説明

メタロアルミノホスファート(MeAPO)モレキュラーシーブの製造方法

【課題】メタロアルミノホスフェート(MeAPO)モレキュラーシーブの製造方法:
【解決手段】(a) アルミニウムAl、燐Pおよび金属Meの少なくとも2つの供給源を含む均一な溶液を作り、(b) 上記溶液に第1のMeAPOモレキュラーシーブを加え、この第1のMeAPOモレキュラーシーブ添加する前および/または後にpHを変えて非晶質の先駆体を作り、(c) 水から非晶質の先駆体を分離し、必要に応じて非晶質の先駆体を成形し、(d) 必要に応じて水で洗浄し、450℃以下の温度で非晶質の先駆体を乾燥し、(e) 上記の非晶質の先駆体を有機テンプレート-含有水溶液および段階(a)で既に存在していないAl、PまたはMeの供給源と接触させ、(f)上記の非晶質の先駆体を自己発生条件下で結晶化させて、結晶質モレキュラーシーブの濃縮度を初期の先駆体に対して増加させて、第2のMeAPOモレキュラーシーブを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みモレキュラーシーブを再利用するか、新しいモレキュラーシーブを使用する擬似(プソイド)乾式合成によってメタロアルミノホスフェート(MeAPO) モレキュラーシーブを製造する方法に関するものである。
本発明のメタロアルミノホスフェートモレキュラーシーブはクラッキング、水素化分解、異性化、リホーミング、脱蝋、アルキル化、アルキル交換、酸素化物の軽質オレフィンへの変換を含む種々のプロセスの触媒として有用である。
【背景技術】
【0002】
原油の供給には限りがあり、製造コストも増加しているため、炭化水素化合物を製造するための代替プロセスに対するサーチが加速している。そうしたプロセスの一つが酸素-含有有機化合物(例えはメタノール)、ハロゲン−含有有機化合物、硫黄−含有有機化合物の炭化水素、特に軽質オレフィン(軽質オレフィンとはC2〜C4オレフィンを意味する)またはガソリンおよび芳香族化合物への変換である。本明細書で酸素−含有有機化合物(酸素化物、oxygenatesともいう)、ハロゲン−含有有機化合物、硫黄−含有有機化合物の炭化水素、特に軽質オレフィンへの変換は「XTOプロセス」という。XTOプロセスの重要性はその供給原料、特にメタノールが石炭、バイオマス、有機廃棄物または天然ガスから得られ、合成ガスの生産とそのメタノールの製造で得られるという事実にある。
【0003】
XTOプロセスをOCP(オレフィンクラッキング法)と組み合わせることでオレフィンの生産量を増加させることができる。このXTOプロセスではエチレンおよびプロピレンのような軽質オレフィンと、重炭化水素、例えばブテンおよびそれより上の化合物とが製造される。これらの重炭化水素はOCPプロセスで主としてエチレンおよびプロピレンにクラッキングされる。
【0004】
XTOプロセスは例えばMeAPOモレキュラーシーブ触媒を用いて実行できる。このゼオライトの合成の初期段階では寸法が数ミクロン以下の結晶性物質が得られる。こうした細かい粉末は多くの工業プロセスで使用するのは難しい。従って、工業スケールのモレキュラーシーブでは一般に形成粒子の寸法を大きくし最終触媒製品に追加の強度を与える他の原料と組合せて濃縮し、工業的運転条件下での最終触媒製品の破砕強度と耐磨耗性を改良する必要がある。こうした材料は各種の不活性または触媒活性なマトリックス材料および/または各種バインダ材料がある。ある種のバインダ材料は希釈剤の役目をしてフィードから生成物への変換速度を制御し、従って選択性を良くする。
【0005】
しかし、触媒と上記のマトリックスおよび/またはバインダとを組合わせるには触媒製造工程に追加の段階を加える必要がある。粒径(granulometric)条件および粒子強度を満たした状態で活性相(MeAPO)の含有量が高い成形触媒を製造するのは難しい。触媒の成形(シェーピング)処方は極めて経験的なものである。材料の成形方法には押出加工、凝集、噴霧乾燥が含まれ、触媒の製造を複雑にする。また、これらの追加の段階は触媒性能に逆効果を与える。従って、追加のバインダ原料を必要としないMeAPO結晶性モレキュラーシーブを作ることは有利である。このMeAPO結晶性モレキュラーシーブはXTO条件下で熱水作用に対して安定で、酸素−含有供給原料(酸素化物ともいう)、ハロゲン−含有供給原料、硫黄−含有供給原料から軽質オレフィン(例えばエチレンおよび/またはプロピレン)を選択的に製造することができる。
【0006】
有機テンプレートはMeAPOモレキュラシーブの合成で使用する最もコストのかかる成分であり、最終生産物の価格を決める主たる因子である。使用するテンプレートの量を減らすための努力と、最も費用のかかる分子をより安い費用のものに代えるための努力がなされてきた。しかし、安価な分子を使用するとテンプレート/P25モル比が高くなる。従って、結晶性モレキュラシーブを形成するのにテンプレート剤を使用ことには問題が多く、高価にもなる。また、モレキュラーシーブの製造で必要なテンプレート剤の量を減らすことは有利なことである。
【0007】
さらに、XTOプロセスで使用する間に、プロセスでの磨耗や避けられない失活のために、有意な量のMeAPOが失われる。また、MeAPOシーブの成形時の凝集操作や噴霧乾燥で工業的な利用に適さない多量の微粉末粒子が生じる。これらの使用済みMeAPO、特にその磨耗粒子(微粉末)が再利用できることは重要である。同様に、成形時に生じた未使用の不適切微粉末の使用法を見付けることも有利である。特に、使用済みのMeAPO、特にMeAPOの磨耗粒子(微粉末)をリサイクルでき、一般に工業的利用に不適当な未使用の新しい微粉末を使用する方法が見つかれば、それは重要なことである。
【0008】
以下、MeAPO粒子をリサイクルまたは若返らせるための各種の従来方法を示す。
【0009】
特許文献1(US 7,358,412)に記載のモレキュラーシーブ触媒の製造方法には、スプレー乾燥したモレキュラーシーブのフラクション収率を増やす方法が開示されており、磨耗微粉末は噴霧乾燥で再利用される。
【0010】
特許文献2(EP 1 301 274)に開示のモレキュラーシーブ触媒の合成方法では、磨耗粒子は新しいモレキュラーシーブおよびバインダと一緒に噴霧乾燥にリサイクルされる。
【0011】
特許文献3(US2008/0015402 A1)に開示の不活化モレキュラーシーブを若返らせる方法では失活したモレキュラーシーブを湿気と接触させて若返らせる。若返らせた触媒は供給材料のメタノールからオレフィン製品を作るのに使用される。モレキュラーシーブの触媒活性を増加させるのに十分な速度でモレキュラーシーブを加熱して若返らせる。
【0012】
特許文献4(US 2007/0004951)に記載のモレキュラーシーブ粒子の活性回復方法では不活化したシリコアルミノホスフェート・モレキュラーシーブ触媒を熱水作用で若返らせる。若返らせた触媒は酸素化物からオレフィン製品を作るのに使用される。特に、触媒の触媒活性レベルが所望の大きさに増やされるまで、この特許では触媒を若返らせるために温水、アンモニウム塩、希酸または低圧スチームと接触させる。
【0013】
上記の従来技術は、少量のMeAPO(これはXTOまたはOCP反応装置から得られる使用済み/不活化MeAPOにすることができる)の存在下で先駆体の再結晶する本発明を開示していないので本発明とは異なるものである。この違いによって、使用済み/不活化MeAPO、特に使用済み/不活化MeAPOの磨耗した粒子、微粉末をより有効に再利用できる。本発明で得られるMeAPOモレキュラーシーブは極めて小さな結晶サイズを有し、特にプロピレンのための性を有している。使用済み/不活化MeAPOを再利用できることで費用のかかるテンプレート試剤の量を減らすことができる点も強調しなければならない。
【0014】
