説明

メチルメタクリレート精製方法

メチルメタクリレート(MMA)の精製方法が記載されている。本方法は、不純物を含む液体MMAを、ホルムアルデヒドまたは、式Iのメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下にスルホン酸樹脂と接触させる工程を含む。(RおよびRは、C〜C12炭化水素またはHから独立して選択され;XはOまたはSであり;nは、1〜100の整数であり;mは1または2である)。式Iの化合物は、ホルムアルデヒドの好適な供給源であり得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精製方法に関し、特に、メチルメタクリレート(MMA)を精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MMAは、周知の化学物質であると共に多くの用途を有するが、多くは、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)の製造におけるモノマーとして用いられる。PMMAは、度々、特定の用途による要求に応じて多様な形状に成形可能である薄いシートに形成される。
【0003】
PMMAを製造する場合、低レベルの不純物でさえも、曇った外観もしくは濁った外観を有するか、または、変色したPMMA生産物をもたらす可能性があるために、用いられるMMAは最高純度のものであることが重要である。また、MMA中の低レベルの不純物が、PMMA生産物の構造特性に変化を生じさせる可能性があり、PMMA生産物が、ときに望ましくない影響を受けることもある。従って、これらの問題の発生を低減させるために、PMMA用のモノマーとして高純度のMMAを提供できることが重要である。
【0004】
MMAは多くの方法で製造され得る。例えば、アセトンシアノヒドリン、メタノールおよび濃硫酸の反応;第3級ブチルアルコールのメタクロレイン、次いで、メタクリル酸への酸化反応、これに続くメタノールでのエステル化反応;あるいは、特許文献1に開示の触媒反応である。このような反応、および、この技術分野において知られている他の多くの反応は、MMAがPMMAに重合されるときに、上記のような問題を生じさせ得る不純物を共通して含有するMMAストリームをもたらす。従って、通常の試みとして、重合の前にMMAストリームの精製が行われている。
【0005】
MMAとは顕著に異なる沸点を有する不純物を蒸留により分離することが知られている。しかしながら、このような分離方法は、不純物がMMAと同様の沸点を有する場合には、達成が困難である。
【0006】
特許文献2には、粗メチルメタクリレート中の不純物を処理するための酸触媒の使用が開示されている。
特許文献3には、高純度メチルメタクリレートを処理するためのスルホン酸基含有化合物の使用が開示されている。
【0007】
特許文献4(三菱油化株式会社)は、粗MMAから不純物を除去するための酸性イオン交換樹脂固定床の使用を示す。
従って、多数のプロセス経路によって形成された粗MMAは、蒸留による除去が困難である広い範囲の不純物を含有している。ホルムアルデヒドのメチルプロピオネートとの縮合によって生成されたMMAは、従来技術のMMA製造方法においては開示されていない着色性化合物などの未だ定義されていないさらに他の不純物を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1,073,517号明細書
【特許文献2】特開昭58−183641号公報
【特許文献3】特願昭63−127952号公報
【特許文献4】米国特許第4,625,059号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の態様は、MMAの精製によるこれらのまたは他の不純物の除去のための解法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、不純物を含む液体メチルメタクリレート(MMA)を、ホルムアルデヒド、または以下に定義される式I:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素、好ましくは、本明細書において定義されているとおりのC〜C12アルキル、アルケニルあるいはアリール、またはHから独立して選択され、より好ましくは、C〜C10アルキルまたはHから、最も好ましくは、C〜CアルキルまたはHから、特にメチルまたはHから独立して選択され;
XはOまたはS、好ましくはOであり;
nは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に1〜3の整数で
あり;
mは、1または2、好ましくは1である)
のメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下に、スルホン酸樹脂と接触させる工程を含む、メチルメタクリレート(MMA)の精製方法が提供されている。
【0013】
特に好ましい実施形態において、式Iの化合物は、メタノールおよび/または水の存在下にホルムアルデヒドから誘導される。このような事例において、式Iの化合物は、ホルムアルデヒドの好適な供給源と定義され得る。
【0014】
誤解を避けるために、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、ホルムアルデヒドの供給源を提供し得る任意の平衡組成物を含む。このような平衡組成物の例としては、特に限定されないが、メチラール(1,1ジメトキシメタン)、ポリオキシメチレン−(CH−O)−(式中、i=1〜100)、ホルマリン(ホルムアルデヒド、メタノール、水)、ならびに、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートの混合物などの他の平衡組成物が挙げられる。
【0015】
典型的には、ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒドおよびメタノールの高級ホルマールCH−O−(CH−O)−CH(「ホルマール−i」、ここで、i=1〜100、好ましくは1〜5、特に1〜3)であり、または、少なくとも1個の非メチル末端基を有する他のポリオキシメチレンである。従って、ホルムアルデヒドの供給源はまた、式R−O−(CH2−O−)のポリオキシメチレン(ここで、RおよびRは、同一の基であっても異なっていてもよく、少なくとも一方がC〜C10アルキル基から選択され、例えば、R=イソブチル,R=メチルである)であっても良い。
