説明

メモリ装置及びコマンド入力方法

【課題】既存の撮像装置を使用して高度な画像処理演算を実現できるメモリ装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラに着脱可能に構成され、フラッシュメモリ130を内蔵するメモリカード100は、デジタルカメラから入力される画像データから、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出し、検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行するコマンド画像処理部160と、コマンド画像処理部160によって発行されるコマンドに応じて、デジタルカメラから入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行う制御演算部(制御部170,画像処理演算部180)とを備え、フラッシュメモリ130は、制御演算部による画像処理演算後の画像データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像により画像データを得る撮像装置に着脱可能に構成され、不揮発性メモリを内蔵するメモリ装置及びコマンド入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置により得られた画像データを記憶するためのメモリ装置として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを内蔵するメモリカードが普及している。
【0003】
メモリカードは、不揮発性メモリに加え、撮像装置からの書き込みコマンド又は読み出しコマンドに応じたメモリ制御を行う制御演算部(コントローラ)を具備するタイプが主流になりつつある。
【0004】
また、撮像装置の画像処理機能の高度化が進んでおり、例えば新たに撮影して得られた画像データと記録済みの画像データとを合成するといった画像処理演算を実現できる撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−259204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像処理演算をメモリカードで実行できるようにすることで、低機能な撮像装置を用いる場合であっても、高度な画像処理演算が可能になると考えられる。
【0007】
しかしながら、画像処理演算をメモリ装置で実行させようとすると、次のような問題がある。具体的には、既存の撮像装置は、画像処理演算に関するコマンドをメモリカードに対して発行する機能を有していない。よって、画像処理演算をメモリ装置で実行させようとすると、画像処理演算に係るコマンドをメモリ装置に対して発行する機能を撮像装置に追加する必要があるため、既存の撮像装置を利用できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、既存の撮像装置を使用して高度な画像処理演算を実現できるメモリ装置及びコマンド入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係るメモリ装置の特徴は、撮像装置(例えばデジタルカメラ10)に着脱可能に構成され、不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ130)を内蔵するメモリ装置(例えばメモリカード100)であって、前記撮像装置から入力される画像データから、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出し、検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行するコマンド画像処理部(コマンド画像処理部160)と、前記コマンド画像処理部によって発行されるコマンドに応じて、前記撮像装置から入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行う制御演算部(制御部170,画像処理演算部180)とを備え、前記制御演算部による画像処理演算後の画像データは、前記不揮発性メモリに記憶されることを要旨とする。
【0010】
このような特徴によれば、画像データを利用してメモリ装置内でコマンドを発行可能にすることで、画像処理演算に関するコマンドをメモリカードに対して発行する機能を有していない撮像装置を使用する場合でも、メモリ装置により高度な画像処理演算を実現できるようになる。
【0011】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記コマンド画像処理部は、画像処理演算の開始又は終了を指示するオン/オフコマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記オン/オフコマンドを発行し、前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記オン/オフコマンドに応じて、画像処理演算を開始又は終了することを要旨とする。
【0012】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの差分による差分画像データの生成を指示する差分画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記差分画像コマンドを発行し、前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記差分画像コマンドに応じて、差分画像データを生成する画像処理演算を行うことを要旨とする。
