説明

モジュール

【課題】小型のモジュールを提供する。
【解決手段】回路基板22の上面において回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間に設けられた境界6とを備え、この境界6上に装着された金属片24aと、樹脂部5の上面において少なくとも金属片24aに対応する位置に形成された溝25とを設け、溝25には金属片24aの一部が樹脂部5より露出された露出部を設けるとともに、溝25にはシールド導体9が形成され、露出部において金属片24aとシールド導体9とを接続したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の回路ブロックが形成され、これら回路ブロック間のシールドを必要とするモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のモジュールについて図面を用いて説明する。図8は従来のモジュールの断面図である。従来のモジュール1は、回路基板2の上面に形成された配線導体の上に、電子部品3aや電子部品3bが搭載されている。そしてこのモジュール1には、電子部品3aによって構成された回路ブロック4aと、電子部品3bによって構成された回路ブロック4bとが形成されている。
【0003】
回路基板2の上面には電子部品3aや電子部品3bが埋設された樹脂部5が形成される。この樹脂部5には、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの境界6上に凹部7が形成されている。凹部7は樹脂部5を貫通し、その底面は回路基板2の上面よりも深い位置にまで達している。
【0004】
ここで、回路基板2の上面あるいは内層には、グランド導体8が形成される。このグランド導体8は、基板の外周や、境界6に沿って形成されている。これにより、樹脂部5には、グランド導体8が樹脂部5から露出した露出部が形成される。
【0005】
そして、樹脂部5の上面と側面全周、および回路基板2の側面、ならびに凹部7の内面にシールド導体9が形成される。なおこのシールド導体9はスパッタにより形成されている。ここでシールド導体9とグランド導体8とは露出部によって接続されることになる。この構成により、回路ブロック4aと回路ブロック4bとに形成された回路それぞれをシールドできるとともに、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間のシールドを行うこととなる。
【0006】
なおこのとき境界6の領域では、凹部7によって回路基板2の厚みが薄くなり、反りなどが生じ易くなる。そこで、この凹部7へ樹脂5aを充填し、強度を大きくする。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−250900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながらこのような従来のモジュール1においては、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間をシールドするために、シールド導体9と境界6に沿って形成されたグランド導体8とを接続することが必要である。そこで、凹部7は樹脂部5を貫通し、回路基板2まで達する深さで形成されなければならない。ここで、スパッタなどにおいて樹脂部5や凹部7の内周面全体に均一にシールド導体9をするためには、凹部7の幅7aは凹部7の深さと同じ寸法以上必要となる。従って、凹部7の幅7aが大きくなる。それに加えて、境界6に沿って設けられたグランド導体8は、凹部7の幅7aより大きな幅8aが必要となる。従って、電子部品3a、電子部品3bを実装できるスペースが小さくなり、その結果モジュール1が大きくなるという課題を有していた。
【0010】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間でのシールドが必要なモジュールに対し、境界6の近傍において電子部品3a、電子部品3bが実装できない領域を小さくでき、回路ブロック4aと回路ブロック4bの間の距離を小さくすることで、小型なモジュールを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために境界上に装着された金属片と、樹脂部上面において少なくとも前記金属片に対応する位置に形成された溝とを設け、この溝には前記金属片の一部が前記樹脂部より露出される露出部を設け、この露出部において金属片とシールド導体とが接続されるものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、回路基板と、この回路基板上に装着された複数の電子部品と、これらの電子部品を覆うとともに、前記回路基板の上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の上面と側面とに形成されたシールド導体とを有し、前記回路基板の上面には、第1の回路ブロックと、前記回路基板上において前記第1の回路ブロックに隣接して形成された第2の回路ブロックと、前記回路基板の上面において前記第1の回路ブロックと前記第2の回路ブロックとの間に設けられた第1の境界とを備え、この第1の境界上に装着された第1の金属片と、前記樹脂部上面において少なくとも前記第1の金属片に対応する位置に形成された第1の溝とを設け、前記第1の溝には前記第1の金属片の一部が前記樹脂部より露出された第1の露出部を設けるとともに、前記第1の溝には前記シールド導体が形成され、前記第1の露出部で前記第1の金属片と前記シールド導体とが接続されたモジュールであり、これにより、金属片は境界上に装着され、この金属片に対応する位置に溝が形成されるので、溝の深さを小さくできる。従って、溝の幅も小さくできることとなるので、第1と第2の回路ブロック間の距離を小さくでき、モジュールを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本実施の形態におけるモジュールの断面図、(b)同、上面図
