説明

メディア検出装置およびインクジェットプリンタ

【課題】メディアを傷めることなく当該メディアを検出するマーク検出装置およびインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】メディアの搬送方向に対して直交する主走査方向に移動するインクヘッドにより、メディアの印刷面にインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに配設されるメディア検出装置であって、インクヘッドに固定的に配設された固定部材に回動可能に配設された回動手段と、回動手段が回動したことを検知する検知手段とを有し、固定部材は、インクヘッドが主走査方向で移動する際の前段位置において、インクヘッドの下端部より回動手段の下端部が高さ方向において下方側に位置する配設され、インクヘッドが主走査方向で移動するときに、回動手段がメディアと接触して回動し、検知手段が回動手段の回動を検知することで、インクヘッドと接触するメディアを検出するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア検出装置およびインクジェットプリンタに関し、さらに詳細には、インクジェットプリンタの印刷対象であるメディアを検出するメディア検出装置に関するとともに、当該メディア検出装置を備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
なお、本明細書において「メディア」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材のような材料などの各種の材料よりなるメディアが含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書において「インクジェット方式」とは、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方式を意味するものとする。
【背景技術】
【0004】
従来より、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、メディアとして、例えば、給紙装置によって供給された記録紙上に、記録紙の幅方向(なお、本明細書においては、当該記録紙の幅方向を、「主走査方向」と適宜に称することとする。)で移動するインクヘッドを用い、インクジェット方式により記録紙に対して所定の印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが知られている。
【0005】
こうしたインクジェットプリンタにおいて印刷を行う際には、メディアとインクヘッドとの距離を所定の範囲に保つようにしている。
【0006】
ここで、メディアとインクヘッドとの距離が所定の範囲に保たれているか否かを検出するための手法として、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。
【0007】
この特許文献1に開示された技術は、インクヘッドの側面部分に突出部を設け、インクヘッドを走査する際に当該突出部がメディアに接触するか否かによってメディアとインクヘッドとの間の距離を保たれているか否かの判断を行うようにしている。
【0008】
具体的には、インクヘッドを走査させるためのモーターの電流値を監視し、突出部がメディアに接触することによって電流値が上昇した際には、突出部とメディアとが接触したと判断してメディアとインクヘッドとの間の距離を保たれていないと判断する。
【0009】
そして、メディアとインクヘッドと間の距離を保たれていない旨を作業者に通知し、作業者に対してメディアとインクヘッドとの距離の再設定を促すようにしている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、突出部がインクヘッドに対して固定的に配設されているため、突出部がメディアと接触することによってメディアを傷めてしまうことが問題点として指摘されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3859059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メディアを傷めることなく当該メディアを検出することの可能なメディア検出装置を提供しようとするものである。
【0013】
