説明

メダル貸出機

【課題】簡易な構成で隣接する遊技機にメダルを一括投入できるとともに、遊技者が極力手を使わずに遊技を行うことを可能とするメダル貸出機を提供する。
【解決手段】貯留投入開口18に投入されたメダルを一枚ずつ検知可能なメダル検知部40の検知信号をカウントし、カウント値に基づいて貯留表示部26に数字を表示させ、払い出しスイッチ25の操作により、前記貯留表示部26に表示されている数を限度に、予め定められた枚数のメダルを、投入移送手段30、3を介して隣接する遊技機1のメダル投入口10に投入可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、隣接する遊技機にメダルを供給可能なメダル貸出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機例えばスロットマシンに隣接設置されるメダル貸出機においては、遊技機へのメダル投入を容易に行わせるべく、様々な工夫がなされている。例えば特許文献1には、払い出されたメダルを直接スロットマシンのメダル投入口に投入可能な案内ノズルを設け、スロットマシンの下皿に払い出されたメダルを前記案内ノズルに搬送する搬送装置を備えたメダル貸出機が開示されている。また、特許文献2に示すように、本体の正面側に、メダルを一括して投入可能な一括投入開口を備え、隣接するスロットマシンにメダルを移送可能な一括投入機構を設けたメダル貸出機も考案されている。
一方、遊技場において、スロットマシンのホッパーから溢れたメダルを回収し、メダル貸出機に自動的に補給するメダル循環システムは周知の技術として存在している(特許文献3参照)。これは、スロットマシンに投入されたメダル、すなわち遊技客が使用済みのメダルを回収してメダル貸出機に戻すというものであって、遊技客の獲得したメダルについてはこの循環システムと無関係である。
【特許文献1】特開2003−190617号公報(図5)
【特許文献2】特開2006−000368号公報(図2)
【特許文献3】特開2000−325548号公報(段落0016、0029)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1記載の発明では、下皿に払い出されたメダルを案内ノズルの位置まで揚送する装置を各メダル貸出機に備えなければならないので、構成が複雑化しメダル貸出機の製造コスト及び作動コストがかかるという問題点がある。また、前記特許文献2記載の発明では、遊技者がスロットマシンの下皿からメダルを一括投入口にまで持ち上げなければならないという難点がある。
そこで、上記した従来の技術をふまえ、本発明は、簡易な構成で隣接する遊技機にメダルを一括投入できるとともに、遊技者が極力手を使わずに遊技を行うことを可能とするメダル貸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
各請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、メダル投入口(10)と、メダル投入口(10)よりも下方に設けられたメダル払い出し口(17)を有する遊技機(スロットマシン1)に隣接して配置されるメダル貸出機(2)であって、前記遊技機(1)のメダル払い出し口(17)よりも低い位置に形成され遊技者がメダルを投入可能な貯留投入開口(下皿開口18、サンド受け口80)に投入されたメダルを、遊技場の所定の場所に設けられたメダル貯留部(メダルタンク60)に移送可能に形成された遊技場に設置されるとともに、遊技者に貸し出すメダルを払い出すための払い出し装置(サンドホッパー23)と、払い出し装置(23)から払い出されるメダルを前記遊技機(1)のメダル投入口(10)に誘導する投入移送手段(投入ノズル30、一括投入装置3)とを少なくとも備えるメダル貸出機(2)に係る。
【0005】
ここで、前記「遊技機」は、メダルを遊技媒体として投入する遊技機であって、メダル貸出機(2)を挟んで遊技場に並列設置されるものである。前記メダル投入口(10)は、遊技機にメダルを投入する部分であって、メダルを落とし込むスリットなどの開口部の他、メダルを開口部に誘導するための通路や凹部も含む。
前記メダル貸出機(2)は、箱形の外箱(20)の内部に払い出し装置(23)が内蔵され、投入移送手段(30,3)を介して隣接する遊技機(1)にメダルを投入可能な装置であり、メダル貸出機(2)としては、上記構成の他にも、紙幣投入口(21)や紙幣カウンター(22)を備えていてもよい。ここで、前記「払い出し装置」には、メダルを貯留可能なホッパー装置の他に、遊技場のメダル循環システムからメダルを取り入れてメダル貸出機(2)の外部に排出するための装置も含まれる。また、前記「投入移送手段」には、メダルを移送可能な例えば管状樋状の「通路」そのものの他に、メダルを一時貯留可能な内部空間を有し、空間内に貯留されているメダルをメダル送り装置(35)などの機構を用いて遊技機のメダル投入口(10)に移送可能な「装置」も含むものである。
【0006】
さらに、このメダル貸出機(2)は、貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルを、遊技場の所定の場所に設けられたメダル貯留部(60)に移送可能に形成された遊技場に設置されている。ここで、前記「貯留投入開口」は、遊技機(1)のメダル払い出し口(17)よりも下方に形成されており、遊技者が任意にメダルを投入可能な開口部であればよく、遊技機(1)に設けられていても、メダル貸出機(2)に設けられていても、あるいは遊技機(1)及びメダル貸出機(2)以外の場所、例えば遊技場の床面などに設けられていてもよい。また、前記メダル貯留部(60)は、遊技場に設けられた単一のメダル貯留部であってもよいし、遊技場の島設備ごとに設けられた貯留装置であってもよい。あるいは、遊技機の設置されている床下などに各遊技機ごとに設けられた貯留スペースであってもよい。
【0007】
なお、「メダル貯留部(60)に移送」するとは、例えばベルトコンベヤなどの移送装置を用いて移送することのほか、貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルが下方に落下してメダル貯留部(60)に到達するような場合も含むものである。
そして、本発明は、前記メダル貸出機(2)に、前記貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルを一枚ずつ検知可能なメダル検知部(40)の検知信号をカウントするカウント手段と、前記カウント手段のカウント値に基づいて数字を表示する貯留表示部(26)と、遊技者が操作することにより前記貯留表示部(26)の表示を減算表示させるとともに、表示から減じられた数だけのメダルを、前記払い出し装置(23)から払い出させるための払い出しスイッチ(25)とを設け、前記払い出しスイッチ(25)の操作により、前記貯留表示部(26)に表示されている数を限度に、予め定められた枚数のメダルを、前記投入移送手段(30,3)を介して隣接する遊技機(1)のメダル投入口(10)に投入可能としたことを特徴とする。