【0016】
好ましくは、ホルムアルデヒドは、または、ホルムアルデヒドの好適な供給源から遊離されることが可能であるホルムアルデヒドの量は、液体MMAの重量に比して0.01〜
0.1重量パーセントの量で存在する。
【0017】
好ましくは、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、1,1ジメトキシメタン、例えばCH−O−(CH−O)−CH(式中、上記のとおりi=2以上である)といったホルムアルデヒドおよびメタノールの高級ホルマール、ホルマリン、または、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートを含む混合物から選択される。
【0018】
好ましくは、ホルマリンという用語は、比25〜65%:0.01〜25%:25〜70重量%でのホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物を意味する。より好ましくは、ホルマリンという用語は、比30〜60%:0.03〜20%:35〜60重量%でのホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物を意味する。最も好ましくは、ホルマリンという用語は、比35〜55%:0.05〜18%:42〜53重量%でのホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物を意味する。
【0019】
好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートを含む混合物は、5重量%未満の水を含有する。より好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートを含む混合物は、1重量%未満の水を含有する。最も好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートを含む混合物は0.1〜0.5重量%の水を含有する。
【0020】
好ましくは、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、0.75絶対バールで69〜73℃の範囲内の沸点を有する。
好ましくは、ホルムアルデヒドまたはその供給源は、スルホン酸樹脂との接触の前に不純物を含む液体MMAと混合される。典型的には、連続または半連続プロセスにおいて、不純物を含む液体MMA流れは、スルホン酸樹脂との接触の前に、ホルムアルデヒドまたはその供給源を含有する流れと混合されて複合液体流れを形成する。その結果、ホルムアルデヒドは複合液体流れ中に0.01〜0.1重量パーセントの量で存在する。
【0021】
代替的に、または追加的に、スルホン酸樹脂との接触の前に、ホルムアルデヒド供給源は、MMA中の不純物として、好ましくは近沸点不純物として存在し得る。このような場合において、イオン交換樹脂床に不純物を含むMMAを流通させることで、ホルムアルデヒド供給源の濃度が除去されるかもしくは低減され、および/または、その組成物は、蒸留によってMMAから容易に分離されることが可能である重質もしくは軽質成分に変更される。
【0022】
好ましくは、不純物としてMMA中に存在する近沸点不純物は、ホルマール−2(CH−O−(CH−O)−CH)である。
好ましくは、MMAからの分離に関する軽質成分はジメトキシメタンである。好ましくは、ジメトキシメタンは蒸留によりMMAから分離される。
【0023】
好ましくは、本発明の精製方法は25〜100℃の温度で実施される。より好ましくは、この方法は、40〜90℃の温度で実施される。より好ましくは、この方法は、50〜80℃の温度で実施される。最も好ましくは、この方法は、50〜70℃の温度で実施される。
【0024】
好ましくは、スルホン酸樹脂は充填床を構成する。好ましくは、スルホン酸樹脂は、強酸性の、マクロ多孔質のポリマーベースの樹脂を含む。最も好ましくは、スルホン酸樹脂は、15nm〜90nm(好ましくは20nm〜70nm)の平均孔径、15m−1〜100m−1(好ましくは20m−1〜80m−1)の表面積、および、30〜80%(好ましくは40〜70%)の濡れた樹脂単位当たりの保水性によって計測
される孔容積を備える粗孔質構造で、0.5〜3.0当量/1リットル(好ましくは0.7〜2.5)のスルホン酸基を有する、ビーズ径0.4〜1.64mmを有する球ビーズ形状の架橋ポリスチレン樹脂を含む。好ましくは、酸性イオン交換樹脂はマクロ多孔質樹脂である。
【0025】
好ましくは、少なくとも1種のカルボン酸エステルもまた、本精製プロセス中に存在する。好ましくは、カルボン酸エステルは、任意の直鎖または分岐C〜Cカルボン酸のメチル、エチルまたはプロピルエステルから選択される。より好ましくは、少なくとも1種のカルボン酸は、任意の分岐または枝なしのC〜Cカルボン酸のメチルまたはエチルエステルから選択される。好適なカルボン酸エステルの例としては、特に限定されないが、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルブタノエート、メチルイソブチレート、エチルブタノエート、プロピルブタノエート、ブチルブタノエートが挙げられる。好ましい実施形態においては、メチルプロピオネートまたはメチルイソブチレートもまた精製方法に存在する。
【0026】
典型的には、連続または半連続プロセスにおいては、少なくとも1種のカルボン酸エステルが、スルホン酸樹脂と接触する前の不純物を含む液体MMA流れに既に存在している。典型的には、従って、このような実施形態においては、少なくとも1種のカルボン酸エステルが複合液体流れの一部を構成する。
【0027】
典型的には、不純物は、蒸留による分離が効果的でない沸点を有する。典型的には、不純物は、MMAの15℃以内の沸点を有する。より典型的には、不純物はMMAの10℃以内の沸点を有する。最も典型的には、不純物はMMAの5℃以内の沸点を有する。一般に、不純物は、MMAとほとんど同一、すなわち、1または2℃以内の沸点を有する。不純物は、非理想的な蒸留挙動を示す場合には、物理的影響により蒸留によるMMAからの不純物の分離がきわめて困難であるようなMMAもしくは1種以上の不純物との組み合わせ、または、MMAおよび他の不純物との組み合わせで、MMAより15℃超の沸点を純粋な成分として有し得る。このような物理的影響の例は、高沸点または低沸点共沸物の形成である。