また、本発明の目的とするところは、その目的とするところは、メディアなどのインクヘッドと衝突する可能性のある対象物を、メディア検出の際にメディアを傷めることなく検出することのできるインクジェットプリンタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明によるメディア検出装置は、メディアの搬送方向に対して直交する主走査方向に移動するインクヘッドにより、上記メディアの印刷面にインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに配設されるメディア検出装置であって、上記インクヘッドに固定的に配設された固定部材に回動可能に配設された回動手段と、上記回動手段が回動したことを検知する検知手段とを有し、上記固定部材は、上記インクヘッドが上記主走査方向で移動する際の前段位置において、上記インクヘッドの下端部より上記回動手段の下端部が高さ方向において下方側に位置する配設され、上記インクヘッドが上記主走査方向で移動するときに、上記回動手段が上記メディアと接触して回動し、上記検知手段が上記回動手段の回動を検知することで、上記インクヘッドと接触する上記メディアを検出するようにしたものである。
【0015】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、メディアの搬送方向に直交する主走査方向に移動するインクヘッドにより、上記メディアの印刷面に画像を作成するインクジェットプリンタにおいて、作業者に入力された上記メディアの厚さに応じて、上記インクヘッドの下端部と上記メディアの印刷面とが所定の距離となるように上記インクヘッドを昇降させる昇降手段と、上記所定の距離が確保されていない場合に上記メディアを検出するメディア検出手段と、上記インクヘッドを上記主走査方向に移動するよう制御するとともに、上記検出手段により上記メディアを検出した場合にのみ、上記メディアを検出した直後に上記インクヘッドの移動を停止するよう制御する制御手段とを有し、上記メディア検出手段は、上記した本発明によるメディア検出装置であるようにしたものである。
【0016】
また、本発明によるインクジェットプリンタは、上記した発明において、さらに、上記作業者に上記メディアの厚さを入力させる入力画面を表示するとともに、上記検出手段により上記メディアが検出された場合にのみ、作業者に対して上記メディアの厚さの再入力を促す表示を行う表示手段とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアを傷めることなく当該メディアを検出することができるという優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、メディアなどのインクヘッドと衝突する可能性のある対象物を、メディア検出の際にメディアを傷めることなく検出することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明によるメディア検出装置を備えたインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図である。
【図2】図2は、キャリッジに配設されたインクヘッド部の構成を示す概略構成斜視説明図である。
【図3】図3は、昇降部の構成を示す概略構成斜視説明図である。
【図4】図4は、図3のA矢視図である。
【図5】図5は、図2のB矢視図である。
【図6】図6は、メディア検出部の構成を示す概略構成説明図である。
【図7】図7(a)は、メディア検出部において接触板を突出部に配設する前の状態を示す説明図であり、また、図7(b)は、メディア検出部において接触板を突出部に配設した状態を示す説明図である。
【図8】図8は、メディア検出処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図9(a)は、メディア検出部においてメディアを検出しない状態を示す説明図であり、また、図9(b)は、メディア検出部においてメディアを検出した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるメディア検出装置およびインクジェットプリンタの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0021】
ここで、図1には、本発明によるメディア検出装置を備えたインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図が示されている。
【0022】
また、図2には、キャリッジに配設されたインクヘッド部の構成を示す概略構成斜視説明図示されている。
【0023】
また、図3には、昇降部の構成を示す概略構成斜視説明図が示されている。
【0024】
また、図4には、図3のA矢視図が示されている。
【0025】
また、図5には、図2のB矢視図が示されている。
【0026】
また、図6には、メディア検出部の構成を示す概略構成説明図が示されている。
【0027】
また、図7には、メディア検出部における接触板の配設状態を示す説明図が示されている。
【0028】
この図1に示すインクジェットプリンタ10においては、所謂、ペーパームーブタイプのインクジェットプリンタであり、給紙装置(図示せず。)によってメディアとして幅方向たる主走査方向において所定の長さを有する記録紙28が後述するベース部材14上に供給され、主走査方向と直交する方向たる副走査方向、即ち、記録紙28の長手方向に搬送するようになされている。
【0029】
