説明

メータ装置

【課題】デザイン性が良好で、文字板の指針軸が貫通する孔からの光漏れを可及的に抑えることが可能となるメータ装置を提供する。
【解決手段】文字板5の背面側において、指針軸61の基端に取り付け可能な遮光部材8を備え、指針軸61の外周面のうちの、遮光部材8より文字板5寄りに位置する箇所には、指針軸61の内部から外部へ向けての光の透過を抑制する抑制部材60が設けられている、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用計器や船舶用計器、航空機用計器など各種乗物用の計器として用いることができるメータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種計器類に用いるメータ装置として各種多様なものが提案され開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このうち、特許文献1のメータ装置100は、図5に示すように、前面が開放したケース体101の前面開放部に、ほぼ円形状の透光部とこの透光部の外周側に透光性の文字、目盛り部とを有する文字板102を配設すると共に、文字板102の前面側に、スリットなどのような指針部を有する円盤状の指針板103を配設している。また、ケース体101内には、指針板103を所定の計測量に基づいて回転駆動するムーブメント104を配設すると共に、このムーブメント104の周囲に、文字板102で拡散する照射光を発する光源105を配設している。さらに、ムーブメント104の頂部には、光源105が発する照射光を指針板103側に反射する反射部材106を配設している。
【0004】
このような構成のメータ装置100にあっては、上述したように、ムーブメントの頂部に、光源が発する照射光を文字板側に反射する反射部材を配設したので、ムーブメント部分の拡散照射光がこの反射部材で反射されて、文字板の背面側から照射されるようになる。従って、指針板の指針部の中心側にムーブメントによるかげり部分が生ずるようなことがなくなる。
【0005】
一方、特許文献2に記載のメータ装置200は、図6に示すように、基板210と、回転中心を有する基部220及び該基部220から径方向に延出する指針部231を有する指針230と、基板210上に支持され、指針230を回転駆動する回転軸241を有するムーブメント240と、基板210上に実装され、指針230に光を照射するLEDなどの光源250と、光源250からの光を指針230に導く導光体260とを備える指針計器であって、光源250は、回転軸241の周囲に複数個、基板210上に実装されている。また、導光体260は、一端にムーブメント240の回転軸241に支持される支持部261と、回転軸241よりも径方向に突出し光源250からの光を入射する入射部262と、入射部262に入射された光を出射する出射部263とを有する。
【0006】
このような構成のメータ装置200によれば、光源250が多数配置可能な特有形状の導光体260を設けているので、指針230の高輝度発光が可能なメータ装置を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−2022号公報
【特許文献2】特開2008−76111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1に記載のようなメータ装置100によれば、指針部をスリットで構成するという、ユニークで高級感のあるメータ装置が実現できるので、その点では好都合である。ところが、このメータ装置100では、例えば指針部の回転中心側の部分である反射部材106の直下の領域とこれから離れた指針部の先端側とにおける照明光の通過光量に差を生じやすい。その結果、明るさにむらを生じて、発光状態が均一で視認性の良好なものを得難い。
【0009】
