ユニット装着検知装置
【課題】機器異常の原因となる接触不良が発生している接続端子の接続ピンを特定し、機器異常を速やかに復旧させることができるようにする。
【解決手段】接続端子6、7を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶部91に記憶させておき、ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部91を検索して抽出した接触不良の接続ピン識別情報を上位装置へ通知するようにした。
【解決手段】接続端子6、7を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶部91に記憶させておき、ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部91を検索して抽出した接触不良の接続ピン識別情報を上位装置へ通知するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や硬貨の現金を取扱う現金処理機や文書等を所定の用紙に複写する複写機等における現金や所定の用紙を収納するカセット等のユニットの装着不良を検知するユニット装着検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のユニット装着検知装置は、装着されるカセットユニットの整列方向に沿って光軸を通し、センサでその光軸が通る状態を検知してすべてのカセットユニットが正常に装着されていることを検知するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、現金を収納するカセット等のユニットを脱着する現金処理機等において、そのユニットと機体に電気的な接続端子を有する場合、図11に示すように機体側の所定の端子とユニット側の所定の端子(例えば、両端の端子)が導通状態にあることを確認してユニットが機体に正常に装着されたことを検知するようにしているものもある。
【特許文献1】特開平10−79068号公報(段落「0029」〜段落「0035」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、センサで光軸が通る状態を検知し、すべてのユニットが装着されていることを検知するようにしている場合、ユニットと機体に設けられた接続端子が正常に接続されていることを確認することができず、また機体側の接続確認用の端子とユニットの接続確認用の端子が導通状態にあることを確認するようにしても、それ以外の端子にごみ等の異物が混入して接触不良となっている場合、その接触不良を検知することができないという問題がある。
【0004】
特に、ユニットの脱着後に発生する機器異常は接続端子に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることが困難であるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、接触不良の接続ピンを検知するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、機器異常の原因となる接触不良が発生している接続端子の接続ピンを特定することができるようになり、機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明によるユニット装着検知装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は第1の実施例におけるユニット装着検知装置を搭載した現金処理機の説明図、図3は第1の実施例における現金処理機の構成を示すブロック図である。
図2および図3において、1は現金処理機であり、銀行や郵便局等の金融機関の営業店等に設置され、金融機関のオペレータの操作により、紙幣等の入金や出金等の取引を行うものである。
【0009】
2は表示部であり、液晶ディスプレイ等の表示画面で構成され、金融機関の係員が行う業務を選択するための業務選択画面、各種情報の入力を行う入力画面、係員の操作を誘導するための誘導画面や計数した現金の金額等を表示するものである。
3は操作部であり、通常のキーボード、操作の終了を指示する「完了」キーや現金処理機1を初期化(イニシャル)動作させるための「リセット」キー等の入力手段で構成され、係員の操作を受け付けるものである。
【0010】
4はユニット装着部としての下部ユニットであり、5は紙幣を収納するためのカセットユニットである。下部ユニット4は現金処理機1の本体から引出し可能に構成され、カセットユニット5を装着することができるようになっている。カセットユニット5は、例えば紙幣の金種ごとに3個のカセットユニットで構成され、カセットユニット5a、5bに万円券、カセットユニット5cに千円券を収納するものとする。
【0011】
6はカセットユニット5に設けられた接続端子であり、7は下部ユニット4に設けられた接続端子である。この接続端子6と接続端子7は、電気的な信号線を接続するためのものであり、例えば図2の矢印Aが示す方向に引き出された下部ユニット4にカセットユニット5を図2の矢印Bが示す方向へ挿入することにより接続端子6と接続端子7とが嵌合されて接続される。なお、接続端子6、7の詳細は後述する。
【0012】
図3において、8は入出金部であり、出金取引や入金取引に伴う紙幣の入出金処理を行うものである。ここで、入金処理とは図示しない入出金口に投入された紙幣を計数して金庫としてのカセットユニット5に収納することである。また、出金処理とは係員の操作により指定した金額に相当する紙幣を金庫としてのカセットユニット5から繰出して計数し入出金口に搬送して払い出すことである。
【0013】
9はユニット装着検知装置であり、接続端子を有するユニットが機体に装着されたことを検知するためのものである。このユニット装着検知装置9は、入出金部8に設けられ、カセットユニット5に設けられた接続端子6と下部ユニット4に設けられた接続端子7とが嵌合して接続されたことを確認してカセットユニット5が下部ユニット4に装着されたことを検知する。
【0014】
10は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読取ることができるものである。この記憶部10には現金処理機1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)、表示部2に表示する画面データ等を記憶する。
11は制御部であり、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段、ならびに制御手段、および処理手段等で構成されたものである。この制御部11は、表示部2、操作部3、入出金部8、および記憶部10を含めて現金処理機1全体の動作を記憶部10に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
【0015】
このように現金処理機1の制御系は表示部2、操作部3、入出金部8、記憶部10、および制御部11等で構成されている。
