説明

メチルメルカプタン製造用触媒

本発明は、MoおよびK化合物、およびマンガン族から選択される金属の酸化物あるいは硫化物を含む酸化炭素からのメチルメルカプタン製造のための触媒に関する。本方法の改善は、技術水準の技術と比較して、二酸化炭素がより高い変換率および選択率でメチルメルカプタンに変換し、微量の一酸化炭素のみが副生成物として形成される事実からなる。同時に、一酸化炭素は確立されている水性ガスシフト技術を使用した水との反応によって、容易に二酸化炭素と水素とに変換され、従ってメチルメルカプタンに対する全体的な選択率が上昇する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Mo、Kおよび周期律表のマンガン族からの遷移金属、特にMnおよびReの化合物を含む、酸化炭素からのメチルメルカプタン製造用触媒に関する。
【0002】
本発明はさらに、前記の固体触媒系の製造方法に関する。
【0003】
発明の背景
メチルメルカプタンは、有機化合物、例えば硫黄含有アミノ酸、殺虫剤、および染料の生産に関してよく知られた中間生成物である。メタンチオールとしても知られるメチルメルカプタンは、工業的に、広く使用されている家禽用の飼料補足物であるメチオニンの合成のために主に生産される。
【0004】
メチルメルカプタンは商業的には、メタノールと硫化水素との異質に触媒された気相反応によって生産される。例えば、EP−B−0832878号およびDE−C−19654515号は、硫化水素(H2S)とメチルアルコール(CH3OH)との反応に基づくメタンチオールの製造方法を開示する。EP−A−167354号は、硫化水素と一酸化炭素(CO)との反応に基づく合成経路を開示し、ここでは二酸化チタン(TiO2)を担体として用い、且つニッケル酸化物(NiO)またはモリブデン酸化物(MoO3)を活性成分として用いる。
【0005】
中国特許出願CN1207957号およびCN1207958号は、高H2S含有合成ガスからのメタンチオール合成に有用な一連の触媒を開示し、ここでは活性成分(Mo−S−Kベースの種)は前駆体のK2MoS4あるいは(NH42MoS4にカリウム塩を加えたものに由来している。これらの中国特許出願は、活性成分を溶解するための溶剤として、ジメチルホルムアミド[(CH32NCOH]、および水でないものが選択されている。記載された方法は扱いが困難であり、且つ高価である。
【0006】
WO2005/040082号A2は、Mo−O−Kに基づく触媒を使用したメチルメルカプタン製造のための連続的な方法、および固体の予備成形された触媒系の製造方法に関する。さらに、ガス全体の1時間あたりの空間速度を低下させることによってメチルメルカプタンの全体の選択率を少なくとも1%上昇させられることが記載されている。
【0007】
EP−A−104507号は酸化炭素、硫黄、あるいは硫化水素、および水素を高圧且つ高温で反応させるための連続的な方法を記載している。該反応を、マンガン硫化物、および鉄、ニッケル、亜鉛、クロム、コバルト、モリブデンまたはアルカリ金属硫化物の少なくとも1つとの混合物を堆積された担持体を含有する多孔質アルミナを含む、予備成形された単相の固体触媒系上で実施する。記載された方法は、改善した変換率および収率を有するメチルメルカプタンを生成するための、規定された硫黄含有あるいは硫黄触媒系含有マンガンの存在下での連続的な気相反応である。記載された触媒系を使用することによって、メタンの形成が最小に保たれ、それは改善された経済的な方法をもたらすことが述べられている。不活性な副生成物、例えばメタンの形成は避けるべきである。なぜなら、それらの不活性材料は再循環ガスから分離するのが困難であるからである。それは再循環ガス流中に蓄積し、且つ周期的にベントしなければならない。
【0008】
酸化炭素、硫黄、または硫化水素および水素からのメチルメルカプタン合成の他の副生成物は、硫化カルボニル、硫化ジメチル、二硫化炭素、および二硫化ジメチルを含む。特に、硫化カルボニルの形成は最小に保たれるべきである。なぜなら硫化カルボニルはメチルメルカプタン形成における中間生成物であるためである。硫化カルボニルの低い選択率は、メチルメルカプタンのより高い選択率をもたらし、従ってメチルメルカプタンの全体的な収率および工程の経済性全体を改善する。
【0009】
US4665242号は、一酸化炭素および/または二酸化炭素と、硫化水素と水素とを含有するガスを、活性化アルミナ基材上でタングステン硫化物またはレニウム酸化物に基づく触媒の存在下で加熱することによるメチルメルカプタンの製造方法を記載している。該方法において、未反応ガスは供給ガス流に再循環され、ここで触媒との反応の間に形成された水は未反応ガスから除去される。分子ふるいを通してガスを通過させることによって乾燥を実施する。Re27/Al23触媒を使用して、28.0%のCO2変換率で最大の選択率64.6%が報告されている。
【0010】
酸化炭素から製造されるメチルメルカプタンの選択率および収率を改善するための無数の試みが始まっているが、未ださらなる改善の必要がある。なぜなら、酸化炭素の比較的高い変換率でのメチルメルカプタンの高い選択率が望まれているからである。特に、メチルメルカプタン用のC1源としての二酸化炭素は魅力的である。なぜなら、主な副生成物の一酸化炭素は容易に二酸化炭素に変換され、従ってメチルメルカプタンの全体的な選択率が上昇するからである。
