説明

モバイル装置を介した文書処理ジョブ制御

【課題】文書処理装置に情報を手作業で入力することなく文書処理ジョブを作成するための手法が提供される。
【解決手段】モバイル装置は、文書処理装置の識別情報を走査し、ジョブ設定データを生成し、それをネットワーク・サービスに送出する。ジョブ設定データの受け取りに応じて、ネットワーク・サービスは、ジョブ設定デ―タをリポジトリに記憶し、ジョブ識別子を生成し、ジョブ識別子をジョブ設定と関連付け、ジョブ識別子をモバイル装置に送出する。モバイル装置は、ジョブ識別子を受け取り、これを文書処理装置に送出する。文書処理装置はジョブ識別子を使用して、ネットワーク・サービスからジョブ設定データを取り出す。ジョブ設定データの受け取りに応じて、文書処理装置は、ジョブ設定に応じて1つ又は複数の文書を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は西暦2010年8月31日付出願の米国特許出願第12/872829号及び西暦2010年9月28日付出願の米国特許出願第12/892155号に関連しており、前述の出願の何れの内容も全体を、本明細書及び特許請求の範囲において全面的に記載されているように、本明細書及び特許請求の範囲において参照によって援用する。
【0002】
本発明は、モバイル装置が文書処理ジョブを作成し、ネットワーク・サービスにおいてジョブを記憶することを可能にする工程、及び、複合機端末などの文書処理装置が、処理するためにネットワーク・サービスから文書処理ジョブを取り出すことを可能にする工程に関する。
【背景技術】
【0003】
本部分において説明する手法は、必ずしも、先行して考え出されたか、又は、実行されている手法でないが、実行することが可能な手法である。したがって、別途明示しない限り、この部分において説明する手法の何れも、単にこの部分に含まれていることにより、従来技術としてみなされるとするべきでない。
【0004】
データを走査し、印刷し、又はその他のやり方で処理するために複合機端末(MFP)を使用する従来の手法は多くの場合、MFPのディスプレイを介してユーザ名及びパスワードを手作業で提供することにより、ユーザがMFPに対して認証することを必要とする。認証が首尾良く行われると、ユーザは、MFPがユーザ・ジョブの実行を開始することが可能になる前に、ジョブ・リリース・コードを入力し、ジョブ識別子を入力し、MFPのディスプレイから機能及びオプションを選択し、場合によっては、更なる特定の情報を入力することが必要になり得る。前述及び他の手作業の動作を行うことは、誤りがちであり、退屈であり、時間がかかり得る。多くのMFPは、限定的な機能を有する単純なユーザ・インタフェースを有しているからである。
【0005】
更に、ユーザは、特定のMFPに特有のグラフィカル・ユーザ・インタフェースに慣れていないことがあり得る。したがって、不慣れなインタフェースをナビゲートする処理は、困難であり、かつ、期待外れのものであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複合機端末(MFP)などの文書処理装置に情報を手作業で入力することなく文書処理ジョブを作成するための手法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
モバイル装置は、文書処理装置の符号化データを走査し、ジョブ設定データを生成し、それをネットワーク・サービスに送出する。ジョブ設定データは、文書処理ジョブの1つ又は複数のジョブ設定と関連付けられる。ジョブ設定データの受け取りに応じて、ネットワーク・サービスは、ジョブ設定デ―タをリポジトリに記憶し、ジョブ識別子を生成し、ジョブ識別子をジョブ設定と関連付け、ジョブ識別子をモバイル装置に送出する。モバイル装置は、ジョブ識別子を受け取り、これを文書処理装置に送出する。文書処理装置はジョブ識別子を使用して、ネットワーク・サービスからジョブ設定データを取り出す。ジョブ設定データの受け取りに応じて、文書処理装置は、ジョブ設定に応じて1つ又は複数の文書を処理する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例による、文書データを処理するための例示的なアーキテクチャを表すブロック図である。
【図2】本発明の実施例による、MFPの例示的な操作パネルを表す図である。
【図3】本発明の実施例による、文書処理装置、モバイル装置、及びネットワーク・サービス間でやりとりされる通信を表すフロー図である。
【図4】本発明の実施例による、符号化データ及びジョブ識別子を利用するための手法を表すフロー図である。
【図5】は、本発明の実施例を実現し得るコンピュータ・システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の徹底的な理解を得るために数多くの具体的な詳細を記載している。しかし、前述の具体的な詳細なしで本発明を実施し得るということは明らかになるであろう。他の場合には、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるために周知の構造及び装置をブロック図で示す。
【0010】
1.0 概要
2.0 システム・アーキテクチャ
2.1 文書処理装置
2.2 文書処理装置の操作パネル
2.3 ネットワーク・サービス
2.4 モバイル装置
2.5 ジョブ識別子
3.0 符号化データを利用した通信
4.0 ジョブ識別子の使用
5.0 実現機構
【実施例】
【0011】
1.0 概要
文書処理装置の符号化データを利用して、文書処理装置上で現在利用可能な機能及びオプションを識別し、文書処理装置のネットワーク・インタフェース・データを利用して、ジョブ識別子を文書処理装置に送信するための手法が提供される。
【0012】
2.0 システム・アーキテクチャ
図1は、本発明の実施例による、文書処理装置の符号化データを利用するための例示的なシステム・アーキテクチャ100を表すブロック図である。アーキテクチャ100は、文書処理装置102、クラウド104、モバイル装置108、及び、通信可能にクラウド104に結合された他のネットワーク・サービス110を含む。例証の目的のみのため、他のネットワーク・サービス110は、電子文書を記憶し、アーカイブし、編成する記憶及びリポジトリ機能を提供し得る外部サービス130A乃至Cを含む。しかし、本発明の実施例は外部サービス130A乃至130Cに制限されるものでない。通信するようクラウド104に結合された他のネットワーク・サービス110が何れかの数、あってもよい(が、全くなくてもよい)。
【0013】
文書処理装置102、モバイル装置108、及び他のネットワーク・サービス110それぞれと、クラウド104との間の通信リンクは、図1の構成要素間でデータをやりとりすることができる何れかの媒体又は機構によって実現し得る。前述のリンクの例には、限定でないが、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、イーサネット(登録商標)、若しくは、インターネット、若しくは、1つ又は複数の地上リンク、衛星リンク、若しくは無線リンクなどのネットワークが含まれる。
【0014】
2.1 文書処理装置
文書処理装置102は、クラウド104においてネットワーク・サービス106と通信し、種々の文書データを処理するよう構成されたネットワーク装置である。文書処理装置102は、複合機端末(MFP)102であり得、印刷、走査、ファクシミリ、及び他のタイプの文書処理を行うよう構成し得る。
【0015】
例えば、MFP102は、1つ又は複数の印刷文書を走査し、一又は複数の電子文書データを表す走査済文書データを生成するよう構成し得る。走査済文書データは、特定の実現形態に応じて種々のフォーマットをとり得る。例示的なフォーマットの1つには、アドビ・システム社によるポータブル文書フォーマット(PDF)があり得る。MFP102は、光学式文字認識(OCR)手法などの種々のデータ変換手法を使用して、PDFなどの非テキストのフォーマットからテキスト・ベースのフォーマットに走査済文書データを変換するようにも構成し得る。MFP102は更に、MFP102とクラウド104との間に確立された通信リンクを介して、ネットワーク・サービス106の記憶装置124などの別の場所に走査済文書データを送信するよう構成することが可能である。
【0016】
一実施例では、文書処理装置102は記憶装置118に記憶された電子文書データを処理するための機能を実現する。文書処理装置102は更に、ネットワーク・サービス106の記憶装置124から記憶装置118に電子文書データをダウンロードするよう構成することが可能である。
【0017】
図1では、文書処理装置102は、操作パネル112と、走査処理114と、印刷処理116と、符号化データ生成器150と、ジョブ取出器152と、記憶装置118とを含む。操作パネル112は、ユーザに向けて情報を表示し、ユーザ入力を受け入れるよう構成される。
【0018】
操作パネル112の実現形態は、文書処理装置102のアーキテクチャに応じて変わり得る。一実施例では、操作パネル112は、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を表示することが可能なタッチ画面部分を有する画面を含み得る。タッチ画面は、ユーザがGUI上でアイコン及びGUIオブジェクトを選択することを可能にすることができる。GUIは、文書処理装置102によって提供される機能における変更を反映するよう更新し得る。操作パネル112は、ユーザ入力を受け取るための数値キーパッド及び制御ボタンも含み得る。操作パネル112の例は、図2を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0019】
走査処理114は、1つ又は複数の印刷文書を文書処理装置102によって走査させ、1つ又は複数の印刷文書を表す走査済文書データを生成するよう構成される。走査処理114は例えば、(図1に表されない)走査開始制御ボタンのユーザの選択に応じて開始し得る。
【0020】
印刷処理116は、対応する電子文書データに基づいて、文書処理装置102によって1つ又は複数の文書を印刷させるよう構成される。印刷処理116は、例えば、(図1に表していない)印刷開始制御ボタンのユーザの選択に応じて、又は、ネットワーク・サービス106からの電子文書に関連付けられた機能及びオプションのユーザの選択、及び電子文書データのダウンロードを文書処理装置が完了したことに応じて開始し得る。
【0021】
一実施例では、特定の印刷ジョブの印刷を可能にするために、印刷処理116は、印刷ジョブに特有の情報を取り出す。前述の情報は、印刷設定選択データ及び電子文書識別データを含み得る。印刷設定選択データは、印刷ジョブを行っている間に文書処理装置102が適用すべき機能及びオプションの説明を提供する。電子文書識別データは、文書処理装置102によって印刷される対象の電子文書を識別する情報を含む。例えば、電子文書識別データは、電子文書名、電子文書データへのウェブ・リンク、電子文書データに対するポインタ、又は、文書処理装置102が電子文書データを取り出し、記憶装置118にダウンロードすることを可能にする何れかの他の情報を含み得る。
【0022】
印刷処理116は、電子文書データを記憶装置118にダウンロードし、特に、他のデータ122として図1上にラベリングされた記憶装置118の一部にダウンロードするよう構成される。電子文書データは、記憶装置124から、外部ネットワーク・サービス110に関連付けられた記憶装置から、又は、文書処理装置102に利用可能な何れかの他の記憶装置にダウンロードすることが可能である。
【0023】
符号化データ生成器150は、文書処理装置102に特有の符号化データを生成し、表示するよう構成される。例えば、符号化データは、モバイル装置108などの他の装置が、文書処理装置102を識別し、文書処理装置102の機能を判定し、モバイル装置108がジョブ識別子を文書処理装置102に送信することを可能にするためのネットワーク・インタフェース・データを提供するために使用することが可能である。
【0024】
符号化データは、広範囲にわたる種類のデータ・フォーマットで符号化し得、特定の実現形態に応じて種々のデータ符号化手法を使用して生成し得る。例えば、符号化データは、クイック・レスポンス(QR)コード手法を使用して符号化することが可能である。
【0025】
