説明

メッシュ構造の支持体を備えた燃料電池

【課題】軽くて集電が容易なメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】メッシュ構造で形成された支持体;前記支持体の外部に形成される燃料極層;前記燃料極層の外部に形成される電解質層;及び前記電解質層の外部に形成される空気極層;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、燃料(水素、LNG、LPGなど)と空気の化学エネルギーを電気化学的反応によって電気及び熱に直接変換させる装置である。既存の発電技術が燃料の燃焼、蒸気発生、タービン駆動、発電機の駆動過程を取るものとは異なり、燃焼過程または駆動装置がないので、効率が高いだけでなく環境問題を引き起こさない新概念の発電技術である。
【0003】
図1は燃料電池の作動原理を示す図である。
図1を参照すれば、燃料極1は、水素(H)を受けて水素イオン(H)と電子(e)に分解される。水素イオンは電解質2を介して空気極3に移動する。電子は外部回路4を経ながら電流を発生させる。そして、空気極3において、水素イオン、電子、及び空気中の酸素が結合して水になる。前述した燃料電池10での化学反応式はつぎの反応式1のようである。
【0004】
<反応式1>
燃料極1:H→2H+2e
空気極3:1/2O+2H+2e→H
全反応:H+1/2O→H
【0005】
すなわち、燃料極1から分離された電子が外部回路を介して電流を発生させることで電池の機能をすることになる。このような燃料電池10はSOxとNOxなどの大気汚染物質をあまり排出しなくて二酸化炭素の発生も少なくて無公害発電であり、低騷音、無振動などの利点がある。
【0006】
一方、燃料電池はリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)、直接メタノール燃料電池(DMFC)、固体酸化物燃料電池(SOFC)などの多様な種類がある。このうち、固体酸化物燃料電池(SOFC)は、高効率の発電が可能であるし、石炭ガス−燃料電池−ガスタービンなどの複合発電が可能であり、発電容量の多様性を持っているので、小型、大型発電所または分散型電源に適する。よって、固体酸化物燃料電池はこれから水素経済社会への進入のために必須の発電技術である。
しかし、固体酸化物燃料電池(SOFC)を実用化するためには、いくつかの問題点を解決しなければならない。
【0007】
第一、脆弱な耐久性及び信頼性である。固体酸化物燃料電池は高温で作動するので、熱サイクルルによる性能低下が発生する。特に、燃料極または空気極を他の要素のための支持体として使用する場合、セラミック素材の特性上、その体積が増加すれば部品の耐久性と信頼性が急に減少する傾向を表す問題点がある。
【0008】
第二、集電の困難さである。従来技術は、単位電池の内部はメタルフォーム(metal foam)を、外部は金属線を採用して集電を行った。しかし、このような構造では、セルが大型化するほど高価の金属線の量が増加して製造費用が上昇し、構造的に複雑になって大量生産が難しくなる問題点がある。
【0009】
第三、マニホールド(manifold)と単位電池間の結合の困難さである。単位電池に水素等の燃料を供給するマニホールドはほとんど金属でなる一方、単位電池はセラミックでなっている。よって、異種材質である金属とセラミックを結合するために、ろう付け(brazing)工程を用いる。しかし、ろう付け工程は、熔接過程で誘導コイルに電圧を高める速度と電圧の維持時間、ろう付け後の冷却条件によって単位電池の内部が塞がる場合が発生したり熔接不良が発生したりする。
【0010】
第四、燃料電池成形の困難さである。従来技術は、通常押出し工程によって一定の直径を持つセラミック成形体を製造した。しかし、押出し工程に常用される混合練りものは15〜20%の水を含んでいるため、乾燥工程が非常に注意深く行われなければならなく、時間が長くかかる。乾燥工程を早く進めば、内部応力が発生してセラミック成形体に亀裂が発生する。また、製造されるセラミック成形体の形状を変更しにくい問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、軽くて集電が容易なメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の好適な一実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池は、メッシュ構造で形成された支持体;前記支持体の外部に形成される燃料極層;前記燃料極層の外部に形成される電解質層;及び前記電解質層の外部に形成される空気極層;を含む。
【0013】
前記支持体と前記燃料極層の間に形成される金属パウダーコーティング層をさらに含むことができる。
前記支持体は、多数の管状支持体が平行に連続した一体型支持体であることができる。
前記一体型支持体は、多数の前記管状支持体を平行に連結する連結部をさらに含むことができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造の格子が四角形または円形であることができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造が1〜10回積層されてなることができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造の断面が円形状、扁平円状、三角形状、半円状または台形状であることができる。