【0013】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの合成による合成画像データの生成を指示する合成画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記合成画像コマンドを発行し、前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記合成画像コマンドに応じて、合成画像データを生成する画像処理演算を行うことを要旨とする。
【0014】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの連結による連結画像データの生成を指示する連結画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記連結画像コマンドを発行し、前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記連結画像コマンドに応じて、連結画像データを生成する画像処理演算を行うことを要旨とする。
【0015】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記制御演算部は、前記撮像装置から連続して入力される複数の画像データに対して画像処理演算を行うことを要旨とする。
【0016】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記撮像装置から入力される複数の画像データのそれぞれを復号する復号部(復号部140)と、前記復号部によって復号された複数の画像データを一時的に記憶する画像バッファ(画像バッファ150)と、前記制御演算部による画像処理演算後の画像データを符号化する符号化部(符号化部190)とをさらに備え、前記制御演算部は、前記画像バッファに記憶されている複数の画像データに対して画像処理演算を行い、前記不揮発性メモリは、前記符号化部によって符号化された画像処理演算後の画像データを記憶することを要旨とする。
【0017】
本発明に係るメモリ装置の他の特徴は、上記の特徴に係るメモリ装置において、前記コマンド画像処理部は、前記撮像装置から連続して入力される複数の画像データのそれぞれからコマンド画像パターンを検出した場合に、検出したコマンド画像パターン毎のコマンドを組み合わせた一連の画像処理演算を指示するコマンドを発行することを要旨とする。
【0018】
本発明に係るコマンド入力方法の特徴は、撮像により画像データを得る撮像装置を用いて、不揮発性メモリを内蔵するメモリ装置に対するコマンド入力を行うコマンド入力方法であって、前記撮像装置が、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを有するコマンド画像を撮像するステップと、前記撮像装置が、前記撮像するステップで得られた画像データを前記メモリ装置に出力するステップと、前記メモリ装置が、前記撮像装置から入力される画像データから前記コマンド画像パターンを検出するステップと、前記メモリ装置が、前記検出するステップで検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行するステップと、前記メモリ装置が、前記発行するステップで発行されるコマンドに応じて、前記撮像装置から入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行うステップとを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既存の撮像装置を使用して高度な画像処理演算を実現できるメモリ装置及びコマンド入力方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラ及びメモリカードの概要を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に係るメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理演算部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコマンド入力方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理演算部による画像処理演算の具体例を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメモリカードの動作例を示す動作フロー図である。
【図7】本発明の実施形態の変更例に係るコマンド入力方法を説明するための図である。
【図8】その他の実施形態に係るメモリカードの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施形態について、(1)撮像装置及びメモリ装置の概要、(2)メモリ装置の構成、(3)メモリ装置の動作、(4)作用・効果、(5)コマンド入力方法の変更例1、(6)コマンド入力方法の変更例2、(7)演算の具体例、(8)その他の実施形態の順に説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0022】