クイック・レスポンス(QR)コードは、グラフィカル形式でデータを表すための2次元コードである。データは、1及び0を含むストリングに符号化され、ストリングは、黒色画素及び白色画素を含む行及び列としてグラフィックに表される。例えば、QRコード(登録商標)は、2次元の画素アレイを利用し得、各画素は、2つのブール値のうちの関連付けられた一方を有し得る。例えば、符号化に応じて、特定の画素に、ブール値「1」が関連付けられている場合、画素は、黒色の矩形又は方形で埋められる。しかし、符号化に応じて、特定の画素に、ブール値「0」が関連付けられている場合、画素は、白色の矩形又は方形で埋められる。符号化を使用すれば、2次元アレイの行及び列は黒色及び白色の矩形で埋められ、画素の群は、符号化データとして解釈される。矩形の色とブール値との関連付けの他の組み合わせも想定される。
【0026】
他の実施例では、符号化データはバー・コードであり得、バー・コードにおいては、データは1及び0を含むストリングに符号化され、ストリングは、黒色のバー及び白色のバーの行としてグラフィカルに表される。符号化データは、1つ又は複数のシンボル、1つ又は複数の英数字、又は何れかの他の符号化形式によって表すことも可能である。
【0027】
一実施例では、符号化データ生成器150は、符号化データを生成して特定の情報を表し、符号化データを表示して、他の装置に符号化データを利用可能にするよう構成される。
【0028】
一実施例では、符号化データは、a)文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプションと、b)文書処理装置102のネットワーク・インタフェース・データとを表し、ネットワーク・インタフェース・データは、モバイル装置108が、ジョブ識別子を文書処理装置102に送信することを可能にし得る。
【0029】
符号化データ生成器150は、文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプションを符号化し、符号化データを表示して、文書処理装置102の機能を他の装置が判定することを可能にする。文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプションの例には、限定でないが、印刷の機能及びオプション(両面オプション、仕上げ機能、文書処理装置102上で利用可能な用紙フォーマットのタイプ)、文書処理装置102上で利用可能なフォーマッティングのタイプ、カラー印刷又は白黒印刷、部単位での印刷を行うか否か、文書処理装置102に特有の文書走査機能及びオプション、並びに他の機能が含まれる。
【0030】
符号化データ生成器150は、文書処理装置102のネットワーク・インタフェース・データを符号化して、モバイル装置108が、ジョブ識別子(後述する)を文書処理装置120に送信することを可能にする。ネットワーク・インタフェース・データの例には、ネットワーク・サービスのユニフォーム・リソース識別子(URI)、ネットワーク・サービスの電子メール・アドレス等を含み得る。
【0031】
ネットワーク・インタフェース・データは、文書処理装置102との通信リンクを確立し、ジョブ識別子を文書処理装置102に送信するためにモバイル装置108によって使用することが可能である。例えば、モバイル装置108は、ユニフォーム・リソース識別子(URI)などのネットワーク・インタフェース・データを使用して、文書処理装置102のウェブ・ページ又はウェブ・アプリケーションを呼び出し、当該ウェブ・ページにジョブ識別子を入力することが可能である。別の例によれば、ネットワーク・インタフェース・データは、文書処理装置102の電子メール・アドレスを提供し、電子メールにより、ジョブ識別子を文書処理装置102に送出することが可能である。
【0032】
一実施例では、符号化データは、モバイル装置108などの他の装置が文書処理装置102に対して認証することを可能にするデータも含み得る。例えば、符号化データは、文書処理装置102が、クライアントの認可を必要とする場合に、文書処理装置102に対するクライアントのアクセスを検証するためのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)鍵を含み得る。例えば、文書処理装置102は、(図1に表されていない)認可サーバに対してクライアントが首尾良く認可された場合にのみ、アクセスを付与するセキュアな装置であり得る。認可サーバは、通信するよう文書処理装置102に結合することが可能である。モバイル装置108が文書処理装置102に対するアクセスを得ることが可能になる前に、API鍵をモバイル装置108によって使用することが可能である。
【0033】
文書処理装置102に特有の他のタイプのデータも符号化データに含み得る。
【0034】
一実施例では、符号化データは、ネットワーク・サービス106に特有のデータも含む。例えば、符号化データは、クラウド104及びネットワーク・サービス106がクライアントの認可を必要とする場合に、クラウド104及びネットワーク・サービス106に対するクライアント・アクセスを検証するためのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を含み得る。例えば、ネットワーク・サービス106は、(図1に表されていない)認可サーバに対してクライアントが首尾良く認可された場合にのみ、アクセスを付与するセキュアな処理であり得る。認可サーバは、通信するようクラウド104に結合することが可能である。モバイル装置108がネットワーク・サービス106に対するアクセスを得ることが可能になる前に、API鍵をモバイル装置108によって使用することが可能である。
【0035】
符号化データ生成器150は、種々の理由で、符号化データの符号化及び再生成を繰り返すことが可能である。例えば、符号化データ生成器150は、文書処理装置102が、別のネットワークに移されるか、別の物理的場所に移されるか、又は、文書印刷装置102のURIなどのネットワーク・インタフェース・データにおける変更を必要とする何れかのやり方で変えられる場合、符号化データの符号化及び再生成を繰り返すことが可能である。前述の場合、更新されたネットワーク・インタフェース・データが生成され、符号化データ生成器150に供給され、文書処理装置102の更新ネットワーク・インタフェース・データを反映するために符号化データを再生成するために使用される。
【0036】
別の例によれば、文書処理装置102に対するクライアントのアクセスを検証するためのAPI鍵が変更される場合、符号化データ生成器150は、符号化データを再生成することが可能であり、文書処理装置102との通信リンクを確立するために、旧い符号化データに含まれる旧いデータは陳腐化する。前述の場合、符号化データ生成器150には、文書処理装置102の更新API鍵が備えられ得、符号化データ生成器150は、文書処理装置102との通信リンクを確立するために、更新された方法を反映するために符号化データを再生成することが可能である。
【0037】
別の例によれば、符号化データ生成器150は、文書処理装置102がアップグレードされ、アップグレードされた文書処理装置102の機能及びオプションが変更される場合、符号化データの符号化及び再生成を繰り返すことが可能である。例えば、文書処理装置102は、旧い符号化データが生成された場合、利用可能でなかった更なる機能を提供するようアップグレードされ得る。前述の場合には、符号化データ生成器150には、更新文書処理装置によって現在サポートされている機能及びオプションについての更新された情報が備えられ得、更新文書処理装置によって現在サポートされている更新された機能及びオプションを反映するために符号化データを再生成することが可能である。
【0038】
一実施例では、符号化データは、文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプション全てについての情報を含む。したがって、符号化データを獲得し、符号化データを復号化することにより、モバイル装置108などの他の装置は、文書処理装置102の機能を判定することが可能であり、文書処理装置102に特有のグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成することが可能である。
【0039】
一実施例では、文書処理装置102は、他の装置が読み取り、走査し、又は取り出し、処理するための操作パネル112上に符号化データを表示する。例えば、符号化データは、電子的に生成される発光ダイオード(LED)ディスプレイとして、若しくは、走査パネル112に貼ったスティッカ、文書処理装置102によって発せられる無線信号として表示されるか、又は、符号化データを他の装置に供給することを容易にする何れかの他の方法を使用して表示され得る。
【0040】
符号化データは、種々の手法を使用して、モバイル装置108などの他の装置によって獲得することが可能である。例えば、文書処理装置102によって表示される符号化データは、モバイル装置108のスキャナによって走査し、符号化データを生成するために使用される符号化データ生成器150と同じ符号化スキーマを使用してモバイル装置108によって解釈することが可能である。別の例によれば、符号化データは、モバイル装置108のカメラによって写真撮影し、モバイル装置108によって解釈することが可能である。他の例によれば、文書処理装置102の赤外線エミッタによって発せられる符号化データは、モバイル装置108の赤外線センサによって捕捉することが可能である。他の例によれば、文書処理装置102の無線信号送信器を使用して送信される符号化データは、文書処理装置102の無線信号受信器によって受信することが可能である。モバイル装置108により、文書処理装置102の符号化データを獲得する他の手法も想定される。
【0041】
ジョブ取出器152は、文書処理装置102が、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、ネットワーク・サービス106にジョブ識別子を提供し、ジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを要求し、ネットワーク・サービス106から文書処理装置102にジョブ設定データをダウンロードすることを可能にするよう構成される。
【0042】
一実施例では、ジョブ取出器152は、以下に詳細に説明するウェブ・ブラウザ・アプリケーションを使用することにより、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立する。
【0043】
記憶装置118は、文書処理装置102によって使用されるデータを記憶するための揮発性又は不揮発性の記憶装置の何れかの組み合わせであり得る。例えば、記憶装置118は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、1つ又は複数のディスク、又は、走査済文書データを記憶するためのRAM、及び1つ若しくは複数のディスクの何れかの組み合わせであり得る。図1に表すように、記憶装置118は走査データ120及び他のデータ122を記憶し得る。他のデータ122は、電子文書データ、又はワード・プロセッシング文書ファイルなどの他のタイプのデータを含み得る。
【0044】
文書処理装置102は、話を簡潔にする目的で、図1に表していない他のモジュール及び処理を含み得る。
【0045】
2.2 文書処理装置の操作パネル
図2は文書処理装置102の例示的な操作パネル200を表す。操作パネル200は、文書処理装置102の機能を起動させるためのユーザ・インタフェース制御部102の組を含む。操作パネル200上のユーザ・インタフェース制御部は、グラフィカル、非グラフィカル、又はグラフィカル及び非グラフィカルの組み合わせであり得る。
【0046】
操作パネル200は種々の多くのやり方で構成し得、前述の構成は文書処理装置102の実現形態に依存する。例えば、図2に表すように、(自動デフォールト設定制御部、フル・カラー設定制御部、白黒設定制御部、テキスト/写真設定制御部、濃度設定制御部他などの)ジョブ設定ボタン202、用紙選択ボタン214、機能選択ボタン212、追加機能ボタン204、グラフィカル・ユーザ・インタフェース216、及び符号化データ・ディスプレイ206を有し得る。
【0047】
何れかの特定の文書処理装置102上で実現される機能は、文書処理装置102の実現形態に応じて変わり得る。例えば、特定の文書処理装置102が複合機端末(MFP)である場合、文書処理装置102の機能は、印刷、コピー、走査、文書サーバとの接続、ファクシミリ、及び他の機能を含み得る。
【0048】
一実施例では、操作パネル200は、電力を切り換え、機能を起動させ、現在の機能(図2に示していない)をクリアするためのユーザ制御部の組、及び数値キーパッドも含み得る。通常、MFP上に含まれるユーザ制御部の例が存在している。文書処理装置102の特定の実現形態に応じて、より多くのユーザ制御部又はより少ない制御部を備え得る。
