説明

モジュール組立装置およびモジュール組立方法

【課題】 基板から保護フィルムを剥離し、保護フィルム剥離後の基板をワークに組付ける際に、可及的に基板の移動量を低減させ、塵埃付着の可能性の低減および作業スペースの低減を実現するモジュール組立装置およびモジュール組立方法を提供する。
【解決手段】 厚み方向両表面に保護フィルム27a,27bが貼着された液晶パネル2は、保持ハンドH21,H22に保持され、剥離ハンドH3および剥離ロボットR3によって保護フィルム27bが剥離される。バックライト3は、バックライト搬送コンベア5によって、保護フィルム27bが剥離された液晶パネル2の表面とその嵌合部とが対向し、かつ液晶パネル2と平行になるように保持される。組付ハンドH1および組付ロボットR1は、保護フィルム27bが剥離された液晶パネル2をバックライト3に近接する方向に移動させて、液晶パネル2をバックライト3に組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚み方向両側の表面に保護フィルムが貼着されている基板から保護フィルムを剥離し、前記基板とワークとを組付けるモジュール組立装置およびモジュール組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の電子デバイスに関係する基板においては、半導体基板のように表面に超微細な電気配線を形成したり、液晶パネル基板のように高解像度の映像の表示を可能にしたりしており、その取扱いは非常に注意を払う必要がある。従来から、基板の表面における微細な擦傷および塵埃の付着などによる基板の品位の低下を防止する必要がある場合には、基板の表面を保護するために保護フィルムが貼着されていた。
【0003】
しかし、このような保護フィルムは、不必要となった場合には、基板の表面から剥離しなければならない。たとえば、液晶パネルを搭載する液晶テレビを製造する工程においては、液晶パネルの表面に貼着された保護フィルムが製品としての液晶テレビには不必要であることから、液晶パネルの表面から保護フィルムを剥離する工程が必ず存在する。また、このような保護フィルムの剥離は、液晶パネルをバックライトに搭載する前に行われる。(たとえば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開平11−295732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、保護フィルムが剥離された後の液晶パネルをバックライトなどに組付ける際に、液晶パネルを180度反転させる動作と、液晶パネルを水平方向および垂直方向に移動させる動作が含まれている。このような動作によって、保護フィルム剥離後の液晶パネルの移動距離が増大することは、液晶パネル表面への塵埃の付着の可能性を高めることになる。すなわち、液晶パネルの品質低下の可能性を高めることになるという問題がある。
【0006】
また、保護フィルムが剥離された後の液晶パネルを複数の方向に移動させることに伴って、広い作業スペースの確保が必要となるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、基板から保護フィルムを剥離し、保護フィルム剥離後の基板をワークに組付ける際に、可及的に基板の移動量を低減させ、塵埃付着の可能性の低減および作業スペースの低減を実現するモジュール組立装置およびモジュール組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、厚み方向の両側の表面に保護フィルムが貼着されている基板を保持する基板保持手段と、
保護フィルムの端部を保持するフィルム保持部と、フィルム保持部を少なくとも基板の表面に沿う方向に移動させる移動部とを有する剥離手段と、
基板が載置されるワークを、基板保持手段によって予め定める保持位置において保持される基板の一方の表面と対向するように、予め定める配置位置に配置するワーク配置手段と、
保持位置に保持される基板および配置位置に配置されるワークのうち少なくともいずれか一方を互いに近接する方向に移動させる組付手段と、
基板の一方および他方の表面から保護フィルムを剥離するように剥離手段を制御し、基板とワークとを組付けるように組付手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とするモジュール組立装置である。
【0009】
また本発明は、前記制御手段は、ワークに対向する側の基板の表面に貼着されている保護フィルムを、ワークに対向しない側の前記基板の表面に貼着されている保護フィルムよりも先に剥離するように剥離手段を制御することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記剥離手段によってワークに対向する側の基板の表面に貼着されている保護フィルムを前記基板の表面から剥離した後に、前記組付手段は、前記保護フィルムを剥離した基板および前記配置位置に配置されるワークのうち少なくともいずれか一方を、基板の面方向に垂直な方向に移動させて、基板とワークとを組付けることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記ワーク配置手段は、ワークを保持するワーク保持部を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記基板保持手段および前記ワーク配置手段は、保持位置に保持される基板と配置位置に配置されるワークとが互いに平行になるように、基板およびワークをそれぞれ保持することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記基板保持手段および前記ワーク配置手段は、基板およびワークをそれぞれ水平に保持し、前記組付手段は、基板を鉛直方向に移動させることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記組付手段は、ワークに対向する側とは反対側において基板を保持して基板を移動させることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記組付手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする。
また本発明は、前記剥離手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記基板保持手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする。
また本発明は、前記基板保持手段は、2台の多関節ロボットを具備し、各多関節ロボットにはL字状の保持ハンドが設けられることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記剥離手段は、フィルム保持部および移動部をそれぞれ2台ずつ備えることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記ワーク配置手段によって予め定める配置位置に配置されたワークの位置を検出するワーク位置検出手段が、前記基板保持手段の下部に設けられることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、基板から保護フィルムを剥離する際に発生する静電気を除去するための除電手段をさらに具備することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、厚み方向の両側の表面に保護フィルムが貼着された基板を保持し、前記基板の一方の表面から保護フィルムを剥離する工程と、
保護フィルムが剥離された側の基板の一方の表面に対向する位置にワークを配置する工程と、
前記基板を、前記基板の他方の表面で保持し、基板の面方向に垂直な方向に移動させて前記ワークに組付ける工程と、
