説明

モレキュラーシーブ組成物(EMM−10−P)とその製造方法、およびこの組成物を用いた炭化水素の転換方法

この発明は結晶性モレキュラーシーブに関し、未精製の状態で、X線回折パターンにおいて示される格子面間隔dのピークが13.18±0.25Åと12.33±0.23Åにあり、13.18±0.25Åの格子面間隔dのピーク強度が、12.33±0.23Åの格子面間隔dのピーク強度の少なくとも90%である結晶性モレキュラーシーブに関する。この発明はまた、このモレキュラーシーブを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新規なモレキュラーシーブ組成物(EMM−10−P)とその製造方法、およびこの組成物を用いた炭化水素の転換方法に関する。特に、この発明は、新規なMCM−22型のモレキュラーシーブ組成物とその製造方法、およびこの組成物を用いた炭化水素の転換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天然および合成モレキュラーシーブは、種々の炭化水素の転換反応の触媒になることが知られている。ある種のモレキュラーシーブ、ゼオライト、AIPO、メソポーラス材料は、X線回折(XRD)で明確な結晶構造が認められる、規則性のある多孔質の結晶性材料である。結晶性モレキュラーシーブの内部には、多数の経路または孔で相互に連結した、多数の空隙がある。
特定のモレキュラーシーブの内部では、これらの多数の経路または孔は、均一なサイズになっている。このような孔の寸法は特定の寸法の分子を吸着し、一方、これより大きな寸法の分子は吸着しないため、このような物質は「分子篩」として知られるようになり、種々の工業的プロセスで用いられている。
【0003】
このような天然および合成モレキュラーシーブには、種々の正イオンを含有する結晶性ケイ酸塩が含まれる。このようなケイ酸塩は、SiOと、周期律表第13族元素の酸化物(例えばAlO)との強固な3次元骨格として表される。四面体構造は、酸素原子を共有して架橋されており、全ての第13族元素(例えばアルミニウム)とケイ素原子と酸素原子の比率は1:2である。
第13族元素(例えばアルミニウム)を含有する四面体構造中のイオン原子価は、例えばプロトン、アルカリ金属やアルカリ土類金属カチオンなどのカチオンを、結晶中に内包することでバランスする。これは、第13族元素(例えばアルミニウム)と、H、Ca2+/2、Sr2+/2、Na、K、Liなどの種々のカチオンとの比が1:1となることに表われている。
【0004】
触媒に用いられるモレキュラーシーブには、天然由来の、あるいは合成の結晶性モレキュラーシーブが含まれる。このようなゼオライトの例には、大孔径ゼオライト、中間径ゼオライト、小径ゼオライトが含まれる。これらのゼオライトとそのアイソタイプは、本願に参照として組み入れられるW.H.Meier、D.H.OlsonとCh.Baerlocherらの “Atlas of Zeolite Framework Types”(Elsevier、第5版、2001年)に記載されている。
【0005】
大孔径ゼオライトは一般に、孔径が少なくとも約7Åであり、LTL,VFI,MAZ,FAU,OFF,*BEA,とMOR型骨格のゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。大孔径ゼオライトの例は、マザイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL、VPI−5、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ、およびベータである。
一般に、中間径ゼオライトは孔径が約5Åから約7Å未満であり、例えばMFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWWと、TON型骨格のゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。中間径ゼオライトの例には、ZSM−5、ZSM−1l、ZSM−22、MCM−22、シリカライト1、シリカライト2も含まれる。
小径ゼオライトは孔径が約3Åから約5.0Å未満であり、例えば, CHA、ERI、KPI、LEV、SODと、LTA型骨格のゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。小径ゼオライトの例には、ZK−4、ZSM−2、SAPO−34、SAPO−35、ZK−14、SAPO−42、ZK−21、ZK−22、ZK−5、ZK−20、ゼオライトA、チャバザイト(chabazite)、ゼオライトT、グメリナイト(gmelinite)、ALPO−17、およびクリノプチロライト(clinoptilolite)などが含まれる。
【0006】
米国特許第4439409号に、PSH−3と呼ばれる物質の結晶性モレキュラーシーブ組成物と、その製造方法が開示されている。この製造方法では、ヘキサメチレンイミンと、MCM−56(米国特許第5362697号)の合成において構造規制剤として作用する有機物質とを含む水熱反応混合物を用いている。ヘキサメチレンイミンはまた、結晶性モレキュラーシーブのMCM−22(米国特許第4954325号)とMCM−49(米国特許第5236575号)の合成に用いられることが開示されている。
ゼオライトSSZ−25(米国特許第4826667号)と呼ばれるモレキュラーシーブ組成物は、アダマンタン4級アンモニウムイオンを含む水熱反応混合物から合成される。米国特許第6077498号には、ITQ−1と呼ばれる結晶性モレキュラーシーブ組成物と、この組成物を1または複数の有機物添加剤を含む水熱反応混合物から合成する方法を開示している。
【0007】
ここで用いる「MCM−22型物質」(あるいは「MCM−22の物質」、あるいは「MCM−22型のモレキュラーシーブ」)という用語には、下記のモレキュラーシーブが含まれる。
(i)共通の一次結晶構成単位胞「MWW骨格トポロジーのモレキュラーシーブ」で構成されるモレキュラーシーブ。(単位胞は原子の立体的配列であり、三次元空間に置かれたとき結晶構造を形成する。このような結晶構造は「Atlas of Zeolite Framework Types(15版、2001年)」に開示されており、本願に参照として組み込まれる。)
(ii)共通の二次構成単位で構成されるモレキュラーシーブであって、MWW骨格トポロジーの単位胞を二次元に置いたとき「単位胞1つ分の厚みの単層」となり、好ましくは厚みがc−単位胞1つ分であるモレキュラーシーブ。
(iii)共通の二次構成単位「1以上の単位胞厚みの層」で構成されるモレキュラーシーブであって、1を超える単位胞厚みの層が、MWW骨格トポロジーの単層が少なくとも2層積み重なるか、充填されるか、結合されて構成されているモレキュラーシーブ。このような二次構成単位の積み重なりは、規則的であっても、不規則であっても、ランダムであっても、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
(iv)MWW骨格トポロジーを有する単位胞が、規則的またはランダムに、二次元的または三次元的に組み合わされて構成されたモレキュラーシーブ。
【0008】
MCM−22型物質は、格子面間隔d(d−spacing)のピークが12.4±0.25、 3.57±0.07、および3.42±0.07Å(焼成された状態、あるいは合成後未精製の状態で測定)にあるX線回折パターンを有することで特徴付けられる。MCM−22型物質はまた、格子面間隔dのピークが12.4±0.25、 6.9±0.015、3.57±0.07Å、および3.42±0.07Å(焼成された状態、あるいは未精製の状態で測定)にあるX線回折パターンを有することで特徴付けられる。
モレキュラーシーブの分析に用いられるX線回折のデータは、銅のK−α二重線を入射放射線として用いる標準的方法により、シンチレーションカウンターとコンピュータを備えるX線回折装置を用いて得ることができる。
MCM−22型物質に属する物質には、MCM−22(米国特許第4954325号に開示されている)、PSH−3(米国特許第4439409号に開示されている)、SSZ−25(米国特許第4826667号に開示されている)、ERB−1(欧州特許第0293032号に開示されている)、ITQ−1(米国特許第6077498号に開示されている)、ITQ−2(国際公開パンフレットWO97/17290に開示されている)、ITQ−30(国際公開パンフレットWO2005/118476に開示されている)、MCM−36(米国特許第5250277号に開示されている)、MCM−49(米国特許第5236575号に開示されている)、MCM−56(米国特許第5362697号に開示されている)が含まれる。これらの特許文献は本願に参照として組み込まれる。
【0009】
従来のモルデナイトなどの大孔径ゼオライトのアルキル化触媒と比較すると、上記のMCM−22型のモレキュラーシーブは、12員環の表面ポケットを有し、この表面ポケットがモレキュラーシーブの内部にある10員環の内部孔と連通しない点で区別される。
【0010】
IZA−SCによりMWWトポロジーに分類されるゼオライト物質は、10員環と12員環の2つの孔システムを有する多層の物質である。前記のAtlas of Zeolite Framework Typesは、この同一のトポロジーを有する物質を5つの異なる名称に分類している。これらは、MCM−22、ERB−1、ITQ−1、PSH−3、およびSSZ−25である。
【0011】
MCM−22型のモレキュラーシーブは、種々の炭化水素の転換反応に用いることができる。MCM−22型のモレキュラーシーブの例は、MCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、PSH−3、SSZ− 25、およびERB−1である。これらのモレキュラーシーブは、芳香族のアルキル化に用いることができる。
例えば、米国特許第6936744号には、モノアルキル化芳香族化合物、特にクメンを製造するための方法であって、ポリアルキル化芳香族化合物と、アルキル化可能な芳香族化合物とを、少なくとも一部が液相の状態でアルキル転移触媒と接触させて、モノアルキル化芳香族化合物を生成させるステップを備え、アルキル転移触媒が少なくとも2つの異なる結晶性モレキュラーシーブから成り、このモレキュラーシーブはゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト、およびX線回折パターンの格子面間隔dのピークが12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、および3.42±0.07Åに表れる物質から選択される方法が開示されている。
【0012】
S.H.Lee、C.H.Shin、S.B.HongらのChem.Lett.Vol.32,No6,542−543頁(2003年)、S.H.Lee、C.H.Shin、D.K.Yang、S.D.Ahn、I.S.Nam、S.B.HongらのMicroporous and Mesoporous Materials,Vol.68,97−104頁(2004年)には、水と、二臭化Me−ダイクォット−5と、Ludox HS−40と、無水硝酸アルミニウムと、50wt%の水酸化ナトリウム溶液からなる水熱反応混合物の結晶化により合成されたMCM−22モレキュラーシーブが報告されている。この混合物は、表Iに示す組成であった。混合物は、結晶化条件下(表1に示す)で結晶化され、結晶サイズが約0.5×0.05μm(ミクロプレート形態)の純粋相MCM−22であることが判明している。
【0013】
【表1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結晶の形態、サイズ、凝集/集塊が触媒の挙動、特に触媒活性と安定性に影響することが知られている。
従って、新規なモレキュラーシーブ組成物、特に、異なるモルフォロジーのモレキュラーシーブ組成物と、その製造方法が求められている。
【解決手段】
【0015】
この発明は、アンモニア交換、または焼成された形態の、EMM−10−Pと同定される結晶性モレキュラーシーブに関する。また、この発明は、EMM−10−Pの製造方法に関する。
好ましい実施形態では、EMMM−10−PはMCM−22型のモレキュラーシーブである。
【0016】
