説明

メータユニットの取付構造

【課題】組み付け性・取り外し性を向上させながらコンパクトで丈夫なメータユニットの取付構造を提供する。
【解決手段】メータユニット1がインストルメントパネル2に取外し可能に取付けられるメータユニット1の取付構造であって、インストルメントパネル2には、互いの開口中心線X,Yが交差する方向に挿入孔24と係止孔25とが開口され、メータユニット1には、挿入孔24内に挿入されて回動可能に支持される挿入部4と、係止孔25内に挿入されて係止される係止部5とが突設される。挿入孔24内に挿入された挿入部4を回転中心としてメータユニット1をインストルメントパネル2側へ回動することにより、係止部5が係止孔25内に挿入されて係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のインストルメントパネルに搭載されるメータユニットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストルメントパネルにメータユニットを取付ける際には、連通させたメータユニットのねじ孔とパネルの取付孔にメータユニット側からボルトやスクリューねじをねじ込んで、メータユニットをインストルメントパネルに取付けていた。
この様な構成のメータユニットの取付構造によれば、メータユニットをインストルメントパネルに着脱する際には、複数のねじ孔(取付孔)内のボルトやスクリューねじを回す必要があり、部品点数が増加すると共に作業性が悪化し、製造コストの増加を招くという問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1等には、メータユニットの下端の両側付近に備えられ、横方向に延びる軸部を有する二つの第一の取付部が、インストルメントパネルの下縁側に設けられた二つの第一の固定部に回動自在に取付けられると共に、メータユニットの上端の中央付近に備えられた第二の取付部(ネジ孔)が、インストルメントパネルの第二の固定部(取付孔)に螺着されるメータユニットの固定構造が提案されている。
このようなメータユニットの固定構造によれば、簡単な構成により部品点数が少なくて済み、部品コスト及び組立コストが低減されると共に、メータユニットのインストルメントパネルに対する取付精度と建付けを向上させることができる。
【0004】
また、特許文献2等には、インストルメントパネルの孔内に通されて該孔内に係止する爪部を備えた計器ユニット(メータユニット)が提案されている。
図11に示すように、上記特許文献2等に開示された計器ユニット101は、インストルメントパネル102に取り外し可能に取付けられる車両用コンビネーションメータである。
インストルメントパネル102は、合成樹脂等で構成されている。インストルメントパネル102は、自動車の車体等に固定される。インストルメントパネル102は、立壁部121と、立壁部121から立設した一対の側壁部122とを備えている。計器ユニット101は、立壁部121と側壁部122とによって形成される凹部123内に位置付けられる。立壁部121は、孔124a、124bを複数備えている。
【0005】
計器ユニット101は、スピードメータやタコメータ等の表示計器(図示せず)を収容するケース103と、表示計器の表示部分115a,115b以外を乗員に対して遮蔽する見返し部材113と、計器ユニット101内へ埃等が侵入するのを防止する透明カバー(図示せず)等を備えている。
ケース103は、硬質の合成樹脂等で構成されており、表ケース131と、裏ケース132とを備えている。ケース103の上側には、第1の爪部104が2つ設けられている。第1の爪部104は、枠部141と、弾性アーム142と、係止突起143と、係止解除部106とを備えており、インストルメントパネル102の孔124a内に通されてこの孔124a内に係止する。
【0006】
また、ケース103の下側には、第2の爪部105が2つ設けられている。第2の爪部105も、第1の爪部104と同様に、枠部と、弾性アームと、係止突起とを備えており、インストルメントパネル102の孔124b内に通されてこの孔124b内に係止する。
そして、上記計器ユニット101をインストルメントパネル102に取り付ける際には、まず、計器ユニット101の裏面とインストルメントパネル102とを相対させ、これらを互いに近づけていく。そして、ケース103下側の第2の爪部105をインストルメントパネル102の孔124b内に第2の爪部105を挿入(圧入)して係止させる。次いで、ケース103上側の第1の爪部104をインストルメントパネル102の孔124a内に第1の爪部104を挿入(圧入)して係止させる。