一方、特許文献2に記載のメータ装置200によれば、大径の導光体260を設けることで指針の高輝度発光が可能となる点では好都合である。ところが、その反面、導光体260の外径が上部側でも太い分、この導光体260が貫通する文字板270の孔271も内径寸法が大きくなるので、この孔271からの光の漏れが無視できない。また、導光体260の上部外径が太いと、この上端面に被せるキャップ280もどうしても大きくなり、その分、意匠性が損なわれるなどの問題もある。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、デザイン性が良好で、文字板の指針軸が貫通する軸孔からの光漏れを可及的に抑えることが可能となるメータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係るメータ装置は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 前記光源から照射された光が入射する回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、を有するムーブメントと、
各種標記が描かれた文字板と、
前記文字板上の標記を指し示す指針本体と、前記文字板に向けて前記指針本体の基部から垂下された、基端側が前記文字板の軸孔に回転可能に挿通されるとともに前記回転軸の先端側と連結可能な指針軸と、を有する指針と、
前記文字板の背面側において、前記指針軸の基端に取り付け可能な遮光部材と、
を備える、
こと。
(2) 上記(1)の構成のメータ装置であって、
前記指針軸の外周面のうちの、前記遮光部材より前記文字板寄りに位置する箇所には、前記指針軸の内部から外部へ向けての光の透過を抑制する抑制部材が設けられている、
こと。
(3) 上記(1)または(2)の構成のメータ装置であって、
前記回転軸の先端に配置されるプリズムをさらに備え、
前記プリズムは、前記回転軸内を伝播してきた前記光源からの光の一部を前記文字板から離れる向きに屈折するように構成した、
こと。
(4) 上記(3)の構成のメータ装置であって、
前記プリズム及び前記遮光部材は、前記指針軸と前記回転軸とを連結する手段を有している、
こと。
(5) 上記(1)から(4)のいずれか一つの構成のメータ装置であって、
前記遮光部材は、少なくとも文字板に対面する面側が前記文字板と同系色を呈する、
こと。
【0012】
上記(1)の構成のメータ装置によれば、指針軸の文字板から露出する先端部に大きなキャップを被せる必要がなくなる。換言すれば、小さなキャップであっても、文字板の指針軸が貫通する軸孔からの光漏れを可及的に抑えることが可能となる。これにより、デザイン性が良好なメータ装置が実現できる。
上記(2)の構成のメータ装置によれば、単一光源からの光をプリズムによって文字板のケース内反射部に向けて屈折させることで、指針の照明とともに文字板の照明が同時に可能となる。
上記(3)の構成のメータ装置によれば、指針軸と回転軸との間に専用の連結手段を設けなくても済むので、コスト削減が図れる。
上記(4)の構成のメータ装置によれば、透明若しくは半透明を有する文字板の直下にある遮光部材が文字板の外側から透けて見えるのを防止できるので、その分、審美性が低下するのを回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のメータ装置によれば、指針軸の文字板から露出する先端部に大きなキャップを被せる必要がなくなり、小さなキャップでも、文字板の指針軸が貫通する軸孔からの光漏れを可及的に抑えることが可能となる。その結果、デザイン性が良好な意匠表示のメータ装置が提供できるようになる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るメータ装置を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線における矢視断面図である。
【図3】図2に示すメータ装置の指針の要部を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るメータ装置の遮光部材を示す斜視図である。
【図5】従来のメータ装置を示す断面図である。
【図6】従来の他のメータ装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るメータ装置1を示すものである。
メータ装置1は、基板2上に実装された光源3と、光源3が搭載された領域を含む基板2上の所定場所に取付けられたムーブメント4と、ムーブメント4の上部に設置された、数字、文字、記号など、車自体或いは車周辺の環境などに関する必要情報を表記する文字板5と、文字板5の数字、文字、記号など指し示す指針6と、後に詳述するプリズム7及び遮光部材8と、を有する。なお、図1中、符号11はトリップメータやオドメータなどを表示させるLCD(Liquid Crystal Display)による表示部を、符号10は、これらの部材を内部に収容するケースを、符号12は表示板を、それぞれ示す。また、図2中、符号13は計器のケース10の内部に位置するケース内反射部を示すものであり、このケース内反射部13の表面は、照明光が吸収されず効果的に反射するような適宜材料で形成される。
