説明

メダル貸出機

【課題】 取り付けたときの位置精度が高く、操作性に優れる着脱式のメダル払出用フロントパネルを備えたメダル貸出機を提供する。
【解決手段】 先端部が剣先状をした側部フック37aと係止穴37bとが係合し、パネル背面より離間するにしたがって下辺が下方に向かう傾斜辺を有する下部フック41は、ケースより立設させた下部フック支持片47によって支持されることにより、払出用フロントパネル22を本体ケース21に簡単かつ確実に取り付けることができる。このときに、凸状片38aが、上下方向に移動可能に形成された可動板45からなる凹状片38bと係合することによって、払出用フロントパネル22より突設されたコネクタ部40aと可動板45に保持されたコネクタ部40bとが安全に接触して結線される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに隣設させて遊技客にゲーム用のメダルの貸し出しを行うメダル貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
メダル貸出機は、通常、スロットマシンごとに隣接して設置され、遊技客がメダル貸出機に備わる紙幣投入口やカード挿入口などから投入する有価価値と引き換えにゲーム用のメダルの払い出しを行うものである。遊技客は席を移動することなくその場で貸し出されたメダルを手にして、スロットマシンのメダル投入口より投入することによって、ゲームを開始できる状態となる。
【0003】
このようなメダル貸出機にあって、たとえば特許文献1には、貸出機本体の前面側に対して払出部パネルを着脱自在に取り付けた構成のものが開示されている。そして、払出部パネルを着脱自在としたことで、遊技客がメダルを取り出すために備えられるメダル受皿の設置場所が貸出機側にあるのか遊技機側にあるのかに応じて、対応する払出部パネルを任意に選択することができるようになっている。
【0004】
このメダル貸出機における払出部パネルの交換は、次のように行われる。まず、払出部パネルを貸出機本体から取り外す場合は、払出部パネルの上位に配設された補給口扉に備えた補給口施錠装置を外部から鍵で操作して施錠を解く必要がある。そして、補給口扉を手前に開いてメダル補給口を開け、次にメダル補給口から手を入れて、払出部パネル側の上方係合金具のフック状先端部を指先で持ち上げることで、本体側の上方係合金具との係合を解除する。これにより、払出部パネルの上部を前方に引き出すことができる。次に、払出部パネルを上方に引き上げることで、払出部パネル側と本体側の下方係合金具同士の係合を解除する。以上のようにして、本体に対する払出部パネルの係止が解除され、払出部パネルを本体から取り外すことができる。
【0005】
鍵についていうと、上記に用いられている鍵は、純粋に施錠のためだけに使用されるものである。一方、鍵の機能と関連させて不正行為の防止を図った他の事例として、特許文献2が挙げられる。これは、出玉率やペイアウト率を段階的に変更できるようにするために遊技機の筐体内部に設けられる切り替えスイッチに関するもので、特徴の第一は、切り替えスイッチがOFFの状態にならなければ鍵の抜き取りが不可能となる構成についての発明である。この発明により、鍵のかけ忘れを防止することができ、また、スイッチをONのままで放置しておくと遊技機外部から加えられる不正な設定変更が容易となる事態を回避することができるとしている。
【0006】
特許文献2の第二の特徴は、切り替えスイッチをONに切り替えた状態で設定の変更を操作することが必要である入賞ゲームの確率設定部について、この確率設定部が蓋でもって覆われ、さらに遊技機の前扉には、前扉を閉じたときにその閉鎖位置において蓋の固定手段である留めねじを覆う遮蔽部が設けられているということである。この遮蔽板が固定手段を隠蔽することで、遊技機の右側面板を取り外して設定ボックス内を不正に操作しようとする行為を防止することができるとしている。
【0007】
【特許文献1】 特開2002−45561号公報(主に段落番号33〜35)
【特許文献2】 特開2004−65684号公報(主に段落番号18〜21)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