ワークに組み付けられた基板の他方の表面から保護フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とするモジュール組立方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板保持手段によって保持されている基板に対し、フィルム保持部によって基板に貼着されている保護フィルムの端部を保持させ、移動部によって保護フィルムの端部を保持したフィルム保持部を移動させることによって、基板から保護フィルムを剥離することが出来る。また、基板とワークとを組み付けて構成されるモジュールには保護フィルムが不要であることから、組付ける前に剥離すべき一方の保護フィルムを剥離手段によって剥離することによって、基板とワークとを組付けることができる。
【0022】
基板が載置されることによって組み付けられるワークは、基板保持手段によって予め定める保持位置において保持される基板の一方の表面と対向するように、予め定める配置位置に配置される。したがって、ワーク配置手段によって配置位置に配置されるワークに対向する側の基板の表面から剥離手段によって保護フィルムを剥離しておくことによって、組付手段によって基板およびワークの少なくともいずれか一方を互いに近接する方向に沿って移動させることで、基板とワークとを組み付けることができる。
【0023】
このように基板とワークとを組付ける際に、基板を反転させることなく、基板を直線的にかつ最短距離で移動させることができるので、組付に必要な作業スペースを低減することが出来る。また、最短距離で移動させて基板とワークとを組付けることによって、組付のために要する基板およびワークの移動量を低減させることができるので、保護フィルムが剥離された基板の表面に対し、塵埃が付着する可能性を可及的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態のモジュール組立装置1の構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。本実施の形態のモジュール組立装置1は、保護フィルムが厚み方向の両表面に貼着されている液晶パネルから保護フィルムを剥離する処理と、液晶パネルをバックライトユニットへ組付ける処理とを自動的に行うための装置である。
【0025】
図2は、液晶パネル2の一例を示す断面図である。液晶パネル2は、その厚み方向から見て矩形状に形成されている。詳細な構成を説明すると、ガラス基板などの光透過基板20a,20bの一方の表面に所定の形状の電極21a,21bが形成され、このような2枚の光透過基板20a,20bを前記電極21a,21bが形成された面同士を向かい合わせた状態で、基板間の距離がその向かい合った面に亘って均一となるようにスペーサ22を介在させ、シール24によって平行に貼り合わせられる。そして、この基板間に液晶材料23が封入される。さらに、光透過基板20a,20bの電極21a,21bが形成された面と反対側の面にそれぞれ偏光板26a,26bが貼り付けられることによって、液晶パネル2は形成されている。このような構成に、カラー表示を可能にするためのカラーフィルタ25、たとえばRGB(Red Green Blue)のフィルタなどが設けられても良い。
【0026】
さらに、偏光板26a,26bの表面には、偏光板26a,26bの表面の損傷および偏光板26a,26bの表面への塵埃の付着に起因する液晶パネル2の品質の低下を防止するために、矩形状の保護フィルム27a,27b(以下、総称する場合には保護フィルム27と記す)がそれぞれ貼着されている。保護フィルム27は、厚み方向の一表面側に粘着性を有する粘着層が形成されており、この粘着層を介して偏光板の表面に貼着されている。なお、以降の説明において、保護フィルム27aが貼着されている側が液晶パネル2の上面側であるものとして説明する。
【0027】
バックライトユニット3は、その厚み方向の一方側において、組み付けられる液晶パネル2に対応する大きさを有する嵌合部が形成されており、この嵌合部と液晶パネル2の表面とを対向させた状態で、液晶パネル2をバックライトユニット3の厚み方向に沿って、すなわち液晶パネル2の面方向に垂直な方向に沿って移動させることによって、液晶パネル2がバックライトユニット3の嵌合部に組み付けられる。このとき、嵌合部と対向していた液晶パネル2の表面からは、その組付前に不要な保護フィルムが剥離されている。液晶パネル2から両表面に貼着されている保護フィルム27の剥離、および液晶パネル2のバックライトユニット3への組み付けによって、液晶表示モジュールが組み立てられる。
【0028】
以下、図1を参照して、モジュール組立装置1について説明する。本実施の形態のモジュール組立装置1は、パネル供給コンベア4と、バックライト供給コンベア5と、組付ロボットR1と、保持ロボットR21,R22と、剥離ロボットR3と、図示しない制御装置を含んで構成される。この制御装置によって、モジュール組立装置1における各構成要素の動作が制御される。
【0029】
パネル供給コンベア4は、パレット式の搬送機構であり、パネル供給コンベア4の上部が矢符A方向に駆動するように構成されており、制御装置によってパネル供給コンベアの駆動および停止が制御される。液晶パネル2は、パネル供給コンベア4の上部に取り付けられたパレット4aに載置された状態で、パネル供給コンベア4が駆動することによって矢符A方向に搬送され、予め定める位置P1に配置される。
【0030】
バックライト供給コンベア5は、パレット式の搬送機構であり、バックライト供給コンベア5の上部が矢符B方向に駆動するように構成されており、制御装置によってバックライト供給コンベア5の駆動および停止が制御される。バックライトユニット3は、バックライト供給コンベア5の上部に取り付けられたパレット5aに上載されて保持された状態で、バックライト供給コンベア5が駆動することによって矢符B方向に搬送され、予め定める位置P2に配置される。
【0031】
組付ロボットR1と、保持ロボットR21,R22と、剥離ロボットR3はそれぞれフレーム構造体6に固定して設けられる。フレーム構造体6は、水平な床7に固定して設けられ、位置P2を囲うように配置される。
【0032】
図3は、本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる組付ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。組付ロボットR1は、組付ハンドH1を鉛直軸線J1aまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G1aと、関節G1aを介して組付ハンドH1が連結されるアームF1aを鉛直軸線J1bまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G1bと、関節G1bを介してアームF1aが連結されるアームF1bを鉛直軸線J1cまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G1cと、関節G1cを介してアームF1bが連結されるアームF1cを鉛直軸線J1dに沿ってC1方向(鉛直上方向)およびC2方向(鉛直下方向)に直動駆動させる駆動機構を備える駆動部G1dとを含み、関節G1a〜G1cの各駆動機構を制御することによって組付ハンドH1を水平方向に駆動させることができ、駆動部G1dの駆動機構を制御することによって組付ハンドH1を鉛直方向(上下方向)に駆動させることができる。この各駆動機構の制御は、制御装置によって行われる。このような組付ロボットR1は、取付部F1dを介してフレーム構造体6に取り付けられる。また、組付ロボットR1は、フレーム構造体6において、位置P1に近接する位置に配置される。
【0033】