【図2】同、モジュールにおける上部から見た断面図
【図3】(a)他の例の金属片の上面図、(b)第3の例の金属片の上面図
【図4】(a)第4の例の金属片を用いたモジュールを上部から見た断面図、(b)同、上面図
【図5】(a)境界がT字型である場合のモジュールの断面図、(b)同、上面図
【図6】(a)境界がL字型である場合のモジュールの断面図、(b)同、上面図
【図7】同、モジュールの製造フローチャート
【図8】従来のモジュールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態におけるモジュールについて図面を用いて詳細に説明する。図1(a)は、本実施の形態におけるモジュール21の断面図であり、図1(b)は同、上面図であり、図2は同、上面から見た断面図である。図1(a)、(b)、図2において、従来(図8)と同じものには同じ番号を用いている。
【0015】
回路基板22の上面には配線導体が形成され、この配線導体の所定の位置に電子部品3a、電子部品3bが装着されている。ここでこの回路基板22上には電子部品3aによって形成される回路ブロック4aと、電子部品3bによって形成される回路ブロック4bとが形成される。なお本実施の形態では、回路ブロック4aには電子チューナの回路が構成され、回路ブロック4bには復調回路が構成される。
【0016】
回路基板22の上面において、回路ブロック4aと回路ブロック4bの間の境界6にはグランド導体23が形成され、このグランド導体23上には金属片24aが装着される。本実施の形態においてグランド導体23は、回路基板22の上面に回路基板22を横断するように形成され、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間の回路の間は、回路基板22の内層に設けられた信号配線導体によって接続される。なお、この場合回路基板22にはグランド導体23と対向する位置にもグランド導体8を設け、このグランド導体8とグランド導体23との間に信号配線導体が挟まれる構成とすると良い。
【0017】
さらに金属片24aは回路基板22の幅とほぼ同じ長さを有している。つまり、金属片24aは回路基板22の両端間を横断するようにして、境界6上に設けられることとなる。そしてこれにより、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間を確実に分離できる。なお、金属片24aは回路基板22の幅寸法より小さくしても良い。この場合、金属片24aの装着ずれが生じても、金属片24aが回路基板22の外形より突出することがない。
【0018】
回路基板22の上面には電子部品3a、電子部品3bや金属片24aが埋設された樹脂部5が形成される。この樹脂部5の上面において金属片24aに対応する位置には、溝25が形成されている。なおこの溝25は、金属片24aの上の樹脂を貫通し、溝25の底面では金属片24aの一部が露出している。
【0019】
本実施の形態において回路基板22の上面あるいは内層には、グランド導体8が形成される。なおこのグランド導体8は、基板の外周に沿って形成されており、樹脂部5あるいは回路基板22の側面からグランド導体8が露出した状態となっている。そして、樹脂部5の上面と側面全周、および回路基板22の側面、ならびに溝25の内面にシールド導体9が形成される。これにより、シールド導体9は、回路基板22側面においてグランド導体8の露出部と接続され、溝25の底面において金属片24aと接続されることになる。これにより、回路ブロック4aと回路ブロック4bとに形成された回路それぞれをシールドできるとともに、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間をしっかりとシールドできることとなる。
【0020】
そして以上の構成により、金属片24aが装着されているので、溝25の深さを浅くてよく、溝25の幅を小さくできる。従って、境界6によって電子部品3aや電子部品3bを実装できないスペースを小さくすることができ、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの距離を短くすることができるので、モジュールを小型化できる。
【0021】
さらに、本実施の形態では、金属片24aは回路基板22の幅と同じとしてあるので、金属片24aの両端部は樹脂部5から露出する。これによって金属片24aは金属片24aの両端部でもシールド導体9と接続される。したがって、さらにしっかりと回路ブロック4aと回路ブロック4bとに形成された回路それぞれをシールドできる。
【0022】
なお本実施の形態において、シールド導体9はスパッタにより形成されているので、非常に緻密な膜を形成することができるので、非常に良好なシールドを得ることができる。
【0023】