払出用フロントパネルが着脱可能に形成されている全てのメダル貸出機に共通していえることであるが、着脱作業の操作性、装着の確実性、正確さ、セキュリティは重要な技術課題である。ところで最近のスロットマシンでは、メダル貸出機の払出口から払い出したメダルをスロットマシンのメダル投入口まで遊技客の手に触れることなく直接投入することのできる新しい機種も登場している。とりわけこのような新機種に対しては、メダルの受け渡しなどの際に支障が生じないように、前記に列記したような技術要素に対してより高いものが求められてきている。
【0009】
このようなスロットマシンの新機種に対応するメダル貸出機では、払出用フロントパネルの内部に、メダルの払い出しを実行するための電動モータやソレノイドなどの電気部品が組み込まれている。さらに、遊技客に各種情報を報知するためのランプ部や数値表示部が払出用フロントパネルに装着されている。しかるに、特許文献1に開示された払出部パネルは、従来形の払出部パネルの交換に関するものであって、電気的な接続の必要がないから、この件については考慮されていない。また、メダル補給口から手を差し入れての着脱作業は、操作性ばかりでなく、安全性についても若干の疑問を感じる。さらに、貯留容量を増加させるためにメダル補給口の設置空間までメダルの貯留タンクとして活用しようとする場合は、蓄積したメダルによって手を差し入れることができなくなる。
【0010】
本発明は、以上のような課題の解決を目的とすると同時に、払出用フロントパネルの着脱の仕組みを構成するうえで、メダル貸出機において簡単に実施することのできるセキュリティ対策についても配慮したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上のような課題に鑑みなされたもので、請求項1に記載の発明は、本体ケース内部に収納されたメダル払出装置を取り出す際に、その前面に備わるメダル払出用のフロントパネルを取り外して作業するように構成されたメダル貸出機において、前記払出用フロントパネルと前記本体ケース内部とを電気的に結線するために設けたコネクタ部について、前記本体ケース側のコネクタ部は上下に移動可能な可動板に取り付けられるとともに、前記可動板と前記払出用フロントパネルの背面とは、そのどちらか一方に備えた凹部と他方に備えた凸部とを係合させた状態で嵌合することを特徴とするメダル払出装置である。
【0012】
以上のように、上下方向に自由度を有する可動板が、払出用フロントパネルの背面との間に形成される凹部と凸部との関係のもとに係合するようにしたから、可動板に取り付けられたコネクタ部の位置合わせを簡単に行うことができる。しかもこのような係合関係を有していることから、コネクタ部に損傷を与えることがなく、確実に結線することができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のメダル払出装置において、前記可動板は、長穴によって上下の移動範囲が規制されていることを特徴とする。
【0014】
これは、可動板の上下方向の移動を長穴によって一定の範囲に規制することでもって、コネクタ部の周辺部に過度の負担がかからないようにしたものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のメダル払出装置において、前記本体ケースと前記払出用フロントパネルとは、そのどちらか一方の側部に備えた剣先状の先端部を有する側部フックと、他方の対向する側部に備えた係止穴とが少なくとも上下の2ヶ所において前後方向に引き合う形で係合することによって嵌合固定されるとともに、前記払出用フロントパネルの嵌合側面には、先端部に導入傾斜面を有した幅決めリブが水平方向に形成されていることを特徴とする。
【0016】
以上のように、側部フックの先端部形状を剣先状としたことによって、係合相手となる係止穴を容易に見つけることができる。さらに、剣先の傾斜形状によって、本体ケースと払出用フロントパネルとの間で引き合う力が発生し、この引張力でもって取り付けられた払出用フロントパネルの横ブレも抑制される。払出用フロントパネルの嵌合側面に設けた水平方向の幅決めリブは、本体ケースとの嵌合のクリアランスを小さくし、場合によっては無くするものであり、横ブレの抑制効果を一層向上させるためのものである。また、幅決めリブ先端部の導入傾斜面は、払出用フロントパネルの嵌合を容易にするものである。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のメダル払出装置において、前記払出用フロントパネルの下部背面には、該背面より離間するにしたがって下辺が下方に向かう傾斜辺を有する下部フックが突設されるとともに、前記本体ケース内部には、前記下部フックに対向して前記傾斜辺を支持する下部フック支持片が立設されていることを特徴とする。