【0008】
前記メダル検知部(40)は、例えば貯留投入開口(18,80)の下方に設けられたメダルを一枚ずつ検知可能なセンサとすることができ、ランダムに投入されたメダルを一枚ずつ分離する分離手段を備えていてもよい。また、メダル検知部(40)は、その検知信号がメダル貸出機(2)のカウント手段に出力されるようになっていれば、必ずしもメダル貸出機(2)の付属装置でなくてもよい。
前記「カウント手段」は、具体的にはメダル貸出機(2)の内部に設けられた制御部(制御基板)である。また前記貯留表示部(26)は、カウント手段のカウント値をメダル数として表示するための表示部であって、ここに表示される数字に係る枚数のメダルが、メダル貸出機(2)に貯留されているという扱いとなるものである。前記払い出しスイッチ(25)は、例えばメダル貸出機(2)の外箱(20)の正面に設けられたボタンスイッチなどの操作手段であり、遊技者が任意に操作可能なものである。
【0009】
(作用)
本発明係るメダル貸出機(2)は、例えば紙幣の投入により、払い出し装置(23)から所定枚数のメダルが払い出される。払い出されたメダルは、投入移送手段(30,3)を介して、隣接する遊技機(1)のメダル投入口(10)に送られる。従って、遊技者が手でメダル投入口(10)にメダルを投入しなくてもよい。
また、遊技開始後、入賞により遊技機(1)のメダル払い出し口(17)からメダルが払い出された場合には、このメダルを貯留投入開口(18,80)に投入させることができる。貯留投入開口(18,80)はメダル払い出し口(17)よりも下方に設けてあるので、遊技者がメダルを手で持ち上げなくても、メダル払い出し口(17)から払い出されるメダルをそのまま落下させることもできる。貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルは、メダル検知部(40)によって検知され、カウント手段のカウントに基づき、貯留表示部(26)に貯留メダル数として表示される。すなわち、メダル検知部(40)がメダルを検知するたびに、貯留表示部(26)の表示がインクリメントされる。
【0010】
そして、遊技者が払い出しスイッチ(25)を操作すると、所定枚数のメダルが払い出し装置(23)から払い出され、払い出された枚数分の数字が貯留表示部(26)から減算される。この場合、払い出しスイッチ(25)の操作により一度に払い出されるメダルが例えば50枚であるとき、貯留表示部(26)の表示が「50」に満たない場合には、貯留表示部(26)に表示されている数だけのメダルが払い出される。
払い出し装置(23)から払い出されたメダルは、投入移送手段(30,3)を経て隣接する遊技機(1)のメダル投入口(10)に投入される。なお、「投入移送手段」として、内部にメダルを一時貯留可能な装置(一括投入装置)を設けた場合には、この装置を作動させるためのスイッチを操作しないと、払い出し装置(23)から払い出され「投入移送手段」一時貯留されたメダルがメダル投入口(10)に投入されないようにしてもよい。
【0011】
このように、本発明によれば、遊技機(1)から払い出されたメダルを、例えば遊技機(1)の下皿(15)に貯留する代わりに、貯留投入開口(18,80)に投入又は廃棄すれば、自動的にメダル貸出機(2)に貯留されたものとして扱われる。そしてこの貯留扱いとなったメダルは払い出しスイッチ(25)の操作により任意に取り出すことができ、このメダルも投入移送手段(30,3)を介して遊技機(1)に投入される。従って、下皿(15)のメダルを手で掴んで投入したりメダル容器に移し替えたりする手間が省け、遊技者がメダルに接触することによる手の汚れを気にすることもなくなる。
なお、上記メダル貸出機(2)に、その操作により貯留表示部(26)の表示をゼロに戻して貯留扱いとなっているメダルを全て払い戻すためのキャンセルスイッチ(27)を設けてもよい。
【0012】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項2記載の発明は、メダル投入口(10)と、メダル投入口(10)よりも下方に設けられたメダル払い出し口(17)を有する遊技機(1)に隣接して配置されるメダル貸出機(2)であって、前記遊技機(1)のメダル払い出し口(17)よりも低い位置に形成され遊技者がメダルを投入可能な貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルを、遊技場の所定の場所に設けられたメダル貯留部(60)に移送可能であり、かつ前記メダル貯留部(60)に貯留されているメダルを遊技場内の各メダル貸出機(2)に供給可能なメダル循環システムを備える遊技場に設置されている。そして、遊技者に貸し出すメダルを払い出すための払い出し装置(23)と、前記メダル循環システムのメダル搬送手段(メダル循環路50)からメダルを取り込むための補給受入部(補給受入口24)と、前記払い出し装置(23)から払い出されるメダルを前記遊技機(1)のメダル投入口(10)に誘導する投入移送手段(30,3)とを少なくとも備えるメダル貸出機(2)である。
【0013】
そして、このメダル貸出機(2)に、前記貯留投入開口(18,80)に投入されたメダルを一枚ずつ検知可能なメダル検知部(40)の検知信号をカウントするカウント手段と、前記カウント手段のカウント値に基づいて数字を表示する貯留表示部(26)と、遊技者が操作することにより前記貯留表示部(26)の表示を減算表示させるとともに、表示から減じられた数だけのメダルを、前記払い出し装置(23)から払い出させるための払い出しスイッチ(25)とを設け、前記払い出しスイッチ(25)の操作により、前記貯留表示部(26)に表示されている数を限度に、予め定められた枚数のメダルを、前記投入移送手段(30,3)を介して隣接する遊技機(1)のメダル投入口(10)に投入可能とし、前記補給受入部(24)から前記メダル貯留部(60)に貯留されているメダルを受け入れ可能としたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、貯留投入開口(18,80)に投入したメダルが、メダル貯留部(60)を経てメダル貸出機(2)に戻ってくるようにしたものである。