いくつかの実施形態では、この発明は、未精製の状態で、X線回折パターンによる格子面間隔dのピークが13.18±0.25Åと12.33±0.23Åにあり、13.18±0.25Åの格子面間隔dのピーク強度が、12.33±0.23Åの格子面間隔dのピーク強度の少なくとも90%である結晶性モレキュラーシーブに関する。
【0017】
この発明のさらに別の実施形態では、結晶性モレキュラーシーブのX線回折パターンには、格子面間隔dのピークが11.06±0.18Åと9.25±0.13Åにある2本の判別可能なXRDピークが含まれ、11.06±0.18Åの格子面間隔dのピーク強度が、9.25±0.13Åの格子面間隔dのピーク強度以上である。さらに、格子面間隔dのピークが11.06±0.18Åと9.25±0.13Åのピークは、非分離のピークである。
【0018】
さらに別の実施形態では、この発明は窒素吸着BET法で測定した全表面積が450m/gを超える結晶性のMCM−22型モレキュラーシーブに関する。結晶性のMCM−22型モレキュラーシーブは、硝酸アンモニウムによるイオン交換と焼成によりH型に転換した後の、外部表面積/全表面積の比が、好ましくは0.15未満である。ここで、外部表面積は窒素吸着BET法のt−プロットにより求められる。
【0019】
またさらに別の実施形態では、この発明は平板状の形態の結晶性モレキュラーシーブに関し、少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき、1μmを超える結晶径、好ましくは2μmを超える結晶径を有する。
【0020】
いくつかの側面では、結晶性モレキュラーシーブは平板状の形態であり、少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき、約0.025μmの結晶厚みを有する。
ひとつの側面では、この発明の結晶性モレキュラーシーブはMCM−22型のモレキュラーシーブである。
いくつかの実施形態では、この発明は結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関し、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大、好ましくは10から10000、より好ましくは約10から55;
2O:Y=1から10000、好ましくは1から5000、より好ましくは約5から35;
3価元素源の補正をしないときのOH:Y=0.001から0.59、および/または、3価元素源の補正をしたときのOH:Y=0.001から0.39;
:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
R:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化Me− ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、水酸化臭化Me−ダイクォット−5、水酸化塩臭化Me−ダイクォット−5、水酸化フッ化Me−ダイクォット−5、水酸化沃化Me−ダイクォット−5、水酸化硝酸Me−ダイクォット−5、フッ化臭化Me−ダイクォット−5、フッ化塩化Me−ダイクォット−5、フッ化沃化Me−ダイクォット−5、フッ化硝酸Me−ダイクォット−5、塩化臭化Me−ダイクォット−5、塩化沃化Me−ダイクォット−5、塩化硝酸Me−ダイクォット−5、沃化臭化Me−ダイクォット−5、臭化硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、Rは、二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化 Me−ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5である);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、好ましくは約140〜約180℃、結晶化時間が約1時間〜400時間、好ましくは約1〜200時間、任意に撹拌速度が0から1000RPM、好ましくは0〜400RPMであることが含まれるステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関する。
【0021】
また別の実施形態では、この発明は結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関し、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大、好ましくは10から10000、より好ましくは約10から55;
2O:Y=1から10000、好ましくは1から5000、より好ましくは5から35;
3価元素源の補正をしないときのOH:Y=0.74から2、および/または、3価元素源の補正をしたときのOH:Y=0.64から2;
:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
R:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化Me− ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、水酸化臭化Me−ダイクォット−5、水酸化塩臭化Me−ダイクォット−5、水酸化フッ化Me−ダイクォット−5、水酸化沃化Me−ダイクォット−5、水酸化硝酸Me−ダイクォット−5、フッ化臭化Me−ダイクォット−5、フッ化塩化Me−ダイクォット−5、フッ化沃化Me−ダイクォット−5、フッ化硝酸Me−ダイクォット−5、塩化臭化Me−ダイクォット−5、塩化沃化Me−ダイクォット−5、塩化硝酸Me−ダイクォット−5、沃化臭化Me−ダイクォット−5、臭化硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、Rは、二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化 Me−ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5である);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、好ましくは約140〜約180℃、結晶化時間が約1時間〜400時間、好ましくは約1〜200時間、任意に撹拌速度が0から1000RPM、好ましくは0〜400RPMであることが含まれるステップと;
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関する。
【0022】
また別の実施形態では、この発明は結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関し、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大、好ましくは10から10000、より好ましくは約10から55;
2O:Y=1から10000、好ましくは1から5000、より好ましくは5から35;
3価元素源の補正をしないときのOH:Y=0.61から0.72、および/または、3価元素源の補正をしたときのOH:Y=0.41から0.49または0.51から0.62;
:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
R:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化Me− ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、水酸化臭化Me−ダイクォット−5、水酸化塩臭化Me−ダイクォット−5、水酸化フッ化Me−ダイクォット−5、水酸化沃化Me−ダイクォット−5、水酸化硝酸Me−ダイクォット−5、フッ化臭化Me−ダイクォット−5、フッ化塩化Me−ダイクォット−5、フッ化沃化Me−ダイクォット−5、フッ化硝酸Me−ダイクォット−5、塩化臭化Me−ダイクォット−5、塩化沃化Me−ダイクォット−5、塩化硝酸Me−ダイクォット−5、沃化臭化Me−ダイクォット−5、臭化硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、Rは、二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化 Me−ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5である);
【0023】
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、好ましくは約140〜約180℃、結晶化時間が約1時間〜400時間、好ましくは約1〜200時間、任意に撹拌速度が0から1000RPM、好ましくは0〜400RPMであることが含まれるステップと;
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関する。
【0024】
また別の実施形態では、この発明は結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関し、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと;
Y:X2=10から無限大、好ましくは10から10000、より好ましくは10から55;
2O:Y=1から35、好ましくは5から35;
OH:Y=0.001から2、好ましくは0.01から0.5;
:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
R:Y=0.001から2、好ましくは0.1から1;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化Me− ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、水酸化臭化Me−ダイクォット−5、水酸化塩臭化Me−ダイクォット−5、水酸化フッ化Me−ダイクォット−5、水酸化沃化Me−ダイクォット−5、水酸化硝酸Me−ダイクォット−5、フッ化臭化Me−ダイクォット−5、フッ化塩化Me−ダイクォット−5、フッ化沃化Me−ダイクォット−5、フッ化硝酸Me−ダイクォット−5、塩化臭化Me−ダイクォット−5、塩化沃化Me−ダイクォット−5、塩化硝酸Me−ダイクォット−5、沃化臭化Me−ダイクォット−5、臭化硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、Rは、二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化 Me−ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、Rは二臭化Me−ダイクォット−5であり、OH:Yは3価元素源の補正有り、または無しで計算される);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、好ましくは約140〜約180℃、結晶化時間が約1時間〜400時間、好ましくは約1〜200時間、任意に撹拌速度が0から1000RPM、好ましくは0〜400RPMであることが含まれるステップと;
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関する。
【0025】
いくつかの実施態様では、この発明は、結晶性モレキュラーシーブを製造する方法に関し、
(a)少なくとも1のケイ素の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1のアンモニウム源とを混合し、以下のモル組成比の混合物を調製するステップと;
Si:Al=10から無限大、好ましくは10から10000
O:Si=1から10000、好ましくは1から5000
3価元素源の補正をしないときのOH:Si=0.001から0.59、および/または(3価元素源の補正をしたときの)OH:Si=0.001から0.39
:Si=0.001から2
R:Si=0.001から0.34、ここでMはアルカリ金属であり、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩である;