図3(a)は、本実施の形態のモジュール21における他の例の金属片の上面図である。図3(a)に示したように、金属片24aには細幅部31を形成しておいても良い。このとき、金属片24aには、細幅部31よりも太い幅を有した装着部32を設け、この装着部32でグランド導体23へ接続される。本実施の形態では装着部32を金属片24aの両端に形成することによって、安定して実装が可能となる。ただし装着部32は、回路ブロック4aや回路ブロック4bの形状に応じて、1箇所以上設ければよい。また装着部32や細幅部31の位置も回路ブロック4aや回路ブロック4bの形状に応じて、適宜変更すればよい。このように細幅部31が形成されるので、境界6の近傍に電子部品3a、電子部品3bを実装可能となるので、さらに回路基板22を有効に利用できる。したがって、モジュール21を小型化することができる。そしてこの例において、細幅部31の幅が細い場合、溝25の幅は細幅部31の幅より大きくすると良い。これによりたとえ溝25がずれた位置に加工された場合や、金属片24aがずれて装着されても、確実に金属片24aを露出させることができる。
【0024】
図3(b)は同、第3の例の金属片の上面図である。図3(b)に示すように、金属片24aは薄い金属製の鋼板を折り曲げて形成してもよい。この場合金属片24aには境界6上に配置される仕切り部35が形成される。装着部36は、この仕切り部35から折り曲げて形成されている。このように薄い鋼板を折り曲げて形成されるので、金属片24aによって電子部品3aや電子部品3bを実装できない領域が小さくできる。したがって、モジュール21を小型化できる。ここで本例の場合、仕切り部35の両側へ装着部36を設けているので、金属片24aを回路基板22へ装着時に、倒れや傾きなどが発生しにくくなる。したがって、電子部品3aや電子部品3bを仕切り部35に対して近接して実装できるので、さらに回路基板22を有効に利用することができる。
【0025】
図4(a)は第4の例の金属片を用いたモジュール21を上部から見た断面図であり、図4(b)は、同上面図である。図4(a)、図4(b)において、図1から図3と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化してある。図4(a)、図4(b)において、金属片24bは短い四角柱状(チップ部品状)の形状とし、この金属片24bを境界6上に並べて実装する。この場合、金属片24bはチップ部品状であるので、汎用の実装機を用いて実装することができるので、非常に生産性が良好である。なおこのとき、金属片24bは溝25によって金属片24bの一部が露出する範囲で、ずらして装着することもできる。これによって、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間の境界6が凸凹していても、容易に境界6に沿ったシールドを行うことができる。また、この場合、隣り合う金属片24b同士の間には隙間が設けられるので、回路ブロック4aと回路ブロック4bの回路の間の接続は、この隙間で行なう。つまり、この隙間の位置において、回路基板22の上面に信号配線導体を配線すれば良いので、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間の接続のために多層基板とする必要がなく、安価なモジュール21を実現できる。図4では、3個の金属片24bを回路基板22上に実装したが、これは3個に限るものではなく、回路基板22の幅の寸法や、境界6の形状に応じて適宜決めれば良い。
【0026】
図5(a)は境界がT字型である場合のモジュールの断面図であり、図5(b)は同、上面図である。なお、これら図5(a)、図5(b)において、図1から図4と同じものについては同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。図5(a)、図5(b)において、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間には、境界6を有しており、この境界6上には金属片24aが装着されている。さらに回路ブロック4bは、境界6aによって回路ブロック4cと回路ブロック4dとの2つに分離されている。なお、境界6と境界6aとはT字型をなしており、これら境界6と境界6aに対し、それぞれ金属片24aと金属片24cが装着される。そしてこの場合溝25は、金属片24a、金属片24cを露出させるために十字に形成されている。この構成により、回路ブロック4aと回路ブロック4cと回路ブロック4dとの間をそれぞれシールドすることが可能となる。
【0027】
ただしこの場合、溝25はモジュール21を横断するように形成されるので、樹脂部5の上面において、金属片24cがない領域(境界6aの延長線上の位置)にも溝25が形成されることとなる。しかし、この溝25は金属片24cが露出するだけの深さで良いため、浅くできる。従って溝25の下方となる位置にも電子部品3aを実装することができる。
【0028】
このように金属片24aと金属片24cとをT字型に配置する場合、金属片24aと金属片24cとの間には隙間を設けておく。これは金属片24aあるいは金属片24cの実装ずれによって金属片24aと金属片24cとが当たらないようにするためである。そこでこの隙間は実装ずれの最大寸法程度としておく。一般的な実装機では約0.15mm程度の隙間を設けておく。そしてこの隙間はクリーム半田42によって接合することによって、さらに確実にシールドを行っている。
【0029】