このように組付ロボットR1は、鉛直軸線まわりの3つの旋回自由度および鉛直方向の1つの直動自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。組付ロボットR1は、このような構成に限定されることなく、たとえば6軸または7軸垂直多関節ロボットによって構成されても良い。
【0034】
組付ハンドH1について説明する。組付ハンドH1は、複数(本実施の形態では10)の吸着パッド11が水平方向に沿ってそれぞれ適度に間隔をあけて、吸着面が下方を臨むように取付金具13を介してフレーム12に取り付けられて構成されている。各吸着パッド11は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されており、個別に吸引力が導かれることによって、適度な吸引力により液晶パネル2を吸着把持することができるように構成されている。組付ハンドH1は、このような構成に限定されることなく、たとえば粘着性を有する粘着層が形成された粘着部材を含み、粘着によって液晶パネル2を把持することができるように構成されても良い。
【0035】
本実施の形態では、このように吸着パッド11に吸着させることによって液晶パネル2を把持するように組付ハンドH1が構成されているので、吸着パッド11に吸引力を導くことによって容易に液晶パネル2を把持することができ、また吸着パッド11に導かれた吸引力を停止することによって容易に液晶パネル2を把持状態から開放することができる。このような吸引力を導入および停止する制御は、電磁弁の開閉および空圧源の制御などによって容易に実現することができる。
【0036】
組付ロボットR1および組付ハンドH1は、このように構成されていることによって、パネル供給コンベア4によって位置P1に配置されている液晶パネル2の上面を吸着把持して、後述する予め定める位置P3まで搬送することができる。また、位置P3において保護フィルム27bが剥離された液晶パネル2の上面を吸着把持して、バックライト供給コンベア5によって位置P2に配置されているバックライトユニット3の嵌合部まで搬送して、前記嵌合部に液晶パネル2を嵌合させることによって、液晶パネル2をバックライトユニット3に組付けることができる。
【0037】
また、組付ロボットR1は、前述するように多関節ロボットによって構成されているので、液晶パネル2を所定の位置まで搬送する際に、他のロボットおよび周囲の構造物と干渉しないように各アームの駆動を制御して確実に液晶パネル2を搬送することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、組付手段として、1台の組付ロボットR1に1つの組付ハンドH1が備えられて構成されているが、複数の組付ロボットR1をフレーム構造体6に配置して各組付ロボットR1に組付ハンドH1をそれぞれ備えるように構成し、各組付ロボットR1を協調制御するようにしても良いし、1台の組付ロボットR1に複数の組付ハンドH1を備えるように構成しても良い。あるいは、本実施の形態に用いられている組付ハンドH1に設けられる吸着パッド11の配置位置の間隔を広くする、または吸着パッド11のサイズを大きくするなどの設計変更を行って構成しても良い。このように構成することによって、複数の液晶パネル2のサイズに対応することが可能となる。
【0039】
図4は、本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる保持ロボットR21の構成を概略的に示す斜視図である。なお、本実施の形態では、2台の保持ロボットR21,R22が用いられているが、保持ロボットR21と保持ロボットR22とは、フレーム構造体6への取付位置が異なるのみで、同一に構成されているため代表して保持ロボットR21について説明を行い、重複する説明を避ける。
【0040】
保持ロボットR21は、保持ハンドH21を鉛直軸線J21aまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G21aと、関節G21aを介して保持ハンドH21が連結されるアームF21aを鉛直軸線J21bまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G21bと、関節G21bを介してアームF21aが連結されるアームF21bを鉛直軸線J1cまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G21cとを含み、関節G21a〜G21cの各駆動機構を制御することによって保持ハンドH1を水平方向に駆動させることができる。この各駆動機構の制御は、制御装置によって行われる。このような保持ロボットR21は、取付部F21dを介してフレーム構造体6に取り付けられる。
【0041】
このように保持ロボットR21,R22は、鉛直軸線まわりの3つの旋回自由度を持たせた3自由度の水平多関節ロボットとしてそれぞれ構成されている。保持ロボットR21,R22は、このような構成に限定されることなく、たとえば6軸または7軸垂直多関節ロボットによって構成されても良い。
【0042】
保持ハンドH21について説明する。保持ハンドH21は、L字型の板状部材32が水平となるように取付部31に取り付けられ、板状部材32には、複数(本実施の形態では20)の吸着パッド33が、図4に示すように、板状部材32の一端部側にそれぞれ適度に間隔をあけて、吸着面が上方を臨むように、板状部材32の上面から上方に突出するように設けられている。各吸着パッド33は、吸着用エア回路(図示せず)に接続されており、個別に吸引力が導かれることによって、適度な吸引力により液晶パネル2を吸着して固定することができるように構成されている。
【0043】
このような保持ハンドH21,H22をそれぞれ備える保持ロボットR21,R22は、図1に示すように、フレーム構造体6において、位置P3に配置された液晶パネル2の一方の対角線方向に沿って対向するように、かつ位置P2よりも上方であって床面から同一の高さの位置にそれぞれ配置される。また、保持ハンドH21,H22は、矩形状の液晶パネル2の下面側の4つの周縁辺に沿う各周縁部において液晶パネル2を保持することができるように、保持ロボットR21,R22に設けられる。
【0044】
図5は、液晶パネル2がその周縁部において保持ハンドによって保持されている状態の一部を簡略化して示す概略断面図である。なお図5では、図2に示される液晶パネル2において、光透過基板20a,20bおよび光透過基板20a,20bの間に挟まれている構成部分を合わせて光透過基板20として示している。このように、光透過基板20の各表面において、偏光板26a,26bが設けられる領域は、光透過基板20の表面の面積よりも小さい。さらに保護フィルム27a,27bは、各偏光板26a,26bを保護する目的で、偏光板26a,26bと同一の面積を有して、各偏光板26a,26bに対して貼着される。すなわち、光透過基板20は、各表面において、その周縁部が露出している。図5に示すように、液晶パネル2は、この光透過基板20の周縁部において、保持ハンドH21,H22に設けられる吸着パッド33の上に載置され、吸着パッド33の吸引力が導かれることによって吸着固定される。したがって、保持ハンドH21,H22によって、液晶パネル2をその下面側において保持した場合でも、液晶パネル2の下面側に貼着されている保護フィルム27bを、後述する剥離ロボットR3によって剥離することができる。
【0045】
本実施の形態では、前述するように吸着によって液晶パネル2を固定することができるように保持ハンドH21が構成されているので、吸着パッド33の上に載置された液晶パネル2から保護フィルム27bを剥離する際に、液晶パネル2が不所望に移動してしまうことを防止することができる。これにより、液晶パネル2が移動することによって保持ハンドH21,H22から落下してしまうことを防止することができる。また、位置決めされて位置P3に配置されている液晶パネル2が変位してしまうことにより、液晶パネル2を位置P3から位置P2まで搬送してバックライトユニット3に組付ける際に、位置ずれを起こしてしまって組み付けがうまくいかないという不具合を防止することができる。