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、結晶化時間が約1時間〜200時間であることが含まれるステップと;
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法に関する。
【0026】
いくつかの実施態様では、HO:Siのモル比は、約5から35の範囲内にある。
【0027】
さらに、この発明は炭化水素の転換プロセスに関し、
(a)炭化水素原料をこの発明の結晶性モレキュラーシーブ、またはこの発明の製造方法により製造された結晶性モレキュラーシーブに、転換条件下で接触させて、転換された製品を製造するステップを備える。
【0028】
この発明の種々の側面について、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1は、実施例Aの未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのX線回折パターンである。
図2は、実施例Aの未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのSEM像である。
図3は、実施例1の未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのX線回折パターンである。
図4は、実施例1の未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのSEM像である。
図5は、実施例2の未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのX線回折パターンである。
図6は、実施例2の未精製のMCM−22型モレキュラーシーブのSEM像である。
図7は、実施例4のMCM−22型モレキュラーシーブの、未精製の状態(上図)、アンモニウムイオン交換および/または焼成された状態(下図)でのX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願に引用した全ての特許、特許出願、試験方法、先行文献、記事、刊行物、マニュアル、その他の文献は、それが許される法域において、本願と矛盾しない範囲で本願に参照として引用される。
本願に複数の数値の上限と下限が記載されている場合、全ての下限と上限の組合せが考慮される。
本願で「骨格タイプ」というときは、「Atlas of Zeolite Framework Types」(2001年)に記載されている意味で用いる。
【0031】
本願の周期律表の元素番号は、Chemical and Engineering News、63(5)、 27(1985年)の用例に従う。
「平板状」の形態とは、「平行に積み上げられた薄い板様の結晶」を有する平板の鉱物を意味する。「板状」の形態という用語は、薄い板様の結晶を意味する。
【0032】
当業者であれば、MCM−22型の物質には、アモルファスな物質、非MWW型骨格トポロジーの単位胞(例えばMFI、MTW),および/または他の不純物(例えば重金属、および/または有機炭化水素)などの不純物を含有していることが理解できるであろう。
【0033】
この発明のMCM−22型モレキュラーシーブ中に共存する非MCM−22型モレキュラーシーブの例は、ケニヤイト、EU−1、ZSM−50、ZSM−12、ZSM−48、ZSM−5、フェリエライト、モルデナイト、ソーダライト、および/またはアナルシンである。
【0034】
この発明のMCM−22型モレキュラーシーブ中に共存する、他の非MCM−22型モレキュラーシーブの例は、EUO、MTW、FER、MOR、SOD、ANA、および/またはMFI型骨格を有するモレキュラーシーブである。この発明のMCM−22型モレキュラーシーブは、好ましくは非MCM−22型モレキュラーシーブを実質的に含有しない。
【0035】
ここに言う「実質的に非MCM−22型物質を含まない」とは、MCM−22型モレキュラーシーブは、不純物と純粋MCM−22型物質相の合計の重量に対し、非MCM−22型(不純物)を好ましくは少量(50wt%未満)、好ましくは20wt%未満含有することを意味する。
【0036】
MCM−22結晶性物質は、モル比がX:(n)YOの組成を有する。ここで、Xはアルミニウム、ホウ素、鉄および/またはガリウムなどの3価元素であり、好ましくはアルミニウムである。Yはケイ素および/またはゲルマニウムなどの4価元素であり、好ましくはケイ素である。nは少なくとも約10であり、通常約10から約150、好ましくは約10から約60、より好ましくは約20から約40である。
未精製の状態で、無水結晶を基準としたとき、この結晶性物質はnモルのYOに対し以下の式で表される。
(0.005〜l)MO:(l〜4)R: X:nYO
ここでMはアルカリまたはアルカリ土類金属、Rは有機基である。MとRは、合成時に用いられる物質に由来し、当業者に周知で、および/または、以下詳しく説明する後処理方法により容易に除去できる。
【0037】
発明の詳細な説明では、モレキュラーシーブ物質を説明するために、公知の分析同定技術を用いた。これらの公知の技術には、以下の分析同定が含まれる。
(a)X線回折によるモレキュラーシーブ物質の構造と結晶化度の分析。および/または、
(b)走査型電子顕微鏡によるモレキュラーシーブ物質のモルフォロジーと結晶サイズの測定。および/または、
(c)原子吸光分析および/または誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)による化学組成分析。または、
(d)窒素BET法による吸着能力と表面積の測定。および/または、
(e)確認試験による触媒活性と触媒安定性の測定。
【0038】
<MCM−22の粉末法X線回折パターン>
MCM−22結晶性物質は、X線回折パターンにより他の結晶性物質と区別される。
内面格子間隔dは、Å単位で計算した。相対線強度I/Ioは、バックグラウンドに対し最も強い線をIo、100とし、プロファイルフィッティング法(または二次導関数)を用いて求めた。
線強度の、Lorentz効果および分極効果に対する補正は行なわなかった。
相対線強度は、VS=非常に強い(60を超え100まで)、S=強い(40を超え60まで)、M=中間(20を超え40まで)、およびW=弱い(0から20まで)で表した。なお、1本の線として表記される回折データでも、たとえば結晶相変化が相違する場合などに、複数の線が一部または全部重複したものである場合がある。
【0039】
一般に、結晶相変化には、結晶構造の変化を伴わない単位胞定数の軽微な変化、および/または結晶の対称性の変化が含まれる。これらの軽微な効果は、ピーク相対強度の変化を含め、カチオン含有量の違い、骨格組成の違い、孔充填の程度や充填物の性質の違い、あるいは、熱および/または水熱反応の履歴の違いによっても生じる。他の回折パターンの違いは、物質の明白な相違を示し、MCM−22の場合には、他の類似の物質、例えばMCM―49、MCM―56、およびPSH―3との相違を示す。
【0040】
格子面間隔dは、ピーク強度のベースラインから最大値までの50%と定義されるハーフハイト(half height)において、約1.5度以上のピーク幅が認められるとき、ブロードと判断した。
「XRDで判別可能なピーク」というときは、バックグラウンドノイズレベルの平均に対し、少なくとも2倍の強度の明確なピークを意味する。
【0041】
本願でXRDの「非ディスクリート」ピーク(または「非分離」ピーク)というときは、複数のピークの間に単調な部分があることを言う(ノイズの範囲内で、連続する点が増加する(または一定になる)か、減少するまたは一定になる))。
XRDの「ディスクリート」ピーク(または「分離」ピーク)というときは、非ディスクリート(非分離)ではないXRDピークをいう。
【0042】
このX線回折パターンは本願の全ての結晶性組成物の特徴である。ナトリウムの形態や他のカチオンの形態は、微小な格子面間隔dのシフトや類)がわずかに異なるだけの、実質的に同じパターンを示す。他の微小な相違も、YとXの比(例えばケイ素とアルミニウムの比)や熱履歴(例えば焼成)によって生じ得る。
【0043】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ組成物は、未精製の状態でのモレキュラーシーブのX線回折パターンに格子面間隔dのピークが13.18±0.25と12.33±0.23Åにあり(表II)、ここで、13.18±0.25Åのピークのピーク強度が、12.33±0.23Åのピークのピーク強度の少なくとも90%、好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも110%より大きいことにより特徴付けられる。
【0044】
【表2】

【0045】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ組成物はさらに、未精製の状態でのモレキュラーシーブのX線回折パターンに格子面間隔dのピークが11.06±0.18と9.25±0.13Åにあり(表III)、ここで、11.06±0.18Åのピークのピーク強度が、9.25±0.13Åのピークの少なくとも90%、好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも110%より大きいことにより特徴付けられる。
この発明の結晶性モレキュラーシーブ組成物はさらに、未精製の状態でのモレキュラーシーブの格子面間隔dの11.06±0.18と9.25±0.13Åのピークが、非分離ピークであることにより特徴付けられる。
【0046】
【表3】

【0047】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ組成物は、未精製の結晶性モレキュラーシーブのX線回折パターンに、表IVまたは表Vに示す格子面間隔dのピークがあることにより特徴付けられる。
【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
<走査型電子顕微鏡(SEM)>
米国特許第4954325号に開示された方法で製造されたMCM−22型のモレキュラーシーブのSEM像を図2に示す。米国特許第4954325号の方法で製造されたMCM−22型のモレキュラーシーブは、薄層で比較的不明瞭な六角板状のモルフォロジーを示し、SEMで観察される小片の平均径は約1μm未満である。大部分の小片の平均径は、約0.5μm未満である。
S.H.Lee、 C.H.Shin、S.B HongらがChem.Lett.Vol.32,No.6,542−543ページ(2003年)に開示した公知の未精製のMCM−22結晶性物質は、粒子径が約0.5×0.05μmで、小薄片状の形態であることが報告されている。
【0051】
この発明の結晶性モレキュラーシーブのSEM像を、図4と図6に示す。この発明の結晶性モレキュラーシーブ(図4と図6)は、大部分、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%の結晶性モレキュラーシーブの結晶が1μmを超える平板の平均径を有する、多層板状集積体の結晶形態を有する。
さらに、この発明の結晶性モレキュラーシーブ(図4,6)は、好ましくは、大部分、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%の結晶性モレキュラーシーブの結晶が約0.025μmの平板平均厚みを有する、多層板状集積体の結晶形態を有する。
【0052】
<表面積と吸着量>
モレキュラーシーブの全表面積は、窒素の吸着−脱着(液体窒素の温度、77K)を利用して、Brunauer−Emmett−Tellcr(BET)法によって測定することができる。内部表面積は、Brunauer−Emmett−Tellcr(BET)法の測定値のt−プロットにより計算することができる。外部表面積は、Brunauer−Emmett−Tellcr(BET)法で測定した全表面積から内部表面積を引くことにより計算することができる。
【0053】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ(焼成後)は、好ましくは全表面積(BET法のt−プロットで測定した外部表面積と内部表面積の和)が450m/gを超え、好ましくは475m/gを超え、より好ましくは500m/gを超えることで特徴付けられる。