図6(a)は境界がL字型である場合のモジュールの断面図であり、図6(b)は同、上面図である。なお、これら図6(a)、図6(b)において、図1から図5と同じものについては同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。図6(a)、図6(b)において、回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間には、境界6aと境界6bとを有しており、これら境界6aと境界6bとはL字型をなしている。そこで、境界6aと境界6bに対し、それぞれ金属片24cと金属片24dが装着される。ただし溝25は金属片24c、金属片24dを露出させるために十字に形成される。なお溝25はモジュール21を横断するように形成されるので、樹脂部5の上面において、金属片24c、金属片24dがない領域52や領域53(境界6a、境界6bの延長線上の位置)にも溝25が形成されることとなる。しかし、この溝25は金属片24c、金属片24dが露出するだけの深さで良いため、浅くできる。従って領域52や領域53の溝25の下方の位置にも電子部品3aを実装することができるので、実装スペースを損なうことがない。
【0030】
なお金属片24c、金属片24bには、本実施の形態で記載したいずれかの金属片24aあるいは金属片24bを用いても構わない。またこのように境界6aと境界6bとはL字型に限らず、U字型やロの字型であっても良く、同様にそれぞれの境界6aや境界6b上に金属片24cや金属片24dを装着する。これによりさまざまな形状や配置の回路ブロック4aと回路ブロック4bをシールドできる。
【0031】
図7は、本実施の形態におけるモジュールの製造フローチャートである。図7において、図1、図2と同じものには同じ番号を用いて、その説明は簡略化している。連結基板40は、複数個の回路基板22がある一定の間隔で配置され、これらの回路基板22同士の間は連結部によって連結されている。クリーム半田印刷工程41では、この連結基板40の上面にメタルマスクなどによって、クリーム半田42を塗布する。このとき電子部品3aや電子部品3bを装着する位置やグランド導体23上にクリーム半田42が塗布される。
【0032】
実装工程43ではクリーム半田印刷工程41の後で、回路基板22上面の所定の位置へ電子部品3aや電子部品3bを装着するとともに、金属片24aをグランド導体23上へ装着する。ここで金属片24aの長さは回路基板22の幅より大きく、金属片24aの両端が回路基板22外周となる位置より突出するように装着される(ここでは金属片24aで代表して説明する。なお金属片24b、金属片24c、金属片24dもこの実装工程43で回路基板22上に実装される。)。そしてリフロー工程44では実装工程43の後で、クリーム半田42を加熱して溶融し、冷却して硬化させることにより、電子部品3a、電子部品3bや、金属片24aを回路基板22上へはんだによって接続・固定する。
【0033】
モールド工程45はリフロー工程44の後で、連結基板40の上面(電子部品3a、電子部品3b、金属片24aが実装された面側)に樹脂部5を形成する工程である。本実施の形態においては、トランスファー樹脂成型金型によって連結基板40上にキャビティを形成し、このキャビティへ溶けた樹脂5aを流し込み、硬化させる。これにより電子部品3a、電子部品3b、金属片24aが埋設された樹脂部5が回路基板22の上面に形成される。なおこのとき、金属片24aが完全に樹脂5aで埋まるようにしておく。
【0034】
溝加工工程46はモールド工程45の後で、樹脂部5上面に溝25を形成する工程である。この溝加工工程46では、金属片24aに対応する位置にダイシング歯によって樹脂部5に溝25を形成するものであり、溝25は樹脂部5から金属片24aが露出する深さまで加工される。これにより、樹脂部5の溝25の底では金属片24aが露出した状態となる。なお、溝25は回路基板22の端から端まで完全に横断するように形成される。なお、金属片24aと金属片24cあるいは金属片24cと金属片24dのように互いに直交して金属片が配置される場合、溝25は十字に形成される。この場合も縦横の溝25ともに回路基板22を完全に横断するように設けられる。
【0035】
分割工程47は溝加工工程46の後で、ダイシング歯によって樹脂部5と回路基板22間を連結する連結部とを切断し、回路基板22を分離する。これにより、回路基板22の側面からグランド導体8が露出することとなる。なお本実施の形態では金属片24aの両端部(あるいは金属片24cの端部)は回路基板22の外周へ突出しているので、この分割工程47において金属片24aの両端部(あるいは金属片24cの端部)も切断されることとなる。これによって、金属片24aの両端(あるいは金属片24cの端部)が樹脂部5側面から露出することとなる。
【0036】
そしてシールド導体形成工程48は分割工程47の後で、樹脂部5(上面と側面)と回路基板22の側面とにシールド導体9を形成する。このとき、溝25の底部に形成される金属片24aの露出部の上や、回路基板22の側面に形成されるグランド導体8の露出部の上、そして樹脂部5の側面に露出した金属片24aの両端部(あるいは金属片24cの端部)にもシールド導体9が形成される。これにより、シールド導体9と金属片24a(あるいは金属片24c)やシールド導体9とグランド導体8とが接続され、回路ブロック4aと回路ブロック4b(T字型配置の場合には、および回路ブロック4cと回路ブロック4d)とがシールドされたモジュール21が完成する。つまり、回路ブロック4a、回路ブロック4bはそれぞれ、グランド導体23、金属片24a、シールド導体9とに囲まれることとなるので、回路ブロック4a、回路ブロック4b(T字型配置の場合には、および回路ブロック4cと回路ブロック4d)は、それぞれしっかりとシールドできる。
