説明

メモリカード用アダプタ

【課題】本発明は小型メモリカードが挿入されるメモリカード用アダプタの剛性を高めることを課題とする。
【解決手段】メモリカード用アダプタ10は、樹脂製ケース12の内部に小型メモリカード20が挿入される挿入部30が形成され、且つ、挿入部30には複数のコンタクト部材40が配されている。また、樹脂製ケース12は、挿入部30の上方を覆う上ケース50と、複数のコンタクト部材40がインサート成形された下ケース60とを有する。下ケース60の上面に形成された凹部62の両側には、挿入部30の挿入口付近に配された第1のメモリカード補強部64,65と、挿入部30の奥側に配された第2のメモリカード補強部66,67が一体的に形成されている。この補強部64〜67は、挿入部30の左右両側を囲むように形成された壁部120,130に設けられ、小型メモリカード20の左右縁部の側面及び上面に対向するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリカード用アダプタに係り、特に小型メモリカードが挿入される挿入部が外力によって変形しないように構成されたメモリカード用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器の記憶媒体として使用されるメモリカードは、寸法及び形状が規格によって決められている。一方、携帯電話器等においては、メモリカードの装着スペースが制約させることから、通常のメモリカードよりも縦寸法、横寸法、厚さ寸法が小さい小型メモリカードが装着できるように構成されている。
【0003】
そのため、通常の大きさのメモリカードが装着されるカードスロットには、小型メモリカードをそのまま装着することはできない。そこで、外観の寸法形状が通常のメモリカードと同じに形成されると共に、内部に小型メモリカードが挿入される挿入部が形成されたメモリカード用アダプタが開発されている。
【0004】
小型メモリカードの利用者は、小型メモリカードが挿入されたメモリカード用アダプタをパーソナルコンピュータやデジタルカメラ等の電子機器にも装着することで小型メモリカードに記憶された電子データをパーソナルコンピュータに読み込ませることが可能になる。
【0005】
このような小型メモリカードが挿入されるメモリカード用アダプタは、外側が樹脂材に成型されたケースによって形成されており、ケースの内部には、小型メモリカードが挿入される挿入部と、挿入されたメモリカードの各端子に接触する複数のコンタクト部材とが配されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、上記のように構成されたメモリカード用アダプタでは、ケースは、樹脂製の上ケースと下ケースとを互いに突き合わせた状態で上ケースと下ケースとの接合面を超音波溶着によって溶着している。また、上記メモリカード用アダプタでは、外形が通常のメモリカードの外観形状と同じであり、挿入部の寸法形状が小型メモリカードの外観形状によって決まるため、樹脂製の上ケース及び下ケースの肉厚が比較的薄く形成されている。
【特許文献1】特開2007−157347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記メモリカード用アダプタにおいては、外力を受けた場合、樹脂材が薄くなっている挿入部が撓むと、挿入部に挿入された小型メモリカードが変形してしまうおそれがあるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したメモリカード用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0010】
本発明は、小型メモリカードが挿入される挿入部と、該挿入部に挿入された前記小型メモリカードの端子に接触する導電材からなる複数のコンタクト部材と、前記複数のコンタクト部材を保持すると共に前記挿入部を囲むように形成されたケースとを有するメモリカード用アダプタにおいて、少なくとも前記挿入部の周囲に、外力による変形を防ぐ補強部を設けることにより、上記課題を解決するものである。
【0011】
本発明は、請求項1に記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記挿入部に挿入されたメモリカードの縁部に沿うように形成されることにより、上記課題を解決するものである。
【0012】
本発明は、請求項1または2に記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記メモリカードの縁部の側面及び上面または下面の一部に対向するように横断面形状がL字状に形成されることにより、上記課題を解決するものである。
【0013】
本発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記挿入部に対する前記メモリカードの挿入位置を案内するガイド部を兼ねることにより、上記課題を解決するものである。