【0011】
本発明の課題
本発明の課題は、メチルメルカプタンへの高い選択率および収率を有する、酸化炭素、好ましくは二酸化炭素からのメチルメルカプタン製造用触媒を、比較的高い二酸化炭素の変換率で提供することである。
【0012】
発明の要約
本発明は酸化炭素、好ましくは二酸化炭素と、硫黄または硫化水素と、水素との均質混合物を、高温且つ高圧で、マンガン族からの金属の酸化物性化合物あるいは硫化化合物と、Mo−O−Kベースの活性中心と、助触媒と、担体とを含む前記の触媒上で、接触させることによるメチルメルカプタン製造用触媒に関する。
【0013】
驚くべきことに、本発明による触媒を使用することによって、選択された反応条件に依存して、メチルメルカプタンの全体の選択率が一回のパスで80%より高く、二酸化炭素の変換率が50%より高く上昇することが判明した。マンガン族からの遷移金属を含有し、好ましくは選択されたTiO2担体上に堆積された本発明の触媒を二酸化炭素からのメチルメルカプタンの生成のために使用することによって、副生成物の一酸化炭素の全体的な形成が絶対的な最小値に保たれることも判明した。一酸化炭素が水との反応によって容易に二酸化炭素に変換され、そのため、メチルメルカプタンへの全体の選択率が上昇することに留意されたい。
【0014】
さらには、上述の触媒を用いて、副生成物のメタン(CH4)、硫化ジメチル(DMS)および二硫化炭素(CS2)の形成は、ここに記載される工程の反応条件下で最小に保たれる。この効果は、本方法の技術的な実現性に著しい利点をもたらす。なぜなら、周期的にベントされるべき不活性ガス、例えばメタンの形成が絶対的な最小に保たれるからである。さらには、反応生成物メチルメルカプタン(MC)の分離および精製が最適化される。なぜなら、微量の副生成物、例えば二硫化炭素、硫化ジメチルおよびメタンのみが工程中に形成されるからである。
【0015】
本発明の他の課題は、本発明の固体触媒系の製造方法である。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は触媒、および酸化炭素(CO1-2)、例えば一酸化炭素(CO)あるいは二酸化炭素(CO2)と、硫黄あるいは硫化水素と、水素との均質混合物を高温且つ高圧で、活性成分、助触媒および担体を含む前記の固体の予備成形された触媒上で接触させ、且つ未反応のガス留分を工程中の供給ガス流に再循環させることを含むメチルメルカプタンの製造方法を包含する。
【0017】
本方法の改善は、技術水準の技術と比較して、二酸化炭素がより高い変換率および選択率でメチルメルカプタンに変換され、微量の一酸化炭素のみが副生成物として形成される事実にある。同時に、一酸化炭素は確立されている水性ガスシフト技術を使用した水との反応によって、容易に二酸化炭素と水素とに変換され、従ってメチルメルカプタンに対する全体的な選択率が向上する。
【0018】
本発明による触媒は以下を含む:
a) 酸化物性Mo含有且つK含有化合物、ここでMoおよびKは同一の化合物の成分であってよい、
b) 周期律表のマンガン族、特にMnあるいはReから選択される元素の活性酸化物性化合物Axy
c) 遷移金属および希土類金属の酸化物性化合物Mxyの群から選択される随意の助触媒、
d) Mxyの代わり、あるいは追加的な随意のSnO2
e) アルミナが担体として使用される際に、該触媒がレニウム酸化物または硫化物を含有する場合を除いて、酸化物性担体あるいは活性炭。
【0019】
Mo−およびK−含有化合物は好ましくは、担持体材料表面に位置する活性なMo−O−K相の一部である。
【0020】
本発明を、硫化水素で処理された前記の触媒を用いても実行できる。そこでは、該触媒の酸化物性化合物が少なくとも部分的に硫化物あるいは水硫化物に変換される。
【0021】
これは該触媒の触媒活性成分が酸化物性化合物あるいは前記の硫化化合物あるいは両方の混合物であることを意味している。
【0022】
本発明による触媒は、マンガン族の金属の酸化物性化合物あるいは硫化化合物、MoおよびK化合物、酸化物性化合物あるいは硫化化合物または両方の混合物、助触媒および担体からなる活性成分を含む。前記のマンガン酸化物または硫化物、あるいはレニウム酸化物または硫化物の前駆体は例えば、酢酸マンガン、炭酸マンガン、過レニウム酸(perrhenium acid)(HReO4)および七酸化二レニウム(Re27)である。本発明の目的のために有用な量の例は、総触媒質量の1〜50質量%のMnO2、あるいは1〜50質量%のRe27である。
【0023】
前記の酸化物の質量比は下記である:
xy/K2MoO4/担体=0.001/0.01/1 〜 0.5/0.8/1
好ましくは、Axy/MoO3/K2O/担体=0.001/0.01/0.005/1 〜 0.5/0.8/0.5/1
xy/K2MoO4/担体=0.001/0.05/1 〜 0.3/0.5/1
xy/MoO3/K2O/担体=0.001/0.05/0.03/1 〜 0.3/0.5/0.3/1