ここで、前記「メダル循環システム」は、メダル貯留部(60)と各貯留投入開口(18,80)及び各メダル貸出機(2)をメダル搬送手段(50)で連結して、メダルが循環するように形成した装置であって、貯留投入開口(18,80)から投入されたメダルを回収してメダル貯留部(60)に移送可能であるとともに、払い出し装置(23)からエンプティエラーが出された場合にはメダル貯留部(60)からメダル貸出機(2)の補給受入部(24)にメダルを送り出すことができるようになっている。
【0015】
また、前記補給受入部(24)は、メダル貸出機(2)の外箱(20)の背面や上面に設けられた開口部や、メダル受け入れダクトとすることができる。
なお、本発明におけるメダル貯留部(60)は、遊技場の全ての遊技機(1)及びメダル貸出機(2)にメダルを循環させることができる単一の貯留部、もしくは島設備ごとに設けられ島に設置されている遊技機(1)及びメダル貸出機(2)にメダルを循環させることができる貯留部とするのが好ましい。
本発明によれば、メダル貸出機(2)に自動的にメダルが補給されるので、メダル補給作業を行わなくてもよい。このため、遊技場の店員の労力を削減できるものである。
【発明の効果】
【0016】
本願発明は、以上のように構成されているので、簡易な構成で隣接する遊技機にメダルを一括投入できるとともに、遊技者が極力手を使わずに遊技を行うことを可能とするメダル貸出機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を表す好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、第一の実施の形態及び第二の実施の形態に分けて、図面に基づき説明する。
(第一の実施の形態)
(図面の説明)
図1乃至図7は、本発明の第一の実施の形態を示すものである。
図1は遊技場におけるメダルの循環を示す概略図、図2はスロットマシン1及びメダル貸出機2の斜視図、図3はメダル投入口10の拡大斜視図、図4はサンドホッパー23及び投入ノズル30の正面図、図5はスロットマシン1及びメダル貸出機2の他の例を示す斜視図、図6はスロットマシン1の下皿15の他の例を示す斜視図、図7はメダル貸出機2の作動の概略を示すフローである。
【0018】
本実施の形態においては、図1に示すように、メダル貸出機2にスロットマシン1が隣接して設置され、一台のスロットマシンにメダル貸出機2が一機ずつ対応するように設けられている。
(スロットマシン1)
スロットマシン1は、図2に示すように、筐体の正面側に取り付けられた前扉13を有し、前扉13の正面側には回転リール(図示せず)の図柄を視認可能な図柄表示窓14が形成されている。また、この図柄表示窓14の下方でありスロットマシン1の略中央部は、スタートスイッチやストップスイッチなどの操作手段が設けられる操作部16となっている。そしてこの操作部16の正面右端部には、メダルを投入するためのメダル投入口10が設けられている。
【0019】
なお、特に図示しないが、メダル投入口10の下方には、メダルの真贋を判断すると共に投入メダルをカウントするためのメダルセレクターが設けられている。スロットマシン1は、最大3枚のメダル投入により遊技を開始することができるが、一定の枚数(50枚)のメダルをクレジットとして内部貯留することができるようになっている。クレジット数は、図示しない所定のクレジット表示部に表示され、ベットスイッチを操作することにより、クレジット表示部の表示が減算されて当該枚数のメダルを投入したものとして扱われる。
また、前扉13の下部には、メダルを払い出すためのメダル払い出し口17と、払い出しメダルを貯留可能な下皿15が設けられている。そして、メダル投入口10からメダルを投入し、スタートスイッチの操作により回転リールを回転させ、ストップスイッチの操作により回転リールを停止させ、このとき、複数の回転リールに表示された図柄が所定の位置態様に停止すると入賞となり、前記メダル払い出し口17から所定枚数のメダルが払い出されるように形成されているものである。
【0020】
ここで、前記メダル投入口10は、図3に示すように、上方からメダルを一枚ずつ投入可能な上方投入開口11と、上方投入開口11の側方に連通する側方移送通路12とを有している。この側方移送通路12は、上方投入開口11から正面右側(メダル貸出機2側)に延設された樋状の通路であって、後述するメダル貸出機2のノズル30から送られてくるメダルを受け入れ上方投入開口11に移送するためのものである。
また、前記下皿15の正面右側の底部には、下皿15に貯まったメダルを下方に落下させることができる貯留投入開口としての下皿開口18が形成されている。そして、下皿開口18の下方には、下皿開口18に投入されたメダルを一枚ずつ分離して検知可能なメダル検知部40が埋設されている。
【0021】
ここで、メダル検知部40は、特に図示しないが、ランダムに投入されたメダルの向きを揃えて一枚ずつ分離する分離手段と、分離手段により分離されたメダルを検知するためのセンサを備えている。前記分離手段は、メダル孔を有する回転ディスクをモータにより回転させ、メダル孔に嵌入したメダルを一枚ずつ排出させるものとすることができる。この分離手段は、メダル検知部40の内部にメダルが存在している間、作動し続けるように形成するのが好ましい。また前記センサは、前記分離手段から送出されるメダルをセンシングする光センサや磁気センサとすることができる。そして、センサの検知信号はメダル貸出機2の制御部に送信され、この制御部においてカウントされるようになっている。
【0022】
以上のように形成されているスロットマシン1におていは、払い出しメダルの量が少ない場合には、メダルは下皿15に貯留されるが、ボーナス入賞時などに払い出しメダルによって下皿15が満杯になった場合には、メダルは下皿開口18からメダル検知部40に自然に落下するようになっている。あるいは、遊技者が意図的にメダルを下皿開口18の方に移動させ、下皿15内部のメダルを下皿開口18から廃棄することもできる。
一方、下皿開口18から落下したメダルは、メダル検知部40の下方に設けられた排出搬送路51を経て、遊技場を循環するメダル循環路50(図1参照)に搬送される。そして、後述するように、メダル検知部40の検知した枚数のメダルがメダル貸出機2に貯留されたものとして扱われることとなる。
【0023】
(メダル貸出機2)
メダル貸出機2は、スロットマシン1の側面側に隣接して設置される箱型の装置であって、金銭と引き替えにメダルを貸し出すと共に、貸し出しメダル及び遊技者の獲得したメダルをスロットマシン1のメダル投入口10に投入するためのものである。すなわち、メダル貸出機2は、図2に示すように、外箱20に、紙幣カウンター22と、メダルを払い出すためのサンドホッパー23と、特に図示しないがメダル貸出機2の作動を制御するための制御部が内蔵されているとともに、正面側には、サンドホッパー23の払い出すメダルを隣接するスロットマシン1に移送可能な投入移送手段としての投入ノズル30が取り付けられているものである。
