説明

モータルーム構造

【課題】モータの変位に対するハーネスの追従性を確保することが出来るモータルーム構造を提供する。
【解決手段】モータ4と、インバータ9とを接続する三相交流ハーネス7は、インバータ9側のインバータ接続端部7aを車幅方向中央側に設けて、モータ4側のモータ接続端部7cを、インバータ接続端部7aよりも、車幅方向外側に位置するように、モータ4のモータケース端部4a近傍まで延設している。
そして、モータ4と、インバータ9とが、対向するモータ4の上面部4cと、インバータ9の下面側9c及び部品搭載フレーム部材8の下面部8hとの間の空間部2cで、電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの変位を吸収するモータルーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車のモータルーム内で、駆動力を発生させるモータと、このモータに電力を供給するインバータとの間を、三相ハーネスによって接続するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このようなものでは、モータルーム内に固定される部品搭載フレーム部材の上面にインバータが載置されている。
【0004】
このインバータの下方には、インシュレータ等を介して、弾性支持されるモータが設けられている。
【0005】
そして、このモータに、前記インバータから三相ハーネスが、延設されて、電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−219020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のモータルーム構造では、前記弾性支持されたモータが、車体に対して移動すると、このモータと前記インバータとの間の相対変位が、接続された三相ハーネスによって、妨げられる虞があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、モータの変位に対するハーネスの追従性を良好なものとすることが出来るモータルーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、このモータルーム構造では、モータルーム内に取付られるモータと、該モータ相対位置が変位可能であると共に、該モータに接続されたハーネスを介して、電力を供給するインバータとを有するモータルーム構造である。
【0010】
前記ハーネスは、車幅方向中央側に設けられた前記インバータ側に接続されるインバータ接続端部と、前記モータのモータケース端部近傍で、該モータに接続されるモータ接続端部が、前記インバータ接続端部よりも、車幅方向外側に位置している。
【発明の効果】
【0011】
外部から他の部材が干渉することが無く、前記モータケース端部の反対側端部を、車幅方向中央近傍に位置させて、例えば、隣接するギヤユニットとの合わせ面部を、車幅方向略中央付近に存在させることが考えられる。
【0012】
この合わせ面部に、モータからのハーネス取り出し箇所を設定すると、防水対策に用いる防止シール部材で充分な防水構造を得ることは困難となってしまう。
【0013】
そこで、本願発明では、防水構造上、理想的な前記合わせ面部の反対側であるモータケース端部近傍に、該モータに接続されるハーネスのモータ接続端部を設けて、ハーネス取り出し箇所としている。
【0014】
このため、前記ハーネスのモータ接続端部が、前記インバータ側に接続されるインバータ接続部よりも、車幅方向外側に位置するモータケース端部に対して接続し、撓ませて斜行させる等、直線状態よりも長い長さ方向寸法を与えて、ハーネスを配索させることが出来る。
【0015】
従って、ハーネスに揺動代を容易に与えることが出来、車体に弾性支持されたモータが、振動等により移動して、前記インバータとの間の相対位置を変位させても、前記ハーネスが追従して、該モータの変位を妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のモータルーム構造で、モータルーム内の全体の構成を説明する分解斜視図である。
【図2】実施の形態のモータルーム構造で、要部の構成を説明する正面図である。
【図3】実施の形態のモータルーム構造で、モータの取付後、要部の構成を説明する車両斜め左上からモータルーム内を見た斜視図である。