ここで、AはMnあるいはReを意味し、且つxおよびyは1〜7の整数である。
【0024】
Mo−O−Kベースの活性中心の前駆体は、例えば、モリブデン酸カリウム(K2MoO4)、または七モリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724]×4H2Oにカリウム塩を加えたもの、またはMoO3にカリウム化合物を加えたものである。本発明において有用なカリウム化合物あるいは塩は、酢酸カリウム(KAc)、シュウ酸カリウム(K224)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(K2CO3)、硝酸カリウム(KNO3)、および重炭酸カリウム(KHCO3)からなる群から選択される。該カリウム塩は水中で溶解され、そして当業者に公知の含浸または塗布技術による触媒の残りの成分の堆積に先行して、あるいは後に、一般には計算量で担持体材料上にもたらされる。本発明の目的に有用なカリウム塩の有用な量の例は、総触媒質量の1〜50質量%のK2O、好ましくは10〜30質量%のK2Oである。
【0025】
該触媒担体を種々の触媒成分で、当業者に公知の様々な方法、例えば該担体の表面に適用される多段含浸または担体の活性成分での被覆によって含浸あるいは被覆する。該活性触媒物質(active catalyst mass)を加圧、押出しあるいはペレット化して様々な3次元形状および寸法を有する触媒を製造できる。
【0026】
本触媒において有用な追加的な助触媒は、一般式Mxyによって表され、ここでMは遷移金属および希土類金属からなる群から選択される。特に適した助触媒は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群からの金属の酸化物である。xおよびyは1〜5の整数である。随意に、該触媒はMxyに追加的に、あるいは代わりにSnO2を含有する。本発明において有用な担体は、好ましくはシリカ(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、ゼオライトまたは活性炭からなる群から選択される。該触媒がレニウム酸化物あるいは硫化物を含有する場合、アルミナが唯一使用される。
【0027】
Mo含有成分がK2MoO4の量によって表される場合、K2MoO4/Mxy/担体の質量比は(0.01〜0.80)/(0.01〜0.1)/1、好ましくは(0.10〜0.60)/(0.01〜0.06)/1に等しい。しかしながら、前記の成分がMoO3およびK2Oの量によって表される場合、MoO3/K2O/Mxy/担体の質量比はそれぞれ、(0.10〜0.50)/(0.10〜0.30)/(0.01〜0.10)/1、好ましくは(0.10〜0.30)/(0.10〜0.25)/(0.01〜0.06)/1に等しい。
【0028】
有利には、本発明において有用な担持体は二酸化チタン(TiO2)からなる群から選択される。該触媒の触媒活性は25m2/gより高い表面積を有する担持体材料を使用することによって改善される。有利には、少なくとも40m2/gの表面積を有し、且つアナターゼ含有率が60%より高いチアニアの担持体が触媒担体として使用される。実用上の技術的目的のために、含浸工程の前または後に、高表面の二酸化チタン担体を押し出すか、あるいはペレット化する。好ましくは、Degussa Aerolyst(登録商標)担体あるいは類似の高表面積チタニア源を担持体として使用する。
【0029】
担持体の形状は、本発明の触媒の性能に対して肝要ではなく、且つ、3次元の球、円柱、リング、星型、ペレット、または他の3次元形状であるか、あるいは3次元形状に加圧、押出またはペレット化できる粉末形態であってよい。有利には、該触媒粒子は粒径0.2mm〜20.0mmによって特徴付けられる均質な粒子サイズ分布(標準平均偏差:5%)を有する。
【0030】
本発明はさらに、固体の予備成形された触媒系の製造方法において、以下の工程を含む方法に関する:
I) マンガンあるいはレニウム含有化合物と、K2MoO4または(NH46Mo724・4H2Oにカリウム化合物を加えたもの、またはMoO3にカリウム化合物を加えたものと、随意に遷移金属または希土類金属の塩とを含む、水含有溶液または水溶液を調製する工程、および
II) 適した担体を前記の溶液で含浸させた後、生成した中間生成物を乾燥させ、そしてかかる中間生成物をか焼して触媒を得る工程、および
III) かかる得られた触媒を、スズ含有化合物、例えば酢酸トリブチルスズで含浸させる(ここで前記のスズ化合物の量をSnO2の含有率が1〜50質量%に達するように選択する)ことによって、1〜50質量%のSnO2で随意に改質する工程。
【0031】
選択的に、本発明によれば、固体の触媒系の製造方法を、以下の工程を含む多段含浸として実施できる:
A) マンガンまたはレニウム化合物と、随意に遷移金属または希土類金属の塩とを含む、水含有溶液または水溶液を調製する工程;
B) 適した担体を前記の溶液で含浸させた後、生成される中間生成物を乾燥させ、そして随意にかかる中間生成物をか焼する工程;
