モータ駆動制御回路、半導体装置、電子時計および発電装置付き電子時計
【課題】モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、確実にモータを駆動させることができるモータ駆動制御回路を提供すること。
【解決手段】モータ駆動制御回路は、モータ6,7を駆動する駆動回路51,52と、二次電池3および駆動回路間に設けられて、駆動回路51,52へ駆動電圧VDMを供給する電源回路30と、電源回路30の作動を制御する電源制御回路40とを備える。電源制御回路40は、駆動電圧VDMを監視し、駆動電圧VDMが所定の定電圧以上の場合は、電源回路30を停止し、駆動電圧VDMが所定の定電圧未満の場合は、電源回路30を作動する。駆動電圧VDMを定電圧と比較して電源回路30をオン・オフ制御することで、駆動電圧VDMを定電圧に維持でき、モータ6,7も確実に駆動できる。
【解決手段】モータ駆動制御回路は、モータ6,7を駆動する駆動回路51,52と、二次電池3および駆動回路間に設けられて、駆動回路51,52へ駆動電圧VDMを供給する電源回路30と、電源回路30の作動を制御する電源制御回路40とを備える。電源制御回路40は、駆動電圧VDMを監視し、駆動電圧VDMが所定の定電圧以上の場合は、電源回路30を停止し、駆動電圧VDMが所定の定電圧未満の場合は、電源回路30を作動する。駆動電圧VDMを定電圧と比較して電源回路30をオン・オフ制御することで、駆動電圧VDMを定電圧に維持でき、モータ6,7も確実に駆動できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御回路、このモータ駆動制御回路を備えた半導体装置、電子時計および発電装置付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータなどのモータは、各種機器のアクチュエータとして広く利用されている。例えば、電子時計においては、指針を駆動するアクチュエータとして利用されている。
このようなモータには作動電圧範囲があり、モータを安定して駆動するためには、前記作動電圧範囲内においてモータ駆動電圧を一定に維持すること、つまりモータ駆動電圧を定電圧にすることが好ましい。
そして、モータ駆動電源として、従来用いられていた酸化銀等の一次電池は、出力電圧も一定であるため、モータ駆動電圧を定電圧にすることは容易であった。
【0003】
一方、近年では、電池交換を不要にするため、回転錘による自動巻き発電装置やソーラー発電装置と、発電装置で発電された電流で充電される二次電池とを設け、二次電池をモータの駆動電源とするものが広く利用されるようになった。
この際、二次電池は充電によって電圧が上昇するため、モータ作動電圧を超えてしまう可能性がある。
【0004】
このため、モータ駆動電圧を制御する電源部に、3つの降圧用コンデンサと、1つの平滑用コンデンサを搭載した降圧回路を設け、二次電池の電圧を降圧した電圧をモータの駆動回路に供給することで、二次電池の電圧が上昇してもモータ駆動電圧を、モータ作動電圧範囲に調整する駆動制御方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、充電による二次電池の電圧上昇を過充電防止機構(リミッタ)で抑制し、モータ駆動電圧が一定電圧値以上にならないように抑制することで、モータ駆動を安定化させる駆動制御方法も知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−174494号公報
【特許文献2】特開平7−306274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では次の2つの課題があった。
第1に、降圧回路は二次電池電圧を所定の倍率で小さくするので、充電により二次電池電圧が上昇すると、電源部の降圧電圧も上昇し、モータ駆動電圧が変動して定電圧にならないという問題があった。
すなわち、アナログ的に上昇する二次電池電圧に対応させて降圧電圧を一定にするには、細かい分解能で、多くの降圧倍率が必要となる。しかしながら、このような多くの降圧倍率を設定することは、多数のコンデンサなどが必要となり、回路構成上、困難である。
一方、特許文献1のように、2つの降圧倍率2/3と1/3だけで降圧制御を行う場合には、二次電池電圧がアナログ的に上昇すると、到底、降圧電圧を一定にすることができないという問題があった。
【0008】
第2に、電源部がモータの駆動回路に電池電圧を供給している状態から、モータ駆動の条件に応じて、例えば、降圧倍率を2/3に設定し、2/3降圧電圧をモータの駆動回路に供給しようとしても、電源部は平滑用コンデンサを搭載しているため、時定数により、モータ駆動電圧を瞬時に降圧することができないという問題があった。
このため、モータを安定して駆動させるためには、電源部から供給されるモータ駆動電圧が降圧した電圧となるまでの時間以上の待機時間を設定する必要があり、迅速にモータを駆動したい場合においては設定した待機時間中はモータを駆動させることができず、モータ駆動に遅延が発生するという問題があった。
【0009】
また、特許文献2では、モータの作動電圧領域が比較的低い場合は、二次電池電圧が低い領域でリミッタを作動させる必要があり、二次電池の動作持続時間が短くなるという問題があった。すなわち、二次電池は、充電により電池電圧が上昇するため、リミッタの動作電圧が高いほど充電量が多くなり、持続時間も長くなる。つまり、リミッタを動作させる電圧を低くすればするほど、充電電圧が低下し、持続時間も短くなる。
従って、モータの作動電圧領域が低いためにリミッタを低い電圧で作動させると、その分、持続時間が短縮してしまうという問題がある。
【0010】
一方で、モータ駆動の安定化と、二次電池の動作持続時間を長くすることを両立させるには、二次電池の電圧が高くなってもモータを駆動できるように、モータの作動電圧範囲を広く確保する必要がある。
しかしながら、作動電圧範囲の広いモータは、通常、性能面等で制約があり、特に高速で正転および逆転動作を行うようなモータでは作動電圧範囲を広く確保することが難しく、利用できるモータが限定されるという問題もあった。
また、モータ駆動を安定化させる為、モータ駆動中のみ二次電池の過充電を防止する方法もあるが、上昇した二次電池電圧でモータ駆動電圧が安定するだけであり、結局、モータの作動電圧範囲は広く確保する必要がある。さらに、モータ駆動中は二次電池への充電ができないため、充電効率が低下するという問題もある。
【0011】
本発明は、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるモータ駆動制御回路、半導体装置および電子時計を提供することを第1の目的とする。
また、発電装置および二次電源を備え、二次電源を主電源としてモータを駆動する際に、二次電源の充電を損なうことなく、かつ、持続時間を長くすることができるとともに、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、二次電源の充電による電圧上昇に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるモータ駆動制御回路、半導体装置および発電装置付き電子時計を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、主電源によって作動され、かつ、モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路であって、前記モータを駆動する駆動回路と、前記主電源および駆動回路間に設けられて、主電源から供給される電気エネルギを用いて駆動回路へ駆動電圧を供給する電源回路と、前記電源回路の作動を制御する電源制御回路とを備え、前記電源回路は、ドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接或いは間接的に接続され、ドレイン端子またはソース端子の他方が駆動回路の電源ラインに接続された電界効果型トランジスタを備え、前記電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、電界効果型トランジスタのゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオフにすることで、主電源から駆動回路への電気エネルギの供給を停止し、前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記ゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオンにすることで、主電源から駆動回路に電気エネルギを供給することを特徴とする。
【0013】
本発明では、電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、所定の定電圧以上であれば電源回路を停止(オフ)し、電源回路からの駆動電圧の供給を停止すると、負荷電流によって駆動電圧が低下する。
また、電源回路をオフして駆動電圧が所定の定電圧未満に低下した場合には、電源回路を作動(オン)して主電源から駆動回路に電気エネルギを供給するため、モータ駆動電圧を所定の定電圧に上昇させることができる。
そして、駆動電圧が再度所定の定電圧以上になれば、電源回路をオフし、モータ駆動電圧を所定の定電圧に戻すことができ、駆動電圧を検出しながら電源回路のオン・オフ制御を繰り返すことで、モータ駆動電圧をほぼ一定の定電圧に維持することができる。
従って、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給することができ、本発明のモータ駆動制御回路によれば、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
【0014】
また、電源回路を電界効果型トランジスタで構成しているので、小さなゲート電流でオン・オフ制御を行うことができるとともに、半導体装置(IC)上に容易に構成できる。
なお、電界効果型トランジスタのドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接に接続されるとは、電界効果型トランジスタのドレイン端子またはソース端子が主電源に直接接続されることを意味し、間接的に接続されるとは、充電制御回路などを介して間接的に接続されることを意味する。
【0015】
本発明において、前記電源回路から供給される電気エネルギを蓄積する蓄電手段に蓄積された電気エネルギを放電可能な放電手段を備え、前記電源制御回路は、前記蓄電手段の電圧が前記所定の定電圧以上の場合に、前記放電手段を作動して蓄電手段の電圧を前記所定の定電圧まで低下させることが好ましい。
ここで、前記蓄電手段は、コンデンサ等で構成され、モータ駆動制御回路内に組み込んでもよいし、モータ駆動制御回路の外に設けてもよい。
【0016】
本発明では、前記電源回路がオンされ、駆動電圧を供給している場合に、その電気エネルギをコンデンサ等で構成される蓄電手段で蓄積する。このため、電源回路をオフしても、前記蓄電手段から駆動回路の駆動電圧が供給される。このため、蓄電手段を設けることで、モータ駆動時に大電流が流れても、モータ駆動電圧が急激に低下することを防止でき、この点でもモータ駆動電圧を所定の定電圧に維持でき、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
また、蓄電手段の電圧が所定の定電圧以上の場合には、放電手段を作動させて蓄電手段の電圧を所定の定電圧まで低下させているので、蓄電手段が設けられていても、モータ駆動電圧を迅速に所定の定電圧にすることができ、モータ駆動に遅延が生じることを防止できる。
【0017】
本発明において、前記放電手段は、モータの駆動回路を利用して前記蓄電手段の電気エネルギを放電することが好ましい。
放電手段としては、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子を設けて放電するものでもよいが、本発明のように、モータ駆動回路を利用して放電することができれば、専用の放電素子を不要にでき、その分、回路構成を簡易にできてモータ駆動制御回路のサイズも小さくできる。
【0018】
前記電源制御回路は、前記駆動回路を、主電源の電圧で駆動する主電源駆動モードと、前記所定の定電圧で駆動する定電圧駆動モードとを選択可能に構成され、主電源駆動モードが選択された場合には、前記電源回路を作動して主電源から駆動回路へ電気エネルギを供給して駆動し、定電圧駆動モードが選択された場合には、前記駆動電圧を監視し、前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、前記電源回路を停止して駆動電圧の供給を停止し、前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記電源回路を作動して駆動電圧を供給してもよい。
【0019】
主電源駆動モードが選択されると、電源制御回路は、主電源から電源回路を介してモータの駆動回路に電気エネルギを供給し、モータの駆動回路を主電源の電圧で駆動する。この場合、主電源の電圧が変動すると、モータの駆動電圧も変動するが、電圧制御が不要なため、省電力化を図ることができる。
一方、定電圧駆動モードが選択されると、電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、所定の定電圧以上であれば電源回路を停止(オフ)し、所定の定電圧未満であれば電源回路を作動(オン)する。これにより、駆動電圧を検出しながら電源回路のオン・オフ制御を繰り返すことで、モータ駆動電圧をほぼ一定の定電圧に維持することができ、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
さらに、上記2つの駆動モードを設けることで、作動領域の異なるモータが設けられている場合に各モータに適した電圧を加えることができ、各モータを効率的に駆動することができる。例えば、作動領域の狭いモータと、作動領域が比較的広いモータを有する場合、作動領域が比較的広いモータで、例えば重厚な針を駆動する場合のように高負荷の駆動を行う際に、モータ駆動電圧は定電圧より高い主電源電圧の方が望ましい場合がある。一方、作動領域が狭いモータを駆動する場合は、モータ駆動電圧は定電圧であることが望ましい。
従って、2つの駆動モードを選択できるようにしておけば、作動領域が比較的広いモータを主電源電圧で駆動する際には主電源駆動モードを選択し、作動領域が狭いモータを定電圧で駆動する際には定電圧駆動モードを選択すればよく、異なる特性を有する各モータを効率的に駆動することができる。
【0020】
本発明において、前記電界効果型トランジスタは寄生ダイオードを備え、この寄生ダイオードは、アノードが駆動回路の電源ラインに接続され、かつ、カソードが主電源に接続されていることが好ましい。
このような構成によれば、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、寄生ダイオードを経由して主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。すなわち、電界効果型トランジスタで構成される電源回路をオフしているのにも関わらず、主電源から蓄電手段に充電が行われてしまうと、モータ駆動電圧が変動し、定電圧に制御することが難しくなる。これに対し、本発明の構成では、電界効果型トランジスタがオフとなっている時に、寄生ダイオードを経由して主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止でき、定電圧制御を安定化することができる。
【0021】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流は、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
このような構成においても、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0022】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなる条件を満足する範囲で、電界効果型トランジスタの閾値電圧が低く設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、電界効果型トランジスタの駆動能力を確保できるとともに、トランジスタサイズの縮小化を実現できる。
【0023】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続されていることが好ましい。
このような構成においても、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0024】
本発明において、前記電源制御回路は、所定の基準電圧と電源回路の出力とを比較するコンパレータを備え、前記コンパレータは、電源回路の出力と基準電圧とを常時比較し、その比較結果に基づき、電源回路の作動または停止の制御を行うことが好ましい。
このような構成によれば、コンパレータを常時駆動しているために、駆動電圧の変化をリアルタイムに検出することができ、駆動電圧が所定の定電圧から外れた際に即座に電圧制御を行うことができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0025】
本発明において、前記コンパレータは、電源回路の出力を、一段階または複数段階に分圧する分圧手段を備えていることが好ましい。
電源回路の出力を分圧する分圧手段を備えていれば、コンパレータの基準電圧と比較する比較電圧を、分圧手段の分圧比によって調整できる。
このため、モータ駆動制御回路で制御するモータの種類によって、所定の定電圧の値が異なる場合でも、分圧手段の分圧比を適宜設定することで、制御対象のモータに応じた定電圧に容易に調整できる。
さらに、複数段階に分圧可能な分圧手段を備えていれば、分圧の段階を選択するだけで定電圧の切替が可能となり、モータの使用条件に応じて最適な定電圧を容易に設定することができる。従って、複数のモータがある場合も、各モータを駆動する毎に最適な定電圧を設定することができ、各モータを安定して確実に駆動することができる。
【0026】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続され、前記負荷は、前記コンパレータの分圧手段であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