さらに、この発明の結晶性モレキュラーシーブ(焼成後)は、外部表面積(BET法のt−プロットで測定)を全表面積で割った値が、好ましくは0.15未満、より好ましくは0.13、さらに好ましくは0.12未満であることで特徴付けられる。
【0054】
<水熱反応混合物の配合処方>
合成ゼオライトは、必要な酸化物を含む、水性の水熱反応混合物(または合成混合物/合成ゲル)から調製される。所望の構造のゼオライトを合成するために、有機構造規制剤が水熱反応混合物に含まれている。
構造規制剤の使用について、Lokらにより「Zeolites、Vol. 3(1983年10月、282−291ページ)」の「The Role of Organic Molecules in Molecular Sieve Synthesis」と題する記事に記載されている。
【0055】
水熱反応混合物の各成分を混合した後、水熱反応混合物は適切な結晶化条件下におかれる。この結晶化条件には、好ましくは撹拌しながら、水熱反応混合物を昇温することが含まれる。水熱反応混合物を室温で熟成することが好ましい場合もある。
【0056】
水熱反応混合物の結晶化が終了したら、結晶生成物は水熱反応混合物、特に水熱反応混合物の液状成分から回収される。この回収操作には、結晶を濾別し、この結晶を水洗する操作が含まれる。
しかし、結晶から水熱反応混合物残渣を完全に除去するために、高温、例えば500℃で、好ましくは酸素の存在下で焼成する。この焼成により、結晶から水が除去されるだけでなく、イオン交換するサイトになるであろう結晶の孔を塞いでいる、有機物の構造規制剤が分解および/または酸化される。
【0057】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ物質は、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリまたはアルカリ土類(M)と、カチオンと、アルミニウムなどの3価元素の酸化物Xと、例えばケイ素などの4価元素の酸化物Yと、以下詳細に説明する有機構造規制剤(R)と、水とを含む水熱反応混合物から調製される。水熱反応混合物は、酸化物のモル比で表したとき、以下の範囲の組成を有する。
【0058】
【表6】

【0059】
これらの実施形態で、水熱反応用の反応混合物が表VIに示す組成を有するとき、3価元素供給源の補正無しのOH:YOモル比は約0.001から約0.59の範囲であり、および/または3価元素供給源の補正有りのOH:YOモル比は約0.001から約0.39の範囲である。
【0060】
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、表VIに示すこれらの実施例のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)の有用な下限値である:0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、および0.55。
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、表VIに示すこれらの実施例のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)の有用な上限値である:0.59、0.55、0.51、0.5、0.4、0.3、0.2、および0.1。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、下限値が上限値以下である限り、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つの範囲内である。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、ひとつの実施形態では0.001から0.59、あるいは0.01から0.5、あるいは0.1から0.5、別の実施形態では0.1から0.4である。
【0061】
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、表VIに示すこれらの実施例のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)の有用な下限値である:0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.3、および0.35。
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、表VIに示すこれらの実施例のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)の有用な上限値である:0.39、0.35、0.31、0.3、0.2、および0.1。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、下限値が上限値以下である限り、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つの範囲内である。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、ひとつの実施形態では0.001から0.39、あるいは0.01から0.35、あるいは0.1から0.3、別の実施形態では0.1から0.25である。
【0062】
また、この発明の結晶性モレキュラーシーブ物質は、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリまたはアルカリ土類(M)と、カチオンと、アルミニウムなどの4価元素の酸化物Xと、例えばケイ素などの4価元素の酸化物Yと、以下詳細に説明する有機構造規制剤(R)と、水とを含む水熱反応混合物から調製される。水熱反応混合物は、酸化物のモル比で表したとき、以下の範囲の組成を有する。
【0063】
【表7】

【0064】
これらの実施形態で、水熱反応用の反応混合物が表VIIに示す組成を有するとき、3価元素供給源の補正無しのOH:YOモル比は約0.74から約2の範囲であり、および/または3価元素供給源の補正有りのOH:YOモル比は約0.64から約2の範囲である。
【0065】
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、本願の製造方法のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)の有用な下限値である:0.74、0.77、0.78、0.80、0.90、 1、および1.5。
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、本願の製造方法のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)の有用な上限値である:2、1.6、1.4、1.3、1.2、1、0.9、および0.8。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、下限値が上限値以下である限り、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つの範囲内である。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、ひとつの実施形態では0.74から2、あるいは0.8から2、あるいは0.8から1、別の実施形態では0.8から1.1である。
【0066】
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、本願の製造方法のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)の有用な下限値である:0.64、0.65、0.66、0.7、0.75、0.80、0.90、1、および1.5。
以下のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、本願の製造方法のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)の有用な上限値である:2、1.6、1.4、1.3、1.2、1、0.9、および0.8。
【0067】
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、下限値が上限値以下である限り、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つの範囲内である。
OH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、ひとつの実施形態では0.74から2、あるいは0.8から2、あるいは0.8から1、別の実施形態では0.8から1.1である。
【0068】
また、この発明の結晶性モレキュラーシーブ物質は、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリまたはアルカリ土類(M)と、カチオンと、アルミニウムなどの4価元素の酸化物Xと、例えばケイ素などの4価元素の酸化物Yと、以下詳細に説明する有機構造規制剤(R)と、水とを含む水熱反応混合物から調製される。水熱反応混合物は、酸化物のモル比で表したとき、以下の範囲の組成を有する。
【0069】
【表8】

【0070】
最終製品中に含まれる種々の元素は、市販品に由来するものでも、公知文献に開示されたものでもよい。合成混合物の調製も同様である。
【0071】
Yは周期律表の第4〜14族から選択される4価元素であり、例えばケイ素および/またはゲルマニウムであり、好ましくはケイ素である。この発明のいくつかの実施態様では、この発明の結晶性製品を得るために、YOの供給源は固体のYO、好ましくは約30wt%の固体のYOである。
YOがシリカの場合、上記の混合物からの結晶形成において、好ましくは約30wt%の固形シリカを含むシリカ供給源、例えばDegussa社から商品名AerosilまたはUItrasil(約90wt%のシリカを含有する沈降、スプレードライシリカ)で販売されているシリカ、または、例えばGrace Davison社から商品名Ludox、またはHiSil(約87wt%のシリカ、約6wt%の遊離HO、約4.5wt%の水和結合水を含み、粒径約0.02μmの沈降水和SiO)で販売されているシリカの水性コロイド懸濁液を使用することが好ましい。
すなわち、好ましくは、YO、例えばシリカ供給源は、約30wt%の固体YO、例えばシリカを含み、好ましくは、約40wt%の固体YO、例えばシリカを含む。ケイ素供給源はまた、ケイ酸塩、例えばアルキル金属ケイ酸塩、あるいはテトラアルキルオルトケイ酸塩であってもよい。
【0072】
この発明の別の実施形態では、YO供給源は4価元素(Y)の酸からなる。YOがケイ素のとき、ケイ素供給源はケイ素を含む酸である。
【0073】
Xは周期律表の第3〜13族から選択される3価元素であり、例えばアルミニウムおよび/またはホウ素、および/または鉄、および/またはガリウムであり、好ましくはアルミニウムである。例えばアルミニウムなどの、Xの供給源は、硫酸アルミニウムあるいは水和アルミナである。他のアルミニウム源には、例えば他の水溶性アルミニウム塩、アルミン酸ナトリウム、あるいは、例えばイソプロポキシアルミニウムなどのアルコキシド、あるいは、例チップ状の金属アルミニウムが含まれる。
【0074】
アルカリまたはアルカリ土類金属元素には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが好ましい。アルカリまたはアルカリ土類金属元素の供給源は、酸化金属、塩化金属、フッ化金属、硫酸化金属、硝酸化金属、またはアルミン酸金属であることが好ましい。ナトリウムの供給源は、水酸化ナトリウム、または、アルミン酸ナトリウムであることが好ましい。また、アルカリ金属は、アンモニウムイオン(NH4+)やその均等物、例えばアルキルアンモニウムイオンなどと結合している。
【0075】
この発明のいくつかの実施態様では、M:YO、例えばM:SiOのモル比は、下限値が0.001、好ましくは0.01、好ましくは0.1、上限値が2.0、好ましくは1、好ましくは0.5の範囲にある。M:YO、例えばM:SiOのモル比は、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つを組み合わせた範囲内にある。
