説明

モード自動切替無線通信システム

【課題】ユーザの手を煩わせることなく、リーダの通信モードをアクティブモードからパッシブモードに切替える事ができるICタグ通信システムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係るICタグ通信システムは、センサーを備え、アクティブモードで質問信号を送信し、タグとアクティブモードで通信しているリーダは、自器に近接する所定の範囲に人が入ったことを前記センサーが検知したら、アクティブモードに代えてパッシブモードで質問信号を送信し、タグとパッシブモードで通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブモードとパッシブモードの何れもで通信が可能なICタグシステムに関し、特にアクティブモードとパッシブモードの切替えの利便性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグシステムは、データを含むICおよびアンテナからなるタグと、タグのデータを読み書きするリーダとで構成され、タグとリーダ間での通信モードとしてアクティブモードとパッシブモードとがある。
これらの通信モードでは、タグとリーダの通信距離が異なり、通常、アクティブモードでは数メートル、パッシブモードでは数センチである。すなわち、アクティブモードでは、リーダから数メートルの距離内を通過するだけで通信ができるが、パッシブモードでは、リーダにタグをかざす必要がある。
【0003】
従って、例えば、入退室を厳重に管理したいような認証システムでは、パッシブモードを用い、単に通行を管理したいような認証システムでは、アクティブモードを用いるなどと使い分けている。
ここで、リーダには、アクティブモード又はパッシブモードのどちらかに対応しているものと、これら2つのモードに対応しているものがある。2つの通信モードに対応しているリーダでは、リーダの前面に設置されているボタンを押下することで、アクティブモードからパッシブモードに切替えることができるようになっている。
【0004】
このような双方の通信モードに対応しているリーダでは、通常はアクティブモードで動作しており、モードを切替えるのは、例えば、タグに内蔵されている電池で動作するアクティブモードにおいて電池切れになった場合や、リーダからの電波で発電して通信するパッシブモードのみに対応しているタグで認証したい場合などである。通常、アクティブモードで動作するタグは電池切れの場合にも認証できるように、パッシブモードでの通信機能を備えている。
【0005】
しかし、ユーザにとっては、自分のタグと通信可能にするために、リーダのボタンを押下する等の一手間が必要となるという煩わしさがある。
ここで、パッシブモードで通信している場合に、ユーザの手間なく、アクティブモードで通信するよう自動で切替える技術がある(特許文献1参照)。具体的には、タグがセキュリティーゲートを通過する際に、リーダに該当するゲートはパッシブモードで通信を行ってタグの認証を行うとともに、タグに対してトリガー信号を送信する。タグはゲートからのトリガー信号を受け、パッシブモードをアクティブモードに変更する。
【0006】
確かに、この技術を用いれば、ユーザの手を煩わせることなく通信モードを切替える事ができる。
【特許文献1】特開2007−199967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この技術は、タグの通信方式をパッシブモードからアクティブモードに切替えるものであり、リーダの通信方式をアクティブモードからパッシブモードに切替える場合に適用することはできない。
すなわち、リーダの通信モードをアクティブモードからパッシブモードに切替える場合は、アクティブモードの通信範囲で通信ができないからパッシブモードに切替えるのであるから、通信モードを切替える前にリーダとタグは通信を行っておらずリーダはトリガー信号を受信することはできないからである。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザの手を煩わせることなく、リーダの通信モードをアクティブモードからパッシブモードに切替える事ができる通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明の無線通信システムは、質問器と応答器とから成り、質問器は応答器と無線通信を行う無線通信システムであって、前記無線通信システムは、センサーを備え、前記質問器は、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信する質問送信手段と、質問信号の到達範囲内であって、自器に近接する所定の範囲に検知対象が進入したことを前記センサーを用いて検知する検知手段とを備え、前記質問送信手段は、前記検知手段が検知対象の進入を検知した場合は、第1通信モードで通信することを示す情報の代わりに第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信し、前記応答器は、質問信号を受信する質問受信手段と、受信した質問信号に対して応答信号を送信する応答送信手段とを備え、前記応答送信手段は、受信した質問信号が第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号である場合は、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対するよりも、送信可能範囲が狭い応答信号を送信することを特徴とする。
【0010】
また、前記応答送信手段は、低周波信号を送信する低周波送信手段と、高周波信号を送信する高周波送信手段を有し、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を送信するときは、前記低周波送信手段で送信し、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を送信するときは、前記高周波送信手段で送信することとしてもよい。
【0011】
また、前記応答器は、更に、電池と前記質問信号を受信することにより電力を生ずる発電手段とを備え、前記応答送信手段は、受信した質問信号に第1通信モードで通信することを示す情報が含まれている場合は、前記電池を電源として応答信号を送信し、第2通信モードで通信することを示す情報が含まれている場合は、前記発電手段により生じた電力により応答信号を送信することとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る無線通信システムは、上述の構成を備えることにより、質問器の近くの所定範囲に検知対象が進入したことを検知することができるので、この検知を契機として、質問器は応答器との通信モードを切替える事ができ、応答器と通信ができるようになる。ユーザは、質問器に近づくだけで自動的にモードが切り替わることになる。