こうしたインクジェットプリンタ10は、基台部材12に支持され主走査方向に延長して配置された固定系のベース部材14と、ベース部材14の左右両端でベース部材14に直交して配設された側方部材16L、16Rと、側方部材16R側に配設された側方ユニット18と、左右2つの側方部材16L、16Rを連結する中央壁20と、中央壁20の壁面に主走査方向に延長して配設されたガイドレール22と、中央壁20の壁面に平行して主走査方向に移動自在に配設されたワイヤー24と、ワイヤー24に固定的に配設されるとともにガイドレール22に摺動自在に配設されたキャリッジ26と、ベース部材14上の記録紙28と対向するようにしてキャリッジ26に配設されるとともにメディアたる記録紙28上にインクを吐出するインクヘッド部30とを有して構成されている。
【0030】
なお、こうしたインクジェットプリンタ10の全体の動作は、マイクコンピューター(図示せず。)によって制御されている。
【0031】
また、ワイヤー24がモーターなどの駆動装置(図示せず。)によって巻き取られて主走査方向に移動すると、このワイヤー24の移動に伴ってキャリッジ26が中央壁20に沿って主走査方向に移動する。
【0032】
こうしてキャリッジ26が移動すると、キャリッジ26に配設されたインクヘッド部30もキャリッジ26の移動に伴って記録紙28上を主走査方向に移動する。
【0033】
即ち、インクヘッド部30は、側方部材16R側から側方部材16L側へと主走査方向における行き方向で移動するとともに、側方部材16L側から側方部材16R側へと主走査方向における帰り方向で移動する。
【0034】
また、印刷を行わないなどの所定のタイミングで、キャリッジ26は側方ユニット18内の待機位置に留まり、キャリッジ26に配設されたインクヘッド部30が側方ユニット18内に位置するようになされている。
【0035】
側方ユニット18には、インクジェットプリンタ10の動作や制御の処理の指示を行うなために操作パネル32が設けられている。この操作パネル32には、操作状態を表示する表示部32aや、インクヘッド30の位置を指定するキーや、画像データなどの信号に基づいて画像の作成を開始するためのキーや、使用するメディアの厚さを入力するためのキーなどが配設されているものである。
【0036】
インクヘッド部30は、インクタンク(図示せず。)から供給される紫外線硬化インクを吐出するインクヘッド40と、インクヘッド40の右方側および左方側に配設されるとともに、インクヘッド40から吐出された紫外線硬化インクに対して紫外線を照射する紫外線照射ランプ42a、42bと、キャリッジ26の前方面26aに配設されるとともに、インクヘッド40を上方側または下方側に昇降可能に配設する昇降部44と、昇降部44の左方側に配設されて所定値以上の厚さのメディアを検出するメディア検出部46とを備えている。
【0037】
この昇降部44は、ベース部材44aの後方面44aaにおいてキャリッジ26に固定的に配設されている。
【0038】
ベース部材44aは、主走査方向において所定の幅を有し上下方向に延設されており、上端部および下端部において前方側に屈曲した上方屈曲部44a−1よび下方屈曲部44a−2が形成されている。
【0039】
さらに、ベース部材44aには、上方屈曲部44a−1から下方屈曲部44a−2まで延設されたガイド棒44b−1、44b−2が設けられており、このガイド棒44b−1、44b−2に昇降部材44cが高さ方向に摺動自在に配設されている。
【0040】
なお、この昇降部材44cの前方面44caにおいて、インクヘッド40が固定的に配設される。
【0041】
また、ベース部材44aの上方屈曲部44a−1においては駆動モーター44dが設けられており、駆動モーター44dから下方側に延設された回転軸44d−1に溝44eaが形成されたプーリー44eが設けられている。
【0042】
さらに、駆動モーター44dの下方側にはプーリー44eの回転により回転するプーリー44iが設けられている。
【0043】
また、ベース部材44aのガイド棒44b−1、44b−2の間には、下方屈曲部44a−2から上方屈曲部44a−1を貫通して延設され、その上端部にプーリー44gが設けられたシャフト44fが設けられている。
【0044】
このシャフト44fにはナット44f−1が設けられており、このナット44f−1には昇降部材44cが固定的に配設されている。なお、このナット44f−1は、シャフト44fが回転することにより、高さ方向に移動するものである。
【0045】
このシャフト44fには溝44faが形成されており、この溝44faと螺合してナット44f−1が配設されている。そして、このナット44f−1は、シャフト44fが回転することにより高さ方向に移動可能な構成となっている。
【0046】
また、このナット44f−1には昇降部材44cが固定的に配設されている。
【0047】
そして、プーリー44iとプーリー44gとの間には、無端状にベルト44hが張設されてる。
【0048】
