説明

メタロセン化合物の異性化方法

2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の1以上の橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形を含むスラリ−または溶液を、式(I): [R4W]+-〔式中、Wは窒素または燐原子であり;Rは互いに同一または異なりC1〜C40炭化水素基であり、X-はハライド原子である〕の異性化触媒と接触させる工程からなる異性化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メタロセン化合物のメソまたはメソ様形を対応するラセミまたはラセミ様形への変換方法に関する。この発明の方法に付されるメソまたはメソ様形は、対応するラセミ(rac)またはラセミ様形に混合できる。
【背景技術】
【0002】
メタロセン化合物は、主にオレフィン類の重合に触媒成分として使用される周知の複合体である。このようなメタロセン化合物の合成法は、ラセミとメソ形の混合物を生産する傾向がある。普通、ラセミ形は立体規則性ポリマ−を生産し、一方メソ形は不活性あるいは低分子量アタクチックポリマ−を生産する。そのためラセミ形が重合触媒成分と最も使用される。結果的に、2つの異性体の物理的分離の作業を少なくするためラセミ(rac)形またはラセミ形が主である混合物を合成で得ることが望まれる。
【0003】
EP819695号は、立体剛性(stereorigid)橋状メタロセン化合物のラセミ/メソ混合物を、水、メタノ−ル、クロロトリメチルシランのような、酸性水素原子または反応性ハロゲン原子の何れかを有する化合物の存在下で選択的分解に付して、ラセミ/メソ比の改質方法を記載している。この方法で、1つの異性体が分解され、結果的に方法の全体の収率を低下させる。
【0004】
WO00/017213号は、橋状メタロセン化合物のメソ形またはラセミとメソ形の混合物が、液体媒体中1および/または2属の金属ハライド異性化触媒と接触させる異性化方法を記載している。この方法は、反応混合物から金属ハライドの除去が複雑である欠点を有する。
【0005】
Organometallics、1998年、17巻、1946〜4958頁は、rac−ジメチルシリル(1,3−ジイソプロピルシクロペンタジエニル)スカンジウムアリルが異なる異性化触媒を使用してrac/meso混合物に異性化される一連の反応を記載している。その中で(n−C715)4NClと(n−C715)4NBrが使用される。この異性化反応は、タ−ゲットとしてrac異性体を得る方法として工業的に明らかに有用ではない。その上、この文献の4953頁には、異性化は4属のメタロセンに対し失望し、かくして、中心金属が元素周期律表の4属に属するメタロセン化合物でのこの種の反応を使用することに偏見を創成すると述べられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくして、橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形をラセミまたはラセミ様形に容易に異性化させる別の異性化方法を見出すことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の目的は、C2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の1以上の橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形を含むスラリ−または溶液を、式(I):
[R4W]+- (I)
【0008】
〔式中、
Wは、窒素または燐原子であり;好ましくは窒素原子であり;
Rは、互いに同一または異なり、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有するC1〜C40炭化水素基であり;2つのRはまた結合して、原子Wを含有する飽和または不飽和のC5〜C6員環を形成でき、例えばピロリル、ピロリジニルまたはピペリジル基を形成し、または2つのRは、結合して、式(II)の基
【化1】

【0009】
(式中、R1は、互いに同一または異なり、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有するC1〜C20炭化水素基であり、R1は好ましくは直鎖もしくは分枝状、環状もしくは非環状(acyclic)の、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C6〜C12アリール、C7〜C12アルキルアリールまたはC7〜C12アリールアルキル基であり、Pは、原子Wに二重結合で結合した燐原子である)を形成でき;
Rは好ましくは元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する直鎖または分枝状、環状または非環状のC1〜C40アルキル、C2〜C40アルケニル、C2〜C40アルキニル、C6〜C40アリール、C7〜C40アルキルアリールまたはC7〜C40アリールアルキル基であり;
Rはより好ましくはC1〜C40アルキル、C6〜C40アリール、またはC7〜C40アルキルアリール基、例えばn−ブチル、n−ヘキシル、フェニルとベンジル(Bz)基であり;
-はハライド原子、例えばCl-、Br-、I-とF-、好ましくはX-はクロライド(Cl-)またはブロミド(Br-)である〕
の異性化触媒と接触させる工程からなる異性化方法である。
【0010】
式(I)の化合物の例は、(CH3(CH2)3)4NBr、(CH3(CH2)5)4NBr、(CH3CH2)3(C65CH2)NBr、(CH3(CH2)3)4NCl、(CH3CH2)3(C65CH2)NCl、(CH3(CH2)3)4PBr、(CH3(CH2)5)4PBr、(CH3CH2)3(C65CH2)PBr、(CH3(CH2)3)4PCl、(CH3CH2)3(C65CH2)PCl、
【化2】