【0014】
本発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記挿入部の周囲の複数箇所に配されることにより、上記課題を解決するものである。
【0015】
本発明は、請求項1乃至5の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記ケースの前記挿入部を画成する壁部に一体成形されることにより、上記課題を解決するものである。
【0016】
本発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、前記補強部は、前記コンタクト部材の一部から前記挿入部を囲む位置に延在形成された延在部に形成されることにより、上記課題を解決するものである。
【0017】
本発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、前記複数のコンタクト部材は、一定のピッチで並列に形成され、前記メモリカードの端子に接触することで弾性変形する弾性変形部と、前記弾性変形部の基端に連続形成され、前記ケースにインサート成形されて保持される保持部とを有し、前記保持部に幅広部分が形成されることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、メモリカードが挿入される挿入部の周囲を補強することができ、外力が加えられても挿入部に挿入されたメモリカードが変形してしまうことを防止することが可能になり、メモリカード用アダプタの信頼性を高めることができる。また、本発明によれば、コンタクト部材がケースにインサート成形されて保持されるため、組立工程での部品点数が少なくて済み、組立作業が効率良く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明によるメモリカード用アダプタの一実施例を示す分解斜視図である。図1に示されるように、メモリカード用アダプタ10は、樹脂製ケース12の内部に小型メモリカード20が挿入される挿入部30が形成され、且つ、挿入部30には複数のコンタクト部材40が配されている。また、樹脂製ケース12は、挿入部30の上方を覆う上ケース50と、複数のコンタクト部材40がインサート成形された下ケース60とを有する。
【0021】
上ケース50、下ケース60のイジェクト側端部(Ya方向側端部)には、挿入部30に連通された挿入口を形成するための凹部52,62が形成されている。凹部52,62は、小型メモリカード20の上面形状及び下面形状に対応する形状に形成されており、上からみて右側に段差部52a,62aを有する。さらに、凹部62の底面110には、挿入方向(Y方向)に延在する複数の溝112が形成されている。この複数の溝112は、複数のコンタクト部材40の延長線上に形成されており、小型メモリカード20の各端子26(図2参照)と接触しないように設けられている。
【0022】
また、下ケース60の挿入部30の右側には、小型メモリカード20を係止するロックコンタクト70のロック用取付部80が形成され、下ケース60の左側にはデータの上書き許可位置または上書き禁止位置にスライド可能に配されたスイッチ90が取り付けられるスイッチ用取付部100が形成されている。また、従来のものは、下ケースとコンタクト部材がインサート成形された樹脂製部品とが別体になっていたが、本実施例によれば、コンタクト部材がケースにインサート成形されて保持されるため、組立工程での部品点数が少なくて済み、組立作業が効率良く行える。
【0023】
図2は小型メモリカード20を下方から見た斜視図である。図2に示されるように、小型メモリカード20は、樹脂製ケース22の内部に半導体メモリ24(破線で示す)がパッケージされており、ケース22の挿入側端部(Y方向)の下面22aには、半導体メモリ24に導通された複数の端子26が配されている。また、ケース22の左側面22bはY方向に直線的に延在形成され、ケース22の幅狭の右側面22cと幅広の右側面22dとは、段差部22eを介して連続形成されている。
【0024】
また、小型メモリカード20の幅広の右側面22dには、ロックコンタクト70の係止部72に係止される係止用凹部28が形成されている。
【0025】
挿入部30は、上ケース50の凹部52と下ケース60の凹部62とを突き合わせて形成される空間であり、後ろ側に開口する挿入口を除く前、上、下、左、右の各方向が小型メモリカード20の挿入可能な奥行き寸法及び横幅寸法及び厚さ方向を有する壁部に囲まれている。
【0026】
図3は上ケース50を下方から見た斜視図である。図3に示されるように、上ケース50の下面50aには、小型メモリカード20の上面形状に対応する凹部52が形成されている。この凹部52の入り口側には、挿入された小型メモリカード20のイジェクト側端部を把持することができるようにYb方向に凹んだ切欠54が形成されている。