特許文献5(国際特許第WO03 040037号公報)には自己発生圧力下でにメタロアルミノホスフェート結晶を得るための高温度で結晶化を行うための金属活性源および有機構造化剤を含む水性混合溶媒をアルミニウム・ホスファート(AIPO)を含む粒子の気孔を少なくとも部分的に充填した吸着剤または触媒として使用されるミクロポーラス結晶質メタロアルミウムホスフェートの製造方法が記載されている。この特許に記載の粒子は工業的なMTOプロセスに適した結晶化された原料とバインダとの混合物から製造される。
【0015】
特許文献6(国際特許第WO 08 019586号公報)にはSAPOモレキュラーシーブを含むミクロ球形触媒の製造方法が記載されている。この特許は酸素−含有化合物を低炭素オレフィンに変換するための反応の触媒としての使用にも関するものである。この特許はミクロ球形触媒を系中(インシチュー)で合成して酸素−含有化合物をオレフィンに変換する方法において、先ず第1に噴霧乾燥によってシリコンリンアルミニウム酸化物を含むマイクロスフェアを作り、次いで、マイクロスフェア中にSAPOモレキュラーシーブを系中(インシチュー)で形成することに特徴がある。先駆体をMeAPOへ完全トランスフォーメーションすることが記載されている。
【0016】
特許文献7(国際特許第WO03 101892号公報)は成形体内部でメタロアルミウムホスフェートの結晶化を行うことをベースにした系中(インシチュー)でミクロポーラス結晶メタロアルミウムホスフェートの吸着剤または触媒の製造方法が記載されている。成形体はAIPOとバインダとから成る。その後、有機構造化剤(すなわちテンプレート)と金属源と水とを加える。それから系中(インシチュー)で成形体の形およびサイズを維持した状態で高温度および圧力下にメタロアルミウムホスフェートを結晶化させる。この特許は他の成分を加える前かつ結晶化前に成形体すなわち形成されたAIPOに追加のバインダを加えることが必要であることを教えている。
【0017】
特許文献8(米国特許第4,861,743号明細書)には、アルミナまたはシリカアルミナの先駆体(必要に応じてさらに五酸化燐および/または非ゼオライト系モレキュラーシーブに望ましい他の元素の反応源を含む)を、五酸化燐(必要に応じてさらにシリカおよび/または非ゼオライト系のモレキュラーシーブで望ましい他の元素の反応源を含む)反応源を含む液体反応液および有機テンプレート剤と接触させて、形成体内で液体反応液と反応させて、形成体内に非ゼオライト系モレキュラーシーブの結晶を形成する非ゼオライト系モレキュラーシーブの製造方法が開示されている。先駆体は、Al源および任意成分のSi源を乾式混合し、ペーストとして非晶質の形に押出成形し、好ましくはP源を含む液体反応液を加える前にか焼して作られる。この特許は燐は配合後に加えなければなければならないことを教えている。この混合物は均質混合物ではない。
【0018】
特許文献9(国際特許第WO 94/13584号公報)には、反応液を形成可能にするのに充分な水を含む反応液を用いてアルミノ珪酸塩ゼオライトを製造する方法が記載されている。この方法では反応液を結晶化条件下で外部液相無しに加熱する。従って、結晶を乾燥する前に過剰液体を結晶化原料から除去する必要がない。テンプレートはシリカ源およびアルミナ源と一緒に同時に加える。これによって駆体は完全結晶化する。
【0019】
特許文献10(米国特許第US 5,514,362号明細書)には、結晶化前に自己支持可能な粒子に成形するのに充分な量の液体を含む濃縮ゲルから非ゼオライト系モレキュラーシーブを製造する方法が記載されている。この特許では粒子の形をしていてもよい濃縮ゲルが結晶化条件下で外部液相無しで加熱される。従って、結晶化段階の終わりに過剰液体を除去する必要はない。このゲルはAl源、P源およびテンプレート剤を同時に含む。Si源は必要に応じて濃縮ゲルに加えることができる。濃縮ゲルの形成時にテンプレート剤を含むことによって完全な結晶化ができる。
【0020】
特許文献11(米国特許第US2005/0063901号明細書)は酸化珪素活性化源と有機テンプレート剤とを含む水性反応スラリーを形成し、反応液を噴霧乾燥して粒子にし、噴霧乾燥した粒子を結晶化に充分な温度および圧力で乾燥してモレキュラーシーブを製造する方法を開示している。テンプレートは噴霧乾燥後に成形された粒子に加えることができる。特に、加熱前にスプレー乾燥した原料に全てのテンプレートを加えると結晶化しないと記載されている。この特許はゼオライト系モレキュラシーブに関するもので、MeAPOは関係ないため、この特許に開示のモレキュラーシーブにはP源は含まれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第US 7,358,412号明細書
【特許文献2】欧州特許第EP 1 301 274号公報
【特許文献3】米国特許第US2008/0015402 A1号明細書
【特許文献4】米国特許第US 2007/0004951号明細書
【特許文献5】国際特許第WO03 040037号公報
【特許文献6】国際特許第WO08 019586号公報
【特許文献7】国際特許第WO03 101892号公報
【特許文献8】米国特許第4,861,743号明細書
【特許文献9】国際特許第WO 94/13584号公報
【特許文献10】米国特許第US 5,514,362号明細書
【特許文献11】米国特許第US2005/0063901号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、上記従来技術の問題の少なくとも一つを克服することにある。
本発明の他の目的は、容易に製造できるMeAPOモレキュラーシーブを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、使用済み/不活化MeAPOをリサイクル/若返らせることにある。
本発明のさらに他の目的は、使用後の磨耗したモレキュラーシーブの磨耗粒子をリサイクルすることにある。
本発明のさらに他の目的は、金属(Me)、AlおよびPの供給源の溶液から新しいMeAPOモレキュラーシーブを製造することにある。
本発明のさらに他の目的は、結晶化段階で最低量の水溶性媒質を使用して新しいMeAPOモレキュラーシーブを製造することにある。
本発明のさらに他の目的は、テンプレート剤の量を減らしてMeAPOモレキュラシーブを製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、従来法よりも少量の有機テンプレートを使用することで、非晶質の先駆体中に少量の第1の結晶質MeAPO(新しい材料でも使用済未ものでもよい)を存在させることで先駆体を第2のMeAPOモレキュラーシーブに変換する、モレキュラーシーブの製造方法にある。第2のモレキュラーシーブは同じものでも別のものでもよい。
【0024】
すなわち、本発明はMeAPO磨耗粒子(微粉末)のリサイクリング、および/または、使用済み/不活化MeAPOのリサイクリングまたは若返り、および/または、廃棄触媒の利用にも関するものである。本発明はさらに、新しいモレキュラーシーブを非晶質先駆体と混合して使用するものにも関するものである。
【0025】
これは前回製造した第1のMeAPOモレキュラーシーブを非晶質先駆体に加え、それにテンプレートを添加し、結晶化することで行うことができる。これは第1のMeAPOで非晶質先駆体を不分的または完全に結晶化して、結晶化前に加えたものより多量のMeAPOの結晶質相を非晶質固体中に形成して実行される。非晶質先駆体は部分的結晶化の前または後に極めて容易に形成できる。
【0026】
本発明は、下記の(a)〜(f)の段階を下記の順番で有するメタロアルミノホスフェート(MeAPO)モレキュラーシーブの製造方法にある:
(a) アルミニウム(Al)、燐(P)および金属(Me)の少なくとも2つの供給源(ソース)を含む均一な溶液を作り、