である。
【0011】
2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の橋状メタロセン化合物は、π結合を介して中央の金属原子に結合した2つの橋状シクロペンタジエニル分子を有する。中央の金属原子は、ジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムで、ジルコニウムが好ましい。
【0012】
本発明の目的で、用語「C2の対称(C2 symmetry)」とは、メタロセン化合物で、2つの異性形、ラセミ形とメソ形が可能であることを意味する。この異性形は、当該技術において周知であり、Chem. Rev. 2000年、100巻、1253〜1345頁を引用する。
本発明の目的で、用語「C2様対称(C2 -like symmetry)」とは、メタロセン化合物に、ラセミ様とメソ様形の2つの異性形が可能であることを意味する。
【0013】
「ラセミ様形(Racemic-like form)」とは、メタロセン化合物上での2つのシクロペンタジエニル分子のバルキ−な置換分が、次の化合物で示すように、ジルコニウムとシクロペンタジエニル分子の中心を含む面に対して反応側にあることを意味する。
【0014】
【化3】

【0015】
逆に、メソ様形は、メタロセン化合物上での2つのシクロペンタジエニル分子のバルキ−な置換分が、次の化合物で示すように、ジルコニウムとシクロペンタジエニル分子の中心を含む面に対し同じ側にあることを意味する。
【0016】
【化4】

【0017】
この発明の方法で、C2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の1以上の橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形は、単独で、またはラセミあるいはラセミ様形を含む混合物で使用できる。
【0018】
好ましい具体例によれば、この発明の方法は、極性または無極性の何れかの中性溶媒中で行われる。その中性溶媒は、任意にハロゲン化、または任意に周期律表の16属に属する異原子を含有する芳香族または脂肪族炭化水素、またはエーテルであり得る。好ましくは、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはそれらの混合物である。この発明の方法は、テトラヒドロフランまたは1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル類の1以上の存在下で行うのが好ましく、より好ましくは溶媒は1以上のエーテル類の少なくとも5容量%を含む。
【0019】
この発明の方法は、0℃から選択された溶媒中で橋状メタロセン化合物の分解温度以下、通常180℃までの温度で行うことができる。
この発明の方法は、好ましくは、10℃〜150℃の温度、より好ましくは30℃〜90℃、さらにより好ましくは40℃〜90℃の温度で行われる。
【0020】
反応時間は、温度、異性化の所望の程度、使用されるメタロセン化合物に依存する。一般に0.1時間〜65時間、好ましくは1〜24時間である。当業者であれば、得るべき結果の観点で反応時間を容易に選択できる。
【0021】
この発明の方法は、不活性な雰囲気下、すなわち酸素、水またはメタロセン化合物を分解し得る他の化合物の非存在下で行うのが有利である。
異性化触媒と橋状メタロセン化合物の金属とのモル比は、0.01〜300が好ましく、0.01〜100がより好ましく、0.1〜10がさらにより好ましく、特に好ましい比は0.2〜5である。
【0022】
この発明の方法で、橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形の少なくとも一部をラセミまたはラセミ様形に変換することが可能である。このことは、目標のメタロセン化合物を合成する全方法についてラセミまたはラセミ様異性体に関して最終収率を改善させる。異性化触媒の除去と、ラセミまたはラセミ様異性体の最終的な精製は、当該技術で普通に使用される手法によって行うことができる。
【0023】
この発明の方法はそのまま使用できるが、あるいは、EP03101268.5;WO03/057705;WO99/36427とWO02/083699に記載の方法のようにリガンドから出発してメタロセン化合物を得る方法のワンポット法の一部であってもよい。
【0024】
この発明の方法に使用できるC2対称またはC2様対称を有する橋状メタロセン化合物は、式(III):
【化5】