【0028】
本発明は、不純物を含むMMA液体中のいくつかの不純物の除去に特に有用であることが見出されたものである。不純物は、イソブチルアルデヒドそのもの、またはスルホン酸イオン交換樹脂との接触でイソブチルアルデヒドを再生成する化合物中のイソブチルアルデヒドから構成され得ることが見出された。このような化合物の例としては、C〜C分岐または非分岐アルコールを有するイソブチルアルデヒドのモノまたはジアセタール、特に2,2−ジメトキシプロパン、およびメタリルアルコールが挙げられる。
【0029】
ホルムアルデヒド/樹脂を併用したイソブチルアルデヒドの除去は、イソブチルアルデヒドがMMAから低沸点不純物として分離する場合でも有利である。低沸点不純物(軽質物)カラム中のイソブチルアルデヒドの除去には、主にMMAである軽質物カラムオーバーヘッド中のイソブチルアルデヒド/酸素による重合開始のリスクが伴い、重合安定剤が有効であるためには酸素と共に供給されなければならない。
【0030】
加えて、イソブチルアルデヒドの再利用は、触媒を通して、イソブタノールへのゆっくりとした転化を生じさせる。イソブタノールはMMA純粋生産物に流出して重合開始剤と反応するに伴って、規格値を低減させると共に厚シートの問題をももたらし、これにより、未反応形態および(イソブタノールとの)反応後の形態の両方で常に着色されている開始剤に対する要求が高くなっている。これは、水槽用グレードおよびきわめて低レベルの開始剤が要求される他のいくつかに伴う問題である。
【0031】
有利に除去されているさらなる不純物としては、場合により置換されていてもよいC〜C20ジエンが挙げられる。本発明は、このようなジエンについて特に有用であることが見出された。除去されることが可能である有用な置換ジエンは、例えば、モノまたはジアルキルヘキサジエンといったC〜CジエンなどのC1〜6モノ−テトラアルキルC〜C20ジエンである。ジエンの例としては、特に限定されないが、以下のいずれかが見出されている:2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン;2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン;トランス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;シス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;2−メチル−3,5−ヘキサジエン;2−メチル−1,3−ヘキサジエン;2,5−ジメチル−1,3−ヘキサジエンおよび1,6−ヘプタジエン。
【0032】
加えて、不純物はまた、典型的には、場合により置換されていてもよいC〜C20トリエンを含み得る。トリエンの例としては、特に限定されないが、以下のいずれかが挙げられる:ヘプタトリエン、シクロヘプタトリエン。
【0033】
本発明は、一置換以上のC〜C20ジエンまたはC〜C20トリエンであって、好ましくはアルキル、より好ましくは、C1〜6アルキル置換、内部エニル炭素または二置換、好ましくはアルキル、より好ましくは、C1〜6アルキル置換、末端エニル炭素について特に効率的であることが見出されており、このエニル炭素は、これにより、第3級カルボカチオンを形成することが可能である。最も好ましくは、本発明は、場合より上記に定義されているとおり置換されていてもよいC〜C20ジエンを除去するものである。本発明による除去に特に好ましいジエンは以下のとおりである:トランス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;シス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;2−メチル−3,5−ヘキサジエン;2−メチル−1,3−ヘキサジエン;2,5−ジメチル−1,3−ヘキサジエンおよび1,6−ヘプタジエン、特にトランス2−メチル−2,4−ヘキサジエンおよびシス2−メチル−2,4−ヘキサジエン。
【0034】
本発明の実施により除去され得る他の不純物はまた、典型的には、不飽和アルデヒドおよびケトンを含む。このようなアルデヒドまたはケトン化合物の例としては、R’C=OR”が挙げられ、ここで、R’は、水素、場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール、より好ましくは、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニルまたはアリールであることが可能であり、R”は、場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール、より好ましくは、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニルまたはフェニルであることが可能である。
【0035】
加えて、2−メチレン−3−ブテン−アルもまた存在している場合があり、本発明の方法によって除去され得る。有利なことに、この不純物は、そうでなければMMAにおいて着色性であり得る。
【0036】
好適なさらなる不純物としては:ジビニルケトン、エチルビニルケトン、ジエチルケトン、エチルイソプロペニルケトン、3−メチレン1−ヘキセン−4−オン、メタクロレイン、イソブタノール、トルエン、および、3−ペンテナールなどのペンテナールが挙げられる。本発明の実施により除去されることが可能である好ましいさらなる不純物は、エチルビニルケトンおよびジビニルケトンである。
【0037】
従って、本発明は、トランス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;シス2−メチル−2,4−ヘキサジエン;エチルビニルケトンおよびジビニルケトンの除去に特に有益である。
【0038】
ホルムアルデヒドまたはメチレンもしくはエチレンの供給源との接触による精製に先立
ち、MMAを製造するための好適な方法は、メチルプロピオネートを、以下に定義されている式I:
【0039】
【化2】