C) K2MoO4または(NH46Mo724・4H2Oにカリウム化合物を加えたもの、またはMoO3にカリウム化合物を加えたものの浸漬水溶液を調製する工程;および
D) (B)の下で生成された中間生成物を(C)の下で生成された水溶液で浸漬させ、その後、得られる触媒を乾燥およびか焼する工程;
E) 触媒をスズ含有化合物、例えば酢酸トリブチルスズで含浸させ、乾燥および随意にか焼することによって、随意に前記の触媒を1〜50質量%のSnO2で改質する工程。
【0032】
工程の順番を変更することも可能である。
【0033】
本発明による触媒の製造のための例は下記であってよい:
1. 所定の量の塩、例えばマンガンあるいはレニウムの硝酸塩、酢酸塩あるいは同種のものを所定の量の蒸留水中で溶解して水溶液を調製し、そして所定の量の選択された担体を前記の溶液で3〜5時間含浸させた後、50〜130℃で1〜3時間乾燥させて中間生成物を生成させる。その後、得られる固体材料を300〜600℃で5〜6時間、か焼する。
【0034】
2. 所定の量のK2MoO4、または(NH46Mo724にカリウム化合物を加えたもの、またはMoO3にカリウム化合物を加えたものを、所定の量の蒸留水で溶解し、そして工程(1)で調製された中間生成物を7〜9時間、前記の溶液で含浸させた後、50〜130℃で2〜4時間、乾燥させて、そして400〜500℃で2〜4時間、か焼する。
【0035】
3. かかる得られた触媒を、該触媒をスズ含有化合物、例えば酢酸トリブチルスズの溶液中に懸濁させることによって随意に改質し、そして次に溶剤を除去して1〜50質量%の含有率のSnO2を有する触媒を調製する。
【0036】
前記の触媒を高温下で硫化水素含有雰囲気に晒して、それによって該触媒の酸化物性化合物を少なくとも部分的に硫化化合物、例えば硫化物または水硫化物に変換させることが好ましい。
【0037】
随意に、触媒活性種の形成を強化するために、含浸液および/または浸漬溶液をアルキルアミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、あるいは少なくとも1つの炭素原子および少なくとも1つの酸性官能基を含有する有機酸で処理できる。触媒の製造工程において特に有用なのは有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、プロピオル酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、ソルビン酸(sorbonic acid)、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸(maleinic acid)、3−ヒドロキシ酪酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、あるいはエチレンジアミン四酢酸であり、クエン酸が特に好ましい。
【0038】
ここで使用される特定の用語は、本明細に関しては以下の意味を有している:
用語"活性触媒物質"は、触媒活性種になる様々な混合酸化物で含浸、あるいは被覆された触媒担持体(担体)の組成物を意味する。
【0039】
用語"触媒活性成分"は、金属化合物で含浸、あるいは覆われた後に、担体表面上に存在する該金属の酸化物または硫化物または水硫化物を意味する。
【0040】
用語"担持体"および"担体"は、同一の意味を有して並行して使用される。該用語は、様々な3次元形状および寸法を有し、且つ高い比表面積を提供する多孔質材料を表す。
【0041】
用語"単相"固体触媒は、固体材料であり、且つ随意に担持体または担体材料に含浸あるいは堆積された均質混合された成分の触媒活性物質を意味する。
【0042】
用語"助触媒"は、遷移金属の酸化物または水酸化物、あるいは遷移金属の硫化物または水硫化物、あるいは硫化の前または後の遷移金属塩前駆体を意味する。
【0043】
用語"硫化物"は、ここで用いられる場合、単純硫化物および水硫化物および複合硫化物を含む材料を意味する。
【0044】
用語"硫化"または"硫化された"は、ここで用いられる場合、活性触媒物質を硫化水素または蒸気または液体の元素硫黄および水素を用いて、高温下で触媒の活性成分が少なくとも部分的に硫化物に変換される時間の間、処理することに関する。触媒活性種が酸化物、水酸化物または任意の他の塩から硫化物状態へ変換することは、該化合物の質量を何らかの形で変更することがある。それにもかかわらず、硫化前に、ここで硫化物について記載されたものと同一の質量範囲内の硫化物前駆体を使用して、本発明で定義された触媒系を提供することが可能である。
【0045】
用語"(ガスの1時間あたりの)空間速度"は、ここで用いられる場合、1時間の間、標準的な温度および圧力で測定された、触媒系の単位体積(通常、1リットル)を通過する酸化炭素、水素および硫化水素の総体積(通常、リットル)に関する。
【0046】
用語"収率"は、初めの100モルあたり、実際にメチルメルカプタンまたは任意の他の特定の副生成物へと変換されたCOまたはCO2のモル数を示す。
【0047】