【0025】
〔式中、
Mは、4属に属する遷移金属であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムが好ましく;
置換分Qは、互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、R8、OR8、OCOR8、SR8、NR82とPR82(式中、R8は、1以上のSiまたはGe原子を任意に含む、線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基である)からなる群から選択されたモノアニオン性シグマリガンドであり;
または2つのQは、任意に、置換あるいは非置換ブタジニル基またはOR’O(式中、R’は、C1〜C20アルキリデン、C6〜C40アリーリデン、C7〜C40アルキルアリーリデンとC7〜C40アリールアリキリデン基から選択された二価の基である)を形成でき;
置換分Qは、同一が好ましく、かつハロゲン原子、R8、OR8とNR82(式中、R8は、1以上のSiまたはGe原子を任意に含有するC1〜C10アルキル、C6〜C20アリール、またはC7〜C20アリールアルキル基が好ましい)が好ましく;
置換分Qは、−Cl、−Br、−Me、−Et、−n−Bu、−sec−Bu、−Ph、−Bz、−CH2SiMe3、−OEt、−OPR2、−OBu、−OBzと−NMe2からなる群から選択するのがより好ましく;
【0026】
nは、金属Mの酸化状態マイナス2に等しい整数であり;
Lは、元素周期律表の13〜17属に属する異原子を任意に含有するC1〜C20アルキリデン、C3〜C20シクロアルキリデン、C6〜C20アリーリデン、C7〜C20アルキルアリーリデン、C7〜C20アリールアルキリデン基から選択された二価の橋状基と、SiMe2、SiPH2のような5つまでの珪素原子を含有するシリリデン基であり;
【0027】
好ましくは、Lは二価の基(ZR9m)q(式中、ZはC、Si、Ge、NまたはPであり、R9基は互いに同一または異なり、水素、または線状あるいは分枝状、環状あるいは非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アリキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり、または2つのR9は脂肪族または芳香族C4〜C7環を形成でき、R9は水素原子またはメチルあるいはフェニル基が好ましく、ZはSiまたはCが好ましく;
【0028】
mは1または2で、より詳しくはZがWまたはPのとき1で、ZがC、SiまたはGeのとき2であり;
qは1〜4の整数で、Qは1または2が好ましく;
より好ましくはLはSi(CH3)2、SiPH2、SiPHMe、SiMe(SiMe3)、CH2、(CH2)2、(CH2)3またはC(CH3)2であり;
【0029】
2とR3は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり;
【0030】
Tは、互いに同一または異なり、式(IIIa)または(IIIb)の分子:
【化6】

【0031】
(式中、
記号*を付した原子は、式(III)の化合物中同じ記号を付した原子に結合し;
1は、硫黄原子、酸素原子、またはCR102あるいはNR12基(式中、R10は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり、かつR12は、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり; T1は硫黄原子が好ましく;
【0032】
2は、CR10基または窒素原子(式中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状、または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基)であり;但し、T2が窒素原子のとき、T1はCR102であり;T2はCR10基が好ましく;;但し、T2が窒素原子のとき、T1はCR102であり;
【0033】
4、R5、R6、R7とR11は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり;
または2つの隣接するR4、R5、R6、R7とR11は周期律表の13〜17属に属する異原子を任意に含有する1以上の3〜7員環を形成し;
2とR11は、互いに同一または異なり、メチル,エチル,イソプロピル基のような線状または分枝状C1〜C20アルキル基が好ましく;
4とR10は、互いに同一または異なり、水素原子または、フェニル、4−tert−ブチルフェニル基のようなC6〜C20アリールまたはC7〜C20アリールアルキル基が好ましい〕
の化合物が好ましい。
【0034】
式(I)に属する化合物の非限定例は次の化合物;
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,5,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0035】
1,2−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0036】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−ter−ブチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0037】
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジクロリド−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジメチル;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジエチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジイソプロピル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−diter−ブチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジトリメチルシリル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0038】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジクロリド−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロル)ジルコニウムジクロリド:
【0039】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−tert−ブチルフェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−p−tert−ブチルフェニルインデニル)(2−メチル−4−p−tert−ブチルフェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−p−tert−ブチルフェニルインデニル)(2−メチル−4−p−tert−ブチル−7−メチルフェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ならびに対応するジルコニウムジメチル、ヒドロクロロジヒドロとη4−ブタジエン化合物である。
【0040】
次の実施例は発明を例証するためで限定するものではない。
【0041】
実施例
ジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウム(A)は、PCT/EP02/14899の実施例5に記載と同じ手法で、ビス(2−メチルインデニル)ジメチルシランの代わりに[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニルインデニル)]ジメチルシランを使用して製造される。
ジメチルシランジイルビス[2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル]ジメチルジルコニウム(B)は、USP6,177,376に従って作った。
ジメチルシランジイルビス[2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル]ジルコニウムジクロリド(C)は、USP5,830,821に従って作った。
【0042】
実施例1〜7 一般手法
精製されたメソのリッチなメタロセンを、窒素中、室温で、表1に示した溶媒に溶解(またはスラリ−化)した。表1に特定した異性化触媒を添加し、次いで混合物をほんの少時間(few hours)加熱した。得られる溶液(またはスラリ−)のサンプルをNMR分析し、メタロセンのrac/meso比がrac異性体のために実質的に改良されたことを示した。またrac異性体は標準法を使用して達成される収率と比較してより高い収率で単離された。
【0043】
rac/meso比はNMR分析で測定された。メタロセンのプロトンスペクトルは、室温で200.13MHzでのフーリエトランスフォームモードで操作してBruker DPX200スペクトロメータで得られた。サンプルをCD2Cl2(アルドリッヒ、99.8原子%D)に溶解した。サンプルの作成は、標準の不活性雰囲気を使用する窒素下で行った。1Hスペクトル中のCHDCl2の残留ピーク(5.35ppm)を参照として用いた。プロトンスペクトルは15°パルスと2秒のパルス間遅延で収得し、各スペクトルに32トランジェントを保有した。
【0044】
【表1】