【図4】実施の形態のモータルーム構造で、モータの取付後、要部の構成を説明する車両斜め右上からモータルーム内を見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態の電気自動車のモータルーム構造を、図1乃至図4に示す図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、全体の構成から説明すると、この実施の形態の電気自動車1では、図2に示すような車体1aの前部に形成されたモータルーム2内の車幅方向左,右両側に、車体側部材として一対のサイドメンバ部材3,3が設けられている。
【0019】
このサイドメンバ部材3,3の間には、モータ4及びギヤユニット5等が、図1に示すように、サスペンションメンバ11の上側に位置するように、複数のインシュレータマウントブラケット部材11a,11a…及び11b,11b…を介して、車体に二重の防振構造を呈して弾性支持された状態で、装着されている。
【0020】
これらのモータ4と、ギヤユニット5との合わせ面部6には、防水構造を構成する防水シール部材6aが、介装されている。
【0021】
また、この実施の形態では、この合わせ面部6が、車幅方向略中央位置に設けられることにより、前記モータ4のモータケース端部近傍4aが、車幅方向外側である車両右側の前記サイドメンバ部材3に近接して配置されている。
【0022】
更に、この実施の形態では、前記モータ4が、右側のサイドメンバ部材3側に近接されて設けられることにより、図2又は図4に示すように、前記ギヤユニット5と、左側のサイドメンバ部材3との間に、空間部2aが形成されている。
【0023】
そして、このモータ4のモータケース端部4a近傍で、上面側のインバータ対向面部としての上面部4cには、ハーネスとしての三相交流ハーネス7を接続するコネクタ部4bが、設けられている。
【0024】
このコネクタ部4bは、車幅方向略水平に、脱着方向を向けて固着されていると共に、周囲に、防塵カバー部材4dが、装着されて覆われるように構成されている。
【0025】
更に、このモータ4及びギヤユニット5の上方位置には、図1に示すような部品搭載フレーム部材8が、設けられている。
【0026】
この部品搭載フレーム部材8は、主に、前側フレーム部材8a及び後側フレーム部材8bと、これらの前側フレーム部材8a及び後側フレーム部材8b間を接続する左,右連結部8c,8dを有して、主に構成されている。
【0027】
このうち、図2に示すように、前記前側フレーム部材8aの車幅方向中央部には、前記後側フレーム部材8bの位置よりも、車両上下方向で高い位置となるように設定された湾曲部8jが、上方に凸となるように形成されている。
【0028】
また、この部品搭載フレーム部材8の前側フレーム部材8a及び後側フレーム部材8bの各両端部8e,8e…は、前記サイドメンバ部材3,3に固設される各ブラケット部材12,12…に、各々取り付けられるように構成されている。
【0029】
この部品搭載フレーム部材8の上側取付面部8f及び後側取付面部8gには、電力の供給等を行う搭載部品としてのインバータ9及びDC/DCコンバータ10等が、各々取り付けられている。
【0030】
このインバータ9及びDC/DCコンバータ10は、前記部品搭載フレーム部材8によって、車体に固着されているため、図4中に示すように、前記モータ4及びギヤユニット5が、振動等で、車両前後方向D1、車幅方向W1、モータ回転軸を中心とする回動方向R1及び上下方向H1に移動すると、このモータ4に対しての相対位置が変位する。
【0031】
そして、これらのインバータ9及びDC/DCコンバータ10と、前記モータ4との間には、可撓性を有する三相交流ハーネス7が接続されていて、このモータ4の回転駆動に必要とされる電力及び回生起電力が、前記インバータ9との間で、給配電されるように構成されている。
【0032】
この実施の形態の三相交流ハーネス7は、導電体としての電線からなる配線を少なくとも三本纏めて束ねて、周囲が保護チューブで覆われることにより、所定の可撓性を有して構成されている。
【0033】
また、この三相交流ハーネス7には、前記インバータ9側のインバータ接続端部7aにインバータ側コネクタ部材7bが設けられていて、このインバータ側コネクタ部材7bを車幅方向内側である中央側に位置するように配索して、前記インバータ9の車両中央側に位置する側面9aに設けられているコネクタ受け部9bに、下方から上方へ向けて装脱着可能に嵌合するように構成されている。
【0034】
また、この三相交流ハーネス7は、前記モータ4側のモータ接続端部7cを、このインバータ接続端部7a位置よりも、車幅方向外側(この実施の形態では、車幅方向右側)に位置するように、前記モータ4のモータケース端部4a近傍まで延設している。
【0035】
そして、このモータ接続端部7cには、モータ側コネクタ部材7dが設けられていて、前記防塵カバー部材4dの内側で、車幅方向略水平に向けて、前記コネクタ部4bに対して、装脱着可能に嵌合するように構成されている。
【0036】