前記支持体は、導電性金属でなったメッシュ構造で形成されたことができる。
前記導電性金属は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質であることができる。
【0014】
本発明の好適な他の実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池は、メッシュ構造で形成された支持体;前記支持体の外部に形成される空気極層;前記空気極層の外部に形成される電解質層;及び前記電解質層の外部に形成される燃料極層;を含む。
【0015】
前記支持体と前記空気極層の間に形成される金属パウダーコーティング層をさらに含むことができる。
前記支持体は、多数の管状支持体が平行に連続した一体型支持体であることができる。
前記一体型支持体は、多数の前記管状支持体を平行に連結する連結部をさらに含むことができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造の格子が四角形または円形であることができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造が1〜10回積層されてなることができる。
前記支持体は、前記メッシュ構造の断面が円形状、扁平円状、三角形状、半円状または台形であることができる。
前記支持体は、導電性金属でなったメッシュ構造で形成されたことができる。
前記導電性金属は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質であることができる。
【0016】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固体酸化物燃料電池にメッシュ構造で形成された一体型支持体を採用することにより、従来のセラミック支持体より耐久性及び信頼性が向上することになる。また、従来のセラミック支持体より薄く製作しても支持体としての強度を維持することができるので、燃料電池のスタックの厚さ及び重さを減少させることができる利点がある。
【0018】
また、本発明によれば、一体型支持体は導電性金属でなってメタルフォーム(metal foam)などを取り替えて集電体として利用することができ、従来の集電方式より集電効率が高いし、一体型に形成されて単位電池間の集電体連結工程が不要であって工程簡素化及び製造コストの低減に寄与する。
【0019】
また、本発明によれば、一体型支持体が金属でなってマニホールド(manifold)と接合するとき、熔接で完全に密封することができるという利点がある。
【0020】
また、本発明によれば、メッシュ構造で形成された一体型支持体を多様な形態に製作するので、燃料電池の成形が容易である。よって、燃料電池の使用分野、効率、製造単価などを考慮して多様な形状に製造することができ、スケール−アップ(scale−up)によって大容量の固体酸化物燃料電池の製作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】燃料電池の作動原理を示す図である。
【図2】本発明の好適な第1実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。
【図3A−3B】多様な形態の格子構造を持つメッシュ構造の斜視図である。
【図4】積層されたメッシュ構造の斜視図である。
【図5A−5D】多様な形態の断面を持つメッシュ構造の斜視図である。
【図6】本発明の好適な第2実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。
【図7A−7B】本発明の好適な第3実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。
【図8A−8B】多様な形態の格子構造を持つ三角形状メッシュ構造の斜視図である。
【図9A−9B】多様な形態の格子構造を持つ半円状メッシュ構造の斜視図である。
【図10A−10B】多様な形態の格子構造を持つ台形状メッシュ構造の斜視図である。
【図11A】三角形状メッシュ構造の斜視図である。
【図11B】連結部を含む三角形状メッシュ構造の斜視図である。
【図12A】半円状メッシュ構造の斜視図である。
【図12B】連結部を含む半円状メッシュ構造の斜視図である。
【図13A】台形状メッシュ構造の斜視図である。
【図13B】連結部を含む台形状メッシュ構造の斜視図である。
【図14】積層されたメッシュ構造の斜視図である。
【図15A−15B】本発明の好適な第2実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、利点及び特徴は添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例からもっと明らかになろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際して、同じ構成要素には、たとえ異なる図面に表示されていても、できるだけ同一符号を付けることにする。そして、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
固体酸化物燃料電池に使用される従来の支持方式としては、電解質自立膜式、燃料極支持体式、空気極支持体式などがある。本発明は付加の支持体を燃料電池の内部に採用し、その支持体はメッシュ構造110で形成されるという点と、多数の管状支持体360を連結して一体型支持体300に形成されるという点において、従来の支持方式に比べて、構成及び形態に確実な違いがある。