【0046】
保持ロボットR21,R22および保持ハンドH21,H22は、このように構成されていることによって、組付ロボットR1によって位置P1から搬送された液晶パネル2を予め定める位置P3において保持することができる。
【0047】
図6は、液晶パネル2が板状部材32に載置されている状態を簡略化して示す平面図であり、(a)はサイズの大きな液晶パネル2aの場合を示す図であり、(b)はサイズの小さな液晶パネル2bの場合を示す図である。このように、保持ハンドH21,H22が、L字状の板状部材32を備えているので、保持ロボットR21,R22の各アームを適当に駆動させることによって、サイズの異なる液晶パネル2について実施する場合でも、段取り替えをする必要がないため、生産性が低下することを回避することができる。また、保持ロボットR21,R22は、前述するように多関節ロボットによって構成されているので、各アームの駆動を制御することによってサイズの異なる液晶パネル2を確実に保持することができる。
【0048】
本実施の形態では、保持ロボットR21,R22によって液晶パネル2を位置P3において保持するように構成されているが、他の実施形態では、組付ロボットR1によって液晶パネル2を位置P3において保持するように構成しても良い。このようにすることで、液晶パネル2を位置P3において保持ロボットR21,R22に保持させる工程および位置P3に保持されている液晶パネル2を嵌合部まで移動させるために再び組付ロボットR1に保持させる工程が省略されるため、生産性を向上させることが出来る。
【0049】
図7は、本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる剥離ロボットR3の構成を概略的に示す斜視図である。剥離ロボットR3は、剥離ハンドH3を後述する軸線J3bに垂直な方向に延びる軸線J3aまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G3aと、関節G3aを介して剥離ハンドH3が連結されるアームF3aを水平方向に延びる軸線J3bまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G3bと、関節G3bを介してアームF3aが連結されるアームF3bを鉛直軸線J3cまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G3cと、関節G3cを介してアームF3bが連結されるアームF3cを鉛直軸線J3dまわりに旋回駆動させる駆動機構を備える関節G3dと、関節G3dを介してアームF3cが連結されるアームF3dを鉛直軸線J3eに沿ってD1方向(鉛直上方向)およびD2方向(鉛直下方向)に直動駆動させる駆動機構を備える駆動部G3eとを含み、関節G3a,G3c,G3dの各駆動機構を制御することによって剥離ハンドH3を水平方向に駆動させることができ、駆動部G3eの駆動機構を制御することによって剥離ハンドH3を鉛直方向(上下方向)に駆動させることができる。さらに、関節G3bの駆動機構を制御することによって剥離ハンドH3を180度反転させることができる。すなわち、図7に示される状態の剥離ハンドH3は、軸線J3aが鉛直方向に延び、かつ剥離ハンドH3がアームF3aよりも上方に配置されていることによって、液晶パネル2の下面の保護フィルム27bに対して剥離処理を行うことができる状態であるのに対し、剥離ハンドH3を軸線J3bまわりに180度反転させることによって、軸線J3aが鉛直方向に延び、かつ剥離ハンドH3をアームF3aよりも下方に配置させることができるので、液晶パネル2の上面の保護フィルム27aに対して剥離処理を行うことができる状態にすることができる。この各駆動機構の制御は、制御装置によって行われる。このような剥離ロボットR3は、取付部F3eを介してフレーム構造体6に取り付けられる。
【0050】
剥離ハンドH3について説明する。剥離ハンドH3は、軸線J3aに垂直な方向に延びる軸線J3fまわりに回転自在に設けられる短尺の円柱状のローラ41を備え、ローラ41の外周面には、粘着性を有する粘着層が設けられている。このような粘着層は、液晶パネル2から保護フィルム27を剥離することを可能とするために、液晶パネル2と保護フィルム27との間に作用している粘着力よりも強い粘着力を有するように設けられ、たとえば粘着性を有するブチルゴムをローラ41の外周面に取り付けることによって実現される。
【0051】
また、剥離ハンドH3は、軸線J3f方向に沿ってローラ41の両側に、水平方向かつ軸線J3fに垂直な方向に延びる軸線J3g方向に沿って駆動される可動片43がそれぞれ設けられ、各可動片43の駆動方向一方側には固定片42がそれぞれ設けられる。可動片43は、駆動装置44によって前記駆動方向一方側に駆動されたとき、固定片42と接触するように構成されている。この駆動装置44の制御は、制御装置によって行われる。
【0052】
剥離ロボットR3および剥離ハンドH3は、このような構成によって、ローラ41の外周面を液晶パネル2に貼着されている保護フィルム27の一角部に当接させ、剥離ハンドH3を軸線J3g方向に沿って駆動させることによって、ローラ41が軸線J3fまわりに回転しながら保護フィルム27の一角部を初期剥離することができる。このとき、固定片42と可動片43とは離間した状態にある。そして、可動片43を固定片42の方へ駆動させることによって、初期剥離された保護フィルム27の一角部をローラ41から剥離するとともに、固定片42と可動片43との間に保護フィルム27を挟持させることができる。そして、剥離ハンドH3を、液晶パネル2から離間させて、液晶パネル2の表面の面方向に沿って移動させることによって、保護フィルム27を剥離することができる。また、前述するように、剥離ハンドH3を180度反転させることによって、液晶パネル2の上面および下面の保護フィルム27a,27bを剥離することができる。剥離ハンドH3は、保護フィルム27を剥離することが可能であれば良く、このような構成に限定されない。
【0053】
図8は、保護フィルム27の一角部を挟持した剥離ハンドH3の移動経路を示す図である。位置K0において剥離ハンドH3による保護フィルム27の初期剥離が行われたとする。すなわち、位置K0において、剥離ハンドH3は保護フィルム27の一角部を挟持している状態にある。剥離ハンドH3は、位置K0から対向する長辺の略中間部に向かって直線的に移動経路K1に沿って移動するように制御される。そして、剥離ハンドH3が液晶パネル2を臨んでいる領域から外れた領域では、剥離ハンドH3は、円弧を描くように移動経路K2に沿って移動するように制御される。このような移動経路K1およびK2を通って保護フィルム27を剥離することによって、剥離ハンドH3を液晶パネル2の長辺方向または対角線方向に移動させて保護フィルム27を剥離する場合と比較して、剥離ハンドH3の動作範囲を低減し、すなわち保護フィルム27の剥離に要するスペースを低減することが出来る。また、液晶パネル2から保護フィルム27を剥離する際には、液晶パネル2において既に保護フィルムが剥離されている部分と未だ保護フィルムが剥離されていない部分との境界である剥離境界部に、保護フィルム27の剥離に伴う負荷(以下、「剥離負荷」と記す)が作用する。この剥離負荷は、剥離境界部の長さに比例して大きくなる。このような剥離負荷は液晶パネル2の品質を低下させるおそれがあることから、出来る限り剥離負荷が大きくならないようにして剥離することが好ましい。剥離ハンドH3を液晶パネル2の短辺方向に移動させて保護フィルム27を剥離する場合、この剥離負荷が大きくなってしまうことから好ましくない。図8に記載されるような移動経路K1およびK2に沿って剥離ハンドH3を移動させて保護フィルム27を剥離することによって、液晶パネル2に作用する剥離に伴う剥離負荷を低減させるとともに、保護フィルム27の剥離に要するスペースを低減させることができる。