【0024】
(外箱20)
外箱20は、メダル貸出機2の外装であって、正面中央部には投入ノズル30が設けられ、投入ノズル30の上側には、払い出しスイッチ25及びキャンセルスイッチ27の二つの操作ボタンと、所定の数値をデジタル表示可能な貯留表示部26が設けられている。
ここで、貯留表示部26は、前記メダル検知部40の検知信号に基づくカウント値を表示するものであり、スロットマシン1の下皿開口18から廃棄されたメダルと同じ枚数のメダルを、サンドホッパー23に貯留したものとして扱うためのものである。また、払い出しスイッチ25は、その操作により、貯留表示部26に表示されている数値の範囲内で、一定枚数(例えば最大可能クレジット数である50枚)ずつ、サンドホッパー23からメダルを払い出させるためのものである。そして、キャンセルスイッチ27は、貯留表示部26の表示をゼロクリアして当該数値に応じた枚数のメダルをサンドホッパー23から払い戻すためのものである。
【0025】
さらに、前記投入ノズル30の下方には、紙幣を投入するための紙幣投入口21が形成されている。
(紙幣カウンター22)
前記紙幣カウンター22は、紙幣投入口21から投入された紙幣を読み取って、サンドホッパー23に所定枚数のメダルを払い出させるためのものである。なお、メダル貸出機2としては、紙幣投入口21及び紙幣カウンター22の他に、硬貨投入口や硬貨カウンター、釣り銭払い出し口などを有していてもよい。また、プリペイドカード投入口とカードリーダーを有していてもよい。さらに、紙幣投入口21は外箱20の正面上方にあってもよく、紙幣カウンター22はメダル貸出機2の外部(例えば島設備)に設けられていてもよい。
【0026】
(サンドホッパー23)
前記サンドホッパー23は、メダルを払い出すための払い出し装置であり、図2に示すように、メダルを貯留しておくためのタンク23Aと、タンク23Aに貯留されているメダルを一枚ずつ排出可能な送り出し円板23Bを有している。タンク23Aの背面側には、メダル循環路50の供給搬送路52から供給されるメダルを受け入れるための補給受入口24が設けられており、この補給受入口24から適宜、補給メダルを受け入れ可能になっている。送り出し円板23Bは、駆動モータ23Cに回転可能に軸止されており、メダルが嵌入可能な孔が形成されている。そして、この孔に入ったメダルを、円板の回転に伴い一枚ずつ装置の外に排出するようになっている。また、サンドホッパー23には排出メダルをカウントするためのセンサが設けられていて、所定枚数のメダルを払い出したら駆動モータ23Cが停止するように形成されている。
【0027】
なお、図示した例では、補給受入口24を外箱20の背面に設けてあるが、補給受入口24を外箱20の上面に設けてもよい。
(投入ノズル30)
投入ノズル30は、サンドホッパー23から払い出されるメダルを、直接スロットマシン1のメダル投入口10に移送するための投入移送手段である。
投入ノズル30は、図2に示すように、外箱20の正面側に突設されたアーム状の移送管であり、サンドホッパー23の送り出し円板23Bのメダル排出部から排出されたメダルを一方の端部開口301(図4参照)から受け入れ、断面長方形状の管内を一枚ずつ転送させて、他方の端部開口302(図3参照)から排出されるメダルを、スロットマシン1のメダル投入口10の側方移送通路12に移送するものである。
【0028】
さらに、投入ノズル30は、サンドホッパー23の送り出し円板23B及び駆動モータ23Cと一体で回転可能に形成されている。具体的には、図4に示すように、サンドホッパー23のタンク23Aの下方に円筒形の可動部23Dが回転可能に取り付けられており、この可動部23Dに送り出し円板23B及び駆動モータ23Cが固定されている。また、投入ノズル30は、一方の端部開口301が送り出し円板23Bのメダル排出部と連通するよう、送り出し円板23Bに固定されている。そして、投入ノズル30を横方向に押すことにより可動部23Dが回転し、投入ノズル30が水平方向に回動可能になっているものである。
メダル貸出機2からスロットマシン1に直接メダルを投入したい場合には、図2において実線で、図3において二点鎖線でそれぞれ示すように、投入ノズル30の端部30Aと、側方移送通路12の側端部とを当接させておけば、端部開口301から排出されるメダルが側方移送通路12のスリットに転送される。
【0029】
一方、スロットマシン1の前扉13を開く場合や、サンドホッパー23から払い出されるメダルをスロットマシン1に投入しない場合や、メダル貸出機2に貯留された扱いとなっているメダルを払い戻す場合には、図2において二点鎖線で、図3において実線でそれぞれ示すように、投入ノズル30を、端部30Aが側方移送通路12から離れる方向(メダル貸出機2側)に回動させて、メダル投入口10から退避させる。
なお、貯留扱いメダルをキャンセルする場合には、投入ノズル30を退避位置に回動させてからキャンセルスイッチ27を操作し、投入ノズル30の端部30Aから排出されるメダルを、手のひらやメダル容器で受け止めればよい。投入ノズル30は送り出し円板23Bと一体で回動するので、退避位置に移動させても駆動モータ23Cの駆動により送り出し円板23Bから排出されるメダルを端部開口301から受け入れることができ、また送り出し円板23Bの排出部と端部開口301との位置ずれもない。
【0030】
(メダル貸出機2の他の例)
ところで、上記メダル貸出機2について、図5に示すように、外箱20の正面下部に、キャンセルスイッチ27の操作に基づきキャンセルされる貯留メダルの払い戻し口29を設け、サンドホッパー23から払い出されるメダルを払い戻し口29に移送するための排出通路28を設けてもよい。この場合、キャンセルスイッチ27の操作により、送り出し円板23Bが逆回転するように形成するとともに、逆回転した場合のメダル排出部と、前記排出通路28を連通させておく。このように形成した場合には、キャンセル時に投入ノズル30を動かす必要がなく、払い戻し口29の下方にメダル容器Dを設置しておけば、大量のメダルを一度にキャンセルしても不都合がない。
【0031】
あるいは、キャンセルスイッチ27を操作した場合には、サンドホッパー23からメダルを払い出さず、所定のレシート発行口から、貯留表示部26に表示されている数値を数字又はバーコードで表示したレシートが発行されるようにしてもよい。そして、このレシートで景品交換を行えるようにしてもよい。
(メダル貸出機2の作動)
次に、上記構成を有するメダル貸出機2の作動のうち、メダルカウントに基づく払い出し制御の概略について、図7のフローに基づき説明する。
まず、図7のステップ100において、メダル検知があるか、すなわちメダル検知部40のメダル検知信号を受信したか否かの判断がなされる。メダル検知が無い場合にはステップ100に戻る。メダル検知がある場合には、次のステップ101に進む。