ここで用いられる場合、用語"変換率"は、メチルメルカプタンまたは任意の他の反応生成物に変換された二酸化炭素のモルパーセントを示す。メチルメルカプタンのみが生じた割合の部分を選択率と呼ぶ。
【0048】
従って、収率=変換率×選択率。
【0049】
二酸化炭素、硫化水素、または元素硫黄および水素は、本発明の方法に好ましい出発材料である。一酸化炭素を使用して二酸化炭素の一部あるいは全部を置き換えても良いが、しかし二酸化炭素は一酸化炭素よりもメチルメルカプタンへのより高い選択率を提供することが判明している。
【0050】
様々な化学量論組成比における一酸化炭素と水素との混合物もまた合成ガスとして公知であり、且つ様々な方法、例えば炭化水素の部分酸化、天然ガスの水蒸気改質、原油蒸留または石炭ガス化によるナフサおよび高真空残滓によって容易に生産される。天然ガス(メタン)の水蒸気改質のよく知られた方法は、以下の式によって例示される:
【化1】

【0051】
水の添加によって、式2に例示されるように一酸化炭素が二酸化炭素と水素とに変換される。総CO2/H2の比が1/4(式3)であることが、二酸化炭素、水素および硫黄からのメチルメルカプタン合成(式7)のための理想的な供給ガスにすることに留意されたい。
【0052】
【化2】

【0053】
硫化水素を該工程に供給するか、あるいはそれをその場で溶解あるいは気化した状態で元素硫黄を反応させることによって、それらを反応器内で反応物質の供給物と接触させる間または後に、形成してもよい。元素硫黄を酸化炭素および水素と共に反応器に直接的に供給してもよく、本発明の温度および圧力条件のために、硫黄は溶融状態であり、且つ水素と接触するとすぐにH2Sを形成する。その化学反応は以下に例示される:
【化3】

【0054】
ここで記載されている触媒上で、反応は一酸化炭素または二酸化炭素および硫化水素の反応において形成される中間生成物の硫化カルボニル(COS)の水素添加を介して進行すると考えられる:
【化4】

【0055】
ここで記載される方法に関して、本発明の触媒を使用することによって、中間生成物の硫化カルボニルの収率がマンガン族の遷移金属を含有する触媒を用いることによって最小化され、従ってメチルメルカプタンの収率の上昇がもたらされることが判明した。好ましくは、二酸化炭素の高い変換率でメチルメルカプタンへの高い選択率を示す、レニウム含有化合物を用いる。
【0056】
さらには、ここで記載される触媒の使用によって、酸化炭素と水素との反応生成物としてのメタノールおよびジメチルエーテルの形成が、ここで記載された温度および圧力範囲内では起きないことが判明した。従って、炭素源として二酸化炭素を使用すると、一酸化炭素、メタン、硫化カルボニル、二硫化炭素、および硫化ジメチルのみが、フィッシャー‐トロップシュ型反応によって形成される微量のより高次の(ポリ)硫化物および炭化水素に伴う、可能性のある唯一の反応副生成物である。
【0057】
反応器の触媒床を通過する反応物質の供給速度は、ここではガス全体の1時間あたりの空間速度として報告される。本発明の反応を、1〜10000h-1、好ましくは100〜5000h-1、およびより好ましくは300〜3000h-1の範囲の空間速度で実施できる。用いられる最適な空間速度は450〜3000h-1にわたり、工程の他の条件、例えば温度、圧力および反応物質のモル比に依存する。空間速度が低いほど、メチルメルカプタンに対する選択率が高く、且つ望ましくない副生成物、例えば硫化カルボニルおよびメタンの形成が低いことが判明した。
【0058】
供給混合物における作用物質、即ち酸化炭素、硫化水素または元素硫黄、および水素のモル比は、過剰な硫化水素がもたらされるように選択すべきである。好ましくは、CO1-2/H2S/H2のモル比は、1/1/0〜1/8/8、好ましくは1/2/1〜1/4/4におよぶ。元素硫黄を使用して供給物中でH2Sを置き換えた場合、反応物質のモル比CO1-2/S/H2S/H2は、好ましくは1/1/0/1〜1/8/8/8、より好ましくは /2/2/1〜1/4/4/4におよぶ。下記の式に示されるように、水素の存在はメチルメルカプタン形成のための前提条件ではない。本発明の方法および触媒を用いて硫黄源としてH2Sを使用して、メチルメルカプタンを水素不在下で即座に形成できる。
【0059】
【化5】

【0060】
本発明の方法を固定触媒床、あるいは化学反応のための1つあるいは並列(n=1〜10)の反応ゾーンを含み、該反応ゾーンの間に1つあるいはそれより多くの反応ガスを供給できる反応器を使用して実施するのが有利である。該触媒を、中間生成物のガス注入またはより良好な温度制御のための多管反応器を用いて固定床内に配置できる。
【0061】
本発明の方法の好ましい実施態様によれば、反応物質の酸化炭素、硫黄、硫化水素および水素を所望のモル比で混合した後、反応器に供給する。反応物質を、反応器内に連続的に配置された種々のゾーン/触媒床で別々に導入し、メチルメルカプタンの全体の収率を上昇させられる。好ましくは、水素および/または硫化水素を触媒床の間に導入して、それによってメチルメルカプタンの全体の収率を上昇させる。
【0062】