【0076】
この発明のいくつかの実施態様では、HO:YO、例えばHO:SiOのモル比は、下限値が1、好ましくは5、好ましくは10、上限値が10000、好ましくは5000、好ましくは500の範囲にある。HO:YO、例えばHO:SiOのモル比は、好ましくは上記の複数の下限値のいずれか1つと、上記の複数の上限値のいずれか1つを組み合わせた範囲内にある。
【0077】
この発明のOH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、水熱反応用の混合物中の酸の補正を含まない。OH:YOモル比(3価元素供給源の補正無し)は、水熱反応用の混合物に添加された水酸基の全モル数を、水熱反応用の混合物に添加されたY元素の全モル数で割ることにより求められる。
【0078】
水酸基(OH)供給源は、好ましくはアルキル金属酸化物、例えばLiO、NaO、KO、RbO、CsO、FrO、あるいはこれらの組合せ;水酸化アンモニウム、アルキル土類金属酸化物、例えばBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、RaO、あるいはこれらの組合せ;アルキル土類金属の水酸化物、例えばBe(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)、Ra(OH)、あるいはこれらの組合せ;第3〜17族から選択される元素の酸化物または水酸化物、あるいはこれらの組合せ;有機水酸化物、例えば水酸化4級アンモニウム、合成に用いられる有機構造規制剤(R)の水酸化物である。
【0079】
この発明で言うOH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)には、水熱反応用の反応混合物中の酸の量の補正を行なうことが含まれる。
補正後のOHのモル数は、3価元素(3価元素源が酸化物、水酸化物、金属以外の塩の形態で供給される場合)のモル数の3倍の値を、水熱反応用の反応混合物に添加された水酸基の全モル数から引き算して求められる。
従って、OH:YOモル比(3価元素供給源の補正有り)は、補正後の水酸基の全モル数を、水熱反応用の反応混合物に添加されたY元素の全モル数で割り算して求められる。
【0080】
この発明のいくつかの実施形態では、OH:YOモル比、例えばOH:SiOモル比は、下限値が0.001、好ましくは0.01、あるいは0.1で、上限値が2.0、好ましくは1、あるいは0.5である。OH:YOモル比、例えばOH:SiOモル比は、上記の下限値のいずれかと、上記の上限値のいずれかとの組合せの範囲内にある。
【0081】
構造規定剤Rは、N,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の内の少なくとも1種類であり、例えば、水酸化、塩化、臭化、フッ化、硝酸化、硫酸化、リン酸化Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物である。
【0082】
いくつかの実施形態では、構造規定剤Rは、二臭化Me−ダイクォット−5、二塩化Me−ダイクォット−5、二フッ化Me−ダイクォット−5、二沃化Me− ダイクォット−5、二水酸化Me−ダイクォット−5、硫酸Me−ダイクォット−5、二硝酸Me−ダイクォット−5、水酸化臭化Me−ダイクォット−5、水酸化塩臭化Me−ダイクォット−5、水酸化フッ化Me−ダイクォット−5、水酸化沃化Me−ダイクォット−5、水酸化硝酸Me−ダイクォット−5、フッ化臭化Me−ダイクォット−5、フッ化塩化Me−ダイクォット−5、フッ化沃化Me−ダイクォット−5、フッ化硝酸Me−ダイクォット−5、塩化臭化Me−ダイクォット−5、塩化沃化Me−ダイクォット−5、塩化硝酸Me−ダイクォット−5、沃化臭化Me−ダイクォット−5、臭化硝酸Me−ダイクォット−5、およびこれらの混合物から成る群から選択される。
【0083】
合成結晶性モレキュラーシーブのコストと品質に影響する因子は、構造規定剤の使用量(R:YO、例えば、R:SiOモル比と記す)である。一般に構造規定剤は、大部分の結晶性モレキュラーシーブの水熱反応混合物の中で、最も高価である。水熱反応混合物中の構造規定剤の量が少ないほど(低R:YO比、例えば低R:SiOモル比)最終製品であるモレキュラーシーブが安価になる。
【0084】
この発明のいくつかの実施形態では、R:YO、例えば、R:SiOモル比は、下限値が0.001、好ましくは0.05、あるいは0.1で、上限値が2.0、好ましくは0.5、あるいは0.15である。
R:YO、例えば、R:SiOモル比は、上記の下限値のいずれかと、上記の上限値のいずれかとの組合せの範囲内にある。
【0085】
水熱反応混合物は1つ以上の供給源から供給される。水熱反応混合物は、バッチで調製してもよいし、連続的に調製してもよい。この発明の結晶物質の結晶のサイズと結晶化時間は、使用される水熱反応混合物の性状と結晶化条件により異なる。
当業者であれば、上記のモル比の範囲内の組成を有する合成混合物とは、合成混合物が混合、添加、反応、あるいはその他のこの種の混合物を調製する手段で作られた物であり、この物が上記のモル比の範囲内の組成を有することを意味することを理解できるであろう。
【0086】
混合、添加、反応、あるいはその他のこの種の混合物を調製する手段で作られた物は、調製されたとき、各成分を含むか、含まないであろう。混合、添加、反応、あるいはその他のこの種の混合物を調製する手段で作られた物は、混合、添加、反応、あるいはその他のこの種の混合物を調製する手段で作られた物が調製されたとき、各成分の反応生成物を含む場合もある。
任意に、水熱反応混合物に種結晶を含有させることもできる。モレキュラーシーブの水熱反応混合物に種結晶を用いると、例えば、生成物の粒径の制御、有機鋳型分子の使用の不要化、合成反応の促進、目的とする骨格構造の製品中における割合の増加など、様々な利点があることはよく知られている。
【0087】
この発明のいくつかの実施形態では、結晶性モレキュラーシーブの合成は、水熱反応混合物の4価元素酸化物(例えばシリカ)の全重量に対し、0から約25wt%、好ましくは約1から5wt%の種結晶の存在下で行なわれる。
【0088】
種結晶は、それらが用いられる合成反応と類似の合成反応から提供される。一般に、いかなる形態の結晶であっても、新たな合成反応の促進に用いることができる。
【0089】
<結晶化条件>
この発明の結晶性モレキュラーシーブの結晶化は、例えばオートクレーブなどの反応容器中で、撹拌または静的条件下で行なうことができる。結晶化に好適な温度範囲は約100℃〜約200℃で、その温度下で結晶化を生じさせるために十分な時間、例えば約1時間から約400時間、任意に0〜1000回転/分(RPM)で撹拌することができる。
好ましくは、結晶化の温度範囲は約140〜約180℃、その温度下で結晶化を生じさせるために十分な時間は約1〜200時間、任意に0〜400RPMで撹拌することができる。
【0090】
その後、結晶は液から分離され、回収される。この製法には、高温の水熱反応処理(水熱反応)の前に、室温下(〜25℃)、または、好ましくは水熱反応より低音の昇温下での熟成期間が含まれる。水熱反応には、連続的または段階的に温度を変化させる期間が含まれる。
任意に、水熱反応は、例えば撹拌または容器を水平軸の周りに回転させる(タンブリング)などの、各種の撹拌手段を用いて行なうことができる。撹拌速度は、0から約1000RPM、好ましくは0から約400RPMの範囲内である。
【0091】
ある実施形態では、この発明の結晶性モレキュラーシーブは、MCM−22型の物質である。好ましい実施形態では、この発明の結晶性モレキュラーシーブは、少なくともMCM−22、MCM-49、MCM−56、合生相のMCM−22、および/またはMCM−49、および/またはMCM−56の、少なくともいずれか1種類である。
【0092】
合成されたモレキュラーシーブは濾別され、水洗され、および/または乾燥される。結晶化された結晶性モレキュラーシーブは回収され、さらに、アンモニウム塩によるイオン交換、(例えば水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、またはこれらの組合せ)、および/または、温度が200℃を超え、好ましくは少なくとも300℃、より好ましくは少なくとも400℃、最も好ましくは少なくとも500℃の酸化雰囲気下(例えば空気中、酸素の分圧が0kPa−aを超えるガス中)での焼成などの処理が行なわれる。
【0093】
<触媒作用と吸着>
モレキュラーシーブおよび/またはゼオライトの製造、改質、性質については、「Molecular Sieves− Principles of Synthesis and Identification(R.Szostak著、Blackie Academic&Professional社、ロンドン1998年、第2版)に記載されている。モレキュラーシーブに加え、無定形の物質、主としてシリカ、アルミニウムシリケート、および酸化アルミニウムが吸着剤や触媒担体に用いられてきた。
触媒や吸着剤、およびイオン交換用のミクロポーラスあるいは他のタイプの多孔性物質を、例えば球状粒子、押出形状、ペレット形状、および錠剤形状に成型するために、スプレードライ、小球化、ペレット化および押出などの成型方法がこれまで用いられてきており、また今も用いられている。
これらの成型方法は、「Catalyst Manufacture(A. B.Stiles、T.A.Koch著、Marcel Dekker社、ニューヨーク、1995年)」に記載されている。
【0094】
所望により、製造直後の物質中の金属カチオンの少なくとも一部を、公知の技術により、他のカチオン種にイオン交換することができる。好ましい交換カチオンには、金属イオン、水素イオン、例えばアンモニウムイオンなどの水素前駆体、およびこれらの混合物が含まれる。特に好ましいカチオンは、所定の炭化水素転換反応に適した触媒作用を付与するものである。これらには、水素、希土類金属、周期律表の第1〜17族金属、好ましくは第2〜12族金属が含まれる。
【0095】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブが吸着体、あるいは有機化合物の転換反応の触媒として用いられるとき、少なくとも一部が脱水されていなければならない。
脱水は、結晶性物質を空気または窒素雰囲気下で、大気圧下、減圧下、あるいは加圧下で、30分から48時間、200℃から595℃の範囲の温度に加熱して行うことができる。脱水の度合いは、乾燥窒素(水の分圧が0.001kPa未満)を、595℃で48時間流通させた後のモレキュラーシーブの試料の全重量損失に対する重量損失のパーセンテージにより測定することができる。
また脱水は、室温(25℃)でケイ酸塩を真空化に置いて実施することもできるが、十分乾燥させるには時間を要する。
【0096】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブが触媒として用いられる場合、熱処理によって、有機構成成分の一部または全部が除去される。この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガンあるいは、白金、パラジウム等の貴金属などの水素化成分と組み合わせて触媒として用いられ、水素添加−脱水素化が行なわれる。
【0097】
これらの水素化成分は、モレキュラーシーブ物質中に共結晶化により、例えばモレキュラーシーブの構造中にあるアルミニウムなどの第13族元素が交換され、含浸され、あるいは物理的に混合されることによって導入される。水素化成分が例えば白金の場合、ケイ酸塩を、白金イオンを含む溶液で処理することによってモレキュラーシーブに含浸させることができる。このような場合に適切な白金化合物は、塩化白金酸、塩化プラチナ、プラチナとアミンの錯体を含む種々の化合物などである。
【0098】
上記の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、特に水素化、アンモニウム化、金属化された形態のとき、熱処理によって他の形態に転化することができる。熱処理は一般に、これらのいずれかの形態のモレキュラーシーブを、少なくとも370℃の温度で少なくとも1分間、通常は1000時間を超えない範囲で加熱して行なわれる。