【0007】
一方、計器ユニット101をインストルメントパネル102から取り外す際には、まず、係止解除部106を操作しながら第1の爪部104のインストルメントパネル102の孔124a内への係止を解除する。次いで、計器ユニット101の下側を引っ張り、第2の爪部105のインストルメントパネル102の孔124b内への係止を解除して、計器ユニット101を取り外す。
このような計器ユニット101によれば、互いの開口中心線が略平行な方向に開口されたインストルメントパネル102の孔124a,124b内に通されてこれら孔124a,124b内に係止する第1及び第2の爪部104,105を備えているので、計器ユニット101をボルトやスクリューねじ等によって固定する必要がない。したがって、取り付け時の作業工程数を減少させて作業性を向上させ、計器ユニット101を簡単にインストルメントパネル102に取り付けることができる。また、部品数を減少させてコストを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−175904
【特許文献2】特開2009−258049
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1等のメータユニットのように上側の固定にネジを使用している固定構造の場合、メータユニットの下端をインストルメントパネルに回動自在に取付ける為にメータユニットに設けられた第一の取付部の軸部や、インストルメントパネルに設けられた第1の固定部の係止部及び係合部が、破損し易いという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献2等の計器ユニット101の場合、インストルメントパネル102の孔124a,124b内に係止する第1及び第2の爪部104,105は、取付強度を保つと共にがたつくのを防止するため孔124a,124b内に圧入される。
そこで、インストルメントパネル102に対する計器ユニット101の組み付け・取り外しには大きな操作力を必要とし、組み付け性・取り外し性の改善が求められていた。また、これら第1及び第2の爪部104,105の乗員側には、計器ユニット101をインストルメントパネル102に取付ける際に作業者の手指を押し当てたり、計器ユニット101をインストルメントパネル102から取り外す際に作業者の手指を引っ掛けたりするための座部107,138aを設ける必要があり、爪部近傍が大型化するという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み付け性・取り外し性を向上させながらコンパクトで丈夫なメータユニットの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係るメータユニットの取付構造は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) メータユニットがインストルメントパネルに取外し可能に取付けられるメータユニットの取付構造であって、
前記インストルメントパネルには、互いの開口中心線が交差する方向に挿入孔と係止孔とが開口され、
前記メータユニットには、前記挿入孔内に挿入されて回動可能に支持される挿入部と、前記係止孔内に挿入されて係止される係止部とが突設され、
前記挿入孔内に挿入された前記挿入部を回転中心として前記メータユニットをインストルメントパネル側へ回動することにより、前記係止部が前記係止孔内に挿入されて係止されること。
(2) 上記(1)の構成のメータユニットの取付構造において、前記挿入部が前記メータユニットの下側に配置され、前記係止部が前記メータユニットの上側に配置されること。
(3) 上記(1)又は(2)の構成のメータユニットの取付構造において、前記挿入部は、前記挿入孔内に挿入された時に前記挿入孔の縁部と当接して挿入位置を規制すると共に、前記メータユニットを回動させる際の回転中心となる規制部を備えること。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか一つの構成のメータユニットの取付構造において、前記挿入部は、前記メータユニットが回動されて前記係止部が前記係止孔内に係止されたとき、前記挿入孔の対向する縁部をそれぞれ表裏面方向から押圧付勢可能な一対の引掛け部を備えること。
