説明

メタルドームスイッチ

【課題】メタルドームスイッチの新たな構成を提供する。
【解決手段】メタルドーム固定リブ30は、メタルドーム10の外縁を取り囲むように設けられ、メタルドーム10を固定する。メタルドーム10の下方側の面には、信号側の端子と接触する信号用突起12、および、コモン側の端子と接触するコモン用突起16が設けられている。さらに、メタルドーム10の外縁には、誤組付防止のための組付用突起18が設けられ、メタルドーム10とメタルドーム固定リブ30との契合関係により、メタルドーム10の組付方向が所定方向に限定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルドームを利用したメタルドームスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
二つの端子間を電気的に接続するスイッチとして、メタルドームを利用したメタルドームスイッチが知られている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
図9は、従来の一般的なメタルドームスイッチを説明するための図である。図9に示すように、メタルドーム10´は、正方形の頂点部分に足が設けられた形状であり、4つの足のうちの3つの足がコモン側接点22´に常時接続される。メタルドーム10´の中央部分には突起が設けられており、押圧操作によってメタルドーム10´が弾性変形してその突起が信号側接点24´と接触する。その結果、コモン側接点22´と信号側接点24´がメタルドーム10´を介して電気的に接続される。
【0004】
【特許文献1】特開2004−063449号公報
【特許文献2】特開2002−367477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9のメタルドームスイッチは、コモン側接点22´を三箇所に設ける必要があり、さらに、この三箇所において、メタルドーム10´の3つの足が常時接続される。従って、メタルドーム10´の中央部分の突起と信号側接点24´との接触位置は、点当たりで固定される。このため、接触位置に異物などが混入した場合、その異物などの影響による接触不良が懸念される。
【0006】
なお、図9のメタルドーム10´は、テープなどによって固定される。このため、テープを張る工数が必要になり、また、テープのみによる固定では信頼性不足が懸念される。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、メタルドームスイッチの新たな構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様であるメタルドームスイッチは、基底部材と、前記基底部材の上方に配置されるメタルドームと、を有し、前記基底部材には、前記メタルドームの外縁に沿って上方に突出して前記メタルドームを取り囲むメタルドーム固定リブが設けられる、ことを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記メタルドームの下方面には、略一直線上に並ぶ三つの接点用突起が設けられ、前記三つの接点用突起のうちの二つの接点用突起と前記基底部材に設けられた二つの端子が接触することにより、前記二つの端子が電気的に接続される、ことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記メタルドームの外縁と前記メタルドーム固定リブとの間に隙間が設けられ、その隙間に起因するがたつきにより、前記各接点用突起と前記各端子との接触位置が変化する、ことを特徴とする。
【0011】
望ましくは、前記メタルドームの外縁には、誤組付防止のための組付用突起が設けられ、組付用突起が設けられたメタルドームと前記メタルドーム固定リブとの契合関係により、前記メタルドームの組付方向が所定方向に限定される、ことを特徴とする。
【0012】
望ましくは、前記メタルドームの下方面には、前記三つの接点用突起を含む帯状の領域にストライプメッキが施され、前記二つの端子の各々には、前記接点用突起が接触する領域にストライプメッキが施される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明により、メタルドームスイッチの新たな構成が提供される。その構成により、例えば、メタルドーム固定用のテープが不要になり、また、接点信頼性が向上する。必要に応じて、コモン側の接点を一箇所にすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1には、本発明に係るメタルドームスイッチの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す斜視図である。
【0016】
図1のメタルドームスイッチは、基底部材である樹脂モールド20の上方にメタルドーム10が配置されたものである。樹脂モールド20は、信号側の端子24およびコモン側の端子22をインサート成型したものである。さらに、樹脂モールド20には、メタルドーム10の外縁に沿って上方に突出したメタルドーム固定リブ30が設けられる。メタルドーム固定リブ30は、メタルドーム10の外縁を取り囲むように設けられ、メタルドーム10を固定する。メタルドーム固定リブ30は、樹脂モールド20と一体形成されることが望ましい。メタルドーム固定リブ30が設けられるため、メタルドーム10を固定するためのテープが不要になる。