【0018】
光源3は、所定波長(λ)の可視光を出射する例えばLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)で構成されており、後述する回転軸41の下部側の端面(以下、これを「基端面」とよぶ)に正対するような状態でその直下の基板2に実装されている。本実施形態の光源3であるLEDは、光軸が基板2の上面に対して垂直なZ方向に設定されており、このLEDからの主要な大部分の光(以下、「照明光」とよぶ)が直上の回転軸41の基端面に向けて出射される。
【0019】
ムーブメント4には、図2に示すこのムーブメントのムーブメントケース40内部に、ステップモータM、減速ギア列G、及び回転軸41などのムーブメント部品が収容されている。なお、ムーブメントケース40の上面側は、後述するプリズム7で屈折後の照明光が反射してケース内反射部13に均一な照明を施すことができるようにするため、外周に向かうほどケース内反射部13へ向けて下方に傾斜した斜面形状を呈している。また、このムーブメントケース40の上面では、照明光が吸収されず効果的に反射するような適宜材料で形成される。
【0020】
ステップモータMは、回転軸41を回動させるためのものであり、減速ギア列G、即ち中間ギアG1及び出力ギアG2を介して減速させながら回転軸41を回動させる。この回転軸41を回動させることにより、これと一体の指針6を文字板5の表面に沿って回動させ、必要な各種情報を指し示す。本実施形態のステップモータMは、図2に示すように、ステータM1と、このステータM1の開口された中央部に設置されたロータ軸を含むロータM2と、を備えている。なお、上記のような減速ギア列Gではなく、単一のギアで減速させる構成であってもよい。
【0021】
出力ギアG2は、回転軸41の中間部付近においてこの回転軸41と一体に形成されている。例えば、本実施形態の出力ギアG2は、適宜の透明樹脂材料により、導光機能を有する回転軸41と一体成形されている。尚、本実施形態では、出力ギアG2と回転軸41とは一体に成形されているが、別体としてそれぞれ形成しておき、その後に回転軸41を出力ギアG2に貫通して固着させるようにした構成であってもよい。
【0022】
回転軸41は、導光性に優れた適宜の透光性(若しくは導光性)樹脂材料で出力ギアG2と一体に成形されており、ステップモータMからの回転力を指針軸61へ伝達させるだけでなく、光源3からの照明光を指針軸61へ伝播させるようになっている。具体的には、この回転軸41は、出力ギアG2の円盤状のギア本体中央から上方および下方にそれぞれ突出するように設けられており、ギア本体に対して垂直上方に延びる回転軸41の上側の軸芯、ギア本体に対して垂直下方に延びる回転軸41の下側の軸芯、およびギア本体のギア軸芯とは同一直線上に位置する。また、この回転軸41は、光源3からの照明光を指針6まで効果的に導光させるために略円柱形状を有する。
【0023】
この回転軸41は、所要の光量を確保するため、導光機能を持たない回転軸に比べて外径、特に下部側の外径も太くしている。回転軸41の下部側の外径寸法を大径にしているので、小径寸法のものよりも光源3からの照明光に対する受光効率が高まる。特に、本実施形態の回転軸41は、下部側の外径寸法を上部側と同等寸法に構成している。従って、上部側の回転軸41内部を導光する照明光は、大径から小径に縮径された構造のものとは異なり、回転軸41内部を導光されてきた照明光が、縮径部分で漏光するといった現象も回避できるので、導光効率も高まる。
【0024】
また、この回転軸41は、ムーブメントケース40の上部から外部に突出しており、先端側である上側が後述の指針軸61の端部(これを「基端」とよぶ)に、プリズム7及び遮光部材8を介して一体に組付けられている。また、この回転軸41は、先端側がムーブメントケース40の軸孔40Aに軸支されており、また基端側が、ムーブメントケース40に設けた軸受けとなる軸孔40Bに回転自在に軸支されている。
【0025】