このため、前記モータ4と、前記インバータ9とが、両側面部として対向する対向側面部である前記上面部4cと、インバータ9の下面側9c及び部品搭載フレーム部材8の下面部8hとの間の空間部2c内で、図2に示す車両正面視で、斜行する配索形状を有する前記三相交流ハーネス7によって、電気的に接続されている。
【0037】
更に、この実施の形態では、空調等に用いる補機としてのPTCヒータ13が、前記部品搭載フレーム部材8のうち、左側のサイドメンバ部材3近傍位置の下側に形成されたヒータ取付面部8i,8iに取り付けられて、 前記空間部2a内に位置されている。
【0038】
このPTCヒータ13の上方位置には、取付ブラケット部材14及び前記左連結部8cを介して、電子機器等に用いる補機としてのバッテリ15が、前記部品搭載フレーム部材8のうち、左側のサイドメンバ部材3近傍位置の上側に着脱可能に装着されている。
【0039】
このバッテリ15と、前記DC/DCコンバータ10との間が、弱電ハーネス部材16及び、この弱電ハーネス部材16のコネクタ部16aを介して、着脱可能に接続されている。
【0040】
この弱電ハーネス部材16が配索されているバッテリ15の中央側側面部15aには、前記インバータ9の車両中央側に位置する側面9aが対向するように近接して設けられている。
【0041】
更に、この実施の形態では、前記DC/DCコンバータ10と、前記インバータ9との間が、図4に示す様に、強電ハーネス部材17によって、接続されている。
【0042】
次に、この実施の形態のモータルーム構造の作用効果について説明する。
【0043】
この実施の形態のモータルーム構造では、図2に示すように、前記三相交流ハーネス7の結線に用いる一端部のインバータ側コネクタ部材7bが、前記インバータ9の車両中央側に位置する側面9aに設けられているコネクタ受け部9bに、下方から上方へ向けて装脱着可能に嵌合されて、このインバータ側コネクタ部材7bが、車幅方向内側である中央側に位置している。
【0044】
このため、前記モータ4と、前記インバータ9とが対向する対向側面部として、この実施の形態では、前記上面部4cと、インバータ9の下面側9c及び部品搭載フレーム部材8の下面部8hとの間に形成された空間部2c内へ、このインバータ側コネクタ部材7bから配索される三相交流ハーネス7が、車幅方向略水平に配索されて、延在される。
【0045】
この三相交流ハーネス7の他端部であるモータ接続端部7cに設けられたモータ側コネクタ部材7dは、前記モータ4のモータケース端部4a近傍まで延設されて、周囲に設けられた防塵カバー部材4dを貫通して、前記モータ4の上面部4cに形成された前記コネクタ部4bと、略水平方向に、向かい合わせの状態で嵌合装着される。
【0046】
このように、前記モータ側コネクタ部材7dと、前記コネクタ部4bとを、接続する部分が、前記モータケース端部4a近傍で、車両右側のサイドメンバ部材3に近い車両外側に位置するので、接続作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、外部から他の部材が干渉することが無く、前記モータケース端部4aの反対側端部を、車幅方向中央近傍に位置させて、例えば、隣接するギヤユニット5との合わせ面部6を、車幅方向略中央付近に存在させることが考えられる。
【0048】
この合わせ面部6に、モータ4からのハーネス取り出し箇所を設定すると、防水対策に用いる防止シール部材6aによって、充分な防水構造とすることは困難である。
【0049】
そこで、防水構造上、理想的な前記合わせ面部3の反対側であるモータケース端部4a近傍に、モータ4に接続される三相交流ハーネス7のモータ接続端部7cを設けて、ハーネス取り出し箇所としている。
【0050】
このため、前記三相交流ハーネス7のモータ接続端部7cが、前記インバータ側に接続されるインバータ接続部7bよりも、車幅方向外側に位置するモータケース端部4a近傍のハーネス取り出し箇所に対して接続し、撓ませて斜行させる等、直線状態よりも長い長さ方向寸法を与えて、三相交流ハーネス7を配索させることが出来る。
【0051】
従って、三相交流ハーネス7に揺動代を容易に与えることが出来、車体に弾性支持されたモータ4が、振動等により移動して、前記インバータ9との間の相対位置を変位させても、前記三相交流ハーネス7が追従して、モータ4の変位を妨げない。
【0052】
従って、前記モータ4と、ギヤユニット5との合わせ面部6に、前記モータ側コネクタ部材7d等の接続部分を設けるものに比して、防水構造を構成する防水シール部材6aを、確実に介装出来、この合わせ面部6に所望の防水性能を発揮させることが出来る。
【0053】