この際、通信モードの切替えは、応答器が送信する応答信号の送信可能範囲が広い第1通信モードから、狭い第2通信モードへと切替える。
【0013】
すなわち、質問器に近づいて来るという事は、第1通信モードでは応答できなかったため、第2通信モードで応答したいのであろうという推定の下、ユーザからの指示を待たずに第2通信モードに切替え、通信モードを切替える際の利便性を向上させている。
また、前記質問送信手段は、前記第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を所定時間繰り返し送信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信することとしてもよい。
【0014】
また、前記質問送信手段は、前記第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を所定回数送信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信することとしてもよい。
これにより、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を、所定時間又は所定回数送信したら、自動的に、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を送信することができるので、所定範囲に検知対象が進入したままであっても、第2通信モードから第1通信モードに戻すことができるようになる。
【0015】
すなわち、何らかの理由で、ユーザが質問器の近くに長時間いる場合や、質問器の近くに置かれた物を検知した場合に、第2通信モードのままであるとすると、第1通信モードで応答したいユーザは応答する事ができないこととなってしまう。自動的に、所定時間経過した場合などに第1通信モードに戻すことで、このような不都合を避ける事が可能となる。
【0016】
また、前記質問器は、更に、前記応答器の前記応答送信手段で送信された応答信号を受信する応答受信手段を備え、前記質問送信手段は、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を前記応答受信手段が受信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信することとしてもよい。
【0017】
これにより、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を受信したら、自動的に、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を送信する事ができるので、第2通信モードでしか通信できない応答器が認証を完了して所定範囲の外へ出るとすぐに、第1通信モードで応答したいユーザが応答できるようになる。
【0018】
本発明の無線通信システムの質問器は、センサーと、第1通信モード及び第2通信モードで無線通信を行う質問器とからなる無線通信システムで使用される質問器であって、第1通信モードで通信することを示す情報を含む第1通信モードの質問信号を繰り返し送信する質問送信手段と、質問信号の到達範囲内であって、自器に近接する所定の範囲に検知対象が進入したことを、前記センサーを用いて検知する検知手段とを備え、前記質問送信手段は、前記検知手段が検知対象の進入を検知した場合は、第1通信モードで通信することを示す情報の代わりに第2通信モードで通信することを示す情報を含む第2通信モードの質問信号を送信することを特徴とする。
【0019】
質問器は、上述の構成を備えることにより、質問器の近くの所定範囲に検知対象が進入したことを検知することができるので、質問器は、ユーザの手を煩わせることなく、応答器との通信モードを切替える事ができるようになる。
また、前記センサーは、照度を検出する光検知センサーであって、前記検知手段は、前記光検知センサーが検出している照度が閾値を越える値から閾値以下になったときに、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知することとしてもよい。
【0020】
また、前記センサーは、電波を投射し、その反射波により自器から検知対象までの距離を検出する距離検知センサーであって、前記検知手段は、前記距離検知センサーが検出した距離に基づいて前記検知対象が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知することとしてもよい。
また、前記センサーは、熱を検知する熱感知センサーであって、前記検知手段は、前記熱感知センサーが検知した熱に基づいて熱源が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知することとしてもよい。
【0021】
また、前記センサーは、一定の圧力を検知する圧力検知センサーであって、前記検知手段は、前記圧力検知センサーが検知した圧力に基づいて前記圧力を検知した位置が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知することとしてもよい。
質問器の設置されている環境に応じて、最適なセンサーを用いる事で、検知対象が質問器の近くの所定範囲に進入したことを検知できる可能性を高める事が出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<実施形態>
<概要>
本発明は、パッシブモードでの通信範囲がアクティブモードの通信範囲に比べて、格段に小さいことから、パッシブモードで通信したいユーザは、タグをリーダにかざす事ができるところまで近づいてくることに着目したものである。
【0023】
図1に、アクティブモードとパッシブモードの使用態様を示す。図1(a)は、アクティブモードでの使用態様を示し、壁に設置されたリーダ1000の前を、タグを身に着けた人が通過することで、認証を行っていることを示している。一方、図1(b)は、パッシブモードでの使用態様を示し、ドアの横の壁に設置されたリーダ1000に、タグをかざすことで認証を行っていることを示している。