【0027】
図4は挿入部30に小型メモリカード20が挿入された状態を示す斜視図である。図4及び図1に示されるように、下ケース60の上面に形成された凹部62の両側には、挿入部30の挿入口付近に配された第1のメモリカード補強部(以下「補強部」と称す)64,65と、挿入部30の奥側(Yb方向側)に配された第2のメモリカード補強部(以下「補強部」と称す)66,67が一体的に形成されている。この補強部64〜67は、挿入部30の左右両側を囲むように形成された壁部120,130より起立した垂直部と、垂直部の上端から水平方向に突出する水平部とを有するL字状に形成されており、小型メモリカード20の左右縁部の側面及び上面に対向するように形成されている。
【0028】
補強部64〜67は、下ケース60と一体形成された樹脂材により形成され、夫々小型メモリカード20の左右縁部が摺動する挿入方向(Yb方向)及びイジェクト(Ya方向)に延在形成されている。また、小型メモリカード20の端子26にコンタクト部材40が接触する部分を補強する補強部66,67は、Y方向の延在長さが挿入口付近の補強部64,65よりも2倍〜3倍長く形成されている。これは、コンタクト部材40の弾性変形による押圧力が小型メモリカード20の端子26に作用するとき、補強部66,67が小型メモリカード20の両側を保持してコンタクト部材40と端子26との接触圧を確保するためである。
【0029】
挿入部30の挿入口付近に配された補強部64,65は、X方向の離間距離が小型メモリカード20のイジェクト側端部の横幅寸法に対応して広くなっており、挿入部30の奥側(Yb方向側)に配された補強部66,67は、X方向の離間距離が小型メモリカード20の挿入側端部の横幅寸法に対応して狭くなっている。
【0030】
そして、小型メモリカード20は、端子26を下面側にして挿入部30の内部空間内に挿入されると、左右側面22b,22c,22dの縁部が凹部62の底面110とL字状の補強部64〜67との間に挿入される。そのため、小型メモリカード20は、下面22aが凹部62の底面110に摺接し、且つ上面22fの左右縁部が補強部64〜67の内側に摺接する。これにより、小型メモリカード20は、補強部64〜67によって左右縁部の上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)の挿入位置がガイドされる。
【0031】
また、小型メモリカード20は、ケース22の右側に幅狭の右側面22c、幅広の右側面22d、段差部22eを有するため、間違った向きで挿入部30に挿入されると、上ケース50の凹部52及び下ケース60の凹部62に形成された段差部52a,62aによって小型メモリカード20の挿入が阻止される。
【0032】
本実施例においては、補強部64〜67が下ケース60から挿入部30の上側に延在するように形成されるように構成されているが、補強部64〜67を上ケース50に形成して挿入部30の下側に突出する構成としても良い。
【0033】
図5は挿入部30に小型メモリカード20が挿入された状態を示す縦断面図である。図5及び図4に示されるように、小型メモリカード20が挿入部30に挿入完了した状態では、下面側の各端子26がコンタクト部材40に接触しており、コンタクト部材40の先端部分(接触部分)を下方に弾性変形させるため、コンタクト部材40のバネ力(接触圧)によって上方に付勢される。そのため、小型メモリカード20は、ケース22の上面22fが補強部64〜67の水平部の内側に当接させた状態で保持される。
【0034】
尚、図4においては、上ケース50が省略されているが、補強部64〜67の上面は、図5に示されるように、上ケース50の凹部52の下面に当接する。そのため、補強部64〜67は、小型メモリカード20の左右両側縁部を保持すると共に、上ケース50の凹部52を支持する支柱としても機能するように設けられている。これにより、上ケース50と下ケース60との間に形成された挿入部30において、小型メモリカード20は上下方向(Z方向)のがたつきが無い安定状態に保持され、且つ各コンタクト部材40と各端子26との間での接触圧を確保することができる。
【0035】
さらに、メモリカード用アダプタ10は、小型メモリカード20の左右両側縁部が補強部64〜67に当接して保持されるとともに、補強部64〜67が凹部52,62間の支柱として挿入部30を補強しているので、挿入部30周辺の強度が向上しており、例えば、X軸回りあるいはY軸回りに撓ませるような外力が作用した場合でも、撓みにくい構成になっている。
【0036】
ここで、コンタクト部材40と一体に形成された補強部の構成について説明する。図6は複数のコンタクト部材40の基端部が下ケース60にインサート成形された状態を示す透視図である。図7は複数のコンタクト部材40を有するコンタクト板金部材150を示す斜視図である。図8は図7中のA部を拡大して示す斜視図である。