【0024】
図2は本発明の好適な第1実施例によるメッシュ構造の支持体を持つ燃料電池の断面図である。以下、同図を参照して本実施例による燃料電池について説明する。
図2に示すように、本実施例による燃料電池は、メッシュ構造110で形成された支持体100、支持体100の外部に形成される燃料極層120、燃料極層120の外部に形成される電解質層130、及び電解質層130の外部に形成される空気極層140でなっている。また、メッシュ構造110で形成された支持体100を補うために、支持体100と燃料極層120の間に金属パウダーコーティング層150をさらに含むことができる。
【0025】
燃料電池で電流を生産するためには、燃料極層120に燃料が供給され、空気極層140には空気が供給されなければならない。本実施例による燃料電池は、燃料極層120が内部に形成され、空気極層140は最外側に形成される。よって、燃料極層120は支持体100を通じて燃料を受け、空気極層140は外部から空気を受けなければならない。この際、燃料極層120が燃料を受けるために、支持体100は気体透過性を持たなければならない。
【0026】
本発明は、メッシュ構造110で形成された支持体100を採用することで、燃料極層120、電解質層130、及び空気極層140を支持するとともに、支持体100の内部に供給された水素などの燃料を支持体100を包む燃料極層120に伝達することができる。
【0027】
また、支持体100が集電機能をするために、メッシュ構造110は導電性金属で製作することが好ましい。より好ましくは、メッシュ構造110は、導電性及び耐久性に優れた鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で製作する。支持体100が導電性金属で製作されることにより、燃料電池の内部に付加の集電体を設置する必要がないので、工程簡素化と製造コストの低減に寄与する。また、支持体100が金属なので、マニホールドとの接合工程が容易であり、ガス漏洩を防止することができる。
【0028】
一方、図3に示すように、支持体100を形成するメッシュ構造110の格子115は四角形または円形に形成できる。一般に、メッシュ構造110が微細な金属線などで編んで製作された場合、格子115は四角形に形成される(図3A)。一方、メッシュ構造110が、管状構造体にUVレーザー、YAGレーザーまたはスパーク放電を用いる放電加工などによる微細孔加工工程で製作された場合、格子115は円形に形成される(図3B)。ただ、前述した製作方法は例示的なもので、その他の方法でメッシュ構造110を製作しても、最終の格子115の形状が四角形または円形の場合は本発明の保護範囲に属することはいうまでもない。
【0029】
ここで、メッシュ構造110の格子115の直径は、メッシュ構造110の外部を包む燃料極層120の成分または燃料の透過性を考慮すると、1μm〜10μmであることが好ましい。しかし、必ずしも前述した数値に限定されるものではなく、数十μm〜数百μmのメッシュ構造110を製作した後、後述する金属パウダーコーティング層150の形成あるいはメッシュ構造110の積層によって支持力を維持しながらも気体を透過させることができる。
【0030】
また、図4に示すように、メッシュ構造110を積層して支持体を形成することができる。メッシュ構造110の積層数は、設計される燃料電池の効率、所要支持力、及び燃料の透過性によって調節することができるが、本発明においては1〜10回積層することが好ましい。
【0031】
図5に示すように、支持体100は円形状(図5A)、扁平円状(図5B)、三角形状(図5C)または台形状(図5D)の断面を持つメッシュ構造110で形成することができる。支持体100がメッシュ構造110で形成されたので、セラミック支持体とは異なり、成形が自由である。よって、用途に合う多様な形状の燃料電池を製作することができ、必要に応じて燃料電池を大型化することができる。
【0032】
一方、金属パウダーコーティング層150は燃料極層120を一層安定的に支持する役目をするもので、支持体100と燃料極層120の間に形成される。金属パウダーコーティング層150は、スプレー法、浸漬法などで金属パウダーを支持体100にコートして形成する。また、金属パウダーコーティング層150も気体を透過させる多孔性性質を持つとともにメッシュ構造110の格子115の間にコーティング可能なサイズを持たなければならない。この点を考慮すると、金属パウダーの直径は数百nm〜数μmであることが好ましい。さらに、金属パウダーコーティング層150もメッシュ構造110と同様に導電性金属で形成して燃料電池の集電効率をより高めることができる。
また、必要に応じて、メッシュ構造110を数回積層した後にも金属パウダーコーティング層150を形成して所望の支持力と気体透過性を得ることができる。
【0033】
燃料極層120は支持体100の外部に形成される。ただし、金属パウダーコーティング層150が形成された場合は、金属パウダーコーティング層150の外部に形成される。燃料極層120は支持体100を透過した燃料を受けて電流を発生させる。その後、発生した電流は導電性金属で形成された支持体100によって集電されて外部回路に電気エネルギーを供給する。燃料極層120は、支持体100または金属パウダーコーティング層150の外部にNiO−YSZ(Yttria stabilized Zirconia)をスリップコーティング、プラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1200℃〜1300℃で加熱して形成することができる。