【0018】
以上のような構成において、払出用フロントパネルを取り付けるときは、まず、払出用フロントパネルの下部背面より突設させた下部フックを本体ケースの上方に突設させた下部フック支持片に引っ掛けるようにする。これで払出用フロントパネルを落とすようなことが防がれる。そののち払出用フロントパネルが取り付いた状態となったときは、下部フックの傾斜辺によって下部フック支持片が引っ張られるような形となることでもって横ブレも抑制される。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のメダル払出装置において、前記払出用フロントパネルの上位には、前記メダル払出装置にメダルを補給するための補給用フロントパネルが開閉自在に配設され、該補給用フロントパネルの下部より下方に突設させた係止片によって、前記補給用フロントパネルを開扉しないうちは、前記払出用フロントパネルを取り出しが禁止されるように形成されていることを特徴とする。
【0020】
以上のような構成によって、補給用フロントパネルに鍵を設けるならば、払出用フロントパネルに鍵を設ける必要がなくなる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のメダル払出装置において、前記補給用フロントパネルを閉扉したときに、該補給用フロントパネルの前記係止片が前記払出用フロントパネルの上部に設けた係止開口と係合することによって、前記払出用フロントパネルの横ブレを規制するように形成されていることを特徴とする。
【0022】
以上のように、払出用フロントパネルの横ブレが規制されるばかりでなく、係止片が係止開口の内部に覗く形で係合するようになるので、補給用フロントパネルと払出用フロントパネルとの隙間から紙幣やカードを挿入するという単純ミスを防ぐことができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、補給用フロントパネルの上部には回動式掛金錠が備わり、本体ケースには、補給用フロントパネルを閉扉して施錠したときに、回動式掛金錠の掛金突片によって隠蔽される位置にリセットボタンが配設されていることを特徴とするメダル払出装置である。
【0024】
以上のような構成により、施錠に伴う回動式掛金錠の掛金突片によってリセットボタンの頭部前面が遮蔽されるから、本体ケースと補給用フロントパネルとの隙間から針金等の異物を挿入してリセットボタンを押下するという不正行為を防止することができる。したがって、たとえば不正を働いて多量のメダルの払い出しを行った際に発信されるエラー情報をリセットボタンの押下によって解消するという不正を予防することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のメダル貸出機は、上記のような構成の相乗作用でもって、払出用フロントパネルを本体ケースに高い取り付け精度と堅固で安定した装着強度を有して取り付けることができる。したがって、スロットマシンのメダル投入口へ直接メダルを投入する最新の払出用フロントパネルに対しても十分に対応することのできる性能をもっている。また、払出用フロントパネルの本体ケースへの取り付けは、払出用フロントパネルを押し付けるようにしながら操作すればよく、片手でも行うことができる。このとき、電気的な結線も何の支障もなく行われる。
【0026】
払出用フロントパネルの着脱は、補給用フロントパネルの鍵を開錠するだけでよく、しかもこの鍵は、リセットボタンに対する不正行為を防止する機能を兼ねている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の一実施例について、図を参照しながら説明する。なお、図1は、スロットマシンに隣設させた本発明メダル貸出機の正面図および側面図、図2は、払出用フロントパネルの背面側からの斜視図、図3は、払出用フロントパネルが取り付けられる本体正面側の斜視図、図4は、補給用フロントパネル部の正面図および側面図、図5は、メダル貸出機全体の概要を説明するための側面図である。
【0028】