また、負荷を分圧手段と兼用する事で、回路の大きさを縮小でき、モータ駆動制御回路を小型化することができる。
【0028】
本発明の半導体装置は、前述したいずれかのモータ駆動制御回路を備えることを特徴とする。
このような半導体装置によれば、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるなど、前述した各モータ駆動制御回路による作用効果を奏することができる。
さらに、半導体装置(IC,半導体素子)で構成しているので、モータを内蔵した電子機器を製造するメーカは、この半導体装置を組み込み、制御対象のモータに応じて定電圧の電圧値を設定すれば、モータを安定して駆動する制御を容易に実現できる。
【0029】
ここで、前記半導体装置は、中央演算処理装置を備えたマイクロコンピュータであることが好ましい。
このような構成によれば、電源制御回路やモータの駆動回路の制御をソフトウェアで実現でき、様々な制御を容易に実現することができる。
【0030】
本発明の電子時計は、前述したいずれかのモータ駆動制御回路と、このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、を備えることを特徴とする。
本発明は、前記モータ駆動制御回路を備えているため、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給することができ、モータ駆動電圧を定電圧とすることができ、確実にかつ安定してモータを駆動させることができる。
【0031】
本発明の発電装置付き電子時計は、発電装置と、発電装置で発電された電力が充電される二次電源を有する主電源と、前述したいずれかのモータ駆動制御回路と、このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、を備えることを特徴とする。
本発明は、前記モータ駆動制御回路を備えているため、発電装置で充電される主電源の電圧が上昇しても、モータ駆動電圧を定電圧とすることができ、確実にかつ安定してモータを駆動させることができる。
【0032】
ここで、前記モータ駆動制御回路は、前記発電装置で発電された電気エネルギが前記二次電源に充電されているのと並行して、モータの駆動電圧を所定の定電圧に制御することが好ましい。
このような構成によれば、発電装置で発電した電気エネルギを二次電源に充電する際に、その充電を妨げることが無く、かつ、モータ駆動電圧を定電圧にすることができる。従って、効率的な充電を行えて、二次電源の持続時間を長くすることができるとともに、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
なお、二次電源としては、二次電池や、電気二重層コンデンサ、電解コンデンサ等の高容量コンデンサが利用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができる。
また、発電装置および二次電源を備え、二次電源を主電源としてモータを駆動する際に、二次電源の充電を損なうことなく、かつ、持続時間を長くすることができるとともに、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、二次電源の充電による電圧上昇に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態における発電機能付き電子時計の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における半導体装置の主要部を示す回路図。
【図3】電源回路の応答速度が遅い場合の電圧変動を示すタイミングチャート。
【図4】電源回路の応答速度が速い場合の電圧変動を示すタイミングチャート。
【図5】前記実施形態におけるモータ駆動電圧の変化状態および制御状態を示す図。
【図6】前記実施形態における放電手段を示す回路図。
【図7】第2実施形態における電源制御回路の構成を示す回路図。
【図8】第3実施形態における電子時計を示す正面図。
【図9】第3実施形態における運針制御処理を示すフローチャート。
【図10】図9の発電量表示処理を示すフローチャート。
【図11】第3実施形態の発電量表示処理時の状態を示すタイミングチャート。
【図12】放電手段の変形例を示す回路図。
【図13】放電手段の他の変形例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[発電装置付き電子時計の全体構成]
発電装置付き電子時計1は、図1に示すように、発電装置2と、二次電池3と、主電源補助コンデンサ4と、第1モータ6と、第2モータ7と、半導体装置(IC)10と、モータ駆動電圧補助コンデンサ60とを備えている。なお、本実施形態では、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を半導体装置10の外部に設けているが、半導体装置10内に含ませて構成してもよい。
【0036】
発電装置2は、時計用に用いられる各種の発電装置が利用できる。例えば、回転錘等で運動エネルギを発生させ、そのエネルギを捉えてロータを回転させて発電する回転型の発電装置や、ソーラーパネルなどで光エネルギを捉えて発電するソーラー型の発電装置などが利用できる。
【0037】
二次電池3は、発電装置2で発電された電気エネルギを充電可能な蓄電手段(二次電源)であり、具体的には、リチウムイオン電池等の公知の二次電池で構成されている。
主電源補助コンデンサ4は、主電源である二次電池3を補助するために設けられている。例えば、二次電池3は容量も大きく内部抵抗もあるため、充電を開始してからIC10を駆動可能な電圧になるまで時間がかかる。一方、主電源補助コンデンサ4は、二次電池3に比べると容量が小さいが、充電開始時に迅速にIC10を駆動可能な電圧にすることができる。
従って、二次電池3および主電源補助コンデンサ4を設けることで、充電開始時には迅速に電圧を上昇させてIC10の起動性を確保でき、かつ、電源の容量も大きく確保してIC10を駆動する持続時間も長くできる。
【0038】
モータ6,7は、ステッピングモータなどで構成されている。モータ6,7で駆動される対象は、電子時計1の種類に応じて設定される。
例えば、第1モータ6で電子時計1の時針、分針を駆動し、第2モータ7で秒針を駆動してもよい。また、第1モータ6で時針、分針、秒針を駆動し、第2モータ7で日車やその他の情報を指示する指針を駆動してもよい。
【0039】
[半導体装置]
半導体装置(半導体素子、IC)10は、整流回路11、充電制御回路12、定電圧発生回路13、定電圧駆動部20、電源回路30、電源制御回路40、駆動回路50を備えて構成されている。
また、定電圧駆動部20は、発振回路21、分周/クロック制御回路22、CPU(中央演算処理回路)23、制御ロジック回路24、第1駆動制御回路25、第2駆動制御回路26を備えている。
【0040】
整流回路11は、発電装置2から出力される交流電流を整流するものであり、全波整流回路、半波整流回路などの公知の整流回路が利用できる。
充電制御回路12は、整流回路11で整流された電流を、二次電池3および主電源補助コンデンサ4に充電する際の制御を行うものである。なお、充電制御回路12は、二次電池3の電圧が低い場合でも、二次電池3の電圧に所定の電圧を上乗せし、見かけ上電圧を高くしてIC10を駆動するクイックスタート回路や、二次電池3の電圧を昇降圧する昇降圧回路を含んで構成されている。
【0041】
定電圧発生回路13は、主電源電圧VDDで動作され、電圧VDDよりも低い定電圧VREGを発生させ、定電圧駆動部20に供給する。従って、発振回路21、分周/クロック制御回路22、CPU(中央演算処理回路)23、制御ロジック回路24、第1駆動制御回路25、第2駆動制御回路26は、定電圧VREGで作動される。定電圧駆動部20の各回路を、主電源電圧VDDではなく、それよりも低い定電圧VREGで駆動するのは、各回路の消費電流を低減するためである。
【0042】
発振回路21は、水晶振動子等を備えており、所定周波数の信号を出力する。分周/クロック制御回路22は、発振回路21からの信号を分周し、分周により得られた各種基準信号をCPU23、制御ロジック回路24に出力する。
CPU23および制御ロジック回路24は、供給されたクロックで動作する。制御ロジック回路24は、CPU23でのソフト命令を処理し、処理結果を電源制御回路40や各駆動制御回路25,26に出力する。
【0043】
駆動制御回路25,26は、制御ロジック回路24の処理結果に基づいて、モータ駆動パルスや、正転/逆転/運針周期等の各駆動形態に応じた運針タイミングを作成し、駆動回路50の第1駆動回路51、第2駆動回路52にそれぞれモータ駆動パルスを出力する。
【0044】
電源制御回路40は、CPU23からのソフト命令を制御ロジック回路24で処理したEnable信号81に応じて動作する。具体的には、電源制御回路40は、電源回路30の出力側であるモータ駆動電圧VDMを監視し、その監視結果に基づいて、電源回路30へオンオフ制御信号82を出力して電源回路30の動作を制御する。
【0045】
電源回路30は、電源制御回路40からのオンオフ制御信号82によりオンオフ制御され、オン制御の場合は主電源からの電気エネルギをモータ駆動電圧VDMとして出力する。そして、電源回路30は、オン制御時にはモータ駆動電圧補助コンデンサ60を電圧VDMレベルに充電する。モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、モータ駆動時に流れる大電流によって、モータ駆動電圧が急峻に降下するのを防ぐために設けられている。
また、電源回路30がオフ制御されると、主電源からの電気エネルギの供給が遮断されるため、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギがモータ駆動電圧VDMとして出力され、駆動回路50が駆動される。
そして、電源回路30がオフ制御された状態で駆動回路50を駆動すると、モータ駆動電圧VDMが低下する。このため、電源制御回路40は、モータ駆動電圧VDMが所定電圧以下に低下すると電源回路30をオン制御し、再度、主電源からの電気エネルギをモータ駆動電圧VDMとして出力することで、モータ駆動電圧VDMを一定に維持できるように制御することができる。
【0046】
駆動回路50の第1駆動回路51、第2駆動回路52は、電源回路30の出力であるモータ駆動電圧VDMで駆動する。そして、各駆動回路51,52は、駆動制御回路25,26から出力されるモータ駆動パルスに応じて、電圧VDMレベルのモータ制御信号をモータコイルに印加し、第1モータ6、第2モータ7を駆動電圧VDMで駆動する。
【0047】
[電源制御回路の構成]
電源制御回路40は、図2に示すように、分圧手段41と、コンパレータ42を備えて構成され、制御ロジック回路24から出力されるEnable信号81がHighレベルになると動作状態となる。
コンパレータ42は、基準電圧を所定の仕事関数差で作成している。このため、コンパレータ42の(−)端子をVSS(0V)に接続すると、基準電圧=仕事関数差となる。本実施形態では、基準電圧=仕事関数差=1Vに設定してある。
【0048】
分圧手段41は、抵抗411,412,413,414と、スイッチとなる電界効果型トランジスタ415とを備えている。そして、電界効果型トランジスタ415がEnable信号81でオンされると、電源回路30の出力電圧VDMを所定の分圧比(前記各抵抗411〜414の抵抗値で設定)で分圧し、A点の分圧結果をコンパレータ42の(+)端子へ入力する。
分圧手段41の分圧比は、モータ駆動電圧を所定の定電圧、例えば1.35Vの定電圧にしたい場合は、VDM=1.35Vの時にA点がコンパレータの基準電圧である1Vになるように設定する。
この場合、前記オンオフ制御信号82となるコンパレータ42の出力は、電圧VDM<1.35V時に非検出状態(Lowレベル出力)、電圧VDM≧1.35V時に検出状態(Highレベル出力)となる。
【0049】
[電源回路の構成]
電源回路30は、P型の電界効果型トランジスタ31を備えて構成されている。
そして、電源回路30から出力されるモータ駆動電圧VDMが1.35V未満の場合、コンパレータ42からのオンオフ制御信号82はLowレベルとなり、電界効果型トランジスタ31はオンされ、主電源電圧VDD=モータ駆動電圧VDMとなる。
電界効果型トランジスタ31がオンされると、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、電源回路30から出力される電気エネルギが充電され、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の電圧もモータ駆動電圧VDMとなる。
【0050】
一方、電界効果型トランジスタ31がオンされて、前記モータ駆動電圧VDMが1.35V以上となった場合は、コンパレータ42からのオンオフ制御信号82はHighレベルとなり、電界効果型トランジスタ31はオフされ、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の充電は遮断される。
そして、上記の電界効果型トランジスタ31のオン・オフ制御を、コンパレータ42の検出速度で繰り返すことで、電源回路30の出力はほぼ1.35Vの定電圧となる。
【0051】
電界効果型トランジスタ31は、オンオフ制御の応答速度を速くするため、ゲート端子の寄生容量を小さくする必要がある。すなわち、電界効果型トランジスタ31の応答速度が遅いと、図3に示すように、電源回路30の出力電圧VDMは三角波形のようになり定電圧とならない。例えば、出力電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧(定電圧)以上になっても電界効果型トランジスタ31が即座にオフされないため、図3のA期間のように電圧がさらに上昇してしまう。また、電界効果型トランジスタ31がオフされ、負荷電流によって電圧が下降して出力電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧未満になっても電界効果型トランジスタ31が即座にオンされないため、図3のC期間のように電圧がさらに下降してしまう。このため、電源回路30の出力電圧VDMは三角波形のようになってしまう。
【0052】
このような現象を防ぐには、電界効果型トランジスタ31の応答速度を速くする必要があり、そのためには電界効果型トランジスタ31のサイズを小さくしてゲート端子の寄生容量を小さくする必要がある。
また、モータ駆動電圧VDMの損失を低減するためには、駆動能力を大きくする必要がある。このためには、電界効果型トランジスタ31のサイズを大きくする必要がある。
以上の要求性能を両立するため、電界効果型トランジスタ31は、サイズを小さくしてゲート端子の寄生容量を小さくするとともに、駆動能力が大きくなるように閾値電圧を低く設定してある。
【0053】
一方で、電界効果型トランジスタ31の閾値電圧を低くすると、電界効果型トランジスタ31のOFFリーク電流が増加する。OFFリーク電流が増加し、OFFリーク電流が電源回路30の負荷電流よりも大きくなると、電界効果型トランジスタ31がオフとなっていても、OFFリーク電流によりモータ駆動電圧補助コンデンサ60は充電され、電源回路30の出力は定電圧とならない。
これを回避するため、電源回路30の負荷に分圧手段41を接続し、OFFリーク電流が電源回路30の負荷電流未満となるようにしている。
【0054】
また、電界効果型トランジスタ31は寄生ダイオード32を備えているが、この寄生ダイオード32は、アノードがモータ駆動電圧VDM側の電源ラインに接続され、カソードが主電源VDD側の電源ラインに接続されるように、サブストレートを主電源VDDへ接続している。
これは、電界効果型トランジスタ31がオフとなり、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の充電が遮断状態の時、寄生ダイオード32の順方向電流によりモータ駆動電圧補助コンデンサ60が充電されることを防止するためである。
【0055】
以上のように、応答速度の速い電界効果型トランジスタ31を用いることにより、図4に示すように、モータ駆動電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧つまり定電圧からずれると即座にオンオフ制御信号82によって電界効果型トランジスタ31つまり電源回路30がオンオフ制御され、モータ駆動電圧VDMは、ほぼ定電圧に維持される。なお、前述の通り、電源回路30は、オンオフ制御信号82がHighレベルのときオフされ、Lowレベルのときオンされる。
【0056】
[駆動回路の構成]
第1駆動回路51は、図2に示すように、4つの電界効果型トランジスタ511,512,513,514を備えている。
各トランジスタ511,512,513,514は、第1駆動制御回路25から出力されるモータ駆動パルスP11〜P14によって、それぞれ独立してオン・オフ制御を行うことができる。
そして、トランジスタ511,512は直列に接続され、トランジスタ513,514も直列に接続され、各トランジスタ511,512と、トランジスタ513,514とは並列に接続されている。
また、第1モータ6のコイルは、トランジスタ511および512間と、トランジスタ513および514間にそれぞれ接続されている。
【0057】
第2駆動回路52は、図2に示すように、第1駆動回路51と同じ構成であり、4つの電界効果型トランジスタ521,522,523,524を備えている。
各トランジスタ521,522,523,524は、第2駆動制御回路26から出力されるモータ駆動パルスP21〜P24によって、それぞれ独立してオン・オフ制御を行うことができる。
なお、各トランジスタ521〜524の接続や、第2モータ7のコイルの接続は第1駆動回路51と同一なので説明を省略する。
【0058】
[モータ駆動制御処理]
次に、本実施形態におけるモータ駆動制御処理に関して説明する。
本実施形態では、モータ6,7を主電源電圧VDDで駆動する主電源駆動モードと、定電圧で駆動する定電圧駆動モードとを選択できるようにされている。なお、この選択は、制御対象のモータ6,7の種類や動作状態などに基づいて行われる。この際、利用者等による手動設定で選択してもよいし、CPU23による自動設定で選択してもよい。
【0059】
(主電源駆動モード:電源回路オン制御)