【0037】
そこで例えば回路ブロック4aあるいは回路ブロック4b(T字型配置の場合には、および回路ブロック4cと回路ブロック4d)に高周波回路を形成しても、互いの回路間の干渉を小さくできるので、それらの回路ブロック4a、回路ブロック4bを近い位置に配置することもできる。従ってそれら回路ブロック4aと回路ブロック4bとの間の距離(T字型配置の場合には、回路ブロック4cと回路ブロック4dとの距離も)を小さくできるので、小型なモジュール21を実現できる。なお本実施の形態においてシールド導体9は、スパッタリングにより形成されるので、非常に緻密なシールド導体9を形成できるので、シールド性が良好である。
【0038】
本実施の形態において、金属片24a、金属片24cや金属片24dの端部は回路基板22の外周より突出するように装着され、分割工程47によって切断されて、破断面が樹脂部5から露出する構成としている。しかし、金属片24a、金属片24bや金属片24dの端部を回路基板22の外周より突出しない程度としておいても良い。この場合、分割工程47において金属片24a、金属片24cや金属片24dが切断されないので、ダイシング歯の寿命を長くできるとともに、モジュール21外形にダイシングによる金属バリが生じない。これは、モジュール21をマザー基板へ装着する場合に、モジュール21に隣接する電子部品などとの間でのショートを発生させないために重要である。
【0039】
また、逆に金属片24bを回路基板22から突出するように装着しておいても良い。これにより、金属片24bが樹脂部5の側面においてもシールド導体9と接続できるので、さらにシールド性が向上する。さらに、金属片24b同士の間をクリーム半田42などで埋めると良く、金属片24b同士の隙間が小さくなるので、さらにシールド性が良好になる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明にかかるモジュールは、小型化できるという効果を有し、複数の高周波回路ブロックが形成された高周波モジュール等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0041】
3a 電子部品
3b 電子部品
4a 回路ブロック
4b 回路ブロック
5 樹脂部
6 境界
9 シールド導体
22 回路基板
24a 金属片
25 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、この回路基板上に装着された複数の電子部品と、これらの電子部品を覆うとともに、前記回路基板の上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の上面と側面とに形成されたシールド導体とを有し、前記回路基板の上面には、第1の回路ブロックと、前記回路基板上において前記第1の回路ブロックに隣接して形成された第2の回路ブロックと、前記回路基板の上面において前記第1の回路ブロックと前記第2の回路ブロックとの間に設けられた第1の境界とを備え、この第1の境界上に装着された第1の金属片と、前記樹脂部上面において少なくとも前記第1の金属片に対応する位置に形成された第1の溝とを設け、前記第1の溝には前記第1の金属片の一部が前記樹脂部より露出された第1の露出部を設けるとともに、前記第1の溝には前記シールド導体が形成され、前記第1の露出部で前記第1の金属片と前記シールド導体とが接続されたモジュール。
【請求項2】
溝は樹脂部上面を一直線に横断して形成された請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
回路基板上面から溝の底までの高さは、前記電子部品の高さより高くした請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
第1の境界はL字型をなして形成され、前記第1の金属片は直線状であるとともに、前記金属片が前記第1の境界に沿ってL字型に配置された請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記第2の回路ブロックは、第3の回路ブロックと、この第3の回路ブロックに隣接して形成された第4の回路ブロックとを含むとともに、前記第3と前記第4の回路ブロックとの間に設けられた第2の境界とを有し、前記第1と第3と第4の回路ブロックは、前記第1の境界と前記第2の境界とがT字型をなす位置に配置され、前記第2の境界上に装着された第2の金属片と、前記樹脂部上面において少なくとも前記第2の金属片に対応する位置に形成された第2の溝とを設け、前記第2の溝には前記第2の金属片の一部が前記樹脂部より露出された第2の露出部を設けるとともに、前記第2の溝には前記シールド導体が形成され、前記第2の露出部で前記第2の金属片と前記シールド導体とが接続された請求項3に記載のモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−187677(P2011−187677A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51384(P2010−51384)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】