有利には、該反応物質を、反応器に入れる前に少なくとも120℃に予熱する。好ましい予熱温度範囲は120〜350℃にわたる。硫黄源として元素硫黄を使用するとき、液体硫黄を通して反応ガスを好ましくは140〜450℃の温度で供給しても、あるいは反応器に入れる前にそれらをガス状硫黄と混合してもよい。
【0063】
反応室内の温度は一般に、少なくとも200℃から500℃まで、好ましくは250〜400℃、より好ましくは220〜350℃にわたる触媒床の温度によって制御される。硫黄を工程中の反応物質として使用する場合、反応器内の温度および圧力は少なくとも硫黄を液体状態で維持するのに充分であるべきである。反応は発熱性であるが、さらなる熱を外部から供給する。
【0064】
本方法において、反応温度、従って二酸化炭素の変換を徐々に上昇させることによって、副生成物の一酸化炭素の形成を最小化できることが判明した。この効果は興味深い。なぜなら、通常、副生成物の形成は反応温度の上昇によって持続されているからである。反応器内の圧力は一般に5barより高く、好ましくは≧10である。メチルメルカプタンの収率を上げるために、該圧力は好ましくは15〜50barの範囲、より好ましくは20〜40barの範囲である。
【0065】
反応の開始前に、硫化水素流、または硫化水素、水素および二酸化炭素流中で、20〜500℃、好ましくは200〜400℃の温度、且つ1〜50barの圧力で、触媒を予備調整する。続いて、該触媒を反応条件下で硫化水素流、または水素および元素硫黄および二酸化炭素流に晒す。予備調整工程のための全時間は1時間〜48時間、好ましくは2〜24時間にわたり得る。
【0066】
本発明を以下で実施例を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】CO2変換率の関数としてのメチルメルカプタンに対する選択率および副生成物の形成を示す図である。
【図2】CO2変換率の関数としてのメチルメルカプタンに対する選択率および副生成物の形成を示す図である。
【0068】
実施例1
触媒Eを通した触媒Aの調整
触媒A
過レニウム酸(HReO4)2.0635gを20mlの蒸留水中で溶かした水溶液を調整した。50gのTiO2担持体を、連続的な攪拌下で18mlのこのHReO4溶液に含浸した。含浸された担持体を5分間攪拌し、その後、室温で30分間寝かせた。続いて、該材料を100℃で4、5時間、オーブン内で乾燥させた。モリブデン酸カリウム23.73gを25mlの蒸留水中で溶かした水溶液を調整した。含浸された担持体を18mlのK2MoO4溶液で被覆した。第二の含浸を第一の含浸工程と同様に実施した。室温で30分間寝かせた後、該触媒をオーブン内、100℃で2時間乾燥させ、その後、500℃で(1時間)か焼した。
【0069】
触媒B
0.5882gの酢酸トリブチルスズを31.9gのエタノールに溶かしたエタノール溶液を調整した。19.8gの触媒Aを、50℃で1.5時間、連続的な回転下で該溶液に含浸させた。続いて、エタノールを真空下で除去し、その後、150℃で2時間か焼した。
【0070】
触媒C
酢酸マンガン×4H2O、4.291gを20mlの蒸留水中で溶かした水溶液を調整した。50gのTiO2担持体を、連続的な回転下で18mlのこのマンガン−酢酸溶液で被覆した。含浸された担持体を5分間攪拌し、そして30分間、室温で寝かせたままにした後、100℃で4.5時間、オーブン内で乾燥させた。モリブデン酸カリウム23.73gを25mlの蒸留水中で溶かした水溶液を調整した。含浸された担持体を18mlのK2MoO4溶液で被覆した。室温で30分間寝かせた後、該触媒をオーブン内、100℃で2時間乾燥させ、その後、500℃で1時間、か焼した。
【0071】
触媒D
31.7gのK2MoO4を、撹拌下で65mlの蒸留水中で溶解した(pH〜9.5ー10)。クエン酸26.7gを小分けにして該溶液に添加した。次に、酢酸マンガン10.7gを添加して溶解した。含浸液(pH〜5.5)を、75gのTiO2担持体と接触させ、それを24時間含浸し、その後濾過し、室温で乾燥させた。最後に該触媒を80℃で2時間、オーブン内で乾燥させ、そして500℃で1時間、か焼した。
【0072】
触媒E
酢酸マンガンを蒸留水中で溶かした5%溶液を調整した。蒸留水中に懸濁している50gのγ−Al23担持体材料を10mlずつ、連続的な撹拌下でこの含浸溶液に添加した。続いて、該懸濁液を5分間攪拌し、そして室温で30分間寝かせたままにした。該触媒を室温で1日間乾燥させた後、100℃で2時間、オーブン内で乾燥させた。セシウム水酸化物の水溶液を調整した。含浸された担持体をCsOH溶液で被覆した。室温で30分間、寝かせた後、該触媒を80℃で2時間、オーブン内で乾燥させ、室温に冷却した後、500℃で(1時間)か焼して、19m%のMnO2および10m%のCsOHを装填する触媒を製造した。
【0073】
実施例2
実施例1に記載された触媒A〜Eを、下記の反応条件下で試験した:ガス全体の1時間あたりの空間速度は750〜3000h-1であり、反応物質CO2/H2/H2Sのモル比はそれぞれ1/4/4であり、且つ触媒床の温度は250〜350℃(最大)であり、且つ絶対圧は30barであった。反応器の1回のパスについて、触媒活性を評価した。変換率および選択率の測定を上述のように行った。