【0034】
また、電解質層130は燃料極層120の外部に形成される。電解質層130は電流を通過させなく、水素を燃料として使用した場合、水素イオンだけ空気極層140に通過させる。電解質層130は、燃料極層120の外部にYSZ(Yttria stabilized Zirconia)またはScSZ(Scandium stabilized Zirconia)、GDC、LDCなどをスリップコーティング法またはプラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1300℃〜1500℃で焼結して形成することができる。
【0035】
そして、空気極層140は電解質層130の外部に形成される。空気極層140は、電解質層130から伝達された水素イオンと外部回路を通じて伝達された電子及び空気中の酸素が結合して水が生成される。空気極層140は、LSM(Strontium doped Lanthanum manganite)、LSCF((La、Sr)(Co、Fe)O)などの組成をスリップコーティング、プラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1200℃〜1300℃で焼結して形成することができる。
【0036】
図6は本発明の好適な第2実施例によるメッシュ構造の支持体を持つ燃料電池の断面図である。本実施例と第1実施例の最も大きな相違点は、燃料極層と空気極層の形成位置である。以下、第1実施例と重複する説明は省略しその相違点を中心に説明する。
【0037】
図6に示すように、本実施例による燃料電池はメッシュ構造110で形成された支持体200、支持体200の外部に形成される空気極層220、空気極層220の外部に形成される電解質層230、及び電解質層230の外部に形成される燃料極層240でなっている。また、メッシュ構造110で形成された支持体200を補うために、支持体200と空気極層220の間に金属パウダーコーティング層250をさらに含むことができる。本実施例による燃料電池を第1実施例による燃料電池と比較してみると、空気極層140、220と燃料極層120、240の形成位置が互いに反対になっていることが分かる。
【0038】
本実施例による燃料電池は、空気極層220が内部に形成され、燃料極層240は最外側に形成される。よって、空気極層220は支持体200を通じて空気を受け、燃料極層240は外部から燃料を受けなければならない。この際、空気極層220が空気を受けるために、支持体200は気体透過性を持たなければならないのは前述したとおりである。
【0039】
支持体200が気体透過性を持つために、第1実施例と同様に、メッシュ構造110で形成する。支持体200は供給された空気をメッシュ構造110を通じて空気極層220に伝達することができる。この際、メッシュ構造110の格子115の直径はメッシュ構造110の外部を包む空気極層220の成分または気体の透過性を考慮して決定する。また、金属パウダーコーティング層250は空気極層220をより安定的に支持するために支持体200と空気極層220の間に形成されることができる。
【0040】
また、図3に示すように、メッシュ構造110の格子115は四角形または円形に形成されることができ、図5に示すように、メッシュ構造110の断面は円形状、扁平円状、三角形状または台形状に形成されることができる。そして、図4に示すように、メッシュ構造110を1〜10回積層して支持体200を形成することができる。
【0041】
空気極層220は支持体200または金属パウダーコーティング層250の外部に形成され、空気極層220の外部には電解質層230が形成され、電解質層230の外部には燃料極層240が形成される。空気極層220、電解質層230、及び燃料極層240はそれぞれ第1実施例と同様な製造方法で形成される。
【0042】
図7A及び図7Bは本発明の好適な第3実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。以下、これを参照して本実施例による燃料電池について説明する。
図7A及び図7Bに示すように、本実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池は、メッシュ構造110で形成された多数の管状支持体360が平行に連続した一体型支持体300、一体型支持体300の外部に形成される燃料極層320、燃料極層320の外部に形成される電解質層330、及び電解質層330の外部に形成される空気極層340を含んでなる。また、メッシュ構造110で形成された一体型支持体300を補うために、一体型支持体300と燃料極層320の間に金属パウダーコーティング層350をさらに含むことができる。そして、一体型支持体300は多数の管状支持体360を平行に連結する連結部370をさらに含むことができる(図7B)。
【0043】
燃料電池によって電流を生成するためには、燃料極層320に燃料が供給され、空気極層340には空気が供給されなければならない。本実施例による燃料電池は、燃料極層320が内部に形成され、空気極層340は最外側に形成される。よって、燃料極層320は一体型支持体300を通じて燃料を受け、空気極層340は外部から空気を受けなければならない。この際、燃料極層320が燃料を受けるために、一体型支持体300は気体透過性を持たなければならない。