【0045】
比較実施例1
塩化アンモニウム(アルドリッヒ、分子量53.49)のサンプルを真空下125℃で8時間乾燥した。このサンプルの一部(アルドリッヒ、17.0mg、0.32mmol、NH4Cl/ジメチル複合物=0.20/l)を、窒素気流中室温で、50mlのシュレンクフラスコ中、25mlのTHFと15mlのトルエン中1.16gのジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウム(rac/meso 31.7/68.3、分子量=728.26、1.59mmol)の溶液に添加した。添加の終わりに、反応混合物を80℃で2.5時間加熱し、NMR分析に付した。rac/meso比は34/66である結果が得られ、少量のリガンドへの分解も観察された。追加の塩化アンモニウム(100.0mg、1.87mmol、全NH4Cl/ジメチル複合物=1.38/l)を室温で添加し、次いで得られる混合物を80℃で3.5時間加熱した。混合物の異なる一部を採取し、乾燥し、CD2Cl21HNMRで分析した。最後のrac/mesoは45/55である結果で、顕著な量のリガンドへの分解(NMRで計算して約20モル%)も観察された。
【0046】
比較実施例2
トリエチルアミン塩酸塩のサンプル(アルドリッヒ、98%、分子量137.65、25.7mg、0.18mmol、NHEt3Cl/ジメチル複合体=0.22/l)を室温で5mlのTHFに懸濁し、窒素気流下、50mlのシュレンクフラスコ中15mlのTHF中0.58gのジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウム(rac/meso比30/70、分子量=728.20、0.80mmol)の懸濁液に添加した。添加の終わりに、反応混合物を2時間還流し、NMR分析をした。rac/meso比は45/55であり、しかし顕著な量の分解も観察された。加熱をさらに2時間続けたが、rac/mesoの変化はNMR分析で観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の1以上の橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形を含むスラリ−または溶液を、式(I):
[R4W]+- (I)
〔式中、
Wは、窒素または燐原子であり;
Rは、互いに同一または異なり、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有するC1〜C40炭化水素基であり;2つのRはまた結合して、原子Wを含有する飽和または不飽和のC5〜C6員環を形成でき、または2つのRは、結合して、式(II)の基
【化1】