(b) 上記溶液に第1のMeAPOモレキュラーシーブを加え、この第1のMeAPOモレキュラーシーブ添加する前および/または後にpHを変えて非晶質の先駆体を作り、
(c) 水から非晶質の先駆体を分離し、必要に応じて非晶質の先駆体を成形し、
(d) 必要に応じて水で洗浄し、450℃以下の温度で非晶質の先駆体を乾燥し、
(e) 上記の非晶質の先駆体を有機テンプレート-含有水溶液および段階(a)で既に存在していないAl、PまたはMeの供給源と接触させ、必要に応じて脂肪族アルコールの存在下で、必要に応じて追加のAlおよび/またはPおよび/またはMeの供給源と接触させ、
(f) 上記の非晶質の先駆体を自己発生条件下で結晶化させて、結晶質モレキュラーシーブの濃縮度を初期の先駆体に対して増加させて、第2のMeAPOモレキュラーシーブを得る。
【0027】
段階(f)で生成されるモレキュラーシーブは段階(a)で加えたものと同じでも異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1−6】は非晶質先駆体から得られる各種MeAPO-含有触媒のXRDパターンを表す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1のMeAPOモレキュラーシーブはか焼されたもの、および/または、か焼されないもの、および/または、使用済みMeAPOモレキュラーシーブにすることができる。第1のMeAPOモレキュラーシーブの定義には前回のMeAPOモレキュラーシーブ合成の成形時に回収したみ使用のMeAPO磨耗微粉末(か焼されていても、か焼されていなくてもよい)が含まれる。
【0030】
段階(b)に加える、か焼された、または、未か焼のまたは使用済みMeAPOモレキュラーシーブまたはMeAPO磨耗粒子の量は広い範囲で変えることができるが、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは2〜50重量%にするのが好ましい。この重量百分率は段階(a)で作られた混合物の乾燥組成(Al23/P25/SiO2)に対して定義される。
【0031】
段階(a)〜(b)の任意の溶液に追加のバインダおよび充填剤を加えることができる。
【0032】
段階(c)で共沈した非晶質先駆体が形成されない場合には、本発明方法に追加の段階(g)を加え、段階(f)で得たモレキュラーシーブを必要に応じて他の化合物の存在下で押出し成形または噴霧乾燥することもできる。
【0033】
本発明方法は、段階(f)または段階(g)で得られたモレキュラーシーブをか焼、スチーム処理またはイオン交換する段階(h)をさらに有することができる。
【0034】
段階(a)で得られる溶液のpHは4以下または8以上であるのが好ましい。pHは段階(b)で4〜8のpHに変えるのが好ましい。pHは非晶質先駆体を得るために第1のMeAPOモレキュラーシーブの添加する前に4〜8のpHに変えることができる。それから再びpHを変えて先駆体の沈澱量を増やすことができる。しかし、pHは4〜8の間に維持しなければならない。あるいは、非晶質の先駆体を得るために第1のMeAPOモレキュラーシーブを添加した後にのみpHを4〜8に変える。
【0035】
本発明はさらに、上記方法で得られるMeAPOモレキュラーシーブにも関するものである。
本発明はさらに、XTOプロセスおよびXTO/OCP組合せプロセスでの上記MeAPOモレキュラーシーブの使用にも関するものである。
本発明はさらに、XTOプロセスおよびXTO/OCP組合せプロセスでMeAPOを再循環させる方法にも関するものである。
【0036】
本発明は、非晶質固体の先駆体から結晶質MeAPOモレキュラーシーブを得るための、コストおよび効率が改良された方法を提供する。本発明のエッセンスは、Al、PおよびMeの少なくとも2つの供給源およびモレキュラーシーブを含む水溶液から得たMeAPOモレキュラシーブ含有量の高い触媒を製造するための少量のMeAPOを含む濃い非晶質固体の先駆体を使用することによって提供される。上記の供給源は経済的かつ容易に入手できる。モレキュラーシーブは溶液に加える前に粉砕して粒径を4マイクロメートル以下に減らすことができる。本発明方法は結晶化を結晶質相の存在下より温和な条件下に実行するため、アモルファス先駆体からMeAPOを結晶化させるのに使用するテンプレートの量を大幅に減らすことができる。
【0037】
本発明はさらに、XTOプロセス装置からの磨耗した粒子をリサイクルし、使用済み/不活化MeAPOをリサイクル/若返らせ、廃棄MeAPO触媒を再利用するための解決策を提案する。本発明の別の態様は、テンプレート剤の必要量を減らすことにあるので、未使用の新しい触媒、特にMeAPOモレキュラーシーブの合成で得られる磨耗粒子を使用することもできる。
【0038】
非晶質固体を使用することで水の量を減らすことができ、結晶化段階を非常に濃縮した懸濁液で実行することができる。
【0039】
段階(a)ではAl, PおよびMeの少なくとも2つのソースを含む溶液を作る。
均一な非晶質先駆体を得るための開始水溶液は以下のいずれかのソースを含む:
i) Al、PおよびMe、
ii) AlおよびP、
iii)AlおよびMe、または
iv) PおよびMe。
【0040】
か焼済み/未か焼または使用済み/不活化MEAPOと一緒に用いる場合には、(i)および(ii)が一般に好ましい。(ii)が特に好ましい。
【0041】
(i)の場合の溶液のAl:PおよびAl:Meのモル比は一般に0.5〜5、好ましくは0.2〜5、より好ましくは1〜3および0.25〜4である。
【0042】
(ii)の場合の溶液のAlとPのモル比は一般に0.5〜5、好ましくは1〜3である。
【0043】
(iii) の場合の溶液のAlとMeのモル比は一般に0.2〜100、好ましくは0.25〜5、最も好ましくは0.25〜4である。
【0044】
(iv)の場合の溶液のPとMeのモル比は一般に0.05〜15、好ましくは0.15〜10である。
【0045】
(ii)、(iii)、(iv)では段階(a)でAl、PおよびMeの第三成分を加えなかった場合、段階(d)でテンプレート剤と一緒に加えることができる。最初の非晶質固体中に珪素および燐が存在している場合でも、最終モレキュラーシーブのP /テンプレートのモル比が偉大で10、好ましくは最大で4となるように、これら元素の所定量をテンプレートと一緒に加えることができる。
【0046】
段階(a)に存在するAl、PおよびMeの各供給源が水に可溶である必要はないが、これらの成分から成るスラリーは連続攪拌して、次の段階へ進む前に均一な混合物にする必要がある。
【0047】
各成分の均一溶液は最少量の水を使用した水溶媒質中に各成分の供給源を分散および/または溶解することによって得られる。
【0048】
必要な場合には、段階(a)でAlが存在する実施例すなわち実施例(i)、(ii)および(iii)では、追加の水を加える必要は全くない。Al−含有供給源の水和水として存在する水で充分である。あるいは、Al含有供給源の重量をベースにして追加の水を最高で40重量%溶液に加えることもできる。溶液は追加の水を最大で20重量 %含むことができる。最も好ましくは、溶液は追加の水を最大で5重量%含むことができる。また、下記で述べるように、段階(b)に水を塩基溶液の形で加えることもできる。
【0049】
Alの供給源はリン酸の水溶液に分散または溶解可能な任意のアルミニウム種にすることができる。有用なアルミナ供給源はAl(NO33、水和アルミナ、ペプチド化(peptized)アルミナ、有機アルミニウム化合物、特にAl(OiPr)3、プソイド−ベーマイト、水酸化アルミニウム、コロイド状アルミナ、ハロゲン化アルミニウム、アルミニウムカルボキシレート、硫酸アルミニウム、NaAlO2およびこれらの混合物から成る群の中から選択される一種以上の供給源である。
【0050】