モータ6,7が主電源電圧VDD駆動の時は、制御ロジック回路24から電源制御回路40に出力されるEnable信号81はLowレベルとされる。このため、分圧手段41はオフとなり、コンパレータ42はDisableとなり、電源制御回路40から電源回路30に出力されるオンオフ制御信号82はLowレベルとなる。
このため、電界効果型トランジスタ31はオン状態となり、電源回路30はオン制御とされる。そして、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、二次電池3に接続され、主電源電圧VDDレベルまで充電される。この際、モータ駆動電圧VDMは主電源電圧VDDと一致し、例えば図5に示すように、VDD=1.58Vの場合、VDM=1.58Vとなる。
【0060】
(定電圧駆動モード)
定電圧駆動モードが選択された場合には、まず、主電源電圧VDDになっているモータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させるための放電制御(電源回路オフ制御)を行い、モータ駆動電圧VDMが定電圧に低下した後は、モータ駆動電圧VDMを一定の定電圧に維持するための電源回路オンオフ制御を行う。
【0061】
(放電制御:電源回路オフ制御)
定電圧駆動モードになると、CPU23は制御ロジック回路24に第1駆動回路51を利用した放電制御を指示する。制御ロジック回路24は、放電開始信号84を出力し、第1駆動制御回路25は、放電用のモータ駆動パルスを出力し、第1駆動回路51を放電回路として利用して放電電流を流す。
具体的には、CPU23は、ソフト命令により、制御ロジック回路24からEnable信号81を出力し、電源制御回路40を動作状態とする。
電源制御回路40は、コンパレータ42で、電圧VDMが、モータ6,7を定電圧駆動する際の定電圧(本実施形態では1.35V)以上であるかを検出する。例えば、前述のように、電圧VDD=1.58Vであれば、コンパレータ42は、電圧VDMが1.35V以上であることを検出し、Highレベルのオンオフ制御信号82を出力し、電源回路30をオフ制御する。
これにより、電界効果型トランジスタ31がオフされ、主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60への充電が遮断される。
【0062】
次に、CPU23は、制御ロジック回路24から放電開始信号84を出力させ、第1駆動制御回路25から第1駆動回路51を放電回路とするためのモータ駆動パルスP11〜P14を出力させる。
すなわち、第1駆動制御回路25は、CPU23のソフト命令に応じて処理を行う制御ロジック回路24からの指示により、P11=Lowレベル、P12=Highレベル、P13=Highレベル、P14=Lowレベルのモータ駆動パルスを出力する。
【0063】
上記のモータ駆動パルスP11〜P14に応じて、第1駆動回路51を構成する4つの電界効果型トランジスタ511,512,513,514は、トランジスタ511:オン、512:オン、513:オフ、514:オフとなる。このため、図6に示すように、モータ駆動電圧補助コンデンサ60から電界効果型トランジスタ511,512を経由して放電電流が流れ、図5に示すように、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を定電圧(1.35V)まで放電させる。
なお、放電電流は数mAであり、放電時間はusecオーダーであり、例えば1秒間隔で行われる秒針のステップ運針の間でも十分に処理できる。このため、放電期間中は、各モータ6,7の駆動は禁止されている。
【0064】
モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電中、電源制御回路40はコンパレータ42で電圧VDMが定電圧(1.35V)未満まで低下したかを検出する。そして、電圧VDMが定電圧未満になると、電源制御回路40は、図1に示すように、放電終了信号83を制御ロジック回路24に出力し、制御ロジック回路24は第1駆動制御回路25を介して第1駆動回路51の放電制御を停止させる。
なお、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、容量、種類によっては放電終了後に電圧が復帰する時もあるが、この時は、上記放電制御を数回繰り返す事で、確実に定電圧まで放電すればよい。
【0065】
(電源回路オンオフ制御)
モータ駆動電圧補助コンデンサ60が放電制御によって定電圧までに低下した後は、電源制御回路40から出力されるオンオフ制御信号82により電界効果型トランジスタ31をオンオフ制御することで、モータ駆動電圧VDMが定電圧に維持される。
すなわち、図4に示すように、モータ駆動電圧VDMが定電圧以上になれば電界効果型トランジスタ31をオフし、定電圧未満になればオンすることを繰り返すことで、電圧VDMをほぼ定電圧に維持できる。このため、各モータ6,7を定電圧で確実にかつ安定して駆動できる。
【0066】
なお、前記実施形態では、第1駆動回路51を放電回路として利用する場合について説明したが、第2駆動回路52を放電回路として利用してもよい。この場合は、制御ロジック回路24から第2駆動回路52を放電回路とする放電開始信号85を第2駆動制御回路26に出力し、第2駆動制御回路26から放電用のモータ駆動パルスP21〜24を出力して第2駆動回路52を放電回路とする制御、つまり前記第1駆動制御回路25および第1駆動回路51と同じ制御を行えばよい。
【0067】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)電源回路30および電源制御回路40を設けたので、モータ駆動電圧VDMを主電源電圧VDDと一致させる主電源駆動モードと、モータ駆動電圧VDMを定電圧に維持する定電圧駆動モードとを選択して制御することができる。
すなわち、電源制御回路40を停止させると、オンオフ制御信号82がLowレベルになって電源回路30の電界効果型トランジスタ31をオンし続けるため、モータ駆動電圧VDMが主電源電圧VDDと一致する主電源駆動モードで制御できる。
一方、電源制御回路40を作動させると、モータ駆動電圧VDMをコンパレータ42で定電圧と比較し、その比較結果に応じて電界効果型トランジスタ31をオン・オフ制御するため、モータ駆動電圧VDMを定電圧に維持できる。
従って、電源制御回路40を作動させるだけで、モータ駆動電圧VDMを定電圧に容易に維持でき、モータ6,7を作動電圧範囲内の一定の電圧で駆動でき、モータ6,7を確実にかつ安定して駆動することができる。
【0068】
(2)さらに、電源制御回路40は、実際のモータ駆動電圧VDMを定電圧と比較して電源回路30をオン・オフ制御しているので、従来のように、主電源電圧VDDを、2/3や1/3等に降圧する降圧回路を用いた場合のように、主電源電圧VDDの変動に影響されることがなく、二次電池3の充電などによって主電源電圧VDDが変化しても、モータ駆動電圧VDMを確実に定電圧に維持することができる。
また、主電源電圧に影響されずに、モータ6,7を定電圧駆動制御できるため、モータ6,7が駆動中であっても、発電装置2から二次電池3への充電を継続することができ、充電効率も向上することができる。
【0069】
(3)モータ駆動電圧補助コンデンサ60の電気エネルギを放電させる放電手段を備えているので、モータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させることができ、モータ駆動に遅延が生じることも防止できる。
すなわち、降圧回路の時定数によってモータ駆動電圧VDMが定電圧に低下するまでに時間がかかる従来技術では、時定数に応じた待機時間を設定し、モータ駆動に遅延が生じる。
これに対し、本実施形態では、放電手段を設けてモータ駆動電圧補助コンデンサ60の電気エネルギを放電しているので、モータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させることができ、モータ駆動に遅延が生じることも防止できる。
【0070】
(4)モータ駆動電圧補助コンデンサ60を設けているので、モータ駆動時に大電流が流れても、モータ駆動電圧が急激に低下することを防止でき、モータ駆動電圧を所定の定電圧に維持でき、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
【0071】
(5)放電手段として、モータ駆動パルスP11〜P14で各電界効果型トランジスタ511〜514の作動を制御することで、第1駆動回路51を利用して放電しているので、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子で放電する場合に比べて、モータ駆動制御回路の構成を簡易にでき、その回路サイズも小さくでき、IC10を小型化できる。
【0072】
(6)電源回路30は、電界効果型トランジスタ31を用いて構成しているので、小さなゲート電流でオン・オフ制御でき、IC10に容易に組み込むことができる。
さらに、電界効果型トランジスタ31がオフされている際に、主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電が行われることを防止する寄生ダイオード32を備えているので、電界効果型トランジスタ31をオフしてモータ駆動電圧VDMを低下させたい際に、充電によってモータ駆動電圧VDMが上昇するようなことも防止でき、定電圧制御を安定して行うことができる。
【0073】
(7)電源制御回路40を、分圧手段41およびコンパレータ42を備えて構成しているので、コンパレータ42の検出電圧の温度特性、IC製造時の量産バラツキを小さくできる。すなわち、コンパレータ42を構成するトランジスタの閾値電圧は、同方向に変化するようにしてあり、かつ、コンパレータ42の基準電圧である仕事関数差=閾値電圧差は変化しない。また、分圧手段41のA点から得られる分圧結果も、分圧手段41を構成する各抵抗は同方向に変化するため、分圧比が変化せず、分圧結果は変化しない。従って、コンパレータ42は検出誤差が小さくなり、精度の高い制御を行うことができる。
【0074】
(8)分圧手段41を電源回路30の負荷としているので、電源回路30の電界効果型トランジスタ31の閾値電圧を低くでき、且つ、サイズ(面積)も小さくすることができる。
また、電界効果型トランジスタ31がオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電が行われることを防止でき、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0075】
(9)さらに、主電源駆動モードと定電圧駆動モードを選択できるように構成したので、モータ6,7として作動領域の異なるモータを用いた場合に、各モータ6,7に適した電圧を加えることができ、各モータ6,7を効率的に駆動することができる。例えば、第1モータ6として作動領域が比較的広いモータを用い、第2モータ7として作業領域が狭いモータを用い、第1モータ6を駆動する際には主電源駆動モードを選択すれば、高負荷の駆動も可能となり、重厚な時刻表示用指針220を設けて効率的に駆動することもできる。また、第2モータ7を駆動する際には定電圧駆動モードを選択すれば、作動領域が狭いモータ7を効率的に駆動することができる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態の電源制御回路40における分圧手段41を改良し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60のモータ駆動電圧VDMを複数段階に切替可能に構成したものである。なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0077】
本実施形態の分圧手段41Aは、前記分圧手段41と同様に、4つの抵抗411〜414と、電界効果型トランジスタ415とを備えると共に、各抵抗411〜413と、モータ駆動電圧VDMの電源ラインとの間に、スイッチとなる電界効果型トランジスタ416〜418が設けられている。各トランジスタ416〜418は、CPU23のソフト命令による制御ロジック回路24からの切替え信号SA〜SCによって、オン・オフが制御され、これにより分圧手段41Aの分圧比を切替え可能に構成されている。
【0078】
本実施形態では、切替え信号SBによってトランジスタ417をオンすると、A点では、直列接続された抵抗412,413の抵抗値と、抵抗414の抵抗値の比率に基づいてモータ駆動電圧VDMを分圧した電圧が生じ、この電圧がコンパレータ42で基準電圧と比較される。
一方、切替え信号SAによってトランジスタ416をオンすると、各抵抗411,412,413が直列に接続されるため、電圧VDMの電圧降下がより大きくなる。従って、切替え信号SBでトランジスタ417をオンした場合の検出電圧に比べて、切替え信号SAでトランジスタ416をオンした場合のほうが、検出電圧は高くなる。
逆に、切替え信号SCによってトランジスタ418をオンすると、抵抗413のみで電圧降下が生じるため、切替え信号SBでトランジスタ417をオンした場合の検出電圧に比べて、切替え信号SCでトランジスタ418をオンした場合のほうが、検出電圧は低くなる。
これにより、モータ駆動電圧である定電圧を3段階に切替え可能となる。
なお、第2実施形態では、定電圧を3段階に切替えているが、抵抗やスイッチとなるトランジスタの数を適宜設定することなどで、2段階、或いは、4段階以上の定電圧切替えを可能な構成にしてもよい。
【0079】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次のような効果もある。
(2−1)モータ駆動電圧である定電圧を3段階に切り替えることができるため、モータ駆動電圧を、モータ6,7の使用条件などに応じて最適な定電圧に設定することができ、モータ6,7を効率よく駆動することができる。
【0080】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の発電装置付き電子時計1Bは、手巻き発電機構と、発電状態表示機構とを備えている点が前記実施形態と大きく相違する。但し、モータ6,7の駆動を制御する半導体装置10の構成に関しては前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略あるいは簡略する。
【0081】
電子時計1Bは、図8に示すように、時針221、分針222、秒針223からなる時刻表示用指針220を備えており、この時刻表示用指針220は前記第1モータ6によって駆動される。
また、電子時計1Bの文字板224の9時位置には、時刻表示用指針220とは別に設けられる発電表示用指針である表示針(副表示針)231および発電表示用目盛板232が設けられている。発電表示用目盛板232には、所定の目盛321が表示され、表示針231を第2モータ7で駆動して、目盛321を指示することで発電状態を表示可能とされている。
なお、文字板224の3時位置には窓241が形成され、文字板224の裏面に配置された日車によって日付が表示可能とされている。この日車は、図示略の日車用モータで回転駆動される。
【0082】
電子時計1Bは、発電装置2として、回転錘の回転エネルギでロータを回転することで発電する発電装置を内蔵している。
この発電装置のロータは、りゅうず203を回すことでも発電可能とされている。この回転錘による自動巻発電と、りゅうず203による手巻き発電とを実現する具体的な構成は、本出願人が既に出願した特願2006-276156号や、特願2006-276157号の明細書に開示されたものと同じであるため、説明を省略する。
【0083】
そして、前記第2モータ7で駆動される表示針231は、通常は、二次電池3に充電された電気エネルギ量に応じて電子時計1Bの動作持続時間を表示するとともに、りゅうず203を操作した手巻き機構により発電した場合は、その発電量を表示するように制御されている。
ここで、第2モータ7は、特に、手巻きによる発電量を表示する際は、高速で正転及び逆転駆動をさせる必要があり、1秒に1回正転駆動する第1モータ6と比較し、充電による主電源VDDの変動幅に対応してモータ7の作動電圧範囲を広く確保することが非常に困難である。
従って、この時計1Bでは、第1モータ6のみ駆動させる際は、モータ駆動電圧を主電源VDDと同電圧とし、第1モータ6および第2モータ7を駆動させる際は、第2駆動回路52により放電制御を行った後、第1モータ6および第2モータ7の各モータ駆動電圧を定電圧としている。
【0084】
本実施形態のモータ駆動制御処理に関し、図9,10のフローチャートおよび図11のタイミングチャートを用いて説明する。
まず、初期状態では、電源制御回路40は作動されておらず、このため、電源回路30はオン状態とされており、モータ駆動電圧VDMは主電源電圧VDDと一致している(ステップS1)。
【0085】
続いて、CPU23は、第1駆動制御回路25および第1駆動回路51を介して第1モータ6を毎秒運針駆動で制御し、時刻表示用指針220で時刻を表示する。また、CPU23は、第2駆動制御回路26および第2駆動回路52を介して第2モータ7を駆動し、表示針231で現在の動作持続時間を指示する(ステップS2)。
【0086】
なお、持続時間は、例えば、二次電池3の電圧を検出し、その電圧値に基づいて算出してもよいし、発電装置2の発電電流つまり二次電池3への充電電流を積算して求めてもよい。
また、持続時間は、例えば、目盛321の1目盛が1日などに設定されるため、一旦、持続時間の指示を行うと、持続時間が変更されるまではその指示を継続すればよい。すなわち、持続時間の目盛が1日単位の場合には、発電が無くて1日経過したために持続時間も1日減少した場合や、発電が行われて1日分の持続時間が増加した場合に第2モータ7を駆動して、表示針231を1日分、増加あるいは減少すればよい。従って、持続時間表示の変更が必要ない間は、第2モータ7の駆動つまり表示針231の運針は停止されている。
このような持続時間の算出および表示の方法は、本出願人が出願した特願2007-065646号の明細書に記載された方法などを用いればよい。
【0087】
続いて、CPU23は、手巻き発電が行われているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、手巻き発電が行われていた場合には、CPU23は、発電量表示処理を実行する(ステップS4)。
なお、手巻き発電の判定は、例えば、りゅうず203の回転を検出したり、手巻き発電時の発電電流の変化の特徴などに基づいて判定すればよい。