次に、ユニット装着検知装置9を図1の第1の実施例におけるユニット装着検知装置の構成を示すブロック図に基づいて説明する。
図1に示すようにユニット装着検知装置9は、下部ユニット4に設けられた接続端子7、半導体メモリや磁気ディスク等で構成された記憶部91、CPU等の演算手段ならびに制御手段等で構成された制御部92で構成され、記憶部91に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御する。
【0016】
カセットユニット5は接続端子6を備え、その接続端子6に紙幣を検知するための紙幣検知センサ等のセンサ51、紙幣を収納させるためのモータや収納した紙幣を繰出すためのモータ等のモータ52、情報の送受信をするための通信デバイス53、カセットユニット5全体に電源を供給するための電源54等が接続されている。
また、カセットユニット5は下部ユニット4に正常に装着されると接続端子6と接続端子7とが嵌合して電気的に接続される。このように電気的に接続されることにより各種信号の入出力が可能になり、ユニット装着検知装置9の制御部92は、カセットユニット5のセンサ51、モータ52、通信デバイス53等を制御することができるようになる。
【0017】
なお、ユニット装着検知装置9の制御部92は入出金部8の図示しない制御部と接続され、その入出金部8の制御部の指示にしたがってユニット装着検知装置9全体および接続端子6、7で接続されたカセットユニット5を制御するものとする。
また、本実施例では、ユニット装着検知装置9は3個の接続端子6、7を介して3個のカセットユニット5a、5b、5cと接続することができるようになっているものとするが、3個に限られることなく、ひとつまたは3個以外の複数のカセットユニット5を接続するようにしてもよい。
【0018】
次に、接続端子6、7を図4の第1の実施例における接続端子の説明図に基づいて説明する。
図4(a)は接続端子6、図4(b)は接続端子7を示し、61は接続端子6の接続ピン、71は接続端子7の接続ピンを示す。この接続ピン61、71は図4に示すように例えば1から20の接続ピン番号が付与されているものとする。
【0019】
カセットユニット5が下部ユニット4に正常に装着されると接続端子6と接続端子7とが嵌合して接続ピン番号が1から20までの接続ピン61と接続ピン71とがそれぞれ接触し、導通可能になり電気的に接続されるようになっている。なお、図4における接続ピン番号が同一の接続ピン61と接続ピン71とが接続されるものとする。
次に、機器異常データベースを図5の第1の実施例における機器異常データベースの説明図に基づいて説明する。
【0020】
図5において、20は機器異常データベースであり、ユニット装着検知装置9の記憶部91に予め記憶されるものである。
この機器異常データベース20は、接続端子6および接続端子7のそれぞれの接続ピンを識別するために、一意に付与された番号を示す接続ピン番号21、およびその接続ピン番号21が示す接続ピンの接触不良があった場合に各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎に予め記憶するAカセットユニット22、Bカセットユニット23、Cカセットユニット24で構成されている。
【0021】
ここで、機器異常コードとはユニット装着検知装置9の制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御するときに検知した機器異常の原因を識別するための情報であり、例えばカセットユニット5に備えられたセンサから入力する信号が変化しない場合、所定の時間が経過してもモータが回転しない場合、所定の時間が経過しても送信した情報に対する応答がない場合等の機器異常の原因毎に予め決められた情報である。なお、この機器異常コードは制御部92が機器異常を検知すると必ず生成されるものとする。
【0022】
機器異常データベース20は、接触不良の可能性がある接続ピンの接続ピン番号21に関連付けて発生し得る機器異常コードを予め記憶したものであり、例えば、機器異常コードが“0101”の場合、Aカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“1”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示し、機器異常コードが“0202”の場合、Bカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“2”の接続ピンの接触不良の可能性があること、機器異常コードが“0303”の場合、Cカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“3”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示すものとする。
【0023】
したがって、接触不良接続ピン抽出手段としての制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索し、機器異常が発生しているカセットユニット5および接触不良の接続ピン番号を抽出することができるようになっている。
上述した構成の作用について説明する。
ユニット装着検知装置9が行うユニット装着不良検知処理を図6の第1の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0024】
なお、以下に説明する各実施例における各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
S1a:まず、係員の操作により、カセットユニット5が現金処理機1から引き出された下部ユニット4に装着され、その下部ユニット4が現金処理機1に押し込まれてセットされるものとする。
【0025】
下部ユニット4が現金処理機1にセットされると現金処理機1の制御部11の指示により入出金部8は初期化(イニシャル)動作を行うものとする。
この初期化動作は、入出金部8が正常に動作することが可能であることを確認するための自己診断動作および紙幣を入出金するための各種機構等を所定の位置に移動させて紙幣の入手金動作を円滑に行うための準備動作である。
【0026】
ここで、制御部11は入出金部8全体の初期化動作を行うが、本実施例ではカセットユニット5の初期化動作を中心に説明するものとし、そのカセットユニット5の初期化動作はユニット装着検知装置9の制御部92の制御により行われる。
S2a:初期化(イニシャル)動作を行うとユニット装着検知装置9の制御部92はその初期化動作が正常に終了したか否かを判定する。
【0027】
その判定の結果、正常に初期化動作が完了した場合、カセットユニットが正常に装着されたとして処理を終了し、初期化動作で機器異常(エラー)を検知した場合、処理をS3aへ移行する。
S3a:初期化動作で機器異常を検知するとユニット装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常(エラー)コードに基づいて機器異常データベース20を検索(照合)する。
【0028】