【0049】
操作パネル200は、情報を表示し、ユーザ入力を受け取るためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)216も含み得る。GUI216は、GUI216上に表示されたGUIオブジェクト及びアイコンのユーザ選択を検出することができるタッチ画面であり得る。GUI216は、文書処理装置102上に記憶し、文書処理装置102の局所記憶装置118から直接ロードすることが可能である。
【0050】
一実施例では、GUI216は、文書処理装置102に特有の機能に対するオプション、及び機能に基づいて生成される。
【0051】
符号化データ・ディスプレイ206は、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立するためのネットワーク・インタフェース・データ、文書処理装置102に特有の機能及びオプション、並びに、文書処理装置102を識別する符号化データを表すことが可能である。符号化データ・ディスプレイ206は、モバイル装置108などの他の装置に符号化データを通信するために使用される。例えば、符号化データを表示する符号化データ・ディスプレイ206は、モバイル装置108のスキャナによって走査することが可能である。符号化データ・ディスプレイ206において表示される符号化データの走査は、文書処理装置102の1つ又は複数の印刷ジョブを取り出すために、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立するための方法を識別する情報、文書処理装置102の機能及びオプションを識別する情報、及び文書処理装置102を識別する情報をモバイル装置108が獲得することを可能にする。
【0052】
符号化データは、種々のフォーマットを使用して符号化することができる。例示的なフォーマットは、限定なしで、クイック・レファレンス(QR)コード、情報を一意に表す黒色及び白色の画素の2次元アレイを含む。符号化データは、バー・コード、1つ若しくは複数の記号、1つ若しくは複数の英数字、又は、当該技術分野において知られている何れかの他の符号化手法として符号化することも可能である。
【0053】
符号化データ・ディスプレイ206は、符号化データの電子的表示を投影する電子LEDディスプレイ、印刷された符号化データを含む操作パネル200に貼ったスティッカ、赤外線信号エミッタによって生成されるディスプレイ、符号化データを生成する無線信号エミッタによって生成される信号、又は他の装置に符号化データを通信するよう構成された何れかの他の形態のディスプレイであり得る。
【0054】
2.3 ネットワーク・サービス
もう一度図1を参照すれば、ネットワーク・サービス106は、本明細書及び特許請求の範囲ではクラウド104として表す別個のネットワーク104の一部である。あるいは、ネットワーク・サービス106は、通信するよう文書処理装置102及びモバイル装置108と結合されたスタンドアロン型コンピュータ上で実現し得る。
【0055】
「クラウド」は、通信するよう文書処理装置102及びモバイル装置108に結合され、例えばウェブ・ブラウザを介して文書処理装置102及びモバイル装置108に処理リソース、記憶リソース、及び他のコンピューティング・サービス、又はそれらの何れかの組み合わせのうちの1つ若しくは複数を提供するよう構成されたコンピューティング・システムである。
【0056】
一実施例では、文書処理装置102及びモバイル装置108の観点から、クラウド104は、サービス及びデータ・リポジトリの収集体としてみることが可能である。(文書処理装置102及びモバイル装置108に対してトランスペアレントであるが)ハードウェア・レベルでは、クラウド104は、複数のサービスをホストする1つ又は複数のネットワーク装置を含む。
【0057】
クラウド104によって提供されるサービスは、伝送制御プロトコル(TCP)、インターネット・プロトコル(IP)及び他のプロトコルなどのデータ通信プロトコルの何れかを使用してインターネットを介して文書処理装置102及びモバイル装置108に対してアクセス可能である。クラウド104におけるサービスそれぞれは、別々の通信プロトコル、別々のIPアドレス、及び/又はポート番号に関連付けられ得る。
【0058】
クラウド104は、会社、協会、大学、又は他のエンティティなどの組織若しくは単一の個々のユーザによって維持され得る。クラウドの例には、リコー社によって提供されるVACS(付加価値クラウド・ソリューション)がある。
【0059】
複数の組織が、特定のクラウドを維持するための責任を共有し得る。図1における外部ネットワーク・サービス110の何れかなどのクラウド104の「外部」のネットワーク・サービスは、クラウド104を維持する何れかの個々のユーザ又は組織とも異なる1つ又は複数の個々のユーザ若しくは組織によって提供することが可能である。よって、他のネットワーク・サービス110は、クラウド104におけるサービスに対して「第三者サービス」とみなされる。
【0060】
図1では、クラウド104は、ネットワーク・サービス106又は複数のネットワーク・サービス106を含む。ネットワーク・サービス106は、モバイル装置108からジョブ設定データを受け取り、必要に応じて、受け取られたジョブ設定データを処理し、ジョブ設定データをリポジトリに記憶し、ジョブ識別子(以下に説明する)を、記憶されたジョブ設定データと関連付け、ジョブ識別子をモバイル装置108に送出するよう構成することが可能である。
【0061】
一実施例では、ネットワーク・サービス106は、モバイル装置106及び文書処理装置102などのネットワーク装置、他のネットワーク・サービス110、及び他のクラウド・サービスと、例えばHTTPを使用して通信するウェブベースのブラウザである。ネットワーク・サービス106は、ジョブ設定データを受け取り、ジョブ設定データを処理し(電子文書を変換し、電子文書をトランスレートする等)、処理済ジョブ設定データを他のサービス及び装置に利用可能にすることが可能である。
【0062】
ネットワーク・サービス106の限定でない例には、ボックス・ネット(商標)、グーグル・ドックス(商標)、セールスフォース・コム(商標)、エバーノート(商標)、及びジグソー(商標)を含み得る。
【0063】
クラウド104は、非テキスト・フォーマット(例えば、PDF)の走査済文書データをテキスト・ベースのフォーマットに変換するためのOCRサービス(図示していない)も含み得る。クラウド104は、テキスト・フォーマットの走査済文書を1つ又は複数の受け手に送信するための転送サービス(図示しない)も含み得る。OCRサービス及び転送サービスはネットワーク・サービス106の一部として実現し得る。あるいは、OCRサービス及び転送サービスはネットワーク・サービス106と別個に実現し得る。例えば、OCRサービス及び転送サービスは他のネットワーク・サービス106の1つとして実現することが可能である。
【0064】
一実施例では、クラウド104は、電子文書データ記憶装置126及びジョブ設定テーブル128などの2つ以上の部分に分けられた記憶装置124も備えている。電子文書データ記憶装置124は、テキスト・データなどの文書データを含む電子文書データを記憶する。電子文書データ記憶装置124は、文書データを識別し、ダウンロードするために使用することが可能な他の文書データ識別情報、文書データ・リンク、及び、文書に対するポインタも記憶することが可能である。例えば、モバイル装置108は、文書処理装置102上にモバイル装置108のユーザが印刷したい文書へのウェブ・リンクを記憶することが可能である。ネットワーク・サービス106は、電子文書データ記憶装置126からウェブ・リンクを取り出し、ウェブ・リンクを使用して特定の文書デ―タを取り出し、特定の文書データを記憶装置118にダウンロードすることが可能である。
【0065】
一実施例では、文書処理装置102による電子文書データの処理に適切であるとしてモバイル装置108のユ―ザが選択した文書処理装置120の機能についての特定の機能及びオプションを含むジョブ設定データを記憶する。例えば、ジョブ設定データは、ランドスケープ・フォーマットでA4フォーマットの用紙上に白黒印刷文書として印刷すべきである旨の情報を含み得る。
【0066】
記憶装置124は、ネットワーク・サービス106によって使用されるデータを記憶するための何れかのタイプの揮発性又は不揮発性の記憶装置として実現し得る。例えば、記憶装置124は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、1つ若しくは複数のディスク、又は、走査済文書データを記憶するためのRAM、及び1つ若しくは複数のディスクの何れかの組み合わせであり得る。
【0067】
2.4 モバイル装置
モバイル装置108は、通信するようシステム100におけるクラウド104及び他の装置と結合される。一実施例では、モバイル装置108は、文書処理装置102による文書の処理に使用する対象の機能及びオプションを含むジョブ設定データをクラウド104に供給することにより、クラウド104と通信する。
【0068】
モバイル装置108は、無線通信機能と、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを生成し、表示し、グラフィカル・ユーザ・インタフェースと相互作用するための機能と、インターネットにアクセスするための機能と、モバイル装置技術に特有の他の機能とを装備した何れかのタイプの装置として実現し得る。モバイル装置108の限定でない例には、限定なしで、タブレット装置、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機、アイフォン、スマート電話機などのセルラ電話装置が含まれる。
【0069】
モバイル装置108は、それぞれがユーザに選択肢を与え、それぞれが、ユーザの選択を受け入れ、モバイル装置108上に常駐している他のアプリケーションにユーザの選択を通信するよう構成された一連のグラフィカル表示をタッチ画面ディスプレイ上に表示するよう構成することが可能である。
【0070】
一実施例では、モバイル装置108は、モバイル装置108との通信を容易にし、種々のタスクの実行を容易にする1つ又は複数のアプリケーションをホストする。例えば、モバイル装置108は、モバイル装置108に対してユーザが認証することを可能にするインタフェース・アプリケーション、文書処理装置102からの情報の走査を可能にするアプリケーション、クラウド104との通信を可能にするアプリケーション、及びシステム100における他の装置との通信を可能にする他のアプリケーションをホストすることが可能である。あるいは、モバイル装置108は、上記サービスを含む種々のサービスを提供するよう企図された1つのロバストなアプリケーションを実行することが可能である。
【0071】
一実施例では、モバイル装置108は、ユーザ名及びパスワードなどの認証情報を入力する旨をモバイル装置108のユーザにプロンプトさせるアプリケーションを実行する。認証情報が一旦入力されると、ユーザのセッションがアクティブである限り、ユーザは認証情報を再入力することが必要でない。認証情報は、モバイル装置108上に(例えば、永続的に)記憶し得る。よって、その後、ユーザが、クラウド104における1つ又は複数のサービスにアクセスしようとする場合、別の1つ又は複数のアプリケーションが、既に供給された認証情報を取り出し、認証情報をクラウド104に送出することが可能である。
【0072】
一実施例では、モバイル装置108は、文書処理装置102によって表示された符号化データを走査又は写真撮影させるウェブ・ブラウザ・アプリケーションを実行する。文書処理装置102の走査済符号化データは、文書処理装置102上で利用可能な機能及びオプションについての情報を含む。符号化データは、文書処理装置102と通信するための方法を提供するネットワーク・インタフェース・データも含み得る。更に、文書処理装置102の符号化データは、文書処理装置102に対するアクセスを検証するための認証情報を含み得る。
【0073】
一実施例では、モバイル装置は、文書処理装置102の機能及びオプションを表示するようグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成させるウェブ・ブラウザ・アプリケーションを実行する。ウェブ・ブラウザ・アプリケーションは更に、処理する対象の電子文書のうちのユーザの選択、及び、文書処理装置102上で電子文書を処理するうえで使用する対象の機能及びその対応するオプションのユ―ザの選択を受け取るようにも構成することが可能である。