Pの供給源はリン酸、有機リン酸塩、例えばアルカリホスファート、特にリン酸トリエチル、アンモニウム塩、例えば一塩基性リン酸アンモニウム、二塩基性リン酸アンモニウムおよびテトラアルキル-リン酸アンモニウム、アルミノホスフェートおよびこれらの混合物から成る群の中から選択される一種以上の供給源にすることができる。
【0051】
Meの供給源は珪素、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、コバルト、ニッケル、マンガンおよびクロムから成る群の中から選択される一種以上の金属にすることができる。
【0052】
AlとP供給源のみが段階(a)で加えられる場合には、一種以上の金属は段階(d)で加える。好ましい金属は珪素、ゲルマニウム、マグネシウムおよびコバルトであり、珪素またはゲルマニウムが特に好ましい。水溶液に分散または溶解できる無機珪素の供給源の非限定的な例はコロイドシリカ、熱分解シリカ(ヒュームドシリカ)、シリカゾル、金属シリケート、沈殿シリカ、カオリン、有機珪素化合物(テトラエチルオルソシリケート等)およびシリカゲルまたはこれらの混合物である。金属シリケートはCa、Mg、SrおよびBaから選択される一種以上のアルカリ土類金属から成るアルカリ土類金属にすることができる。金属シリケートはB、Ga、Al、Ce、In、Cs、Sc、Sn,Li、Zn、Co、Mo、Mn、Ni、Fe、Cu、Cr、Ti、LaおよびVの中から選択される少なくとも一つ他の元素を含むことができる。他の元素はAl、Mg、Ce、CoおよびZnまたはこれらの混合物から選択するのが好ましい。
【0053】
好ましいMe供給源は非常に開いたアクセス可能な多孔質構造を有する珪酸カルシウムであり、より好ましいMe供給源は無機xonotliteに対応する公知の化学組成Ca6Si617(OH)2を有する合成の結晶質水和珪酸カルシウムである。一般に、合成水和珪酸カルシウムは自己発生的圧力下で熱水作用で合成される。特に好まし合成水和珪酸カルシウムはドイツのラッチンゲンのPromat社から市販のPromaxonである。
【0054】
段階(b)で、非晶質の先駆体溶液に第1のMeAPOモレキュラーシーブを加えることができる。第1のMeAPOモレキュラーシーブはか焼済みおよび/または未か焼、および/または、使用済みMeAPOモレキュラーシーブにすることができる。この第1のMeAPOモレキュラーシーブの定義には前回のMeAPOモレキュラーシーブ合成の成形時に回収した未使用のMeAPO磨耗微粉末(か焼済みまたは未か焼)が含まれる。このMeAPOモレキュラーシーブはテンプレートを含んでいてもよく、か焼形または乾燥形にすることができ、また、他の化合物(バインダ、充填剤、その他)と結合することもできる。先駆体溶液に加える前にモレキュラーシーブを処理する必要はないが、粉砕して粒子のサイズを4マイクロメートル以下に小さくするのが好ましい。
【0055】
非晶質先駆体中のMeAPOモレキュラーシーブの含有量は広範囲に変えることができる。このMeAPOの含有量はAl23+P25+SiO2の合計の乾燥重量を基にして少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは2〜50重量%であるのが好ましい。
【0056】
非晶質の先駆体は段階(b)において第1のMeAPOモレキュラーシーブの添加前および/または後に、溶液のpHを変えることによって得られる。好ましくはpHを4〜8に変える。非晶質の先駆体を得るために、第1のMeAPOモレキュラーシーブの添加後にpHを変える4〜8に変えるのが好ましい。モレキュラーシーブ添加後に再びpHを変えることで先駆体の沈降量を増やすことができるが、pHは4〜8の間に維持しなければならない。
【0057】
あるいは、pHを予め変えずに、第1のMeAPOモレキュラーシーブを溶液に加えることもできる。モレキュラーシーブの添加後にpHを変え、好ましくは4〜8にして非晶質の先駆体を得ることができる。
【0058】
このpHの変更は一般に塩基相に酸相を加えるか、その逆を行うことで実行される。一つの適切な方法は塩基相に酸相をドリップ、スプレーまたはゆっくり導入して、溶液が大過剰の塩基と接触して小球またはボールにする方法である。この小球またはボールを回収する。先駆体のpHを増やすのに塩基が必要な場合には水酸化アンモニウム、有機アミン、アルカリまたはアルカリ金属塩の一つを選択するのが好ましい。好ましい塩基は水酸化アンモニウムNH4OHである。先駆体のpHを減らすのに酸が必要な場合には無機酸が好ましい。無機酸は硝酸、塩化水素酸、メタン硫酸、硫酸、燐酸、炭酸等の無機酸またはこれらの酸の塩(例えばナトリウム塩またはアンモニウム塩)またはこれらの酸または塩の混合物にすることができる。好ましい酸はリン酸である。
【0059】
段階(c)では非晶質先駆体を水溶媒質から分離する。必要に応じて成形することもできる。
本発明の一つの実施例では、沈澱させた非晶質先駆体を濾過および/または遠心分離および/または蒸発および/または乾燥によって水から分離する。蒸発または乾燥は乾燥装置中で大気圧下または減圧下で少なくとも5O℃の温度に溶液を加熱することで非晶質先駆体にすることができる。分離した非晶質先駆体は必要に応じて形成(成形)することができる。これは押出し加工および/または造粒および/または噴霧乾燥で実行できる。造粒および押出加工は分離した先駆体から成形するための好ましい方法である。この段階で触媒を形成しない場合には、後の段階すなわち段階(g)で成形するのが好ましい。当業者に公知の全ての技術を使用できる。好ましい方法は選択された供給源Al、PおよびMeと触媒の所望用途に依存する。
【0060】
本発明の他の実施例では、当業者に公知の他の任意の方法、例えば噴霧乾燥によって沈澱させた先駆体を含むスラリーから直接に触媒を成形できる。この場合、沈澱させた先駆体を含む溶液を熟成させた後に水で薄めてスラリーを形成することができる。供給源Al、P、Meおよび沈澱させた非晶質先駆体を含むスラリーは成形装置へ送られ、そこで成形された乾燥非晶質先駆体が製造さる。成形装置の非限定的な例には噴霧乾燥器、ペレタイザ、エキストルーダ、その他が含まれる。好ましい実施例での成形装置は噴霧乾燥器である。一般に、成形装置はスラリーから大部分の液体(例えば水)を除去するのに十分な温度に維持される。
【0061】
成形装置として噴霧乾燥器を使用した場合には、供給源Al、P、Meを含む混合物を乾燥装置へ乾燥ガスと一緒に送る。本発明の実施例では乾燥装置の平均入り口温度は150℃〜550℃で、平均出口温度は100℃〜約250℃である。
【0062】
本発明の一つの実施例ではスラリーはエーロゾルスプレーと同様にノズルを通して乾燥室に噴霧されて小さい液滴になる。アトマイザーではスラリーを単一ノズルまたは多重ノズルを介して100psiaから1000psia(690kPa-a〜6895kPa-a)の範囲の圧力降下をさせる。本発明の他の実施例では、スラリーをアトマイザー液、例えば空気、スチーム、煙道ガスまたは他の適切なガスと一緒に単一ノズルまたは多重ノズルを介して噴霧する。多重ノズルを使用する場合には、Si化合物を含む他の流れを一緒に供給することができる。
【0063】
本発明のさらに他の実施例では、上記スラリーがスラリーを小さい液滴に分解するスピニングホイールのペリメータへ送られる。液滴のサイズはスラリーの粘度、液面張力、移動比、圧力、スラリーの温度、ノズルまたはスピニングホイールの形および寸法を含む多くのファクタにより管理される。この溶滴は噴霧乾燥機を通る並流または対向流の空気で乾燥され、部分的または完全に乾燥したモレキュラーシーブ触媒になる。スラリーを乾燥するのに用いることができるスプレー乾燥プロセスの例は特許文献8に記載されており、その内容は本明細書の一部をなす。
【特許文献12】米国特許第4,946,814号明細書
【0064】