【0032】
ステップ101において、メダル検知信号をカウントして貯留表示部26の表示を加算させる。なお、検知信号のカウントは、メダル貸出機2の制御部に設けられたカウント手段により行われる。そして次のステップ102に進む。
ステップ102において、払い出しスイッチ25がONとなったか否かの判断がなされる。払い出しスイッチ25がONとなった場合には、次のステップ103に進む。
ステップ103において、サンドホッパー23から所定枚数、例えば50枚(貯留表示が50以下の場合にはその枚数)のメダルを払い出すと共に、貯留表示部26の表示を払い出した枚数分だけ減算させる。そして次のステップ104に進む。
【0033】
ステップ104において、貯留表示部26の表示が「0」になったかどうかの判断がなされる。貯留表示が「0」の場合には、メダル検知部40のカウントに基づく払い出し制御を終了する。一方、貯留表示が「0」でない場合、すなわち「1」以上の場合には、次のステップ105に進む。
前記ステップ102において、払い出しスイッチ25がONにならない場合には、ステップ103、104を飛び越してステップ105に進む。
ステップ105において、キャンセルスイッチ27がONとなったか否かの判断がなされる。キャンセルスイッチ27がONにならない場合には、次のステップ106に進む。
【0034】
ステップ106において、メダル検知があるか否かの判断がなされる。メダル検知が無い場合には、ステップ102に戻る。一方、メダル検知がある場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、メダル検知信号をカウントして貯留表示部26の表示を加算させる。そしてステップ102に戻る。
前記ステップ105において、キャンセルスイッチ27がONとなった場合には、ステップ108に進む。
ステップ108において、貯留表示部26に表示されている枚数のメダルをサンドホッパー23から払い戻し、貯留表示部26の表示を「0」にする。そしてメダルカウントに基づく払い出し制御を終了する。
【0035】
(遊技場におけるメダルの循環)
さて、上記したように形成されたスロットマシン1及びメダル貸出機2は、図1に示すように遊技場の島設備(図示せず)に並列配置される。そして、各スロットマシン1に対応して設けられた排出搬送路51は、遊技場内を循環するメダル循環路50に合流しており、メダル循環路50は遊技場の所定の場所に設置されたメダルタンク60のメダル流入部60Aに連結されている。また、メダルタンク60のメダル流出部60Bに連結されたメダル循環路50は、各メダル貸出機2に対応して設けられた供給搬送路52に分岐している。
メダルタンク60は、遊技場に一個、又は島ごとに一個、あるいは複数台のスロットマシン1に対して一個ずつ設けられたメダル貯留部であり、メダル循環路50は、例えばリフトコンベヤやベルトコンベヤなどによりメダルを搬送可能な通路である。また、排出搬送路51及び供給搬送路52は、メダル循環路50から分岐したダクトなどの通路である。そして、特に図示しないが、メダルタンク60のメダル流入部60Aから受け入れたメダルをメダル流出部60Bからメダル循環路50に送り出すための送り出し装置によって、メダル循環路50のメダルが遊技場内を循環するようになっている。
【0036】
各スロットマシン1に対応して設けられた排出搬送路51から排出されたメダル(すなわち下皿開口18から落下したメダル)は、遊技場の床下に配置されているメダル循環路50を通ってメダルタンク60に貯留される。また、メダル貸出機2のサンドホッパー23が空になった場合(エンプティーエラーを検知した場合)には、メダルタンク60に貯留されているメダルが、島設備の上部に配置されているメダル循環路50を通って供給搬送路52からメダル貸出機2に供給される。
なお、メダル循環路50によるメダルの移送経路中に、メダルタンク60から送り出されるメダルを洗浄するメダル洗浄装置を設けると、メダル貸出機2に供給されるメダルを清浄なものとすることができ、好適である。
【0037】
このように、本実施の形態によれば、遊技開始時にはメダル貸出機2に紙幣を投入すればスロットマシン1に直接メダルが投入されるので遊技者が手で投入する手間がなく、遊技中においては下皿15に貯まったメダルをメダル容器に移し替えなくても、下皿開口18から自然に落下して、あるいは下皿開口18に廃棄するだけで、メダル貸出機2に貯留されたものとして扱われる。また、払い出されたメダルをスロットマシン1に再投入する場合も、下皿15から手を使ってメダル投入口10に投入することなく、メダル貸出機2の払い出しスイッチ25を押すだけで、自動的にメダルがメダル投入口10まで移送される。さらに、遊技終了後も、下皿15に貯まったメダルをメダル容器に移し替える必要がない。従って、遊技者はほとんどメダルに手を触れずに遊技を行うことができ、遊技者への負担を削減することができる。
【0038】
また、下皿15のメダルをすべて下皿開口18に流下させることにより、貯留表示部26に表示される数値を見れば、遊技者が獲得したメダル枚数を正確に知ることができる。このようにすれば、キャンセルスイッチ27によりメダルの返却をしてから、店のジェットカウンター等でメダルの計測をする際、表示に係る数値との整合を見ることができる。この場合、遊技者が希望する場合には、例えば所定のスイッチを操作するとにより、貯留表示部26の表示に係る数値がプリントアウトされるようにしてもよい。
加えて、メダル循環路50によりメダルタンク60に貯留されているメダルを循環させているので、メダル貸出機2にメダルを補給する手間がなく、店員の負担も軽減できる。
【0039】
なお、投入ノズル30は上記したような左右に回動自在な管状通路に限られず、メダル貸出機2から払い出されるメダルをスロットマシン1のメダル投入口10に誘導できるものであれば、どのような構成を有していてもよい。例えば、上下に回動してノズルの先端がメダル投入口10から離れるようになっているものや、折り畳み可能又はフレキシブルに変形可能に形成してあってもよい。あるいは、投入ノズル30のメダル移送経路の途中に、メダルの方向を変更するための方向変換装置を有していてもよい。
さらに、スロットマシン1のメダル投入口10の形状は、図示したようなものに限られず、投入ノズル30の先端から排出されるメダルを受け入れ可能であれば、どのような構成を有していてもよい。
【0040】
(貯留投入開口及びメダル検知部40の他の形態)