【0044】
本発明は、メッシュ構造110で形成された一体型支持体300を採用することにより、燃料極層320、電解質層330、及び空気極層340を支持するとともに、一体型支持体300の内部に供給された水素などの燃料を一体型支持体300を包む燃料極層320に伝達することができる。
【0045】
一体型支持体300は多数の管状支持体360が平行に連続したものである。一体型支持体300の外部に燃料極層320、電解質層330及び空気極層340を形成すれば、実質的には多数の単位電池が一つの支持体に支持される形態であるので、構造が安定的であり、スタックキングの際の工程が簡素化される。
【0046】
また、一体型支持体300が集電機能をするために、メッシュ構造110は導電性金属で製作することが好ましい。より好ましくは、メッシュ構造110は導電性及び耐久性に優れた鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で製作する。一体型支持体300が導電性金属で製作されることにより、燃料電池の内部に付加の集電体を設置する必要がなくて燃料電池の製造工程簡素化と製造コストの低減に寄与する。また、一体型支持体300が金属であるので、マニホールドとの接合工程が容易であり、ガス漏洩を防止することができる。
【0047】
図8A及び図8Bは多様な形態の格子構造を持つ、断面三角形状を呈するメッシュ構造の斜視図、図9A及び図9Bは多様な形態の格子構造を持つ、断面半円状を呈するメッシュ構造の斜視図、図10A及び図10Bは多様な形態の格子構造を持つ、断面台形状を呈するメッシュ構造の斜視図である。
【0048】
ここで、図8、図9及び図10に示すように、一体型支持体300を形成するメッシュ構造110の格子115は四角形または円形に形成できる。一般に、メッシュ構造110が微細な金属線などで編んで制作された場合、格子115は四角形に形成される。一方、メッシュ構造110が管状構造体にUVレーザー、YAGレーザーまたはスパーク放電を用いる放電加工などによる微細孔加工工程で製作された場合、格子115は円形に形成される。ただ、前述した製作方法は例示的なもので、その外の方法でメッシュ構造110を製作しても、最終的な格子115の形状が四角形または円形の場合、本発明の保護範囲に属するものであるのはいうまでもない。
【0049】
また、メッシュ構造110の格子115の直径は、メッシュ構造110の外部を包む燃料極層320の成分または燃料の透過性を考慮すると、1μm〜10μmであることが好ましい。しかし、必ずしも前述した数値に限定されるものではなく、数十μm〜数百μmにメッシュ構造110を製作した後、後述する金属パウダーコーティング層350を形成するかあるいはメッシュ構造110を複数層に積層することで、電極に対する支持力を維持しながら気体を透過させることができる。
【0050】
そして、図8、図9及び図10に示すように、一体型支持体300は、三角形状、半円状または台形状の断面を持つメッシュ構造110で形成できる。一体型支持体300がメッシュ構造110で形成されたので、セラミック支持体とは異なり、成形が自由である。よって、用途に合う多様な形状の燃料電池を製作することができ、必要に応じて燃料電池を大型化することができる。
【0051】
図11〜図13は三角形状、半円状または台形状の断面を持つメッシュ構造の連結部有無による形態変化を示す斜視図である。
図11〜図13に示すように、一体型支持体300は、多数の管状支持体360を平行に連結する連結部370をさらに含むことができる。連結部370は管状支持体360を連結する役目をするもので、電流生成に必ずしも必要な構成要素ではないが、一体型支持体300の安全性、信頼性、及び追後のスタックキングを考慮して、一体型支持体300に加えて含まれることができる。連結部370は管状支持体360と別に製作して管状支持体360に連結することもできるが、管状支持体360とともにメッシュ構造110で形成することが好ましい。
【0052】
図14は積層されたメッシュ構造の斜視図である。図14に示すように、メッシュ構造110を複数層で積層して一体型支持体300を形成することができる。メッシュ構造110の積層数は、設計される燃料電池の効率、所要支持力、及び燃料の透過性によって調節可能であるが、本発明では1〜10回積層することが好ましい。
【0053】
一方、金属パウダーコーティング層350は燃料極層320をより安定的に支持する役目をし、一体型支持体300と燃料極層320の間に形成される。金属パウダーコーティング層350は、スプレー法、浸漬法などによって金属パウダーを一体型支持体300にコートして形成する。また、金属パウダーコーティング層350も気体を透過させる多孔性性質を持つとともにメッシュ構造110の格子115の間にコーティング可能なサイズを持たなければならない。この点を考慮すると、金属パウダーの直径は数百nm〜数μmであることが好ましい。さらに、金属パウダーコーティング層350もメッシュ構造110と同様に導電性金属で形成することで燃料電池の集電効率を一層高めることができる。
また、必要によっては、メッシュ構造110を多数回積層した後にも金属パウダーコーティング層350を形成して所望の支持力と気体透過性を得ることができる。
【0054】
以下、燃料極層320、電解質層330及び空気極層340の作動過程及び形成方法について例示的に説明する。