以下においては、本発明に係る撮像装置としてデジタルカメラを使用し、本発明に係るメモリ装置としてメモリカードを使用する実施形態を説明する。
【0023】
(1)撮像装置及びメモリ装置の概要
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ10及びメモリカード100の概要を説明するための図である。
【0024】
図1に示すように、メモリカード100は、デジタルカメラ10に設けられたメモリカードスロット(不図示)に着脱可能に構成される。デジタルカメラ10は、撮像により画像データを得て、得られた画像データをメモリカード100に出力する。実施形態では、当該画像データは、静止画像データである。
【0025】
(2)メモリ装置の構成
図2は、本実施形態に係るメモリカード100の構成を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、メモリカード100は、ホストインタフェース110、ライトキャッシュ120、フラッシュメモリ130、復号部140、画像バッファ150、コマンド画像処理部160、制御部170、画像処理演算部180、及び符号化部190を有する。
【0027】
ホストインタフェース110は、デジタルカメラ10のメモリカードスロットに設けられたインタフェースと電気的に接続され、コマンドや画像データを入出力する。
【0028】
ライトキャッシュ120は、デジタルカメラ10からホストインタフェース110を介して入力される画像データを一時的に記憶し、当該画像データをフラッシュメモリ130に出力する。
【0029】
フラッシュメモリ130は、ライトキャッシュ120から入力される画像データを記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ130は、制御部170からの制御に応じて、記憶している画像データをホストインタフェース110を介してデジタルカメラ10に出力する。
【0030】
復号部140は、ライトキャッシュ120から入力される画像データ、及び/又は、ライトキャッシュ120から入力される画像データを復号し、復号した画像データを画像バッファ150に出力する。ここで、復号部140に入力される画像データは、例えばJPEG等の静止画圧縮符号化方式を使用して符号化されているため、復号部140は当該画像データを復号することで画像処理演算が可能な形式に変換する。
【0031】
画像バッファ150は、復号部140から入力される画像データを一時的に記憶する揮発性メモリであり、当該画像データをコマンド画像処理部160及び画像処理演算部180に出力する。
【0032】
コマンド画像処理部160は、画像バッファ150から入力される画像データから、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出し、検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行し、発行したコマンドを制御部170に出力する。コマンド画像パターンは、例えば機械読み取り可能なバーコード又は2次元コードである。ただし、コマンド画像処理部160に高度な画像認識機能を設けることで、他の形式のコマンド画像パターンも適用可能である。
【0033】
コマンド画像処理部160は、画像処理演算の開始又は終了を指示するオン/オフコマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、オン/オフコマンドを発行する。
【0034】
制御部170は、デジタルカメラ10からホストインタフェース110を介して入力される書き込みコマンド又は読み出しコマンドに応じてフラッシュメモリ130に対するメモリ制御を行う。また、制御部170は、コマンド画像処理部160から入力されたコマンドに応じて画像処理演算部180を制御する。
【0035】
制御部170は、コマンド画像処理部160によって発行されるオン/オフコマンドに応じて、画像処理演算を開始又は終了するよう画像処理演算部180を制御する。
【0036】
画像処理演算部180は、制御部170からの制御に応じて、画像バッファ150から入力される画像データに対して画像処理演算を行い、画像処理演算後の画像データを画像バッファ150に出力する。画像処理演算部180の構成の具体例については後述する。本実施形態において制御部170及び画像処理演算部180は、制御演算部を構成する。
【0037】
画像バッファ150は、復号部140から入力される画像データを一時的に記憶し、当該画像データを符号化部190に出力する。
【0038】
符号化部190は、画像バッファ150から入力される画像データを符号化し、符号化した画像データをフラッシュメモリ130に出力する。符号化部190は、例えばJPEG等の静止画圧縮符号化方式を使用した符号化を行う。
【0039】
フラッシュメモリ130は、符号化部190から入力される画像データを記憶する。
【0040】
次に、画像処理演算部180の構成例を説明する。図3は、画像処理演算部180の構成例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、画像処理演算部180は、現画像データが入力されるレジスタ181と、1つ前の画像データが入力されるレジスタ182と、予め格納された各種の色データを出力するメモリ183と、レジスタ181、レジスタ182、及びメモリ183のそれぞれの出力が入力されるセレクタ184と、セレクタ184の出力が入力される演算器185と、演算器185の出力が入力される相関検出部186と、演算器185の出力が入力されるスタックバッファ187とを有する。相関検出部186の出力は制御部170に入力される。