【0054】
本実施の形態の剥離ロボットR3は、4つの旋回自由度および鉛直方向の1つの直動自由度を持たせた5自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。剥離ロボットR3は、このような構成に限定されることなく、たとえば6軸または7軸垂直多関節ロボットによって構成されても良い。このように多関節ロボットによって構成されることで、液晶パネル2から保護フィルム27を剥離する際に、他のロボットおよび周囲の構造物と干渉しないように各アームの駆動を制御して確実に保護フィルム27を剥離することができる。
【0055】
本実施の形態のモジュール組立装置1では、上述の説明に記載するように、液晶パネル2は、保持ロボットR21,R22および保持ハンドH21,H22によって位置P2において水平に保持されている。また、バックライトユニット3は、バックライト搬送コンベア5に設けられるパレット5aに上載されて水平に保持されている。
【0056】
しかしながら、このような実施の形態に限られず、保持ロボットR21,R22および保持ハンドH21,H22は、液晶パネル2を液晶パネル2の厚み方向と水平方向とを一致させて保持するように構成されても良く、このように保持される液晶パネル2に対して、液晶パネル2の一方の表面と対向するようにバックライトユニット3を予め定める配置位置において保持するために、たとえばバックライトユニット3を吸着して保持するように構成しても良い。
【0057】
また、本実施の形態のモジュール組立装置1では、液晶パネル2を吸着把持して移動するように組付手段が構成されており、保護フィルム27が剥離された後に液晶パネル2を移動させてバックライトユニット3に組付けるように構成されている。
【0058】
しかしながら、このような実施の形態に限られず、組付手段はバックライトユニット3を移動させて、液晶パネル2とバックライトユニット3とを組付けるように構成されても良い。さらには、液晶パネル2とバックライトユニット3の両方を互いに近接する方向に移動させるように、組付手段が構成されても良い。
【0059】
以下、図1および図9〜図13を用いて、本実施の形態のモジュール組立装置1による保護フィルム27の剥離および液晶パネル2とバックライトユニット3との組付け処理について説明する。図1および図9〜図13は、本実施の形態のモジュール組立装置1の動作状態を示す図であり、各図において、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【0060】
図1に示す状態を初期状態として説明する。液晶パネル2は、位置P1において水平に配置されている。バックライト搬送コンベア5は、パレット5aに載置されたバックライトユニット3を矢符B方向に沿って搬送するように駆動されている。組付ハンドH1は、組付ハンドH1に備えられる吸着パッド11が、位置P1に配置された液晶パネル2に貼着されている保護フィルム27aに所定の位置で当接するように配置されている。ここで、所定の位置とは、液晶パネル2の上面の中央部のことである。このとき、位置P1の近傍には、位置P1まで搬送された液晶パネル2の位置を検出するための撮像装置(図示せず)が設けられており、位置P1における液晶パネル2の位置が検出される。この検出結果に基づいて、前述するように、組付ハンドH1が所定の位置に配置される。保持ハンドH21,H22および剥離ハンドH3は、液晶パネル2と干渉しないようにフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0061】
図1から次の状態に動作が進んだ図9では、液晶パネル2は、位置P3に配置され、保持ハンドH21,H22によって、その周縁部において保持されている。その過程では、先ず吸着パッド11に吸引力が導かれ、組付ハンドH1によって液晶パネル2が吸着把持される。そして、組付ロボットR1が、組付ハンドH1を水平方向および鉛直方向に移動させるように駆動されることによって、液晶パネル2が位置P3に水平に配置される。また、保持ロボットR21,R22は、保持ハンドH21,H22を所定の位置まで移動させるように駆動される。これにより、保持ハンドH21,H22が、位置P3に配置される液晶パネル2をその下面側周縁部において保持することができる位置に配置されている。ここで、位置P3とは、位置P2に配置されたバックライトユニット3の組付部に対向する位置であり、位置P3に配置されている液晶パネル2を鉛直方向下方に移動させることによって、前記組付部に液晶パネル2を組付けることができる位置である。また位置P3に配置された液晶パネル2と、位置P2に配置されたバックライトユニット3とは互いに平行になるように、それぞれの位置において水平に保持されている。液晶パネル2が位置P3に配置されると、吸着パッド11に導かれていた吸引力が停止され、液晶パネル2は吸着把持されている状態から解放される。
【0062】
バックライト搬送コンベア5は、バックライトユニット3が予め定める位置P2まで搬送されたところで、駆動が停止されている。すなわち、バックライトユニット3は、位置P2に配置された状態で、バックライト搬送コンベア5によって保持されている。剥離ロボットR3は、位置P3に配置されている液晶パネル2から下面側の保護フィルム27bを剥離するために、剥離ハンドH3を保護フィルム27bの一角部近傍まで移動させている。このとき、剥離ハンドH3は、アームF3aの鉛直上方に配置されている。
【0063】
図9から次の状態に動作が進んだ図10では、液晶パネル2から保護フィルム27bが剥離された状態が示されている。その過程では、先ず保持ハンドH21,H22に備えられる吸着パッド33に吸引力が導かれ、液晶パネル2が位置P3において固定される。そして、剥離ロボットR3が、剥離ハンドH3のローラ41を保護フィルム27bの一角部に当接させ、剥離ハンドH3を液晶パネル2の対角線方向に移動させて保護フィルム27bを初期剥離する。さらに、保護フィルム27bの一角部を挟持してから、剥離ハンドH3を図8に示すような剥離軌道K1およびK2に沿って移動させることによって、保護フィルム27bが液晶パネル2から剥離される。剥離された保護フィルム27bは、剥離ロボットR3によって、図示しない廃棄ボックスまで搬送されて廃棄される。そして、剥離ロボットR3は、剥離ハンドH3を、フレーム構造体6から外方へ退避した位置へ配置する。
【0064】
図10から次の状態に動作が進んだ図11では、液晶パネル2がバックライトユニット3に組み付けられた状態が示されている。その過程では、先ず吸着パッド33に導かれていた吸引力が停止され、液晶パネル2は吸着固定されている状態から解放される。そして、液晶パネル2の上面側の保護フィルム27aに当接するように配置されている組付ハンドH1に備えられる吸着パッド11に再び吸引力が導かれ、組付ハンドH1によって液晶パネル2が吸着把持される。このとき、保護フィルムが剥離されていない液晶パネル2の上面側において吸着把持されるので、液晶パネル2をバックライトユニット3に組付ける際に、偏光板26aと吸着パッド11とが直接接触することがないため、偏光板26aに傷が付くことを防止することができる。
【0065】
また、保持ハンドH21,H22の下部には、図示しない撮像装置が設けられており、位置P3において液晶パネル2を保持している際に、撮像装置によって、位置P2に配置されているバックライトユニット3の正確な位置が検出されている。撮像装置は、たとえばカメラなどによって実現される。このように撮像装置を用いてバックライトユニット3の位置を検出することで、バックライトユニット3がバックライト搬送コンベア5によって搬送される際に位置ずれを生じていても、撮像装置による検出結果に基づいて、液晶パネル2をバックライトユニット3の嵌合部に精度よく組付けることが出来る。また、保持ハンドH21,H22の下部に撮像装置を設けることによって、位置P3の上方であって位置P3に近接した場所から位置P3に配置されているバックライトユニット3を撮像することが出来るので、バックライトユニット3の正確な位置を検出することが出来る。