ところで、貯留投入開口としての下皿開口18を、図6(A)に示すように形成してもよい。すなわち、下皿15の右端に底面よりも高い位置に形成された段部15aを設け、この段部15aに下皿開口18を設け、段部15aの位置にメダル払い出し口17を設けるとともに、下皿開口18を開閉自在なシャッター150を設けたものである。そしてシャッター150は、下皿15の正面側に設けられたつまみ151により、左右にスライド自在に形成する。さらに、メダル検知部40をメダル貸出機2の正面側に設け、下皿開口18とメダル検知部40を横方向に回動自在な可動通路70により連結する。
【0041】
このように形成すれば、下皿15にメダルを貯留したい場合には、シャッター150で下皿開口18を閉じておけば、メダル払い出し口17から払い出されるメダルは段部15aから傾斜を下って下皿15の左側に移動し、下皿15が満杯になったら、シャッター150を開いて、メダル払い出し口17から払い出されるメダルを下皿開口18及び可動通路70を経てメダル検知部40に流下させることができる。また、スロットマシン1の前扉13を開くときには、図6(A)で二点差線で示すように、可動通路70を退避させておけばよい。
さらに、貯留投入開口は必ずしも下皿15に設けてなくともよい。すなわち、図6(B)に示すように、下皿15の右側壁に切り欠き15bを設け、メダル貸出機2の正面底部を下皿15の側面部まで延設し、この延設部の先端であって下皿15の底面よりも低い位置に貯留投入開口としてのサンド受け口80を形成する。そして、下皿15に貯留されているメダルが切り欠き15bからサンド受け口80に落下するように形成してもよいものである。なお、図6(A)に示す段部15aを設け、この段部15aの下側にサンド受け口80が位置するようにしてもよい。この場合、切り欠き15bをシャッターにより開閉自在に形成してもよい。
【0042】
ちなみに、上記の場合、メダル検知部40は、メダル貸出機2の付属装置となっていなくともよい。要は、メダル検知部40の検知信号が、メダル貸出機2の制御部のカウント手段に出力されるようになっていればよい。
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態は、メダル貸出機2に、投入移送手段として、一括投入装置3を設けたものである。すなわち、第二の実施の形態では、サンドホッパー23から直接投入ノズル30を介してスロットマシン1にメダルが投入されるのではなく、一括投入装置3に払い出されたメダルを、遊技者の操作によりスロットマシン1に移送させるようになっている。なお、第二の実施の形態におけるスロットマシン1及びメダル貸出機2の基本的構成は第一の実施の形態と同様であるので、重複する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ説明する。
【0043】
(図面の説明)
図8乃至図10は本発明の第二の実施の形態を示す図である。図8は本実施の形態に係るスロットマシン1とメダル貸出機2の斜視図、図9は一括投入装置3の斜視図、図10は一括投入装置3の断面図である。
(メダル貸出機2)
本実施の形態におけるメダル貸出機2は、第一の実施の形態と同様に、外箱20に、紙幣カウンター22と、メダルを払い出すためのサンドホッパー23と、特に図示しないがメダル貸出機2の作動を制御するための制御部が内蔵されている。そして、図8に示すように、外箱20の正面側には、遊技者が投入するメダル又はサンドホッパー23の払い出すメダルを隣接するスロットマシン1に移送可能な一括投入装置3が取り付けられているものである。
【0044】
前記サンドホッパー23は、特に図示しないが、メダルを貯留しておくためのタンクと、タンクに貯留されているメダルを一枚ずつ排出可能な送り出し円板を有しており、背面側には、メダル循環路50の供給搬送路52から供給されるメダルを受け入れるための補給受入口24が設けられている。そして、下方に設けられたメダル排出部から、一括投入装置3の内部にメダルを払い出すようになっている。
(一括投入装置3)
一括投入装置3は、一括投入開口31を備えメダル送り装置35を内蔵するとともに、このメダル送り装置35からノズル部39を介してスロットマシン1のメダル投入口10にメダルを投入可能な装置であって、サンドホッパー23から払い出されるメダル、及び遊技者が一括投入開口31から投入するメダルを、スロットマシン1のメダル投入口10に投入するための投入移送手段である。
【0045】
具体的には、一括投入装置3は、図9及び図10に示すように、メダル貸出機2の外箱20の正面に突設された箱形の装置であって、上方に開口する一括投入開口31と、一括投入口31の下方に内蔵されたメダル送り装置35と、メダル送り装置35から送り出されるメダルをスロットマシン1のメダル投入口10に移送するためのノズル部39を有している。
前記一括投入開口31は、メダルを一括して投入可能な開口であり、開口部の中央付近には仕切棒が設けられていて、ランダムに投入されたメダルの向きが一方向にそろうようになっている。この一括投入開口31の下方には、図10に示すように、メダルを一時貯留可能な空間が形成されており、この貯留空間に貯留されたメダルは、メダル送り装置35によりノズル部39に一枚ずつ送り出される。なお、前記貯留空間は、少なくとも、サンドホッパー23が払い出す一定枚数(50枚)のメダルを貯留可能な容積を有しているものである。
【0046】
メダル送り装置35は、一対のローラ35A,35Aと、ローラ35A,35Aに掛け渡された搬送ベルト35Bと、搬送ベルト35Bの手前側上方にメダル一枚分の厚みよりも大きくメダル二枚分の厚みよりも小さい寸法の隙間をあけて設置された逆転ローラ35Cと、ローラ35A,35Aを回転させるための駆動モータ35Dと、駆動モータ35Dのモータ軸の回転をローラ35A,35Aに伝達するための伝達手段(図示しないが例えば歯車又はベルト)を有している。そして、搬送ベルト35Bの上面に乗っているメダルを、一枚ずつ前方(図10における左側)に送り出すとともに、搬送ベルト35Bの上方であって逆転ローラ35Cの後方にあるメダルを奥方向(図10における右側)に蹴り出すようになっている。搬送ベルト35Bの前方側は、後述するノズル部39のメダル通路39Bのメダル受け口と近接しており、ベルト上面に乗っているメダルは、逆転ローラ35Cとの隙間を潜ってノズル部39へと運ばれる。
【0047】
ここで、前記メダル送り装置35は、一括投入装置3の正面側に設けられた駆動スイッチ32及びキャンセルスイッチ33(図8参照)の操作に基づいて作動する。すなわち、駆動スイッチ32を押圧すると、搬送ベルト35Bの上面が前方に移動する方向に駆動モータ35Dが駆動し、駆動スイッチ32の押圧を停止すると駆動モータ35Dの駆動が停止する。また、キャンセルスイッチ33を押圧すると、駆動モータ35Dが一定時間逆転駆動して、搬送ベルト35Bの上面が奥方向に移動するようになっている。