【0042】
レジスタ181は、現画像データを一時的に記憶してセレクタ184に出力する。レジスタ182は、1つ前の画像データを一時的に記憶してセレクタ184に出力する。メモリ183は、予め格納された各種の色データをセレクタ184に出力する。
【0043】
セレクタ184は、制御部170からの制御に応じて、レジスタ181の出力、レジスタ182の出力、メモリ183の複数の出力のうち1つ又は2つを選択して演算器185に出力する。メモリ183の複数の出力は、複数の色データに対応する。
【0044】
演算器185は、制御部170からの制御に応じて、セレクタ184の出力に対して演算(加算、減算、乗算、除算、相関演算)を行う。演算器185による演算結果は、制御部170からの制御に応じて、画像バッファ150又はスタックバッファ187に入力される。
【0045】
相関検出部186は、制御部170からの制御に応じて、演算器185による相関演算の結果に基づき2つの画像データ間での相関を検出する。相関の検出結果は、制御部170に入力される。
【0046】
スタックバッファ187は、先入れ後だし(First In Last Out)バッファであり、制御部170からの制御に応じて、演算器185による演算結果を演算部180と入出力する。
【0047】
(3)メモリ装置の動作
次に、本実施形態に係るメモリカード100の動作について、(3.1)コマンド入力方法、(3.2)画像処理演算の具体例、(3.3)動作フローの順に説明する。
【0048】
(3.1)コマンド入力方法
上述したように、デジタルカメラ10は、画像処理演算に関するコマンドをメモリカード100に対して発行する機能を有していない。よって、図4に示すような方法で、デジタルカメラ10を用いてメモリカード100に対するコマンド入力を行う。
【0049】
図4は、本実施形態に係るコマンド入力方法を説明するための図である。
【0050】
図4に示すように、第1のステップとして、デジタルカメラ10が、コマンド画像パターンを有するコマンド画像CPを撮像する。コマンド画像CPはコマンドカードCC上に描かれており、コマンドカードCCは、コマンド画像CPがどのようなコマンドと対応付けられているかを示す文字(図4では「合成」)が描かれていてもよい。
【0051】
第2のステップとして、デジタルカメラ10が、第1のステップで得られた画像データをメモリカード100に出力する。すなわち、コマンド画像CPに対応する画像データは、通常の画像データと同様に、メモリカード100に出力される。
【0052】
第3のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、デジタルカメラ10から入力される画像データからコマンド画像パターンを検出する。
【0053】
第4のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、第3のステップで検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行する。
【0054】
第5のステップとして、メモリカード100の画像処理演算部180が、第4のステップで発行されるコマンドに応じて、デジタルカメラ10から入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行う。
【0055】
(3.2)画像処理演算の具体例
画像処理演算部180は、コマンドに応じた画像処理演算を行うように制御部170によって制御される。
【0056】
図5は、画像処理演算部180による画像処理演算の具体例を説明するための図である。
【0057】
図5(a)は、差分画像データを生成する画像処理演算を示す。コマンド画像処理部160は、2つの画像データの差分による差分画像データの生成を指示する差分画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、差分画像コマンドを発行する。制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される差分画像コマンドに応じて、差分画像データを生成する画像処理演算を行う。
【0058】
具体的には、図5(a)に示すように、差分画像データを生成する画像処理演算では、画像処理演算部180は、前回得られた画像データP#1と、今回得られた画像データP#2との差分を演算し、当該差分の部分を着色した画像からなる差分画像データP#3を生成する。
【0059】
図5(b)は、合成画像データを生成する画像処理演算を示す図である。コマンド画像処理部160は、2つの画像データの合成による合成画像データの生成を指示する合成画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、合成画像コマンドを発行する。制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される合成画像コマンドに応じて、合成画像データを生成する画像処理演算を行う。
【0060】