【0088】
発電量表示処理が実行されると、図10に示すように、CPU23は制御ロジック回路24を介して電源制御回路40を作動する(ステップS11)。
そして、CPU23は、制御ロジック回路24から第2駆動制御回路26に対し放電開始信号85を出力させ、第2駆動回路52による放電制御に移行する(ステップS12)。
【0089】
第2駆動制御回路26は、第2駆動回路52に対して、第2駆動回路52を放電回路とするためのモータ駆動パルスP21〜24を出力し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電されていた電荷を放電させる(ステップS13)。具体的には、図11に示すように、モータ駆動パルスP22、P23をHighレベルとし、モータ駆動パルスP21,P24はLowレベルのままに制御する。これにより、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電されていた電気エネルギが第2駆動回路52を通って放電される。
そして、電源制御回路40のコンパレータ42で、モータ駆動電圧VDMが定電圧以下になったかを判定する(ステップS14)。ステップS14でNoと判定された場合には、ステップS13に戻りモータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電を継続する。すなわち、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電処理(S13)は、VDM≦定電圧となるまで継続する。
また、この放電の間、第1モータ6および第2モータ7はそれぞれ駆動が禁止されている。
【0090】
そして、電源制御回路40において、VDM≦定電圧となったことが判定されると(ステップS14)、電源制御回路40は放電終了信号83を制御ロジック回路24に出力し、制御ロジック回路24は第2駆動制御回路26を介して第2駆動回路52の放電制御を停止し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電処理を終了する(ステップS15)。
【0091】
次に、CPU23は、電源制御回路40を利用してモータ駆動電圧VDMが定電圧となるように制御する(ステップS16)。すなわち、図11に示すように、モータ駆動電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧(定電圧)よりも低下すると、コンパレータ42の出力信号であるオンオフ制御信号82がLowレベルとなり、電界効果型トランジスタ31がオンされて、主電源電圧VDDでモータ駆動電圧補助コンデンサ60が充電され、モータ駆動電圧VDMも上昇する。
一方、モータ駆動電圧VDMが上昇し、定電圧以上になると、オンオフ制御信号82がHighレベルとなり、電界効果型トランジスタ31がオフされて、モータ駆動に伴い、電圧VDMは下降する。
従って、モータ駆動電圧VDMの変化に応じて電界効果型トランジスタ31をオン・オフ制御することで、図11に示すように、モータ駆動電圧VDMは、コンパレータ42の検出電圧つまり定電圧でほぼ一定に維持される。
【0092】
そして、CPU23は、第1モータ6による毎秒運針制御および第2モータ7による発電量表示駆動制御を行う(ステップS17)。
すなわち、CPU23は、第1駆動制御回路25から出力されるモータ駆動パルスP11〜P14を制御して、第1モータ6を1秒ごとに正転し、時刻表示用指針220をステップ運針する。
【0093】
また、CPU23は、第2駆動制御回路26から出力されるモータ駆動パルスP21〜P24を制御して、第2モータ7を正転あるいは逆転の早送り運針を行い、発電量を表示する。
例えば、図11の1段目に示すように、整流回路出力を所定のサンプリングレートでサンプリングし、その各サンプリング時の平均発電電流値を求め、その発電電流値の大きさに応じて表示針231を移動すればよい。なお、この発電量表示の制御方法は、本出願人が出願した特願2007-065646号の明細書に記載された方法などを用いればよい。
【0094】
次に、CPU23は、手巻き発電が継続しているかを確認する(ステップS18)。そして、手巻き発電が継続している場合には、前記ステップS16,S17の処理を繰り返す。
一方、手巻き発電が終了している場合には、図11に示すように、CPU23は、Enable信号81をLowレベルとし、電源制御回路40を停止する(ステップS19)。
そして、この電源制御回路40がDisableとされることで、電界効果型トランジスタ31はオンされ、電圧VDMは主電源電圧VDDと同じ電圧になる(ステップS20)。
以上により、発電量表示処理S4が終了する。
【0095】
図9に示すように、発電量表示処理S4が終了した場合、あるいは、ステップS3で手巻き発電無しと判定された場合には、CPU23は運針制御停止か否かを判定する(ステップS5)。運針制御停止とは、例えば、長期間発電が行われなくなり、二次電池3の電圧がIC10を駆動可能な電圧以下に低下した場合など、運針制御を続行できなくなった状態を意味する。
従って、ステップS5で制御停止状態と判定されると制御を終了する。一方、制御停止ではないと判定されると、ステップS2に戻り、第1モータ6による運針制御および第2モータ7による持続時間表示が行われる。
【0096】
このような本実施形態によれば、前記各実施形態と同様の作用効果を得られるほか、次のような効果もある。
(3−1)手巻き発電時は、図11の1段目に示すように、発電電流値は大きく変化する。このため、発電状態を表示する表示針231を駆動する第2モータ7は、図11のモータ駆動パルスP21〜P24に示すように、正転方向や逆転方向に早送り駆動を行う必要があるが、本実施形態では、第2モータ7が駆動される場合には、モータ駆動電圧VDMを定電圧に制御しているため、第2モータ7を確実にかつ安定して早送り駆動できる。
【0097】
(3−2)さらに、定電圧制御を行うのは、手巻き発電が行われている間だけであり、それ以外は、主電源駆動モードで駆動している。このため、制御用にエネルギが消費され、かつ、放電も行われる定電圧制御を常時継続する場合に比べて、省電力化を図ることができる。
また、手巻き発電時以外では、主電源電圧の変動も小さいため、主電源電圧VDDでモータ6,7を駆動しても確実にかつ安定して駆動することができる。なお、持続時間の指示を変更する場合は、発電状態の表示に比べて早送りで正転や逆転を行う必要がないために、第2モータ7を主電源電圧で駆動しても十分に安定して駆動できる。
【0098】
(3−3)電子時計1は、発電状態(発電電流)に応じて移動する表示針231を備えているので、使用者は、発電装置2における発電状態をリアルタイムに確認することができる。このため、手巻き発電操作時に、発電量が十分であるかを確認でき、使用者は発電状態を確認しながら操作することで、手巻き発電操作を確実に行うことができる。
【0099】
(3−4)時刻表示用指針220とは別の表示針231で発電状態を表示しているので、時刻表示と発電状態の表示とを同時に行うことができる。このため、時刻表示用指針220を発電表示にも兼用する場合に比べて、利便性を向上できる。
さらに、発電状態を表示針231で表示できるので、タコメータのように、発電状態をリアルタイムにかつ視覚的に表示でき、使用者は発電状態を感覚的にかつ容易に把握できる。
【0100】
(3−5)表示針231は、通常時は持続時間を表示し、発電時に発電状態を表示しているので、互いに関連性の強い情報を同一の表示針231で表示でき、時計1Bの使用者も情報を容易に把握できる。その上、表示針231を兼用できるので、指針やモータを増やす必要が無く、電子時計1Bの構成を簡易化できる。
さらに、通常時には持続時間が表示されているので、使用者は、時計1Bが発電せずにどれくらい作動し続けるのかを把握でき、時計が停止する前に発電操作を行うことで、時計1Bが停止してしまうことも防止できる。
【0101】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、放電手段としては、前記実施形態のように、モータの駆動回路51,52を利用したものに限らず、駆動回路51,52に設けられる回転検出用の抵抗を使用して放電してもよい。例えば、図12に示すように、駆動回路51に設けられる回転検出用の抵抗53を利用して放電する場合には、抵抗53に接続された電界効果型トランジスタ54をオンするとともに、電界効果型トランジスタ512をオンし、他のトランジスタ511,513,514をオフし、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギを、前記トランジスタ54、抵抗53、電界効果型トランジスタ512を介して放電すればよい。
【0102】
また、放電手段としては、モータコイルの抵抗を利用して放電してもよい。例えば、図13に示すように、第1モータ6を利用して放電する場合には、電界効果型トランジスタ511,514をオンし、電界効果型トランジスタ512,513をオフすると、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギは、前記トランジスタ511、モータコイル抵抗、トランジスタ514を介して流れて放電される。なお、放電制御は、前述のとおり、非常に時間が短く、モータ6を駆動するほどのエネルギを備えていないため、モータコイル抵抗を利用して放電した場合に、モータ6が駆動することはない。
また、モータ6の回転方向の極性と逆方向の極性で放電すれば、モータ6が放電制御により駆動することをより確実に防止できる。例えば、電界効果型トランジスタ512、513をオンした際にモータ6が回転する極性に設定されているのであれば、放電制御は電界効果型トランジスタ511、514をオンすれば、放電制御によりモータ6が駆動することはなく、確実に放電のみを行うことができる。
【0103】
さらに、放電手段としては、駆動回路51,52を利用せずに、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子を設けて放電するものでもよい。専用の放電素子を用いれば、放電量の調整を容易に行うことができる利点がある。
【0104】
また、前記実施形態では、各モータ6,7の駆動電圧を同じ定電圧に調整していたが、各モータ6,7の定電圧をそれぞれ別々に設定してもよい。すなわち、複数のモータが設けられている場合、モータの用途や特性によっては、モータ毎に定電圧を異ならせる必要がある。この場合には、モータの駆動回路51,52毎に、電源回路30、電源制御回路40、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を設け、モータ毎に定電圧を制御可能に構成すればよい。
【0105】
前記実施形態では、主電源駆動モードと定電圧駆動モードとを切り替えて制御可能にしていたが、制御対象のモータ6,7の種類や駆動速度などによっては、常時、定電圧駆動モードで駆動するようにしてもよい。
【0106】
前記実施形態では、2つのモータ6,7を設けていたが、本発明は、モータが1つの場合、あるいは3つ以上の場合でも適用することができる。
【0107】
発電装置2としては、前記実施形態のような手巻き発電装置および自動巻き発電装置を備えるものに限らず、回転錘のみで発電する手巻き発電機構を備えない自動巻き発電装置、光エネルギにより発電するソーラー発電装置、熱エネルギにより発電する熱発電装置、圧電効果を利用した圧電型発電装置、浮遊電波等の外部の誘導により発電する発電装置等の各種の発電装置が利用できる。また、電子時計1,1Bには、前記各種の発電装置を1種類組み込んでもよいし、前記実施形態のように、複数種類の発電装置を組み合わせてもよい。
また、本発明は、発電装置を備えるものに限らず、例えば、外部発電装置で発生する電気エネルギを内部の蓄電装置に蓄え、その電力で駆動する蓄電装置付き電子時計にも利用できる。つまり電子時計自体には発電装置を備えておらず、外部から充電される二次電池3等の蓄電装置を備えた電子時計にも本発明は適用できる。
【0108】
また、本発明の電子時計1は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子泳動ディスプレイ等の各種の表示パネルを有する時計でもよい。
さらに、本発明は、腕時計に限らず、モータを備えていれば、懐中時計、置時計、掛け時計などの他の時計にも適用できるし、時計以外の各種の電子機器にも適用できる。
さらに、本発明は、半導体装置(半導体素子、IC)10をパッケージ化して外販し、各電子機器の製造メーカにおいて、本発明の半導体装置10を組み込んで使用してもよい。
要するに、本発明は、発電装置や外部から充電される二次電池3等を備えて電源電圧が変動する主電源を有し、かつ、モータを定電圧で駆動する必要がある場合に広く利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1,1B…発電機能付き電子時計、2…発電装置、3…二次電池、4…主電源補助コンデンサ、6…第1モータ、7…第2モータ、10…半導体装置(IC)、11…整流回路、12…充電制御回路、20…定電圧駆動部、23…CPU、24…制御ロジック回路、25…第1駆動制御回路、26…第2駆動制御回路、30…電源回路、31…電界効果型トランジスタ、32…寄生ダイオード、40…電源制御回路、41,41A…分圧手段、42…コンパレータ、51…第1駆動回路、52…第2駆動回路、53…抵抗、54…電界効果型トランジスタ、60…モータ駆動電圧補助コンデンサ、203…りゅうず、220…時刻表示用指針、231…表示針。
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御回路、このモータ駆動制御回路を備えた半導体装置、電子時計および発電装置付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータなどのモータは、各種機器のアクチュエータとして広く利用されている。例えば、電子時計においては、指針を駆動するアクチュエータとして利用されている。
このようなモータには作動電圧範囲があり、モータを安定して駆動するためには、前記作動電圧範囲内においてモータ駆動電圧を一定に維持すること、つまりモータ駆動電圧を定電圧にすることが好ましい。
そして、モータ駆動電源として、従来用いられていた酸化銀等の一次電池は、出力電圧も一定であるため、モータ駆動電圧を定電圧にすることは容易であった。
【0003】
一方、近年では、電池交換を不要にするため、回転錘による自動巻き発電装置やソーラー発電装置と、発電装置で発電された電流で充電される二次電池とを設け、二次電池をモータの駆動電源とするものが広く利用されるようになった。
この際、二次電池は充電によって電圧が上昇するため、モータ作動電圧を超えてしまう可能性がある。
【0004】
このため、モータ駆動電圧を制御する電源部に、3つの降圧用コンデンサと、1つの平滑用コンデンサを搭載した降圧回路を設け、二次電池の電圧を降圧した電圧をモータの駆動回路に供給することで、二次電池の電圧が上昇してもモータ駆動電圧を、モータ作動電圧範囲に調整する駆動制御方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、充電による二次電池の電圧上昇を過充電防止機構(リミッタ)で抑制し、モータ駆動電圧が一定電圧値以上にならないように抑制することで、モータ駆動を安定化させる駆動制御方法も知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−174494号公報
【特許文献2】特開平7−306274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では次の2つの課題があった。
第1に、降圧回路は二次電池電圧を所定の倍率で小さくするので、充電により二次電池電圧が上昇すると、電源部の降圧電圧も上昇し、モータ駆動電圧が変動して定電圧にならないという問題があった。
すなわち、アナログ的に上昇する二次電池電圧に対応させて降圧電圧を一定にするには、細かい分解能で、多くの降圧倍率が必要となる。しかしながら、このような多くの降圧倍率を設定することは、多数のコンデンサなどが必要となり、回路構成上、困難である。
一方、特許文献1のように、2つの降圧倍率2/3と1/3だけで降圧制御を行う場合には、二次電池電圧がアナログ的に上昇すると、到底、降圧電圧を一定にすることができないという問題があった。
【0008】
第2に、電源部がモータの駆動回路に電池電圧を供給している状態から、モータ駆動の条件に応じて、例えば、降圧倍率を2/3に設定し、2/3降圧電圧をモータの駆動回路に供給しようとしても、電源部は平滑用コンデンサを搭載しているため、時定数により、モータ駆動電圧を瞬時に降圧することができないという問題があった。
このため、モータを安定して駆動させるためには、電源部から供給されるモータ駆動電圧が降圧した電圧となるまでの時間以上の待機時間を設定する必要があり、迅速にモータを駆動したい場合においては設定した待機時間中はモータを駆動させることができず、モータ駆動に遅延が発生するという問題があった。
【0009】
また、特許文献2では、モータの作動電圧領域が比較的低い場合は、二次電池電圧が低い領域でリミッタを作動させる必要があり、二次電池の動作持続時間が短くなるという問題があった。すなわち、二次電池は、充電により電池電圧が上昇するため、リミッタの動作電圧が高いほど充電量が多くなり、持続時間も長くなる。つまり、リミッタを動作させる電圧を低くすればするほど、充電電圧が低下し、持続時間も短くなる。
従って、モータの作動電圧領域が低いためにリミッタを低い電圧で作動させると、その分、持続時間が短縮してしまうという問題がある。
【0010】
一方で、モータ駆動の安定化と、二次電池の動作持続時間を長くすることを両立させるには、二次電池の電圧が高くなってもモータを駆動できるように、モータの作動電圧範囲を広く確保する必要がある。
しかしながら、作動電圧範囲の広いモータは、通常、性能面等で制約があり、特に高速で正転および逆転動作を行うようなモータでは作動電圧範囲を広く確保することが難しく、利用できるモータが限定されるという問題もあった。
また、モータ駆動を安定化させる為、モータ駆動中のみ二次電池の過充電を防止する方法もあるが、上昇した二次電池電圧でモータ駆動電圧が安定するだけであり、結局、モータの作動電圧範囲は広く確保する必要がある。さらに、モータ駆動中は二次電池への充電ができないため、充電効率が低下するという問題もある。