成形段階を含む上記実施例のいずれも他の種々の原料、例えば有機変換プロセスで使用する温度、その他の条件で加工を容易にし、触媒の耐久性を増加させるTylose、マトリックス物質、各種の非活性または触媒活性物質または各種バインダ原料の存在下で実行できる。
【0065】
任意段階の段階(d)での水洗および乾燥は当業者に公知の普通の手段が使用できる。段階(c)で得られたモレキュラーシーブの非晶質先駆体を水洗、乾燥する。
本発明の特定実施例では先駆体を水で洗い、比較的低い液面張力を有する揮発性の酸素含有水可溶性有機溶剤で洗浄する。
水洗後、モレキュラーシーブ先駆体を乾燥する。得られた先駆体は非晶形の形でなければならない。結晶化段階前に結晶化性が存在すると、所望の結晶の形成をじゃまするということが分かっている。そのため、固形物をアモルファスで状態にするために、段階(d)の前にか焼することができる。このか焼は先駆体をアモルファスにしておくためだけでなく、反応部位の反応性と接近性を変える。従って、段階(d)のテンプレート−含有溶液と先駆体との反応を加速する。しかし、か焼温度は非晶質先駆体の結晶化温度すなわち非晶質先駆体が結晶化する温度以下すなわち450℃以下の温度に維持しなければならない。
【0066】
許容可能なか焼環境は一般に少量の水蒸気を含む空気であり、典型的なか焼温度は450℃以下であり、好ましいか焼環境は空気、窒素、ヘリウム、煙道ガス(酸素が少ない燃焼生成物)またはこれらの任意組合せである。
【0067】
成形された乾燥後のモレキュラーシーブ触媒は任意タイプの装置、ロータリキルン、流動床か焼炉、バッチオーブン等でか焼できる。か焼時間はモレキュラーシーブ触媒の硬度および温度に依存する。
【0068】
好ましい実施例ではモレキュラーシーブ触媒は空気または窒素中で約100℃〜約450℃の温度で加熱される。加熱は30分から15時間、好ましくは1時間から約10時間、さらに好ましくは約1時間から約5時間、最も好ましくは約2時間から約4時間行うのが好ましい。
【0069】
段階(e)では非晶質先駆体がテンプレート含有溶液と接触され、段階(a)で存在しない場合には、Al、PまたはMeの供給源と接触される。先駆体とテンプレート剤含有溶液との混合物と例えばAl、PまたはMeの供給源とは反応液が実質的に均一になるまで攪拌するのが好ましい。
【0070】
段階(a)で既に存在する場合でも、追加のAl、Pおよび/またはMeを段階(d)で加えることができる。さらに、これらの元素の追加の供給源は段階(a)の溶液中のものと同じものでも、異なるものでもよい。
【0071】
段階(d)の反応液は成分P/テンプレートのモル比が3以下、および/または、Al/Pが1から5、および/または、Al/Siが0.2から100、好ましくはAl/Siが0.2から5、好ましくはAl/Siが0.2から4であるのが有利である。
【0072】
上記溶液中に必要に応じて脂肪族アルコールを加えることができる。この脂肪族アルコールはテクスチャー影響剤(TIA)の役目をする。このアルコールは1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセリンまたはエチレングリコールから成る群の中から選択するのが好ましいが、これらに限定されない。好ましい脂肪族アルコールはメタノール、エタノールまたはエチレングリコールである。
【0073】
テンプレート剤はゼオライト系アルミノ珪酸塩およびミクロポーラスアルミノホスフェートの合成で使用されている公知の任意のものにすることができる。一般に、これらの化合物は周期律表の第Va族元素が、特に窒素、リン、ヒ素およびアンチモンを含み、好ましくはNまたはP、最も好ましくはNを含み、この化合物は1〜8の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキルまたはアリール基を含む。テンプレート剤として使用するのに特に好ましい窒素−含有化合物はアミンおよび第四アンモニウム化合物で、後者は一般に式:R4+で表され、各Rは1〜8の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基である。また、ポリ第四アンモニウム塩、例えば[(C14322)(OH)2Xも好ましく使用できる(xは少なくとも2の値)。モノ−、ジ−およびトリ−アミンを単独または第四アンモニウム化合物またはテンプレートと一緒に使用できる。代表的なテンプレート剤はテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウムまたはテトラブチルアンモニウム・カチオン、ジ-n−プロピルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、2-ピコリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N'-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンイオン、メチルジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、N-メチルシクロヘキシルアミン、3-ピコリン、4-ピコリン、クインクリジン(quinuclidine)、N,N'-ジメチル-1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンイオン、ジ-ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ-nペンチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチルアミン、エチレンジアミン、ピロリジンおよび2-イミダゾリドンである。好ましい有機テンプレート剤は水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、ジイソプロピルエチルアミン(DPEA)、テトラエチル・アンモニウム塩、シクロペンチルアミン、アミノメチル・シクロヘキサン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエチルヒドロキシエチルアミン、モルホリン、ジプロピルアミン、ピリジン、イソプロピルアミンジ-n-プロピルアミン、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、ジイソプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、n-ブチルエチルアミン、ジ-ブチルアミンおよびジ-n-ペンチルアミンおよびこれらの組合せの中から選択される。テンプレートは水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)、テトラエチル・リン酸アンモニウム、テトラエチル弗化アンモニウム、テトラエチル臭化アンモニウム、テトラエチル塩化アンモニウム、テトラエチル酢酸アンモニウムから成る群の中から選択されるテトラエチル・アンモニウム化合物であるのが好ましい。最も好ましいテンプレートは水酸化テトラエチルアンモニウムである。これらは水溶液の形で加えることができる。
【0074】
段階(f)では懸濁液または先駆体からモレキュラーシーブが部分的にまたは完全に結晶化される。好ましくは、自己発生条件下で結晶化されて、5〜100重量%の非晶質先駆体を結晶化させる。好ましくは非晶質先駆体の5〜90重量%を結晶化させ、より好ましくは5〜80重量%を結晶化させる。結晶化のための自己発生的条件は当業者に周知である。残った非晶相はバインダとして作用できるので、部分的結晶化が有利であり、従って、工業スケールのプロセスに必要な量のバインダを減らすまたは除去する。
【0075】
反応液は約120℃〜250℃、好ましくは130℃〜225℃、最も好ましくは150℃〜200℃の結晶化温度に加熱される。結晶化温度までへの加熱は一般に約0.5〜約16時間、好ましくは約1〜12時間、最も好ましくは約2〜9時間行う。温度は段階的または連続的に上昇できるが、連続的に加熱するのが好ましい。