(5) 上記(1)〜(4)の何れか一つの構成のメータユニットの取付構造において、前記挿入孔近傍のインストルメントパネルには、前記挿入部を前記挿入孔に摺動案内する為のガイド部が設けられること。
【0013】
上記(1)の構成のメータユニットの取付構造によれば、メータユニットの挿入部をインストルメントパネルの挿入孔に挿入した後、該挿入部を回転中心としてメータユニットをインストルメントパネル側へ回動することにより、挿入孔の開口中心線に対して開口中心線が交差するインストルメントパネルの係止孔にメータユニットの係止部が挿入されて係止される。そこで、メータユニットの挿入部は、メータユニットの係止部がインストルメントパネルの係止孔に係止されることによって、挿入孔の開口中心線方向に沿った移動が阻止される。即ち、メータユニットの挿入部は、メータユニットとインストルメントパネルとが互いに接離する方向に対し交差して配置され、かつ挿入孔の縁部に当接することによって、上記接離する方向への移動が阻止される構成とされている。
従って、メータユニットの係止部が係止孔に係止されていない状態でメータユニットの挿入部を挿入孔に係脱させる際には、大きな操作力を必要としない。そこで、作業者の手指を引っ掛けたりするための座部等を設ける必要がなく、挿入部近傍が大型化しない。また、メータユニットの挿入部を挿入孔に位置合わせ挿入後、メータユニットを回動しながら係止部の位置合わせをできるので、メータユニットの組付け作業性が向上する。更に、メータユニットの挿入部は、インストルメントパネルの挿入孔に挿入するだけの単純な形状で良いので、容易に剛性の高い形状とすることができる。
上記(2)の構成のメータユニットの取付構造によれば、メータユニットの下側に配置された挿入部がメータユニットの重量を支持しながらメータユニットの上側を回動することができ、メータユニットの組み付け性・取り外し性を更に向上させることができる。
上記(3)の構成のメータユニットの取付構造によれば、挿入部が挿入孔内に挿入された時に規制部が挿入孔の縁部と当接して挿入部の挿入位置を規制すると共に、該規制部がメータユニットを回動させる際の回転中心となるので、メータユニットを安定的に回動することができる。
上記(4)の構成のメータユニットの取付構造によれば、メータユニットが回動されて係止部がインストルメントパネルの係止孔内に係止された際には、挿入部に設けた一対の引掛け部が挿入孔の対向する縁部をそれぞれ表裏面方向から押圧付勢するので、挿入孔に対する挿入部のがたつきが抑制される。
上記(5)の構成のメータユニットの取付構造によれば、ガイド部によりメータユニットの挿入部が挿入孔に摺動案内されるので、挿入部を挿入孔に位置合わせ挿入する際の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、組み付け性・取り外し性を向上させながらコンパクトで丈夫なメータユニットの取付構造を提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかるメータユニットとインストルメントパネルとを示す斜視図である。
【図2】図1に示したメータユニットの背面側からの斜視図である。
【図3】図1に示したメータユニットとインストルメントパネルの組付け前状態を示す縦断面図である。
【図4】図3に示した挿入部と挿入孔の要部拡大斜視図である。
【図5】図3に示した挿入部を挿入孔に挿入する手順を説明するための要部拡大断面図である。
【図6】図3に示した挿入部を挿入孔に挿入する手順を説明するための要部拡大断面図である。
【図7】図3に示した係止部と係止孔の要部拡大斜視図である。
【図8】図3に示したメータユニットの挿入部をインストルメントパネルの挿入孔に挿入した状態を示す縦断面図である。
【図9】図3に示したメータユニットとインストルメントパネルの組付け完了状態を示す縦断面図である。
【図10】(a)は図9に示した係止部の要部拡大断面図であり、(b)は図9に示した挿入部の要部拡大断面図である。
【図11】従来の計器ユニットの取付構造を説明するための前面側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るメータユニットの取付構造を詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、本発明の一実施形態に係るメータユニット1は、自動車に搭載されて、乗員に対して車両の状況を表示する車両用コンビネーションメータである。本実施形態において、メータユニット1は、インストルメントパネル2に取外し可能に取付けられる
【0018】