【0074】
印刷する対象の電子文書、電子文書の処理において利用する対象のそれぞれの機能に対する機能及びオプションのユーザの選択は、ジョブ設定データとしても表し得る。
【0075】
一実施例では、モバイル装置108のウェブ・ブラウザ・アプリケーションは、クラウド104においてネットワーク・サービス106にジョブ設定データを送出させるよう更に構成することが可能である。ジョブ設定データを受け取ると、ネットワーク・サービス106は、ジョブ識別子をジョブ設定データと関連付け、ジョブ識別子と関連付けてジョブ設定データを記憶し、ジョブ識別子をモバイル装置108に送出することが可能である。
【0076】
2つ以上のジョブ設定データの組をネットワーク・サービス108に送出することが可能であるので、ネットワーク・サービス106は、一意のジョブ識別子を生成し、ジョブ設定データの個々の組それぞれに割り当てる。ジョブ識別子は、ネットワーク・サービス108に送出された特定のジョブ設定データを識別する。ネットワーク・サービス106は、ジョブ識別子を使用してジョブ設定データを識別し、モバイル装置108がジョブ識別子を文書処理装置102に送信するためにジョブ識別子をモバイル装置108に供給する。文書処理装置102はジョブ識別子を使用してジョブ設定データをネットワーク・サービス106から取り出す。
【0077】
別の実施例では、上記工程は、ウェブベースのブラウザでないアプリケーションによって行われる。前述のアプリケーションは、文書処理装置102によって表示される符号化データを走査し、走査済データを処理し、文書処理装置102上で現在利用可能な機能及びオプションを表すためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成し、表示し、機能及びオプションのユーザの選択を受け入れ、処理するために電子文書のユーザの選択を受け入れ、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、ジョブ設定データをネットワーク・サービス106に送出するための種々のモジュールを含み得る。前述の実施例では、アプリケーションに対する何れの更新も、各モバイル装置に個々に配信し、各モバイル装置上で個々に構成することが可能である。対照的に、ブラウザベースの実現形態では、前述の更新は必要でないことがあり得る。その代わりに、ウェブ・ブラウザ・ベースのアプリケーションに対する更新は何れも、ネットワーク・サービスとの通信リンクをモバイル装置それぞれが確立する場合に配信するか、又は、モバイル装置へのブロードキャストの形式で配信し得る。
【0078】
一実施例では、モバイル装置108は、文書処理装置102によって表示される符号化データを獲得するためにスキャナ又はカメラが装備される。例えば、モバイル装置108のスキャナは、文書処理装置102によって表示される符号化データを走査するよう構成される。あるいは、モバイル装置108のカメラは、文書処理装置102によって表示される符号化データを写真撮影するために使用することが可能である。走査又は写真撮影された符号化データは、モバイル装置108の符号化データ処理アプリケーションに通信することが可能である。符号化データを獲得するための他の方法も想定される。
【0079】
一実施例では、符号化データは、文書処理装置102上で現在利用可能な機能及びオプションを含む。更に、符号化データは、文書処理装置102との通信リンクを確立するために必要な情報、及び、任意的に、上述のようなAPI鍵を提供するネットワーク・インタフェース・データを含み得る。
【0080】
一実施例では、モバイル装置108上で実行されるアプリケーションは、別々のサービスにそれぞれが関連付けられた選択可能な1つ又は複数のアイコンを表示させる。例えば、選択可能な一アイコンは印刷に対応し得、別の選択可能なアイコンは走査に対応し得、別の選択可能なアイコンはファクシミリに対応し得る。
【0081】
一実施例では、モバイル装置108の画面上に表示される情報は、モバイル装置108のユーザに個人化される。表示された情報の個人化は、モバイル装置108とクラウド104との間の(先行するジョブ設定データの生成などの)先行する相互作用に基づく。例えば、ユーザが、先行する1つ又は複数の文書処理ジョブに関連してジョブ設定データを生成した場合、アプリケーションは、選択処理を繰り返すことなく、そのジョブ設定データを選択する旨のオプションを表示することが可能である。先行して入力されたジョブ設定データは、モバイル装置108上に記憶し得、モバイル装置108上で実行するアプリケーションにアクセス可能であり得る。
【0082】
あるいは、ジョブ設定データは、ネットワーク・サービス106によって生成されたジョブ識別子に関連付けてクラウド104に(例えば、記憶装置124に)記憶し得る。
【0083】
一実施例では、モバイル装置108のアプリケーションは、選択された文書処理装置102上で現在利用可能な機能及びオプションを使用して、プリンタ特有の機能及びオプションを表示するためにグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成する。GUIにおいて表示される機能及びオプションは選択された文書処理装置102に特有かつ一意である一方、GUIの全体的な設計は、モバイル装置108のユーザによって先行して選択された選好と一致していることがあり得る。GUIの設計の全体的な一貫性は、ユーザが選好を変更するまで、モバイル装置108によって維持することが可能である。
【0084】
GUIの設計の全体的な一貫性を維持する目的は、ユーザが慣れており、心地よく、ユーザに対して一貫した外観及び操作感を有するGUIを提供することである。GUIにおいて表示される機能及びオプションは選択された文書処理装置102に特有である一方、GUIの全体的な設計は、複数の文書処理装置からどの文書処理装置が選択されるかにかかわらず同じである。ユーザはGUIの全体的な設計に慣れているので、機能及びオプションが複数の文書処理装置のうちの文書処理装置の1つに特有であっても、ユーザは、機能及びオプションを効果的にナビゲートすることが可能である。
【0085】
一実施例では、モバイル装置108のアプリケーションは、GUIを使用してユーザによって入力されるユーザの選択を受け取る。アプリケーションは、選択を記憶し、処理し、それをネットワーク・サービス106にジョブ設定データとして通信する。
【0086】
一実施例では、ネットワーク・サービス106へのジョブ設定データの送出に応じて、モバイル装置108のアプリケーションはジョブ識別子をネットワーク・サービス106から受け取る。ジョブ識別子は、受け取られたジョブ設定データに応じてネットワーク・サービス106によって生成され、ネットワーク・サービス106により、受け取られたジョブ設定データと関連付けられる。例えば、1つ又は複数のモバイル装置それぞれがジョブ設定データの個々の組をネットワーク・サービス106に送出した場合、ネットワーク・サービス106は、個々のジョブ設定データ毎に別個のジョブ識別子を生成し、個々のジョブ識別子を当該ジョブ設定データと関連付けることが可能である。
【0087】
ジョブ識別子を受け取ると、モバイル装置108のアプリケーションはジョブ識別子を文書処理装置102に送出することが可能である。この時点で、モバイル装置108の観点から、モバイル装置108は、特定の文書処理ジョブに関してモバイル装置108が実行することが必要であった工程全ての実行を完了している。この時点で、モバイル装置108は、ジョブ設定データの別の組の収集及び生成を含む他の処理の実行に進み得る。
【0088】
モバイル装置108からジョブ識別子を受け取ると、文書処理データ102は、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、ジョブ識別子をネットワーク・サービス106に供給し、ジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データをネットワーク・サービス106のリポジトリから取り出す。対応するジョブ設定データが文書処理装置102にダウンロードされると、文書処理装置102は、ジョブ設定データに応じて処理の実行を開始することが可能である。
【0089】
2.5 ジョブ識別子
一実施例では、ジョブ識別子は、モバイル装置108からジョブ設定データを受け取ると、ネットワーク・サービス106によって生成される。特定のジョブ識別子は、複数の組におけるジョブ設定データの特定の組を識別することを可能にする一意の識別子である。例えば、モバイル装置108が、特定の電子文書の印刷ジョブのジョブ設定データの特定の組をネットワーク・サービス106に供給した場合、ネットワーク・サービス106は、ジョブ設定データの特定の組に一意の特定のジョブ識別子を生成し、特定のジョブ識別子を、ジョブ設定データの特定の組と関連付け、特定のジョブ識別子と、ジョブ設定データの特定の組との間の関連付けをリポジトリに記憶し、特定のジョブ識別子をモバイル装置108に送出する。
【0090】
ジョブ識別子は種々のやり方で表すことが可能である。例えば、ジョブ識別子は、文字、数字、特殊文字を含む一意の英数字ストリングによって表すことが可能である。ストリングは固定長又は可変長を有し得る。別の例によれば、ジョブ識別子は、16進数、2進数、又は何れかの数字表現の表記法で表された数であり得る。ジョブ識別子は、暗号化の有無にかかわらず、かつ、何れかのタイプのデータ伝送プロトコルを使用して送信することが可能である。
【0091】
一実施例では、ネットワーク・サービス106は、ジョブ設定テーブル128におけるジョブ識別子及びその対応するジョブ設定データを記憶装置124に記憶する。ジョブ識別子、及びその対応するジョブ設定データを記憶する方法は変わり、記憶装置124の実現形態及びネットワーク・サービス106の実現形態に依存し得る。
【0092】
例えば、ジョブ識別子及びその対応するジョブ設定データは、行が一意のジョブ識別子によって識別され、列が一意のジョブ識別子及びその対応するジョブ設定データを含む2次元テーブルに記憶することが可能である。前述のテーブルの例は以下の表1に表す。
【表1】

【0093】
表1は、3つの行(文書処理ジョブ毎に一行)、及び2つの列(すなわち、(1)文書処理ジョブの識別子を文書処理ジョブ毎に識別するジョブ識別子列、及び(2)文書処理ジョブの特定のジョブ設定を文書処理ジョブ毎に記憶するジョブ設定列)を含む。例えば、ジョブ識別子「12CFX」は、白黒でA4フォーマットの用紙上にランドスケープ・フォーマットで電子文書DOCUMENT.DOCを印刷することを必要とする印刷ジョブに対応するジョブ設定データと関連付けることが可能であり、ジョブ識別子「65GJK」は、手作業で供給される文書の走査、及び、電子文書DOCUMENT.DOCとしての走査済文書の記憶に対応するジョブ設定データに関連付けることが可能であり、ジョブ識別子「TTTFFF」は、電子文書DOCUMENT.DOCを10部作成することに対応するジョブ設定データと関連付けることが可能である。
【0094】
別の例によれば、行が一意のジョブ識別子によって識別され、列が、一意のジョブ識別子及びその対応するジョブ設定データのみならず、ユーザ・データ、ワークフロー・データ、装置識別子等などの更なるデータも含む多次元テーブルに記憶することが可能である。
【表2】

【0095】
表2は、3つの行(文書処理ジョブ毎に一行)、及び5つの列(すなわち、(1)文書処理ジョブの識別子を文書処理ジョブ毎に識別するジョブ識別子、(2)文書処理ジョブの特定のジョブ設定を文書処理ジョブ毎に記憶するジョブ設定列、(3)文書処理ジョブを生成したユーザを文書処理ジョブ毎に(任意的に)識別するユーザ・データ列、(4)文書処理ジョブのワークフローを文書処理ジョブ毎に(任意的に)示すワークフロー・データ列、及び(5)文書処理ジョブを処理することが可能な装置(又は装置クラス)を文書処理ジョブ毎に(任意的に)識別する装置識別子列を含む)。
【0096】
ジョブ設定列に記憶されたジョブ設定は、平文又はXMLなどの何れかのフォーマットで記憶し得る。ジョブ設定列におけるジョブ設定は、(該当する場合)モバイル装置108から受け取られたジョブ設定と同じフォーマットで記憶することができる。別の例として、ジョブ設定列におけるジョブ設定は、文書処理ジョブを受け取る対象の文書処理装置(例えば、MFP102)に必要なフォーマット(例えば、PDL、又はページ記述言語、フォーマット)で記憶し得る。
【0097】
