103で示す領域に含まれる場合)には、メタボリックシンドロームに該当すると判定(診断)される。そして、ウエスト周囲長条件が満たされずかつ内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合(符号105で示す領域に含まれる場合)には、被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定される。そして、血液データ条件が満たされず及び又はウエスト周囲長条件と血液データ条件との双方が満たされず、かつ、緩和ウエスト周囲長条件及び又は緩和内臓脂肪断面積条件が満たされかつ緩和血液データ条件が満たされる場合(符号110で示す領域に含まれる場合)には、被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定される。そして、緩和血液データ条件が満たされず及び又は緩和ウエスト周囲長条件と緩和内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合(白抜きの領域に含まれる場合)には、被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定される。
【0142】
このように、本実施の形態によれば、日本内科学会総会発表の診断基準及び日本内科学会総会発表の診断基準においてウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いる診断基準によってメタボリックシンドローム(及び疑似メタボリックシンドローム)には該当しないが、被検者の指標がその診断の基準値に近いという観点からのメタボリックシンドローム予備軍に該当することを診断することができる。従って、より的確にメタボリックシンドロームに至らないよう今後の注意を促すことができる。
【0143】
なお、上記では、緩和された判定条件として、ウエスト周囲長条件と血液データ条件と内臓脂肪断面積条件との全てを緩和した判定条件を用いたが、ウエスト周囲長条件と血液データ条件と内臓脂肪断面積条件とのうちの1つ又は2つを緩和した判定条件を用いてもよく、同様の効果が得られる。
【0144】
(実施の形態8)
図24は本発明の実施の形態8に係るメタボリックシンドローム診断装置におけるメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定するため主判定条件を示す図である。
【0145】
図24に示すように、本実施の形態は、実施の形態1において、入力データとして、ウエスト周囲長に代えて内臓脂肪断面積を用いるものである。従って、主判定条件では、第1の条件は、内臓脂肪断面積が100cm以上であることとなっている。これ以外の点は、実施の形態1と全く同じである。
【0146】
このような本実施の形態によれば、メタボリックシンドロームの指標として、ウエスト周囲長に代えて、メタボリックシンドロームに直結する内臓脂肪断面積を用いているので、本来メタボリックシンドロームに該当する人を見逃すことなく、メタボリックシンドロームに該当するか否かを自動的に診断することができる。
【0147】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9は、所定の制御プログラムをパソコン等のコンピュータにインストールすることによって、このコンピュータを実施の形態1のメタボリックシンドローム診断装置1と同様に動作させるものである。この所定の制御プログラムは、実施の形態1で述べたメタボリックシンドローム診断プログラムと同様に構成されている。
【0148】
このような本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0149】
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10は、実施の形態1乃至6のメタボリックシンドローム診断装置1を体組成計に備えたものである。体組成計は周知であるので、その説明を省略する。このような構成とすると、体組成計に所要の項目を測定又は入力する機能を付加することで、容易にメタボリックシンドロームの診断が可能となる。また、実施の形態2及4のメタボリックシンドローム診断装置1を体組成計に備えた場合には、体組成計に備え付けてある内臓脂肪断面積計測プログラムを活用することで、容易に内臓脂肪断面積からメタボリックシンドロームを診断することが可能になる。特に、体組成計が、データ入力手段から被検者のウエスト周囲長を入力することが可能なように構成され、かつその入力されたウエスト周囲長を用いて内臓脂肪断面積を推定することが可能なように構成されている場合には、メタボリックシンドローム診断装置の判定手段が、体組成計のデータ入力手段によって入力されたウエスト周囲長を、メタボリックシンドロームに該当するか否かの判定に用いるように、メタボリックシンドローム診断装置を構成することによって、容易に内臓脂肪断面積からメタボリックシンドロームを診断することが可能になる。
【0150】
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11は、実施の形態1乃至6のメタボリックシンドローム診断装置1を血圧計に備えたものである。血圧計は周知であるので、その説明を省略する。このような構成とすると、血圧計で測定した血圧値をメタボリックシンドローム診断に用いることができるので、血圧値を入力する必要が無くなる。その結果、メタボリックシンドロームの診断をより簡便にすることが可能になる。
【0151】
なお、実施の形態6及び7において、正規の判定条件の基準値を判定条件単位で緩和したが、これを基準値単位で緩和してもよい。
【0152】
また、実施の形態8を、実施の形態2、4〜6のように修正してもよい。
【0153】
また、将来、日本内科学会総会発表の診断基準は、病態の評価項目に追加や削除等が有り得、また、評価の基準値が変更され得る。そのような場合には、その評価項目の追加又は削除、及び基準値の変更に合わせて、各実施の形態において、メタボリックシンドロームに該当するか否かの判定条件を変更すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明のメタボリックシンドローム診断装置は、メタボリックシンドロームを簡便にかつ自動的に診断する装置として有用である。
【0155】
本発明のメタボリックシンドローム診断プログラムは、コンピュータを、メタボリックシンドロームを簡便にかつ自動的に診断する装置として動作させるためのプログラムとして有用である。
【0156】
本発明の体組成計は、メタボリックシンドロームを簡便にかつ自動的に診断する機能を備える体組成計として有用である。
【0157】