具体的には、図5(b)に示すように、合成画像データを生成する画像処理演算では、画像処理演算部180は、前回得られた画像データP#1と、今回得られた画像データP#2との差分を演算し、当該差分の部分を前回得られた画像データP#1に合成した画像からなる差分画像データP#3を生成する。ただし、このような画像処理に限らず、前回得られた画像データP#1と、今回得られた画像データP#2との差分を演算し、当該差分の部分を今回得られた画像データP#2に合成した画像からなる差分画像データP#3を生成してもよい。
【0061】
あるいは、画像処理演算部180は、前回得られた画像データP#1と今回得られた画像データP#2とを単に合成することによって、多重露光と同様の画像処理を行ってもよい。
【0062】
図5(c)は、連結画像データを生成する画像処理演算を示す図である。コマンド画像処理部160は、2つの画像データの連結による連結画像データの生成を指示する連結画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、連結画像コマンドを発行する。制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される連結画像コマンドに応じて、連結画像データを生成する画像処理演算を行う。
【0063】
具体的には、図5(c)に示すように、連結画像データを生成する画像処理演算では、画像処理演算部180は、前回得られた画像データP#1と、今回得られた画像データP#2とのそれぞれの端部について、相関の高い部分を検出して連結し、1枚の画像からなる連結画像データP#3を生成する。
【0064】
(3.3)動作フロー
図6は、本実施形態に係るメモリカード100の動作例を示す動作フロー図である。
【0065】
ステップS101において、復号部140は、ライトキャッシュ120から入力される画像データ#1を復号し、復号した画像データ#1を画像バッファ150に出力する。
【0066】
ステップS102において、画像バッファ150は、復号部140から入力される画像データ#1を一時的に記憶する。
【0067】
ステップS103において、制御部170は、画像バッファ150内の画像データ#1からコマンド画像処理部160がコマンド画像パターンを検出したか否かを確認する。
【0068】
画像バッファ150内の画像データ#1からコマンド画像パターンが検出されない場合には、ステップS110において、制御部170は、ライトキャッシュ120内の画像データ#1をフラッシュメモリ130に記憶するよう制御する。
【0069】
一方、画像バッファ150内の画像データ#1からコマンド画像パターンが検出された場合、ステップS104において、コマンド画像処理部160は、検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行し、発行したコマンドを制御部170に出力する。
【0070】
ここで、画像データ#2及び#3がメモリカード100に入力され、ライトキャッシュ120は、画像データ#2及び#3を一時的に記憶する。
【0071】
ステップS105において、復号部140は、ライトキャッシュ120から入力される画像データ#2及び#3を復号し、復号した画像データ#2及び#3を画像バッファ150に出力する。
【0072】
ステップS106において、制御部170は、ライトキャッシュ120内の画像データ#2及び#3をフラッシュメモリ130に記憶するよう制御する。
【0073】
ステップS107において、画像処理演算部180は、制御部170からの制御に応じて、画像バッファ150から入力される画像データ#2及び#3に対して画像処理演算を行い、画像処理後の画像データ#4を生成する。画像バッファ150は、復号部140から入力される画像データ#4を一時的に記憶し、当該画像データ#4を符号化部190に出力する。
【0074】
ステップS108において、符号化部190は、画像バッファ150から入力される画像データ#4を符号化し、符号化した画像データ#4をフラッシュメモリ130に出力する。
【0075】
ステップS109において、フラッシュメモリ130は、符号化部190から入力される画像データ#4を記憶する。
【0076】
(4)作用・効果
以上説明したように、画像データを利用してメモリカード100内でコマンドを発行可能にすることで、画像処理演算に関するコマンドをメモリカードに対して発行する機能を有していないデジタルカメラ10を使用する場合でも、メモリカード100により高度な画像処理演算を実現できるようになる。
【0077】
本実施形態では、制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行されるオン/オフコマンドに応じて、画像処理演算を開始又は終了する。これにより、メモリカード100による画像処理演算をユーザが望む場合に限り画像処理演算を行うことができ、通常のメモリカードとしての使用法と、画像処理演算を行うメモリカードとしての使用法とを切り替えることができる。
【0078】
本実施形態では、制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される差分画像コマンドに応じて、差分画像データを生成する画像処理演算を行う。これにより、ユーザは差分を撮影時に確認できるため、コマ撮りによるアニメーション等を容易に作成することができる。
【0079】