【0076】
結晶化温度での結晶化は所望の比率の結晶性物質が得られるまで、すなわち5〜50重量%の非晶質先駆体が得られるまで行う。結晶化プロセスは所望の結晶化度に従って一般に数時間から数週間行う。一般に効果的な結晶化時間は約2時間から約30日であり、一般には約24から約240時間、好ましくは約48時間〜約144時間が使われる。特定実施例では反応液は16〜96時間結晶化温度に保持される。
【0077】
反応液は静止状態にしておくか、熱水処理の間、反応容器を攪拌または揺動することができる。反応液は揺動または攪拌し、より好ましくは攪拌する。本発明のモレキュラーシーブの合成に必須ではないが、反応液を撹拌するか揺動することで結晶化は容易になる。生成物は従来の任意の方法、例えば遠心分離または濾過で回収される。
【0078】
結晶化段階から取り出した粒子が最終触媒の所望サイズおよび形状である場合には、モレキュラーシーブはそれ以上の加工なしに触媒として使用できる。
【0079】
段階(g)では、段階(c)で成形をしていない場合、段階(f)で得られた部分的に結晶化した原料に必要な水量を添加した後に、押出し成形および/または造粒加工および/またはスプレー乾燥で成形ができる。この場合、固形物の非晶質部分はマトリックスおよびバインダが置換する。しかし、成形段階は有機変換プロセスで使用する温度およびその他の条件での触媒の耐久性を容易に増加することができる他の各種原料、例えばタイロース(Tylose)、マトリックス物質、各種の不活性または触媒活性物質または各種のバインダ原料の存在下で実行することもできる。
【0080】
マトリックス物質には活性および非活性な原料、合成または天然のゼオライト、無機原料、例えばアルミナ、クレー、シリカおよび金属酸化物が含まれる。これはゲル状沈殿物、ゾルまたはシリカおよび金属酸化物の混合物を含むゲルの形にすることができる。また、希土類金属、アルミナまたはアルミナ・ゾル、チタニア、エクソノタイト(xonotlite)、ジルコニアおよび石英の各種形態も考えられる。活性物質を合成モレキュラーシーブと組み合わせて使用することで有機変換プロセスでの触媒の変換率および選択性を改良することができる。多くの場合、モレキュラーシーブ原料は天然クレー、例えばベントナイトおよびカオリン中に組み込まれている。これらの原料すなわちクレー、オキサイド等は触媒のバインダの役目の一部をする。
【0081】
モレキュラーシーブ結晶と組み合わせることができる天然クレーにはモンモリロナイトおよびカオリン類が含まれ、それにはサブベントナイトおよび一般にディクシー、マックネーム(McNamee)、ジョージアおよびフロリダクレーとして知られるカオリンが含まれ、さらに、主たる鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナックアイト(nacite)またはオキサイト(auxite)が含まれる。これらのクレーは掘り出した生の状態で使用でき、また、最初にか焼、酸処理または化学修飾をすることができる。結晶と組み合わせるのに有効なバインダは無機酸化物、特にアルミナまたはシリカである。
【0082】
上記の原料に加えて、製造されたモレキュラーシーブにリン酸アルミニウム、シリカアルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、三成分系の例えばシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニア等の多孔質マトリックス物質を組み合わせることができる。細かなモレキュラーシーブ原料と無機酸化物マトリックスとの重量比率は広範囲に変えることができ、結晶含有量は一般に複合材の重量の1〜90重量%であり、複合材がビーズの形で製造される場合には2〜80重量%である。
【0083】
メタロアルミノホスフェート・モレキュラーシーブ原料と混合する場合、最終の触媒生成物中に含まれる本発明MeAPOの量は全触媒の10から90重量%、好ましくは全触媒の20〜70重量%である。
【0084】
これらの原料にはカオリンとその他のクレー、希土類金属の各種形態、アルミナまたはアルミナゾル、チタニア、ジルコニア、石英、シリカまたはシリカゾルおよびこれらの混合物が含まれる。それらは触媒を濃化して、形成された触媒の強度を増加させる役目をする。
【0085】
段階(h)のモレキュラーシーブのか焼自体は公知である。モレキュラーシーブ晶析プロセス後に回収されるモレキュラーシーブの気孔内には使用したテンプレートの少なくとも一部が含まれる。本発明の好ましい実施例では、テンプレートがモレキュラーシーブから除去され、モレキュラーシーブのミクロポーラス・チャネルを有する活性触媒部位が供給原料と接触できるような方法で賦活を行う。賦活方法はテンプレートを含むモレキュラーシーブをか焼するまたは酸素−含有ガスの存在下で200〜800℃、好ましくは350℃〜600℃の温度で基本的に加熱することで行う。場合によっては、低酸素濃度の環境したでモレキュラーシーブを加熱することが望ましい。このタイプのプロセスは結晶内気孔系からテンプレートを部分敵または完全に除去するために使用できる。ある特定の実施例では、最終モレキュラーシーブを少なくとも10%の水を含んだ雰囲気下で550〜75O℃、好ましくは600〜72O℃の温度のスチーム処理する。
【0086】
合成時にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を使用した場合には、モレキュラーシーブをイオン交換段階で処理できる。従来、イオン交換はアンモニウム塩または無機酸を使用して水溶液で行う。
【0087】
モレキュラーシーブは製造後にそのまま触媒として使用できる。本発明の他の実施例では、モレキュラーシーブを最終触媒製品の強度または触媒活性を増加させるための他の原料と組み合わせて触媒に形成することができる。しかし、既に述べたように、残ったMeAPOの非晶相がバインダの作用をする。
【0088】
本発明はさらに、本発明の方法で作られたMeAPOモレキュラシーブを含む触媒または本発明方法で作られたMeAPOモレキュラシーブと組み合わせた触媒にも関するものである。
【0089】
本発明方法で合成されたMeAPOモレキュラーシーブの使用にはガスおよび液体の乾燥での使用、寸法と極性をベースにした選択的分子分離、イオン交換剤としての使用、クラッキング、水素化分解、ジスプロポーショネーション、アルキル化、異性化、酸化触媒としての使用、ケミカルキャリヤーとしての使用、ガスクロマトグラフィでの使用、留出液から直鎖パラフィンを除去するための石油精製での使用が含まれる。より正確には、例えばナフサ供給材料の軽質オレフィンへのクラッキングまたは高分子量(MW)の炭化水素の低MW炭化水素へのクラッキング、水素化分解、例えば重質鉱油および/または環式供給原料の水素化分解、芳香族、例えばキシレンの異性化、例えばオレフィンの重合、例えばオリゴマー生成物の製造、炭化水素の脱蝋、例えば直鎖パラフィン系炭水素の除去、例えばアルキル芳香族化合物を吸着するその異性体の分離、例えば直鎖または分岐鎖オレフィンのオリゴマー化、モノアルキルアミンおよびジアルキルアミンの合成を含む種々のプロセスの触媒として使用できる。
【0090】