【0074】
表1
【表1】

【0075】
実施例3
表2は、1質量%のSnO2の装填を有する、Degussa Aerolyst TiO2担体上に含浸されたSnO2−Re27−K2MoO4−TiO2からなる触媒の、技術水準のRe27−Al23触媒と比較した触媒活性を示す。該材料を、下記の反応条件下で試験した:ガス全体の1時間あたりの空間速度は400〜3000h-1であり、反応物質CO2/H2/H2Sのモル比はそれぞれ1/4/4であり、触媒床の温度は250〜400℃であり、且つ絶対圧は30barであった。反応器の1回のパスについて、触媒活性を評価した。変換率および選択率の測定を上述のように行った。Al23担持体材料上に含浸されたRe27触媒と比較して、著しく上昇したメチルメルカプタンの選択率と収率に伴って、一酸化炭素およびメタンの形成が減少したことに留意されたい。
【0076】
表2
【表2】

【0077】
実施例4
触媒Aを、下記の反応条件下で試験した:ガス全体の1時間あたりの空間速度は750〜3000h-1であり、反応物質CO2/H2/H2Sのモル比は1/4/4であり、触媒床の温度は220℃(最低)〜340℃(最高)にわたり、且つ絶対圧は30barであった。反応器の1回のパスについて、触媒活性を評価した。図1および2は、CO2変換率の関数としてのメチルメルカプタンに対する選択率および副生成物の形成を示す。
【0078】
図2は副生成物の一酸化炭素の形成が、メチルメルカプタンに対する選択率の上昇に伴って二酸化炭素の変換率が上昇したことによって最小化されていることを実証する。
【0079】
GHSV=ガスの1時間あたりの空間速度
S=選択率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 酸化物性Mo含有且つK含有化合物、ここでMoとKとは同一の化合物の成分であってよく、
b) マンガン族の元素、特にMnまたはReから選択される元素の活性酸化物性化合物Axy
を含む、担持された触媒。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒において、化合物の質量比が
xy/K2MoO4/担体=0.001/0.01/1 〜 0.5/0.8/1
xy/MoO3/K2O/担体=0.001/0.01/0.005/1 〜 0.5/0.8/0.5/1
(ここで、AはMnまたはReを意味し、且つxおよびyは1〜7の整数である)
である触媒。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒において、化合物の質量比が
xy/K2MoO4/担体=0.001/0.05/1 〜 0.3/0.5/1
xy/MoO3/K2O/担体=0.001/0.05/0.03/1 〜 0.3/0.5/0.3/1
である触媒。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の触媒おいて、遷移金属および希土類金属の一般式Mxy(ここで、xおよびyは前記金属の酸化レベルに従って1〜7の整数であり、且つMは遷移金属または希土類金属を意味する)の酸化物性化合物の群から選択される助触媒を含む触媒。
【請求項5】
請求項4に記載の触媒において、遷移金属または希土類金属がFe、Co、Ni、La、Ceを含む群から選択される触媒。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の触媒において、成分の質量比が
2MoO4/Mxy/担体=(0.01〜0.80)/(0.01〜0.1)/1
MoO3/K2O/Mxy/担体=(0.10〜0.50)/(0.10〜0.30)/(0.01〜0.1)/1
(ここで、xおよびyは1〜7の整数である)
である触媒。
【請求項7】
請求項6に記載の触媒において、成分の質量比が
2MoO4/Mxy/担体=(0.01〜0.60)/(0.01〜0.06)/1
MoO3/K2O/Mxy/担体=(0.10〜0.30)/(0.10〜0.25)/(0.01〜0.06)/1
である触媒。
【請求項8】
請求項3から7までのいずれか一項に記載の触媒において、Mが鉄、コバルト、ニッケル、ランタンおよびセリウムからなる群から選択される金属である触媒。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の触媒において、式MxyのMが前記の希土類金属または遷移金属の代わりに、あるいはそれに加えて、スズを意味する触媒。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の触媒において、Mo、K、元素AおよびMの酸化物性化合物および/または前記の元素の酸化物性化合物を硫化水素で処理することによって得られる硫化化合物を含む触媒。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の触媒において、担体がシリカ、二酸化チタン、ゼオライトおよび活性炭からなる群から選択される触媒。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の触媒において、担体がアルミナであり、且つ触媒がレニウム酸化物またはレニウム硫化物を含有する触媒。