図1に示すように、スロットマシン10において、ゲームを開始するに当たり、遊技客は、まず、手元のメダルをメダル投入口11より投入する必要がある。そののち、スタートレバー12を押下すると、透明に形成された表示窓から視認される3つのリール13が一斉に回転を始める。そして、リール13ごとに対応させて配設された3つのストップボタン14を押下してリール13の回転を停止させる。ストップボタン14を押下しなければ、所定時間の経過後にリール13は自動的に停止する。そして、停止した3つのリール13の外筒面に描かれた各種図柄が、遊技客によって選択された入賞ライン上において予め定められた図柄の組み合わせとなったときは、その態様に応じて入賞の種類が決定されて、スロットマシン10の下部に備えたメダル受皿15にメダルが払い出される。
【0029】
スロットマシン10の横には、これに隣接させたメダル貸出機20が設置されている。このメダル貸出機20は、その本体ケース21の前面を、着脱自在に形成されたメダル払出用のフロントパネル22、その上位に配設されるメダル補給用のフロントパネル23、さらに最下位に配設される識別装置収納用フロントパネル24の3種類のフロントパネルによって覆われている。そして、本体ケース21の内部には、払出用フロントパネル22の背後にホッパー装置25、識別装置収納用フロントパネル24の背後には紙幣識別装置26が収納され、補給用フロントパネル23の背後は、多量にメダルを貯留するために使用されるスペースとして確保されている。補給用フロントパネル23および識別装置収納用フロントパネル24は、施錠されている。
【0030】
遊技客がゲーム用のメダルを手に入れるためには、識別装置収納用フロントパネル24に開口する紙幣挿入口27より紙幣を挿入しなければならない。挿入された紙幣は、紙幣識別装置26に誘引されて金種と真贋について識別され、その紙幣が受け入れが可能な金種であって真券であると判断された場合には、その価値に応じたメダルが貸し出される。受け入れた紙幣は、紙幣識別装置26内のスタッカー室に収納される。一方、受け入れを拒否された紙幣は、紙幣挿入口27を通じて返却される。
【0031】
本実施例では、一例として、内部にメダルの自動投入装置を格納したタイプの払出用フロントパネル22を採用している。この自動投入装置は、特に図示しないが、駆動モータを動力源として2軸間を周回する搬送ベルトによって構成されたものである。投入された紙幣の価値に相当するメダル枚数は、メダル貸出機20に装着された制御手段によって、とりあえず記憶される。こののち払出用フロントパネル22に備えた投入ボタン28が遊技客によって押下されたときに、ホッパー装置25が作動を開始する。
【0032】
投入ボタン28の押下回数にしたがって、ホッパー装置25は、メダルの枚数を計数しながら排出する。排出されたメダルは、搬送ベルトに載置されて払出用フロントパネル22の先端部まで搬送され、起立した状態に姿勢を整えられてからメダル送出口29より送り出される仕組みとなっている。メダル送出口29は、スロットマシン10のメダル投入口11の近傍に位置するように設定されており、メダル送出口29より送り出されたメダルは、スロットマシン10に下り勾配に形成された投入溝16の間を転がり、メダル投入口11を通じて落下される。このとき、メダルの受け渡しが支障なくなされるためには、メダル送出口29が、投入溝16に対して高い位置精度を保つことが要求される。
【0033】
払出用フロントパネル22にはまた、メダル詰まり解消ボタン30が設けられている。このボタンは、搬送ベルト部分でメダル詰まりが発生したときに押下するもので、ボタンの押下によって搬送ベルトが逆転し、詰まったメダルが排除メダル貯留部31に落とし込まれるようになっている。払出用フロントパネル22にはさらに、メダル貸出機20の運転状況や記憶しているメダルの枚数など各種情報をランプ点灯や数値でもって報知する表示部32が装着されている。
【0034】
次に、図2に基づいて、メダル払出用フロントパネル22の背面側の構成について説明する。払出用フロントパネル22の背面は、合成樹脂の外枠33によって囲われている。外枠33の外側面には水平方向に沿って幅決めリブ34が設けられ、本体ケース21との嵌合精度を高めている。幅決めリブ34の先端部には導入傾斜面35が設けられて、払出用フロントパネル22を本体ケース21に嵌合させるときの導入作業性を高めている。
【0035】