【0011】
本発明は、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるモータ駆動制御回路、半導体装置および電子時計を提供することを第1の目的とする。
また、発電装置および二次電源を備え、二次電源を主電源としてモータを駆動する際に、二次電源の充電を損なうことなく、かつ、持続時間を長くすることができるとともに、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、二次電源の充電による電圧上昇に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるモータ駆動制御回路、半導体装置および発電装置付き電子時計を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、主電源によって作動され、かつ、モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路であって、前記モータを駆動する駆動回路と、前記主電源および駆動回路間に設けられて、主電源から供給される電気エネルギを用いて駆動回路へ駆動電圧を供給する電源回路と、前記電源回路の作動を制御する電源制御回路とを備え、前記電源回路は、ドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接或いは間接的に接続され、ドレイン端子またはソース端子の他方が駆動回路の電源ラインに接続された電界効果型トランジスタを備え、前記電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、電界効果型トランジスタのゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオフにすることで、主電源から駆動回路への電気エネルギの供給を停止し、前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記ゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオンにすることで、主電源から駆動回路に電気エネルギを供給することを特徴とする。
【0013】
本発明では、電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、所定の定電圧以上であれば電源回路を停止(オフ)し、電源回路からの駆動電圧の供給を停止すると、負荷電流によって駆動電圧が低下する。
また、電源回路をオフして駆動電圧が所定の定電圧未満に低下した場合には、電源回路を作動(オン)して主電源から駆動回路に電気エネルギを供給するため、モータ駆動電圧を所定の定電圧に上昇させることができる。
そして、駆動電圧が再度所定の定電圧以上になれば、電源回路をオフし、モータ駆動電圧を所定の定電圧に戻すことができ、駆動電圧を検出しながら電源回路のオン・オフ制御を繰り返すことで、モータ駆動電圧をほぼ一定の定電圧に維持することができる。
従って、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給することができ、本発明のモータ駆動制御回路によれば、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
【0014】
また、電源回路を電界効果型トランジスタで構成しているので、小さなゲート電流でオン・オフ制御を行うことができるとともに、半導体装置(IC)上に容易に構成できる。
なお、電界効果型トランジスタのドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接に接続されるとは、電界効果型トランジスタのドレイン端子またはソース端子が主電源に直接接続されることを意味し、間接的に接続されるとは、充電制御回路などを介して間接的に接続されることを意味する。
【0015】
本発明において、前記電源回路から供給される電気エネルギを蓄積する蓄電手段に蓄積された電気エネルギを放電可能な放電手段を備え、前記電源制御回路は、前記蓄電手段の電圧が前記所定の定電圧以上の場合に、前記放電手段を作動して蓄電手段の電圧を前記所定の定電圧まで低下させることが好ましい。
ここで、前記蓄電手段は、コンデンサ等で構成され、モータ駆動制御回路内に組み込んでもよいし、モータ駆動制御回路の外に設けてもよい。
【0016】
本発明では、前記電源回路がオンされ、駆動電圧を供給している場合に、その電気エネルギをコンデンサ等で構成される蓄電手段で蓄積する。このため、電源回路をオフしても、前記蓄電手段から駆動回路の駆動電圧が供給される。このため、蓄電手段を設けることで、モータ駆動時に大電流が流れても、モータ駆動電圧が急激に低下することを防止でき、この点でもモータ駆動電圧を所定の定電圧に維持でき、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
また、蓄電手段の電圧が所定の定電圧以上の場合には、放電手段を作動させて蓄電手段の電圧を所定の定電圧まで低下させているので、蓄電手段が設けられていても、モータ駆動電圧を迅速に所定の定電圧にすることができ、モータ駆動に遅延が生じることを防止できる。
【0017】
本発明において、前記放電手段は、モータの駆動回路を利用して前記蓄電手段の電気エネルギを放電することが好ましい。
放電手段としては、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子を設けて放電するものでもよいが、本発明のように、モータ駆動回路を利用して放電することができれば、専用の放電素子を不要にでき、その分、回路構成を簡易にできてモータ駆動制御回路のサイズも小さくできる。
【0018】
前記電源制御回路は、前記駆動回路を、主電源の電圧で駆動する主電源駆動モードと、前記所定の定電圧で駆動する定電圧駆動モードとを選択可能に構成され、主電源駆動モードが選択された場合には、前記電源回路を作動して主電源から駆動回路へ電気エネルギを供給して駆動し、定電圧駆動モードが選択された場合には、前記駆動電圧を監視し、前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、前記電源回路を停止して駆動電圧の供給を停止し、前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記電源回路を作動して駆動電圧を供給してもよい。
【0019】
主電源駆動モードが選択されると、電源制御回路は、主電源から電源回路を介してモータの駆動回路に電気エネルギを供給し、モータの駆動回路を主電源の電圧で駆動する。この場合、主電源の電圧が変動すると、モータの駆動電圧も変動するが、電圧制御が不要なため、省電力化を図ることができる。
一方、定電圧駆動モードが選択されると、電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、所定の定電圧以上であれば電源回路を停止(オフ)し、所定の定電圧未満であれば電源回路を作動(オン)する。これにより、駆動電圧を検出しながら電源回路のオン・オフ制御を繰り返すことで、モータ駆動電圧をほぼ一定の定電圧に維持することができ、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
さらに、上記2つの駆動モードを設けることで、作動領域の異なるモータが設けられている場合に各モータに適した電圧を加えることができ、各モータを効率的に駆動することができる。例えば、作動領域の狭いモータと、作動領域が比較的広いモータを有する場合、作動領域が比較的広いモータで、例えば重厚な針を駆動する場合のように高負荷の駆動を行う際に、モータ駆動電圧は定電圧より高い主電源電圧の方が望ましい場合がある。一方、作動領域が狭いモータを駆動する場合は、モータ駆動電圧は定電圧であることが望ましい。
従って、2つの駆動モードを選択できるようにしておけば、作動領域が比較的広いモータを主電源電圧で駆動する際には主電源駆動モードを選択し、作動領域が狭いモータを定電圧で駆動する際には定電圧駆動モードを選択すればよく、異なる特性を有する各モータを効率的に駆動することができる。
【0020】
本発明において、前記電界効果型トランジスタは寄生ダイオードを備え、この寄生ダイオードは、アノードが駆動回路の電源ラインに接続され、かつ、カソードが主電源に接続されていることが好ましい。
このような構成によれば、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、寄生ダイオードを経由して主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。すなわち、電界効果型トランジスタで構成される電源回路をオフしているのにも関わらず、主電源から蓄電手段に充電が行われてしまうと、モータ駆動電圧が変動し、定電圧に制御することが難しくなる。これに対し、本発明の構成では、電界効果型トランジスタがオフとなっている時に、寄生ダイオードを経由して主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止でき、定電圧制御を安定化することができる。
【0021】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流は、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
このような構成においても、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0022】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなる条件を満足する範囲で、電界効果型トランジスタの閾値電圧が低く設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、電界効果型トランジスタの駆動能力を確保できるとともに、トランジスタサイズの縮小化を実現できる。
【0023】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続されていることが好ましい。
このような構成においても、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0024】
本発明において、前記電源制御回路は、所定の基準電圧と電源回路の出力とを比較するコンパレータを備え、前記コンパレータは、電源回路の出力と基準電圧とを常時比較し、その比較結果に基づき、電源回路の作動または停止の制御を行うことが好ましい。
このような構成によれば、コンパレータを常時駆動しているために、駆動電圧の変化をリアルタイムに検出することができ、駆動電圧が所定の定電圧から外れた際に即座に電圧制御を行うことができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0025】
本発明において、前記コンパレータは、電源回路の出力を、一段階または複数段階に分圧する分圧手段を備えていることが好ましい。
電源回路の出力を分圧する分圧手段を備えていれば、コンパレータの基準電圧と比較する比較電圧を、分圧手段の分圧比によって調整できる。
このため、モータ駆動制御回路で制御するモータの種類によって、所定の定電圧の値が異なる場合でも、分圧手段の分圧比を適宜設定することで、制御対象のモータに応じた定電圧に容易に調整できる。
さらに、複数段階に分圧可能な分圧手段を備えていれば、分圧の段階を選択するだけで定電圧の切替が可能となり、モータの使用条件に応じて最適な定電圧を容易に設定することができる。従って、複数のモータがある場合も、各モータを駆動する毎に最適な定電圧を設定することができ、各モータを安定して確実に駆動することができる。
【0026】
本発明において、前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続され、前記負荷は、前記コンパレータの分圧手段であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、電界効果型トランジスタがオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源から蓄電手段に充電が行われることを防止することができ、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
また、負荷を分圧手段と兼用する事で、回路の大きさを縮小でき、モータ駆動制御回路を小型化することができる。
【0028】
本発明の半導体装置は、前述したいずれかのモータ駆動制御回路を備えることを特徴とする。
このような半導体装置によれば、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができるなど、前述した各モータ駆動制御回路による作用効果を奏することができる。
さらに、半導体装置(IC,半導体素子)で構成しているので、モータを内蔵した電子機器を製造するメーカは、この半導体装置を組み込み、制御対象のモータに応じて定電圧の電圧値を設定すれば、モータを安定して駆動する制御を容易に実現できる。
【0029】
ここで、前記半導体装置は、中央演算処理装置を備えたマイクロコンピュータであることが好ましい。
このような構成によれば、電源制御回路やモータの駆動回路の制御をソフトウェアで実現でき、様々な制御を容易に実現することができる。
【0030】
本発明の電子時計は、前述したいずれかのモータ駆動制御回路と、このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、を備えることを特徴とする。
本発明は、前記モータ駆動制御回路を備えているため、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給することができ、モータ駆動電圧を定電圧とすることができ、確実にかつ安定してモータを駆動させることができる。
【0031】
本発明の発電装置付き電子時計は、発電装置と、発電装置で発電された電力が充電される二次電源を有する主電源と、前述したいずれかのモータ駆動制御回路と、このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、を備えることを特徴とする。
本発明は、前記モータ駆動制御回路を備えているため、発電装置で充電される主電源の電圧が上昇しても、モータ駆動電圧を定電圧とすることができ、確実にかつ安定してモータを駆動させることができる。
【0032】
ここで、前記モータ駆動制御回路は、前記発電装置で発電された電気エネルギが前記二次電源に充電されているのと並行して、モータの駆動電圧を所定の定電圧に制御することが好ましい。
このような構成によれば、発電装置で発電した電気エネルギを二次電源に充電する際に、その充電を妨げることが無く、かつ、モータ駆動電圧を定電圧にすることができる。従って、効率的な充電を行えて、二次電源の持続時間を長くすることができるとともに、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
なお、二次電源としては、二次電池や、電気二重層コンデンサ、電解コンデンサ等の高容量コンデンサが利用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、主電源電圧に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができる。
また、発電装置および二次電源を備え、二次電源を主電源としてモータを駆動する際に、二次電源の充電を損なうことなく、かつ、持続時間を長くすることができるとともに、モータ駆動時にモータ駆動電圧を迅速にモータ作動電圧範囲内の所定の定電圧にでき、二次電源の充電による電圧上昇に依存しないモータ駆動電圧をモータ駆動回路に供給して確実にモータを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態における発電機能付き電子時計の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における半導体装置の主要部を示す回路図。
【図3】電源回路の応答速度が遅い場合の電圧変動を示すタイミングチャート。
【図4】電源回路の応答速度が速い場合の電圧変動を示すタイミングチャート。
【図5】前記実施形態におけるモータ駆動電圧の変化状態および制御状態を示す図。
【図6】前記実施形態における放電手段を示す回路図。
【図7】第2実施形態における電源制御回路の構成を示す回路図。
【図8】第3実施形態における電子時計を示す正面図。
【図9】第3実施形態における運針制御処理を示すフローチャート。
【図10】図9の発電量表示処理を示すフローチャート。
【図11】第3実施形態の発電量表示処理時の状態を示すタイミングチャート。
【図12】放電手段の変形例を示す回路図。
【図13】放電手段の他の変形例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[発電装置付き電子時計の全体構成]
発電装置付き電子時計1は、図1に示すように、発電装置2と、二次電池3と、主電源補助コンデンサ4と、第1モータ6と、第2モータ7と、半導体装置(IC)10と、モータ駆動電圧補助コンデンサ60とを備えている。なお、本実施形態では、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を半導体装置10の外部に設けているが、半導体装置10内に含ませて構成してもよい。
【0036】
発電装置2は、時計用に用いられる各種の発電装置が利用できる。例えば、回転錘等で運動エネルギを発生させ、そのエネルギを捉えてロータを回転させて発電する回転型の発電装置や、ソーラーパネルなどで光エネルギを捉えて発電するソーラー型の発電装置などが利用できる。
【0037】
二次電池3は、発電装置2で発電された電気エネルギを充電可能な蓄電手段(二次電源)であり、具体的には、リチウムイオン電池等の公知の二次電池で構成されている。
主電源補助コンデンサ4は、主電源である二次電池3を補助するために設けられている。例えば、二次電池3は容量も大きく内部抵抗もあるため、充電を開始してからIC10を駆動可能な電圧になるまで時間がかかる。一方、主電源補助コンデンサ4は、二次電池3に比べると容量が小さいが、充電開始時に迅速にIC10を駆動可能な電圧にすることができる。
従って、二次電池3および主電源補助コンデンサ4を設けることで、充電開始時には迅速に電圧を上昇させてIC10の起動性を確保でき、かつ、電源の容量も大きく確保してIC10を駆動する持続時間も長くできる。
【0038】
モータ6,7は、ステッピングモータなどで構成されている。モータ6,7で駆動される対象は、電子時計1の種類に応じて設定される。
例えば、第1モータ6で電子時計1の時針、分針を駆動し、第2モータ7で秒針を駆動してもよい。また、第1モータ6で時針、分針、秒針を駆動し、第2モータ7で日車やその他の情報を指示する指針を駆動してもよい。
【0039】
[半導体装置]
半導体装置(半導体素子、IC)10は、整流回路11、充電制御回路12、定電圧発生回路13、定電圧駆動部20、電源回路30、電源制御回路40、駆動回路50を備えて構成されている。
また、定電圧駆動部20は、発振回路21、分周/クロック制御回路22、CPU(中央演算処理回路)23、制御ロジック回路24、第1駆動制御回路25、第2駆動制御回路26を備えている。
【0040】
整流回路11は、発電装置2から出力される交流電流を整流するものであり、全波整流回路、半波整流回路などの公知の整流回路が利用できる。
充電制御回路12は、整流回路11で整流された電流を、二次電池3および主電源補助コンデンサ4に充電する際の制御を行うものである。なお、充電制御回路12は、二次電池3の電圧が低い場合でも、二次電池3の電圧に所定の電圧を上乗せし、見かけ上電圧を高くしてIC10を駆動するクイックスタート回路や、二次電池3の電圧を昇降圧する昇降圧回路を含んで構成されている。
【0041】
定電圧発生回路13は、主電源電圧VDDで動作され、電圧VDDよりも低い定電圧VREGを発生させ、定電圧駆動部20に供給する。従って、発振回路21、分周/クロック制御回路22、CPU(中央演算処理回路)23、制御ロジック回路24、第1駆動制御回路25、第2駆動制御回路26は、定電圧VREGで作動される。定電圧駆動部20の各回路を、主電源電圧VDDではなく、それよりも低い定電圧VREGで駆動するのは、各回路の消費電流を低減するためである。
【0042】
発振回路21は、水晶振動子等を備えており、所定周波数の信号を出力する。分周/クロック制御回路22は、発振回路21からの信号を分周し、分周により得られた各種基準信号をCPU23、制御ロジック回路24に出力する。
CPU23および制御ロジック回路24は、供給されたクロックで動作する。制御ロジック回路24は、CPU23でのソフト命令を処理し、処理結果を電源制御回路40や各駆動制御回路25,26に出力する。
【0043】
駆動制御回路25,26は、制御ロジック回路24の処理結果に基づいて、モータ駆動パルスや、正転/逆転/運針周期等の各駆動形態に応じた運針タイミングを作成し、駆動回路50の第1駆動回路51、第2駆動回路52にそれぞれモータ駆動パルスを出力する。
【0044】
電源制御回路40は、CPU23からのソフト命令を制御ロジック回路24で処理したEnable信号81に応じて動作する。具体的には、電源制御回路40は、電源回路30の出力側であるモータ駆動電圧VDMを監視し、その監視結果に基づいて、電源回路30へオンオフ制御信号82を出力して電源回路30の動作を制御する。
【0045】
電源回路30は、電源制御回路40からのオンオフ制御信号82によりオンオフ制御され、オン制御の場合は主電源からの電気エネルギをモータ駆動電圧VDMとして出力する。そして、電源回路30は、オン制御時にはモータ駆動電圧補助コンデンサ60を電圧VDMレベルに充電する。モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、モータ駆動時に流れる大電流によって、モータ駆動電圧が急峻に降下するのを防ぐために設けられている。
また、電源回路30がオフ制御されると、主電源からの電気エネルギの供給が遮断されるため、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギがモータ駆動電圧VDMとして出力され、駆動回路50が駆動される。
そして、電源回路30がオフ制御された状態で駆動回路50を駆動すると、モータ駆動電圧VDMが低下する。このため、電源制御回路40は、モータ駆動電圧VDMが所定電圧以下に低下すると電源回路30をオン制御し、再度、主電源からの電気エネルギをモータ駆動電圧VDMとして出力することで、モータ駆動電圧VDMを一定に維持できるように制御することができる。
【0046】
駆動回路50の第1駆動回路51、第2駆動回路52は、電源回路30の出力であるモータ駆動電圧VDMで駆動する。そして、各駆動回路51,52は、駆動制御回路25,26から出力されるモータ駆動パルスに応じて、電圧VDMレベルのモータ制御信号をモータコイルに印加し、第1モータ6、第2モータ7を駆動電圧VDMで駆動する。
【0047】
[電源制御回路の構成]
電源制御回路40は、図2に示すように、分圧手段41と、コンパレータ42を備えて構成され、制御ロジック回路24から出力されるEnable信号81がHighレベルになると動作状態となる。
コンパレータ42は、基準電圧を所定の仕事関数差で作成している。このため、コンパレータ42の(−)端子をVSS(0V)に接続すると、基準電圧=仕事関数差となる。本実施形態では、基準電圧=仕事関数差=1Vに設定してある。
【0048】
分圧手段41は、抵抗411,412,413,414と、スイッチとなる電界効果型トランジスタ415とを備えている。そして、電界効果型トランジスタ415がEnable信号81でオンされると、電源回路30の出力電圧VDMを所定の分圧比(前記各抵抗411〜414の抵抗値で設定)で分圧し、A点の分圧結果をコンパレータ42の(+)端子へ入力する。
分圧手段41の分圧比は、モータ駆動電圧を所定の定電圧、例えば1.35Vの定電圧にしたい場合は、VDM=1.35Vの時にA点がコンパレータの基準電圧である1Vになるように設定する。
この場合、前記オンオフ制御信号82となるコンパレータ42の出力は、電圧VDM<1.35V時に非検出状態(Lowレベル出力)、電圧VDM≧1.35V時に検出状態(Highレベル出力)となる。
【0049】
[電源回路の構成]
電源回路30は、P型の電界効果型トランジスタ31を備えて構成されている。
そして、電源回路30から出力されるモータ駆動電圧VDMが1.35V未満の場合、コンパレータ42からのオンオフ制御信号82はLowレベルとなり、電界効果型トランジスタ31はオンされ、主電源電圧VDD=モータ駆動電圧VDMとなる。
電界効果型トランジスタ31がオンされると、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、電源回路30から出力される電気エネルギが充電され、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の電圧もモータ駆動電圧VDMとなる。
【0050】
一方、電界効果型トランジスタ31がオンされて、前記モータ駆動電圧VDMが1.35V以上となった場合は、コンパレータ42からのオンオフ制御信号82はHighレベルとなり、電界効果型トランジスタ31はオフされ、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の充電は遮断される。
そして、上記の電界効果型トランジスタ31のオン・オフ制御を、コンパレータ42の検出速度で繰り返すことで、電源回路30の出力はほぼ1.35Vの定電圧となる。
【0051】
電界効果型トランジスタ31は、オンオフ制御の応答速度を速くするため、ゲート端子の寄生容量を小さくする必要がある。すなわち、電界効果型トランジスタ31の応答速度が遅いと、図3に示すように、電源回路30の出力電圧VDMは三角波形のようになり定電圧とならない。例えば、出力電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧(定電圧)以上になっても電界効果型トランジスタ31が即座にオフされないため、図3のA期間のように電圧がさらに上昇してしまう。また、電界効果型トランジスタ31がオフされ、負荷電流によって電圧が下降して出力電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧未満になっても電界効果型トランジスタ31が即座にオンされないため、図3のC期間のように電圧がさらに下降してしまう。このため、電源回路30の出力電圧VDMは三角波形のようになってしまう。
【0052】
このような現象を防ぐには、電界効果型トランジスタ31の応答速度を速くする必要があり、そのためには電界効果型トランジスタ31のサイズを小さくしてゲート端子の寄生容量を小さくする必要がある。
また、モータ駆動電圧VDMの損失を低減するためには、駆動能力を大きくする必要がある。このためには、電界効果型トランジスタ31のサイズを大きくする必要がある。
以上の要求性能を両立するため、電界効果型トランジスタ31は、サイズを小さくしてゲート端子の寄生容量を小さくするとともに、駆動能力が大きくなるように閾値電圧を低く設定してある。
【0053】
一方で、電界効果型トランジスタ31の閾値電圧を低くすると、電界効果型トランジスタ31のOFFリーク電流が増加する。OFFリーク電流が増加し、OFFリーク電流が電源回路30の負荷電流よりも大きくなると、電界効果型トランジスタ31がオフとなっていても、OFFリーク電流によりモータ駆動電圧補助コンデンサ60は充電され、電源回路30の出力は定電圧とならない。
これを回避するため、電源回路30の負荷に分圧手段41を接続し、OFFリーク電流が電源回路30の負荷電流未満となるようにしている。
【0054】
また、電界効果型トランジスタ31は寄生ダイオード32を備えているが、この寄生ダイオード32は、アノードがモータ駆動電圧VDM側の電源ラインに接続され、カソードが主電源VDD側の電源ラインに接続されるように、サブストレートを主電源VDDへ接続している。
これは、電界効果型トランジスタ31がオフとなり、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の充電が遮断状態の時、寄生ダイオード32の順方向電流によりモータ駆動電圧補助コンデンサ60が充電されることを防止するためである。
【0055】
以上のように、応答速度の速い電界効果型トランジスタ31を用いることにより、図4に示すように、モータ駆動電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧つまり定電圧からずれると即座にオンオフ制御信号82によって電界効果型トランジスタ31つまり電源回路30がオンオフ制御され、モータ駆動電圧VDMは、ほぼ定電圧に維持される。なお、前述の通り、電源回路30は、オンオフ制御信号82がHighレベルのときオフされ、Lowレベルのときオンされる。
【0056】
[駆動回路の構成]
第1駆動回路51は、図2に示すように、4つの電界効果型トランジスタ511,512,513,514を備えている。
各トランジスタ511,512,513,514は、第1駆動制御回路25から出力されるモータ駆動パルスP11〜P14によって、それぞれ独立してオン・オフ制御を行うことができる。
そして、トランジスタ511,512は直列に接続され、トランジスタ513,514も直列に接続され、各トランジスタ511,512と、トランジスタ513,514とは並列に接続されている。
また、第1モータ6のコイルは、トランジスタ511および512間と、トランジスタ513および514間にそれぞれ接続されている。
【0057】
第2駆動回路52は、図2に示すように、第1駆動回路51と同じ構成であり、4つの電界効果型トランジスタ521,522,523,524を備えている。
各トランジスタ521,522,523,524は、第2駆動制御回路26から出力されるモータ駆動パルスP21〜P24によって、それぞれ独立してオン・オフ制御を行うことができる。
なお、各トランジスタ521〜524の接続や、第2モータ7のコイルの接続は第1駆動回路51と同一なので説明を省略する。
【0058】
[モータ駆動制御処理]
次に、本実施形態におけるモータ駆動制御処理に関して説明する。
本実施形態では、モータ6,7を主電源電圧VDDで駆動する主電源駆動モードと、定電圧で駆動する定電圧駆動モードとを選択できるようにされている。なお、この選択は、制御対象のモータ6,7の種類や動作状態などに基づいて行われる。この際、利用者等による手動設定で選択してもよいし、CPU23による自動設定で選択してもよい。
【0059】
(主電源駆動モード:電源回路オン制御)
モータ6,7が主電源電圧VDD駆動の時は、制御ロジック回路24から電源制御回路40に出力されるEnable信号81はLowレベルとされる。このため、分圧手段41はオフとなり、コンパレータ42はDisableとなり、電源制御回路40から電源回路30に出力されるオンオフ制御信号82はLowレベルとなる。
このため、電界効果型トランジスタ31はオン状態となり、電源回路30はオン制御とされる。そして、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、二次電池3に接続され、主電源電圧VDDレベルまで充電される。この際、モータ駆動電圧VDMは主電源電圧VDDと一致し、例えば図5に示すように、VDD=1.58Vの場合、VDM=1.58Vとなる。
【0060】
(定電圧駆動モード)
定電圧駆動モードが選択された場合には、まず、主電源電圧VDDになっているモータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させるための放電制御(電源回路オフ制御)を行い、モータ駆動電圧VDMが定電圧に低下した後は、モータ駆動電圧VDMを一定の定電圧に維持するための電源回路オンオフ制御を行う。
【0061】
(放電制御:電源回路オフ制御)
定電圧駆動モードになると、CPU23は制御ロジック回路24に第1駆動回路51を利用した放電制御を指示する。制御ロジック回路24は、放電開始信号84を出力し、第1駆動制御回路25は、放電用のモータ駆動パルスを出力し、第1駆動回路51を放電回路として利用して放電電流を流す。
具体的には、CPU23は、ソフト命令により、制御ロジック回路24からEnable信号81を出力し、電源制御回路40を動作状態とする。
電源制御回路40は、コンパレータ42で、電圧VDMが、モータ6,7を定電圧駆動する際の定電圧(本実施形態では1.35V)以上であるかを検出する。例えば、前述のように、電圧VDD=1.58Vであれば、コンパレータ42は、電圧VDMが1.35V以上であることを検出し、Highレベルのオンオフ制御信号82を出力し、電源回路30をオフ制御する。
これにより、電界効果型トランジスタ31がオフされ、主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60への充電が遮断される。
【0062】
次に、CPU23は、制御ロジック回路24から放電開始信号84を出力させ、第1駆動制御回路25から第1駆動回路51を放電回路とするためのモータ駆動パルスP11〜P14を出力させる。
すなわち、第1駆動制御回路25は、CPU23のソフト命令に応じて処理を行う制御ロジック回路24からの指示により、P11=Lowレベル、P12=Highレベル、P13=Highレベル、P14=Lowレベルのモータ駆動パルスを出力する。
【0063】
上記のモータ駆動パルスP11〜P14に応じて、第1駆動回路51を構成する4つの電界効果型トランジスタ511,512,513,514は、トランジスタ511:オン、512:オン、513:オフ、514:オフとなる。このため、図6に示すように、モータ駆動電圧補助コンデンサ60から電界効果型トランジスタ511,512を経由して放電電流が流れ、図5に示すように、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を定電圧(1.35V)まで放電させる。
なお、放電電流は数mAであり、放電時間はusecオーダーであり、例えば1秒間隔で行われる秒針のステップ運針の間でも十分に処理できる。このため、放電期間中は、各モータ6,7の駆動は禁止されている。
【0064】
モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電中、電源制御回路40はコンパレータ42で電圧VDMが定電圧(1.35V)未満まで低下したかを検出する。そして、電圧VDMが定電圧未満になると、電源制御回路40は、図1に示すように、放電終了信号83を制御ロジック回路24に出力し、制御ロジック回路24は第1駆動制御回路25を介して第1駆動回路51の放電制御を停止させる。
なお、モータ駆動電圧補助コンデンサ60は、容量、種類によっては放電終了後に電圧が復帰する時もあるが、この時は、上記放電制御を数回繰り返す事で、確実に定電圧まで放電すればよい。
【0065】
(電源回路オンオフ制御)
モータ駆動電圧補助コンデンサ60が放電制御によって定電圧までに低下した後は、電源制御回路40から出力されるオンオフ制御信号82により電界効果型トランジスタ31をオンオフ制御することで、モータ駆動電圧VDMが定電圧に維持される。
すなわち、図4に示すように、モータ駆動電圧VDMが定電圧以上になれば電界効果型トランジスタ31をオフし、定電圧未満になればオンすることを繰り返すことで、電圧VDMをほぼ定電圧に維持できる。このため、各モータ6,7を定電圧で確実にかつ安定して駆動できる。
【0066】
なお、前記実施形態では、第1駆動回路51を放電回路として利用する場合について説明したが、第2駆動回路52を放電回路として利用してもよい。この場合は、制御ロジック回路24から第2駆動回路52を放電回路とする放電開始信号85を第2駆動制御回路26に出力し、第2駆動制御回路26から放電用のモータ駆動パルスP21〜24を出力して第2駆動回路52を放電回路とする制御、つまり前記第1駆動制御回路25および第1駆動回路51と同じ制御を行えばよい。
【0067】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)電源回路30および電源制御回路40を設けたので、モータ駆動電圧VDMを主電源電圧VDDと一致させる主電源駆動モードと、モータ駆動電圧VDMを定電圧に維持する定電圧駆動モードとを選択して制御することができる。