【0024】
本発明のリーダは、所定の範囲に物体が入ってきたことを検知したら、パッシブモードで通信するタグがかざされるであろうと予測して、パッシブモードで通信を開始する。従って、モードを切替えるためにボタンを押下する等のユーザの手間を省くことが可能となっている。
ここで、アクティブモードとパッシブモードを簡単に説明する。
【0025】
アクティブモードとは、タグとリーダのそれぞれが、データを送信するために電波を生成して通信するモードであり、パッシブモードとは、リーダのみが電波を生成して、タグは負荷変調を使用して電波を発生させるモードである。
アクティブモードで通信する場合、タグは、内蔵する電池を電源として信号を送信し、パッシブタグモードで通信する場合、タグは、リーダからの電波を受けて生成した電力を用いて信号を送信する。
【0026】
従って、タグが、パッシブモードで送信する信号の通信距離は、アクティブモードで送信する信号の通信距離よりも短いことになり、パッシブモードの通信範囲は狭いものとなっている。
また、アクティブモードにおいてタグは内蔵する電池を電源として動作するため、電池が切れた場合に通信ができなくなる。従って、通常は、電池切れで通信ができなくなることを防ぐために、パッシブモードでの通信も可能としている。
【0027】
以下、アクティブモード及びパッシブモードで通信可能な無線通信システムを説明する。本実施形態では、リーダを質問器、タグを応答器というものとする。
また、本システムは、ドア付近に設置されている質問器が、ユーザが所持する応答器の認証を行い、認証ができればドアを開け、ユーザは通過できるものとする。
<構成>
本システムを構成する、質問器1000及び応答器2000について説明する。
【0028】
図2及び図3は、本発明にかかる質問器1000と応答器2000の機能ブロック図である。
本実施形態に係る質問器は、アクティブモードとパッシブモードの2つの通信モードで通信する機能を備えており、図2はアクティブモードでの通信方法を示す図であり、図3はパッシブモードでの通信方法を示す図である。
【0029】
図2と図3では、質問器1000と応答器2000とはそれぞれ同じ物であり、それぞれのモードでの質問信号と応答信号の送受信方法を示している点のみが異なる。
本システムは、通常、複数の質問器と複数の応答器とで構成される場合が多いが、それぞれ同様の構成を有することから、ここでは、質問器1000と応答器2000との構成を説明する。
【0030】
尚、質問器1000は、壁などに設置され外部電源で動作し、応答器2000は内蔵する電池と、LF帯(長波帯)の信号を受信する受信部の起電力とを電源として動作する。
まず、質問器1000は、制御部1100、光センサー1200、検知部1300、パッシブモード質問信号送信部1400、アクティブモード質問信号送信部1500、パッシブモード応答信号受信部1600、アクティブモード応答信号受信部1700、LF信号送受信部1800、LFアンテナ1810、RF信号受信部1900及びRFアンテナ1910で構成される。
【0031】
制御部1100は、図示しないCPU、メモリ等を備え、応答器2000の認証に必要な一般的な制御処理を行う他、以下に説明する本発明に特有の処理、例えば、光センサー1200を用いてユーザが近づいたことを検知し、異なる通信モードの質問信号を送信する等の処理を行う。
光センサー1200は、可視光を検知するセンサーである。本実施形態では、フォトダイオードを用いたセンサーであるものとし、当たった光量に比例した電流量を発生する。
【0032】
この光センサー1200は、質問器1000に内蔵されており、質問器1000の筐体には、内蔵する光センサー1200が外光を受ける事ができるように開口部が設けられているものとする。この開口部は、人が近づいてきたら開口部から入る光が少なくなるような位置に設ける。この位置は、質問器1000が設置される環境、例えば、周りの電灯や窓の位置などを勘案して決める必要がある。
【0033】
検知部1300は、検知対象である人が、近づいてきたことを検知する機能を有する。近づいてきたとは、質問器1000近傍の所定範囲に入ってきたことをいい、所定範囲とは、人であるユーザが所持する応答器2000をかざすであろうと推定できる範囲であるのが望ましい。本実施形態では、質問器1000を中心に半径約30〜50センチメートルの範囲とする。
【0034】
本検知部1300は、光センサー1200が発生させる電流量が閾値以下になると、すなわち、暗くなると、人が近くに寄ってきて光が遮られたと判断する。この閾値は、質問器1000が設置される場所の電灯の位置や、質問器1000の向き、所定範囲などを勘案して決定されているものとする。
次に、パッシブモード質問信号送信部1400は、パッシブモードの質問信号を、アクティブモード質問信号送信部1500は、アクティブモードの質問信号をそれぞれ生成し、LF信号送受信部1800に送信を依頼する機能を有する。
【0035】
また、パッシブモード応答信号受信部1600は、LF信号送受信部1800を介してパッシブモードの応答信号を、アクティブモード応答信号受信部1700はRF信号受信部1900を介してアクティブモードの応答信号をそれぞれ受信する。
これらの質問信号と応答信号の構成については、<データ>の項で図4を用いて説明する。
【0036】
LF信号送受信部1800は、パッシブモード質問信号送信部1400又はアクティブモード質問信号送信部1500から渡された質問信号を、誘電磁界の信号成分に重畳し、増幅して、LFアンテナ1810から送信する機能を有する。
また、LF信号送受信部1800は、LFアンテナ1810を介して応答信号を受信し、受信した応答信号をパッシブモード応答信号受信部1600に渡す機能を有する。
【0037】
RF信号受信部1900は、RFアンテナ1910を介して応答信号を受信し、受信した応答信号をアクティブモード応答信号受信部1700に渡す機能を有する。
次に、応答器2000は、制御部2100、質問信号受信部2200、パッシブモード応答信号送信部2300、アクティブモード応答信号送信部2400、モード判定部2500、電池2600、LF信号送受信部2800、LFアンテナ2810、RF信号送信部2900及びRFアンテナ2910で構成される。
【0038】
制御部2100は、図示しないCPU、メモリ等を備え、他の機能部に指示を出して、質問信号を受信したら応答信号を返す等の処理の制御を行う。
質問信号受信部2200は、LF信号送受信部2800から受信した質問信号を受信し、受信信号を解析して必要な情報を制御部2100とモード判定部2500とに渡す機能を有する。