【0066】
液晶パネル2が組付ハンドH1によって吸着把持された後、保持ロボットR21,R22は、液晶パネル2と干渉しないように保持ハンドH21,H22をフレーム構造体6から外方へ退避させるように移動させる。そして、組付ロボットR1は、前述する撮像装置による検出結果に基づいて、組付ハンドH1を鉛直下方に移動させ、バックライトユニット3の嵌合部へ液晶パネル2を組付ける。このとき、組付ロボットR1は、前記嵌合部に液晶パネル2の端部をひっかけながら組付動作を行う。これにより、液晶パネル2をバックライトユニット3の嵌合部に載置して組付けることができる。
【0067】
このように、本実施の形態のモジュール組立装置1は、バックライトユニット3に対向する側の液晶パネル2の表面に貼着されている保護フィルム27bを剥離し、液晶パネル2を面方向に垂直な方向(本実施の形態では鉛直下方向)に移動させてバックライトユニット3に組付けるので、液晶パネル2をバックライトユニット3に組付ける際に、液晶パネル2を反転させることなく、液晶パネル2を直線的にかつ最短距離で移動させることができるので、組付に必要な作業スペースを低減することが出来る。また、液晶パネル2を最短距離で移動させてバックライトユニット3に組付けることによって、組付のために要する液晶パネル2の移動量を低減させることができるので、保護フィルム27bが剥離された液晶パネル2の表面に対し、塵埃が付着する可能性を可及的に低減することが出来る。
【0068】
また、本実施の形態のモジュール組立装置1は、液晶パネル2およびバックライトモジュール3を水平に配置し、下面側の保護フィルム27bが剥離された液晶パネル2を鉛直下方向に移動させて組付けるように構成されているので、上方から下方に重力に従って下降する塵埃が保護フィルム27b剥離後の液晶パネル2の表面に付着することを効果的に防止することが出来る。
【0069】
その後、剥離ロボットR3は、液晶パネル2の上面側に貼着されている保護フィルム27aを剥離するために、液晶パネル2と干渉しないようにフレーム構造体6から外方へ退避した位置で、剥離ハンドH3を180度反転させている。
【0070】
図11から次の状態に動作が進んだ図12では、次に処理すべき液晶パネル2がパレット4aに載置された状態で矢符A方向に搬送されて、位置P1に配置されている。さらに、組付ハンドH1は、組付ロボットR1によって、組付ハンドH1に備えられる吸着パッド11が、位置P1に配置された液晶パネル2に貼着されている保護フィルム27aに所定の位置で当接するように配置される。
【0071】
剥離ロボットR3は、バックライトユニット3に組み付けられた液晶パネル2から上面側の保護フィルム27aを剥離するために、剥離ハンドH3を保護フィルム27aの一角部近傍まで移動させている。このとき、剥離ハンドH3は、アームF3aの鉛直下方に配置されている。
【0072】
図12から次の状態に動作が進んだ図13では、液晶パネル2から保護フィルム27aが剥離された状態が示されている。その過程では、剥離ロボットR3が、剥離ハンドH3のローラ41を保護フィルム27aの一角部に当接させ、剥離ハンドH3を液晶パネル2の対角線方向に移動させて保護フィルム27aを初期剥離する。さらに、保護フィルム27aの一角部を挟持してから、剥離ハンドH3を図8に示すような剥離軌道K1およびK2に沿って移動させることによって、保護フィルム27aが液晶パネル2から剥離される。剥離された保護フィルム27aは、剥離ロボットR3によって、図示しない廃棄ボックスまで搬送されて廃棄される。そして、剥離ロボットR3は、剥離ハンドH3を、フレーム構造体6から外方へ退避した位置へ配置する。
【0073】
このように液晶パネル2がバックライトユニット3に組み付けられた後に、液晶パネル2から保護フィルム27aを剥離しているので、塵埃付着の可能性を可及的に低減させることができる。
【0074】
図13に示されている状態から再び図1に示されている状態に、モジュール組立装置1の動作は進行する。このように、本実施の形態のモジュール組立装置1は、液晶パネル2を反転することなく、また液晶パネル2の移動距離を短くして、液晶パネル2とバックライトユニット3を組付けることを可能として、生産性を向上させている。
【0075】
図14は、静電気除去器51が備えられている構成の保持ハンドH21を概略的に示す側面図である。液晶パネル2から保護フィルム27を剥離するときに剥離帯電による静電気が発生してしまう。そこで、図14に示すように、保持ハンドH21,H22の下部に静電気除去器51を設けることによって、保護フィルム27の剥離によって発生した静電気を除電することができる。したがって、保護フィルム27の剥離時の帯電量を低減することができ、液晶パネル2に備えられる電子部品などが剥離帯電によって静電破壊することを防止することができる。このような静電気除去器51は、除電効果は低減してしまうが、モジュール組立装置1の周辺に設置しても良い。
【0076】
以下、図15〜図20を用いて、本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aによる保護フィルム27の剥離および液晶パネル2とバックライトユニット3の組付け処理について説明する。図15〜図20は、本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの動作状態を示す図であり、各図において、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。本実施の形態モジュール組立装置1aは、保護フィルム27を剥離するために剥離ハンドH31,H32をそれぞれ備えた2台の剥離ロボットR31,R32が設けられる点を除いては、前述したモジュール組立装置1と同様に構成されるため、同一の構成については同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
先ず剥離ロボットR31,R32の構成について説明する。剥離ロボットR31と剥離ロボットR32とは同一の構成を有し、いずれも前述する剥離ロボットR3において関節G3bがなくなり、アームF3aとアームF3bとが一体的に連なった構成となっている。したがって、剥離ロボットR31,R32は、鉛直軸線まわりの3つの旋回自由度および鉛直方向の1つの直動自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。剥離ロボットR31,R32は、このような構成に限定されることなく、たとえば6軸または7軸垂直多関節ロボットによって構成されても良い。また、剥離ハンドH31,H32は、いずれも前述する剥離ハンドH3と同様に構成される。
【0078】
このように構成される剥離ロボットR31,R32は、フレーム構造体6に上下方向に沿って並べて取り付けられ、剥離ロボットR31は位置P3の高さよりもやや低い位置に設けられ、剥離ロボットR32は位置P2の高さよりもやや高い位置に設けられる。剥離ロボットR31は、剥離ロボットR32よりも上方に設けられている。また、剥離ハンドH31は、剥離ロボットR31の先端アームよりも鉛直上方に備えられ、剥離ハンドH32は、剥離ロボットR32の先端アームよりも鉛直下方に備えられる。このような構成により、剥離ロボットR31および剥離ハンドH31によって位置P3に配置された液晶パネル2の下面側の保護フィルム27bを剥離し、剥離ロボットR32および剥離ハンドH32によって位置P3においてバックライトユニット3に組み付けられた液晶パネル2の上面側の保護フィルム27aを剥離することができる。