外枠33の内側面には、両サイドに板金製の側部枠板36が固着されている。この側部枠板36には、後方に向かって、上下の2ヶ所に側部フック37aが突設されている。側部フック37aは、先端が下方に向かう鉤形をなし、その先端部は剣先状に面取りされている。また、側部フック37aのさらに下方には、凸状片38a(凸部)が同じように後方に向かって突設されている。この凸状片38aは上方に向かう曲折部を有し、コーナ部は円弧曲線に丸められている。
【0036】
払出用フロントパネル22の背面中央部は、搬送ベルトや駆動モータなどの収納部を覆う蓋部材によって占められており、その上部には、貸出用のメダルとしてホッパー装置25から排出されるメダルを受け入れるメダル受取口39が開設されている。また、払出用フロントパネル22の下部には、両側に備えた凸状片38aによって挟まれる位置に、コネクタ部40aが設けられている。このコネクタ部40aは、棚板状をなす板面にピンが並列配置された構成のものである。
【0037】
コネクタ部40aのさらに下部には、パネル背面から後方に向かう2つの下部フック41が突設されている。この下部フック41は、パネル背面より離間するにしたがって下辺が下方に向かう傾斜辺を有して形成されたものである。そして、外枠33の底部は、下部フック41が後述する係合に関与する範囲について切り欠かれている。また、外枠33の上部についても、後述する補給用フロントパネル23との係合に関連して、係止開口42が開設されている。
【0038】
図3は、図2に示した払出用フロントパネル22の背面部分に対応する本体ケース21側の斜視図である。本体ケース21の内部には、ホッパー装置25が格納されている。ホッパー装置25は、メダルを貯留するためのホッパータンク251とメダル払出機構251とによって構成されたものである。そして、制御部より送信される補給指令をホッパー装置25が受けると、メダル払出機構251に組み込まれている図示しない回転板が駆動モータによって回転を開始する。この回転板は円板状をなし、円板の中心軸回りに回転するものである。回転板の円板面には、円周に沿って等配されたメダル直径大の整列穴が開設されている。ホッパータンク251に貯留されたメダルは、整列穴を埋めるようにして嵌合したのち、回転板が所定の位置にまで回転してきたときに、回転板の外周方向に強制的に移動させられて1枚ずつ計数されたうえで送り出される仕組みとなっている。
【0039】
ホッパー装置25は、本体ケース21の内側壁に固着されたガイドレール43に載置されており、ホッパー装置25にメダル詰まりなどのトラブルが生じたときは、手前に引き出して対処することができる。ホッパー装置25には、メダルを送り出すメダル送出口44が配設されている。払出用フロントパネル22のメダル受取口39は、このメダル送出口44に対向して設けられるものである。そして、ガイドレール43と、本体ケース21の上部内側壁とには、側部フック37aの剣先部を受け入れて係合するための角穴からなる係止穴37bが両側に設けられている。
【0040】
払出用フロントパネル22に備えたコネクタ部40aと対向する位置には、コネクタ部40aの接続相手となるコネクタ部40bが配設されている。コネクタ部40bは凹状に形成され、凹部の内側にピンが並列配置されたものである。そして、コネクタ部40aを受け入れたときにピン同士が接触することにより、結線状態を作り出す。このコネクタ部40bは、上下に移動することのできる可動板45に保持されており、図5に示す長穴46によってその移動範囲が規制されている。可動板45は、コ字状に曲折された凹状片38b(凹部)により形成されるもので、払出用フロントパネル22に備えた凸状片38aと係合する。
【0041】
本体ケース21の下方底面には、下部フック支持片47が立設されている。この下部フック支持片46は、その上縁でもって、下部フック41に形成された傾斜した下辺に当接して払出用フロントパネル22を支持するものである。
【0042】
なお、言うまでもなく、上記のフック部やコネクタ部の係合の関係は、その凹凸が、払出用フロントパネル22と本体ケース21とで上記実施例とは逆に形成されたものであっても構わない。
【0043】
次に、図4に示すように、補給用フロントパネル23は、下端部に取り付けた蝶番50によって上開きに開閉自在に構成されている。補給用フロントパネル23の両サイドは、側板51が補給用フロントパネル23と一体的に形成され、本体ケース21の両側壁に取り付けられた袋板52によって形成される間隙に浸入した状態で組み立てられている。そして、補給用フロントパネル23を開けた状態では、側板51に設けた切欠段部によって開き角度が拘束され、側板51の間にメダル補給口59が出現する(図5参照)。人手によるメダルの補給は、このメダル補給口59より行われる。投下されたメダルは、滑降板53を介してホッパー装置25のホッパータンク251に貯留される。