熱処理を減圧下で行なうこともできるが、操作のしやすさから、大気圧下で行なうことが好ましい。熱処理は、最大温度925℃で行なわれる。熱処理されたモレキュラーシーブは、特に、いくつかの炭化水素転化反応の触媒に好適に用いられる。熱処理されたモレキュラーシーブは、特に水素化、アンモニウム化、金属化された形態のとき、いくつかの有機反応の触媒、例えば炭化水素転化反応の触媒に好適に用いられる。
このような反応の非限定的例示として、米国特許第4,954,325号、第4,973,784号、第4,992,611号、第4,956,514号、第4,962,250号、第4,982,033号、第4,962,257号、第4,962,256号、第4,992,606号、第4,954,663号、第4,992,615号、第4,983,276号、第4,982,040号、第4,962,239号、第4,968,402号、第5,000,839号、第5,001,296号、第4,986,894号、第5,001,295号、第5,001,283号、第5,012,033号、第5,019,670号、第5,019,665号、第5,019,664号、および第5,013,422号に開示されている反応が挙げられる。これらの文献は、参照として本願に組み込まれる。
【0099】
この発明により製造された結晶性モレキュラーシーブは、様々の形状の粒子形状に賦形される。一般に、粒子は、粉末状、顆粒状、押出形状などの成型製品の形態である。モレキュラーシーブ触媒が押出形状などに成型される場合、モレキュラーシーブ触媒は押出し加工の前に一部または完全に乾燥され、次いで押出される。
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、吸着剤として用いることもできる。例えば、気相または液相中にあって、この発明の結晶性モレキュラーシーブに対し異なる吸着特性を有する複数成分の混合物から、少なくとも1つの成分を分離するために用いることができる。
すなわち、複数成分の混合物を、1つの成分を選択的に吸着することができるこの発明の結晶性モレキュラーシーブと接触させることにより、この発明の結晶性モレキュラーシーブに対し異なる吸着特性を有する複数成分の混合物から、少なくとも1つの成分を一部または実質的に完全に分離することができる。
【0100】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、分離プロセスと炭化水素転換プロセスを含む様々なプロセスの触媒として有用である。
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブ単独、または1以上の、他の結晶性触媒を含む他の触媒活性を有する物質との組合せが触媒活性を示す炭化水素転換方法の例には、以下のプロセスが含まれる。
【0101】
(i)例えばベンゼンなどの芳香族炭化水素を、例えばC14オレフィンなどの長鎖オレフィンによりアルキル化するプロセスであって、反応条件には、温度約340℃から約500℃、圧力約101から約20200kPa−a(絶対圧)、重量空間速度約2hr−1から約2000hr−1、芳香族炭化水素/オレフィンモル比約1/1から約20/1のいずれか1つまたは組合せが含まれ、これにより長鎖アルキル基を有する芳香族が製造され、この長鎖アルキル基を有する芳香族がその後スルホン化され、合成洗剤が提供される。
(ii)例えばベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを製造する等、芳香族炭化水素を気相短鎖オレフィンでアルキル化するプロセスであって、反応条件には、温度約10℃から約125℃、圧力約101から約3030kPa−a、芳香族炭化水素の重量空間速度(WHSV)約5hr−1から約50hr−1のいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(iii)ベンゼンとトルエンを含む改質ガソリンを、Cオレフィンを含む燃料ガスでアルキル化し、とりわけモノ、およびジアルキル化された製品を製造するプロセスであって、反応条件には、温度約315℃から約455℃、圧力約3000から約6000kPa−a、オレフィンのWHSV約0.4hr−1から約0.8hr−1、改質ガソリンのWHSV約1hr−1から約2hr−1、および供給される燃料ガスに対するガスリサイクル率が1.5から2.5 vol/volのいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(iv)例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素を、例えばC14オレフィンなどの長鎖オレフィンによりアルキル化して、アルキル化された芳香族炭化水素の潤滑油原料を提供するプロセスであって、反応条件には、温度約160℃から約260℃、圧力約2600から約3500kPa−aのいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(v)フェノールを、オレフィンまたは同等のアルコールでアルキル化して長鎖アルキルフェノールを提供するプロセスであって、反応条件には、温度約200℃から約250℃、圧力約1500から約2300kPa−a、全WHSV約2hr−1から約10hr−1の、いずれか1つまたは組合せが含まれる。
(vi)軽質パラフィンをオレフィンおよび芳香族炭化水素に転換するプロセスであって、反応条件には、温度約425℃から約760℃、圧力約170から約15000kPa−aの、いずれか1つまたは組合せが含まれる。
(vii)軽質オレフィンをガソリン、蒸留油、潤滑油相当の炭化水素に転換するプロセスであって、反応条件には、温度約175℃から約375℃、圧力約800から約15000kPa−aの、いずれか1つまたは組合せが含まれる。
(viii)当初の沸点が約260℃を超える炭化水素原料を、蒸留油およびガソリン相当の沸点範囲を有する製品にアップグレードする2段階の水素化クラッキングプロセスであって、第1段階でこの発明のMCM−22型モレキュラーシーブと第8〜10族の金属と組み合わせて触媒に用い、この生成物を第2段階でゼオライトベータを第8〜10族の金属と組み合わせて触媒に用い、反応条件には、温度約340℃から約455℃、圧力約3000から約18000kPa−a、水素循環率約176から約1760リットル/リットル、液空間速度(LHSV)約0.1hr−1から約10hr−1のいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(ix)この発明のMCM−22型モレキュラーシーブと水素化成分触媒の存在下、またはこのような触媒とゼオライトベータの存在下で行なう、水素化クラッキングと脱ろうの組合せのプロセスであって、反応条件には、温度約350℃から約400℃、圧力約10000から約11000kPa−a、LHSV約0.4hr−1から約0.6hr−1、水素循環率約528から約880リットル/リットル、のいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(x)例えば、メタノールとイソブテンおよび/またはイソペンテンとを反応させてメチル−ブチルエーテル(MTBE)、および/または、t−アミルメチルエーテル(TAM)を生成させる等、アルコールとオレフィンとを転換条件下で反応させるプロセスであって、転換条件には、温度約20℃から約200℃、圧力約200から約20000kPa−a、WHSV(グラムオレフィン/hrグラムゼオライト)約0.1hr−1から約200hr−1、アルコールに対するオレフィン供給モル比約0.1/1から約5/1、のいずれか1つまたは組合せが含まれる。
(xi)C+芳香族の共存下でトルエンを不均化するプロセスであって、反応条件には、温度約315℃から約595℃、圧力約101から約7200kPa−a、水素/炭化水素モル比約0(水素無添加)から約10、WHSV約0.1hr−1から約30hr−1の、いずれか1つまたは組合せが含まれる。
(xii)医学活性を有する2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、すなわちイブプレンを合成する反応であって、イソブチルベンゼンとプロピレンオキサイドとを反応させて中間体の2−(4−イソブチルフェニル)プロパノールを生成させ、次いでこのアルコールを酸化して対応するカルボン酸にする。
(xiii)繊維と反応するヘテロ環化合物とアミンとを反応させて染料を製造するプロセスであって、本願に参照として引用される独国特許DE3,625,693のように実質的に無塩の反応性染料を製造するプロセスにおいて、酸結合剤として用いる。
(xiv)本願に参照として引用される米国特許第4,721,807号のように、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)をTDIの異性体から分離する吸着体であり、2,6−TDIと2,4−TDIを含む供給混合物を、2,6−TDIを吸着するようにKイオンでカチオン交換されたこの発明のMCM−22型モレキュラーシーブと接触させ、次いで、トルエンを含む脱着剤で2,6−TDIを脱着させて回収する。
(xv)本願に参照として引用される米国特許第4,721,807号のように、2,4TDIを、異性体から分離する吸着体であり、2,6−TDIと2,4−TDIを含む供給混合物を、2,6−TDIを吸着するようにNa、Ca、Liおよび/またはMgイオンでカチオン交換されたこの発明のMCM−22型モレキュラーシーブと接触させ、次いで、トルエンを含む脱着剤で2,4−TDIを脱着させて回収する。
(xvi)メタノールをガソリンに触媒転化したとき生じる、90〜200℃の塔底留分に含まれるジュレン(durene)成分を低減させるプロセスであって、この発明のMCM−22型モレキュラーシーブと水素化成分金属を含む触媒の存在下で、ジュレンを含む塔底留分と水素を接触させ、反応条件には、温度約230℃から約425℃、圧力約457から約22000kPa−aの、いずれか1つまたは組合せが含まれる。
【0102】
ある実施形態では、この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、ベンゼンをアルキル化し、次いでを生成させ、アルキルベンゼンヒドロパーオキサイドを開裂させてベンゼンとケトンを製造する、ベンゼンとケトンの併産プロセスに用いることができる。
このプロセスにおいて、この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、第1段階、すなわち、ベンゼンのアルキル化に用いられる。
【0103】
このようなプロセスの例には、ベンゼンとプロピレンがフェノールとアセトンに転換される例、例えば国際出願PCT/EP2005/008557のように、ベンゼンとCオレフィンがフェノールとメチルエチルケトンに転換される例、ベンゼン、プロピレン、およびCオレフィンがフェノール、アセトン、およびメチルエチルケトンに転換される例であって、この場合、国際出願PCT/EP2005/008554のようにフェノールとアセトンとがビスフェノール−Aに転換され、ベンゼンはフェノールとシクロヘキサノンに転換されるか、または例えばPCT/EP2OO5/008551のように、ベンゼンとエチレンがフェノールとメチルエチルケトンに転換される例が挙げられる。
【0104】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、ベンゼンのアルキル化反応に有用であり、この場合、ものアルキルベンゼンに対する選択性が要求される。
さらに、この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、国際出願PCT/EP2005/008557のように、直鎖ブテンを多く含むCオレフィンとベンゼンからsec−ブチルベンゼンを選択的に製造する際に、特に有用である。
【0105】
好ましくは、この転換反応は、ベンゼンとCオレフィンとをこの発明の触媒に供給し、温度が約60℃から約260℃、例えば約100℃から200℃で、圧力が7000kPa−a以下、Cアルキル化剤基準の重量空間速度(WHSV)が約0.1から50hr−1、ベンゼンとCアルキル化剤のモル比が約1から約50の条件下で行なわれる。
【0106】
この発明の結晶性モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−22型モレキュラーシーブは、例えばポリアルキルベンゼンのアルキル転移反応等の、アルキル転移反応の触媒としても有用である。