本実施形態では、制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される合成画像コマンドに応じて、合成画像データを生成する画像処理演算を行う。これにより、例えば多重露光のような画像処理を行うことができる。
【0080】
あるいは、被写体とデジタルカメラ10との間に自動車の交通が存在するような場合に、被写体を何回か撮影することで、自動車を演算で切り抜き、被写体だけの画像を得ることができる。
【0081】
さらに、手ぶれによってピントが甘くなった画像についても加算手ぶれ補正によって手ぶれの影響を除去し得る。
【0082】
本実施形態では、制御部170及び画像処理演算部180は、コマンド画像処理部160によって発行される連結画像コマンドに応じて、連結画像データを生成する画像処理演算を行う。これにより、2枚の画像の連結位置を自動で合わせてパノラマ撮影を行うことができる。
【0083】
本実施形態では、制御部170及び画像処理演算部180は、デジタルカメラ10から連続して入力される2つの画像データに対して画像処理演算を行う。フラッシュメモリ130に記憶されている画像データの中から画像処理演算対象の画像データを選択する場合には、画像データ選択用のコマンドが必要になる。一方、時間的に連続する画像データを画像処理演算対象とすることで、画像処理演算対象の画像データをユーザが選択する必要が無くなり、画像データ選択用のコマンドを不要にすることができる。
【0084】
本実施形態では、メモリカード100は、デジタルカメラ10から入力される2つの画像データのそれぞれを復号する復号部140と、復号された2つの画像データを一時的に記憶する画像バッファ150と、画像処理演算後の画像データを符号化する符号化部190とを備え、画像処理演算部180は、画像バッファに記憶されている2つの画像データに対して画像処理演算を行い、フラッシュメモリ130は、符号化部によって符号化された画像処理演算後の画像データを記憶する。
【0085】
これにより、JPEG等の静止画圧縮符号化方式を使用して符号化された画像データに対しても画像処理演算が可能になるとともに、画像処理演算後の画像データについては符号化されてデータ量が少なくなった状態でフラッシュメモリ130に記憶させることができる。
【0086】
(5)コマンド入力方法の変更例1
本変更例では、コマンド入力方法の変更例1について説明する。図7は、本変更例に係るコマンド入力方法を説明するための図である。
【0087】
図7に示すように、第1のステップとして、デジタルカメラ10が、複数のコマンド画像CP#1〜#5を連続して撮像する。具体的には、コマンド画像CP#1、CP#2、CP#3、CP#4、CP#5の順に撮像する。コマンド画像CP#1〜#5のそれぞれは、個別のコマンドカードCC上に描かれており、各コマンドカードCCはコマンドパネルP上に並べられている。
【0088】
例えば、コマンド画像CP#1は「前の画像」を意味するコマンド画像パターンを有し、コマンド画像CP#2は「足す」を意味するコマンド画像パターンを有し、コマンド画像CP#3は「次の画像」を意味するコマンド画像パターンを有し、コマンド画像CP#4は「掛ける」を意味するコマンド画像パターンを有し、コマンド画像CP#5は「10」を意味するコマンド画像パターンを有する。
【0089】
第2のステップとして、デジタルカメラ10が、第1のステップで得られた各画像データをメモリカード100に出力する。すなわち、コマンド画像CPに対応する各画像データは、通常の画像データと同様に、メモリカード100に出力される。
【0090】
第3のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、デジタルカメラ10から入力される各画像データからコマンド画像パターンを検出する。ここでは、「前の画像」を意味するコマンド画像パターン、「足す」を意味するコマンド画像パターン、「次の画像」を意味するコマンド画像パターン、「掛ける」を意味するコマンド画像パターン、「10」を意味するコマンド画像パターンの順に検出される。
【0091】
第4のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、第3のステップで検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行する。コマンド画像処理部160は、コマンド画像パターンを連続して検出すると、それらのコマンドを組み合わせた一連の画像処理演算を指示するコマンドを発行する。ここでは、コマンド画像処理部160は、「前の画像と次の画像を足したものを10倍に引き延ばす」というコマンドを発行する。
【0092】
第5のステップとして、メモリカード100の画像処理演算部180が、第4のステップで発行されるコマンドに応じて、デジタルカメラ10から入力される2つの画像データに対して画像処理演算を行う。
【0093】
(6)コマンド入力方法の変更例2
引き続き図8を用いて、コマンド入力方法の変更例2について説明する。上述した変更例1では、デジタルカメラ10が複数のコマンド画像を1つずつ撮像していたが、本変更例では、デジタルカメラ10が複数のコマンド画像をまとめて1回で撮像するケースを説明する。図8は、本変更例に係るコマンド入力方法を説明するための図である。
【0094】
図8に示すように、第1のステップとして、デジタルカメラ10が、複数のコマンド画像CP#1〜#5をまとめて撮像する。コマンド画像CP#1〜#5のそれぞれは、個別のコマンドカードCC上に描かれており、各コマンドカードCCはコマンドパネルP上に並べられている。