前述したように、この回転軸41は、基端面が光源3の直上に設置されて正対している。従って、光源3からの照明光がこの基端面に入射すると、その照明光の大部分が回転軸41の内部の外周面との界面部分で反射、例えば全反射或いは正反射等を繰り返しながら導光され、先端である上方へ向けて伝搬されていく。
【0026】
ムーブメント4を備える本実施形態のメータ装置1は、透明材料若しくは半透明材料で形成された文字板5が速度計の全面に亘って嵌め込まれている。また、文字板5には、ムーブメント4を含む各種計器類を設置するための孔や各種表示窓を開口させている。更に、この文字板5は、透明な図示外の表ガラスで上部が覆われている。尚、表ガラスは、無色透明なものだけでなく、黒色系透明なもの、スモークフィルムが張られた所謂スモークガラスなどの透過性を有するものであればよい。
【0027】
なお、ムーブメント4を備えるメータ装置1は、例えば本実施形態の場合には速度計を構成している。この場合、図示しないセンサによって検出された現在速度に対応したセンサ信号に基づき、後述の指針6を所定角度だけ回動させ、文字板5に形成された特定の数字を指し示すことによって現在速度をアナログ表示する。
【0028】
文字板5は、透明材料若しくは半透明材料で形成されたものであって、車自体或いは車周辺の環境などに関する必要情報が適所に表記されている。また、この文字板5には、中央部に指針6の指針軸61が貫通する軸孔50が穿設されているが、この軸孔50は内径寸法Dが必要最小限の大きさに形成されている。このように、内径寸法Dを最小限に形成させることで、指針6の基部63に被せるキャップ9の外形寸法も必然的に必要最小限のものを用いることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、必要最小限の大きさのキャップ9を指針6に取付けているが、後述する遮光部材8があることによって、キャップ9は必須のものでなくすることができる。
【0030】
指針6は、前述したように、回転軸41を伝播してきた照明光を入射させ指針本体62へ伝播させるために、透光性を有する指針軸61が指針本体62の基部63に垂設されている。また、この指針6には、指針軸61の直上である基部63を覆うキャップ9を備える。さらに、この指針軸61の外周面には、図3に示すように、指針本体62の基部63へ向けて指針軸61内部を伝播する照明光が、指針軸61の外周面から外部へ漏光するのを抑制させるために、適宜の反射膜などからなる抑制部材60が形成されている。なお、この抑制部材60の形成部位は、少なくとも遮光部材8よりも先の、つまり指針軸61の先端寄りの外周面であればよい。
【0031】
プリズム7は、回転軸41の先端側に一体に組付けられており、回転軸41内部を伝播する照明光の一部を、遮光部材8に達する前に屈折させることで、文字板5の背面側から直接、若しくはケース内反射部13で反射後に文字板5の背面側から照明を施す。そのため、このプリズム7は、適宜の透明材料を用いて形成されており、外周にいくほど厚さを薄くさせた略円盤状を呈している。
【0032】
このプリズム7は、下面中央部に回転軸41の先端が圧入される下穴71を有するとともに、上面中央部に遮光部材8の後述する軸受部81が圧入される上穴72を有する。このようなプリズム7を設置することで、単一の光源3からの照明光を、指針6の照明とともに、文字板5の照明としても兼用できるので、メータ装置1の小型化及びコスト削減などが図られる。なお、ここでは、回転軸41とプリズム7とを別体にした構造について説明するが、プリズム7と回転軸41とを一体に成形したものであってもよい。その際、ムーブメントケース40の形状は適宜変更される。
【0033】
遮光部材8は、プリズム7で屈折して各種方向に向かう照明光の一部が、軸孔50から文字板5の外部に漏光するのを防止するものである。この遮光部材8のおかげで、大きな外径寸法のキャップを指針6の基部63に被せなくとも済むようになっている。
【0034】
本実施形態の遮光部材8は、図4に示すように、適宜の不透明材料を用いて略傘形状に形成されている。この遮光部材8は、基本的には、照明光となる波長の光を吸収または反射する構成であることが必要であるが、好ましくは、可視光領域の波長の光、つまり、凡そ380nmから760nmの波長帯の全ての光を吸収または反射する構成であることが好ましい。
【0035】