【0107】
多くの触媒の場合、新規な結晶性物質を、温度やその他の有機転換プロセスで用いられる反応条件に耐え得る、別の物質と組み合わせて用いることが好ましい。このような物質には、活性または不活性な物質、あるいは、合成または天然由来のゼオライトや無機物質、例えばクレイ、シリカ、および/またはアルミナなどの酸化金属が含まれる。後者は、天然由来、またはシリカと金属酸化物の混合物を含むゼラチン状の沈降物またはゲル状の形態である。
このような物質を新規な結晶性物質とともに用いると、すなわち、これらを組み合わせるか、新規な結晶性物質を合成するとき共存させると、活性な物質の場合、いくつかの有機転換反応において、触媒の転化率および/または選択性が変化することがある。
【0108】
不活性な物質は、所定のプロセスの転化率を制御するための希釈剤として作用して、他の反応速度を制御する手段を用いなくても、製品を経済的に安定して得ることができる。これらの物質は、商業的なプロセスの操業条件化での、触媒の破砕強度を向上させるために、例えばベントナイトやカオリンなどの天然由来のクレイと組み合わされる。クレイ、酸化物などの物質は、触媒のバインダーとして機能する。商業的には、触媒が破壊され粉末状物質になることを防ぐことが望ましいため、触媒の破砕強度が高いことは好ましい。このようなクレイのバインダーは、通常触媒の破砕強度を向上させるためだけに用いられてきた。
【0109】
新規な結晶性物質と複合化される天然由来のクレイには、モンモリロナイト類とカオリン類が含まれ、これらにはスベントナイトが含まれ、カオリン類は一般に、デキシー、マクナミー、ジョージア、フロリダクレイ、その他主な鉱物構成成分がハロイサイト、カオリナイト、デクタイト、ナルコサイト、あるいはアノオキサイトなどとして知られている。このようなクレイは採掘されたままの状態、あるいは焼成されるか、酸処理されるか、化学修飾された状態で用いられる。この発明の結晶性物質に有用なバインダーにはさらに、アルミナなどの無機酸化物が含まれる。
【0110】
上記の物質に加え、この発明の結晶性物質は、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、さらに三成分系のシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニアなどの多孔質母材と複合化される。
【0111】
微細に分散された結晶性モレキュラーシーブと無機酸化物母材との相対比は、広い範囲となり得、結晶性物質の含有量は約1から99wt%、通常は、特に複合材がビーズ形状のときは、複合材中に約20から約80wt%含有される。
【0112】
この発明の種々の側面について、以下の実施例により説明する。
【0113】
【実施例】
【0114】
これらの実施例では、未精製の物質のXRD回折パターンを、Bruker D4 X−Ray Powder Diffractometerにより、銅のKα線を用い、2θの範囲画2から40度の範囲で記録した。
【0115】
SEM像は、日立S4800 Field Emission Scanning Electron Microscope(SEM)で観察した。結晶サイズは、SEMで観察された複数の結晶の平均サイズから求めた。
【0116】
結晶性は、7.1と26(2θ)の2つのピークの合計と、標準サンプル(所与の合成処方と条件の参照サンプル)の同一ピークの合計との比を100倍して求めた。
【0117】
BET表面積は、サンプルを空気中350℃で前処理し、Micromeritics TriStar 3000 V6.05A (Micromeritics社、ノークロス、ジョージア州)で測定した。
【0118】
全BET表面積に対する外部表面積の比は、窒素吸着によるBET測定中に得られるt−プロットから計算した。
【0119】
以下の実施例は、好ましい実施形態の例示である。
<実施例A>
この実施例では、米国特許第4954325号に開示された方法でMCM−22を調製した。
【0120】
水と、ヘキサメチレンジアミン(HMI)(Sigma−Aldrich社)と、シリカ(Ultrasil(登録商標)、Degussa社)と、45wt%アルミン酸ナトリウム溶液(25.5%のAl, 19.5%のNaO;USALCO社)と、50wt%水酸化ナトリウム溶液とから成る水熱反応混合物を調製した。この混合物は、表IXに示すモル組成であった。
【0121】
【表9】

【0122】
水熱反応混合物を、表IXに示した条件で結晶化させた。実施例Aの未精製物質のXRD(図1)は純粋なMCM−22相を示した。実施例Aの物質のSEM像(図2)では、平均結晶サイズ0.5×0.025μmの板状形態が認められた。焼成された実施例Aの物質の電子線回折像を、図8aに示す。焼成後、この物質は、米国特許第4,954,325号の実施例1,2に開示されたXRDパターンを示した。
【0123】
<実施例1、実施例2>
水と、二臭化Me−ダイクォット−5(“R”)(SACHEM社)と、シリカ(Ultrasil(登録商標)、Degussa社)と、硫酸アルミニウム(8.1%Al)溶液と、50wt%水酸化ナトリウム溶液とから成る水熱反応混合物を調製した。この混合物は、表Xに示すモル組成であった。
【0124】
【表10】

【0125】
実施例1の混合物は、テフロン(登録商標)製のボトル中で、撹拌せずに、170℃で80時間結晶化させた。結晶化させた後、実施例1の水熱反応混合物スラリーを濾別した。未精製の物質は、図3に示すXRDパターンを示した。
【0126】
実施例2の混合物は、テフロン(登録商標)製のボトル中で、撹拌せずに、160℃で220時間結晶化させた。結晶化させた後、実施例2の水熱反応混合物スラリーを濾別した。未精製の物質は、図5に示すXRDパターンを示した。
【0127】
実施例1と2の結晶性モレキュラーシーブは、MCM−22型モレキュラーシーブの純粋相のXRD回折を示した。実施例1と2の結晶性モレキュラーシーブのXRD回折には、13.18±0.25Åと12.33±0.23Åに、格子面間隔dのピークが認められた。格子面間隔dが13.18±0.25Åのピーク強度は、格子面間隔dが12.33±0.23Åのピーク強度とほぼ等しいか、それ以上であった。
【0128】
さらに、実施例1と2の結晶性モレキュラーシーブのXRD回折には、11.06±0.18Åと9.25±0.13Åに、格子面間隔dのピークが認められた。格子面間隔dが11.06±0.18Åのピーク強度は、格子面間隔dが9.25±0.13Åのピーク強度とほぼ等しいか、それ以上であった。また、格子面間隔dが11.06±0.18Åのピークと、9.25±0.13Åのピークは、非分離のピークであった。
【0129】
さらに、実施例1と2の結晶性モレキュラーシーブのXRD回折は、表II、III、IVまたは表Vに示す値を示すことで特徴付けられる。
【0130】
<実施例3>
1M硝酸アンモニウム溶液100gと、実施例1の(水洗し乾燥した)固体13gとを混合した。この混合物を室温(〜25℃)で1時間撹拌し、濾別した。この操作で濾別された固体に、さらに1M硝酸アンモニウム溶液100gを混合し、室温(〜25℃)で1時間撹拌した。この混合物を濾別し、水洗した。濾別・水洗された固体をオーブン中、110℃で24時間乾燥した。
【0131】
<実施例4>
結晶化時間が60時間であった点を除き、実施例1と同じ方法で合成を行なった。少量のサンプルは、完全な結晶であった。スラリーに400ミリリットルの水を添加して撹拌し、固形分を沈降させた後、上澄みをデカンテーションして除いた。再び水を添加し、撹拌し、スラリーを濾別して水洗した。得られた未精製の固形物を、121℃(華氏250度)で乾燥した。
【0132】
未精製品15gを、実施例4と同様にして、硝酸アンモニウム100gでイオン交換した。アンモニウム交換された物質の一部を、空気中、540℃で焼成した。焼成された生成物は、BET表面積514m/g、外部表面積72m/g、外部表面積と全表面積の比は約0.14であった。
【0133】
実施例4の、未精製、アンモニウム交換後、および焼成後の物質のX線回折パターンを図7に示す。
【0134】
<実施例5>
実施例1の生成物80重量部と、アルミナ(LaRoche Versal 300)20重量部とを、乾燥重量ベースで混合して触媒を調製した。この触媒を、硝酸アンモニウムを用いてスラリー状態にし、濾別し、使用前に120℃で乾燥した。この触媒を窒素中540℃で焼成し、次いで硝酸アンモニウム水溶液でイオン交換し、空気中540℃で焼成して活性化した。
【0135】
<実施例6>
比較例Aの80重量部と、アルミナ(LaRoche Versal 300)20重量部とを、乾燥重量ベースで混合して触媒を調製した。混合物に水を加え、押出形状に成形した。この押出形状成形品を、使用前に120℃で乾燥した。この触媒を窒素中540℃で焼成し、次いで硝酸アンモニウム水溶液でイオン交換し、空気中540℃で焼成して活性化した。
【0136】
<実施例7>
実施例5と実施例6の触媒のサイズを14/24メッシュに調製し、プロピレンによるベンゼンのアルキル化の試験を行なった。プロピレンによるベンゼンのアルキル化は、実施例5と実施例6の触媒を用いて行なった。触媒を触媒バスケットに入れ、Parrオートクレーブ反応器に入れた。ベンゼン(156.1g)とプロピレン(28.1g)を、ベンゼン:プロピレンのモル比が3:1になるようにして添加した。反応条件は、130℃、2138kPa−a(300psig)で、反応は4時間行なった。定期的に生成物の少量のサンプルを取り出し、オフラインGC(Model HP 5890)を用いて分析した。触媒の性能は、プロピレンの転化率と、プロピレンの転化率が100%のときのクメンに対する選択性とに基づく、速度論的活性率定数で評価した。
【0137】
実施例5の活性と選択性の試験結果を、実施例6の触媒に対し規格化して示す。これらの結果は、次の表XIに示す。
【0138】
【表11】

【0139】
本願の触媒は、ベンゼンのアルキル化反応に対し、活性と選択性を示した。
【0140】
この発明について実施形態に基づき説明したが、当業者であれば、この発明の真髄から離れることなく、明細書に開示された事項に基づき、種々の変更、修正を行なうことが可能であろう。従って本願発明の範囲は実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて、当業者であればこの発明と均等と認められる範囲を含め、本願に開示された全ての新規で特許性のある事項が含まれる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
未精製の状態で、X線回折パターンにおいて示される格子面間隔dのピークが13.18±0.25Åと12.33±0.23Åにあり、13.18±0.25Åの格子面間隔dのピーク強度が、12.33±0.23Åの格子面間隔dのピーク強度の少なくとも90%である結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項2】
13.18±0.25Åの格子面間隔dのピーク強度が、12.33±0.23Åの格子面間隔dのピーク強度以上である、請求項1に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項3】
13.18±0.25Åの格子面間隔dのピーク強度が、12.33±0.23Åの格子面間隔dのピーク強度の少なくとも110%以上である、請求項1に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項4】
さらに、X線回折パターンに、11.06±0.18Åと9.25±0.13Åにある2本の判別可能な格子面間隔dのピークが含まれ、11.06±0.18Åの格子面間隔dのピーク強度が、9.25±0.13Åの格子面間隔dのピーク強度以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項5】
11.06±0.18Åと9.25±0.13Åの格子面間隔dのピークが、非分離のピークである、請求項4に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項6】
さらに、X線回折パターンに、9.74±0.15Åにある判別可能な格子面間隔dのピークが含まれる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項7】