【0044】
ホッパータンク251が貯留されたメダルで満杯となったときは、補給用フロントパネル23の後方の空間が貯留タンクとして機能して、ホッパータンク251とともに大容量のメダルタンクを確保する。したがって、前記空間部には、貯留するメダル量を検知して補給の管理を行うための貯留センサ54が、天板部より垂下している。また、天板部上部前方には、発信されたエラー情報を解消して元の状態に復帰させるときに押下するリセットボタン55が装着されている。
【0045】
補給用フロントパネル23には、営業時は鍵が掛けられる。この鍵は、回動式掛金錠56が用いられ、図4(a)に示すように、鍵を掛けた状態において掛金突片57がリセットボタン55の前方を覆うように形成されている。したがって、払出用フロントパネル22と補給用フロントパネル23との隙間からの針金などによる異物の進入が遮蔽される。リセットボタン55に対する不正な押下が防止できるので、メダル貸出機20の他の箇所に加えられた不正によって発信されるエラー情報を正常な状態に復帰させてから、さらにその不正行為を繰り返すという不正を防止することができる。一方、店員などによって正当に開錠されたときは、掛金突片57が回動してリセットボタン55に対する遮蔽が解かれる。補給用フロントパネル23を手前に開けると、現れたリセットボタン55を指先で押下することができる。
【0046】
補給用フロントパネル23の下端部には、その下方に向かう係止片58が突設されている。この係止片58は、補給用フロントパネル23の開閉に伴って前後に回動する。補給用フロントパネル23が閉じられた状態では、係止片58が払出用フロントパネル22上部に開設された係止開口42と係合するようになって、払出用フロントパネル22の特に上部における横ブレが規制される。
【0047】
払出用フロントパネル22の取り付け方法について、図5を参照しながら説明する。まず、補給用フロントパネル23が開けられた状態にあり、払出用フロントパネル22が取り外された状態にあるときに、矢印Aのように、払出用フロントパネル22を斜め上方から本体ケース21の正面側から差し入れる。このとき、払出用フロントパネル22の下部フック41が、本体ケース21側の下部フック支持片47を包み込むように差し込む。そののち、払出用フロントパネル22の上部を本体ケース21側に押し付けるようにする。払出用フロントパネル22は、下部フック支持片47によって下部フック41が支持されているので、外れ落ちることなく、支持点が支点となって矢印Bのように回動する。
【0048】
矢印Bのように回動する過程で、払出用フロントパネル22の凸状片38aと可動板45の凹状片38bとが係合する。このとき、凸状片38aのコーナが円弧状に面取りされており、相手方の凹状片38bが上下に移動可能に形成されているので、多少の位置のズレは吸収される。凸状片38aと凹状片38bとの係合がスムーズになされることによって、コネクタ部40a,40bの接続が安全かつ正確に行われる。
【0049】
払出用フロントパネル22の背面全体を本体ケース21に押し付けた状態のまま、払出用フロントパネル22を矢印Cのように上方に摺動させる。可動板45は追随して上方に移動するが、可動板45に設けた長穴46によって移動距離が規制されているので、摺動時にコネクタ部40a,40bやこれに付随ずる配線に過度の負担をかけることから回避される。そののち、払出用フロントパネル22を下方に摺動させることによって、側部フック37aと係止穴37bとの上下2ヶ所における係合、および下部フック41と下部フック支持片47との係合によって起きる相互の引き寄せ作用、さらに幅決めリブ34などが相乗的に作用して、払出用フロントパネル22と本体ケース21との勘合がしっかりと行われる。それ故、取付位置の正確さも高いものとなる。これらの一連の取付作業は、片手によっても行うことができる。
【0050】