インストルメントパネル2は、例えば合成樹脂等で構成されている。インストルメントパネル2は、図1に示すように、立壁部21と、立壁部21から立設した一対の側壁部22とを備えている。メータユニット1は、立壁部21と側壁部22とによって形成される凹部23内に位置付けられる。立壁部21には、互いの開口中心線X,Yが交差する方向に挿入孔24と係止孔25とが複数開口されている(図3参照)。
【0019】
係止孔25は、メータユニット1とインストルメントパネル2とが互いに接離する(近づいたり離れたりする)方向Aに沿って開口中心線Yが延びるように形成された略矩形状の開口である。一方、挿入孔24は、係止孔25の開口中心線Yと交差する上下方向に開口中心線Xが延びるように形成された略矩形状の開口である。本実施形態では、挿入孔24と係止孔25とは、それぞれ2つずつ設けられている。挿入孔24はメータユニット1の後述する挿入部4を内部に通し、係止孔25は、係止部5を内部に通す。
【0020】
更に、挿入孔24近傍のインストルメントパネル2上面には、挿入部4を挿入孔24に摺動案内する為のガイド部27が設けられる(図4参照)。ガイド部27は、前記接離する方向Aに沿って挿入孔24から乗員側に延びるガイド面27aと、このガイド面27aの両側に突設された一対のガイドリブ27bとを備える。
【0021】
メータユニット1は、図1に示すように、スピードメータやタコメータ等の表示計器(図示せず)を収容するケース3と、表示計器の表示部分以外を乗員に対して遮蔽する見返し部材13と、メータユニット1内へ埃等が侵入するのを防止する透明カバー15等を備えている。
【0022】
ケース3は、図2に示すように、硬質の合成樹脂等で構成された表ケース31と、裏ケース32とを備えている。
表ケース31は、平板部とこの平板部の周縁から立設した周壁部34とを備え、乗員から離れる方向に開口した箱状に形成されている。平板部の乗員と相対する外表面には、図示しない表示計器の目盛板が取付けられる。周壁部34には、表ケース31の外方向に突出し、後述する挿入部4及び係止部5がそれぞれ連なる台部37,38から複数設けられている。
【0023】
裏ケース32は、平板部35と、平板部35の周縁から立設した周壁部36とを備え、乗員と相対する方向に開口した箱状に形成されている。裏ケース32の周壁部36が表ケース31の周壁部34に取付けられて、ケース3が組み立てられる。ケース3は、内部にプリント配線板(図示せず)を収容する。プリント配線板には、表示計器のムーブメント、目盛板や指針用の光源としてのLEDや、これらムーブメント及びLED等の動作を制御するためのマイコン等の電子部品等が実装されている。
【0024】
見返し部材13は、図1に示すように、表ケース31の乗員と相対する側に取り付けられている。見返し部材13には、図示しない表示計器の目盛板の目盛を乗員に対して露出させる複数の露出窓が形成されており、表示部分以外を乗員に対して遮蔽する。
透明カバー15は、透明性を有した合成樹脂等で構成されている。透明カバー15は、見返し部材13の乗員と相対する側に取り付けられ、見返し部材13の開口を覆って、メータユニット1内へ埃等が侵入するのを防止する。
【0025】
本実施形態に係るメータユニット1は、さらに、図2に示すように、挿入部4と、係止部5と、座部7とを備えている。
挿入部4は、前述したインストルメントパネル2の挿入孔24に対応して、略矩形状のケース3の下側の両隅にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0026】
ケース3の下面に突設された挿入部4は、インストルメントパネル2の挿入孔24に挿入されてメータ前後に回動自在に支持される。
挿入部4は、図3及び図4に示すように、挿入本体41と、規制部42と、一対の引掛け部43a,43bとを備えている。
【0027】
挿入本体41は、上述した表ケース31の台部37に連なり、台部37から下方(図2中の下方)に向かって突出している。挿入本体41は、先端が窄まった略くさび形状に形成され、基端が台部37に連なっている。更に、挿入本体41の基端側における見かけ上の水平断面形状(肉盗み部を含んだ断面形状)は、インストルメントパネル2の挿入孔24の略矩形状の開口と略一致している。
【0028】
規制部42は、挿入本体41の基端の乗員側に突設されている。この規制部42は、挿入部4が挿入孔24内に挿入された時に該挿入孔24の縁部と当接して挿入位置を規制すると共に、メータユニット1を回動させる際の回転中心となる。