【0079】
以下、本実施の形態のモジュール組立装置1aの動作について、図15〜図20を参照して説明を行うが、剥離ロボットR31,R32を除く残余の構成の動作は、図1および図9〜図13を参照して説明したモジュール組立装置1における動作と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0080】
図15に示す状態を初期状態として説明する。液晶パネル2は、位置P1において水平に配置されている。バックライト搬送コンベア5は、パレット5aに載置されたバックライトユニット3を矢符B方向に沿って搬送するように駆動されている。組付ハンドH1は、組付ハンドH1に備えられる吸着パッド11が、位置P1に配置された液晶パネル2に貼着されている保護フィルム27aに所定の位置で当接するように配置されている。保持ハンドH21,H22および剥離ハンドH31,H32は、液晶パネル2と干渉しないようにフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0081】
図15から次の状態に動作が進んだ図16では、液晶パネル2は、位置P3において水平に配置され、保持ハンドH21,H22によって、その周縁部において保持されている。また、バックライトユニット3は、位置P2において水平に配置された状態で、バックライト搬送コンベア5によって保持されている。剥離ロボットR31は、位置P3に配置されている液晶パネル2から下面側の保護フィルム27bを剥離するために、剥離ハンドH31を保護フィルム27bの一角部近傍まで移動させている。このとき、剥離ハンドH32は、依然としてフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0082】
図16から次の状態に動作が進んだ図17では、剥離ハンドH31によって、液晶パネル2から保護フィルム27bが剥離された状態が示されている。その過程では、先ず保持ハンドH21,H22に備えられる吸着パッド33に吸引力が導かれ、液晶パネル2が位置P3において固定される。そして、剥離ロボットR31が、剥離ハンドH31のローラ41を保護フィルム27bの一角部に当接させ、剥離ハンドH31を液晶パネル2の対角線方向に移動させて保護フィルム27bを初期剥離する。さらに、保護フィルム27bの一角部を挟持してから、剥離ハンドH31を図8に示すような剥離軌道K1およびK2に沿って移動させることによって、保護フィルム27bが液晶パネル2から剥離される。剥離された保護フィルム27bは、剥離ロボットR31によって、図示しない廃棄ボックスまで搬送されて廃棄される。そして、剥離ロボットR31は、剥離ハンドH31を、フレーム構造体6から外方へ退避した位置へ配置する。このとき、剥離ハンドH32は、依然としてフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0083】
図17から次の状態に動作が進んだ図18では、液晶パネル2がバックライトユニット3に組み付けられた状態が示されている。剥離ハンドH31,H32は、液晶パネル2と干渉しないようにフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0084】
図18から次の状態に動作が進んだ図19では、次に処理すべき液晶パネル2がパレット4aに載置された状態で矢符A方向に搬送されて、位置P1に配置されている。さらに、組付ハンドH1は、組付ロボットR1によって、組付ハンドH1に備えられる吸着パッド11が、位置P1に配置された液晶パネル2に貼着されている保護フィルム27aに所定の位置で当接するように配置される。
【0085】
剥離ロボットR32は、バックライトユニット3に組み付けられた液晶パネル2から上面側の保護フィルム27aを剥離するために、剥離ハンドH32を保護フィルム27aの一角部近傍まで移動させている。このとき、剥離ハンドH31は、依然としてフレーム構造体6から外方へ退避している。
【0086】
図19から次の状態に動作が進んだ図20では、液晶パネル2から保護フィルム27aが剥離された状態が示されている。その過程では、剥離ロボットR32が、剥離ハンドH32のローラ41を保護フィルム27aの一角部に当接させ、剥離ハンドH32を液晶パネル2の対角線方向に移動させて保護フィルム27aを初期剥離する。さらに、保護フィルム27aの一角部を挟持してから、剥離ハンドH32を図8に示すような剥離軌道K1およびK2に沿って移動させることによって、保護フィルム27aが液晶パネル2から剥離される。剥離された保護フィルム27aは、剥離ロボットR32によって、図示しない廃棄ボックスまで搬送されて廃棄される。そして、剥離ロボットR32は、剥離ハンドH32を、フレーム構造体6から外方へ退避した位置へ配置する。
【0087】
このように、剥離ハンドH31を備えた剥離ロボットR31と剥離ハンドH32を備えた剥離ロボットR32とを設けることによって、剥離ロボットR31によって位置P3に配置されている液晶パネル2の保護フィルム27bの剥離が行われている時に、剥離ロボットR32によって位置P2においてバックライトユニット3に組み付けられた液晶パネル2の保護フィルム27aの剥離を行うことが出来るので、剥離ロボットを1台のみ設ける場合と比較して、剥離のための待ち時間を無くすことが出来るので、生産性を向上させることが出来る。また、このように2台の剥離ロボットR31,R32および剥離ハンドH31,H32によって、位置P3に配置されている液晶パネル2の保護フィルム27bと位置P2に配置されている液晶パネル2の保護フィルム27aとを同時に剥離するように制御すれば、剥離された2枚の保護フィルム27a,27bの粘着面同士を貼り合せながら剥離することが可能となる。このように剥離することによって、剥離後の保護フィルムが装置に不所望に付着してしまうことを防止して廃棄することができる。
【0088】
上記の実施例におけるモジュール組立装置1,1aは、その構成の一例を示したものであって、ロボットの種類について限定するものでなく、またロボットの配置や固定方法についても限定するものでもなく、また基板やワークの配置や供給方法や取扱い方についても限定するものでもないことを付記しておく。また、上記の実施例における説明では、基板とワークを液晶パネル2とバックライトユニット3として説明を行っているが、本発明においては基板とワークの組み合わせを限定するものではないことを付記しておく。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の一形態のモジュール組立装置1の構成を示す図であり、第1の動作状態を示す図である。(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図2】液晶パネル2の一例を示す断面図である。
【図3】本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる組付ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる保持ロボットR21の構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】液晶パネル2が保持ハンドによって保持されている状態の一部を簡略化して示す概略断面図である。
【図6】液晶パネル2が載置部材32に載置されている状態を簡略化して示す平面図であり、(a)はサイズの大きな液晶パネル2aの場合を示す図であり、(b)はサイズの小さな液晶パネル2bの場合を示す図である。
【図7】本実施の形態のモジュール組立装置1に用いられる剥離ロボットR3の構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】保護フィルム27の一角部を挟持した剥離ハンドH3の移動経路を示す図である。