本発明の血圧計は、メタボリックシンドロームを簡便にかつ自動的に診断する機能を備える血圧計として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の実施の形態1に係るメタボリックシンドローム診断装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1のメタボリックシンドローム診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1のメタボリックシンドローム診断装置における判定条件を示す図である。
【図4】図1のメタボリックシンドローム診断装置の診断動作の一例を示すフローチャートである。である。
【図5】図1のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図6】本発明の実施の形態2に係るメタボリックシンドローム診断装置の構成を示す外観図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】図6のメタボリックシンドローム診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るメタボリックシンドローム診断装置におけるメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定するため判定条件を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3のメタボリックシンドローム診断装置の診断動作の一例を示すフローチャートである。ある。
【図10】本発明の実施の形態3のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図11】本発明の実施の形態5のメタボリックシンドローム診断装置の診断動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態5のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図13】本発明の実施の形態5の形態の変形例2のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図14】本発明の実施の形態6のメタボリックシンドローム診断装置の診断動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態6のメタボリックシンドローム診断装置における緩和された判定条件を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態6のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図17】本発明の実施の形態6の変形例3のメタボリックシンドローム診断装置における緩和された判定条件を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態6の変形例3のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図19】本発明の実施の形態6の変形例4のメタボリックシンドローム診断装置における緩和された判定条件を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態6の変形例4のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図21】本発明の実施の形態7のメタボリックシンドローム診断装置の診断動作の一例を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施の形態7のメタボリックシンドローム診断装置における緩和された判定条件を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態7のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【図24】本発明の実施の形態8に係るメタボリックシンドローム診断装置におけるメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定するため判定条件を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態8のメタボリックシンドローム診断装置における診断基準を模式的に示す円グラフである。
【符号の説明】
【0159】
1 メタボリックシンドローム診断装置
2 本体
3 表示部
4a,4b,5a,5b 電極
6 電源スイッチ
7 診断モードスイッチ
8 データ入力設定モードスイッチ
9a インクリメントキー
9b ディクリメントキー
10 メタボリックシンドローム判定表示領域
12 入力データ表示領域
15 操作部
16 インピーダンス測定回路
17 I/O
19 中央処理部
20 記憶部
101 ウエスト周囲長条件充足領域
102 血液データ条件充足領域
103 メタボリックシンドローム該当領域
104 内臓断面積条件充足領域
105 疑似メタボリックシンドローム該当領域
106 第1種メタボリックシンドローム予備軍該当領域
108 緩和ウエスト周囲長条件充足領域
109 緩和血液データ条件充足領域
110 第2種メタボリックシンドローム予備軍該当領域
111 緩和内臓断面積条件充足領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の性別、内臓脂肪蓄積に関する情報、高血圧に関する情報、インスリン抵抗性に関する情報、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報を入力するための入力手段と、
少なくとも内臓脂肪蓄積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記内臓脂肪蓄積条件は、入力された情報から内臓脂肪が蓄積されていると診断されることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、入力された情報から高血圧であると診断されることであり、前記条件Bは、入力された情報からインスリン抵抗性であると診断されることであり、かつ、前記条件Cは、入力された情報から動脈硬化惹起性リポ蛋白異常であると診断されることである、メタボリックシンドローム診断装置。
【請求項2】
被検者の性別、前記内臓脂肪蓄積に関する情報としてのウエスト周囲長、前記高血圧に関する情報としての収縮期血圧及び拡張期血圧、前記インスリン抵抗性に関する情報としての空腹時血糖値、前記動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報としての中性脂肪値及びHDLコレステロール値を入力するための入力手段と、