【0017】
図2は、図1のメタルドームスイッチの平面図である。図1では、メタルドーム10を破線で示し、その下方に位置する信号側の端子およびコモン側の端子との接触部分を明示したが、実際には、図2に示すように、メタルドーム10が信号側の端子およびコモン側の端子との接触部分を覆い隠すように設けられる。
【0018】
メタルドーム10の下方側の面には、信号側の端子と接触する信号用突起12、および、コモン側の端子と接触するコモン用突起16が設けられている。メタルドーム10は、信号用突起12およびコモン用突起16を通る直線に関して線対称に形成され、また、二つの組付用突起18を通る直線に関しても線対称に形成される。このため、コモン用突起16と同形状のコモン用突起14が設けられている。
【0019】
図3は、図1のメタルドームスイッチのAA断面図である。メタルドーム10は、その中央部が上方に盛り上がったドーム形状である。メタルドーム10の上部には、メタルドーム10を押し下げる押し子40が設けられる。例えば、人の手により押圧操作がなされた場合、押し子40が押し下げられてメタルドーム10が下方に押し付けられ、コモン用突起(図2の符号16)がコモン側の端子と接触する。さらに、メタルドーム10が弾性変形し、その中央部に設けられた信号用突起(図2の符号12)が信号側の端子24と接触し、その結果、メタルドーム10を介して、コモン側の端子と信号側の端子24が電気的に接続される。
【0020】
ちなみに、メタルドーム固定リブ30は、その高さが、例えば2.1mm程度が望ましく、また、ラップは、例えば0.2mm程度が望ましい。
【0021】
図4は、メタルドーム10の形状を説明するための図であり、メタルドーム10の平面図である。メタルドーム10の外径Aは、例えば、10mm程度が望ましい。また、コモン用突起14とコモン用突起16の間の距離Bは、例えば、9.1mm程度が望ましい。また、内径Cは、例えば、6.4mm程度が望ましい。なお、図4に示すメタルドーム10の形状は、好適な実施形態のうちの一つに過ぎず、要求される押下量などに応じてメタルドーム10の形状を適宜変更してもよいことはいうまでもない。
【0022】
さらに、信号用突起12、コモン用突起14およびコモン用突起16の各接点用突起は、例えば半球状に形成され、その内径が例えば0.6mm程度、その高さが0.1mm程度であることが望ましい。
【0023】
図5は、信号側の接点構成を説明するための図であり、メタルドーム10と信号側の端子24との接触部分が示されている。押圧操作がなされた場合、押し子(図3の符号40)が押し下げられてメタルドーム10が下方に押し付けられ、メタルドーム10が弾性変形し、その中央部に設けられた信号用突起12が信号側の端子24と接触する。メタルドームスイッチに混入する異物の大きさが10μm程度であることを考慮すると、信号用突起12を上述した大きさ(内径0.6mm程度、高さ0.1mm程度)に形成することで、信号用突起12と信号側の端子24との間の接点信頼性を高めることができる。
【0024】
図6は、コモン側の接点構成を説明するための図であり、メタルドーム10とコモン側の端子22との接触部分が示されている。押圧操作がなされた場合、押し子(図3の符号40)が押し下げられてメタルドーム10が下方に押し付けられ、コモン用突起16がコモン側の端子22と接触する。コモン側の接点についても、コモン用突起16を上述した大きさ(内径0.6mm程度、高さ0.1mm程度)に形成することで、異物の混入に対する接点信頼性を高めることができる。
【0025】
なお、コモン側の接点については、押圧操作がなされない状態でコモン用突起16とコモン側の端子22とが接触していてもよい。
【0026】
図5および図6を利用して説明したように、メタルドーム10は、押圧操作によって下方に押し付けられた際、信号用突起12、コモン用突起14およびコモン用突起16の三つの接点用突起による三点支持になる。従って、これら三点に荷重がかかり、確実に接点用突起と端子とが接触する。
【0027】
異物に対する接点信頼性をさらに高めるために、メタルドームの外縁とメタルドーム固定リブとの間に隙間が設けられてもよい。つまり、図2の平面図において、メタルドーム10の外縁と、その外縁に沿って形成されるメタルドーム固定リブ30との間に、例えば、0.12mmから0.2mm程度の隙間を設ける。隙間を設けることにより、メタルドーム10が押し下げられる際にがたつきが発生し、信号用突起12と信号側の端子の間の接触位置、および、コモン用突起16とコモン側の端子の間の接触位置が一点に固定されず、ずれることができるため、異物に対する接点信頼性がさらに高まる。
【0028】
メタルドーム10をメタルドーム固定リブ30に組み付ける際に、誤った方向に組み付けることを防止するために、図2に示すように、メタルドーム10には、二つの組付用突起18が設けられている。メタルドーム10の信号用突起12、コモン用突起14およびコモン用突起16の三つの接点用突起は一直線上に形成されており、従って、仮に図2のメタルドーム10が、図2の平面上で信号用突起12を中心として90度回転した状態で、誤って組み付けられると、コモン用突起14およびコモン用突起16がコモン側の端子の上方に位置しなくなる。