燃料極層320は一体型支持体300の外部に形成される。ただし、金属パウダーコーティング層350が形成された場合は、金属パウダーコーティング層350の外部に形成される。燃料極層320は一体型支持体300を透過した燃料を受けて電流を発生させる。その後、発生した電流は導電性金属で形成された一体型支持体300によって集電されて外部回路に電気エネルギーを供給する。燃料極層320は、一体型支持体300または金属パウダーコーティング層350の外部にNiO−YSZ(Yttria stabilized Zirconia)をスリップコーティング法またはプラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1200℃℃〜1300℃で加熱して形成することができる。
【0055】
また、電解質層330は燃料極層320の外部に形成される。電解質層330は電流を通過させなく、水素を燃料として使用した場合に水素イオンだけ空気極層340に通過させる。電解質層330は、燃料極層320の外部にYSZまたはScSZ、GDC、LDCなどをスリップコーティング法またはプラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1300℃〜1500℃で焼結して形成することができる。
【0056】
そして、空気極層340は電解質層330の外部に形成される。空気極層340は電解質層330から受けた水素イオン、外部回路を通じて伝達された電子、及び空気中の酸素が結合して水が生成される。空気極層340は、LSM(Strontium doped Lanthanum manganite)、LSCF((La、Sr)(Co、Fe)O)などの組成をスリップコーティング法またはプラズマスプレーコーティング法などでコートした後、1200℃〜1300℃で焼結して形成することができる。
【0057】
図15A及び図15Bは本発明の好適な第4実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池の断面図である。本実施例と第3実施例の最も大きな相違点は、燃料極層と空気極層の形成位置である。以下、第3実施例と重複した説明は省略し、その相違点を中心に説明する。
【0058】
図15A及び図15Bに示すように、本実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池は、メッシュ構造110で形成された多数の管状支持体460が平行に連続した一体型支持体400、一体型支持体400の外部に形成される空気極層420、空気極層の外部に形成される電解質層430、及び電解質層430の外部に形成される燃料極層440を含んでなる。また、メッシュ構造110で形成された一体型支持体400を補うために、一体型支持体400と空気極層420の間に金属パウダーコーティング層450をさらに含むことができる。そして、一体型支持体400は、多数の管状支持体460を平行に連結する連結部470をさらに含むことができる。
本実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池と第3実施例によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池を比較してみると、時空気極層420と燃料極層440の形成位置が互いに反対になっていることが分かる。
【0059】
本実施例による燃料電池は、空気極層420が内部に形成され、燃料極層440は最外側に形成される。よって、空気極層420は一体型支持体400を通じて空気を受け、燃料極層440は外部から燃料を受けなければならない。この際、空気極層420が空気を受けるために、一体型支持体400は気体透過性を持たなければならないのは前述したとおりである。
【0060】
一体型支持体400が気体透過性を持つために、第3実施例と同様に、メッシュ構造110で形成する。一体型支持体400は供給された空気をメッシュ構造110を通じて空気極層420に伝達することができる。この際、メッシュ構造110の格子115の直径はメッシュ構造110の外部を包む空気極層420の成分または気体の透過性を考慮して決定する。また、金属パウダーコーティング層450は、空気極層420をより安定的に支持するために、一体型支持体400と空気極層420の間に形成されることができる。
【0061】
また、図8〜図10に示すように、メッシュ構造110の格子115は四角形または円形に形成されることができ、メッシュ構造110の断面は三角形状、半円状または台形状に形成されることができる。そして、図14に示すように、メッシュ構造110を1〜10回積層して一体型支持体400を形成することができる。
【0062】
空気極層420は一体型支持体400または金属パウダーコーティング層450の外部に形成され、空気極層420の外部には電解質層430が形成され、電解質層430の外部には燃料極層440が形成される。空気極層420、電解質層430、及び燃料極層440はそれぞれ第3実施例と同様な製造方法で形成される。
【0063】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明によるメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池はこれに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持った者によって多様な変形及び改良が可能であろう。特に、前述した実施例においては、個体酸化物燃料電池を基準に説明したが、これに限定されなく、支持体を用いるいずれの燃料電池にも適用可能である。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、燃料と空気の化学エネルギーを電気化学的反応によって電気及び熱に直接変換させる装置燃料電池に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