(式中、R1は、互いに同一または異なり、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有するC1〜C20炭化水素基であり;Pは、原子Wに二重結合で結合した燐原子である)を形成でき;
-は、ハライド原子である〕
の異性化触媒と接触させる工程からなる異性化方法。
【請求項2】
2またはC2様対称を有する元素周期律表の4属の1以上の橋状メタロセン化合物のメソまたはメソ様形とラセミまたはラセミ様形を含む混合物が使用される請求項1による異性化方法。
【請求項3】
Rが、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C40アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C40アリール、C7〜C40アルキルアリールまたはC7〜C40アリールアルキル基であり、2つのRは結合して原子Wを含有する飽和または不飽和C5〜C6員環を形成でき;X-はクロリド(Cl-)またはブロミド(Br-)である請求項1または2による異性化方法。
【請求項4】
Wが、窒素原子である請求項1〜3の何れか1つによる異性化方法。
【請求項5】
方法が、極性または無極性の何れかの中性溶媒中で行われる請求項1〜4の何れか1つによる異性化方法。
【請求項6】
中性溶媒が、任意にハロゲン化されるか、または周期律表の16属に属する異原子を任意に含有する芳香族または脂肪族炭化水素、またはエーテルである請求項5による異性化方法。
【請求項7】
方法が、1以上のエーテルの存在下で行われる請求項6による異性化方法。
【請求項8】
方法が、0℃から選択した溶媒中橋状メタロセン化合物の分解温度以下の温度範囲の温度で行われる請求項1〜7の何れか1つによる異性化方法。
【請求項9】
2対称またはC2様対称を有する橋状メタロセン化合物が、式(III):
【化2】

〔式中、
Mは、4属に属する遷移金属であり、
置換分Qは、互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、R8、OR8、OCOR8、SR8、NR82とPR82(式中、R8は、1以上のSiまたはGe原子を任意に含む、線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基である)からなる群から選択されたモノアニオン性シグマリガンドであり;
または2つのQは、任意に、置換あるいは非置換ブタジニル基またはOR’O(式中、R’は、C1〜C20アルキリデン、C6〜C40アリーリデン、C7〜C40アルキルアリーリデンとC7〜C40アリールアリキリデン基から選択された二価の基である)を形成でき;
nは、金属Mの酸化状態マイナス2に等しい整数であり;
Lは、元素周期律表の13〜17属に属する異原子を任意に含有するC1〜C20アルキリデン、C3〜C20シクロアルキリデン、C6〜C20アリーリデン、C7〜C20アルキルアリーリデン、C7〜C20アリールアルキリデン基から選択された二価の橋状基と、5つまでの珪素原子を含有するシリリデン基であり;
2とR3は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり;
Tは、互いに同一または異なり、式(IIIa)または(IIIb):
【化3】

(式中、
記号*を付した原子は、式(III)の化合物中同じ記号を付した原子に結合し;
1は、硫黄原子、酸素原子、またはCR102あるいはNR12基(式中、R10は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり、かつR12は、元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり;
2は、CR10基または窒素原子(式中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状、または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基)であり;但し、T2が窒素原子のとき、T1はCR102であり;
4、R5、R6、R7とR11は、互いに同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または元素周期律表の13〜17属に属する1以上の異原子を任意に含有する線状または分枝状、環状または非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリールまたはC7〜C20アリールアルキル基であり;
または2つの隣接するR4、R5、R6、R7とR11は周期律表の13〜17属に属する異原子を任意に含有する1以上の3〜7員環を形成する)
の分子である〕
を有する請求項1〜8の何れか1つによる異性化方法。
【請求項10】
式(III)の化合物で、Mがジルコニウムまたはハフニウムで;置換分Qが同一でありかつハロゲン原子、R8、OR8とNR82(式中、R8は1以上のSiまたはGe原子を任意に含有するC1〜C10アルキル、C6〜C20アリールまたはC7〜C20アルキルアリールアルキル基が好ましい)であり;Lが2価の基(ZR9m)q(ZはC、Si、Ge、NまたはPであり、R9基は互いに同一または異なり、水素、または線状もしくは分枝状、環状もしくは非環状のC1〜C20アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10アリール、C7〜C10アルキルアリールまたはC7〜C10アリールアルキル基または2つのR9は脂肪族または芳香族C4〜C7環を形成できる)である請求項9による異性化方法。
【請求項11】
式(III)の化合物で、R2とR11が互いに同一または異なり、線状または分枝状のC1〜C20アルキル基であり;R4とR10が互いに同一または異なり、水素原子、またはC6〜C20アリールもしくはC7〜C20アリールアルキル基であり;T1が硫黄であり、かつT2がCR10基である請求項9または10による異性化方法。

【公表番号】特表2007−506688(P2007−506688A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527301(P2006−527301)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010020
【国際公開番号】WO2005/030783
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502303902)バセル ポリオレフィン ジーエムビーエイチ (19)
【氏名又は名称原語表記】BASELL POLYOLEFINE GMBH
【住所又は居所原語表記】Bruhler Strasse 60,50389 Wesseling,Germany
【Fターム(参考)】