【0037】
図7に示されるように、複数のコンタクト部材40を有する板金部材150は、銅などの導電性金属材からなる板金部材をプレス加工等により打ち抜くことで得られる。この板金部材150は、上記複数のコンタクト部材40と、各コンタクト部材40の基端に連続形成されて下ケース60にインサート成形される複数のモールド保持部42と、各モールド保持部42に連結された連結部44と、複数のモールド保持部42のうち左右両側に位置するモールド保持部42から分岐されて挿入部30の左右両側に配された第3、第4の補強部160,170とを有する。
【0038】
また、連結部44は、複数のコンタクト部材40及びモールド保持部42が下ケース60にインサート成形された後、下ケース60からはみ出し部分が切断されて除去される。
【0039】
図5及び図6に示されるように、補強部160,170は、挿入部30の両側を囲むように形成された下ケース60の壁部120,130の内部にインサート成形されており、外観からは見えない。この補強部160,170は、挿入部30の左右両側に沿うようにY方向に延在された延在部を形成するY方向補強部162,172と、X方向に延在形成されたX方向補強部164,174とを有する。
【0040】
さらに、Y方向補強部162,172及びX方向補強部164,174は、夫々断面形状がL字状に曲げられており、下ケース60の壁部120,130の内部にインサート成形されることで下ケース60の曲げ荷重に対するX軸回り方向及びY軸回り方向の曲げ剛性を高めている。このため、メモリカード用アダプタ10では、ケース12の剛性が挿入部30の両側にインサート成形された補強部160,170によって大幅に向上しており、且つ前述した補強部64〜67が凹部52,62間の支柱として挿入部30を補強しているので、外力が作用しても挿入部30に挿入された小型メモリカード20に曲げ荷重が加えられることを防止することができる。よって、メモリカード用アダプタ10の構造的な信頼性もより一層高められる。
【0041】
図7及び図8に示されるように、下ケース60にインサート成形される複数のコンタクト部材40の基端部両側には、横方向(X方向)に突出する補強用突部48,49が形成されている。この補強用突部48,49は、複数のコンタクト部材40間の隙間S1が例えば、0.4mm〜0.5mmであるとした場合、補強用突部48,49の端部と隣接されたコンタクト部材40の側面との隙間S2が例えば、0.1mm程度となるように側方に突出する。従って、補強用突部48,49の側方への突出長さは、0.3mm〜0.4mm程度であるが、上記隙間S1が大きくなれば、それに伴って突出長さを大きくすることが可能になる。
【0042】
尚、補強用突部48,49の数は、一つずつ設ける構成でも良いし、あるいは2つ以上の複数個を各コンタクト部材40の側面に突出させることも可能である。また、補強用突部48,49のY方向の長さ寸法は、任意に設定することができるので、図8に示すものよりも長く形成しても良い。
【0043】
また、一のコンタクト部材40の補強用突部48と隣接する他のコンタクト部材40の補強用突部49とは、Y方向位置が所定距離ずらしてあるので、同じ隙間S2内で隣接する補強用突部48,49が互いに接触しないように形成されている。複数のコンタクト部材40は、夫々上記補強用突部48,49が左右側面に形成されてX方向の幅広部分が設けられる。尚、複数のコンタクト部材40のうち左右両側に配されたコンタクト部材40は、隣接するコンタクト部材40側にのみ補強用突部が設けられる。
【0044】
この補強用突部48,49を有する基端部が下ケース60にインサート成形されることにより挿入部30の挿入側(Yb方向)の剛性がより高められる。
【0045】
これにより、挿入部30の周囲は、上記補強部64〜67、補強部160,170、各コンタクト部材40の補強用突部48,49によって、左右両側(X方向)及び挿入側(Yb方向)の剛性がより一層向上しており、メモリカード用アダプタ10に外力が作用しても小型メモリカード20の変形を防止することができる。
【0046】
ここで、変形例について説明する。図9は変形例1の組立状態を示す透視図である。図10は変形例1の板金部材250を示す斜視図である。図11は図10中のB部を拡大して示す斜視図である。尚、図9乃至図11において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図9に示されるように、変形例1の導電性金属材からなる板金部材250は、プレス加工によりコンタクト部材40、モールド保持部42と共に挿入部30を囲む位置に延在する第3、第4の補強部260,270が形成される。第3、第4の補強部260,270は、コンタクト部材40と同じ導電性金属材により一体的に形成されており、挿入部30の左右両側にY方向に延在するY方向補強部262,272,273と、Y方向補強部262,272,273から挿入部30側にX方向に延在するX方向補強部263,264,274,275と、X方向補強部263,264,274,275に支持されたメモリカード補強部265,266,276,277とを有する。Y方向補強部262,273は、断面形状がL字状に曲げられている。