前記一括投入開口31の奥側内部には、サンドホッパー23から払い出されるメダルを受け入れ可能な払い出し通路34が形成されており、払い出し通路34の下方には排出装置37が設けられている。ここで、払い出し通路34は、サンドホッパー23のメダル排出部と連通する通路であって、払い出しメダルを前記貯留空間に誘導するためのものである。また、前記排出装置37は、ソレノイド37Aにより開閉板37Bを上下方向に移動させ、貯留空間のメダルを下方に排出させるためのものである。さらに、排出装置37の下方には、メダル送り装置40から排出される異物やキャンセルメダルを落下させるためのキャンセル開口36が形成されており、キャンセル開口36の下方には、キャンセルメダルその他の落下物を受け止める受け皿38が設けられている。
【0048】
前記払い出し通路34の底面は、奥側から手前側に向かって下り傾斜となっており、傾斜の前端部が排出装置37の開閉板37Bによって開閉可能に形成されている。開閉板37Bが閉じているときには、キャンセル開口36が閉塞されており、一括投入開口31の下方にメダルが貯留される。そして、開閉板37Bは、キャンセルスイッチ33が操作された場合に下方に回動して開くようになっており、開閉板37Bが開いた場合にはキャンセル開口36が開放され、内部空間又はメダル送り装置35の搬送ベルト35Bの上にあるゴミなどの異物やメダルは、キャンセル開口36から落下する。このとき、搬送ベルト35Bはメダル移送方向と逆方向に移動するので、メダル等を効率よく排出することができる。
【0049】
ノズル部39は、図9に示すように、正面視逆L字型のメダル移送通路であって、内部にメダル通路39Bが形成されており、上側から受け入れたメダルを側方に転送するようになっている。そして、ノズル部39の端部39Aとスロットマシン1のメダル投入口10の側方移送通路12との側端面との位置を合致させて、上方投入開口11にメダルを投入させるのは、第一の実施の形態と同様である。なお、本実施の形態では、側方移送通路12の側端部を前扉13の側面まで延設してあるとともに、端部39Aと側方移送通路12との側端面との間には、メダルが飛び越せる程度の隙間をあけてある。このため、ノズル部39を移動させなくてもスロットマシン1の前扉13の開閉に支障がない。
【0050】
なお、図9に示すように、一括投入装置3の上部には払い出しスイッチ25が、一括投入開口31の上方には貯留表示部26がそれぞれ設けられている。本実施の形態においては、メダル貸出機2にキャンセルスイッチ27は設けられていない。メダル貸出機2に貯留されている扱いとなっているメダルをキャンセルする場合には、払い出しスイッチ25を操作してから、一括投入機構3のキャンセルスイッチ33を操作することとなる。
(メダル貸出機2の作動)
次に、上記構成を有するメダル貸出機2において、一括投入装置3によるメダルの移送過程を説明する。
【0051】
初期状態では、一括投入装置3は、図10に示すように、開閉板37Bはキャンセル開口36を閉塞している。そして、メダル貸出機2の紙幣投入口21に紙幣を投入すると、サンドホッパー23が作動開始し、投入金額に対応する枚数のメダルを払い出す。払い出しメダルは、払い出し通路34を経て開閉板37Bの上面に積み重なるように落下し貯留される。また、一括投入開口31からメダルを投入すると、メダルは搬送ベルト35Bの後方部上面と開閉板37Bの上面に積み重なるように落下し貯留される。
なお、スロットマシン1の下皿開口18から廃棄したメダルがメダル貸出機2に貯留された扱いとなっている場合、すなわち貯留表示部26に「1」以上の数値が表示されている場合に、払い出しスイッチ25を操作すると、サンドホッパー23が作動し、所定枚数のメダルを払い出すが、このメダルも同様にして一括投入装置3の内部に貯留される。
【0052】
次に、駆動スイッチ32を操作すると、メダル送り装置35が作動を開始する。すなわち、駆動モータ35Dが正転駆動して、ローラ35Aが回転し、搬送ベルト35Bが前方に移動開始する。そして搬送ベルト35Bにより前方に移送されたメダルのうち、搬送ベルト35Bの上面に乗っているメダルは、搬送ベルト35Bと逆転ローラ35Cの下面との間の間隙をすり抜けて、一枚ずつ、投入ノズル30のメダル通路30Bへと移送される。一方、搬送ベルト35Bの上方に重なっているメダルは、逆転ローラ35Cと接触することにより、上方後部に蹴り戻される。メダル送り装置35から送り出されたメダルは、メダル通路30Bを通って端部30Aの開口から排出され、側方移送通路12を通って、上部投入開口11に投入される。
【0053】
ところで、一括投入開口31又は払い出し通路34から投入されたメダルを全て移送し終える前にメダル送り装置35の作動を停止させた場合(駆動スイッチ32から手を離した場合)には、搬送ベルト35Bの上面などにメダルが残留したままとなる。この場合、遊技を終了するなどにより、残留しているメダルをスロットマシン1に投入したくない場合には、キャンセルスイッチ33を操作する。すると、排出装置37のソレノイド37Aが作動して開閉板37Bを開くとともに、メダル送り装置35の駆動モータ35Dが逆転駆動する。これにより、搬送ベルト35Bの上面にあるメダルは後方に移動し、開閉板37Bが開くことにより、キャンセル開口36から下方に落下する。内部に貯留されていたメダルも、同様にキャンセル開口36から落下する。
【0054】
また、メダル貸出機2の貯留メダル(貯留表示部26の表示に係るメダル)をキャンセルする場合には、払い出しスイッチ25を操作してメダル50枚を払い出させてから、キャンセルスイッチ33を操作して、一括投入装置3の内部のメダルを排出させる。
なお、メダル送り装置35の作動中(スロットマシン1へのメダル投入中)にメダル詰まりの発生が検知された場合には、所定の警報が発せられるとともに、駆動モータ35Dの駆動が停止する。同時に排出装置37を作動させるとともに駆動モータ35Dを逆転駆動させ、搬送ベルト35Bと逆転ローラ35Cの間に挟まったメダルをメダル移送方向と逆側に戻すとともに、キャンセル開口36から排出させるようにしてもよい。メダル詰まりは、駆動モータ35D及びローラ35Aに設けた回転検知センサにより認識することができる。
【0055】
このように、第二の実施の形態によれば、一括投入開口31に遊技者がメダルを投入することができるので、遊技者の好みの量だけスロットマシン1に投入することが可能となる。また、メダル貸出機2から払い出されるメダルをいったん一括投入装置3の内部に保留してから、駆動スイッチ32の操作によりスロットマシン1へのメダル投入を行うようにしてあるので、手投入によらない場合でも、遊技者の任意でスロットマシン1に投入されるメダル枚数を調整できる。