【0095】
第2のステップとして、デジタルカメラ10が、第1のステップで得られた画像データをメモリカード100に出力する。
【0096】
第3のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、デジタルカメラ10から入力される画像データから各コマンド画像パターンを検出する。
【0097】
第4のステップとして、メモリカード100のコマンド画像処理部160が、第3のステップで検出した各コマンド画像パターンと対応するコマンドを発行する。
【0098】
第5のステップとして、メモリカード100の画像処理演算部180が、第4のステップで発行されるコマンドに応じて、デジタルカメラ10から入力される2つの画像データに対して画像処理演算を行う。
【0099】
(7)演算の具体例
ここでは、変更例1及び変更例2に係る演算において使用されるコマンド画像の具体例を説明する。
【0100】
まず、2つの画像データ間で違っている部分を抽出する演算処理を説明する。この演算処理は、現在の画像と一つ前に撮影した画像の差を赤色で表示するものであり、数式では、「二値化(現在の撮影画像 - 一つ前に撮影した画像 , 20%)*赤色100%」で表現される。このような演算処理を行う際には、以下の内容のコマンドに対応する各コマンド画像が使用される。
【0101】
・[演算の閾値の設定:20%]
・[演算対象:一つ前に撮影した画像]
・[飽和演算:引く]
・[二値化]
・[演算対象:赤]
・[飽和演算:かける]
・[終了]
次に、背景を合成する演算処理を説明する。このような演算処理を行う際には、以下の内容のコマンドに対応する各コマンド画像が使用される。
【0102】
・[演算の閾値の設定:1%]
・[演算対象:一つ前に撮影した画像]
・[飽和演算:引く]
・[二値化]
・[演算対象:100%白]
・[飽和演算:掛ける]
・[演算をスタックバッファに置く]//切り抜きマスク
・[論理演算:NOT]//反転して、背景切抜きマスク
・[演算対象:一つ前に撮影した画像]
・[掛ける]
・[演算対象:現在の撮影画像]
・[演算:掛ける] //この時点で、相違部分だけが絵として切り抜かれる
(8)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0103】
上述した実施形態では、画像処理演算部180は、2つの画像データを差分、合成、又は連結する一例を説明したが、1つの画像データに対する画像処理演算を行ってもよい。
【0104】
上述した実施形態では、画像処理演算部180は、静止画像データに対する画像処理演算を行っていたが、動止画像データに対する画像処理演算を行ってもよい。図8は、その他の実施形態に係るメモリカード100の構成を示すブロック図である。図8に示すメモリカード100は、ホストインタフェース110、ライトキャッシュ120、フラッシュメモリ130、復号部140、画像バッファ150、コマンド画像処理部160、制御部170、画像処理演算部180、及び符号化部190を有する点で、実施形態と同様の構成であるが、画像処理演算部180の出力が制御部170に入力される点、及び制御部170の出力が復号部140に入力される点で実施形態とは異なる。動画像データに対する画像処理演算を行うには、画像処理演算の対象となる2つの動画像データの同期をとるために、各動画像データで画像が一致する時点を特定することが好ましい。よって、制御部170は、画像処理演算の対象となる2つの動画像データの何れか一方を固定しつつ、他方をコマ送り又はコマ戻ししながら復号する。そして、画像処理演算部180は、各動画像データが一致したタイミングでその旨を制御部170に通知する。これにより、各動画像データで画像が一致する時点を特定することができる。このようにして一致する時点が特定されると、その時点から各動画像データの画像処理演算を行えばよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、メモリ装置の一例としてのメモリカードを説明したが、メモリカードに限らず、例えばカートリッジ式HDD又はカートリッジ式SSD等を本発明に係るメモリ装置としてもよい。
【0106】
さらに、上述した実施形態では、撮像装置の一例としてのデジタルカメラを説明したが、デジタルカメラに限らず、例えばカメラ搭載型の携帯電話端末等を本発明に係る撮像装置としてもよい。
【0107】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0108】
10…デジタルカメラ、100…メモリカード、110…ホストインタフェース、120…ライトキャッシュ、130…フラッシュメモリ、140…復号部、150…画像バッファ、160…コマンド画像処理部、170…制御部、180…画像処理演算部、190…符号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像により画像データを得る撮像装置に着脱可能に構成され、不揮発性メモリを内蔵するメモリ装置であって、
前記撮像装置から入力される画像データから、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出し、検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行するコマンド画像処理部と、