【請求項13】
請求項11に記載の触媒において、担体が少なくとも60%のアナターゼを含有する二酸化チタンである触媒。
【請求項14】
請求項1に記載の触媒の製造方法において、以下の工程:
a) 前記の担体を1つあるいはそれより多くの工程においてマンガン族、特にMnまたはReからの金属化合物と、K2O前駆体としてはたらくK含有化合物と、Mo含有化合物としての(NH46Mo724・4H2OまたはMoO3とを含む水溶液で含浸させる工程、または
b) 前記の担体を1つあるいはそれより多くの工程において、マンガン族、特にMnまたはReからの金属化合物と、K2MoO4とを含む1つあるいはそれより多くの水溶液で含浸させる工程、および
c) 前記の含浸された担体を乾燥させる工程
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、担体を追加的に遷移金属または希土類金属の群から選択される金属化合物の水溶液で含浸させる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、金属がFe、Co、Ni、LaおよびCeの群から選択される方法。
【請求項17】
請求項14から16までのいずれか一項に記載の方法において、担体をSnO2の前駆体としてはたらくスズ化合物の溶液で含浸させる方法。
【請求項18】
請求項15および16に記載の方法において、ナノ分散性CeO2を、担体を含浸させるために使用する溶液の1つの中に懸濁させる方法。
【請求項19】
請求項14から18までのいずれか一項に記載の方法において、含浸溶液がアルキルアミド、あるいは少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸性官能基とを含有する有機酸を含有する方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、アルキルアミドがジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドであり、且つ有機酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、プロピオル酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、3−ヒドロキシ酪酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、あるいはエチレンジアミン四酢酸である方法。
【請求項21】
請求項19あるいは20に記載の方法において、有機酸がクエン酸である方法。
【請求項22】
請求項13から20までのいずれか一項に記載の方法において、乾燥され、且つ随意にか焼された触媒を、硫化水素を含有する高温雰囲気に晒す方法。
【請求項23】
触媒法で酸化炭素、硫黄および/または硫化水素、および水素、随意に水を反応させることによるメチルメルカプタンの製造方法において、該反応を請求項1から13までのいずれか一項に記載の担持された触媒の存在下で実施する方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、CO1-2/H2S/H2のモル比が1/1/0〜1/8/8におよぶか、あるいは供給原料中でH2Sの代わりに元素硫黄を使用する場合、反応物質CO1-2/S/H2S/H2のモル比が1/1/0/1〜1/8/8/8にわたる方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、CO1-2/H2S/H2のモル比が1/2/1〜1/4/4におよぶか、あるいは供給原料中でH2Sの代わりに元素硫黄を使用する場合、反応物質CO1-2/S/H2S/H2のモル比が1/2/2/1〜1/4/4/4におよぶ方法。
【請求項26】
請求項24および25に記載の方法において、CO2を酸化炭素として使用する方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法において、反応温度が200〜500℃、且つ圧力が5〜50barの範囲である方法。
【請求項28】
請求項23に記載の方法において、反応を管状反応器、多管反応器、固定床反応器、触媒壁マイクロ流路反応器、または流動床反応器内で実施する方法。
【請求項29】
請求項23に記載の方法において、1〜10000h-1のガスの1時間あたりの空間速度を適用する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−524660(P2010−524660A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503445(P2010−503445)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053652
【国際公開番号】WO2008/125452
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】