【図9】本実施の形態のモジュール組立装置1の第2の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】本実施の形態のモジュール組立装置1の第3の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図11】本実施の形態のモジュール組立装置1の第4の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本実施の形態のモジュール組立装置1の第5の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図13】本実施の形態のモジュール組立装置1の第6の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図14】静電気除去器51が備えられている構成の保持ハンドH21を概略的に示す側面図である。
【図15】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第1の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図16】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第2の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図17】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第3の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図18】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第4の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図19】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第5の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図20】本発明の実施の他の形態のモジュール組立装置1aの第6の動作状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0090】
1,1a モジュール組立装置
2 液晶パネル
3 バックライトユニット
4 パネル搬送コンベア
5 バックライト搬送コンベア
6 フレーム構造体
26a,26b 偏光板
27a,27b 保護フィルム
51 静電気除去器
H1 組付ハンド
H3,H31,H32 剥離ハンド
H21,H22 保持ハンド
R1 組付ロボット
R3,R31,R32 剥離ロボット
R21,R22 保持ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の両側の表面に保護フィルムが貼着されている基板を保持する基板保持手段と、
保護フィルムの端部を保持するフィルム保持部と、フィルム保持部を少なくとも基板の表面に沿う方向に移動させる移動部とを有する剥離手段と、
基板が載置されるワークを、基板保持手段によって予め定める保持位置において保持される基板の一方の表面と対向するように、予め定める配置位置に配置するワーク配置手段と、
保持位置に保持される基板および配置位置に配置されるワークのうち少なくともいずれか一方を互いに近接する方向に移動させる組付手段と、
基板の一方および他方の表面から保護フィルムを剥離するように剥離手段を制御し、基板とワークとを組付けるように組付手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とするモジュール組立装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ワークに対向する側の基板の表面に貼着されている保護フィルムを、ワークに対向しない側の前記基板の表面に貼着されている保護フィルムよりも先に剥離するように剥離手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のモジュール組立装置。
【請求項3】
前記剥離手段によってワークに対向する側の基板の表面に貼着されている保護フィルムを前記基板の表面から剥離した後に、前記組付手段は、前記保護フィルムを剥離した基板および前記配置位置に配置されるワークのうち少なくともいずれか一方を、基板の面方向に垂直な方向に移動させて、基板とワークとを組付けることを特徴とする請求項1または2に記載のモジュール組立装置。
【請求項4】
前記ワーク配置手段は、ワークを保持するワーク保持部を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項5】
前記基板保持手段および前記ワーク配置手段は、保持位置に保持される基板と配置位置に配置されるワークとが互いに平行になるように、基板およびワークをそれぞれ保持することを特徴とする請求項4に記載のモジュール組立装置。
【請求項6】
前記基板保持手段および前記ワーク配置手段は、基板およびワークをそれぞれ水平に保持し、前記組付手段は、基板を鉛直方向に移動させることを特徴とする請求項5に記載のモジュール組立装置。
【請求項7】
前記組付手段は、ワークに対向する側とは反対側において基板を保持して基板を移動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項8】
前記組付手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項9】
前記剥離手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項10】
前記基板保持手段は、多関節ロボットを具備することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項11】
前記基板保持手段は、2台の多関節ロボットを具備し、各多関節ロボットにはL字状の保持ハンドが設けられることを特徴とする請求項10に記載のモジュール組立装置。
【請求項12】
前記剥離手段は、フィルム保持部および移動部をそれぞれ2台ずつ備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のモジュール組立装置。
【請求項13】
前記ワーク配置手段によって予め定める配置位置に配置されたワークの位置を検出するワーク位置検出手段が、前記基板保持手段の下部に設けられることを特徴とする請求項11に記載のモジュール組立装置。
【請求項14】
基板から保護フィルムを剥離する際に発生する静電気を除去するための除電手段をさらに具備することを特徴とする請求項1〜13に記載のモジュール組立装置。
【請求項15】
厚み方向の両側の表面に保護フィルムが貼着された基板を保持し、前記基板の一方の表面から保護フィルムを剥離する工程と、
保護フィルムが剥離された側の基板の一方の表面に対向する位置にワークを配置する工程と、
前記基板を、前記基板の他方の表面で保持し、基板の面方向に垂直な方向に移動させて前記ワークに組付ける工程と、
ワークに組み付けられた基板の他方の表面から保護フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とするモジュール組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−36467(P2010−36467A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202453(P2008−202453)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】