表2における列の一部は任意であり得る。例えば、ユーザ・データ列、ワークフロー・データ列、及び装置識別子列などの列は何れも、任意であり得る。ユーザ・データ列に記憶されたユーザ・データは何れも、モバイル装置108から送出された認証情報を含み得るか、又はクラウド104にユーザを識別する何れのデータも含み得る。装置識別子列に記憶されたデータは何れも、文書処理装置102などの文書処理装置のIPアドレス及び/又は名称を含み得る。
【0098】
テーブルとして示しているが、ジョブ設定テーブル128はテーブルの実現形態に制限されない。他の実現形態では、ジョブ設定テーブル128は、テーブル・データ構造でなく、その代わりに、ジョブ設定テーブル128は、リンクされたリスト、当該データが記憶された場所に対するポインタのリスト、XMLオブジェクト、又は、データを記憶するよう構成された何れかの他のデータ構造であり得る。
【0099】
3.0 符号化データを利用した通信
図3は、モバイル装置108と、文書処理装置102、ネットワーク・サービス106、及び図1に表す他の構成要素間でやりとりされる通信を表す図である。一実施例では、符号化データは、文書処理装置102によって表示され、モバイル装置108によって走査/写真撮影され、モバイル装置108によって使用されてグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成する。GUIから、モバイル装置108は、特定のジョブに特有のジョブ設定データを示すエントリを受け取り、ジョブ設定データをネットワーク・サービス106に送出し、ジョブ設定データについてネットワーク・サービス106によって生成されたジョブ識別子を受け取り、ジョブ識別子を文書処理装置102に送信する。モバイル装置108からジョブ識別子を受け取ると、文書処理装置102は、ジョブ識別子をネットワーク・サービス106に送出し、ジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを取り出し、ジョブ設定データに応じて特定のジョブを行う。
【0100】
工程302では、モバイル装置108のユ―ザは、ジョブ処理アプリケーションの実行を開始する。例えば、ユーザは、ジョブ処理アプリケーションを表すアイコンを選択し、アプリケーションを起動させることが可能である。任意的には、ジョブ処理アプリケーションの起動は、モバイル装置108に対してユーザが首尾良く認証されることに依存し得、ジョブ処理アプリケーションを表すアイコンがモバイル装置108の画面上に表示される前にモバイル装置108に、有効なユーザ名及びパスワードを入力することを必要とし得る。
【0101】
工程304では、ジョブ処理アプリケーションのユーザの起動に応じて、ジョブ処理アプリケーションは、モバイル装置108の画面上に1つ又は複数のサービス・アイコンを表示させる。1つ又は複数のサービス・アイコンは例えば、印刷サービス・アイコン、複製サービス・アイコン、走査サービス・アイコン、ファクシミリ・サービス・アイコン、及び他のサービスに関連付けられた他のアイコンを含み得る。
【0102】
工程306では、ユーザは、表示されたサービス・アイコンのうちの1つを選択し、よって、印刷、複製、走査、ファクシミリ、又は他のサービスが必要であるか否かを選択する。
【0103】
工程308では、表示されたサービス・アイコンのうちの1つのユーザ選択に応じて、アプリケーションは、文書処理装置102によって表示された符号化データを走査又は写真撮影するようモバイル装置108のスキャナ又はカメラを起動させる。例えば、ユーザは、文書処理装置102に近寄り、文書処理装置102上の符号化データの表示にモバイル装置108のスキャナ又はカメラを指し示し、文書処理装置102によって表示される符号化データを捕捉するようスキャナ又はカメラを起動させるためのボタンを押すことが可能である。
【0104】
別の実施例では、符号化データは、文書処理装置102の赤外線エミッタによって発せられる赤外線信号を捕捉するために赤外線センサを利用することによって獲得することが可能である。他の実施例では、モバイル装置108の無線信号送信器によって送信される信号を捕捉するよう構成されたモバイル装置108の無線信号受信器によって受信することが可能である。符号化データを獲得するための他の実現形態も想定される。
【0105】
符号化データは、種々のタイプの情報を表すことが可能である。例えば、符号化データは、a)文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプション、並びに、b)文書処理装置102のネットワーク・インタフェース・データを表し得る。ネットワーク・インタフェース・データは、モバイル装置108が、ジョブ識別子を文書処理装置102に送信するために使用することが可能である。ネットワーク・インタフェース・データは、ユニフォーム・リソース識別子(URI)、電子メール・アドレス、ネットワーク・アドレス、又は他の処理装置102と通信するためにモバイル装置108が使用することが可能な他の情報を含み得る。符号化データは、クイック・レスポンス(QR)コード、バー・コード、記号、及び英数字のうちの1つ又は複数として符号化することが可能である。
【0106】
一実施例では、符号化データは、文書処理装置102に対するアクセスを検証するための認証情報を含むアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)鍵も含み得る。
【0107】
工程309では、モバイル装置108は、受け取られた符号化データを処理し、符号化データを復号化し、復号化データから、文書処理装置102上で現在利用可能な機能及びオプションを抽出する。機能及びオプションは例えば、文書印刷に利用可能なフォーマッティングのタイプ、文書印刷に利用可能な用紙フォーマットのタイプ、文書処理装置102上で利用可能な仕上げオプションのタイプ、並びに、他の機能、及び文書処理装置102上で現在利用可能な当該機能に対するオプションを規定することが可能である。更に、工程309では、モバイル装置は、モバイル装置108上でグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成し、表示するための機能及びオプションを使用する。
【0108】
一実施例では、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)は、文書処理装置102に特有の機能及びオプションをユーザに提示する。しかし、GUIの全体的な設計は、ユーザの選好と一致しており、複数の印刷装置から別の印刷装置が選択されても変わらない。
【0109】
GUIの全体的な設計の一貫性を維持することにより、ユーザが慣れており、ユーザが快適かつ効率的にナビゲートすることが可能なGUIを表示することが可能になる。複数の印刷装置からユーザが別の印刷装置を選択するにつれ、機能及びオプションが変わっても、ユーザのモバイル装置上に表示されるGUIの外観及び操作感は変わらなくてよい。
【0110】
工程310では、ユーザは、ユーザが文書処理装置102によって実行したい処理ジョブの選択された機能の1つ又は複数のオプション、及び1つ又は複数の機能を選択する。例えば、ユーザは、電子文書をA4フォーマットの用紙上にランドスケープ・フォーマットで片面に白黒で部単位で印刷すべきである旨を選択することが可能である。
【0111】
更に、ユーザが印刷を選択した場合、ユーザは、文書処理装置102上でユーザが印刷したい電子文書を識別する電子文書識別データを供給することも可能である。ユーザは、ユーザが印刷したい電子文書名、印刷するために電子文書を取り出すために使用すべき、電子文書へのハイパーリンク、又は、印刷する対象の電子文書を識別するために使用することが可能な何れかの他の識別子を提供することが可能である。
【0112】
一実施例では、ユーザ選択された機能及びオプション、並びにユーザ選択された電子文書識別データはジョブ設定データとして表す。
【0113】
工程312では、ジョブ設定データ(ユーザ選択された機能及びオプション、並びに電子文書識別データ)はネットワーク・サービス106に送出される。ジョブ設定データは、XML又は単純なテキストなどの何れかの特定のフォーマットでモバイル装置108からネットワーク・サービス106に送出し得る。
【0114】
関連する実施例では、ジョブ設定データを送出する代わりに、モバイル装置108のアプリケーションは、1つ又は複数の特定のジョブ設定に関連付けられたジョブ設定識別子をネットワーク・サービス106に送出することが可能である。よって、ネットワーク・サービス106は、1つ又は複数の特定のジョブ設定の組とジョブ設定識別子との間の関連を記憶することが可能である。
【0115】
ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立するための方法は、モバイル装置108に知られているものとする。例えば、ネットワーク・サービス106と通信する方法は、モバイル装置108のソフトウェア・インストール中にモバイル装置108上で構成することが可能である。
【0116】
別の例によれば、ネットワーク・サービス106と通信する方法は、ネットワーク・サービス106がシステム100において使用される場合、モバイル装置108に提供することが可能である。
【0117】
他の例によれば、ネットワーク・サービス106と通信する方法は、モバイル装置108が走査することが可能な、文書処理装置102の符号化データの形式で文書処理装置102によって提供することが可能である。例えば、ネットワーク・サービス106と通信する方法は、符号化データから抽出することが可能であり、ネットワーク・サービス106のユニフォーム・リソース識別子(URI)、又はネットワーク装置106の電子メール・アドレスの形式で表すことが可能である。ネットワーク・サービス106と通信する方法を提供する他の形態も利用することが可能である。
【0118】
モバイル装置108に2つ以上のネットワーク・サービス106が利用可能な場合、モバイル装置108は、モバイル装置108のユーザが多くのネットワーク・サービス106のうちの1つを選択し、ジョブ設定データを選択されたネットワーク・サービス106に送出することを可能にするグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示することが可能である。
【0119】
工程314では、ジョブ設定データの受信に応じて、ネットワーク・サービス106は、受信情報を処理し、受信されたジョブ設定データの一意のジョブ識別子を生成する。ジョブ識別子は、モバイル装置108及び文書処理装置102によって更に使用される。
【0120】
ネットワーク・サービス106は、多くの別々のやり方でジョブ識別子を判定することが可能である。例えば、ジョブ識別子は、ジョブ設定データの受信に応じて生成し得る。あるいは、ジョブ識別子は、ジョブ設定データの受信に応じて記憶装置からネットワーク・サービス106が取り出す予め計算された値であり得る。
【0121】
ジョブ識別子は、英数字、非英数字、又はそれらの何れかの組み合わせであり得る。ジョブ識別子は、1つ又は複数の特定のジョブ設定を一意に識別し、印刷ジョブの場合、電子文書識別データを一意に識別する。1つ若しくは複数のジョブ設定(又はジョブ設定識別子)は、ジョブ識別子を生成するために使用し得る。あるいは、ネットワーク・サービス106は、ジョブ識別子を生成するために乱数生成器を使用し得る。本発明の実施例は、ジョブ識別子を判定するための何れかの特定の手法に制限されない。
【0122】
工程316では、ネットワーク・サービス106は、ジョブ識別子を当該ジョブ設定データと関連付け、通信するようネットワーク・サービス106に結合された、記憶装置124などのリポジトリにジョブ識別子と当該ジョブ設定データとの間の関連付けを記憶する。
【0123】
工程318では、ネットワーク・サービス106はジョブ識別子をモバイル装置108に送出する。ジョブ識別子は、ジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを参照するためにモバイル装置108(及び文書処理装置102)使用することが可能な手段である。ある意味では、ジョブ識別子は、当該ジョブ設定データが記憶された、ネットワーク・サービス106のリポジトリにおける場所へのポインタとしてみることができる。
【0124】
工程322では、モバイル装置108は、ネットワーク・サービス106から受け取られたジョブ識別子を文書処理装置102に送出する。ジョブ識別子を文書処理装置102に送出する目的は、文書処理装置102が、ジョブ識別子に対応するジョブ設定データをネットワーク・サービス106から取り出し、ジョブ設定データに応じて文書処理を起動させることを可能にすることである。