本実施形態の遮光部材8は、少なくとも文字板5と対面する上面部分が文字板5と同系色のもので形成又は着色されている。遮光部材8は、透明若しくは半透明を有する文字板5の背面側に位置しているが、遮光部材8が文字板5と同系色のもので形成又は着色されていることにより、文字板5が光を透過するものであっても、遮光部材8が文字板5の上面側から透けて見えることを抑制している。
【0036】
遮光部材8は、指針軸61の基端側の一部に取付可能な構成のものであって、本実施形態では下上各面の中央部に突出する軸受部81,82を貫通して形成された貫通孔80に一体に組付けてある。
【0037】
次に本実施形態の作用について説明する。
光源3から出射する照明光は、回転軸41の基端面から入射し、ムーブメントケース40の上面から突出した回転軸41の先端面まで導光された後、プリズム7に入射してその内部を進行する。その後、この照明光のうち、プリズム7内の上部にて主に中心部付近から出射する照明光が、このプリズム7及び遮光部材8を介して回転軸41と一体に連結された指針軸61の基端面から入射してその内部を上方へ進行する。このようにして、指針軸61を伝播する照明光が、その後に、指針本体62から出射することで、指針6が発光照明される。
【0038】
また、プリズム7に入射して内部を進行する照明光のうち、プリズム7と空気との界面で屈折し、プリズム7から外方へ向けて進行する照明光については、プリズム7で屈折後に、大部分が文字板5の背面、ムーブメントケース40の上面、又は計器のケース10の内部に位置するケース内反射部13に向けて進行する。このうち、ムーブメントケース40の上面部分、又はケース内反射部13に向けて進行する照明光については、それらの面で吸収されないように構成されているので、反射後、あるいはこれらで再度の反射を経て、やがて文字板5を背面から透過することができる。これにより、単一の光源3での照明光であっても、指針6と文字板5との双方の照明が可能となるわけである。
【0039】
このような指針6での発光照明は、指針6が回動停止中であっても、またどの方位を指針6が回動動作中であっても、まったく同じように行われる。即ち、光源3からの照明光が、回転軸41、プリズム7、指針軸61、指針本体62(これらを、ここでは回動部材とよぶ)に至るまで伝播するときの伝播動作は、これら回動部材が回動している間、回動部材の回動角速度や回動位置に拘わらず同じように行われる。その結果、指針6及び文字板5は、同じように発光照明される。
【0040】
本実施形態によれば、光源3からの照明光が例えば回転軸41の外周面から漏光した場合、その漏光した照明光が仮に上(Z)方向に向かおうとしても、遮光部材8で殆どが吸収または反射する。そのため、遮光部材8と文字板5の背面との間の隙間を通り抜けて文字板5の狭い軸孔50から文字板5の外部へ漏光するのは殆ど回避できる。特に、この実施形態では、軸孔50を必要最小限の内径寸法に形成してあるので、その漏光はさらに回避できる。
【0041】
プリズム7から上(Z)方向に向かって屈折する照明光についても、上述の場合と作用は同じであって、漏光が回避できる。さらに、指針軸61の外周面には、図3に示す抑制部材60が設けられている。従って、指針軸61の外周面から外部に漏光して上(Z)方向に向かい、文字板5の軸孔50から文字板5の外部へ漏光するといった不都合も回避できる。
【0042】
従って、本実施形態によれば、文字板5の指針軸61が貫通する軸孔50からの光漏れを可及的に抑えることが可能となるので、軸孔50からの漏光を防止できる。この場合、図1に示すように、本実施形態ではキャップ9は、短径側の長さLが軸孔50の必要最小限の大きさを有する内径寸法Dより僅かに大きく形成されており、従来に比べて大幅に小さく形成できる。
【0043】
従って、本実施形態によれば、文字板5の指針軸61が貫通する軸孔50からの光漏れを可及的に抑えることが可能となるメータ装置において、キャップ9を大幅に小型化できるので、デザイン性の良好なものが得られるようになる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
【0045】
例えば、本発明の遮光部材8は、指針軸61の基端側の一部に取付け可能な構成のものであって、本実施形態では中央部に穿設された貫通孔80に、指針軸61が嵌挿状態で一体に組付けてあるが、特にこれに限定されない。即ち、この遮光部材8は、例えば、文字板5の内面である背面に一体に組付けてもよい。その場合、指針軸61を回転自在に支持するために、中央部に指針軸61を軸支させる軸受を取付けた貫通孔80を、文字板5の軸孔50に合致するような状態で、遮光部材8を文字板5の背面に固着させればよい。