【0040】
(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素、好ましくは、本明細書において定義されているとおりのC〜C12アルキル、アルケニルあるいはアリールまたはHから、より好ましくは、C〜C10アルキルまたはHから、最も好ましくは、C〜CアルキルまたはHから、特にメチルまたはHから独立して選択され;
XはOまたはS、好ましくはOであり;
nは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に1〜3の整数であり;
mは1である)
のメチレンの好適な供給源と、好適な触媒の存在下に、および、任意によりアルコールの存在下に接触させる工程を含む。
【0041】
この方法は、少なくとも1種の好適な安定剤の存在下に実施され得る。好ましくは、少なくとも1種の安定剤は、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、Topanol−A(2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール)またはフェノチアジンから選択され得る。
【0042】
「アルキル」という用語は、本明細書において用いられている場合、他に示されていない限りにおいて、C〜C10アルキルを意味し、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチル基を含む。他に規定されていない限りにおいて、アルキル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖または分岐(特に好ましい分岐基はt−ブチルおよびイソプロピルを含む)、飽和、環式、非環式または部分環式/非環式、未置換であり得、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、未置換もしくは置換アリール、または、未置換もしくは置換Hetから選択される1つ以上の置換基によって置換または末端封止されていてもよく、ここで、R19〜R30の各々は、独立して、水素、ハロ、未置換もしくは置換アリールまたは未置換もしくは置換アルキルを表し、または、R21の場合には、ハロ、ニトロ、シアノおよびアミノを表し、および/または、1個以上(好ましくは4個未満)の酸素、硫黄、ケイ素原子によって、または、シラノ基もしくはジアルキルシリコン基、または、これらの混合物によって分断されていてもよい。
【0043】
「Ar」または「アリール」という用語は、本明細書において用いられている場合、フェニル、シクロペンタジエニルおよびインデニルアニオンおよびナフチルなどの5員〜10員、好ましくは5員〜8員炭素環芳香族またはプソイド芳香族基を含み、これらの基は、未置換または置換アリール、アルキル(この基は、本明細書において定義されているとおりそれ自体が未置換または置換または末端封止されていてもよい)、Het(この基は、本明細書において定義されているとおりそれ自体が未置換または置換または末端封止されていてもよい)、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)
SR30またはC(S)NR2728から選択される1個以上の置換基で未置換または置換されていてもよく、ここで、R19〜R30の各々は、独立して、水素、未置換または置換アリールまたはアルキル(このアルキル基は、本明細書において定義されているとおりそれ自体が未置換または置換または末端封止されていてもよい)を表し、または、R21の場合には、ハロ、ニトロ、シアノまたはアミノを表す。
【0044】
「アルケニル」という用語は、本明細書において用いられている場合、C〜C10アルケニルを意味すると共に、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニル基を含む。他に規定されていない限りにおいて、アルケニル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖または分岐、環式、非環式または部分環式/非環式、未置換であり得、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、未置換または置換アリール、または未置換または置換Hetから選択される1個以上の置換基によって置換または末端封止されていてもよく、ここで、R19〜R30は上記のアルキルのとおり定義され、および/または、1個以上(好ましくは4個未満)の酸素、硫黄、ケイ素原子によって、または、シラノ基あるいはジアルキルシリコン基、または、これらの混合物によって分断されていてもよい。
【0045】
上述の基を置換または末端封止し得るハロ基としては、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード基が挙げられる。
「Het」という用語は、本明細書において用いられている場合、4員〜12員、好ましくは4員〜10員環系を含み、これらの環は、窒素、酸素、硫黄およびこれらの混合物から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、これらの環は、二重結合を含有しないか、1つ以上の二重結合を含有し、または、性質が非芳香族、部分芳香族または完全芳香族であり得る。これらの環系は、単環式、二環式または縮合環であり得る。本明細書において識別されている「Het」基の各々は、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、アルキル(このアルキル基は、本明細書において定義されているとおりそれ自体が未置換または置換または末端封止されていてもよい)−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30または−C(S)N(R27)R28から選択される1個以上の置換基によって未置換または置換されていてもよく、ここで、R19〜R30の各々は、独立して、水素、未置換または置換アリールもしくはアルキル(このアルキル基は、本明細書において定義されているとおりそれ自体が未置換または置換または末端封止されていてもよい)を表し、または、R21の場合には、ハロ、ニトロ、アミノまたはシアノを表す。「Het」という用語は、それ故、場合により置換されていてもよいアゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリダジニル、モルホリニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピペリジニル、ピラゾリルおよびピペラジニルなどの基を含む。Hetでの置換は、Het環の炭素原子でなされ得るか、または、適切な場合には、1つ以上のヘテロ原子でなされ得る。
【0046】
「Het」基はまた、Nオキシドの形態であってもよい。
本明細書における記載のとおり、「ヘテロ」という用語は、窒素、酸素、硫黄またはこれらの混合物を意味する。
【0047】
連続プロセスにおいて、例えば、数ヶ月の期間の後、スルホン酸樹脂の効力は新鮮時のその効力の約20%にまで低減し得る。これは、度々、「不活性化された」樹脂と称される。しかしながら、意外なことに、「不活性化された」樹脂上での本発明におけるホルムアルデヒドの好適な供給源の存在では、未使用の樹脂と同様の割合で不純物の除去が達成
されることがさらに見出された。
【0048】
従って、第2の本発明の態様によれば、不純物を含む液体MMAを、ホルムアルデヒドまたは以下に定義される式I:
【0049】
【化3】