【0039】
モード判定部2500は、質問信号受信部2200から受け取った情報から、アクティブモードとパッシブモードのどちらの通信モードで応答信号を返すかを判定し、結果を制御部2100に渡す機能を有する。
次に、パッシブモード応答信号送信部2300は、LF信号送受信部2800を介してパッシブモードの応答信号を、アクティブモード応答信号送信部2400はRF信号送信部2900を介してアクティブモードの応答信号をそれぞれ送送信する。
【0040】
LF信号送受信部2800は、LFアンテナ2810を介して質問信号を受信し、受信した質問信号受信部2200に渡す機能を有する。また、LF信号送受信部2800は、質問信号を受信すると発電し、この電力で制御部2100等を起動させる。
更に、LF信号送受信部2800は、パッシブモード応答信号送信部2300から渡されたパッシブモードの応答信号を、LFアンテナ2810を介して送信する機能を有する。
【0041】
RF信号送信部2900は、アクティブモード応答信号送信部2400から渡されたアクティブモードの応答信号を、RFアンテナ2910を介して送信する機能を有する。このRF信号送信部2900は、電池2600を電源として応答信号を送信する。
図2で示すように、アクティブモードでは、質問信号はLF信号送受信部1800によりLF帯で送信され、応答信号はRF信号送信部2900によりRF帯で送信される。
【0042】
一方、図3で示すように、パッシブモードでは、質問信号はアクティブモードと同様にLF信号送受信部1800によりLF帯で送信され、応答信号はLF信号送受信部2800によりLF帯で送信される。
ここで、質問器1000の制御部1100等の各部による各処理の全部または一部は、CPU(図示していない。)が各種プログラムを実行することにより実現されるものであり、応答器2000の制御部2100の各部による各処理の全部または一部も、CPU(図示していない。)が各種プログラムを実行することにより実現される。
【0043】
<データ>
以下、本実施形態の無線通信システムが用いる主なデータについて、図4を用いて説明する。
図4は、質問信号と応答信号のデータ構成及び内容例を示す図である。図4(a)は、質問器1000が送信する質問信号10のデータ構成及び内容例であり、図4(b)は、応答器2000が送信する応答信号20のデータ構成及び内容例である。
【0044】
まず、図4(a)の質問信号10は、PR(PReamble)11、UW(Unique Word)12、通信モード13、質問器ID14及びCRC15で構成される。
PR11は、質問信号10のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW12は、いわゆるフレーム同期信号である。また、CRC15は、質問信号10を受信した応答器2000が、受信した質問信号10に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
【0045】
通信モード13は、アクティブモードとパッシブモードのうち、どちらのモードで通信を行うかを示す情報である。本実施形態では、「1」の場合は、アクティブモードで通信する旨を示し、「2」の場合は、パッシブモードで通信する旨を示すものとする。以下、通信モード13が「1」の質問信号をアクティブモードの質問信号といい、「2」の質問信号をパッシブモードの質問信号という。
【0046】
また、質問器ID14は、質問信号10を送信した質問器1000の識別子であり、質問器が内部の作業メモリに予め記憶しているものとする。
次に、図4(b)の応答信号20は、PR21、UW22、質問器ID23、応答器ID24及びCRC25で構成される。
PR21は、応答信号20のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW22は、いわゆるフレーム同期信号である。また、CRC25は、応答信号20を受信した質問器1000が、受信した応答信号20に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
【0047】
質問器ID23は、質問器1000の識別子を表し、この応答信号20がどの質問器1000からの質問信号10に応じたものかを示すものである。すなわち、この応答信号20は、質問器ID23で示される質問器から送信された質問信号に対して送信された応答信号であることになる。
応答器ID24は、応答信号20を送信した応答器2000の識別子であり、応答器が内部の作業メモリに予め記憶しているものとする。
【0048】
応答信号20は、アクティブモードの場合とパッシブモードの場合とは、データ構成と内容は同じであり、送信する周波数帯と通信距離とが異なる。
<通信モード切替のタイミング>
ここで、アクティブモードからパッシブモードへの通信モードの切替えのタイミングについて説明する。
【0049】
図5と図6とを用いて、質問信号と応答信号の送受信のタイミングと送信距離について説明するとともに、質問器が通信モードを切替えるタイミングについて説明する。
図5は、質問信号と応答信号の送信距離を示す概略図である。
質問器1000からの質問信号の送信距離を点線で示す。アクティブモードの質問信号とパッシブモードの質問信号は、同じ送信距離である。同じLF信号送受信部1800で送信するからである(図2等参照)。
【0050】
応答器2001からの、アクティブモードの応答信号の送信距離を一点鎖線で示す。また、応答器2002からの、パッシブモードの応答信号の送信距離を密点線で示す。
また、質問器1000の近傍の実線で示された範囲は、質問器1000の検知部1300が、人が入ってきたことを検知する範囲を示している。本実施形態では、この範囲に人が入ってきたことを検知したら、質問器1000は、アクティブモードの質問信号の送信をやめて、パッシブモードの質問信号の送信を開始する。
【0051】
本図で示すように、密点線で示されるパッシブモードの応答信号の送信距離は、一点鎖線で示されるアクティブモードの応答信号の送信距離に比べ短い。例えば、パッシブモードの応答信号の送信距離は、数センチメートル、アクティブモードの応答信号の送信距離は数メートルである。
次に、図6は、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートである。
【0052】
1段目は、質問器1000の検知部1300が、人が所定範囲に入ってきたことを検知したタイミング100を表す。