最後に、補給用フロントパネル23を閉じて、回動式掛金錠56を回して施錠する。このとき、補給用フロントパネル23の下端部に突設させた係止片58が、払出用フロントパネル22の上端部に開設した係止開口42と係合するので、払出用フロントパネル22の取り付けは、一層確実なものとなる。また、係止片58が、補給用フロントパネル23と払出用フロントパネル22との間に形成される間隙を遮蔽するので、この間隙より紙幣等を挿入するといううっかりミスも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】 スロットマシンに隣設させた本発明メダル貸出機の(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】 払出用フロントパネルの背面側からの斜視図である。
【図3】 払出用フロントパネルが取り付けられる本体正面側の斜視図である。
【図4】 補給用フロントパネル部の(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】 メダル貸出機全体の概要を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 スロットマシン
20 メダル貸出機
21 本体ケース
22 払出用フロントパネル
23 補給用フロントパネル
25 ホッパー装置
34 幅決めリブ
37a 側部フック
37b 係止穴
38a 凸状片(凸部)
38b 凹状片(凹部)
40a,40b コネクタ部
41 下部フック
42 係止開口
46 長穴
47 下部フック支持片
55 リセットボタン
56 回動式掛金錠
57 掛金突片
58 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内部に収納されたメダル払出装置を取り出す際に、その前面に備わるメダル払出用のフロントパネルを取り外して作業するように構成されたメダル貸出機において、前記払出用フロントパネルと前記本体ケース内部とを電気的に結線するために設けたコネクタ部について、前記本体ケース側のコネクタ部は上下に移動可能な可動板に取り付けられるとともに、前記可動板と前記払出用フロントパネルの背面とは、そのどちらか一方に備えた凹部と他方に備えた凸部とを係合させた状態で嵌合することを特徴とするメダル払出装置。
【請求項2】
前記可動板は、長穴によって上下の移動範囲が規制されていることを特徴とする請求項1に記載のメダル払出装置。
【請求項3】
前記本体ケースと前記払出用フロントパネルとは、そのどちらか一方の側部に備えた剣先状の先端部を有する側部フックと、他方の対向する側部に備えた係止穴とが少なくとも上下の2ヶ所において前後方向に引き合う形で係合することによって嵌合固定されるとともに、前記払出用フロントパネルの嵌合側面には、先端部に導入傾斜面を有した幅決めリブが水平方向に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメダル払出装置。
【請求項4】
前記払出用フロントパネルの下部背面には、該背面より離間するにしたがって下辺が下方に向かう傾斜辺を有する下部フックが突設されるとともに、前記本体ケース内部には、前記下部フックに対向して前記傾斜辺を支持する下部フック支持片が立設されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のメダル払出装置。
【請求項5】
前記払出用フロントパネルの上位には、前記メダル払出装置にメダルを補給するための補給用フロントパネルが開閉自在に配設され、該補給用フロントパネルの下部より下方に突設させた係止片によって、前記補給用フロントパネルを開扉しないうちは、前記払出用フロントパネルを取り出しが禁止されるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のメダル払出装置。
【請求項6】
前記補給用フロントパネルを閉扉したときに、該補給用フロントパネルの前記係止片が前記払出用フロントパネルの上部に設けた係止開口と係合することによって、前記払出用フロントパネルの横ブレを規制するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のメダル払出装置。
【請求項7】
補給用フロントパネルの上部には回動式掛金錠が備わり、本体ケースには、補給用フロントパネルを閉扉して施錠したときに、回動式掛金錠の掛金突片によって隠蔽される位置にリセットボタンが配設されていることを特徴とするメダル払出装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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