なお、上記実施の形態では、遊技場のシステムとしてメダル循環路50を備えていることを前提に説明したが、本発明はかかるメダル循環システムを有しない遊技場であっても実施可能である。例えば、メダルタンク60を各スロットマシン1の下皿開口18の下部(床板の下など)に設け、メダル貸出機2のサンドホッパー23が空になったら、メダルタンク60に貯留されているメダルをメダル容器に移し替えて、あるいはメダルタンク60とサンドホッパー23をつなぐリフトコンベヤを用いて、サンドホッパー23に供給するようにしてもよい。
【0056】
逆に、メダル循環システムを有する遊技場においては、メダル貸出機2にメダルを貯留しておくためのサンドホッパー23を設けなくてもよい。この場合には、貸し出しメダルを払い出すための払い出し装置として、紙幣投入又は払い出しスイッチ25の操作に基づいてメダル循環路50から所定枚数のメダルを外箱20の内部に取り込んで、投入ノズル30又は一括投入装置3に送り出す装置を設けるとよい。このように形成した場合であっても、スロットマシン1の下皿15から廃棄されたメダルをメダル貸出機2に貯留したものとして取り扱い、払い出しスイッチ25の操作によりメダル貸出機2から払い出すことに変わりはない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第一の実施の形態であって、スロットマシン及びメダル貸出機の配置図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態であって、スロットマシン及びメダル貸出機の斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態であって、メダル投入口及び投入ノズルの拡大斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態であって、サンドホッパーと投入ノズルの正面図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態であって、スロットマシン及びメダル貸出機の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態であって、貯留投入開口及びメダル検知部の他の例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第一の実施の形態であって、メダル貸出機の作動の概略を示す流れ図である。
【図8】本発明の第二の実施の形態であって、スロットマシン及びメダル貸出機の斜視図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態であって、一括投入装置及びメダル投入口の拡大斜視図である。
【図10】本発明の第二の実施の形態であって、一括投入装置の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 スロットマシン(遊技機)
10 メダル投入口 11 上部投入開口
12 側方移送通路 13 前扉
14 図柄表示窓 15 下皿
16 操作部 17 メダル払い出し口
18 下皿開口(貯留投入開口)
2 メダル貸出機
20 外箱 21 紙幣投入口
22 紙幣カウンター 23 サンドホッパー(払い出し装置)
24 補給受入口(補給受入部) 25 払い出しスイッチ
26 貯留表示部 27 キャンセルスイッチ
28 排出通路 29 払い戻し口
30 投入ノズル(投入移送手段)
3 一括投入装置(投入移送手段)
31 一括投入開口 32 駆動スイッチ
33 キャンセルスイッチ 35 メダル送り装置
36 キャンセル開口 37 排出装置
38 受け皿 39 ノズル部
40 メダル検知部
50 メダル循環路(メダル搬送手段) 51 排出搬送路
52 供給搬送路
60 メダルタンク(メダル貯留部) 70 可動通路
80 サンド受け口(貯留投入開口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口と、メダル投入口よりも下方に設けられたメダル払い出し口を有する遊技機に隣接して配置されるメダル貸出機であって、
前記遊技機のメダル払い出し口よりも低い位置に形成され遊技者がメダルを投入可能な貯留投入開口に投入されたメダルを、遊技場の所定の場所に設けられたメダル貯留部に移送可能に形成された遊技場に設置されるとともに、
遊技者に貸し出すメダルを払い出すための払い出し装置と、払い出し装置から払い出されるメダルを前記遊技機のメダル投入口に誘導する投入移送手段とを少なくとも備えるメダル貸出機において、
前記貯留投入開口に投入されたメダルを一枚ずつ検知可能なメダル検知部の検知信号をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段のカウント値に基づいて数字を表示する貯留表示部と、
遊技者が操作することにより前記貯留表示部の表示を減算表示させるとともに、表示から減じられた数だけのメダルを、前記払い出し装置から払い出させるための払い出しスイッチとを設け、
前記払い出しスイッチの操作により、前記貯留表示部に表示されている数を限度に、予め定められた枚数のメダルを、前記投入移送手段を介して隣接する遊技機のメダル投入口に投入可能としたことを特徴とするメダル貸出機。
【請求項2】
メダル投入口と、メダル投入口よりも下方に設けられたメダル払い出し口を有する遊技機に隣接して配置されるメダル貸出機であって、
前記遊技機のメダル払い出し口よりも低い位置に形成され遊技者がメダルを投入可能な貯留投入開口に投入されたメダルを、遊技場の所定の場所に設けられたメダル貯留部に移送可能であり、かつ前記メダル貯留部に貯留されているメダルを遊技場内の各メダル貸出機に供給可能なメダル循環システムを備える遊技場に設置されるとともに、
遊技者に貸し出すメダルを払い出すための払い出し装置と、前記メダル循環システムのメダル搬送手段からメダルを取り込むための補給受入部と、前記払い出し装置から払い出されるメダルを前記遊技機のメダル投入口に誘導する投入移送手段とを少なくとも備えるメダル貸出機において、
前記貯留投入開口に投入されたメダルを一枚ずつ検知可能なメダル検知部の検知信号をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段のカウント値に基づいて数字を表示する貯留表示部と、
遊技者が操作することにより前記貯留表示部の表示を減算表示させるとともに、表示から減じられた数だけのメダルを、前記払い出し装置から払い出させるための払い出しスイッチとを設け、
前記払い出しスイッチの操作により、前記貯留表示部に表示されている数を限度に、予め定められた枚数のメダルを、前記投入移送手段を介して隣接する遊技機のメダル投入口に投入可能とし、前記補給受入部から前記メダル貯留部に貯留されているメダルを受け入れ可能としたことを特徴とするメダル貸出機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate