説明

ユニット式電子機器

【課題】 外部から加えられた衝撃や着脱ユニットの振動によるコネクタの破損を抑制しつつ、着脱ユニットを容易に着脱することができる電子機器を提供する。
【解決手段】 第1コネクタを有する着脱ユニットを挿抜するための開口部を有する筐体と、開口部に対して第1コネクタ側から挿入された着脱ユニットを弾性的に支持するユニット支持手段と、第1コネクタと着脱可能に結合され、配線を介して筐体内の回路基板に接続された第2コネクタと、第2コネクタを支持するコネクタ支持手段により構成される。コネクタ支持手段は、第2コネクタが固着されたコネクタ基板と、筐体に支持された基板支持部材と、コネクタ基板及び基板支持部材の一方に固着され、他方に形成された貫通孔に挿通され、最大径が貫通孔よりも大きなテーパー面を有する締結軸と、コネクタ基板及び基板支持部材を互いに反対側に付勢し、貫通孔の外縁をテーパー面に当接させる付勢手段からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式電子機器に係り、さらに詳しくは、ディスクドライブユニットなどの着脱ユニットを筐体内で弾性的に支持するユニット式電子機器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラによって撮影された映像を着脱可能なHDD(ハードディスクドライブ)ユニットに録画する録画装置が知られている。従来の録画装置では、HDDユニットが本体側の回路とFPC(Flexible Printed Circuits)ケーブルを用いて接続されている。このため、HDDユニットの着脱時には、上記ケーブルの着脱を行う必要があり、メンテナンス性が良くないという問題があった。
【0003】
そこで、HDDユニットを本体側筐体の開口部へ挿入することによって、HDDユニットが本体内のコネクタに接続され、HDDユニットを引き抜くことによって、上記コネクタから離脱させて取り出すことができれば、メンテナンス性を向上させることができると考えられる。しかしながら、一般に、HDDユニットは、フローティング機構によって、本体側筐体に対して弾性的に支持されているため、HDDユニットを挿入するだけで、本体内のコネクタに接続できるようにすれば、本体内のコネクタに負担がかかるという問題があった。
【0004】
すなわち、HDDユニットは、外部から衝撃を与えられると、誤動作したり、破損するおそれがある。また、HDDユニットは、内蔵ディスクを回転させる駆動機構を内蔵しているため、動作時に振動する。このため、HDDユニットは、通常、本体側筐体に対して弾性的に支持されている。
【0005】
一方、HDDユニットを本体側筐体の開口部から挿入することによって、本体内のコネクタと接続させるためには、上記コネクタを本体側筐体に固定し、その位置を決めておく必要があった。ところが、装着後のHDDユニットは、本体側筐体に対して弾性的に保持されているため、本体側筐体に固定されたコネクタにHDDユニットを接続すると、外部からの衝撃や、HDDユニットの振動によって、上記コネクタに負担がかかり、上記コネクタが破損するおそれがあった。
【0006】
なお、特許文献1には、電力ロスを抑えるためにコネクタ内の電源ピンの接触抵抗を低下させる技術が開示されている。この特許文献1に記載のコネクタは、電源ピンをその長手方向に付勢するスプリングコネクタを備えるものであって、振動の影響でコネクタ間に接触不良が生じるのを防止できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−83640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、HDDユニットなどの着脱ユニットを容易に着脱することができるユニット式電子機器を提供することを目的とする。特に、外部から加えられた衝撃や着脱ユニット自身の振動によるコネクタの破損を抑制しつつ、着脱ユニットを容易に着脱することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明によるユニット式電子機器は、第1コネクタを有する着脱ユニットを挿抜するための開口部を有する筐体と、上記開口部に対して第1コネクタ側から挿入された上記着脱ユニットを弾性的に支持するユニット支持手段と、第1コネクタと着脱可能に結合され、上記筐体内の回路基板に接続された第2コネクタと、第2コネクタを支持するコネクタ支持手段とを備え、上記コネクタ支持手段が、第2コネクタが固着されたコネクタ基板と、上記筐体に支持された基板支持部材と、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材の一方に固着され、他方に形成された貫通孔に挿通され、最大径が上記貫通孔よりも大きなテーパー面を有する締結軸と、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材を互いに反対側に付勢し、上記貫通孔の外縁を上記テーパー面に当接させる付勢手段とからなるように構成される。
【0010】
この様な構成により、着脱ユニットの装着前は、締結軸のテーパー面が貫通孔の外縁に当接し、着脱ユニットの挿抜方向に交差する方向への第2コネクタの移動が規制され、第2コネクタが筐体内の所定位置に配置された状態となる。このため、着脱ユニットを第1コネクタ側から挿入すれば、第1及び第2コネクタを結合することができる。しかも、着脱ユニットの装着後は、着脱ユニットがユニット支持手段によって弾性的に支持されるとともに、締結軸のテーパー面が貫通孔の外縁から離れることにより、第2コネクタが着脱ユニットの挿抜方向に交差する方向へ移動可能となる。このため、着脱ユニットが弾性的に支持され、第1及び第2コネクタに負担がかかって破損することもない。
【0011】
第2の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記付勢手段が、上記着脱ユニットを挿入する際、第1コネクタ及び第2コネクタの結合後に上記テーパー面が上記貫通孔の外縁から離れるように付勢するように構成される。
【0012】
第3の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記着脱ユニットの挿抜方向の位置を固定することにより、上記テーパー面を上記貫通孔の外縁から離れた状態に維持するユニット固定手段を備えて構成される。
【0013】
第4の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記締結軸が、上記テーパー面が形成された頭部を有し、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材の上記一方に螺合されるネジであるように構成される。この様な構成によれば、着脱ユニットの挿抜方向に交差する方向への第2コネクタの移動を規制するのにコネクタ基板及び基板支持部材の一方に螺合されるネジを利用するので、安価かつ容易に製造することができ、コネクタの破損を抑制しつつ、着脱ユニットを容易に着脱することができる電子機器を実現することができる。
【0014】
第5の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記貫通孔が、上記基板支持部材に形成され、上記コネクタ基板には、上記締結軸と螺合させる圧入ナットが埋設されているように構成される。この様な構成によれば、筐体に支持される基板支持部材に締結軸を挿通させる貫通孔を形成し、コネクタ基板に締結軸を螺合させる圧入ナットを埋設するので、製造時の作業性を向上させることができる。
【0015】
第6の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記付勢手段が、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材間に配設された樹脂スポンジであるように構成される。この様な構成によれば、コネクタ基板及び基板支持部材間に配設される樹脂スポンジが断面積を応じて付勢力が変化する弾性体であるので、コネクタ基板及び基板支持部材を互いに反対側に付勢させる際の付勢力を容易に調整することができる。
【0016】
第7の本発明によるユニット式電子機器は、上記構成に加え、上記着脱ユニットが、ディスクドライブユニットであるように構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるユニット式電子機器は、第2コネクタが固着されたコネクタ基板及び筐体に支持された基板支持部材の一方に固着され、他方に形成された貫通孔に挿通された締結軸を備え、当該締結軸が、最大径が上記貫通孔よりも大きなテーパー面を有している。また、コネクタ基板と基板支持部材とを互いに反対側に付勢し、貫通孔の外縁を締結軸のテーパー面に当接させる付勢手段を有している。
【0018】
このため、着脱ユニットの装着前は、締結軸のテーパー面が貫通孔の外縁に当接し、第2コネクタが筐体内の所定位置に配置された状態となる。従って、着脱ユニットを第1コネクタ側から挿入すれば、第1及び第2コネクタが結合されるので、着脱ユニットを容易に装着することができる。
【0019】
しかも、着脱ユニットの装着後は、着脱ユニットがユニット支持手段によって弾性的に支持されるとともに、締結軸のテーパー面が貫通孔の外縁から離れることにより、上記挿抜方向に交差する方向へ移動可能となる。このため、着脱ユニットが弾性的に支持されるとともに、外部から加えられた衝撃や着脱ユニットの振動の影響を受けて、第1及び第2コネクタが破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1によるユニット式電子機器の概略構成の一例を示した斜視図であり、ユニット式電子機器の一例として録画装置100が示されている。
【図2】図1のコネクタ基板31の一例を示した図である。
【図3】図1のコネクタ基板31の一例を示した図である。
【図4】図1の録画装置100におけるHDDモジュール40の構成例を示した図である。
【図5】図1の録画装置100におけるHDDモジュール40の構成例を示した図である。
【図6】図1の録画装置100における本体ユニット20の構成例を示した平面図である。
【図7】図1の録画装置100における本体ユニット20の構成例を示した断面図であり、図6のA−A線による切断面が示されている。
【図8】HDDモジュール40を本体ユニット20内に装着した場合の一例を示した断面図であり、図6のA−A線による切断面が示されている。
【図9】本発明の他の実施の形態によるユニット式電子機器の一構成例を示した断面図であり、A−A線による本体ユニット20の切断面が示されている。
【図10】本発明のその他の実施の形態によるユニット式電子機器の一構成例を示した断面図であり、A−A線による本体ユニット20の切断面が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<録画装置>
図1(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるユニット式電子機器の概略構成の一例を示した斜視図であり、ユニット式電子機器の一例としてHDDユニット着脱式の録画装置100が示されている。図1(a)には、フロントパネルユニット10が示され、図1(b)には、HDDモジュール40が装着される本体ユニット20が示されている。
【0022】
録画装置100は、複数の監視カメラによって撮影された映像をHDDモジュール40内のHDDユニットに録画することができるデジタルビデオレコーダーであり、フロントパネルユニット10及び本体ユニット20からなる。この録画装置100は、HDDモジュール40の装着後、フロントパネルユニット10を本体ユニット20に上から被せることによって完成する。
【0023】
フロントパネルユニット10は、電源スイッチや複数の操作ボタンが配置されたフロントパネル11を有するカバーケースである。
【0024】
本体ユニット20は、外部機器から入力された信号を処理してHDDユニットに書き込んだり、HDDユニットから読み出した信号を処理して出力する情報処理部を含み、開口部24を有する筐体21と、筐体21に支持された基板支持部材22を有する。
【0025】
筐体21は、回路基板などを支持するメインフレームであり、フロント側に設けられた開口部24を介してHDDモジュール40を挿入することによって当該HDDモジュールが本体ユニット20内に収容される。HDDモジュール40は、開口部24を介して挿抜され、筐体21には、その様な2つの開口部24が設けられている。つまり、この本体ユニット20は、2台のHDDモジュール40を同時に装着することができるようになっている。
【0026】
基板支持部材22は、HDDモジュール40側のコネクタに結合させるコネクタ30が配設されるサブフレームであり、コネクタ30が固着されたコネクタ基板31が取り付けられている。コネクタ30は、フロント側に向けて配置され、可撓性を有する配線を介して筐体21内の回路基板(図示せず)に接続される。
【0027】
HDDモジュール40は、HDDユニットと、このHDDユニットを弾性的に支持するフローティング機構を備えた交換可能な記憶装置であり、本体ユニット20のコネクタ30と結合させるコネクタや固定用ネジ孔41が設けられている。
【0028】
HDDモジュール40は、開口部24に対してコネクタ側から挿入することによって本体ユニット20内に収容される。HDDモジュール40は、筐体21内に挿入時に、筐体21に設けられたガイド板23によって左右方向の移動が規制される。
【0029】
HDDモジュール40を本体ユニット20内に収容した後、固定用ネジ孔41にネジを挿通させてHDDモジュール40を筐体21にネジ止めすることによって、HDDモジュール40が抜け出るのを防止することができる。つまり、HDDモジュール40を筐体21にネジ止めすることによって、HDDモジュール40の挿抜方向の位置が固定される。
【0030】
<コネクタ基板>
図2及び図3は、図1のコネクタ基板31の一例を示した図である。図2は、コネクタ基板31の斜視図であり、図3(a)には、コネクタ基板31を側面から見た様子が示され、図3(b)には、挿抜方向から見た様子が示されている。このコネクタ基板31には、HDDモジュール40と対向する面にコネクタ30が取り付けられている。
【0031】
コネクタ30は、本体ユニット20内の回路とHDDモジュール40内の回路とを電気的に接続するための接続部品であり、HDDモジュール40側のコネクタと着脱可能に結合される。コネクタ30としては、例えば、SATA(シリアルATA)規格に準拠した7ピン仕様の汎用のプラグコネクタが用いられる。
【0032】
コネクタ基板31は、コネクタ30が固着される断面がL字形状のフレームである。コネクタ30は、左右の両端部にネジ孔が設けられ、ネジ32によってコネクタ基板31に固定されている。
【0033】
コネクタ30から延伸する配線33は、コネクタ基板31を貫通して背面側に配置されている。また、コネクタ基板31の背面側には、コネクタ基板31を基板支持部材22に取り付けた際に、コネクタ基板31及び基板支持部材22を互いに反対側に付勢する付勢手段として、樹脂スポンジ34が配置されている。
【0034】
この樹脂スポンジ34は、樹脂製の弾性部材であり、例えば、ウレタンゴムなどの樹脂ゴムを発砲させて形成されたものが用いられる。ここでは、樹脂スポンジ34が、HDDモジュール40を挿入する際に、HDDモジュール40側のコネクタとコネクタ30とを結合させる挿入方向の押圧力よりも小さな力では変形せず、上記押圧力よりも大きな力を挿入方向に付加することによって弾性変形するものとする。
【0035】
この例では、樹脂スポンジ34が、2つのブロック状のスポンジ塊からなり、コネクタ基板31の左右の両端部にそれぞれ配設されている。
【0036】
<HDDユニット>
図4及び図5は、図1の録画装置100におけるHDDモジュール40の構成例を示した図であり、HDDユニット42、カバーフレーム43及びコネクタ44からなるHDDモジュール40が示されている。図4は、HDDモジュール40をコネクタ側から見た斜視図であり、図5には、HDDモジュール40を挿抜方向から見た様子が示されている。
【0037】
HDDユニット42は、円盤状の記録媒体(ディスク)を回転させながら当該記録媒体に情報を書き込んだり、記録媒体から情報を読み出すディスクドライブユニットであり、本体ユニット20側のコネクタ30と結合させるコネクタ44が配設されている。
【0038】
コネクタ44をコネクタ30と嵌合させることによって、本体ユニット20内の回路とHDDユニット42内の回路とが電気的に接続される。
【0039】
カバーフレーム43は、HDDユニット42を弾性的に支持するユニット支持部材であり、金属板からなる。HDDユニット42は、防振ゴム46を介してカバーフレームに固定されたネジ45によってカバーフレーム43に支持されている。この例では、HDDユニット42が、左右両側のネジ45の固着個所においてカバーフレーム43に支持されている。
【0040】
<本体ユニット>
図6は、図1の録画装置100における本体ユニット20の構成例を示した平面図である。HDDモジュール40は、録画装置100の前後方向を挿抜方向として、本体ユニット20内に挿入される。HDDモジュール40を筐体21内に挿入する際、ガイド板23によって挿抜方向の移動が案内されるとともに、左右方向の移動が規制される。
【0041】
また、HDDモジュール40は、筐体21によって上下方向の移動も規制されているので、挿抜方向に交差する左右方向及び上下方向の移動が規制された状態で、HDDユニット42のコネクタ44が本体ユニット20のコネクタ30に結合される。
【0042】
<コネクタ基板の締結構造>
図7は、図1の録画装置100における本体ユニット20の構成例を示した断面図であり、図6のA−A線による切断面が示されている。本体ユニット20のコネクタ30は、コネクタ基板31にネジ32によって固着されており、このコネクタ基板31を介して基板支持部材22に取り付けられている。
【0043】
コネクタ30は、突起状の端子部を筐体21の開口部24に向けて配置されており、この端子部をHDDモジュール40側のコネクタ44内に挿入することによって、両コネクタが結合される。
【0044】
コネクタ基板31は、コネクタ30が配設されている面とは反対側の面を基板支持部材22と対向させて配置され、コネクタ基板31及び基板支持部材22間に挟み込むように樹脂スポンジ34が配設されている。
【0045】
また、コネクタ基板31は、ネジ36によって基板支持部材22と締結されている。基板支持部材22には、ネジ36を挿通させるネジ孔22aが設けられ、コネクタ基板31には、ネジ36と螺合させる圧入ナット35が埋設されている。ネジ36は、コネクタ基板31及び基板支持部材22を締結するための締結軸であり、その一端に頭部36aを有している。このネジ36は、基板支持部材22のネジ孔22aに挿通され、圧入ナット35と螺合させることによってコネクタ基板31に固着される。また、上記頭部36aは、最大径がネジ孔22aよりも大きく、締結軸側にテーパー面36bを有している。
【0046】
例えば、締結軸36の直径はほぼ一定であり、頭部36aの直径が軸方向に徐々に太くなるようなテーパー面36bを有する皿ネジをネジ36として用いることができる。
【0047】
ネジ孔22aは、基板支持部材22を貫通する貫通孔である。圧入ナット35は、コネクタ30側からプレスすることによってコネクタ基板31に圧入され、コネクタ基板31に固定される。
【0048】
樹脂スポンジ34は、コネクタ基板31と基板支持部材22とを互いに反対側に付勢し、ネジ孔22aの外縁をネジ36のテーパー面36bに当接させる。ネジ孔22aの外縁がテーパー面36bに当接した状態では、テーパー面36bの存在によって、ネジ36の締結軸が、ネジ孔22aの大きさに関わらず、常に、ネジ孔22aの略中心に位置決めされる。
【0049】
また、ネジ孔22aの外縁とテーパー面36bとが当接した状態では、基板支持部材22に対して、コネクタ基板31の上下方向及び左右方向の移動、すなわち、HDDモジュール40の挿抜方向に交差する方向へのコネクタ30の移動が規制され、コネクタ30は、正しい位置に位置決めされる。一方、コネクタ基板31は、挿入方向へのコネクタ30の移動、すなわち、基板支持部材22側への移動は、樹脂スポンジ34による付勢力を越える力の付加によって可能な状態となっている。つまり、HDDモジュール40の装着時、コネクタ44及び30を結合させた後、さらにHDDモジュール40を押し込むことによって、コネクタ基板31を基板支持部材22側へ移動させることが可能な構成となっている。
【0050】
図8は、HDDモジュール40を本体ユニット20内に装着した場合の一例を示した断面図であり、図6のA−A線による切断面が示されている。HDDモジュール40は、コネクタ44がコネクタ30と嵌合し、さらに、本体ユニット20の筐体21と当接すると、挿入方向への移動が規制される。
【0051】
コネクタ基板31は、HDDモジュール40が本体ユニット20内に装着されれば、HDDモジュール40の装着前に比べて基板支持部材22側へ移動し、樹脂スポンジ34を押し縮めた状態で保持される。
【0052】
HDDモジュール40は、コネクタ44とコネクタ30とを嵌合させた後、さらに、コネクタ30及びコネクタ基板31を基板支持部材22側へ押し込んだ状態で固定される。すなわち、HDDモジュール40は、本体ユニット20内に挿入した際に、コネクタ基板31及び基板支持部材22間に挿抜方向に交差する方向の遊びBが存在する状態で、抜け出ないように固定される。
【0053】
この様なHDDモジュール40の装着状態では、基板支持部材22のネジ孔22aとネジ36又は圧入ナット35との間に、コネクタ30の挿抜方向に交差する方向の遊びが生じるので、コネクタ基板31は、基板支持部材22に対して上下方向及び左右方向に移動可能となる。
【0054】
つまり、コネクタ30は、HDDモジュール40の装着前は、コネクタ基板31に固着されたネジ36のテーパー面36aがネジ孔22aの外縁に当接することによって所定位置で位置決めされ、上下方向及び左右方向の移動が規制されるのに対して、HDDモジュール40の装着後は、ネジ孔22a及びネジ36間の遊びによって自由に移動できる状態となる。
【0055】
本実施の形態によれば、HDDモジュール40の装着前は、ネジ36のテーパー面36bがネジ孔22aの外縁に当接し、HDDモジュール40の挿抜方向に交差する方向へのコネクタ30の移動が規制され、コネクタ30が筐体21内の所定位置に配置された状態となる。この様にコネクタ30が位置決めされることから、HDDモジュール40をコネクタ44側から挿入するだけで容易にコネクタ30及び44を結合することができる。しかも、HDDモジュール40の装着後は、HDDユニット42がカバーフレーム43によって弾性的に支持されるとともに、ネジ36のテーパー面36bがネジ孔22aの外縁から離れることにより、コネクタ30がHDDモジュール40の挿抜方向に交差する方向へ移動可能となる。このため、HDDユニット42が弾性的に支持され、コネクタ30及び44に負担がかかって破損することもない。
【0056】
また、HDDモジュール40の挿抜方向に交差する方向へのコネクタ30の移動を規制するのに基板支持部材22に螺合されるネジ36を利用するので、安価かつ容易に製造することができ、コネクタ30,44の破損を抑制しつつ、HDDモジュール40を容易に着脱することができる録画装置100を実現することができる。さらに、筐体21に支持される基板支持部材22にネジ36を挿通させるネジ孔22aを設け、コネクタ基板31にネジ36の締結軸を螺合させる圧入ナット35を埋設するので、製造時の作業性を向上させることができる。また、コネクタ基板31及び基板支持部材22間に配設される樹脂スポンジ34が断面積を応じて付勢力が変化する弾性体であるので、コネクタ基板31及び基板支持部材22を互いに反対側に付勢させる際の付勢力を容易に調整することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ネジ36が圧入ナット35を介してコネクタ基板31に固着され、ネジ36を挿通させるネジ孔22aが基板支持部材22に形成される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、圧入ナット35を用いることなく、ネジ36を直接にコネクタ基板31に固着させても良い。また、圧入ナット35をコネクタ基板31に埋設するのに代えて、第1のネジをコネクタ基板31に固着させ、締結軸の中心にネジ孔が設けられた第2のネジ(雌ネジ)を基板支持部材22のネジ孔22aから挿通させて第1のネジの締結軸と結合させるようにすることが考えられる。
【0058】
図9は、本発明の他の実施の形態によるユニット式電子機器の一構成例を示した断面図であり、A−A線による本体ユニット20の切断面が示されている。コネクタ30は、コネクタ基板31、基板支持部材22、ネジ51,52及び樹脂スポンジ34によって支持されている。基板支持部材22には、ネジ52を挿通させるネジ孔22aが設けられ、コネクタ基板31には、ネジ52と螺合させるネジ51が挿通されている。
【0059】
コネクタ基板31には、貫通孔が設けられ、この貫通孔にコネクタ30側からネジ51が挿通される。
【0060】
ネジ52は、コネクタ基板31及び基板支持部材22を締結するための締結軸であり、締結軸の中心にネジ孔を有する構造となっている。このネジ52は、基板支持部材22のネジ孔22aに挿通され、締結軸のネジ孔にネジ51を挿入して螺合させることによってコネクタ基板31に固着される。
【0061】
この様な構成によっても、振動などの影響でコネクタ間に接触不良などが生じるのを抑制しつつ、HDDモジュール40の着脱を容易化することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0062】
或いは、基板支持部材22に圧入ナットを埋設し、コネクタ基板31に当該圧入ナットと結合させるネジを挿通させるネジ孔を形成するようなものであっても良い。
【0063】
図10は、本発明のその他の実施の形態によるユニット式電子機器の一構成例を示した断面図であり、本体ユニット20の切断面が示されている。コネクタ30は、コネクタ基板31、基板支持部材22、ネジ62、圧入ナット63及び樹脂スポンジ34によって支持されている。
【0064】
コネクタ基板31には、ネジ62を挿通させるネジ孔61が設けられ、基板支持部材22には、ネジ62と螺合させる圧入ナット63が埋設されている。このネジ62は、コネクタ基板31のネジ孔61に挿通され、締結軸を圧入ナット63と螺合させることによって基板支持部材22に固着される。
【0065】
この様な構成によっても、振動などの影響でコネクタ間に接触不良などが生じるのを抑制しつつ、HDDモジュール40の着脱を容易化することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、コネクタ基板31及び基板支持部材22を互いに反対側に付勢する付勢手段として樹脂スポンジ34を用いる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、コイル状のバネ等の付勢力を有する種々の部材を上記付勢手段として用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 フロントパネルユニット
11 フロントパネル
20 本体ユニット
21 筐体
22 基板支持部材
22a ネジ孔
23 ガイド板
24 開口部
30 コネクタ
31 コネクタ基板
32 ネジ
33 配線
34 樹脂スポンジ
35 圧入ナット
36 ネジ
36a テーパー面
40 HDDモジュール
41 固定用ネジ孔
42 HDDユニット
43 カバーフレーム
44 コネクタ
45 ネジ
46 防振ゴム
51,52 ネジ
61 ネジ孔
62 ネジ
63 圧入ナット
100 録画装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタを有する着脱ユニットを挿抜するための開口部を有する筐体と、
上記開口部に対して第1コネクタ側から挿入された上記着脱ユニットを弾性的に支持するユニット支持手段と、
第1コネクタと着脱可能に結合され、上記筐体内の回路基板に接続された第2コネクタと、
第2コネクタを支持するコネクタ支持手段とを備え、
上記コネクタ支持手段は、第2コネクタが固着されたコネクタ基板と、
上記筐体に支持された基板支持部材と、
上記コネクタ基板及び上記基板支持部材の一方に固着され、他方に形成された貫通孔に挿通され、最大径が上記貫通孔よりも大きなテーパー面を有する締結軸と、
上記コネクタ基板及び上記基板支持部材を互いに反対側に付勢し、上記貫通孔の外縁を上記テーパー面に当接させる付勢手段とからなることを特徴とするユニット式電子機器。
【請求項2】
上記付勢手段は、上記着脱ユニットを挿入する際、第1コネクタ及び第2コネクタの結合後に上記テーパー面が上記貫通孔の外縁から離れるように付勢することを特徴とする請求項1に記載のユニット式電子機器。
【請求項3】
上記着脱ユニットの挿抜方向の位置を固定することにより、上記テーパー面を上記貫通孔の外縁から離れた状態に維持するユニット固定手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット式電子機器。
【請求項4】
上記締結軸は、上記テーパー面が形成された頭部を有し、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材の上記一方に螺合されるネジであることを特徴とする請求項1に記載のユニット式電子機器。
【請求項5】
上記貫通孔は、上記基板支持部材に形成され、上記コネクタ基板には、上記締結軸と螺合させる圧入ナットが埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のユニット式電子機器。
【請求項6】
上記付勢手段が、上記コネクタ基板及び上記基板支持部材間に配設された樹脂スポンジであることを特徴とする請求項1に記載のユニット式電子機器。
【請求項7】
上記着脱ユニットは、ディスクドライブユニットであることを特徴とする請求項1に記載のユニット式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−170746(P2010−170746A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10371(P2009−10371)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000223182)ティーオーエー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】