2段目は、質問器1000が送信する質問信号を矩形で表している。実線白抜きの矩形で「アクティブ質問」と記載しているのが、アクティブモードの質問信号を表し、実線斜線の矩形で「パッシブ質問」と記載しているのが、パッシブモードの質問信号を表す。質問信号は、一定の周期で送信しており、例えば、100msの質問信号を300ms毎に繰り返し送信している。質問信号を送信した後の200msの間に、応答信号を受信する。尚、本図の質問信号等の長さと送信周期は、説明の便宜上、正確には記載されていない。
【0053】
3段目と4段目は、それぞれ応答器Aと応答器Bが送信する応答信号を矩形で表している。実線白抜きの矩形で「アクティブ応答」と記載しているのが、アクティブモードの応答信号を表し、実線斜線の矩形で「パッシブ応答」と記載しているのが、パッシブモードの応答信号を表す。また、点線矩形で「開錠」と記載しているのは、質問器が応答器を認証して、扉を開けたことを示している。
【0054】
まず、質問器が、アクティブモードの質問信号100を送信し(矢印101参照)、質問信号100を受信した応答器Aは、アクティブモードの応答信号102を送信する(矢印103参照)。
質問器は、応答器Aの応答信号を受信し、認証後開錠104する。応答器Aを所持している人は、入室する事ができる。
【0055】
次に、質問器Bは、アクティブモードの質問信号200を受信し(矢印201参照)、アクティブモードで応答信号202を送信しようとするが、電池が切れていて実際には、応答信号202を送信する事ができない(矢印203参照)。この場合、質問器は、応答信号を受信しないので、開錠することはない。
応答器Bを所持している人は、応答器Bを質問器にかざして認証させるため、質問器に近づく。
【0056】
検知器は、所定範囲に人が入ってきたことを検知し、検知したことを知った質問器は、アクティブモードの質問信号の送信をやめて、パッシブモードの質問信号300を送信する(矢印301参照)。
質問器に近づいた応答器Bの所持者が、応答器Bを質問器にかざしてパッシブモードの応答信号302を送信し(矢印303参照)、応答信号302を受信した質問器は、認証後開錠304する。
【0057】
質問器は、パッシブモードの質問信号を白抜き矢印で示した所定時間、例えば、5秒間送信すると、再び、アクティブモードの質問信号400の送信を開始する。
<動作>
以下、上述した無線通信システムの、質問器1000と応答器2000の通信モードの切替え時の動作について説明する。
【0058】
図7は、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートである。本図では、点線は質問信号の送信を、一点鎖線は応答信号の送信を表すものとする。
まず、質問器1000の処理について説明する。
質問器1000の制御部1100は、起動の指示、例えば、図示しない操作スイッチの押下等を検知すると、最初は、検知部1300から人を検知した旨の通知はないので(ステップS130:NO)、アクティブモード質問信号送信部1500に、質問信号を送信するよう依頼する。
【0059】
依頼を受けたアクティブモード質問信号送信部1500は、通信モード13に「1」を設定し、質問器ID14に自器のIDを設定したアクティブモードの質問信号10を生成し、生成した質問信号10(図4(a)参照)をLF信号送受信部1800に渡して送信を依頼する。アクティブモード質問信号送信部1500は、生成した質問信号10を内部の作業メモリに記憶し、次回の依頼からは記憶している質問信号10をLF信号送受信部1800に渡すものとする。
【0060】
依頼を受けたLF信号送受信部1800は、受け取った質問信号10をLFアンテナ1810を介して送信する(ステップS100)。
アクティブモード質問信号送信部1500に、質問信号10を送信するよう依頼した制御部1100は、依頼してから所定周期、例えば、300msの間にアクティブモード応答信号受信部1700から応答信号20(図4(b)参照)を受け取らなかった場合は(ステップS110:NO)、アクティブモード質問信号送信部1500に、質問信号を送信するよう依頼する(ステップS100)。
【0061】
質問信号を送信するようアクティブモード質問信号送信部1500に依頼した制御部1100は、依頼してから所定周期の間にアクティブモード応答信号受信部1700から応答信号を受け取った場合は(ステップS110:YES)、応答器2000の認証処理を行う(ステップS120)。具体的には、例えば、受信した応答信号20の応答器ID24が、自器が記憶する応答器IDの一覧に載っている場合は、認証できたこととして開錠するなどである。
【0062】
尚、アクティブモード応答信号受信部1700は、RFアンテナ1910を介して応答信号20を受信したRF信号受信部1900から、受信した応答信号20を渡され、渡された応答信号20を制御部1100に渡す。
制御部1100は、所定周期でアクティブモード質問信号送信部1500に質問信号の送信を依頼し、繰り返し通信処理(ステップS130〜ステップS120)を行い、検知部1300から人を検知した旨の通知があった場合は(ステップS130:YES)、所定時間の計測を開始する。具体的には、タイマーをリセットする(ステップS140)。この所定時間は、パッシブモードでの通信を行う時間、例えば、1分である。検知部1300から人を検知した旨の通知がない場合は(ステップS130:NO)、所定周期で、アクティブモード質問信号送信部1500に、質問信号を送信するよう依頼する(ステップS100)。
【0063】
タイマーをリセットして所定時間の計測を開始した制御部1100は、まだ所定時間は経過していないので(ステップS150:NO)、パッシブモード質問信号送信部1400に、質問信号10を送信するよう依頼する。
依頼を受けたパッシブモード質問信号送信部1400は、通信モード13に「2」を設定し、質問器ID14に自器のIDを設定したパッシブモードの質問信号10を生成し、生成した質問信号10(図4(b)参照)をLF信号送受信部1800に渡して送信を依頼する。パッシブモード質問信号送信部1400は、生成した質問信号10を内部の作業メモリに記憶し、次回の依頼からは記憶している質問信号10をLF信号送受信部1800に渡すものとする。
【0064】
依頼を受けたLF信号送受信部1800は、受け取った質問信号10をLFアンテナ1810を介して送信する(ステップS160)。
質問信号を送信するようパッシブモード質問信号送信部1400に依頼した制御部1100は、依頼してから所定周期の間にパッシブモード応答信号受信部1600から応答信号を受け取った場合は(ステップS170:YES)、応答器2000の認証処理を行う(ステップS180)。この認証処理は、アクティブモードの応答信号を受信した場合(ステップS120参照)と同様である。
【0065】
尚、パッシブモード応答信号受信部1600は、LFアンテナ1810を介して応答信号20を受信したLF信号送受信部1800から、受信した応答信号20を渡され、渡された応答信号20を制御部1100に渡す。
制御部1100は、所定周期でパッシブモード質問信号送信部1400に質問信号の送信を依頼し、繰り返し通信処理(ステップS160〜ステップS180)を行い、所定時間が経過したら(ステップS150:YES)、検知部1300から人を検知した旨の通知がない場合は(ステップS130:NO)アクティブモード質問信号送信部1500に、質問信号を送信するよう依頼し(ステップS100)、検知部1300から人を検知した旨の通知があった場合は(ステップS130:YES)、所定時間の計測を開始し(ステップS140)、パッシブモード質問信号送信部1400に、質問信号10を送信するよう依頼する。
【0066】
次に、応答器2000の処理について説明する。
応答器2000のLF信号送受信部2800は、LFアンテナ2810を介して質問器1000が送信した質問信号10を受信し、受信した質問信号10を質問信号受信部2200に渡す(ステップS200)。
質問信号受信部2200は、受け取った質問信号10の通信モード13をモード判定部2500に渡し、質問器ID14を制御部2100に渡す。
【0067】
通信モード13を受け取ったモード判定部2500は、通信モード13が「1」の場合は、アクティブモードで通信を行う指示であると判定し、また、「2」の場合は、パッシブモードで通信を行う指示であると判定し、その旨を制御部2100に通知する(ステップS210)。
通知を受けた制御部2100は、アクティブモードで通信を行う指示であるとの通知である場合は(ステップS210:アクティブ)、アクティブモード応答信号送信部2400に応答信号の送信を依頼する。この依頼の際、質問信号受信部2200から受け取った質問器ID14を渡す。
【0068】
依頼を受けたアクティブモード応答信号送信部2400は、応答信号20を生成し、生成した応答信号20をRF信号送信部2900に渡して、送信を依頼する。アクティブモード応答信号送信部2400は、受け取った質問器ID14を、応答信号20の質問器ID23に設定し、自器のIDを応答器ID24に設定して応答信号20を生成する。
依頼を受けたRF信号送信部2900は、受け取った応答信号20をRFアンテナ2910を介して送信する(ステップS220、図2参照)。
【0069】
一方、モード判定部2500から、判定結果の通知を受けた制御部2100は、パッシブモードで通信を行う指示であるとの通知である場合は(ステップS210:パッシブ)、パッシブモード応答信号送信部2300に応答信号の送信を依頼する。この依頼の際、質問信号受信部2200から受け取った質問器ID14を渡す。
依頼を受けたパッシブモード応答信号送信部2300は、応答信号20を生成し、生成した応答信号20をLF信号送信部2800に渡して、送信を依頼する。パッシブモード応答信号送信部2300は、受け取った質問器ID14を、応答信号20の質問器ID23に設定し、自器のIDを応答器ID24に設定して応答信号20を生成する。
【0070】
依頼を受けたLF信号送信部2800は、受け取った応答信号20をLFアンテナ2810を介して送信する(ステップS230、図3参照)。
<補足>
以上、本発明に係る無線通信システムについて実施形態に基づいて説明したが、このシステムを部分的に変形することもでき、本発明は上述の実施形態に限られないことは勿論である。即ち、
(1)実施形態では、質問器周囲の所定範囲に検知対象である人が進入してきたことを、光センサーのうち、照度に応じて光電流を出力するセンサーを用いて検知することとしているが、他のセンサーを用いてもよい。
【0071】
光センサーのうち、例えば、光の強さ(照度)を、出力パルスの周波数に変換するICを用いたセンサーでも良い。この場合、所定の周波数を下回った場合に、所定範囲に検知対象である人が進入してきたと判断する。
また、光センサー以外のセンサーとして、距離検知センサーを用いても良い。この場合、質問器に人が近づくと、質問器と人との距離を測定するような位置と向きに距離検知センサーを設置する必要がある。測定した距離が、例えば、50センチメートル以下の場合、所定範囲に検知対象である人が進入してきたと判断する。距離検知センサーは、例えば、レーザ光を照射し、人に当たって散乱した光をフォトダイオードで捉え、その照射から受光までの時間から人までの距離を測定する。
【0072】
また、熱感知センサーを用いても良い。この場合、センサーが体温と同等の温度を検出したら、所定範囲に検知対象である人が進入してきたと判断する。熱感知センサーとしては、例えば、表面温度に応じて放射している赤外線を検知する赤外線センサーを用いる。
また、圧力検知センサーを用いても良い。この場合、例えば、質問器の周囲の所定範囲の床に所定圧力以上の圧力を検知すると、検知対象である人が進入してきたと判断する。
(2)実施形態では、パッシブモードの質問信号の送信を終了して、再びアクティブモードの質問信号の送信を開始する条件を、パッシブモードの質問信号を所定時間送信することとしているが、他の条件であってもよい。
【0073】
例えば、パッシブモードの質問信号を所定回数送信したこと、応答信号を受信したこと等である。
パッシブモードの質問信号を所定回数送信したら、再びアクティブモードの質問信号の送信を開始する場合を、図8と図9を用いて簡単に説明する。
図8は、図6と同様に、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートであり、矩形や矢印等の意味は、図6と同様である。本図と図6の異なる点は、図6では、パッシブモードの質問信号は白抜き矢印で示された所定時間送信されたが、本図では、所定回数送信される点が異なる。
【0074】
図9は、図7と同様に、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートであり、点線は質問信号の送信を、一点鎖線は応答信号の送信を表す。本図と図7の異なる点は、ステップ300において、制御部1100が、所定時間を計るためのタイマーをリセットする代わりに、所定回数をカウントするためのカウンタをリセットする点と、ステップ310において、所定時間の経過を判定する代わりに所定回数送信したかを判定する点が異なる。