少なくとも前記内臓脂肪蓄積条件としてのウエスト周囲長条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記ウエスト周囲長条件は、前記被検者の入力されたウエスト周囲長が基準値以上であることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が基準値以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が基準値以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が基準値以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が基準値以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が基準値未満であることである、メタボリックシンドローム診断装置。
【請求項3】
前記ウエスト周囲長条件は、前記被検者が男性である場合には前記入力されたウエスト周囲長が85cm以上であり、かつ、前記被検者が女性である場合には前記入力されたウエスト周囲長が90cm以上であることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が85mmHg以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることである、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当しないと判定する、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項5】
前記入力手段は、さらに被検者の前記内臓脂肪蓄積に関する情報としての内臓脂肪断面積を入力するためのものであり、
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件及び前記血液データ条件の他に、前記入力された内臓脂肪断面積が基準値以上であることという内臓脂肪断面積条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は疑似メタボリックシンドロームに該当するか否か判定する、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項6】
前記内臓脂肪断面積の基準値が100cm以上である、請求項5に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされず及び又は前記ウエスト周囲長条件と前記内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドロームに該当しないと判定する、請求項6に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項7に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記内臓脂肪断面積条件との双方が満たされずかつ前記血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第1種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項6に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件及び前記血液データ条件の他に、前記ウエスト周囲長条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和血液データ条件との少なくとも一方の緩和条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当するか否か判定する、請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と、前記緩和ウエスト周囲長条件とを用い、
かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項10に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記緩和血液データ条件とを用い、
かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされずかつ前記ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項10に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記緩和ウエスト周囲長と前記緩和血液データ条件とを用い、
かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされずかつ前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和血液データ条件との少なくともいずれかが満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項10に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項14】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件の他に、前記ウエスト周囲長条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件をその条件が満たされるか否かの基準データ値を変えて緩和してなる緩和内臓脂肪断面積条件との少なくともいずかの緩和条件を用い、これらの条件が満たされる又は満たされない態様に応じて、前記被検者がメタボリックシンドローム及び又は疑似メタボリックシンドローム及び又は第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当するか否か判定する、請求項5に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項15】
前記判定手段は、前記ウエスト周囲長と前記血液データ条件と前記内臓脂肪断面積条件と前記緩和ウエスト周囲長と前記緩和血液データ条件と前記緩和内臓脂肪断面積条件とを用い、