S4a:装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出する。これにより、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を推定する。
例えば、機器異常コードが“0301”の場合、機器異常が発生しているカセットユニットがAカセットユニット、接続ピン番号が“3”であることを推定する。
【0029】
S5a:機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号を抽出すると制御部92は抽出したカセットユニットを識別するためのカセットユニット識別情報および接触不良が発生している接続ピン番号を識別するための接続ピン番号識別情報を、入出金部8を介して現金処理機1(上位装置)の制御部11へ通知し、その制御部11の指示により表示部2は係員に点検作業を行うことを誘導する点検誘導画面を表示する。
【0030】
この点検誘導画面は図7に示すように「エラー発生しているカセットは、XXカセットです。XXカセットのジャックインコネクタの△ピンを点検・清掃してください。装置本体側のジャックインコネクタの□ピンを点検・清掃してください。」等の文言および接続端子6、7を示す図柄ならびに点検・清掃対象の接続ピンを示す図柄等で構成されたものである。
【0031】
本実施例では、抽出した機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号に基づいて「XXカセット」を「Aカセット」、「△ピン」および「□ピン点検」を「3ピン」として表示させるものとする。
係員は表示された誘導画面にしたがって下部ユニット4を引き出して点検誘導画面で指示されたカセットユニット5を外し、そのカセットユニット5の接続端子6および下部ユニットの接続端子7の接続ピンを点検・清掃するものとする。本実施例では、Aカセットユニットを外し、接続端子6、7の3ピンを点検・清掃するものとする。
【0032】
S6a:現金処理機1の操作部3は係員による機器異常を復旧させるためのリセットキーの押下を待機する。
操作部3がリセットキーの押下を受け付けると制御部11がカセットユニット5の脱着があったか否かを判定する。その結果、脱着がされていないと判定されると処理をS7aへ移行し、脱着がされていると判定されると処理をS8aへ移行する。
【0033】
なお、カセットユニット5が脱着されたか否かは入出金部8の制御部が検知し、現金処理機1へ通知されるものとする。
S7a:脱着がされていないと判定されると現金処理機1の制御部11の指示により表示部2は接続ピンの点検・清掃がされていない旨のアラーム表示画面を表示し、係員に注意を促して処理をS5aへ移行する。
【0034】
S8a:一方、カセットユニット5の脱着がされていると判定されるとS1aと同様の初期化動作を行い、処理をS2aへ移行する。
このようにして装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を特定することにより、発生した機器異常を速やかに復旧させることができる。
【0035】
特に、カセットユニット5の脱着後に発生する機器異常は接続端子6、7に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることができる。
以上説明したように、第1の実施例では、接続端子6および接続端子7の接続ピンに接触不良があった場合、各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎および接続ピン番号毎に予め記憶する機器異常データベース20を記憶部91に設けたことにより、装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を特定することができるようになり、現金処理機1で発生している機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0036】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と機器異常データベースの構成が異なるものであり、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
機器異常データベースを図8の第2の実施例における機器異常データベースの説明図に基づいて説明する。
【0037】
図8において、30は機器異常データベースであり、ユニット装着検知装置9の記憶部91に予め記憶されるものである。
この機器異常データベース30は、接続端子6および接続端子7の接続ピンをセンサ制御系統、モータ制御系統、通信制御系統、電源系統(論理電源、駆動電源)等の制御系統別に分割し、その分割された一または複数の接続ピンを示す接続ピン群識別情報である接続ピン群31、およびその接続ピン群31が示す接続ピン群内の接続ピンの接触不良があった場合に各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎に予め記憶するAカセットユニット32、Bカセットユニット33、Cカセットユニット34で構成されている。
【0038】
ここで、機器異常コードとはユニット装着検知装置9の制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御するときに検知した機器異常の原因を識別するための情報であることは第1の実施例で説明したとおりである。
また、制御系統別に分割された接続ピン群は、所定の範囲内になるように一群を形成して配置されるものとし、例えば接続端子6および接続端子7の接続ピンが第1の実施例の図4で説明した接続ピン番号が付与されている場合、接続ピン番号1から3がセンサ制御系統、接続ピン番号4から6がモータ制御系統、接続ピン番号15から17が通信制御系統、接続ピン番号18から20が電源系統等に配置されるものとする。
【0039】
機器異常データベース30は、接触不良の可能性がある接続ピン群を示す接続ピン群31に関連付けて発生し得る機器異常コードを予め記憶したものであり、例えば、機器異常コードが“3001”の場合、Aカセットユニットとの接続端子6、7の“センサ制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示し、機器異常コードが“4002”の場合、Bカセットユニットとの接続端子6、7の“モータ制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があること、機器異常コードが“7003”の場合、Cカセットユニットとの接続端子6、7の“通信制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示すものとする。
【0040】
したがって、接触不良接続ピン抽出手段としての制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース30を検索し、機器異常が発生しているカセットユニット5および接触不良の接続ピン群を抽出することができる。
上述した構成の作用について説明する。
ユニット装着検知装置9が行うユニット装着不良検知処理を図9の第2の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0041】
S1b〜S3b:図6におけるS1a〜S3aと同様なのでその説明を省略する。
S4b:装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース30を検索すると機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出する。これにより、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を推定する。
【0042】
例えば、機器異常コードが“4001”の場合、機器異常が発生しているカセットユニットがAカセットユニット、接続ピン群が“モータ制御系統”であることを推定する。
S5b:機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン群を抽出すると制御部92は抽出したカセットユニットを識別するためのカセットユニット識別情報および接触不良が発生している接続ピン群を識別するための接続ピン群識別情報を、入出金部8を介して現金処理機1(上位装置)の制御部11へ通知し、その制御部11の指示により表示部2は係員に点検作業を行うことを誘導する点検誘導画面を表示する。
【0043】
この点検誘導画面は図10に示すように「エラー発生しているカセットは、XXカセットです。○○系統で、接触不良が発生しています。XXカセットのジャックインコネクタの○○系統の端子範囲を点検・清掃してください。装置本体側のジャックインコネクタの○○系統の端子範囲を点検・清掃してください。」等の文言および接続端子6、7を示す図柄ならびに点検・清掃対象の接続ピン群を示す図柄等で構成されたものである。
【0044】
本実施例では、抽出した機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号に基づいて「XXカセット」を「Aカセット」、「○○系統」を「モータ系統」として表示させるものとする。
係員は表示された誘導画面にしたがって下部ユニット4を引き出して点検誘導画面で指示されたカセットユニット5を外し、そのカセットユニット5の接続端子6および下部ユニットの接続端子7の接続ピン群を点検・清掃するものとする。本実施例では、Aカセットユニットを外し、接続端子6、7のモータ制御系統の接続ピン群を点検・清掃するものとする。
【0045】
S6b〜S8b:図6に示すS6a〜S8aと同様なのでその説明を省略する。
このようにして装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を特定することにより、発生した機器異常を速やかに復旧させることができる。
【0046】
特に、カセットユニット5の脱着後に発生する機器異常は接続端子6、7に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることができる。
以上説明したように、第2の実施例では、接続端子6および接続端子7の接続ピンに接触不良があった場合、各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎および接続ピン群毎に予め記憶する機器異常データベース20を記憶部91に設けたことにより、ユニット装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を特定することができるようになり、現金処理機1で発生している機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【0047】
なお、第1の実施例および第2の実施例において、ユニット装着検知装置9は現金処理機に搭載される例で説明したが現金処理機に限られることなく、例えば紙幣、硬貨、カード、通帳、チケット、切符、航空券、印刷用紙等を収納するユニットが着脱可能に構成される現金自動預払機、自動券売機、発券機、印刷機、複写機等の装置であってもよく、また、それらの装置に搭載された一部ではなく、それらの装置そのものであってもよく、接続端子を有するユニットを着脱可能に構成された装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施例におけるユニット装着検知装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例におけるユニット装着検知装置を搭載した現金処理機の説明図
【図3】第1の実施例における現金処理機の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における接続端子の説明図
【図5】第1の実施例における機器異常データベースの説明図
【図6】第1の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施例における点検誘導画面の説明図
【図8】第2の実施例における機器異常データベースの説明図
【図9】第2の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャート
【図10】第2の実施例における点検誘導画面の説明図
【図11】従来の接続端子の説明図
【符号の説明】
【0049】
1 現金処理機
2 表示部
3 操作部
4 下部ユニット
5 カセットユニット
6、7 接続端子
8 入出金部
9 ユニット装着検知装置
10、91 記憶部
11、92 制御部
20、30 機器異常データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や硬貨の現金を取扱う現金処理機や文書等を所定の用紙に複写する複写機等における現金や所定の用紙を収納するカセット等のユニットの装着不良を検知するユニット装着検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のユニット装着検知装置は、装着されるカセットユニットの整列方向に沿って光軸を通し、センサでその光軸が通る状態を検知してすべてのカセットユニットが正常に装着されていることを検知するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、現金を収納するカセット等のユニットを脱着する現金処理機等において、そのユニットと機体に電気的な接続端子を有する場合、図11に示すように機体側の所定の端子とユニット側の所定の端子(例えば、両端の端子)が導通状態にあることを確認してユニットが機体に正常に装着されたことを検知するようにしているものもある。
【特許文献1】特開平10−79068号公報(段落「0029」〜段落「0035」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、センサで光軸が通る状態を検知し、すべてのユニットが装着されていることを検知するようにしている場合、ユニットと機体に設けられた接続端子が正常に接続されていることを確認することができず、また機体側の接続確認用の端子とユニットの接続確認用の端子が導通状態にあることを確認するようにしても、それ以外の端子にごみ等の異物が混入して接触不良となっている場合、その接触不良を検知することができないという問題がある。
【0004】
特に、ユニットの脱着後に発生する機器異常は接続端子に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることが困難であるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、接触不良の接続ピンを検知するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、機器異常の原因となる接触不良が発生している接続端子の接続ピンを特定することができるようになり、機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明によるユニット装着検知装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は第1の実施例におけるユニット装着検知装置を搭載した現金処理機の説明図、図3は第1の実施例における現金処理機の構成を示すブロック図である。
図2および図3において、1は現金処理機であり、銀行や郵便局等の金融機関の営業店等に設置され、金融機関のオペレータの操作により、紙幣等の入金や出金等の取引を行うものである。
【0009】
2は表示部であり、液晶ディスプレイ等の表示画面で構成され、金融機関の係員が行う業務を選択するための業務選択画面、各種情報の入力を行う入力画面、係員の操作を誘導するための誘導画面や計数した現金の金額等を表示するものである。
3は操作部であり、通常のキーボード、操作の終了を指示する「完了」キーや現金処理機1を初期化(イニシャル)動作させるための「リセット」キー等の入力手段で構成され、係員の操作を受け付けるものである。
【0010】
4はユニット装着部としての下部ユニットであり、5は紙幣を収納するためのカセットユニットである。下部ユニット4は現金処理機1の本体から引出し可能に構成され、カセットユニット5を装着することができるようになっている。カセットユニット5は、例えば紙幣の金種ごとに3個のカセットユニットで構成され、カセットユニット5a、5bに万円券、カセットユニット5cに千円券を収納するものとする。
【0011】
6はカセットユニット5に設けられた接続端子であり、7は下部ユニット4に設けられた接続端子である。この接続端子6と接続端子7は、電気的な信号線を接続するためのものであり、例えば図2の矢印Aが示す方向に引き出された下部ユニット4にカセットユニット5を図2の矢印Bが示す方向へ挿入することにより接続端子6と接続端子7とが嵌合されて接続される。なお、接続端子6、7の詳細は後述する。
【0012】
図3において、8は入出金部であり、出金取引や入金取引に伴う紙幣の入出金処理を行うものである。ここで、入金処理とは図示しない入出金口に投入された紙幣を計数して金庫としてのカセットユニット5に収納することである。また、出金処理とは係員の操作により指定した金額に相当する紙幣を金庫としてのカセットユニット5から繰出して計数し入出金口に搬送して払い出すことである。
【0013】
9はユニット装着検知装置であり、接続端子を有するユニットが機体に装着されたことを検知するためのものである。このユニット装着検知装置9は、入出金部8に設けられ、カセットユニット5に設けられた接続端子6と下部ユニット4に設けられた接続端子7とが嵌合して接続されたことを確認してカセットユニット5が下部ユニット4に装着されたことを検知する。
【0014】
10は記憶部であり、半導体メモリや磁気ディスク等で構成され情報を記憶し、記憶した情報を読取ることができるものである。この記憶部10には現金処理機1全体の動作を制御する制御プログラム(ソフトウェア)、表示部2に表示する画面データ等を記憶する。
11は制御部であり、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段、ならびに制御手段、および処理手段等で構成されたものである。この制御部11は、表示部2、操作部3、入出金部8、および記憶部10を含めて現金処理機1全体の動作を記憶部10に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御する。
【0015】
このように現金処理機1の制御系は表示部2、操作部3、入出金部8、記憶部10、および制御部11等で構成されている。
次に、ユニット装着検知装置9を図1の第1の実施例におけるユニット装着検知装置の構成を示すブロック図に基づいて説明する。
図1に示すようにユニット装着検知装置9は、下部ユニット4に設けられた接続端子7、半導体メモリや磁気ディスク等で構成された記憶部91、CPU等の演算手段ならびに制御手段等で構成された制御部92で構成され、記憶部91に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御する。
【0016】
カセットユニット5は接続端子6を備え、その接続端子6に紙幣を検知するための紙幣検知センサ等のセンサ51、紙幣を収納させるためのモータや収納した紙幣を繰出すためのモータ等のモータ52、情報の送受信をするための通信デバイス53、カセットユニット5全体に電源を供給するための電源54等が接続されている。
また、カセットユニット5は下部ユニット4に正常に装着されると接続端子6と接続端子7とが嵌合して電気的に接続される。このように電気的に接続されることにより各種信号の入出力が可能になり、ユニット装着検知装置9の制御部92は、カセットユニット5のセンサ51、モータ52、通信デバイス53等を制御することができるようになる。
【0017】
なお、ユニット装着検知装置9の制御部92は入出金部8の図示しない制御部と接続され、その入出金部8の制御部の指示にしたがってユニット装着検知装置9全体および接続端子6、7で接続されたカセットユニット5を制御するものとする。
また、本実施例では、ユニット装着検知装置9は3個の接続端子6、7を介して3個のカセットユニット5a、5b、5cと接続することができるようになっているものとするが、3個に限られることなく、ひとつまたは3個以外の複数のカセットユニット5を接続するようにしてもよい。
【0018】
次に、接続端子6、7を図4の第1の実施例における接続端子の説明図に基づいて説明する。
図4(a)は接続端子6、図4(b)は接続端子7を示し、61は接続端子6の接続ピン、71は接続端子7の接続ピンを示す。この接続ピン61、71は図4に示すように例えば1から20の接続ピン番号が付与されているものとする。
【0019】
カセットユニット5が下部ユニット4に正常に装着されると接続端子6と接続端子7とが嵌合して接続ピン番号が1から20までの接続ピン61と接続ピン71とがそれぞれ接触し、導通可能になり電気的に接続されるようになっている。なお、図4における接続ピン番号が同一の接続ピン61と接続ピン71とが接続されるものとする。