【0029】
そこで、二つの組付用突起18が設けられ、上述のように90度回転した状態では、メタルドーム10とメタルドーム固定リブ30との契合関係により、組み付けができないようになっている。つまり、90度回転した状態では、組付用突起18がメタルドーム固定リブ30にぶつかるため、メタルドーム10がメタルドーム固定リブ30内に収まらないようになっている。
【0030】
図7は、製造段階におけるメタルドーム10を説明するための図である。メタルドーム10は、順送ラインでキャリア50を付けて製造されるのが一般的である。そこで、このキャリア50とメタルドーム10との接続部分を組付用突起18として利用することで、コストアップすることなく組付用突起18を設けることができる。
【0031】
接点性能を向上させるために、メタルドームには三つの接点用突起が設けられている。さらに接点性能を向上させるために、接点用突起に加えて、例えば、金などによるメッキを施してもよい。
【0032】
図8は、メタルドーム10、コモン側の端子22および信号側の端子24に対するメッキ処理を説明するための図である。金メッキは、接触性の向上に非常に有効である反面、高価である。そこで、例えば、ストライプメッキや部分メッキの手法を利用し、領域を限定してメッキ処理を施す。つまり、メタルドーム10に対しては、その下方面の三つの接点用突起を含む帯状の領域60にメッキを施し、また、コモン側の端子22および信号側の端子24に対しては、接点用突起が接触する領域62にメッキを施す。その結果、金メッキによるコストアップを極力抑えつつ、接点性能をさらに向上させることができる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るメタルドームスイッチの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のメタルドームスイッチの平面図である。
【図3】図1のメタルドームスイッチのAA断面図である。
【図4】メタルドームの形状を説明するための図である。
【図5】信号側の接点構成を説明するための図である。
【図6】コモン側の接点構成を説明するための図である。
【図7】製造段階におけるメタルドームを説明するための図である。
【図8】メッキ処理を説明するための図である。
【図9】従来の一般的なメタルドームスイッチを説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
10 メタルドーム、12 信号用突起、14,16 コモン用突起、18 組付用突起、20 樹脂モールド、30 メタルドーム固定リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底部材と、
前記基底部材の上方に配置されるメタルドームと、
を有し、
前記基底部材には、前記メタルドームの外縁に沿って上方に突出して前記メタルドームを取り囲むメタルドーム固定リブが設けられる、
ことを特徴とするメタルドームスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のメタルドームスイッチにおいて、
前記メタルドームの下方面には、略一直線上に並ぶ三つの接点用突起が設けられ、
前記三つの接点用突起のうちの二つの接点用突起と前記基底部材に設けられた二つの端子が接触することにより、前記二つの端子が電気的に接続される、
ことを特徴とするメタルドームスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のメタルドームスイッチにおいて、
前記メタルドームの外縁と前記メタルドーム固定リブとの間に隙間が設けられ、その隙間に起因するがたつきにより、前記各接点用突起と前記各端子との接触位置が変化する、
ことを特徴とするメタルドームスイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載のメタルドームスイッチにおいて、
前記メタルドームの外縁には、誤組付防止のための組付用突起が設けられ、組付用突起が設けられたメタルドームと前記メタルドーム固定リブとの契合関係により、前記メタルドームの組付方向が所定方向に限定される、
ことを特徴とするメタルドームスイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のメタルドームスイッチにおいて、
前記メタルドームの下方面には、前記三つの接点用突起を含む帯状の領域にストライプメッキが施され、
前記二つの端子の各々には、前記接点用突起が接触する領域にストライプメッキが施される、
ことを特徴とするメタルドームスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−40656(P2006−40656A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216807(P2004−216807)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】