【0125】
更に工程322では、モバイル装置108は、文書印刷装置102から読み出された符号化データから抽出されたネットワーク・インタフェース・データを使用して、文書印刷装置102と通信する方法を判定することが可能である。例えば、ネットワーク・インタフェース・データが、文書処理装置102のユニフォーム・リソース識別子(URI)を含む場合、モバイル装置108はウェブ・ブラウザ及びURIを使用してジョブ識別子を文書処理装置102に送出することが可能である。別の例によれば、ネットワーク・インタフェース・データが電子メール・アドレスを備えている場合、モバイル装置108は、電子メール・アプリケーションを使用して、ジョブ識別子を文書処理装置102の電子メール・アドレスに送出することが可能である。
【0126】
一実施例では、文書処理装置102がセキュアな装置であり、文書処理装置102に首尾良く認証されているクライアントのみへのアクセスを可能にする場合、モバイル装置108は、ジョブ識別子を文書処理装置102に送出する前に、有効な認証の証明を提供する必要がある。例えば、モバイル装置108は、(上述の)API鍵を送出して、文書処理装置102に対するアクセスを取得し、次いで、ジョブ識別子を文書処理装置102に送出することが可能である。
【0127】
一実施例では、モバイル装置108のユーザ(又はシステム100の何れかの他のユーザ)がネットワーク・サービス106のリポジトリに文書処理ジョブを記憶したい場合、その都度、工程302乃至322が繰り返される。ジョブ設定データは、ネットワーク・サービス106の記憶装置に記憶され、同じ処理ジョブを繰り返すために、かつ、同じ機能及びオプションを使用して再使用することが可能である。あるいは、ジョブ設定データは、例えば、電子文書識別データを更新することにより、少なくとも部分的に更新し、別々の電子文書によってであるが同じタイプの処理を繰り返すために使用することが可能である。
【0128】
工程324では、文書処理装置102はモバイル装置108からジョブ識別子を受け取る。その後はいつでも、文書処理装置102は、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、ジョブ識別子をネットワーク・サービス106に送信し、受信されたジョブ識別子に対応するジョブ設定データを要求する。
【0129】
文書処理装置102は、ネットワーク・サービス106に関連付けられ、事前に文書処理装置102に供給されるユニバーサル・リソース識別子(URI)を使用することにより、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立することが可能である。別の例によれば、文書処理装置102は、事前に文書処理装置102に提供される電子メール・アドレスを使用して、電子メールをネットワーク・サービス106に送出することにより、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立することが可能である。ネットワーク・サービス106との通信を確立する他の方法も想定される。
【0130】
工程326では、ネットワーク・サービス106は、ジョブ識別子を文書処理装置102から受け取り、受け取られたジョブ識別子と関連付けられて、ネットワーク・サービス106の記憶装置124に記憶されたジョブ設定データを取り出す。ネットワーク・サービス106が、特定のジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを位置特定することが可能でない場合、誤差を生成し、文書処理装置102に送出することが可能である。しかし、特定のジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データの位置特定をネットワーク・サービス106が首尾良く行った場合、対応するジョブ設定データが文書処理装置102にダウンロードされる。
【0131】
ジョブ識別子の受け取りに応じて、DPNサービス106は、ジョブ識別子と、1つ又は複数のジョブ設定との間の関連付けに基づいて1つ又は複数のジョブ設定を識別する。この識別工程は、工程326で受け取られたジョブ識別子と同じ識別子を有する行が見つかるまで(上述の)表1のジョブ識別子の列を走査することによって実行することが可能である。
【0132】
工程328では、ネットワーク・サービス106は、ジョブ設定データを文書処理装置102に送出する。ジョブ設定データは、ftp、telnet、電子メール等などの、一装置から別の装置へのデータ転送の何れかの方法を使用して文書処理装置102に送出することが可能である。あるいは、文書処理装置102は、ネットワーク・サービス102に関連付けられたキャッシュからジョブ設定情報をポーリングすることが可能である。
【0133】
一実施例では、ジョブ設定データは、ネットワーク・サービス106によって生成され、文書処理装置102に送出されるHTTP応答メッセージに含み得る。文書処理装置102に送出される1つ又は複数のジョブ設定は、工程314でモバイル装置108から受け取られるジョブ設定データのフォーマットと同じでもよく、又は異なってもよい何れかの特定のフォーマットであり得る。例えば、1つ又は複数のジョブ設定は、PDL(ページ記述言語)のフォーマットを有し得る。PDLの具体例には、PCL(HP社によるプリンタ・コマンド言語)、PDF(アドビ社による)、PostScript(アドビ社による)、及びAFP(高機能プレゼンテーション:IBM社による)が含まれる。
【0134】
一実施例では、印刷ジョブ・コンテキストでは、ネットワーク・サービス106は、プリンタ・ドライバを使用して、文書印刷装置102が処理することが可能なデータに電子文書をレンダリングする。例えば、電子文書はPDLで表すことが可能である。ネットワーク・サービス106が、別々のプリンタ・ドライバを必要とする複数のタイプのプリンタと通信する場合、ネットワーク・サービス106は複数のプリンタ・ドライバに対するアクセスを有し得る。更に、文書処理装置102が、PDLフォーマットで電子文書データを受け入れることが可能でない場合、ネットワーク・サービス106は、必要なプリンタ・ドライバを取り出し、文書処理装置102が認識することが可能なフォーマットで電子文書をレンダリングすることが可能である。
【0135】
工程330では、ネットワーク・サービス106からジョブ設定データを受け取ると、文書処理装置102は、ジョブ設定データを記憶し、ジョブ設定データに応じてジョブ処理を起動させる。
【0136】
文書処理ジョブを作成し、処理するための本明細書及び特許請求の範囲記載の手法は、ユーザに恩恵をもたらすワークフローである。上記手法は、ユーザが認証情報を自分のモバイル装置に一度入力することを可能にし、MFPなどの文書処理装置をユーザが動作させる都度、認証情報を再入力することを必要としない。
【0137】
上記手法は、更に、ユーザのモバイル装置によって表示されるユーザフレンドリであり、視覚的に魅力的なインタフェースとユーザが相互作用することを可能にする。例えば、モバイル装置上のユーザ・インタフェースはカラーである一方、MFPユーザ・インタフェースは白黒である傾向にあり、よって、あまり魅力的でない。更に、モバイル装置上で生成されたグラフィカル・ユーザ・インタフェースは、ユーザが別の文書印刷装置を選択するにつれ、インタフェース上に表示される特定の機能及びオプションが変わっても、その外観及び操作感を変えなくてよい。例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェースは、特定の文書処理装置上で現在利用可能な機能及びオプションに基づいて生成される一方、グラフィカル・ユーザ・インタフェースの全体的な設計は、ユ―ザが別の文書印刷装置を選択しても、一貫したものに留まり得る。
【0138】
更に、上記手法は、ネットワーク・サービスとのインターネット接続性を有するほぼ、どの文書印刷装置もの文書処理ジョブをユーザが生成することを可能にする。
【0139】
更に、上記手法は、ユーザのモバイル装置がインターネット接続性を有するネットワーク・サービスに利用可能な何れのリオポジトリ上でも特定のジョブ設定データを記憶し、単に特定のジョブ設定データに関連付けられたジョブ識別子を使用してリポジトリ上に記憶された特定のジョブ設定データを参照することを可能にする。
【0140】
4.0 ジョブ識別子の使用
図4は、本発明の実施例による、符号化データ及びジョブ識別子を利用するための手法を表すフロー図である。以下に示すように、フロー図に表す工程の一部は、モバイル装置108上で実行されるアプリケーションによって実行することが可能である。他の工程はネットワーク・サービス106によって行うことが可能であり、かつ/又は、1つ若しくは複数の他の工程は、文書処理装置102によって行うことが可能である。
【0141】
話を明確にするために、図4では、構成要素400はモバイル装置108によって行うことが可能な工程402乃至412を指し示し、構成要素450はネットワーク・サービス106によって行うことが可能な工程452を指し示し、構成要素460は、文書処理装置102によって行うことが可能な工程462乃至472を指し示す。
【0142】
一実施例では、工程402乃至412は、モバイル装置108のアプリケーションによって行われる。
【0143】
工程402では、モバイル装置108のアプリケーションは、文書処理装置102から文書処理装置102の符号化データを獲得する。一実施例では、符号化データは、モバイル装置108のスキャナによって走査し、モバイル装置108の復号化器に送信し、解釈することが可能である。あるいは、符号化データは、モバイル装置108のカメラによって写真撮影し、カメラから復号化器に送信することが可能である。
【0144】
上述の通り、符号化データは、クイック・レスポンス(QR)符号化を含む種々の手法を使用して符号化/復号化することが可能である。
【0145】
一実施例では、符号化データは、a)文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプション、並びに、b)文書処理装置102との通信リンクを確立するためにモバイル装置108が使用することが可能なネットワーク・インタフェース・データを表す。
【0146】
工程404では、モバイル装置108のアプリケーションは符号化データを使用し、特に、文書処理装置102によって現在サポートされている機能及びオプションについての情報を使用し、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を生成して、文書処理装置102上で利用可能な機能及びオプションのグラフィカル表現を提供する。GUIは文書処理装置102に特有の機能及びオプションの表現を提供する一方、GUIの全体的な設計は、ユーザが事前に提供する選好に基づく。したがって、ユーザが選択した文書処理装置にかかわらず、GUIの外観及び操作感はユーザにとって同様なものである。
【0147】
工程406では、モバイル装置108のアプリケーションは、モバイル装置108上に表示されたGUIを使用してユーザが入力したユーザの選択を受け取る。例えば、ユーザは、A4フォーマットの用紙上にカラーで特定の電子文書を印刷したい旨を入力することができたはずである。
【0148】
工程408では、モバイル装置108のアプリケーションはユーザの選択を処理し、ジョブ設定データを生成し、ジョブ設定データをネットワーク・サービス106に送出する。アプリケーションは、事前にモバイル装置108に提供されるネットワーク・サービス・インタフェース・データに応じてネットワーク・サービス106との通信リンクを確立することが可能である。例えば、ネットワーク・サービス・インタフェース・データは、ネットワーク・サービス106にアクセスするためにモバイル装置108のウェブ・ブラウザ・ベースのアプリケーションが使用することが可能なネットワーク・サービス106のURIを備え得る。更に、モバイル装置108のウェブ・ブラウザ・ベースのアプリケーションは、ネットワーク・サービス106がセキュアな装置である場合に、ネットワーク・サービス106へのアクセスをモバイル装置108が得ることを可能にするためのAPI鍵(これも事前に提供される)を使用することが可能である。
【0149】
別の例によれば、ネットワーク・サービス・インタフェース・データは、モバイル装置108の電子メール処理アプリケーションが使用して、ユーザの選択及びプリンタの識別子を含む電子メールをネットワーク・サービス106に送出することが可能である、ネットワーク・サービス106の電子メール・アドレスを含み得る。