一対の引掛け部43a,43bは、挿入部4が挿入孔24内に挿入された後に前記メータユニット1が回動されて係止部5が係止孔25内に係止されたとき、挿入孔24の対向する縁部をそれぞれ表裏面方向から押圧付勢して挿入孔24に対する挿入部4のがたつきを抑制する。
【0029】
係止部5は、インストルメントパネル2の係止孔25に対応して、略矩形状のケース3の上側の両隅にそれぞれ1つずつ設けられている。
ケース3の裏面に突設された係止部5は、インストルメントパネル2の係止孔25内に挿入されてこの係止孔25内に係止する。係止部5は、図1乃至図3に示すように、枠部51と、弾性アーム52と、係止突起53と、係止解除部6とを備えている。
【0030】
枠部51は、上述した表ケース31の台部38に連なり、台部38からインストルメントパネル2に向かって(乗員から離れる方向に)突出している。枠部51は、U字状に形成され、両端が台部38に連なっている。枠部51の水平方向の厚さは、先端にいくにしたがって徐々に薄くなるように形成されている。
【0031】
更に、枠部51の基端側の水平方向の厚さは、インストルメントパネル2の係止孔25の水平方向の厚さよりも僅かに厚く形成されている。このため、係止部5は係止孔25に圧入されることになり、その外表面が係止孔25の内面と接触して、係止部5は係止孔25との間に摩擦力を生じる。枠部51は、特に係止部5が水平方向にがたつくのを防止する。
【0032】
弾性アーム52は、図3に示すように、枠部51内に配されている。弾性アーム52は、前記接離する方向Aに沿って設けられ、枠部51の先端からインストルメントパネル2から離れる方向に延びている。弾性アーム52は、基端側が枠部51に連なり、先端側が自由端である片持ちアーム状に形成されており、ケース3の長手方向中央に近づくように弾性変形自在に設けられている。そして、弾性アーム52は、インストルメントパネル2の係止孔25内に通された係止状態と、係止突起53が係止孔25の縁部を乗り越える係止解除状態とに亘って弾性変形自在に設けられている。
【0033】
係止突起53は、弾性アーム52の中央からケース3の長手方向両端に向かって突設されており、先端が枠部51内から突出している。係止突起53は、図2及び図8に示すように、インストルメントパネル2と相対する端部に設けられたテーパ面53aと、インストルメントパネル2から離れた端部に設けられた当接面53bとを備えている。
【0034】
テーパ面53aは、インストルメントパネル2に近づくにしたがって徐々に弾性アーム52の外表面に近づくように傾斜しており、メータユニット1をインストルメントパネル2に取り付ける際に、係止孔25の縁部と接触して弾性アーム52を弾性変形させる。
当接面53bは、メータユニット1とインストルメントパネル2とが互いに離接する方向Aに対して直交しており、係止部5がインストルメントパネル2の係止孔25内に係止すると、係止孔25の縁部と当接する。
【0035】
係止解除部6は、図1に示したように、係止部5の弾性アーム52に連なっており、2つの係止部5のそれぞれに設けられている。係止解除部6は、作業者が操作部6aをケース3の長手方向中央(係止突起53の突出方向と反対方向)に押圧付勢することで、弾性アーム52を上述した係止状態から係止解除状態へと弾性変形させる。これによって、係止突起53の係止孔25内への係止を解除して、当接面53bが係止孔25の縁部と当接するのを解除する。
【0036】
座部7は、図2に示したように、表ケース31の上側の両隅に設けられた台部38に突設され、2つの係止解除部6のそれぞれの近傍に突出している。座部7は、平板状に形成されて、前記離接する方向Aと直交するように配置されている。
そして、メータユニット1をインストルメントパネル2から取り外す際には、例えば作業者の親指が係止解除部6の操作部6aを押圧すると共に、他の指が座部7のインストルメントパネル2と相対する外表面に掛けられ、この状態でメータユニット1の上部を引っ張ってインストルメントパネル2から引き離す。これによって、1つの係止部5において、係止突起53の係止孔25内への係止を解除する工程と、係止突起53を係止孔25内から引き抜く工程とを片手で行うことができる。
【0037】
次に、上述したメータユニット1をインストルメントパネル2に取り付ける手順を図3〜図11を参照しながら説明する。
先ず、図3に示すように、メータユニット1の裏面とインストルメントパネル2とを相対させ、これらを矢印A方向に沿って互いに近づけていく。そして、ケース3の下面に突設された挿入部4をインストルメントパネル2の挿入孔24に挿入する。