本発明方法で作られたMeAPOは酸素−含有、ハロゲン−含有または硫黄−含有有機化合物の炭化水素への触媒変換に特に適している。従って、本発明はさらに、酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料からオレフィン生成物を作る方法にも関するものである。この場合、上記供給原料をオレフィン生成物に変換するのに有効な条件下で供給原料を本発明のモレキュラーシーブを含む触媒と接触させる。このプロセスでは酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料を軽質オレフィン、特にエチレンおよびプロピレンを製造するのに有効な条件下で、反応装置の反応域で上記触媒と接触させる。一般に、酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料を気相で触媒と接触させる。あるいは、上記プロセスを液体または気相/液相混合物で実行することもできる。酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料を酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料をオレフィンに変換するこのプロセスでは一般に広範囲の温度でオレフィンを製造できる。有効温度範囲は約200℃〜700℃にすることができる。この温度範囲の下限では所望オレフィン生成物の生成が著しく低速になる。この温度範囲の上限では最適量の生成物を作ることができない。進展温度は少なくとも300℃であり、最高温度は575℃にてるのが好ましい。
【0091】
圧力も広範囲に変えることができる。好ましい圧力は約5kPa〜約5MPaの範囲であり、最も好ましい範囲は約50kPaからの約0.5MPaである。この圧力は酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料および/またはその混合物の分圧である。
【0092】
本発明プロセスは固定床または移動床で使用できるが、各種の輸送床で実行することもできる。流動床を使用するのが好ましい。反応プロセスは高い空間速度で行うのが望ましい。本発明プロセスは単一反応域または直列または平行に配置した複数の反応域で実施できる。標準的な任意の商業スケールの反応装置、例えば固定床、流動床、移動床で使用できる。商業スケール反応装置は0.1hr-1から1000のhr-1の単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)で運転できる。
一種または複数の非活性希釈剤は、全フィードのモル数と反応域へ送られる希釈剤成分とをベースにして例えば1〜95モルパーセントの量で供給原料中に存在できる。代表的な希釈剤にはヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン系炭水素、アルカン、特にメタン、エタンおよびプロパン、芳香属化合物およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい希釈剤は水および窒素である。水は液体または蒸気の形で噴射できる。
【0093】
酸素化物の供給原料は上記のMeAPO触媒の存在下でオレフィン生成物に変換可能な、少なくとも酸素原子または分子を有する任意の化学種にすることができる。この酸素化物供給原料は少なくとも一つの酸素原子を含む少なくとも一つの有機化合物、例えば脂肪族アルコール、エーテル、カルボニル化合物、アルデヒド、ケトン、カルボキシル酸、カーボネート、エステル等から成ることができる。代表的な酸素化物には直鎖および分岐鎖の脂肪族アルコールとその不飽和対応物が含まれるが、これらに限定されるものではない。適切な酸素化物化合物の例にはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、C4-C2Oアルコール、メチル・エチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ホルムアルデヒド、炭酸ジメチル、ジメチル・ケトン、酢酸およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。代表的な酸素化物は低分子量の直鎖または分岐した脂肪族アルコールとその不飽和対応物を含む。
【0094】
酸素化物と同様に、硫黄−またはハロゲン化物−含有化合物を使用することもできる。適切な化合物の例にはメタンチオール、硫化ジメチル、エチルメルカプタン、硫化エチル、エチル一塩化物、メチル一塩化物、メチル二塩化物、n-ハロゲン化アルキル、約1から約10の炭素原子を有するn-アルキル基を有するn-アルキル・スルフィドおよびこれらの混合物が含まれる。好ましい酸素化物化合物はメタノール、ジメチルエーテルまたはこれらの混合物である。
【0095】
酸素化物供給原料からオレフィン生成物を製造する方法は炭化水素、例えば鉱油、石炭、タールサンド、シェール、バイオマスおよび天然ガスから酸素化物供給原料を作る追加の段階を含むことができる。酸素-含有、ハロゲナイド−含有または硫黄−含有有機供給原料を製造する方法自体は公知である。これらの方法にはアルコールまたはエーテルに発酵する方法、合成ガスの製造、合成ガスをアルコールまたはエーテルに変換する方法が含まれる。合成ガスは公知の方法、例えばスチームリホーミング、自己熱式リホーミングおよびガス供給原料の場合には不完全酸化で製造でき、また、固形物、石炭、有機性廃棄物または液体供給原料の場合には酸素およびスチームを使用したリホーミングまたはガス化で製造できる。メタノール、メチルサルファイドおよびメチルハライドはメタンジオキシゲン、硫黄またはハロゲン化物を用いた対応する酸素−含有、ハロゲン−含有、硫黄−含有有機化合物の酸化で製造できる。
【0096】
本発明はさらに、下記段階から成る酸素化物の供給原料からオレフィン製品を製造するのに用いるMeAPOモレキュラーシーブの再循環方法にも関するものである:
(x) 上記供給原料をオレフィン製品に変換するのに有効な条件下で上記供給原料をMeAPOモレキュラーシーブと接触させ、
(y) 使用済みのMeAPOモレキュラーシーブおよび/または使用済みMeAPO微粉末を回収し、
(z) 段階(a)〜(g)を含む請求項1に記載の方法を実行し、(x)段階で得られた使用済のMeAPOおよび/または微粉末を上記の第1のMeAPOモレキュラーシーブとして使用する。
【0097】
本発明のモレキュラーシーブを使用して酸素化物をオレフィンに変換する反応で得られたオレフィン生成物は重合してポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレンにすることができるということは当業者には理解できよう。
【実施例】
【0098】
実施例1
SAPO-34のサンプルは米国特許第US 4499327号明細書に記載の方法に従って合成した。このサンプルを600℃で6時間か焼した。Si含有量(Si/(Si+AI+P))は0.41で、立方晶系結晶形態を示し、平均粒径は0.4マイクロメートルである。このサンプルは以下に比較例1という。
【0099】
実施例2
アモルファス先駆体A1は、Al(NO33とコロイドシリカLudox LS−30(30%SiO2)(E.I. duPont de Nemours社の登録商標)とH3PO4の混合物から共沈させ、NH4OH溶液をゆっくり加えて初期混合物のpHを1から約7に上げて作った([表1])。得られた固形物を濾過し、蒸留水で洗浄し、110で乾燥し、400℃で3時間か焼した。
【0100】
アモルファス先駆体A2は、Al(NO33とコロイドシリカLudox LS−30(30%SiO2)とH3PO4の混合物から共沈させ、NH4OH溶液をゆっくり加えて初期混合物のpHを1から約6に上げた後、SAPO−34を加え、さらにNH4OH加えてpHをに上げて([表1])。得られた固形物を濾過し、蒸留水で洗浄し、110で乾燥し、400℃で3時間か焼した。
【0101】
[図1][図2]に示すように両方のサンプルは同様なXRDパターンを示し、このXRDデータは得られた先駆体が非晶質であることを示し、違いは[図2]にはSAPO−34の不純物量が極めて少ない点のみある。
【0102】
固形物の組成は溶液の組成と同様であった。以下、これら非晶質先駆体のサンプルをA1およびA2という。各サンプルの組成は[表1]に示した。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例3〜6