【0046】
また、本実施形態では遮光部材8が文字板5と同系色で形成されているが、特にこの構成に限定されない。即ち、図2に示すように、遮光部材8の直上で、かつ、文字板5の背面に、文字板5と同一若しくはこれより大きめの形状を有する同系色の目隠し部材14をケース10の一部として固設しておけば、遮光部材8は任意の色の遮光性材料で形成してもよい。
【0047】
この場合には、遮光部材8は、上面を含めた外面を光源3からの照明光を吸収させる適宜の任意の色に形成できるので、遮光部材8は、その色がいずれであっても照明光を吸収可能であればよく、材料の選択自由度が増す。一方、文字板の背面側の、遮光部材8の直上部分には、この遮光部材8と同一形状若しくはこれより大きめの形状を有し、文字板5と同様の、文字板5と同系色の波長の光のみを透過させ、それ以外の波長域の可視光を吸収させる目隠し部材14を設けるようにする。
【0048】
さらに、本実施形態では、必要最小限の大きさのキャップ9を指針6に取付けているが、特にこれは必須のものではない。
【0049】
さらに、本実施形態では、プリズム7を回転軸41の先端に追加的に設置したが、文字板を照明する専用の光源を指針用光源とは別に適宜位置に設置することで、プリズムを使用しない構成とすることも可能である。
【0050】
また、本発明のメータ装置としては、例えば、燃料計部、タコメータ部、スピードメータ部、及び水温計等の各種計器類などのメータ装置への適用が可能である。さらに、本発明のメータ装置は、自動車用計器として説明したが、これ以外に、船舶用計器、航空機用計器など各種乗物用の計器として適用も可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 メータ装置
11 表示部
12 表示板
13 ケース内反射部
14 目隠し部材
2 基板
3 光源
4 ムーブメント
40 ムーブメントケース
40A、40B、50 軸孔
41 回転軸
5 文字板
6 指針
60 抑制部材
61 指針軸
62 指針本体
63 基部
7 プリズム
8 遮光部材
80 貫通孔
81,82 軸受部
9 キャップ
10 ケース
G 減速ギア列
M ステップモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記光源から照射された光が入射する回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、を有するムーブメントと、
各種標記が描かれた文字板と、
前記文字板上の標記を指し示す指針本体と、前記文字板に向けて前記指針本体の基部から垂下された、基端側が前記文字板の軸孔に回転可能に挿通されるとともに前記回転軸の先端側と連結可能な指針軸と、を有する指針と、
前記文字板の背面側において、前記指針軸の基端に取り付け可能な遮光部材と、
を備える、
ことを特徴とするメータ装置。
【請求項2】
前記指針軸の外周面のうちの、前記遮光部材より前記文字板寄りに位置する箇所には、前記指針軸の内部から外部へ向けての光の透過を抑制する抑制部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のメータ装置。
【請求項3】
前記回転軸の先端に配置されるプリズムをさらに備え、
前記プリズムは、前記回転軸内を伝播してきた前記光源からの光の一部を前記文字板から離れる向きに屈折するように構成した、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のメータ装置。
【請求項4】
前記プリズム及び前記遮光部材は、前記指針軸と前記回転軸とを連結する手段を有している、
ことを特徴とする請求項3に記載のメータ装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、少なくとも文字板に対面する面側が前記文字板と同系色を呈する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24698(P2013−24698A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159121(P2011−159121)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】