【0038】
この際、挿入孔24近傍のインストルメントパネル2上面に設けたガイド部27によって、挿入部4を摺動案内することができる。即ち、図4及び図5に示すように、挿入部4の先端をガイド面27aに当接させてメータユニット1を支持させた状態で、メータユニット1をインストルメントパネル2に近づけていけば、一対のガイドリブ27bによりケース3の長手方向移動を規制された挿入部4は挿入孔24に向かって摺動する。
【0039】
そして、図6に示すように、挿入孔24が開口された位置に挿入部4が達すると、挿入部4はメータユニット1の自重により下方の挿入孔24内に挿入される。挿入孔24内に挿入された挿入部4は、規制部42が挿入孔24の縁部上面と当接することにより、挿入位置が規制される。この状態において、図7に示すように、メータユニット1の上側の両隅に設けられた各係止部5が、インストルメントパネル2の係止孔25に対峙するように設定されている。
【0040】
この様に、挿入孔24近傍のインストルメントパネル2上面にガイド部27を設けたことにより、作業者は直接目視することができないメータユニット1の挿入部4を挿入孔24内に容易に挿入することができるので、挿入部4を挿入孔24に位置合わせ挿入する際の作業性が向上する。
【0041】
次に、挿入孔24内に挿入された挿入部4を回転中心として、メータユニット1をインストルメントパネル2側へ回動する。即ち、図8に示すように、メータユニット1の上部(例えば、座部7)をインストルメントパネル2側(図8中左側)へ押し、挿入孔24の縁部と当接している規制部42を回転中心としてメータユニット1をインストルメントパネル2側へ回動させる。
【0042】
すると、挿入孔24の開口中心線Xに対して開口中心線Yが交差するインストルメントパネル2の係止孔25に、メータユニット1の上側に設けられた係止部5が挿入されて係止される。係止部5が係止孔25内に挿入されていくと、係止突起53のテーパ面53aが係止孔25の縁部に接触して、弾性アーム52を弾性変形させる。さらに挿入していくと、係止突起53が係止孔25の縁部を乗り越えて、係止部5が係止孔25内に係止される。
【0043】
更に、図10の(a)に示すように、係止孔25内への係止部5の係止が完了するまでメータユニット1がインストルメントパネル2側へ回動させられると、図10の(b)に示すように、挿入部4に形成された一対の引掛け部43a,43bが、挿入孔24の対向する縁部をそれぞれ表裏面方向から押圧付勢して挿入孔24に対する挿入部4のがたつきを抑制する。即ち、メータユニット1の取り付け完了時には、挿入部4における規制部42の先端側に形成された引掛け部43aが挿入孔24の縁部を裏面方向(図中下方)から押圧付勢し、挿入部4における基端のインストルメントパネル2側に形成された引掛け部43bが挿入孔24の縁部を表面方向(図中上方)から押圧付勢する。そこで、挿入孔24に挿入された挿入部4は、がたつきなく固定される。
【0044】
即ち、メータユニット1の挿入部4は、メータユニット1の係止部5がインストルメントパネル2の係止孔25に係止されることによって、挿入孔24の開口中心線X方向に沿った移動が阻止される。即ち、メータユニット1の挿入部4は、メータユニット1とインストルメントパネル2とが互いに接離する方向Aに対し交差して配置され、かつ挿入孔24の縁部に当接することによって、上記接離する方向Aへの移動が阻止される構成とされている。その結果、図9に示すように、メータユニット1がインストルメントパネル2に取り付けられる。
【0045】
次に、上述したメータユニット1をインストルメントパネル2から取り外す手順を説明する。
先ず、作業者は、親指で係止解除部6の操作部6aを押圧すると共に他の指を座部7に引っ掛けた状態でメータユニット1の上部を引っ張り、挿入孔24内に挿入された挿入部4を回転中心としてメータユニット1を乗員側へ回動することにより、係止部5の係止孔25内への係止を解除する。
【0046】
次いで、メータユニット1を持ち上げながらインストルメントパネル2から引き離すことにより、挿入孔24内に挿入された挿入部4を引き抜いて、メータユニット1を取出す。この際、挿入部4は挿入孔24に挿入されているだけなので、大きな引き抜き力を必要としない。
【0047】
従って、上述した本実施形態に係るメータユニット1の取付構造によれば、メータユニット1の係止部5がインストルメントパネル2の係止孔25に係止されていない状態でメータユニット1の挿入部4をインストルメントパネル2の挿入孔24に係脱させる際には、大きな操作力を必要としない。そこで、作業者の手指を引っ掛けたりするための座部等を設ける必要がなく、挿入部4近傍が大型化しない。