11.06±0.18Å、9.74±0.15Åおよび9.25±0.13Åの格子面間隔dのピークが非分離のピークである、請求項6に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項8】
9.25±0.13Åの格子面間隔dのピークがショルダーピークである、請求項6または請求項7に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項9】
さらに、X線回折パターンに、27.42±0.50Åにある格子面間隔dのピークが含まれる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項10】
さらに、X線回折パターンに、次の表に示す相対線強度のピークが含まれる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【表1】

【請求項11】
さらに、X線回折パターンに、次の表に示す相対線強度のピークが含まれる、請求項10に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【表2】

【請求項12】
さらに、X線回折パターンに、次の表に示す相対線強度のピークが含まれる、請求項11に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【表3】

【請求項13】
窒素吸着BET法により測定した全表面積が450m/gより大きい、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項14】
硝酸アンモニウムによるイオン交換と焼成によりH型に転換した後の、外部表面積/全表面積の比が0.15未満であり、ここで、外部表面積は窒素吸着BET法のt−プロットにより求められる、請求項13に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項15】
少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき1μmを超える結晶径を超える結晶径であり、平板状の形態を有する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項16】
少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき2μmを超える結晶径を超える結晶径であり、平板状の形態を有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項17】
結晶性モレキュラーシーブは平板凝集体の形態であり、少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき、約0.025μmの結晶厚みを有する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項18】
結晶性モレキュラーシーブがMCM−22型のモレキュラーシーブである、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項19】
結晶性モレキュラーシーブがMCM−22モレキュラーシーブである、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の結晶性モレキュラーシーブ。
【請求項20】
(a)窒素吸着BET法により測定した全表面積が450m/gより大きい;
(b)硝酸アンモニウムによるイオン交換と焼成によりH型に転換した後の、外部表面積/全表面積の比が0.15未満であり、ここで、外部表面積は窒素吸着BET法のt−プロットにより求められる;
(c)少なくとも50wt%の結晶性モレキュラーシーブが、SEMで測定したとき1μmを超える結晶径と平板状の形態を有する;
ことを特徴とする結晶性MCM−22モレキュラーシーブ。
【請求項21】
請求項1から請求項20に記載の結晶性モレキュラーシーブの製造方法であって、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大;
2O:Y=1から10000;
OH:Y=0.001から0.59;
:Y=0.001から2;
R:Y=0.001から2;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、OH:Yは3価元素源の補正無しで計算される);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、結晶化時間が約1時間〜400時間であることが含まれるステップと、
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法。
【請求項22】
2O:Yモル比が5から35の範囲である、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
Y:X2モル比が10から55の範囲である、請求項21または請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
OH:Yモル比が0.1から0.5の範囲である、請求項21から請求項23のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項25】
3価元素源の補正をしたときのOH:Yモル比が0.01から0.39の範囲である、請求項21から請求項24のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項26】
請求項1から請求項20に記載の結晶性モレキュラーシーブの製造方法であって、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大;
2O:Y=1から10000;
OH:Y=0.76から2;
:Y=0.001から2;
R:Y=0.001から2;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、OH:Yは3価元素源の補正無しで計算される);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、結晶化時間が約1時間〜400時間であることが含まれるステップと、
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法。
【請求項27】
2O:Yモル比が5から35の範囲である、請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
Y:X2モル比が10から55の範囲である、請求項26または請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
OH:Yモル比が0.8から1の範囲である、請求項26から請求項28のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項30】
3価元素源の補正をしたときのOH:Yモル比が0.64から2の範囲である、請求項26から請求項29のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項31】
請求項1から請求項20に記載の結晶性モレキュラーシーブの製造方法であって、
(a)少なくとも1の少なくとも1種類の4価元素(Y)の供給源と、少なくとも1の少なくとも1種類のアルカリまたはアルカリ土類元素の供給源と、少なくとも1種類の構造規制剤(R)と、水と、任意に少なくとも1種類の3価元素(X)の少なくとも1の供給源とを含む混合物を供給するステップであって、前記混合物が次のモル比を有するステップと、
Y:X2=10から無限大;
2O:Y=5から35;
OH:Y=0.001から2;
:Y=0.001から2;
R:Y=0.001から2;
(ここで、Mはアルカリ金属で、RはN,N,N,N´N´N´−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアミニウム塩(Me−ダイクォット−5塩類)の1であり、OH:Yは3価元素源の補正有りまたは無しで計算される);
(b)混合物を結晶化条件下で、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む製品を製造するステップであって、結晶化条件に、温度が100℃〜200℃、結晶化時間が約1時間〜400時間であることが含まれるステップと、
(c)結晶性モレキュラーシーブを回収するステップとを含む、結晶性モレキュラーシーブの製造方法。
【請求項32】
Y:X2モル比が10から55の範囲である、請求項29に記載の製造方法。
【請求項33】
OH:Yモル比が0.01から0.5の範囲である、請求項29または請求項30に記載の製造方法。
【請求項34】
結晶性モレキュラーシーブがMCM−22型のモレキュラーシーブである、請求項21から請求項31のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項35】
結晶性モレキュラーシーブがMCM−22モレキュラーシーブである、請求項21から請求項32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項36】
さらに、スプレードライ、小球化、ペレット化および/または押出のいずれかにより、粒状触媒を成形する工程を含む、請求項21から請求項33のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項37】
結晶化条件に、0から1000RPMの範囲の撹拌速度がさらに含まれる、請求項21から請求項34のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項38】
結晶化条件に、0から400RPMの範囲の撹拌速度がさらに含まれる、請求項21から請求項35のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項39】
混合物中に、酸化された4価元素の重量に対し0〜25wt%の種結晶がさらに含まれる、請求項21から請求項36のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項40】
R:Yモル比が0.01から0.5の範囲である、請求項21から請求項37のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項41】
4価元素(Y)がケイ素である、請求項21から請求項38のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項42】
3価元素(X)がアルミニウムである、請求項21から請求項39のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項43】
請求項21から請求項40のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたMCM−22型モレキュラーシーブ。
【請求項44】
結晶性モレキュラーシーブの全重量に対し、10wt%未満の非MCM−22型モレキュラーシーブを含む、請求項41に記載のMCM−22型モレキュラーシーブ。
【請求項45】
炭化水素の転換方法であって、(a)炭化水素原料と、請求項1から請求項20、および請求項41から請求項42に記載の結晶性モレキュラーシーブ、並びに、請求項21から請求項40のいずれか1項に記載の製造方法で生産された結晶性モレキュラーシーブの内のいずれかの結晶性モレキュラーシーブとを、転換条件下で接触させ、転換された製品を製造するステップを含む炭化水素の転換方法。

【公表番号】特表2009−544566(P2009−544566A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522758(P2009−522758)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/014940
【国際公開番号】WO2008/013639
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】