【0150】
一実施例では、工程452はネットワーク・サービス106によって実行することが可能である。
【0151】
工程452では、ネットワーク・サービス106はジョブ設定データをモバイル装置108から受け取る。例えば、ジョブ設定データは、電子文書名又はポインタなどの電子文書識別データ(電子文書名又はポインタなど)、電子文書が印刷された場合に適用すべき機能及びオプションのユーザの選択、及び、電子文書名又はポインタなどの電子文書識別データを含み得る。
【0152】
一実施例では、ネットワーク・サービス106は、上述の方法のうちの1つを使用して、受け取られたジョブ設定データのジョブ識別子を判定する。ネットワーク・サービス106は更に、生成されたジョブ識別子を、受け取られたジョブ設定データと関連付け、ジョブ識別子、及びジョブ設定データの結合をネットワーク・サービス106のリポジトリに記憶する。更に、ネットワーク・サービス106はジョブ識別子をモバイル装置108に送出する。
【0153】
印刷の場合、一実施例では、ネットワーク・サービス106は、受け取られたジョブ設定データに含まれる電子文書識別データを使用して、対応する電子文書を識別し、電子文書をネットワーク・サービス106のキャッシュにダウンロードし、ユーザの選択された機能及びオプションに応じて電子文書を、印刷可能な電子文書に変換し、印刷可能な電子文書を文書処理装置102のキューに記憶する。
【0154】
一実施例では、工程410乃至412は、モバイル装置108のアプリケーションによって行われる。
【0155】
工程410では、モバイル装置108上で実行されるアプリケーションは、ネットワーク・サービス106からジョブ識別子を受け取る。
【0156】
工程412では、モバイル装置108上で実行されるアプリケーションはジョブ識別子を文書処理装置102に送出する。ジョブ識別子を送出するために、モバイル装置108は、工程402で、文書処理装置102の、モバイル装置108が走査した符号化データに含まれるネットワーク・インタフェース・データを使用して文書処理装置102との通信リンクを確立することが可能である。ネットワーク・インタフェース・データは、文書処理装置102に対するURI、文書処理装置102に対する電子メール・アドレス、又は、モバイル装置が用いて文書処理装置102にジョブ識別子を送出することが可能な方法の何れかの他の識別子を含み得る。
【0157】
一実施例では、工程462乃至476は、文書処理装置102によって行われる。
【0158】
工程462では、文書処理装置102がジョブ識別子をネットワーク・サービス106に送出する。文書処理装置102は、ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、又は、ネットワーク・サービス106と通信するためのネットワーク・サービス・インタフェース・データを別の装置又はソースから受け取るよう既に構成され得る。
【0159】
工程464では、文書処理装置102は上記方法の何れか1つを使用して、ジョブ識別子をネットワーク・サービス106に送出する。
【0160】
工程466では、文書処理装置は、ジョブ・ポーリング・アプリケーションを実行し、ネットワーク・サービス106に、ジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを要求する。例えば、ジョブ・ポーリング・アプリケーションは、(例えば、ネットワーク・サービス106のURIを使用して)ネットワーク・サービス106との通信リンクを確立し、特定のジョブ識別子に関連して、ネットワーク・サービス106がジョブ設定データを記憶しているか否かを尋ねることが可能である。
【0161】
ポーリングに応じて、文書処理装置は、ネットワーク装置106からジョブ識別子に関連付けられたジョブ設定データを受け取る。
【0162】
工程468では、文書処理装置102のアプリケーションは、受け取られたジョブ設定データを解析して、要求された処理ジョブが印刷ジョブであるか、走査ジョブであるかを判定する。要求された処理ジョブが印刷ジョブである場合、文書処理装置102のアプリケーションは工程470に進み、さもなければ、アプリケーションは工程474に進む。
【0163】
工程470(印刷)では、文書処理装置102のアプリケーションは、印刷する対象の電子文書のURLを受け取り、電子文書をダウンロードし、電子文書データの印刷に備える。
【0164】
工程472では、文書処理装置102のアプリケーションは、文書処理装置102上での電子文書データの印刷を開始する。
【0165】
工程474(走査)では、文書処理装置102のアプリケーションは、走査済文書を記憶すべき場所のURLを受け取る。
【0166】
工程476では、文書処理装置102のアプリケーションは、走査する対象の文書のハードコピーが文書処理装置102にロードされているか否かを検証し、肯定の場合、工程474で受け取られたURLによって示される場所において、走査済電子文書を記憶する。
【0167】
5.0 実現機構
一実施例によれば、本明細書及び特許請求の範囲記載の手法は、1つ又は複数の特定用途向コンピューティング装置によって実現される。特定用途向コンピューティング装置は、上記手法を行うよう配線され得、あるいは、手法を行うよう永続的にプログラムされた1つ又は複数の特定用途向集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラム可能なゲート・アレイ(FPGA)などのディジタル電子装置を含み得、あるいは、ファームウェア、メモリ、他の記憶装置、若しくは、組み合わせにおけるプログラム命令に応じた手法を行うようプログラムされた1つ又は複数の汎用ハードウェア・プロセッサを含み得る。前述の特定用途向コンピューティング装置は、手法を実現するために、カスタムの配線ロジック、ASIC、又は、FPGAを、カスタムのプログラミングにより、合成することもできる。特定用途向コンピューティング装置は、デスクトップ・コンピュータ・システム、ポータブル・システム、ハンドヘルド装置、ネットワーキング装置、又は、手法を実現するために配線及び/又はプログラム・ロジックを組み入れた何れかの他の装置であり得る。
【0168】
例えば、図5は、本発明の実施例を実現し得るコンピュータ・システム500を示すブロック図である。コンピュータ・システム500は、情報を処理するために、バス502に結合されたハードウェア・プロセッサ504、及び情報を通信するためのバス502又は他の通信機構を含む。ハードウェア・プロセッサ504は例えば、汎用マイクロプロセッサであり得る。
【0169】
コンピュータ・システム500は、更に、プロセッサ504によって実行される対象の命令及び情報を記憶するためにバス502に結合された、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置などの主メモリ506も含む。主メモリ506は、更に、プロセッサ504によって実行される対象の命令の実行中の一時的変数、又は他の中間情報を記憶するために使用することができる。前述の命令は、プロセッサ504にアクセス可能な一時的でない記憶媒体に記憶されると、コンピュータ・システム500を、命令に規定された動作を行うようカスタマイズされた特定用途向マシンにする。
【0170】
コンピュータ・システム500は更に、プロセッサ504用の命令及び静的情報を記憶するために、バス502に結合されたリード・オンリ・メモリ(ROM)508、又は他の揮発性の記憶装置を更に含む。磁気ディスク又は光ディスクなどの記憶装置510が、情報及び命令を記憶するために、バス502に結合され、提供される。
【0171】
コンピュータ・システム500は、情報をコンピュータ・ユーザに表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ512にバス502を介して結合し得る。英数キー及び他のキーを含む入力装置514は、情報及びコマンド選択をプロセッサ504に通信するためにバス502に結合される。別のタイプのユーザ入力装置は、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ504に通信し、ディスプレイ512上のカーソルの移動を制御するためのカーソル方向キー、トラックボール、又はマウスなどのカーソル制御部516である。この入力装置は通常、上記装置が平面における位置を規定することを可能にする、2つの軸(すなわち、第1の軸(例えば、x)及び第2の軸(例えば、y))における2つの自由度を有する。
【0172】
コンピュータ・システム500は、コンピュータ・システムとの組合せで、コンピュータ・システム500を特殊用途向マシンにするか、又はコンピュータ・システム500が特殊用途向マシンとなるようプログラムするカスタマイズされた配線ロジック、1つ又は複数のASIC又はFPGA、ファームウェア及び/又はプログラム・ロジックを使用して、本明細書及び特許請求の範囲に記載の手法を実現し得る。一実施例によれば、本明細書及び特許請求の範囲記載の手法は、主メモリ506に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサ504が実行することに応じてコンピュータ・システム500によって行われる。前述の命令は、記憶装置510などの別の記憶媒体から主メモリ506に読み出し得る。主メモリ506に含まれる命令のシーケンスの実行は、本明細書及び特許請求の範囲記載の処理工程をプロセッサ504に行わせる。別の実施例では、配線回路は、ソフトウェア命令の代わりに、又は、ソフトウェア命令と組み合わせて使用し得る。
【0173】
本明細書及び特許請求の範囲記載の「記憶媒体」という語は、特定の態様でマシンを動作させる命令及び/又はデータを記憶する何れかの一時的でない媒体を表す。前述の記憶媒体は、不揮発性媒体及び/又は揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置510などの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、主メモリ506などのダイナミック・メモリを含む。記憶媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(登録商標)・ディスク、フレキシブル・ディスク、ハード・ディスク、ソリッド・ステート・ドライブ、磁気テープ、又は何れかの他の磁気データ記憶媒体、CD−ROM、何れかの他の光データ記憶媒体、ホール・パターンを備えた何れかの物理媒体、RAM、PROM及びEPROM、フラッシュEPROM、NVRAM、何れかの他のメモリ・チップ、又はカートリッジを含む。
【0174】
記憶媒体は、伝送媒体と別個であるが、伝送媒体とともに使用し得る。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体は、バス502を含む配線を含む光ファイバ、導線、及び同軸ケーブルを含む。伝送媒体は、無線電波及び赤外線データ通信中に生成される音響波又は光波などの形態をとり得る。
【0175】
種々の形態の媒体が、実行するためにプロセッサ504に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを収容することに関係し得る。例えば、命令は当初、遠隔コンピュータのソリッド・ステート・ドライブ上又は磁気ディスク上に収容し得る。遠隔コンピュータは、命令をそのダイナミック・メモリにロードし、モデムを用いて電話回線を介して命令を送出することが可能である。コンピュータ・システム500に局所のモデムは、電話回線上でデータを受け取り、赤外線送信器を使用してデータを赤外線信号に変換することが可能である。赤外線検出器は、赤外線信号において担持されるデータを受け取ることが可能であり、適切な回路がバス502にデータを送出することが可能である。バス502はデ―タを主メモリ506に伝え、そこから主メモリ・プロセッサ504は命令を取り出し、実行する。主メモリ506によって受け取られる命令は任意的には、プロセッサ504による実行前に、又は実行後に記憶装置510上に記憶し得る。
【0176】