【0050】
(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素、好ましくは、本明細書において定義されているとおりのC〜C12アルキル、アルケニルあるいはアリールまたはHから、より好ましくは、C〜C10アルキルまたはHから、最も好ましくは、C〜CアルキルまたはHから、特にメチルまたはHから独立して選択され;
XはOまたはS、好ましくはOであり;
nは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に1〜3の整数であり;
mは、1または2、好ましくは1である)
のメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下に、スルホン酸樹脂に接触させる工程を含み、ここでスルホン酸樹脂は少なくとも部分的に不活性化されている、メチルメタクリレート(MMA)の精製方法が提供されている。
【0051】
特に好ましい実施形態において、式Iの化合物は、メタノールおよび/または水の存在下に、ホルムアルデヒドから誘導される。このような事例において、式Iの化合物は、ホルムアルデヒドの好適な供給源と定義され得る。「スルホン酸樹脂が少なくとも部分的に不活性化されている」という用語は、不純物を含む液体MMA流れのような精製されるべきフィードストリーム中に存在する樹脂汚染物質との先行した接触により、(使用前の樹脂と比して)スルホン酸樹脂の効力が低減されていることを意味する。
【0052】
好ましくは、少なくとも部分的に不活性化されたスルホン酸樹脂は、未使用の時の効力と比して99.9%未満の効力を有する。好ましくは、少なくとも部分的に不活性化されたスルホン酸樹脂は、未使用の時の効力と比して99%未満の効力、より典型的には、95%未満の効力、最も典型的には、75%未満の効力、特に、50%未満の効力を有する。
【0053】
好ましくは、少なくとも部分的な不活性化とは、少なくとも1種のジエンと反応するスルホン酸樹脂の能力を指す。例えば、好ましくは、少なくとも部分的に不活性化されたスルホン酸樹脂は、未使用の時の効力と比して、少なくとも1種のジエンとの反応において50%未満の効力を有する。
【0054】
第3の本発明の態様によれば、ホルムアルデヒド、または、以下の式I:
【0055】
【化4】