かつ、前記判定手段は、前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者がメタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記ウエスト周囲長条件が満たされずかつ前記内臓脂肪断面積条件と前記血液データ条件とが満たされる場合には、前記被検者が疑似メタボリックシンドロームに該当すると判定し、前記血液データ条件が満たされず及び又は前記ウエスト周囲長条件と前記血液データ条件との双方が満たされず、かつ、前記緩和ウエスト周囲長条件及び又は前記緩和内臓脂肪断面積条件が満たされかつ前記緩和血液データ条件が満たされる場合には、前記被検者が第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当すると判定し、前記緩和血液データ条件が満たされず及び又は前記緩和ウエスト周囲長条件と前記緩和内臓脂肪断面積条件との双方が満たされない場合には、前記被検者がメタボリックシンドローム及び疑似メタボリックシンドローム及び第2種メタボリックシンドローム予備軍に該当しないと判定する、請求項14に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項16】
前記被検者の生体インピーダンスを測定するための生体インピーダンス測定手段と、前記測定された生体インピーダンスに基づいて前記被検者のウエスト周囲長を推定するウエスト周囲長推定手段と、を備え、
前記判定手段は、前記推定されたウエスト周囲長を前記入力されたウエスト周囲長として前記判定に用い、
前記生体インピーダンス測定手段及び前記ウエスト周囲長推定手段が前記入力手段の一部を構成している、請求項3に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項17】
前記被検者の生体インピーダンスを測定するための生体インピーダンス測定手段と、前記測定された生体インピーダンスと前記入力されたウエスト周囲長とに基づいて前記被検者の内臓脂肪断面積を推定する内臓脂肪断面積推定手段と、を備え、
前記判定手段は、前記推定された内臓脂肪断面積を前記入力された内臓脂肪断面積として前記判定に用い、
前記生体インピーダンス測定手段及び前記内臓脂肪断面積推定手段が前記入力手段の一部を構成している、請求項5に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項18】
前記判定手段による前記判定の結果を表示するための表示手段を備える、請求項1に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項19】
被検者の性別、前記内臓脂肪蓄積に関する情報としての内臓脂肪断面積、前記高血圧に関する情報としての収縮期血圧及び拡張期血圧、前記インスリン抵抗性に関する情報としての空腹時血糖値、前記動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報としての中性脂肪値及びHDLコレステロール値を入力するための入力手段と、
少なくとも前記内臓脂肪蓄積条件としての内臓脂肪断面積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記内臓脂肪断面積条件は、前記被検者の入力された内臓脂肪断面積が基準値以上であることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が基準値以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が基準値以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が基準値以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が基準値以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が基準値未満であることである、メタボリックシンドローム診断装置。
【請求項20】
前記内臓脂肪断面積条件は、前記入力された内臓脂肪断面積が100cm以上であることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、前記入力された収縮期血圧が130mmHg以上であること及び又は前記入力された拡張期血圧が85mmHg以上であることであり、前記条件Bは、前記入力された空腹時血糖値が110mg/dl以上であることであり、かつ、前記条件Cは、前記入力された中性脂肪値が150mg/dl以上であること及び又は前記入力されたHDLコレステロール値が40mg/dl未満であることである、請求項19に記載のメタボリックシンドローム診断装置。
【請求項21】
コンピュータを、被検者の性別、内臓脂肪蓄積に関する情報、高血圧に関する情報、インスリン抵抗性に関する情報、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常に関する情報を入力するための入力手段と、少なくとも内臓脂肪蓄積条件と血液データ条件とが満たされるか否かによって前記被検者がメタボリックシンドロームに該当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記内臓脂肪蓄積条件は、入力された結果から内臓脂肪が蓄積されていると診断されることであり、
前記血液データ条件は、条件A〜条件Cのうちの2以上の条件が満たされることであり、前記条件Aは、入力された結果から高血圧であると診断されることであり、前記条件Bは、入力された結果からインスリン抵抗性であると診断されることであり、かつ、前記条件Cは、入力された結果から動脈硬化惹起性リポ蛋白異常であると診断されることである、メタボリックシンドローム診断プログラム。
【請求項22】
請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置を備えた体組成計。
【請求項23】
前記体組成計は、被検者の体組成を演算するために必要な被検者のウエスト周囲長を
含むデータを入力するための体組成計データ入力手段を有し、
前記メタボリックシンドローム診断装置の前記判定手段は、前記体組成計データ入力手段によって入力されたウエスト周囲長を、前記メタボリックシンドロームに該当するか否かの判定に用いる、請求項22に記載の体組成計。
【請求項24】
請求項2に記載のメタボリックシンドローム診断装置を備えた血圧計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2008−23199(P2008−23199A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201174(P2006−201174)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(505260556)
【Fターム(参考)】