コンピュータ・システム500は更に、バス502に結合された通信インタフェース518を含む。通信インタフェース518は、ローカル・ネットワーク522に結合されたネットワーク・リンク520への2方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インタフェース518は、統合サービス・ディジタル・ネットワーク(ISDN)カード、ケーブル・モデム、衛星モデム、又は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するためのモデムであり得る。別の例として、通信インタフェース518は、互換LANにデータ通信接続を設けるためのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)カードであり得る。無線リンクも実現することができる。何れかの前述の実現形態では、通信インタフェースは、種々の情報を表すディジタル・データ・ストリームを収容する電気、電磁、又は光信号を送出し、受け取る。
【0177】
ネットワーク・リンク520は通常、1つ又は複数のネットワークを介して他のデータ装置にデータ通信を提供する。例えば、ネットワーク・リンク520は、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)526によって動作させるデータ機器又はホスト・コンピュータ524へのローカル・ネットワーク522を介した接続を提供し得る。ISP526は同様に、現在一般的に「インターネット」528として表すワールド・ワイド・パケット・データ通信により、データ通信サービスを提供する。ローカル・ネットワーク522及びインターネット528は、ディジタル・データ・ストリームを担持する電気信号、電磁信号又は光信号を使用する。コンピュータ500との間のディジタル・データを搬送する通信インタフェース518を介した、ネットワーク・リンク520上の信号、及び種々のネットワークを介した信号は、例示的な形態の伝送媒体である。
【0178】
コンピュータ・システム500は、通信インタフェース518、ネットワーク・リンク520、及びネットワークを介して、プログラム・コードを含むデータを受け取り、メッセージを送出することが可能である。インターネットの例では、サーバ530は、通信インタフェース518、ローカル・ネットワーク522、ISP526、及びインターネット528を介して、アプリケーション・プログラムの要求されたコードを送信し得る。
【0179】
受信コードは、受信される都度、プロセッサ504によって実行し、かつ/又は、後に実行するために、記憶装置510若しくは他の不揮発性記憶装置によって記憶し得る。
【0180】
上記明細書では、本発明の実施例は、実現形態毎に変わり得る数多くの具体的な詳細を参照して説明してきた。よって、本願の明細書及び図面は、限定的な意味合いでなく例証的な意味合いで解されるものとする。本発明の範囲を唯一かつ排他的に表示するもの、及び本発明の範囲であると本願の出願人によって意図されるものは、当該特許請求の範囲がもたらす特定の形式において本出願がもたらし、後の修正を含む、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の範囲である。
【符号の説明】
【0181】
504 プロセッサ
512 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
a)前記ネットワーク装置によって現在サポートされている機能及びオプションと、
b)前記ネットワーク装置のネットワーク・インタフェース・データであって、前記ネットワーク・インタフェース・データは、モバイル装置がジョブ識別子を前記ネットワーク装置に送信することを可能にする前記ネットワーク・インタフェース・データと
を表す符号化データを表示するためのディスプレイと
を備えたネットワーク装置。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク装置であって、前記ネットワーク装置は、無線通信リンクを使用して前記符号化データを前記モバイル装置に送信するよう更に構成されたネットワーク装置。
【請求項3】
請求項1記載のネットワーク装置であって、前記符号化データは、走査装置及びカメラの1つ又は複数によって捕捉することが可能な態様で表示されるネットワーク装置。
【請求項4】
請求項1記載のネットワーク装置であって、前記符号化データはマシン読み取り可能な形式を有するネットワーク装置。
【請求項5】
請求項1記載のネットワーク装置であって、
前記ディスプレイは、前記符号化データと異なり、
a)前記ネットワーク装置によってサポートされている前記機能及びオプションと、
b)前記ネットワーク装置の更新されたネットワーク・インタフェース・データと
を表す、更新された符号化データを表示するよう更に構成され、
前記ネットワーク装置は、前記更新された符号化データを生成するよう更に構成されるネットワーク装置。
【請求項6】
請求項1記載のネットワーク装置であって、
前記符号化データは、クイック・レスポンス(QR)コード、バー・コード、記号、及び英数字のうちの1つ又は複数として符号化され、
前記符号化データは、前記ネットワーク装置に対するアクセスを検証するための認証情報を含むアプリケーション・プログラミング・インタフェース鍵を更に含み、
前記ネットワーク・インタフェース・データは、ユニフォーム・リソース識別子(URI)、電子メール・アドレス、及びネットワーク・アドレスのうちの1つ又は複数を含むネットワーク装置。
【請求項7】
請求項1記載のネットワーク装置であって、前記ネットワーク装置は、
前記モバイル装置から前記ジョブ識別子を受け取り、
前記モバイル装置から受け取られた前記ジョブ識別子を含む要求を生成し、
前記要求をネットワーク・サービスに送出し、
前記要求の送出に応じて、前記ネットワーク装置によって現在サポートされている前記機能及びオプションの1つ又は複数のユーザ選択を規定する設定選択データを前記ネットワーク・サービスから受け取り、
前記設定選択データを使用して、前記ネットワーク装置上の電子文書の印刷、文書の走査、及び走査済デ―タの宛先への送出のうちの1つ又は複数を行うよう更に構成されたネットワーク装置。
【請求項8】
命令を記憶する1つ又は複数の記憶媒体であって、前記命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに、
a)ネットワーク装置によって現在サポートされている機能及びオプションと、
b)前記ネットワーク装置のネットワーク・インタフェース・データであって、前記ネットワーク・インタフェース・データは、モバイル装置がジョブ識別子をネットワーク・サービスから前記ネットワーク装置に送信することを可能にする前記ネットワーク・インタフェース・データと
を表す符号化データを表示する機能と、
印刷データを処理し、前記印刷データに反映された電子文書を前記ネットワーク装置によって処理させる機能と
を行わせ、前記機能はそれぞれ、前記モバイル装置及び前記ネットワーク・サービスとは別の1つ又は複数のコンピューティング装置によって行われる記憶媒体。
【請求項9】
請求項8記載の記憶媒体であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、無線通信リンクを使用して前記符号化データを前記モバイル装置に前記1つ又は複数のプロセッサを送信させる命令を更に備える記憶媒体。
【請求項10】
請求項8記載の記憶媒体であって、前記符号化データは、1つ又は複数の走査装置及び1つ又は複数のカメラによって捕捉することが可能な態様で表示される記憶媒体。
【請求項11】
請求項8記載の記憶媒体であって、前記符号化データはマシン読み取り可能な形式を有する記憶媒体。
【請求項12】
請求項8記載の記憶媒体であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記符号化データと異なり、
a)前記ネットワーク装置によって現在サポートされている前記機能及びオプションと、
b)前記ネットワーク装置の更新されたネットワーク・インタフェース・データと
を表す更新された符号化データを表示する機能と、
前記更新された符号化データを生成する機能と
を前記1つ又は複数のプロセッサに行わせる命令を更に備える記憶媒体。
【請求項13】
請求項8記載の記憶媒体であって、
前記符号化データは、クイック・レスポンス(QR)コード、バー・コード、1つ又は複数の記号、及び1つ又は複数の英数字のうちの1つ又は複数として符号化され、
前記符号化データは、前記ネットワーク装置に対するアクセスを検証するための認証情報を含むアプリケーション・プログラミング・インタフェース鍵を更に含み、
前記ネットワーク・インタフェース・データは、ユニフォーム・リソース識別子(URI)、電子メール・アドレス、及びネットワーク・アドレスの何れかを含む記憶媒体。
【請求項14】
請求項8記載の記憶媒体であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、
前記モバイル装置から受け取られた前記ジョブ識別子を含む要求を生成する機能と、
前記要求を前記ネットワーク・サービスに送出する機能と、
前記要求の送出に応じて、前記印刷データを前記ネットワーク・サービスから受け取る機能と、
前記印刷データを解析して、前記印刷データに反映された前記電子文書を処理する必要がある態様を判定し、前記印刷データに応じて前記電子文書を処理する機能と
を前記1つ又は複数のプロセッサに行わせる命令を更に備え、
前記処理が、前記ネットワーク装置上の前記電子文書をネットワークする機能、文書のハードコピーを前記ネットワーク装置のメモリに走査する機能、前記電子文書の宛先識別子に前記走査済文書を送出する機能、及び前記電子文書の光学式文字認識(OCR)処理の何れかを含む記憶媒体。
【請求項15】
モバイル装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
符号化データを受け取るよう構成された符号化データ受信器と、
前記受け取られた符号化データを処理して、
a)ネットワーク装置によって現在サポートされている機能及びオプションと、
b)前記ネットワーク装置のネットワーク・インタフェース・データであって、前記ネットワーク・インタフェース・データは、モバイル装置がジョブ識別子をネットワーク・サービスから前記ネットワーク装置に送信することを可能にする前記ネットワーク・インタフェース・データとを表すデータを取得するよう構成された符号化データ・プロセッサと
を備えるモバイル装置。
【請求項16】
請求項15記載のモバイル装置であって、前記モバイル装置は、前記符号化データを捕捉するために、1つ又は複数のカメラ、及び1つ又は複数のスキャナを更に備えるモバイル装置。
【請求項17】
請求項15記載のモバイル装置であって、前記モバイル装置は、無線通信リンクを介して前記符号化データを受け取るよう構成された無線通信受信器を更に備えるモバイル装置。
【請求項18】
請求項15記載のモバイル装置であって、前記符号化データはマシン読み取り可能な形式を有するモバイル装置。
【請求項19】
請求項15記載のモバイル装置であって、
前記符号化データは、クイック・レスポンス(QR)コード、バー・コード、1つ又は複数の記号、及び1つ又は複数の英数字のうちの1つ又は複数として符号化され、
前記符号化データは、前記ネットワーク装置に対するアクセスを検証するための認証情報を含むアプリケーション・プログラミング・インタフェース鍵を更に含み、
前記ネットワーク・インタフェース・データは、ユニフォーム・リソース識別子(URI)、電子メール・アドレス、及びネットワーク・アドレスのうちの1つ又は複数を含むモバイル装置。
【請求項20】
請求項15記載のモバイル装置であって、前記モバイル装置は、
前記ネットワーク装置によって現在サポートされている前記機能及びオプションに基づいてユーザ・インタフェースを生成し、
前記ネットワーク装置によって現在サポートされている前記機能及びオプションのうちの1つ又は複数のユーザ選択された機能及びオプションのユーザ選択を検出し、
前記電子文書識別データを受け取り、
前記1つ又は複数のユーザ選択された機能及びオプション、前記電子文書識別データをネットワーク・サービスに送出し、
前記送出に応じて、前記1つ又は複数のユーザ選択された機能及びオプション、並びに前記電子文書識別データと前記ネットワーク・サービスが関連付けた前記ジョブ識別子を前記ネットワーク・サービスから受け取り、
前記ジョブ識別子を前記ネットワーク装置に送出するよう更に構成されたモバイル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−25809(P2013−25809A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157534(P2012−157534)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】