これにより、駆動モーター44dによりプーリー44eが回転し、この回転がプーリー44i、ベルト44hを介してプーリー44gに伝達されてシャフト44fを回転させることとなる。そして、シャフト44fが回転することにより、ナット44f−1が高さ方向に移動し、ナット44f−1の移動により昇降部材44cが高さ方向に移動するようにように構成されている。
【0049】
また、昇降部材44cの左方側端部44cbには、接続部材48を介してメディア検出部46が配設されている。
【0050】
なお、メディア検出部46は、インクヘッド部30が主走査方向の行き方向で移動するとき(つまり、右方側から左方側へ移動するときのことである。)、インクヘッド40や紫外線照射ランプ42bの前段に位置するようにして接続部材48を介して昇降部材44cの左方側端部44caに設けられている(図7を参照する。)。
【0051】
さらに、メディア検出部46は、後述する接触板46bの下端部46baの高さ位置が、インクヘッド40に設けられたインクジェットノズル40aの下面40aaの高さ位置より、わずかに下方側に位置するよう配設されている。
【0052】
また、メディア検出部46は、接続部材48に固定的に配設された固定部材たる板状部材46aと、板状部材46aの左方側において板状部材46aに対して回動可能に配設された回動部材たる接触板46bと、板状部材46において回動した接触板46bを検知する検知手段たるセンサー46cとを有して構成されている。
【0053】
この接触板46bは、副走査方向に延設された上部46b−1と、主走査方向に延設された下部46b−2と、所定の幅L1を備え上部46b−1と下部46b−2とを接続する接続部46b−3とにより構成されている。
【0054】
また、板状部材46aの左方側端部46aaの下方側において後方側に突出した突出部46a−1が設けられており、この突出部46a−1に設けられた凹部46a−1aが設けられている。
【0055】
なお、この凹部46a−1aの幅L3は、接触板46bの接続部46b−3の幅L1より大きい値であり、かつ、接触板46bの上部46b−1の幅L2より小さい値となっている。
【0056】
そして、接触板46bの接続部46b−3を凹部46a−1aに係合させ、接触板46bの上部46b−1に設けられた切り欠き部46b−1a、46b−1bと、カバー部材46dに設けられた切り欠き部46d−1a、46d−1bとを合わせてカバー部材46dを突出部46a−1に配設する。
【0057】
その際、カバー部材46dに設けられた固定部46d−2に設けられたネジ穴46d−2aと、突出部46a−1に設けられたネジ穴46a−1bとが合わさるように寸法設定されており、このネジ穴46d−2およびネジ穴46a−1bとにネジ46eをねじ込むことによりカバー部材46dを突出部材46a−1に固定する。
【0058】
これにより、接触板46bは、上部46b−1の下端部46b−1cを支点として後端部46bbを矢印C方向に回動することが可能となる(図6を参照する。)。
【0059】
また、センサー46cは、板状部材46aの略中央の下方側において後方側に突出した突出部46a−2が設けられており、この突出部46a−2において矢印C方向に回動した接触板46bの後端部46bbを検知することができるように配設されている。
【0060】
以上の構成において、インクジェットプリンタ10において所定値以上の厚さのメディアの検出を行う場合には、まず、作業者が使用するメディアたる 記録紙28をインクジェットプリンタ10においてピンチロール(図示せず。)とグリッドロール(図示せず。)とに狭持させると、メディア検出処理が開始される。
【0061】
このメディア検出処理が開始されると、操作パネル32の表示部32aにおいて、使用する記録紙28の厚みを入力するための画面が表示される(ステップS802)。
【0062】
そして、作業者が操作パネル32に設けられたキーを利用して記録紙28の厚みを入力すると、駆動モーター44dが駆動されて、入力された記録紙28の厚みに応じて昇降部44を昇降することにより、インクヘッド40を、入力された記録紙28の厚みに応じて設定された高さ位置に移動する(ステップS804)。
【0063】
即ち、このステップS804の処理においては、マイクロコンピューター(図示せず。)に予め記憶されていたメディアの厚みに対するインクヘッド40の高さ位置(つまり、インクジェットヘッド40aの下面40aaの高さ位置である。)に基づいて、当該マイクロコンピューターの制御により駆動モーター44dが駆動される。
【0064】
なお、マイクロコンピューター(図示せず。)に予め記憶されていた、メディアの厚みに対するインクヘッド40の高さ位置については、インクヘッド40のインクジェットヘッド40aの下面40aaに設けられたインクジェットノズルとメディアの印刷面との距離を、インクヘッド40から吐出されるインクが適当なドット径で吐出されるために一定にするものである。
【0065】
そして、この駆動モーター44dの駆動により、インクヘッド40が固定的に配設された昇降部44の昇降部材44cが高さ方向で移動し、インクヘッド40を所定の高さ位置に移動させることとなる。