【0056】
(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素、好ましくは、本明細書において定義されているとおりのC〜C12アルキル、アルケニルあるいはアリールまたはHから、より好ましくは、C〜C10アルキルまたはHから、最も好ましくは、C〜CアルキルまたはHから、特にメチルまたはHから独立して選択され;
XはOまたはS、好ましくはOであり;
nは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に1〜3の整数であり;
mは、1または2、好ましくは1である)
で定義されるメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下で、スルホン酸樹脂と液相中で接触した、本明細書に示されている1種以上の不純物を有する液体MMAなどのメチルメタクリレートが提供されている。
【0057】
第4の本発明の態様によれば、ホルムアルデヒド、または、以下の式I:
【0058】
【化5】

【0059】
(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素、好ましくは、本明細書において定義されているとおりのC〜C12アルキル、アルケニルあるいはアリールまたはHから、より好ましくは、C〜C10アルキルまたはHから、最も好ましくは、C〜CアルキルまたはHから、特にメチルまたはHから独立して選択され;
XはOまたはS、好ましくはOであり;
nは、1〜100、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、特に1〜3の整数であり;
mは、1または2、好ましくは1である)
で定義されるメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下で、スルホン酸樹脂と液体モノマー相中で接触したメチルメタクリレート残分から構成されるポリマーが提供されている。
【0060】
好ましくは、本発明の不純物を含むMMAは、ホルムアルデヒドとメチルプロピオネートとの縮合によって生成される。本発明は、このようなプロセスによって生成された液体MMAからの不純物の除去に特に有利であることが見出された。典型的には、本発明の実施によって精製される不純物を含むMMAは、好適な塩基性触媒、および、任意により、酸の形成を防止するためのメタノールの存在下でのホルムアルデヒドのメチルプロピオネートとの縮合によって生成される。縮合反応のための好適な塩基性触媒は、シリカに担持されたセシウム(Cs/SiO)などのアルカリ金属ドープシリカである。このような場合において、採用され得るシリカは、ゲルシリカ、沈降ゲルシリカおよび凝集焼成シリカなどの多孔性大表面積シリカであることが好ましい。好ましくは、アルカリ金属は、シリカ触媒中に1〜10%w/w(金属として表記)の範囲で存在する。
【0061】
本明細書に包含されるすべての特性は、上記態様のいずれかと組み合わされてもよく、および、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。
ここで、以下の実施例によって、図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、ホルムアルデヒドフィードに対するジビニルケトン除去のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施例1
Lanxess製の100gの水で濡らしたLewatit 2314強スルホン酸イオン交換樹脂を、樹脂を充填したガラスカラムに、1床体積/時間の流量で、最初は茶色であった溶出液が視覚的に無色になるまでメタノールを流過させることにより洗浄した。次いで、これを、メタノールの濃度が100ppmに下がるまで純粋なMMAで洗浄した。20gのこのような樹脂を、磁気攪拌従動子、温度計および水冷式還流凝縮器を備えた3首丸底フラスコに入れた。100ppmの2−メチル−1,5−ヘキサジエンを添加した50mLの純粋なMMAのサンプルをフラスコに入れた。フラスコを余熱した油浴に入れ、既定の間隔でピペットによりフラスコからサンプルを採取した。同一のバッチの樹脂を実験の各々について用いた。サンプルを、CPSil 1701毛管カラムを備えたVarian GCで分析した。2−メチル−1,5−ヘキサジエンは2−メチル−2,5−ヘキサジエンに急速に異性化された。次いで、この成分はきわめてゆっくりと消滅して2−メチル−2,4−ヘキサジエンが形成された。実験を、70℃、50℃および30℃で3回繰り返した。各成分の重量%は表1、3および5に示されている。
実施例2
実施例1を反復したが、この場合、1000または7000ppmの1,1−ジメトキシメタンを加熱する前にMMA溶液に添加した。各々の重量%は表2、4および6に示されている。
実施例3
100ppmの2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンの各々の混合物を100ppmの2−メチル−1,5ヘキサジエンの代わりに用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。3つの異なる温度での各成分の重量%は表7、9および11に示されている。
実施例4
1000または7000ppmの1,1−ジメトキシメタンを加熱する前にMMA溶液に添加したこと以外は実施例3を繰り返した。
【0064】
加熱温度の各々での各成分の重量%は表8、10および12に示されている。
表7〜12は、1,1−ジメトキシメタンが存在する、しないの両方で、異なる時間間隔および異なる温度で存在する2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンの量を示す。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
1,1−ジメトキシメタンの不在下では、2−メチル−1,5−ジメチルヘキサジエンは急速に2−メチル−2,5−ヘキサジエンに異性化し、次いで、徐々に、部分的に2−メチル−2,4−ヘキサジエンに転化される。1,1−ジメトキシメタンの存在下では、異性化プロセスに続いて、フラスコ中で2−メチル−2,4−ヘキサジエンが検出されることなく、2−メチル−2,5−ヘキサジエンが急速に除去される。
【0072】
【表7】

【0073】
【表8】

【0074】
【表9】

【0075】
【表10】

【0076】
【表11】

【0077】
【表12】

【0078】
1,1−ジメトキシメタンの不在下では、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサジエンの2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンへの急速な異性化の後、きわめてゆっくりとした後者の変化が続く。溶液中に1,1−ジメトキシメタンが存在する場合、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンは異なる生成物に急速に変化する。
【0079】
2−メチル−2,5−ヘキサジエンおよび2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンの変化に対する一次速度定数が、各条件について表13に列挙されている。
【0080】
【表13】