【0048】
Y方向補強部262,272,273は、下ケース60の壁部120,130の内部にインサート成形されることで下ケース60の曲げ荷重に対するX軸回り方向及びY軸回り方向の曲げ剛性を高めることができる。また、X方向補強部263,264,274,275は、X方向に幅広になっており、下ケース60の壁部120,130にインサート成形されることにより挿入部30の両側のX方向の剛性がより高められる。
【0049】
小型メモリカード20の端子26にコンタクト部材40が接触する部分を補強する補強部266,277は、挿入部30の挿入口付近に配された補強部265,276のY方向の幅寸法よりも幅広に形成されている。これにより、コンタクト部材40の弾性変形による押圧力が小型メモリカード20の端子26に対する接触圧として作用するとき、補強部266,277が小型メモリカード20の両側を保持してコンタクト部材40による接触圧を確保することができる。また、変形例1では、補強部266,277がコンタクト部材40と同じ金属材により形成されているので、上記実施例のような樹脂材によって形成されたものよりも強度が格段に向上している。
【0050】
そして、小型メモリカード20は、端子26を下面側にして挿入部30の内部空間内に挿入されると、左右側面22b,22c,22dの縁部が凹部62の底面110とL字状の補強部265,276との間に挿入され、さらには底面110と補強部266,277との間に挿入される。そのため、小型メモリカード20は、下面22aが凹部62の底面110に摺接し、且つ上面22fの左右縁部が補強部265,266,276,277の内側に摺接する。これにより、小型メモリカード20は、補強部265,266,276,277によって左右側面の縁部の上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)の挿入位置が挿入部30に案内される。
【0051】
メモリカード補強部265,266,276,277は、挿入部30に挿入された小型メモリカード20の左右両側縁部を保持するように断面形状がL字状に形成されており、上ケース50の凹部52を支持する支柱としても機能するように設けられている。これにより、挿入部30において、小型メモリカード20は上下方向(Z方向)のがたつきが無い安定状態に保持され、且つ各コンタクト部材40と各端子26との間での接触圧を確保することができる。
【0052】
さらに、メモリカード用アダプタ10は、小型メモリカード20の左右両側縁部が補強部265,266,276,277に当接して保持されるとともに、補強部265,266,276,277が凹部52,62間の支柱として挿入部30を補強しているので、挿入部30周辺の強度が向上しており、例えば、X軸回りあるいはY軸回りに撓ませるような外力が作用した場合でも、撓みにくい構成になっている。
【0053】
図12は変形例2を示す斜視図である。図12に示されるように、補強部360,370は、板金をプレス加工する際に挿入部30の両側に延在するように形成される。この補強部360,370は、X方向に拡張されたY方向補強部362,372を有する。Y方向補強部362,372には、凹部362a,372aと凸部362b,372bとが交互に連続形成されている。凹部362a,372a及び凸部362b,372bは、夫々Y方向に延在形成されている。
【0054】
Y方向補強部362,372は、X方向に幅広に形成され、下ケース60の壁部120,130にインサート成形されることにより挿入部30の両側のY方向の剛性をより高めることができる。
【0055】
図13は変形例3を示す斜視図である。図13に示されるように、補強部460,470は、板金をプレス加工する際に挿入部30の両側に延在するように形成される。この補強部460,470は、X方向に拡張されたY方向補強部462,472を有する。Y方向補強部362,472は、縁部がL字状に曲げられており、平面部464,474にはリブ466,476がプレス加工されている。
【0056】
リブ466,476は、上面側に突出するようにプレスされており、例えば、対角方向に延在するX字状パターンに形成されている。尚、リブ466,476のプレスパターンは、これ以外のパターン(例えば、H字状パターン、リング状パターンなど)でも良いのは勿論である。
【0057】
Y方向補強部462,472は、X方向に幅広に形成され、下ケース60の壁部120,130にインサート成形されることにより挿入部30の両側のX方向及びY方向の剛性をより高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