次に、機器異常データベースを図5の第1の実施例における機器異常データベースの説明図に基づいて説明する。
【0020】
図5において、20は機器異常データベースであり、ユニット装着検知装置9の記憶部91に予め記憶されるものである。
この機器異常データベース20は、接続端子6および接続端子7のそれぞれの接続ピンを識別するために、一意に付与された番号を示す接続ピン番号21、およびその接続ピン番号21が示す接続ピンの接触不良があった場合に各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎に予め記憶するAカセットユニット22、Bカセットユニット23、Cカセットユニット24で構成されている。
【0021】
ここで、機器異常コードとはユニット装着検知装置9の制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御するときに検知した機器異常の原因を識別するための情報であり、例えばカセットユニット5に備えられたセンサから入力する信号が変化しない場合、所定の時間が経過してもモータが回転しない場合、所定の時間が経過しても送信した情報に対する応答がない場合等の機器異常の原因毎に予め決められた情報である。なお、この機器異常コードは制御部92が機器異常を検知すると必ず生成されるものとする。
【0022】
機器異常データベース20は、接触不良の可能性がある接続ピンの接続ピン番号21に関連付けて発生し得る機器異常コードを予め記憶したものであり、例えば、機器異常コードが“0101”の場合、Aカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“1”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示し、機器異常コードが“0202”の場合、Bカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“2”の接続ピンの接触不良の可能性があること、機器異常コードが“0303”の場合、Cカセットユニットとの接続端子6、7の接続ピン番号が“3”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示すものとする。
【0023】
したがって、接触不良接続ピン抽出手段としての制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索し、機器異常が発生しているカセットユニット5および接触不良の接続ピン番号を抽出することができるようになっている。
上述した構成の作用について説明する。
ユニット装着検知装置9が行うユニット装着不良検知処理を図6の第1の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0024】
なお、以下に説明する各実施例における各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
S1a:まず、係員の操作により、カセットユニット5が現金処理機1から引き出された下部ユニット4に装着され、その下部ユニット4が現金処理機1に押し込まれてセットされるものとする。
【0025】
下部ユニット4が現金処理機1にセットされると現金処理機1の制御部11の指示により入出金部8は初期化(イニシャル)動作を行うものとする。
この初期化動作は、入出金部8が正常に動作することが可能であることを確認するための自己診断動作および紙幣を入出金するための各種機構等を所定の位置に移動させて紙幣の入手金動作を円滑に行うための準備動作である。
【0026】
ここで、制御部11は入出金部8全体の初期化動作を行うが、本実施例ではカセットユニット5の初期化動作を中心に説明するものとし、そのカセットユニット5の初期化動作はユニット装着検知装置9の制御部92の制御により行われる。
S2a:初期化(イニシャル)動作を行うとユニット装着検知装置9の制御部92はその初期化動作が正常に終了したか否かを判定する。
【0027】
その判定の結果、正常に初期化動作が完了した場合、カセットユニットが正常に装着されたとして処理を終了し、初期化動作で機器異常(エラー)を検知した場合、処理をS3aへ移行する。
S3a:初期化動作で機器異常を検知するとユニット装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常(エラー)コードに基づいて機器異常データベース20を検索(照合)する。
【0028】
S4a:装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出する。これにより、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を推定する。
例えば、機器異常コードが“0301”の場合、機器異常が発生しているカセットユニットがAカセットユニット、接続ピン番号が“3”であることを推定する。
【0029】
S5a:機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号を抽出すると制御部92は抽出したカセットユニットを識別するためのカセットユニット識別情報および接触不良が発生している接続ピン番号を識別するための接続ピン番号識別情報を、入出金部8を介して現金処理機1(上位装置)の制御部11へ通知し、その制御部11の指示により表示部2は係員に点検作業を行うことを誘導する点検誘導画面を表示する。
【0030】
この点検誘導画面は図7に示すように「エラー発生しているカセットは、XXカセットです。XXカセットのジャックインコネクタの△ピンを点検・清掃してください。装置本体側のジャックインコネクタの□ピンを点検・清掃してください。」等の文言および接続端子6、7を示す図柄ならびに点検・清掃対象の接続ピンを示す図柄等で構成されたものである。
【0031】
本実施例では、抽出した機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号に基づいて「XXカセット」を「Aカセット」、「△ピン」および「□ピン点検」を「3ピン」として表示させるものとする。
係員は表示された誘導画面にしたがって下部ユニット4を引き出して点検誘導画面で指示されたカセットユニット5を外し、そのカセットユニット5の接続端子6および下部ユニットの接続端子7の接続ピンを点検・清掃するものとする。本実施例では、Aカセットユニットを外し、接続端子6、7の3ピンを点検・清掃するものとする。
【0032】
S6a:現金処理機1の操作部3は係員による機器異常を復旧させるためのリセットキーの押下を待機する。
操作部3がリセットキーの押下を受け付けると制御部11がカセットユニット5の脱着があったか否かを判定する。その結果、脱着がされていないと判定されると処理をS7aへ移行し、脱着がされていると判定されると処理をS8aへ移行する。
【0033】
なお、カセットユニット5が脱着されたか否かは入出金部8の制御部が検知し、現金処理機1へ通知されるものとする。