【0066】
その後、インクヘッド部30を主走査方向で移動し、インクヘッド部30に設けられた光センサー46fにより、記録紙28の幅を検出するためのスキャン動作が実行される(ステップS806)。
【0067】
なお、インクヘッド部30は印刷を行わない場合には、側方ユニット18内に位置するものであるので、このステップS806の処理においては、スキャン動作が実行されることにより、インクヘッド部30が側方ユニット18内から主走査方向を行き方向、つまり、右方側から左方側に向かって移動することとなる。
【0068】
次に、ステップS806の処理を行った際に、メディア検出部46において記録紙28が検出されたか否かの判断を行う(ステップS808)。
【0069】
即ち、このステップS808の判断処理においては、メディア検出部46のセンサー46cにおいて、接触板46の後端部46bbが検知されたか否かの判断を行うものである。
【0070】
つまり、センサー46cにより後端部46bbが検知されなかった場合には(図9(a)を参照する。)、メディア検出部46において記録紙28が検出されなかったこととなり、センサー46cにより後端部46bbが検知された場合には(図9(b)を参照する。)、メディア検出部46において記録紙28が検知されたことになる。
【0071】
具体的には、作業者により記録紙28の適正な厚さが入力されたときは、記録紙28の印刷面と、インクジェットヘッド40aの下面40aaと接触板46bの下端部46baとが同じ高さに位置するため、センサー46cにより接触板46bの後端部46bb検知されることがない。
【0072】
一方、作業者により記録紙28の適正な厚さが入力されなかったときは、記録紙28の印刷面よりインクジェットヘッド40aの下面40aaと接触板46の下端部46baが下方側に位置することとなる。
【0073】
このため、インクヘッド部30が主走査方向を行き方向で移動すると、接触板46bの側面部46bcが記録紙28と接することとなり、接触板46bが矢印C方向に回動して、接触板46bの後端部46bbがセンサー46cに検知されることとなる。
【0074】
このステップS808の判断処理においてメディア検出部46において記録紙28が検出されなかった場合には、メディア検出処理を終了するとともに、検出した記録紙28の幅方向の長さがマイクロコンピューター(図示せず。)に記憶し、記憶した記録紙28の幅を考慮して当該マイクロコンピューターの制御により、所定の印刷処理がなされる(ステップS810)。
【0075】
なお、こうした印刷処理については、従来より公知の技術により実行されるため、詳細な説明は、省略することとする。
【0076】
一方、ステップS808の処理において、メディア検出部46において記録紙28が検出された場合には、マイクロコンピューター(図示せず。)により、インクヘッド部30の主走査方向における行き方向での移動を停止する(ステップS810)。
【0077】
そして、マイクロコンピューター(図示せず。)において、インクヘッド40の高さ位置が、入力したメディアの厚さに対するインクヘッド40の高さ位置と異なっているものと判断し、当該マイクロコンピューターの制御により、操作パネル32に設けられた表示部32aにインクヘッド40の高さ位置が適切でない旨のエラーメッセージを表示する(ステップS812)。
【0078】
そして、エラーメッセージを所定の時間、例えば、10秒程度表示し続け、その後、ステップS802の処理に戻り、操作パネル32の表示部32aに記録紙28の厚みを入力するための画面を表示する。
【0079】
以上において説明したように、本発明によるメディア検出装置を備えたインクジェットプリンタ10は、インクヘッド部30において、インクヘッド部30が主走査方向の行き方向で移動するとき、インクヘッド40の前段に位置するようにメディア検出部46を設けるようにした。
【0080】
そして、このメディア検出部46において、メディアと接触する接触板46bを回動可能な構成とし、接触板46bが回動したときに、センサー46cにより接触板46bを検知するようにした。
【0081】
また、インクジェットプリンタ10においては、メディア検出部46においてメディアが検出されると、直ちにインクヘッド部30の移動を停止するようにした。
【0082】
これにより、本発明によるメディア検出装置を備えたインクジェットプリンタ10においては、インクヘッド40の高さ位置がメディアの印刷面より低い位置であっても、メディアと接触する接触板46bやインクヘッド40のインクジェットノズル40aの下面40aaによりメディアを傷めることがなくなる。
【0083】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形するようにしてもよい。
【0084】
(1)上記した実施の形態においては、ステップS812の処理において、操作パネル32に設けられた表示部32aにインクヘッド40の高さ位置が適切でない旨のエラーメッセージを表示するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0085】