【0081】
従って、1,1−ジメトキシメタンの添加は、2−メチル2,5−ヘキサジエンおよび2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンの両方の変化速度に大きな影響を有する。
実施例5
2つのLewatit 2431樹脂サンプルを用いた:
A 使用前の樹脂
これは、200ppmハイドロキノン(HQ)を含有するメタノールで、次いで、100ppm HQを含有する純粋なMMAで樹脂を洗浄することにより調製した。
B 使用済樹脂
12日間にわたって連続的な不純物を含むMMA流れに接触させたサンプルを用いた。不純物を含むMMAは、メチルプロピオネートとホルムアルデヒドとの縮合反応によりMMAを生成するプロセスから得た。
【0082】
2つのサンプルについて、不純物を含むMMAの反応混合物を用いて、実施例1の方法(50℃)でテストし、この混合物中のシスおよびトランス−2−メチル−2,4−ヘキサジエンの表に示されている含有レベルと、100ppmHQの含有の結果を得た。
各種の濃度が以下の表14に示されている。
【0083】
【表14】

【0084】
経時的な2−メチルヘキサジエンの濃度変化は、酸性イオン交換樹脂の存在下に平衡状態にあることにより複雑化されている。従って、ジエンの濃度の変化動力学を調べるために添加した。これらの組み合わせた濃度は、経時的におよそ指数関数的に減少することが見出された。ホルムアルデヒド含有する場合としない場合それぞれの、2種の樹脂から求められた一次速度定数が以下の表15に示されている。
【0085】
【表15】

【0086】
使用前の樹脂では、1,1−ジメトキシメタンの添加で除去速度がおよそ50%増加した。使用済樹脂では、1,1−ジメトキシメタンの不在下での除去速度はきわめて低く、使用前の樹脂の17%でしかなかった。しかしながら、1,1−ジメトキシメタンの存在下では使用済樹脂の活性に10倍の増加が見られ、活性度は、使用前の樹脂と同等に良好であった。
【0087】
この実験は、部分的に不活性化された酸性イオン交換樹脂に対するホルムアルデヒドの添加が特に効果的であることを実証する。
実施例6
シスおよびトランス2−メチル−2,4−ヘキサジエンおよび他の不純物および100ppm HQを含有するMMAのサンプルを、大気圧および70℃で、0.5インチODステンレス鋼反応器中の16g樹脂の固定床に液体として流過させた。流量は31.7分間の滞留時間がもたらされるよう調整した。この後、これらのサンプルを、サンプルを回収して分析する前に2滞留時間の間放置した。シスおよびトランス2−メチル−2,4−ジメチルヘキサジエンの組み合わせたレベルの分析が、表16における未処理のMMA含有流れと比較される。
【0088】
【表16】

【0089】
この実験は、ホルムアルデヒドが、1,1−ジメトキシメタン、ホルマリン、または、
メタノール性非水性ホルムアルデヒド流れのいずれとして添加されるかに関わらず、差はないことを示す。
実施例7
Lewatit 2431酸性イオン交換樹脂の750mlの床を用いて、種々の不純物および安定剤として100ppmハイドロキノンを含有する、不純物を含むMMAを、600g/時間の流量で処理した。これを62日間維持させた。最初の62日間の間に、種々の不純物に対するppmでの平均フィードおよび平均出口組成、ならびに、17.5ppmのホルムアルデヒドフィードに対する部分転化が、表17に示されている。
【0090】
【表17】

【0091】
さらに、表18に示すように、不純物を、より長い流れ期間後に分析した。
【0092】
【表18】

【0093】
樹脂床が長期にわたって運用されている場合には、いくつかの他の成分の除去のためには、ホルムアルデヒドが必要である。図1および表19は、MMAを含有するジビニルケトン(DVK)が、完全に除去されるためには、60ppm超のホルムアルデヒドを必要とすることを示す。
【0094】
【表19】

【0095】
実施例8
使用前のイオン交換樹脂(800mlアリコート)を、含水量が0.2重量%未満に低下するまで、0.15g/ml/hの流量でメタノールで洗浄して水を除去した。次いで、これをドレインして過剰量のメタノールを除去し、メタノールレベルが0.2重量%未満に低下するまで、同一の流量のMMAで洗浄した。実験用の、111ppmジエチルケトンおよび320ppmホルマール−2(CH−O−(CH−O)−CH3)(180ppm含有ホルムアルデヒドに等しい)を含有する、2体積量の不純物を含むMMAを、次いで、2ml/分で、80分かけて樹脂サンプルに通して、純粋なMMAを所望の成分で置き換えた。この樹脂をボトルに移し、このボトルを不純物を含むMMAサンプルを追加して満たし、サンプルをカニューレを通して空気でスパージして飽和させた。ボトルを密閉し、次いで、55℃の油浴中に入れた。定期的に、サンプルを回収して分析した。分析は表20に示されている。
【0096】
【表20】