すなわち、電源制御回路40を停止させると、オンオフ制御信号82がLowレベルになって電源回路30の電界効果型トランジスタ31をオンし続けるため、モータ駆動電圧VDMが主電源電圧VDDと一致する主電源駆動モードで制御できる。
一方、電源制御回路40を作動させると、モータ駆動電圧VDMをコンパレータ42で定電圧と比較し、その比較結果に応じて電界効果型トランジスタ31をオン・オフ制御するため、モータ駆動電圧VDMを定電圧に維持できる。
従って、電源制御回路40を作動させるだけで、モータ駆動電圧VDMを定電圧に容易に維持でき、モータ6,7を作動電圧範囲内の一定の電圧で駆動でき、モータ6,7を確実にかつ安定して駆動することができる。
【0068】
(2)さらに、電源制御回路40は、実際のモータ駆動電圧VDMを定電圧と比較して電源回路30をオン・オフ制御しているので、従来のように、主電源電圧VDDを、2/3や1/3等に降圧する降圧回路を用いた場合のように、主電源電圧VDDの変動に影響されることがなく、二次電池3の充電などによって主電源電圧VDDが変化しても、モータ駆動電圧VDMを確実に定電圧に維持することができる。
また、主電源電圧に影響されずに、モータ6,7を定電圧駆動制御できるため、モータ6,7が駆動中であっても、発電装置2から二次電池3への充電を継続することができ、充電効率も向上することができる。
【0069】
(3)モータ駆動電圧補助コンデンサ60の電気エネルギを放電させる放電手段を備えているので、モータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させることができ、モータ駆動に遅延が生じることも防止できる。
すなわち、降圧回路の時定数によってモータ駆動電圧VDMが定電圧に低下するまでに時間がかかる従来技術では、時定数に応じた待機時間を設定し、モータ駆動に遅延が生じる。
これに対し、本実施形態では、放電手段を設けてモータ駆動電圧補助コンデンサ60の電気エネルギを放電しているので、モータ駆動電圧VDMを迅速に定電圧に低下させることができ、モータ駆動に遅延が生じることも防止できる。
【0070】
(4)モータ駆動電圧補助コンデンサ60を設けているので、モータ駆動時に大電流が流れても、モータ駆動電圧が急激に低下することを防止でき、モータ駆動電圧を所定の定電圧に維持でき、モータを確実にかつ安定して駆動することができる。
【0071】
(5)放電手段として、モータ駆動パルスP11〜P14で各電界効果型トランジスタ511〜514の作動を制御することで、第1駆動回路51を利用して放電しているので、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子で放電する場合に比べて、モータ駆動制御回路の構成を簡易にでき、その回路サイズも小さくでき、IC10を小型化できる。
【0072】
(6)電源回路30は、電界効果型トランジスタ31を用いて構成しているので、小さなゲート電流でオン・オフ制御でき、IC10に容易に組み込むことができる。
さらに、電界効果型トランジスタ31がオフされている際に、主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電が行われることを防止する寄生ダイオード32を備えているので、電界効果型トランジスタ31をオフしてモータ駆動電圧VDMを低下させたい際に、充電によってモータ駆動電圧VDMが上昇するようなことも防止でき、定電圧制御を安定して行うことができる。
【0073】
(7)電源制御回路40を、分圧手段41およびコンパレータ42を備えて構成しているので、コンパレータ42の検出電圧の温度特性、IC製造時の量産バラツキを小さくできる。すなわち、コンパレータ42を構成するトランジスタの閾値電圧は、同方向に変化するようにしてあり、かつ、コンパレータ42の基準電圧である仕事関数差=閾値電圧差は変化しない。また、分圧手段41のA点から得られる分圧結果も、分圧手段41を構成する各抵抗は同方向に変化するため、分圧比が変化せず、分圧結果は変化しない。従って、コンパレータ42は検出誤差が小さくなり、精度の高い制御を行うことができる。
【0074】
(8)分圧手段41を電源回路30の負荷としているので、電源回路30の電界効果型トランジスタ31の閾値電圧を低くでき、且つ、サイズ(面積)も小さくすることができる。
また、電界効果型トランジスタ31がオフとなっている時、OFFリーク電流による主電源からモータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電が行われることを防止でき、モータ駆動電圧の定電圧制御を安定して行うことができる。
【0075】
(9)さらに、主電源駆動モードと定電圧駆動モードを選択できるように構成したので、モータ6,7として作動領域の異なるモータを用いた場合に、各モータ6,7に適した電圧を加えることができ、各モータ6,7を効率的に駆動することができる。例えば、第1モータ6として作動領域が比較的広いモータを用い、第2モータ7として作業領域が狭いモータを用い、第1モータ6を駆動する際には主電源駆動モードを選択すれば、高負荷の駆動も可能となり、重厚な時刻表示用指針220を設けて効率的に駆動することもできる。また、第2モータ7を駆動する際には定電圧駆動モードを選択すれば、作動領域が狭いモータ7を効率的に駆動することができる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態の電源制御回路40における分圧手段41を改良し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60のモータ駆動電圧VDMを複数段階に切替可能に構成したものである。なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0077】
本実施形態の分圧手段41Aは、前記分圧手段41と同様に、4つの抵抗411〜414と、電界効果型トランジスタ415とを備えると共に、各抵抗411〜413と、モータ駆動電圧VDMの電源ラインとの間に、スイッチとなる電界効果型トランジスタ416〜418が設けられている。各トランジスタ416〜418は、CPU23のソフト命令による制御ロジック回路24からの切替え信号SA〜SCによって、オン・オフが制御され、これにより分圧手段41Aの分圧比を切替え可能に構成されている。
【0078】
本実施形態では、切替え信号SBによってトランジスタ417をオンすると、A点では、直列接続された抵抗412,413の抵抗値と、抵抗414の抵抗値の比率に基づいてモータ駆動電圧VDMを分圧した電圧が生じ、この電圧がコンパレータ42で基準電圧と比較される。
一方、切替え信号SAによってトランジスタ416をオンすると、各抵抗411,412,413が直列に接続されるため、電圧VDMの電圧降下がより大きくなる。従って、切替え信号SBでトランジスタ417をオンした場合の検出電圧に比べて、切替え信号SAでトランジスタ416をオンした場合のほうが、検出電圧は高くなる。
逆に、切替え信号SCによってトランジスタ418をオンすると、抵抗413のみで電圧降下が生じるため、切替え信号SBでトランジスタ417をオンした場合の検出電圧に比べて、切替え信号SCでトランジスタ418をオンした場合のほうが、検出電圧は低くなる。
これにより、モータ駆動電圧である定電圧を3段階に切替え可能となる。
なお、第2実施形態では、定電圧を3段階に切替えているが、抵抗やスイッチとなるトランジスタの数を適宜設定することなどで、2段階、或いは、4段階以上の定電圧切替えを可能な構成にしてもよい。
【0079】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次のような効果もある。
(2−1)モータ駆動電圧である定電圧を3段階に切り替えることができるため、モータ駆動電圧を、モータ6,7の使用条件などに応じて最適な定電圧に設定することができ、モータ6,7を効率よく駆動することができる。
【0080】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の発電装置付き電子時計1Bは、手巻き発電機構と、発電状態表示機構とを備えている点が前記実施形態と大きく相違する。但し、モータ6,7の駆動を制御する半導体装置10の構成に関しては前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略あるいは簡略する。
【0081】
電子時計1Bは、図8に示すように、時針221、分針222、秒針223からなる時刻表示用指針220を備えており、この時刻表示用指針220は前記第1モータ6によって駆動される。
また、電子時計1Bの文字板224の9時位置には、時刻表示用指針220とは別に設けられる発電表示用指針である表示針(副表示針)231および発電表示用目盛板232が設けられている。発電表示用目盛板232には、所定の目盛321が表示され、表示針231を第2モータ7で駆動して、目盛321を指示することで発電状態を表示可能とされている。
なお、文字板224の3時位置には窓241が形成され、文字板224の裏面に配置された日車によって日付が表示可能とされている。この日車は、図示略の日車用モータで回転駆動される。
【0082】
電子時計1Bは、発電装置2として、回転錘の回転エネルギでロータを回転することで発電する発電装置を内蔵している。
この発電装置のロータは、りゅうず203を回すことでも発電可能とされている。この回転錘による自動巻発電と、りゅうず203による手巻き発電とを実現する具体的な構成は、本出願人が既に出願した特願2006-276156号や、特願2006-276157号の明細書に開示されたものと同じであるため、説明を省略する。
【0083】
そして、前記第2モータ7で駆動される表示針231は、通常は、二次電池3に充電された電気エネルギ量に応じて電子時計1Bの動作持続時間を表示するとともに、りゅうず203を操作した手巻き機構により発電した場合は、その発電量を表示するように制御されている。
ここで、第2モータ7は、特に、手巻きによる発電量を表示する際は、高速で正転及び逆転駆動をさせる必要があり、1秒に1回正転駆動する第1モータ6と比較し、充電による主電源VDDの変動幅に対応してモータ7の作動電圧範囲を広く確保することが非常に困難である。
従って、この時計1Bでは、第1モータ6のみ駆動させる際は、モータ駆動電圧を主電源VDDと同電圧とし、第1モータ6および第2モータ7を駆動させる際は、第2駆動回路52により放電制御を行った後、第1モータ6および第2モータ7の各モータ駆動電圧を定電圧としている。
【0084】
本実施形態のモータ駆動制御処理に関し、図9,10のフローチャートおよび図11のタイミングチャートを用いて説明する。
まず、初期状態では、電源制御回路40は作動されておらず、このため、電源回路30はオン状態とされており、モータ駆動電圧VDMは主電源電圧VDDと一致している(ステップS1)。
【0085】
続いて、CPU23は、第1駆動制御回路25および第1駆動回路51を介して第1モータ6を毎秒運針駆動で制御し、時刻表示用指針220で時刻を表示する。また、CPU23は、第2駆動制御回路26および第2駆動回路52を介して第2モータ7を駆動し、表示針231で現在の動作持続時間を指示する(ステップS2)。
【0086】
なお、持続時間は、例えば、二次電池3の電圧を検出し、その電圧値に基づいて算出してもよいし、発電装置2の発電電流つまり二次電池3への充電電流を積算して求めてもよい。
また、持続時間は、例えば、目盛321の1目盛が1日などに設定されるため、一旦、持続時間の指示を行うと、持続時間が変更されるまではその指示を継続すればよい。すなわち、持続時間の目盛が1日単位の場合には、発電が無くて1日経過したために持続時間も1日減少した場合や、発電が行われて1日分の持続時間が増加した場合に第2モータ7を駆動して、表示針231を1日分、増加あるいは減少すればよい。従って、持続時間表示の変更が必要ない間は、第2モータ7の駆動つまり表示針231の運針は停止されている。
このような持続時間の算出および表示の方法は、本出願人が出願した特願2007-065646号の明細書に記載された方法などを用いればよい。
【0087】
続いて、CPU23は、手巻き発電が行われているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、手巻き発電が行われていた場合には、CPU23は、発電量表示処理を実行する(ステップS4)。
なお、手巻き発電の判定は、例えば、りゅうず203の回転を検出したり、手巻き発電時の発電電流の変化の特徴などに基づいて判定すればよい。
【0088】
発電量表示処理が実行されると、図10に示すように、CPU23は制御ロジック回路24を介して電源制御回路40を作動する(ステップS11)。
そして、CPU23は、制御ロジック回路24から第2駆動制御回路26に対し放電開始信号85を出力させ、第2駆動回路52による放電制御に移行する(ステップS12)。
【0089】
第2駆動制御回路26は、第2駆動回路52に対して、第2駆動回路52を放電回路とするためのモータ駆動パルスP21〜24を出力し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電されていた電荷を放電させる(ステップS13)。具体的には、図11に示すように、モータ駆動パルスP22、P23をHighレベルとし、モータ駆動パルスP21,P24はLowレベルのままに制御する。これにより、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電されていた電気エネルギが第2駆動回路52を通って放電される。
そして、電源制御回路40のコンパレータ42で、モータ駆動電圧VDMが定電圧以下になったかを判定する(ステップS14)。ステップS14でNoと判定された場合には、ステップS13に戻りモータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電を継続する。すなわち、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電処理(S13)は、VDM≦定電圧となるまで継続する。
また、この放電の間、第1モータ6および第2モータ7はそれぞれ駆動が禁止されている。
【0090】
そして、電源制御回路40において、VDM≦定電圧となったことが判定されると(ステップS14)、電源制御回路40は放電終了信号83を制御ロジック回路24に出力し、制御ロジック回路24は第2駆動制御回路26を介して第2駆動回路52の放電制御を停止し、モータ駆動電圧補助コンデンサ60の放電処理を終了する(ステップS15)。
【0091】
次に、CPU23は、電源制御回路40を利用してモータ駆動電圧VDMが定電圧となるように制御する(ステップS16)。すなわち、図11に示すように、モータ駆動電圧VDMがコンパレータ42の検出電圧(定電圧)よりも低下すると、コンパレータ42の出力信号であるオンオフ制御信号82がLowレベルとなり、電界効果型トランジスタ31がオンされて、主電源電圧VDDでモータ駆動電圧補助コンデンサ60が充電され、モータ駆動電圧VDMも上昇する。
一方、モータ駆動電圧VDMが上昇し、定電圧以上になると、オンオフ制御信号82がHighレベルとなり、電界効果型トランジスタ31がオフされて、モータ駆動に伴い、電圧VDMは下降する。
従って、モータ駆動電圧VDMの変化に応じて電界効果型トランジスタ31をオン・オフ制御することで、図11に示すように、モータ駆動電圧VDMは、コンパレータ42の検出電圧つまり定電圧でほぼ一定に維持される。
【0092】
そして、CPU23は、第1モータ6による毎秒運針制御および第2モータ7による発電量表示駆動制御を行う(ステップS17)。
すなわち、CPU23は、第1駆動制御回路25から出力されるモータ駆動パルスP11〜P14を制御して、第1モータ6を1秒ごとに正転し、時刻表示用指針220をステップ運針する。
【0093】
また、CPU23は、第2駆動制御回路26から出力されるモータ駆動パルスP21〜P24を制御して、第2モータ7を正転あるいは逆転の早送り運針を行い、発電量を表示する。
例えば、図11の1段目に示すように、整流回路出力を所定のサンプリングレートでサンプリングし、その各サンプリング時の平均発電電流値を求め、その発電電流値の大きさに応じて表示針231を移動すればよい。なお、この発電量表示の制御方法は、本出願人が出願した特願2007-065646号の明細書に記載された方法などを用いればよい。
【0094】
次に、CPU23は、手巻き発電が継続しているかを確認する(ステップS18)。そして、手巻き発電が継続している場合には、前記ステップS16,S17の処理を繰り返す。
一方、手巻き発電が終了している場合には、図11に示すように、CPU23は、Enable信号81をLowレベルとし、電源制御回路40を停止する(ステップS19)。
そして、この電源制御回路40がDisableとされることで、電界効果型トランジスタ31はオンされ、電圧VDMは主電源電圧VDDと同じ電圧になる(ステップS20)。
以上により、発電量表示処理S4が終了する。
【0095】
図9に示すように、発電量表示処理S4が終了した場合、あるいは、ステップS3で手巻き発電無しと判定された場合には、CPU23は運針制御停止か否かを判定する(ステップS5)。運針制御停止とは、例えば、長期間発電が行われなくなり、二次電池3の電圧がIC10を駆動可能な電圧以下に低下した場合など、運針制御を続行できなくなった状態を意味する。
従って、ステップS5で制御停止状態と判定されると制御を終了する。一方、制御停止ではないと判定されると、ステップS2に戻り、第1モータ6による運針制御および第2モータ7による持続時間表示が行われる。
【0096】
このような本実施形態によれば、前記各実施形態と同様の作用効果を得られるほか、次のような効果もある。
(3−1)手巻き発電時は、図11の1段目に示すように、発電電流値は大きく変化する。このため、発電状態を表示する表示針231を駆動する第2モータ7は、図11のモータ駆動パルスP21〜P24に示すように、正転方向や逆転方向に早送り駆動を行う必要があるが、本実施形態では、第2モータ7が駆動される場合には、モータ駆動電圧VDMを定電圧に制御しているため、第2モータ7を確実にかつ安定して早送り駆動できる。
【0097】
(3−2)さらに、定電圧制御を行うのは、手巻き発電が行われている間だけであり、それ以外は、主電源駆動モードで駆動している。このため、制御用にエネルギが消費され、かつ、放電も行われる定電圧制御を常時継続する場合に比べて、省電力化を図ることができる。