前記コマンド画像処理部によって発行されるコマンドに応じて、前記撮像装置から入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行う制御演算部とを備え、
前記制御演算部による画像処理演算後の画像データは、前記不揮発性メモリに記憶されることを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
前記コマンド画像処理部は、画像処理演算の開始又は終了を指示するオン/オフコマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記オン/オフコマンドを発行し、
前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記オン/オフコマンドに応じて、画像処理演算を開始又は終了することを特徴とする請求項1に記載のメモリ装置。
【請求項3】
前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの差分による差分画像データの生成を指示する差分画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記差分画像コマンドを発行し、
前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記差分画像コマンドに応じて、差分画像データを生成する画像処理演算を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のメモリ装置。
【請求項4】
前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの合成による合成画像データの生成を指示する合成画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記合成画像コマンドを発行し、
前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記合成画像コマンドに応じて、合成画像データを生成する画像処理演算を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のメモリ装置。
【請求項5】
前記コマンド画像処理部は、複数の画像データの連結による連結画像データの生成を指示する連結画像コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを検出した場合に、前記連結画像コマンドを発行し、
前記制御演算部は、前記コマンド画像処理部によって発行される前記連結画像コマンドに応じて、連結画像データを生成する画像処理演算を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のメモリ装置。
【請求項6】
前記制御演算部は、前記撮像装置から連続して入力される複数の画像データに対して画像処理演算を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のメモリ装置。
【請求項7】
前記撮像装置から入力される複数の画像データのそれぞれを復号する復号部と、
前記復号部によって復号された複数の画像データを一時的に記憶する画像バッファと、
前記制御演算部による画像処理演算後の画像データを符号化する符号化部とをさらに備え、
前記制御演算部は、前記画像バッファに記憶されている複数の画像データに対して画像処理演算を行い、
前記不揮発性メモリは、前記符号化部によって符号化された画像処理演算後の画像データを記憶することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のメモリ装置。
【請求項8】
前記コマンド画像処理部は、前記撮像装置から連続して入力される複数の画像データのそれぞれからコマンド画像パターンを検出した場合に、検出したコマンド画像パターン毎のコマンドを組み合わせた一連の画像処理演算を指示するコマンドを発行することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のメモリ装置。
【請求項9】
撮像により画像データを得る撮像装置を用いて、不揮発性メモリを内蔵するメモリ装置に対するコマンド入力を行うコマンド入力方法であって、
前記撮像装置が、コマンドと対応付けられたコマンド画像パターンを有するコマンド画像を撮像するステップと、
前記撮像装置が、前記撮像するステップで得られた画像データを前記メモリ装置に出力するステップと、
前記メモリ装置が、前記撮像装置から入力される画像データから前記コマンド画像パターンを検出するステップと、
前記メモリ装置が、前記検出するステップで検出したコマンド画像パターンと対応するコマンドを発行するステップと、
前記メモリ装置が、前記発行するステップで発行されるコマンドに応じて、前記撮像装置から入力される1又は複数の画像データに対して画像処理演算を行うステップと
を有することを特徴とするコマンド入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−39222(P2012−39222A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175283(P2010−175283)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】