【0075】
次に、応答信号を受信したら、再びアクティブモードの質問信号の送信を開始する場合を、図10と図11を用いて簡単に説明する。
図10は、図6と同様に、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートであり、矩形や矢印等の意味は、図6と同様である。本図と図6の異なる点は、図6では、パッシブモードの質問信号は白抜き矢印で示された所定時間送信されたが、本図では、その所定時間内に、応答信号を受信したら再びアクティブモードの質問信号350の送信を開始する点が異なる。
【0076】
図11は、図7と同様に、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートであり、点線は質問信号の送信を、一点鎖線は応答信号の送信を表す。本図と図7の異なる点は、ステップ400において、パッシブモードの応答信号を受信して(ステップS170)、認証処理を行ったあと、制御部1100は、所定時間経過していなくても、パッシブモードの質問信号の送信をパッシブモード質問信号送信部1400に依頼せずに、検知部1300から人を検知したか否かの通知に応じて(ステップS130)質問信号10を送信する処理を行う点が異なる。
【0077】
尚、この例では、所定時間内に応答信号を受信した場合を説明したが、所定回数送信する間に応答信号を受信した場合であっても良い。
また、パッシブモードの質問信号の送信を終了して、再びアクティブモードの質問信号の送信を開始する条件を、質問器から所定範囲に検知対象である人が進入してきたことを検知するために用いるセンサーに応じて、この条件を定めても良い。
【0078】
例えば、光センサーを用いて、照度が弱くなった場合に質問器から所定範囲に検知対象である人が進入してきたと判断している場合には、照度に応じた電荷が閾値を超えたことを条件としても良い。
また、距離検知センサーを用いている場合は、測定した距離が、例えば、50センチメートルを超えたもののみであること条件としても良い。
【0079】
また、熱感知センサーを用いている場合は、センサーが検知する温度が、体温よりも低くなったことを条件としても良い。
また、圧力検知センサーを用いている場合は、質問器の周囲の所定範囲の床に所定圧力以上の圧力を検出しなくなったことを条件としても良い。
(3)実施形態では、光センサーを質問器1000に内蔵することとしているが、質問器1000の外にあってもよく、質問器から所定範囲に検知対象である人が進入してきたことを検知できる位置に設置されていればよい。
【0080】
また、質問器が複数ある場合に、質問器1つに、1つのセンサーを設置する必要はなく、それぞれの質問器から所定範囲に検知対象である人が進入してきたことを検知できればよい。
(4)無線通信システムに含まれる質問器、応答器においては、図2等の各構成要素の全部又は一部を、1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよい。
(5)実施形態で示した無線通信システムの各機能を実現させる為の各制御処理(図7参照)をCPUに実行させる為のプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより実施形態で示した各機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1(a)は、アクティブモードの使用態様を示す図であり、図1(b)は、パッシブモードの使用態様を示す図である。
【図2】本発明にかかる質問器1000と応答器2000の機能ブロック図であり、アクティブモードでの通信方法を示す図である。
【図3】本発明にかかる質問器1000と応答器2000の機能ブロック図であり、パッシブモードでの通信方法を示す図である。
【図4】図4(a)は、質問器1000が送信する質問信号10のデータ構成及び内容例であり、図4(b)は、応答器2000が送信する応答信号20のデータ構成及び内容例である。
【図5】質問信号と応答信号の送信距離を示す概略図である。
【図6】パッシブモードの質問信号を所定時間送信する場合の、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートである。
【図7】パッシブモードの質問信号を所定時間送信する場合の、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートである。
【図8】パッシブモードの質問信号を所定回数送信する場合の、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートである。
【図9】パッシブモードの質問信号を所定回数送信する場合の、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートである。
【図10】パッシブモードの質問信号を応答信号受信まで送信する場合の、アクティブモードからパッシブモードへの切替えのタイミングと、質問信号と応答信号の送受信のタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】パッシブモードの質問信号を応答信号受信まで送信する場合の、質問器1000の通信モード切替処理と応答器2000の応答処理とを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
10 質問信号
20 応答信号
1000 質問器
1100 2100 制御部
1200 光センサー
1300 検知部
1400 パッシブモード質問信号送信部
1500 アクティブモード質問信号送信部
1600 パッシブモード応答信号受信部
1700 アクティブモード応答信号受信部
1800 2800 LF信号送受信部
1810 2810 LFアンテナ
1900 RF信号受信部
1910 2910 RFアンテナ
2000 応答器
2200 質問信号受信部
2300 パッシブモード応答信号送信部
2400 アクティブモード応答信号送信部
2500 モード判定部
2600 電池
2900 RF信号送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問器と応答器とから成り、質問器は応答器と無線通信を行う無線通信システムであって、
前記無線通信システムは、センサーを備え、
前記質問器は、