しかも、前記空間部2c内では、前記モータ4の上面部4cと、インバータ9の下面側9c及び部品搭載フレーム部材8の下面部8hとによって、上下から覆われると共に、図2に示されるように、前記モータ側コネクタ部材7dと、前記コネクタ部4bとが、接続される接続部分を、車幅方向で、このモータ4のモータケース端部4aよりも、内側に位置させることが出来る。
【0054】
そして、このモータ側コネクタ部材7dと、コネクタ部4bとが、接続される部分が、更に、前記防塵カバー部材4dによって覆われて保護されている。
【0055】
また、このモータ4及びギヤユニット5の上方位置には、図1に示すような部品搭載フレーム部材8が、設けられていて、前側フレーム部材8a及び後側フレーム部材8b間に、前記三相交流ハーネス7を延在させている。
【0056】
この部品搭載フレーム部材8は、前側フレーム部材8a及び後側フレーム部材8bの各端部が、前記車体の剛性部材である前記サイドメンバ部材3,3に固設された複数の前記ブラケット部材12…を用いて取り付けられている。
【0057】
この部品搭載フレーム部材8の上側では、図2に示すように、前記バッテリ15が、前記インバータ9と、車幅方向で並設されて、このコネクタ受け部9bが設けられた側面9aが、車両車幅方向略中央で、前記バッテリ15の中央側側面部15aに対向して、近接配置される。
【0058】
しかも、前記前側フレーム部材8aの車幅方向中央部に形成された湾曲部8jが、このコネクタ受け部9b近傍の前記インバータ接続端部7aと一部重複されることにより、保護されている。
【0059】
従って、このインバータ接続端部7aから、垂下される前記三相交流ハーネス7を、車両外側方に向けて、例えば、正面視略L字状を呈する様に、曲げて撓ませることにより、モータ接続端部7cまでの長さ方向寸法を、直線状に結んで接続する場合に比して、長く設定しても、外部から他の部材が干渉する虞が殆ど無い。
【0060】
しかも、略L字状に曲げた部分から略水平に延設されて、前記モータ接続端部7cに至るまでの間の三相交流ハーネス7は、前記モータ4の上面部4cに沿わせて配索出来、この点においても、三相交流ハーネス7の長手方向寸法を、長く設定出来て、追従性を向上させることが出来る。
【0061】
このように、対向する対向側面部である前記上面部4cと、インバータ9の下面側9c及び部品搭載フレーム部材8の下面部8hとの間の空間部2c内で、正面視対角上に位置する前記コネクタ受け部9bと、モータ4の上面部4aのコネクタ部4bとの間を結ぶ斜めの直線寸法よりも、比較的長い長手方向寸法が与えられて、正面視略L字状に撓ませた接続状態で、三相交流ハーネス7が配索されて、収納される。
【0062】
このため、図4に示すように、前記インバータ側コネクタ部材7bを中心として、車両前後方向D2、車幅方向W2、モータ回転軸を中心とする回動方向R2及び上下方向H2の何れの方向への変位が生じても、この三相交流ハーネス7の応力の少ない変形によって、吸収可能な揺動代を容易に確保出来る。
【0063】
よって、例えば、前記サスペンションメンバ11に設けられた複数のインシュレータマウントブラケット部材11a…,11bによって、車体に対して、二重防振構造で、弾性支持されたモータ4が、電気自動車1の振動等により、図4中、車両前後方向D1、車幅方向W1、モータ回転軸を中心とする回動方向R1及び上下方向H1の何れの方向へ移動しても、前記三相交流ハーネス7の変形で、吸収可能な揺動代が確保されている。
【0064】
このため、前記インバータ接続端部7aが、前記インバータ9のコネクタ受け部9bに与える変位量、及び応力を、車両前後方向D2、車幅方向W2、モータ回転軸を中心とする回動方向R2及び上下方向H2の何れの方向でも、この三相交流ハーネス7が、揺動と共に撓み変形して、吸収することにより減少させることが出来る。
【0065】
従って、前記三相交流ハーネス7に、充分な揺動代を容易に与えることが出来、モータルーム2内に弾性支持されたモータ4が、振動等により移動して、前記インバータ9との間の相対位置を変位させても、この三相交流ハーネス7が追従して、モータ4の変位を妨げない。
【0066】
特に、モータ回転軸を中心とする回動方向R2の転び変形量は、モータ4の回転数や発生トルク及び二重防振マウントの防振性能によって影響を受けやすいので、モータ4によって、電気自動車1の駆動力の一部若しくは全部を行う構成に用いて好適である。
【0067】
また、この実施の形態の三相交流ハーネス7の様に、配線が束ねられて、周囲を保護チューブで覆うものや、或いは、周囲に絶縁テープが巻付けられることにより、比較的撓みにくい硬さとなっていても、充分な長さ方向寸法を確保出来、全長では、充分な揺動代となるので、モータ4の変位を妨げる虞がない。
【0068】