実施例3〜6は[表2]に示すデータに従って製造した。所定量のアモルファス先駆体を秤量し、テンプレート水溶液を含浸し、オートクレーブに入れた。オートクレーブを密封し、10回転数/分の回転下に乾燥器中に置いた。結晶化は、16O℃で3日間実行した。結晶化後、固体を水洗し、11O℃で16時間乾燥し、空気中で600℃で6時間か焼した(1℃/分)。
[図3]〜[図6]は非か焼サンプルのXRDパターンを示す。
【0105】
【表2】

【0106】
実施例4は初期先駆体中に少量(3〜5重量%)の結晶が存在すると非晶質先駆体の結晶化が容易になることを示している。結晶化を温和な条件で行うと必要なテンプレートの量を少なく(25重量%)にできる。実施例3と実施例5は、乾燥した先駆体から結晶化する場合、テンプレート含有量を高くする必要があることを示しており、さらに、TEAOH/P25比がほぼ1.2でも痕跡量の非晶質物質が存在する。実施例3および実施例5では結晶化にさらに長い時間を必要とするであろう。これに対して実施例4および実施例6は、極めて少量(約3〜5重量%)のSAPO−34を添加することで、結晶化に必要なテンプレートの量を実質的に減らすことができることを示している。
【0107】
実施例7
触媒テストを実行した。固定床式の下向き流ステンレス鋼反応装置中で2gの触媒サンプルに450℃、WHSV=1.6h-1、絶対圧P=1.3baraで純粋なメタノールを供給した。触媒粉末はウエハースに圧縮し、35〜45メッシュ粒子に粉砕した。触媒運転前に全ての触媒をN2流(5Nl/h)で550℃に加熱し、この温度を2時間維持した後、反応装置を反応温度まで冷却した。生成物の分析はキャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフでオンラインで行った。
触媒性能は破過点(脱離液中にDMEが現れる点)の直前の実質的にMeOH完全変換で比較した。[表3]はC−基準およびコークスを含まない基準でのデータである。
【0108】
【表3】

【0109】
[表3]のデータは、テンプレートの量を減らして合成したサンプルのMTOの性能が良いことを示している。さらに、本発明サンプルは全C2−+C3−が同じ場合、プロピレン収率が高くなることを示している。
従って、本発明はSAPO廃棄物の再利用方法を提供すると同時に、新しいSAPO触媒の合成に必要なテンプレートの量を減らことができるという利点を有している。しかも、本発明の新しいSAPO触媒は従来法よりもプロピレン効率が良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(f)の段階を下記の順番で有するメタロアルミノホスフェート(MeAPO)モレキュラーシーブの製造方法:
(a) アルミニウム(Al)、燐(P)および金属(Me)の少なくとも2つの供給源(ソース)を含む均一な溶液を作り、
(b) 上記溶液に第1のMeAPOモレキュラーシーブを加え、この第1のMeAPOモレキュラーシーブ添加する前および/または後にpHを変えて非晶質の先駆体を作り、
(c) 水から非晶質の先駆体を分離し、必要に応じて非晶質の先駆体を成形し、
(d) 必要に応じて水で洗浄し、450℃以下の温度で非晶質の先駆体を乾燥し、
(e) 上記の非晶質の先駆体を有機テンプレート-含有水溶液および段階(a)で既に存在していないAl、PまたはMeの供給源と接触させ、必要に応じて脂肪族アルコールの存在下で、必要に応じて追加のAlおよび/またはPおよび/またはMeの供給源と接触させ、
(f) 上記の非晶質の先駆体を自己発生条件下で結晶化させて、結晶質モレキュラーシーブの濃縮度を初期の先駆体に対して増加させて、第2のMeAPOモレキュラーシーブを得る。
【請求項2】
第1のMeAPOモレキュラーシーブが使用済みのMeAPOモレキュラーシーブである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
MeAPOモレキュラーシーブが磨耗した粒子(微粉末)の形をしている請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
段階(a)で製造される溶液の乾燥重量を基にして0.1〜50重量%の第1のMeAPOモレキュラーシーブを段階(b)の溶液に加える請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階(a)の溶液がAlおよびPをAl/Pのモル比を0.5〜5にして含む請求項1
〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記先駆体が段階(c)の前に形成される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
段階(c)で成形されなかった場合に、段階(f)で得られるモレキュラーシーブを押出し成形または噴霧乾燥によって、必要に応じてバインダの存在下で成形する段階(g)をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
段階(f)または段階(g)で得られたモレキュラーシーブをか焼、スチーム処理またはイオン交換する段階(h)をさらに有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Meは珪素である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られる基本的にCHA、AEI、LEV、ERI、AFIまたはこれらの混合物の構造を有するMeAPO。
【請求項11】
基本的にSAPO-18またはSAPO-34またはこれらの混合物の構造を有する請求項10に記載のMeAPO。
【請求項12】
請求項10または11に記載のMeAPOモレキュラーシーブから成る、または、請求項10または11に記載のMeAPOモレキュラーシーブを含む触媒。
【請求項13】
酸素化物の供給原料からオレフィン製品を製造する方法において、酸素化物の供給原料をオレフィン製品に変換するのに有効な条件下で酸素化物の供給原料を請求項12に記載の触媒と接触させる方法。
【請求項14】
有機硫黄供給原料からオレフィン製品を製造する方法において、有機硫黄供給原料をオレフィン製品に変換するのに有効な条件下で有機硫黄供給原料を請求項12に記載の触媒と接触させる方法。
【請求項15】
下記の(a)〜(c)の段階を有する酸素化物の供給原料からオレフィン製品を製造するのに用いられるMeAPOモレキュラーシーブを再循環する方法:
(a) 上記供給原料をオレフィン製品に変換するのに有効な条件下で上記供給原料をMeAPOモレキュラーシーブと接触させ、
(b) 使用済みのMeAPOモレキュラーシーブおよび/または使用済みMeAPO微粉末を回収し、
(c)請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を実行し、段階(a)で使用済のMeAPOおよび/または微粉末を上記の第1のMeAPOモレキュラーシーブとして使用して上記の第2のMeAPOモレキュラーシーブを得る。

【図1−6】
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【公表番号】特表2012−500773(P2012−500773A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524397(P2011−524397)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061163
【国際公開番号】WO2010/023289
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】