S7a:脱着がされていないと判定されると現金処理機1の制御部11の指示により表示部2は接続ピンの点検・清掃がされていない旨のアラーム表示画面を表示し、係員に注意を促して処理をS5aへ移行する。
【0034】
S8a:一方、カセットユニット5の脱着がされていると判定されるとS1aと同様の初期化動作を行い、処理をS2aへ移行する。
このようにして装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を特定することにより、発生した機器異常を速やかに復旧させることができる。
【0035】
特に、カセットユニット5の脱着後に発生する機器異常は接続端子6、7に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることができる。
以上説明したように、第1の実施例では、接続端子6および接続端子7の接続ピンに接触不良があった場合、各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎および接続ピン番号毎に予め記憶する機器異常データベース20を記憶部91に設けたことにより、装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン番号を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン番号を特定することができるようになり、現金処理機1で発生している機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0036】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と機器異常データベースの構成が異なるものであり、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
機器異常データベースを図8の第2の実施例における機器異常データベースの説明図に基づいて説明する。
【0037】
図8において、30は機器異常データベースであり、ユニット装着検知装置9の記憶部91に予め記憶されるものである。
この機器異常データベース30は、接続端子6および接続端子7の接続ピンをセンサ制御系統、モータ制御系統、通信制御系統、電源系統(論理電源、駆動電源)等の制御系統別に分割し、その分割された一または複数の接続ピンを示す接続ピン群識別情報である接続ピン群31、およびその接続ピン群31が示す接続ピン群内の接続ピンの接触不良があった場合に各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎に予め記憶するAカセットユニット32、Bカセットユニット33、Cカセットユニット34で構成されている。
【0038】
ここで、機器異常コードとはユニット装着検知装置9の制御部92がユニット装着検知装置9全体およびカセットユニット5を制御するときに検知した機器異常の原因を識別するための情報であることは第1の実施例で説明したとおりである。
また、制御系統別に分割された接続ピン群は、所定の範囲内になるように一群を形成して配置されるものとし、例えば接続端子6および接続端子7の接続ピンが第1の実施例の図4で説明した接続ピン番号が付与されている場合、接続ピン番号1から3がセンサ制御系統、接続ピン番号4から6がモータ制御系統、接続ピン番号15から17が通信制御系統、接続ピン番号18から20が電源系統等に配置されるものとする。
【0039】
機器異常データベース30は、接触不良の可能性がある接続ピン群を示す接続ピン群31に関連付けて発生し得る機器異常コードを予め記憶したものであり、例えば、機器異常コードが“3001”の場合、Aカセットユニットとの接続端子6、7の“センサ制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示し、機器異常コードが“4002”の場合、Bカセットユニットとの接続端子6、7の“モータ制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があること、機器異常コードが“7003”の場合、Cカセットユニットとの接続端子6、7の“通信制御系統”の接続ピンの接触不良の可能性があることを示すものとする。
【0040】
したがって、接触不良接続ピン抽出手段としての制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース30を検索し、機器異常が発生しているカセットユニット5および接触不良の接続ピン群を抽出することができる。
上述した構成の作用について説明する。
ユニット装着検知装置9が行うユニット装着不良検知処理を図9の第2の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0041】
S1b〜S3b:図6におけるS1a〜S3aと同様なのでその説明を省略する。
S4b:装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース30を検索すると機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出する。これにより、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を推定する。
【0042】
例えば、機器異常コードが“4001”の場合、機器異常が発生しているカセットユニットがAカセットユニット、接続ピン群が“モータ制御系統”であることを推定する。
S5b:機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン群を抽出すると制御部92は抽出したカセットユニットを識別するためのカセットユニット識別情報および接触不良が発生している接続ピン群を識別するための接続ピン群識別情報を、入出金部8を介して現金処理機1(上位装置)の制御部11へ通知し、その制御部11の指示により表示部2は係員に点検作業を行うことを誘導する点検誘導画面を表示する。
【0043】
この点検誘導画面は図10に示すように「エラー発生しているカセットは、XXカセットです。○○系統で、接触不良が発生しています。XXカセットのジャックインコネクタの○○系統の端子範囲を点検・清掃してください。装置本体側のジャックインコネクタの○○系統の端子範囲を点検・清掃してください。」等の文言および接続端子6、7を示す図柄ならびに点検・清掃対象の接続ピン群を示す図柄等で構成されたものである。
【0044】
本実施例では、抽出した機器異常が発生しているカセットユニットと接触不良が発生している接続ピン番号に基づいて「XXカセット」を「Aカセット」、「○○系統」を「モータ系統」として表示させるものとする。
係員は表示された誘導画面にしたがって下部ユニット4を引き出して点検誘導画面で指示されたカセットユニット5を外し、そのカセットユニット5の接続端子6および下部ユニットの接続端子7の接続ピン群を点検・清掃するものとする。本実施例では、Aカセットユニットを外し、接続端子6、7のモータ制御系統の接続ピン群を点検・清掃するものとする。
【0045】