【0048】
また、メータユニット1の挿入部4を挿入孔24に位置合わせ挿入後、メータユニット1を回動しながら係止部5の位置合わせをできるので、メータユニット1の組付け作業性が向上する。
更に、メータユニット1の挿入部4は、インストルメントパネル2の挿入孔24に挿入するだけの単純な形状で良く、抜けを防止する弾性アームや係止突起等を設ける必要がないので、容易に剛性の高い形状とすることができる。
従って、組み付け性・取り外し性を向上させながらコンパクトで丈夫なメータユニット1の取付構造を提供できる。
【0049】
尚、本実施形態に係るメータユニット1の取付構造においては、2つの挿入部4がメータユニット1の下側に配置され、2つの係止部5がメータユニット1の上側に配置されるている。そこで、メータユニット1の下側に配置された挿入部4がメータユニット1の重量を支持しながらメータユニット1の上側を回動することができ、メータユニット1の組み付け性・取り外し性を更に向上させている。勿論、本発明のメータユニットの取付構造は、これに限定されるものではなく、互いの開口中心線が交差する方向に開口された挿入孔と係止孔にそれぞれ挿入可能であれば、挿入部と係止部の配置や数を変更することもできる。
【0050】
また、本発明のメータユニットの取付構造に係るメータユニット、インストルメントパネル、挿入部、挿入孔、係止部、係止孔、規制部、引掛け部及びガイド部等の構成は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づいて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 メータユニット
2 インストルメントパネル
3 ケース
4 挿入部
5 係止部
24 挿入孔
25 係止孔
27 ガイド部
27a ガイド面
27b ガイドリブ
41 挿入本体
42 規制部
43a,43b 引掛け部
A 接離する方向
X 挿入孔の開口中心線
Y 係止孔の開口中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータユニットがインストルメントパネルに取外し可能に取付けられるメータユニットの取付構造であって、
前記インストルメントパネルには、互いの開口中心線が交差する方向に挿入孔と係止孔とが開口され、
前記メータユニットには、前記挿入孔内に挿入されて回動可能に支持される挿入部と、前記係止孔内に挿入されて係止される係止部とが突設され、
前記挿入孔内に挿入された前記挿入部を回転中心として前記メータユニットをインストルメントパネル側へ回動することにより、前記係止部が前記係止孔内に挿入されて係止されることを特徴とするメータユニットの取付構造。
【請求項2】
前記挿入部が前記メータユニットの下側に配置され、前記係止部が前記メータユニットの上側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のメータユニットの取付構造。
【請求項3】
前記挿入部は、前記挿入孔内に挿入された時に前記挿入孔の縁部と当接して挿入位置を規制すると共に、前記メータユニットを回動させる際の回転中心となる規制部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のメータユニットの取付構造。
【請求項4】
前記挿入部は、前記メータユニットが回動されて前記係止部が前記係止孔内に係止されたとき、前記挿入孔の対向する縁部をそれぞれ表裏面方向から押圧付勢可能な一対の引掛け部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のメータユニットの取付構造。
【請求項5】
前記挿入孔近傍のインストルメントパネルには、前記挿入部を前記挿入孔に摺動案内する為のガイド部が設けられることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のメータユニットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−180058(P2012−180058A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45403(P2011−45403)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】