例えば、インクヘッド40の高さ位置が適切でない場合に赤色のランプを点灯するようにして作業者にインクヘッド40の高さ位置が適切でない旨を通知するようにしてもよい。
【0086】
また、インクヘッド40の高さ位置が適切でない場合に、インクヘッド40の高さ位置が適切でない旨の音声ガイダンスを流して、作業者に知らせるようにしてもよい。
【0087】
(2)上記した実施の形態においては、インクヘッド40から紫外線硬化インクを吐出するようにし、インクヘッド40の左方側および右方側に紫外線照射ランプ42a、42bを設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0088】
例えば、紫外線照射ランプ42a、42bに代えて、紫外線とは異なる放射線の可視光や電子線あるいは他の光をメディアに照射する手段を用い、インクヘッド40から吐出されるインクとして、メディア上に照射される光によって固化あるいは増粘する性質を有する各種インクを用いるようにしてもよい。
【0089】
また、インクヘッド40から吐出するインクの種類は、光硬化インクに限定されるものではなく、顔料系インク、染料系インク、溶剤系インク、水性インク(昇華インク)、新溶剤系のエコソルインクなどの様々な種類のインクを使用するようにしてもよい。
【0090】
(3)上記した実施の形態においては、インクヘッド40によりインクを吐出するインクヘッド部30によって、記録紙28の印刷面に所望の画像を印刷するようにしたが、インクヘッド40に代えて打刻ヘッドを設けるようにして打刻ヘッド部を構成し、当該打刻ヘッド部により所定のメディアの表面に対して所望の画像を作成するようにしてもよいことは勿論である。
【0091】
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)および(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、インクによりメディアに対して印刷を行う際に用いて好適である。
【符号の説明】
【0093】
10 インクジェットプリンタ、30 インクヘッド部、40 インクヘッド、44 昇降部、46 メディア検出部、46a 板状部材、46b 接触板、46c カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアの搬送方向に対して直交する主走査方向に移動するインクヘッドにより、前記メディアの印刷面にインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに配設されるメディア検出装置であって、
前記インクヘッドに固定的に配設された固定部材に回動可能に配設された回動手段と、
前記回動手段が回動したことを検知する検知手段と
を有し、
前記固定部材は、前記インクヘッドが前記主走査方向で移動する際の前段位置において、前記インクヘッドの下端部より前記回動手段の下端部が高さ方向において下方側に位置するように配設され、
前記インクヘッドが前記主走査方向で移動するときに、前記回動手段が前記メディアと接触して回動し、前記検知手段が前記回動手段の回動を検知することで、前記インクヘッドと接触する前記メディアを検出する
ことを特徴とするメディア検出装置。
【請求項2】
メディアの搬送方向に直交する主走査方向に移動するインクヘッドにより、前記メディアの印刷面に画像を作成するインクジェットプリンタにおいて、
作業者に入力された前記メディアの厚さに応じて、前記インクヘッドの下端部と前記メディアの印刷面とが所定の距離となるように前記インクヘッドを昇降させる昇降手段と、
前記所定の距離が確保されていない場合に前記メディアを検出するメディア検出手段と、
前記インクヘッドを前記主走査方向に移動するよう制御するとともに、前記検出手段により前記メディアを検出した場合にのみ、前記メディアを検出した直後に前記インクヘッドの移動を停止するよう制御する制御手段と
を有し、
前記メディア検出手段は、請求項1に記載のメディア検出装置である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、さらに、
前記作業者に前記メディアの厚さを入力させる入力画面を表示するとともに、前記検出手段により前記メディアが検出された場合にのみ、作業者に対して前記メディアの厚さの再入力を促す表示を行う表示手段と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図5】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−228778(P2012−228778A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96671(P2011−96671)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】