第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信する質問送信手段と、
質問信号の到達範囲内であって、自器に近接する所定の範囲に検知対象が進入したことを前記センサーを用いて検知する検知手段とを備え、
前記質問送信手段は、前記検知手段が検知対象の進入を検知した場合は、第1通信モードで通信することを示す情報の代わりに第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信し、
前記応答器は、
質問信号を受信する質問受信手段と、
受信した質問信号に対して応答信号を送信する応答送信手段とを備え、
前記応答送信手段は、受信した質問信号が第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号である場合は、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対するよりも、送信可能範囲が狭い応答信号を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記質問送信手段は、前記第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を所定時間繰り返し送信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記質問送信手段は、前記第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を所定回数送信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記質問器は、更に、前記応答器の前記応答送信手段で送信された応答信号を受信する応答受信手段を備え、
前記質問送信手段は、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を前記応答受信手段が受信したら、第2通信モードで通信することを示す情報の代わりに第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号を繰り返し送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記応答送信手段は、低周波信号を送信する低周波送信手段と、高周波信号を送信する高周波送信手段を有し、第2通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を送信するときは、前記低周波送信手段で送信し、第1通信モードで通信することを示す情報を含む質問信号に対する応答信号を送信するときは、前記高周波送信手段で送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記応答器は、更に、電池と前記質問信号を受信することにより電力を生ずる発電手段とを備え、
前記応答送信手段は、受信した質問信号に第1通信モードで通信することを示す情報が含まれている場合は、前記電池を電源として応答信号を送信し、第2通信モードで通信することを示す情報が含まれている場合は、前記発電手段により生じた電力により応答信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
センサーと、第1通信モード及び第2通信モードで無線通信を行う質問器とからなる無線通信システムで使用される質問器であって、
第1通信モードで通信することを示す情報を含む第1通信モードの質問信号を繰り返し送信する質問送信手段と、
質問信号の到達範囲内であって、自器に近接する所定の範囲に検知対象が進入したことを、前記センサーを用いて検知する検知手段とを備え、
前記質問送信手段は、前記検知手段が検知対象の進入を検知した場合は、第1通信モードで通信することを示す情報の代わりに第2通信モードで通信することを示す情報を含む第2通信モードの質問信号を送信する
ことを特徴とする質問器。
【請求項8】
前記センサーは、照度を検出する光検知センサーであって、
前記検知手段は、前記光検知センサーが検出している照度が閾値を越える値から閾値以下になったときに、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の質問器。
【請求項9】
前記センサーは、電波を投射し、その反射波により自器から検知対象までの距離を検出する距離検知センサーであって、
前記検知手段は、前記距離検知センサーが検出した距離に基づいて前記検知対象が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の質問器。
【請求項10】
前記センサーは、熱を検知する熱感知センサーであって、
前記検知手段は、前記熱感知センサーが検知した熱に基づいて熱源が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の質問器。
【請求項11】
前記センサーは、一定の圧力を検知する圧力検知センサーであって、
前記検知手段は、前記圧力検知センサーが検知した圧力に基づいて前記圧力を検知した位置が前記所定の範囲内にあると判定した場合に、前記所定の範囲に検知対象が進入したと検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の質問器。
【請求項12】
センサーと、第1通信モード及び第2通信モードで無線通信を行う質問器とからなる無線通信システムで使用される質問器で用いられる質問信号送信方法であって、
第1通信モードで通信することを示す情報を含む第1通信モードの質問信号を繰り返し送信する質問送信ステップと、
質問信号の到達範囲内であって、自器に近接する所定の範囲に検知対象が進入したことを、前記センサーを用いて検知する検知ステップとを備え、
前記質問送信ステップは、前記検知ステップで検知対象の進入を検知した場合は、第1通信モードで通信することを示す情報の代わりに第2通信モードで通信することを示す情報を含む第2通信モードの質問信号を送信する
ことを特徴とする質問信号送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−108039(P2010−108039A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276643(P2008−276643)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】