小型メモリカード及びメモリカード用アダプタは、上記実施例で例示した形状のものに限らず、通常に使われているメモリカードよりも小さいメモリカードを通常に使われているメモリカードのスロットに挿入する際に使用されるメモリカード用アダプタであれば、本発明を適用することができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明によるメモリカード用アダプタの一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】小型メモリカード20を下方から見た斜視図である。
【図3】上ケース50を下方から見た斜視図である。
【図4】挿入部30に小型メモリカード20が挿入された状態を示す斜視図である。
【図5】挿入部30に小型メモリカード20が挿入された状態を示す縦断面図である。
【図6】複数のコンタクト部材40の基端部が下ケース60にインサート成形された状態を示す透視図である。
【図7】複数のコンタクト部材40を有するコンタクト板金部材150を示す斜視図である。
【図8】図7中のA部を拡大して示す斜視図である。
【図9】変形例1の組立状態を示す透視図である。
【図10】変形例1の板金部材250を示す斜視図である。
【図11】図10中のB部を拡大して示す斜視図である。
【図12】変形例2を示す斜視図である。
【図13】変形例3を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
10 メモリカード用アダプタ
12 樹脂製ケース
20 小型メモリカード
26 端子
30 挿入部
40 コンタクト部材
48,49 補強用突部
50 上ケース
60 下ケース
64,65 第1のメモリカード補強部
66,67 第2のメモリカード補強部
110 底面
120,130 壁部
150 コンタクト板金部材
160,260,360,460 第3の補強部
170,270,370,470 第4の補強部
162,172,262,272,273,362,372,462,472 Y方向補強部
164,174,263,264,274,275 X方向補強部
265,266,276,277 メモリカード補強部
362a,372a 凹部
362b,372b 凸部
464,474 平面部
466,476 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型メモリカードが挿入される挿入部と、該挿入部に挿入された前記小型メモリカードの端子に接触する導電材からなる複数のコンタクト部材と、前記複数のコンタクト部材を保持すると共に前記挿入部を囲むように形成されたケースとを有するメモリカード用アダプタにおいて、
少なくとも前記挿入部の周囲に、外力による変形を防ぐ補強部を設けたことを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記挿入部に挿入されたメモリカードの縁部に沿うように形成されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記メモリカードの縁部の側面及び上面または下面の一部に対向するように横断面形状がL字状に形成されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記挿入部に対する前記メモリカードの挿入位置を案内するガイド部を兼ねることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記挿入部の周囲の複数箇所に配されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記ケースの前記挿入部を画成する壁部に一体成形されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、
前記補強部は、前記コンタクト部材の一部から前記挿入部を囲む位置に延在形成された延在部に形成されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のメモリカード用アダプタであって、
前記複数のコンタクト部材は、一定のピッチで並列に形成され、前記メモリカードの端子に接触することで弾性変形する弾性変形部と、前記弾性変形部の基端に連続形成され、前記ケースにインサート成形されて保持される保持部とを有し、
前記保持部に幅広部分が形成されることを特徴とするメモリカード用アダプタ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−217487(P2009−217487A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59821(P2008−59821)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】