更に、図1中に示す様に、前記バッテリ15が装着される前では、前記インバータ9の車両中央側に位置する側面9aと、前記車両左側のサイドメンバ部材3との間の空間を利用して、前記三相交流ハーネス7のインバータ接続端部7aに設けられたインバータ側コネクタ部材7bを、前記コネクタ受け部9bに下方から嵌合装着する装脱着作業を容易に行うことができる。
【0069】
しかも、前記インバータ9の車両中央側に位置する側面9aに設けられたコネクタ受け部9bから、車幅方向及び車両前後方向で、このモータルーム2の略中央に位置させて、三相交流ハーネス7のインバータ接続端部7aを、正面視略L字状を呈する様に曲げられた部分に至るまで、略垂下させることが出来る。
【0070】
よって、この点においても、車両上下方向に沿う前記三相交流ハーネス7の長さ方向寸法を長く設定出来る。
【0071】
また、このインバータ接続端部7aから、前記コネクタ受け部9b及びインバータ側コネクタ部材7bの接続部分に加わる応力を、この接続部分を中心として、車幅方向及び車両前後方向を含む全周方向で、略同等とすることが出来ると共に、平面視でこの接続部分を中心軸とする回動方向の変位及び応力も緩和できる。
【0072】
従って、モータ4の変位により加わる応力の偏りを低減させることが出来、各単相で接続された場合の様に、変位の大きな一相の接続部分に応力が偏る虞もない。
【0073】
また、図2又は図4に示すようなモータルーム2内が、前記ギヤユニット5と、左側のサイドメンバ部材3との間に形成される空間部2aの上部が開放されている。
【0074】
このため、前記PTCヒータ13を、ヒータ取付面部8i,8iに装脱着する作業を容易に行うことが出来る。
【0075】
従って、電気自動車1のモータルーム2内に前記モータ4を装着したり、PTCヒータ13及びバッテリ15等の補機を装着する際の作業性が良好である。
【0076】
また、整備の際に、これらのPTCヒータ13及びバッテリ15等の補機を取り外す作業を容易に行えて、メンテナンス性が向上する。
【0077】
以上、図面を用いて、本発明の実施の形態のモータルーム構造を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0078】
即ち、前記実施の形態では、ハーネスとして、三相交流ハーネス7を用いて説明してきたが、特にこれに限らず、各相の各電線が、独立して延設されるハーネスであってもよく、前記モータ4と、インバータ9とを接続するハーネスであれば、相数や、各端部に設けられて接続に用いられるコネクタ部の形状、数量及び材質が、どのようなものであっても良いことは、当然である。
【0079】
また、この実施の形態では、前記モータ4のモータケース端部4aが、車両右側のサイドメンバ部材3の近傍に位置するように構成しているが、特にこれに限らず、車幅方向左,右を入れ替えて、モータケース端部4aが、車両左側のサイドメンバ部材3の近傍に位置するように構成したり、或いは、モータルーム2の内の前側若しくは後側に車幅方向に沿って設けられるクロスメンバ部材の近傍に、モータケース端部4aが、位置するようにモータ軸方向を、車両前後方向に沿わせる縦置きにモータ4を配置する構成等、車幅方向中央側に設けられたインバータ9側のインバータ接続端部7aを有して延設された三相交流ハーネス7を、このインバータ接続端部7aよりも、車幅方向外側に位置するモータ接続端部7cでモータ4に接続するものであればよい。
【符号の説明】
【0080】
1 電気自動車
2 モータルーム
4 モータ
4a モータケース端部
4c 上面部(対向側面部)
7 三相ハーネス
7a インバータ接続端部
7c モータ接続端部
8h 下面部(対向側面部)
9 インバータ
9c 下面側(対向側面部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータルーム内に弾性支持されたモータと、該モータに接続するハーネスを介して、電力を供給すると共に、モータの移動によって、相対位置を変位させるインバータとを有するモータルーム構造であって、
前記ハーネスは、車幅方向中央側に設けられた前記インバータ側に接続されるインバータ接続端部と、該インバータ接続端部よりも車幅方向外側に位置する前記モータのモータケース端部近傍で、該モータに接続されるモータ接続端部とを有していることを特徴とするモータルーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−20628(P2011−20628A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168970(P2009−168970)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】