【0097】
明らかに、本発明の方法は、ジエチルケトンレベルの劇的な低減をもたらす。
本出願と関連してこの明細書と同時にまたは以前に提出されていると共に、この明細書と共に公衆の閲覧に付されているすべての論文および文献に注目すべきであり、このような論文および文献のすべての内容は本明細書において参照により援用されている。
【0098】
この明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面のいずれかを含む)において開示されている特性のすべて、および/または、開示されている任意の方法またはプロセスのステップのすべては、このような特性および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的であるような組み合わせを除く任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0099】
この明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面のいずれかを含む)において開示されている各特性は、そうでないと明らかに既定されていない限りにおいて、同一の、同等のまたは同様の目的に役立つ代替的な特性によって置き換えられてもよい。それ故、そうでないと明らかに既定されていない限りにおいて、開示されている特性の各々は、一般的に一連の同等のまたは同様の特性の単なる一例である。
【0100】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、この明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面のいずれかを含む)において開示されている特性の任意の新規な一つもしくは任意の新規な組み合わせにまで及び、または、開示されている任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規な一つもしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含む液体メチルメタクリレート(MMA)を、ホルムアルデヒド、または以下に定義される式I:
【化1】

(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素またはHから独立して選択され;
XはOまたはSであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは1または2である)
のメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下に、スルホン酸樹脂と接触させる工程を含むメチルメタクリレート(MMA)の精製方法。
【請求項2】
式Iの化合物がホルムアルデヒドの好適な供給源である、請求項1に記載のメチルメタクリレート(MMA)の精製方法。
【請求項3】
ホルムアルデヒドが、または、ホルムアルデヒドの好適な供給源から遊離されることが可能であるホルムアルデヒドの量が、液体MMAの重量に対して0.01〜0.1重量パーセントの量で存在する、請求項2に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項4】
前記ホルムアルデヒドの好適な供給源が、1,1ジメトキシメタン、式CH−O−(CH−O)−CH(式中、i=2以上である)の高級ホルマール、ホルマリン、または、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチルプロピオネートを含む混合物から選択される、請求項2または3に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項5】
前記スルホン酸樹脂との接触の前に、前記ホルムアルデヒドまたはその供給源が前記不純物を含む液体MMAと混合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項6】
連続または半連続プロセスにおいて、前記スルホン酸樹脂との接触の前に、不純物を含む液体MMA流れが、前記ホルムアルデヒドまたはその供給源を含有する流れと混合されて、複合液体流れが形成される、請求項5に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項7】
前記ホルムアルデヒドが、結果として前記複合液体流れストリーム中に0.01〜0.1重量パーセントの量で存在する、請求項6に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項8】
前記ホルムアルデヒド供給源が、前記MMA中の不純物として代替的にまたは追加的に存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項9】
前記MMA中の前記不純物が、ホルマール−2(CH−O−(CH−O)−CH)である、請求項8に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項10】
本発明の精製方法が25〜100℃の温度で実施される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項11】
少なくとも1種のカルボン酸エステルもまた前記精製方法に存在する、請求項1〜10
のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項12】
連続または半連続プロセスにおいて、前記少なくとも1種のカルボン酸エステルが、前記スルホン酸樹脂との接触の前に、前記不純物を含む液体MMA流れ中に既に存在している、請求項11に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項13】
前記不純物が、MMAの沸点から15℃の範囲内の沸点を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項14】
前記不純物が、イソブチルアルデヒドとしてのまたは前記スルホン酸イオン交換樹脂へ接触された場合にイソブチルアルデヒドを再生成する化合物中のイソブチルアルデヒド、場合により置換されていてもよいC〜C20トリエン、場合により置換されていてもよい不飽和アルデヒドおよびケトン、ジビニルケトン、エチルビニルケトン、ジエチルケトン、エチルイソプロペニルケトン、3−メチレン1−ヘキセン−4−オン、メタクロレイン、イソブタノール、トルエン、ならびに、3−ペンテナールなどのペンテナールから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項15】
少なくとも1種の好適な安定化剤の存在下に実施される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のメチルメタクリレートの精製方法。
【請求項16】
不純物を含む液体メチルメタクリレート(MMA)を、ホルムアルデヒド、または以下に定義される式I:
【化2】

(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素またはHから独立して選択され;
XはOまたはSであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは1または2である)
のメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下に、スルホン酸樹脂と接触させる工程を含み、
ここで前記スルホン酸樹脂は少なくとも部分的に不活性化されている、メチルメタクリレート(MMA)の精製方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法によって精製されたメチルメタクリレート。
【請求項18】
ホルムアルデヒド、または、以下の式I:
【化3】

(式中、RおよびRは、C〜C12炭化水素またはHから独立して選択され;
XはOまたはSであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは、1または2である)
で定義されるメチレンもしくはエチレンの好適な供給源の存在下で、スルホン酸樹脂と液相中で接触させたメチルメタクリレート残分から構成されるポリマー。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−512859(P2012−512859A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541593(P2011−541593)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051693
【国際公開番号】WO2010/070325
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500460209)ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】