100、200 支持体
110 メッシュ構造
115 格子
120、240、320、440 燃料極層
130、230、330、430 電解質層
140、220、340、420 空気極層
150、250、350、450 金属パウダーコーティング層
300、400 一体型支持体
360、460 管状支持体
370、470 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ構造で形成された支持体;
前記支持体の外部に形成される燃料極層;
前記燃料極層の外部に形成される電解質層;及び
前記電解質層の外部に形成される空気極層;
を含むことを特徴とする、メッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項2】
前記支持体と前記燃料極層の間に形成される金属パウダーコーティング層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項3】
前記支持体は、多数の管状支持体が平行に連続した一体型支持体であることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項4】
前記一体型支持体は、多数の前記管状支持体を平行に連結する連結部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項5】
前記支持体は、前記メッシュ構造の格子が四角形または円形であることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項6】
前記支持体は、前記メッシュ構造が1〜10回積層されてなることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項7】
前記支持体は、前記メッシュ構造の断面が円形状、扁平円状、三角形状、半円状または台形状であることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項8】
前記支持体は、導電性金属からなるメッシュ構造で形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項9】
前記導電性金属は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質であることを特徴とする、請求項8に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項10】
メッシュ構造で形成された支持体;
前記支持体の外部に形成される空気極層;
前記空気極層の外部に形成される電解質層;及び
前記電解質層の外部に形成される燃料極層;
を含むことを特徴とする、メッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項11】
前記支持体と前記空気極層の間に形成される金属パウダーコーティング層をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項12】
前記支持体は、多数の管状支持体が平行に連続した一体型支持体であることを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項13】
前記一体型支持体は、多数の前記管状支持体を平行に連結する連結部をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項14】
前記支持体は、前記メッシュ構造の格子が四角形または円形であることを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項15】
前記支持体は、前記メッシュ構造が1〜10回積層されてなることを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項16】
前記支持体は、前記メッシュ構造の断面が円形状、扁平円状、三角形状、半円状または台形状であることを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項17】
前記支持体は、導電性金属からなるメッシュ構造で形成されたことを特徴とする、請求項10に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。
【請求項18】
前記導電性金属は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質であることを特徴とする、請求項17に記載のメッシュ構造の支持体を備えた燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2011−18629(P2011−18629A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245442(P2009−245442)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】