また、手巻き発電時以外では、主電源電圧の変動も小さいため、主電源電圧VDDでモータ6,7を駆動しても確実にかつ安定して駆動することができる。なお、持続時間の指示を変更する場合は、発電状態の表示に比べて早送りで正転や逆転を行う必要がないために、第2モータ7を主電源電圧で駆動しても十分に安定して駆動できる。
【0098】
(3−3)電子時計1は、発電状態(発電電流)に応じて移動する表示針231を備えているので、使用者は、発電装置2における発電状態をリアルタイムに確認することができる。このため、手巻き発電操作時に、発電量が十分であるかを確認でき、使用者は発電状態を確認しながら操作することで、手巻き発電操作を確実に行うことができる。
【0099】
(3−4)時刻表示用指針220とは別の表示針231で発電状態を表示しているので、時刻表示と発電状態の表示とを同時に行うことができる。このため、時刻表示用指針220を発電表示にも兼用する場合に比べて、利便性を向上できる。
さらに、発電状態を表示針231で表示できるので、タコメータのように、発電状態をリアルタイムにかつ視覚的に表示でき、使用者は発電状態を感覚的にかつ容易に把握できる。
【0100】
(3−5)表示針231は、通常時は持続時間を表示し、発電時に発電状態を表示しているので、互いに関連性の強い情報を同一の表示針231で表示でき、時計1Bの使用者も情報を容易に把握できる。その上、表示針231を兼用できるので、指針やモータを増やす必要が無く、電子時計1Bの構成を簡易化できる。
さらに、通常時には持続時間が表示されているので、使用者は、時計1Bが発電せずにどれくらい作動し続けるのかを把握でき、時計が停止する前に発電操作を行うことで、時計1Bが停止してしまうことも防止できる。
【0101】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、放電手段としては、前記実施形態のように、モータの駆動回路51,52を利用したものに限らず、駆動回路51,52に設けられる回転検出用の抵抗を使用して放電してもよい。例えば、図12に示すように、駆動回路51に設けられる回転検出用の抵抗53を利用して放電する場合には、抵抗53に接続された電界効果型トランジスタ54をオンするとともに、電界効果型トランジスタ512をオンし、他のトランジスタ511,513,514をオフし、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギを、前記トランジスタ54、抵抗53、電界効果型トランジスタ512を介して放電すればよい。
【0102】
また、放電手段としては、モータコイルの抵抗を利用して放電してもよい。例えば、図13に示すように、第1モータ6を利用して放電する場合には、電界効果型トランジスタ511,514をオンし、電界効果型トランジスタ512,513をオフすると、モータ駆動電圧補助コンデンサ60に充電された電気エネルギは、前記トランジスタ511、モータコイル抵抗、トランジスタ514を介して流れて放電される。なお、放電制御は、前述のとおり、非常に時間が短く、モータ6を駆動するほどのエネルギを備えていないため、モータコイル抵抗を利用して放電した場合に、モータ6が駆動することはない。
また、モータ6の回転方向の極性と逆方向の極性で放電すれば、モータ6が放電制御により駆動することをより確実に防止できる。例えば、電界効果型トランジスタ512、513をオンした際にモータ6が回転する極性に設定されているのであれば、放電制御は電界効果型トランジスタ511、514をオンすれば、放電制御によりモータ6が駆動することはなく、確実に放電のみを行うことができる。
【0103】
さらに、放電手段としては、駆動回路51,52を利用せずに、抵抗素子、定電流素子などの専用の放電素子を設けて放電するものでもよい。専用の放電素子を用いれば、放電量の調整を容易に行うことができる利点がある。
【0104】
また、前記実施形態では、各モータ6,7の駆動電圧を同じ定電圧に調整していたが、各モータ6,7の定電圧をそれぞれ別々に設定してもよい。すなわち、複数のモータが設けられている場合、モータの用途や特性によっては、モータ毎に定電圧を異ならせる必要がある。この場合には、モータの駆動回路51,52毎に、電源回路30、電源制御回路40、モータ駆動電圧補助コンデンサ60を設け、モータ毎に定電圧を制御可能に構成すればよい。
【0105】
前記実施形態では、主電源駆動モードと定電圧駆動モードとを切り替えて制御可能にしていたが、制御対象のモータ6,7の種類や駆動速度などによっては、常時、定電圧駆動モードで駆動するようにしてもよい。
【0106】
前記実施形態では、2つのモータ6,7を設けていたが、本発明は、モータが1つの場合、あるいは3つ以上の場合でも適用することができる。
【0107】
発電装置2としては、前記実施形態のような手巻き発電装置および自動巻き発電装置を備えるものに限らず、回転錘のみで発電する手巻き発電機構を備えない自動巻き発電装置、光エネルギにより発電するソーラー発電装置、熱エネルギにより発電する熱発電装置、圧電効果を利用した圧電型発電装置、浮遊電波等の外部の誘導により発電する発電装置等の各種の発電装置が利用できる。また、電子時計1,1Bには、前記各種の発電装置を1種類組み込んでもよいし、前記実施形態のように、複数種類の発電装置を組み合わせてもよい。
また、本発明は、発電装置を備えるものに限らず、例えば、外部発電装置で発生する電気エネルギを内部の蓄電装置に蓄え、その電力で駆動する蓄電装置付き電子時計にも利用できる。つまり電子時計自体には発電装置を備えておらず、外部から充電される二次電池3等の蓄電装置を備えた電子時計にも本発明は適用できる。
【0108】
また、本発明の電子時計1は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子泳動ディスプレイ等の各種の表示パネルを有する時計でもよい。
さらに、本発明は、腕時計に限らず、モータを備えていれば、懐中時計、置時計、掛け時計などの他の時計にも適用できるし、時計以外の各種の電子機器にも適用できる。
さらに、本発明は、半導体装置(半導体素子、IC)10をパッケージ化して外販し、各電子機器の製造メーカにおいて、本発明の半導体装置10を組み込んで使用してもよい。
要するに、本発明は、発電装置や外部から充電される二次電池3等を備えて電源電圧が変動する主電源を有し、かつ、モータを定電圧で駆動する必要がある場合に広く利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1,1B…発電機能付き電子時計、2…発電装置、3…二次電池、4…主電源補助コンデンサ、6…第1モータ、7…第2モータ、10…半導体装置(IC)、11…整流回路、12…充電制御回路、20…定電圧駆動部、23…CPU、24…制御ロジック回路、25…第1駆動制御回路、26…第2駆動制御回路、30…電源回路、31…電界効果型トランジスタ、32…寄生ダイオード、40…電源制御回路、41,41A…分圧手段、42…コンパレータ、51…第1駆動回路、52…第2駆動回路、53…抵抗、54…電界効果型トランジスタ、60…モータ駆動電圧補助コンデンサ、203…りゅうず、220…時刻表示用指針、231…表示針。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源によって作動され、かつ、モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路であって、
前記モータを駆動する駆動回路と、
前記主電源および駆動回路間に設けられて、主電源から供給される電気エネルギを用いて駆動回路へ駆動電圧を供給する電源回路と、
前記電源回路の作動を制御する電源制御回路とを備え、
前記電源回路は、ドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接或いは間接的に接続され、ドレイン端子またはソース端子の他方が駆動回路の電源ラインに接続された電界効果型トランジスタを備え、
前記電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、
前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、電界効果型トランジスタのゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオフにすることで、主電源から駆動回路への電気エネルギの供給を停止し、
前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記ゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオンにすることで、主電源から駆動回路に電気エネルギを供給することを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電源回路から供給される電気エネルギを蓄積する蓄電手段に蓄積された電気エネルギを放電可能な放電手段を備え、
前記電源制御回路は、前記蓄電手段の電圧が前記所定の定電圧以上の場合に、前記放電手段を作動して蓄電手段の電圧を前記所定の定電圧まで低下させることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ駆動制御回路において、
前記放電手段は、モータの駆動回路を利用して前記蓄電手段の電気エネルギを放電することを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタは寄生ダイオードを備え、
この寄生ダイオードは、アノードが駆動回路の電源ラインに接続され、かつ、カソードが主電源に接続されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流は、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように設定されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項6】
請求項5に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなる条件を満足する範囲で、電界効果型トランジスタの閾値電圧が低く設定されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項7】
請求項5に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電源制御回路は、所定の基準電圧と電源回路の出力とを比較するコンパレータを備え、
前記コンパレータは、電源回路の出力と基準電圧とを常時比較し、その比較結果に基づき、電源回路の作動または停止の制御を行うことを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項9】
請求項8に記載のモータ駆動制御回路において、
前記コンパレータは、電源回路の出力を、一段階または複数段階に分圧する分圧手段を備えていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項10】
請求項9に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続され、
前記負荷は、前記コンパレータの分圧手段であることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、中央演算処理装置を備えたマイクロコンピュータであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路と、
このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項14】
発電装置と、
発電装置で発電された電力が充電される二次電源を有する主電源と、
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路と、
このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、
を備えることを特徴とする発電装置付き電子時計。
【請求項15】
請求項14に記載の発電装置付き電子時計において、
前記モータ駆動制御回路は、前記発電装置で発電された電気エネルギが前記二次電源に充電されているのと並行して、モータの駆動電圧を所定の定電圧に制御することを特徴とする発電装置付き電子時計。
【請求項1】
主電源によって作動され、かつ、モータの駆動を制御するモータ駆動制御回路であって、
前記モータを駆動する駆動回路と、
前記主電源および駆動回路間に設けられて、主電源から供給される電気エネルギを用いて駆動回路へ駆動電圧を供給する電源回路と、
前記電源回路の作動を制御する電源制御回路とを備え、
前記電源回路は、ドレイン端子またはソース端子の一方が、主電源に直接或いは間接的に接続され、ドレイン端子またはソース端子の他方が駆動回路の電源ラインに接続された電界効果型トランジスタを備え、
前記電源制御回路は、前記駆動電圧を監視し、
前記駆動電圧が所定の定電圧以上の場合は、電界効果型トランジスタのゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオフにすることで、主電源から駆動回路への電気エネルギの供給を停止し、
前記駆動電圧が所定の定電圧未満の場合は、前記ゲート端子へ入力する信号を制御して電界効果型トランジスタをオンにすることで、主電源から駆動回路に電気エネルギを供給することを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電源回路から供給される電気エネルギを蓄積する蓄電手段に蓄積された電気エネルギを放電可能な放電手段を備え、
前記電源制御回路は、前記蓄電手段の電圧が前記所定の定電圧以上の場合に、前記放電手段を作動して蓄電手段の電圧を前記所定の定電圧まで低下させることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ駆動制御回路において、
前記放電手段は、モータの駆動回路を利用して前記蓄電手段の電気エネルギを放電することを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタは寄生ダイオードを備え、
この寄生ダイオードは、アノードが駆動回路の電源ラインに接続され、かつ、カソードが主電源に接続されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流は、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように設定されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項6】
請求項5に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなる条件を満足する範囲で、電界効果型トランジスタの閾値電圧が低く設定されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項7】
請求項5に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続されていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ駆動制御回路において、
前記電源制御回路は、所定の基準電圧と電源回路の出力とを比較するコンパレータを備え、
前記コンパレータは、電源回路の出力と基準電圧とを常時比較し、その比較結果に基づき、電源回路の作動または停止の制御を行うことを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項9】
請求項8に記載のモータ駆動制御回路において、
前記コンパレータは、電源回路の出力を、一段階または複数段階に分圧する分圧手段を備えていることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項10】
請求項9に記載のモータ駆動制御回路において、
前記電界効果型トランジスタのOFFリーク電流が、モータが駆動していない時の電源回路の負荷電流よりも小さくなるように、電源回路の出力ラインにはモータとは別の負荷が接続され、
前記負荷は、前記コンパレータの分圧手段であることを特徴とするモータ駆動制御回路。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、中央演算処理装置を備えたマイクロコンピュータであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路と、
このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項14】
発電装置と、
発電装置で発電された電力が充電される二次電源を有する主電源と、
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動制御回路と、
このモータ駆動制御回路で駆動制御されるモータと、
を備えることを特徴とする発電装置付き電子時計。
【請求項15】
請求項14に記載の発電装置付き電子時計において、
前記モータ駆動制御回路は、前記発電装置で発電された電気エネルギが前記二次電源に充電されているのと並行して、モータの駆動電圧を所定の定電圧に制御することを特徴とする発電装置付き電子時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−145594(P2012−145594A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95953(P2012−95953)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2007−102862(P2007−102862)の分割
【原出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2007−102862(P2007−102862)の分割
【原出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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