S6b〜S8b:図6に示すS6a〜S8aと同様なのでその説明を省略する。
このようにして装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を特定することにより、発生した機器異常を速やかに復旧させることができる。
【0046】
特に、カセットユニット5の脱着後に発生する機器異常は接続端子6、7に混入したごみ等の異物が原因となる場合が多く、このような場合に機器異常を速やかに復旧させることができる。
以上説明したように、第2の実施例では、接続端子6および接続端子7の接続ピンに接触不良があった場合、各カセットユニットで発生しうる機器異常コードをカセットユニット毎および接続ピン群毎に予め記憶する機器異常データベース20を記憶部91に設けたことにより、ユニット装着検知装置9の制御部92は生成した機器異常コードに基づいて機器異常データベース20を検索して機器異常が発生しているカセットユニット5および接続ピン群を抽出し、接触不良が発生しているカセットユニット5および接続端子6、7の接続ピン群を特定することができるようになり、現金処理機1で発生している機器異常を速やかに復旧させることができるという効果が得られる。
【0047】
なお、第1の実施例および第2の実施例において、ユニット装着検知装置9は現金処理機に搭載される例で説明したが現金処理機に限られることなく、例えば紙幣、硬貨、カード、通帳、チケット、切符、航空券、印刷用紙等を収納するユニットが着脱可能に構成される現金自動預払機、自動券売機、発券機、印刷機、複写機等の装置であってもよく、また、それらの装置に搭載された一部ではなく、それらの装置そのものであってもよく、接続端子を有するユニットを着脱可能に構成された装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施例におけるユニット装着検知装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例におけるユニット装着検知装置を搭載した現金処理機の説明図
【図3】第1の実施例における現金処理機の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における接続端子の説明図
【図5】第1の実施例における機器異常データベースの説明図
【図6】第1の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施例における点検誘導画面の説明図
【図8】第2の実施例における機器異常データベースの説明図
【図9】第2の実施例におけるユニット装着不良検知処理を示すフローチャート
【図10】第2の実施例における点検誘導画面の説明図
【図11】従来の接続端子の説明図
【符号の説明】
【0049】
1 現金処理機
2 表示部
3 操作部
4 下部ユニット
5 カセットユニット
6、7 接続端子
8 入出金部
9 ユニット装着検知装置
10、91 記憶部
11、92 制御部
20、30 機器異常データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、
接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、
ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、
接触不良の接続ピンを検知するようにしたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【請求項2】
請求項1のユニット装着検知装置において、
前記接続ピン識別情報を、それぞれの接続ピンに一意に付与された接続ピン番号としたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【請求項3】
着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、
接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを制御系統別に分割した接続ピン群を識別するための接続ピン群識別情報およびその接続ピン群識別情報で識別される接続ピン群が接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、
ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン群識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、
接触不良の接続ピン群を検知するようにしたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【請求項1】
着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、
接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを識別するための接続ピン識別情報およびその接続ピン識別情報で識別される接続ピンが接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、
ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、
接触不良の接続ピンを検知するようにしたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【請求項2】
請求項1のユニット装着検知装置において、
前記接続ピン識別情報を、それぞれの接続ピンに一意に付与された接続ピン番号としたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【請求項3】
着脱可能なユニットの接続端子がユニット装着部の接続端子に接続されたことを検知して該ユニットが正しく装着されたことを検知するユニット装着検知装置において、
接続端子を構成するそれぞれの接続ピンを制御系統別に分割した接続ピン群を識別するための接続ピン群識別情報およびその接続ピン群識別情報で識別される接続ピン群が接触不良の場合に発生し得る機器異常を識別するための機器異常コードを関連付けて記憶する記憶部と、
ユニット装着部にユニットが装着された後の動作で検知した機器異常コードに基づいて前記記憶部を検索して接触不良の接続ピン群識別情報を抽出する接触不良接続ピン抽出手段とを設け、
接触不良の接続ピン群を検知するようにしたことを特徴とするユニット装着検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−110096(P2009−110096A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279241(P2007−279241)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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