説明

ライセンスプレートブラケットの取付構造

【課題】取付作業性を向上する。
【解決手段】ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22下縁に、下方に延出する延出部41を設け、延出部41をブラケット本体22に一体形成する。ブラケット本体22と延出部41間にヒンジ部42を形成し、ヒンジ部42を境に延出部41をライセンスプレートブラケット21の裏面側に折り返せるように構成してビレット13を延出部41とライセンスプレートブラケット21間に挟持できるように構成する。延出部41の自由端部側に設けられた補強ブロック62に、ブラケット本体22の円筒部27が挿入される挿入凹部63を形成し、挿入凹部63の底面64に、タッピンねじ28が挿入される挿入穴65を形成して固定手段66を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライセンスプレートを車両に固定する為のライセンスプレートブラケットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前部には、図5に示すように、ライセンスプレートブラケット801が設けられており、このライセンスプレートブラケット801を介してライセンスプレートを固定できるように構成されている。
【0003】
すなわち、前記車両のフロントバンパには、グリルが設けられており、該グリルには、車幅方向に延在するビレット811,・・・が配設されている。このビレット811,・・・の前部に、前記ライセンスプレートブラケット801が配置されるように構成されている。
【0004】
前記ビレット811,・・・の裏側には、一対の固定用ブラケット812,812が配置されており、該固定用ブラケット812,812は、前記ビレット811に外嵌するハット型断面形状に形成されている。これにより、前記両固定ブラケット812,812を、前記ビレット811の裏側から外嵌するとともに、ネジ813,・・・を前記ライセンスプレートブラケット801に螺入して固定することにより、当該ライセンスプレートブラケット801を車両に固定できるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなライセンスプレートブラケットの取付構造にあっては、ビレット811の前部に配置されたライセンスプレートブラケット801を押さえながら、前記ビレット811の裏側に二つの固定用ブラケット812,812を配置するとともに、両固定用ブラケット812,812を前記ライセンスプレートブラケット801に対して位置決めしつつ、上下のネジ813,・・・を螺入しなければならなかった。
【0006】
このため、前記固定用ブラケット812,812を位置決めして固定する際に、当該固定ブラケット812,812を落としてしまうことがあり、取付作業に苦労を要した。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、取付作業性を向上することができるライセンスプレートブラケットの取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明のライセンスプレートブラケットの取付構造にあっては、車幅方向に延在するビレットを備えたフロントバンパグリルに、ライセンスプレートを固定する為のライセンスプレートブラケットが取り付けられるライセンスプレートブラケットの取付構造において、前記ライセンスプレートブラケットに、当該ライセンスプレートブラケットの外側に延出する延出部を一体形成し、前記ライセンスプレートブラケットと前記延出部との間にヒンジ部を設けて、該ヒンジ部を境に前記延出部を前記ライセンスプレートブラケットの裏面側に折り返した状態で該ライセンスプレートブラケットに沿って配置された前記ビレットを前記延出部と前記ライセンスプレートブラケットとの間に挟持可能に構成するとともに、前記延出部と前記ライセンスプレートブラケットとの間に前記ビレットを挟持した状態で前記延出部の自由端部を前記ライセンスプレートブラケットに固定する固定手段を備えている。
【0009】
すなわち、ライセンスプレートブラケットを車両に固定する際には、ライセンスプレートブラケットをフロントバンパグリルに設けられたビレットに沿って配置する。そして、当該ライセンスプレートブラケットに設けられた延出部を、ヒンジ部にて折曲して裏側に折り返し、前記ライセンスプレートブラケットに沿って配置された前記ビレットを前記延出部と前記ライセンスプレートブラケットとの間に挟持する。
【0010】
この挟持状態において、前記延出部の自由端部を、固定手段によって前記ライセンスプレートブラケットに固定する。すると、該ライセンスプレートブラケットは、前記延出部と当該ライセンスプレートブラケットとが前記ビレットを挟持した状態で車両に固定される。
【0011】
このとき、前記ビレットを挟持する前記延出部は、前記ライセンスプレートブラケットに一体形成されている。このため、ライセンスプレートブラケットと別部材からなる固定用ブラケットを用いた従来のように、前記延出部を作業中に落とすといった不具合が防止される。
【0012】
また、前記ライセンスプレートブラケットと前記延出部との間には、ヒンジ部が形成されており、前記延出部を裏側へ折り返せるように構成されている。このため、別部材からなる固定用ブラケットを用いて固定する従来のように、前記ライセンスプレートブラケットに対する前記延出部の位置決め作業が不要となる。
【0013】
さらに、前記延出部は、前記ヒンジ部を介して前記ライセンスプレートブラケットに固定されている。このため、このヒンジ部側での固定作業が不要となる。
【0014】
なお、ここでは、前記ライセンスプレートブラケットを前記ビレットの前方に配置した後、前記延出部を前記ヒンジ部にて前記ライセンスプレートブラケットの裏面側に折り返す取付手順を例に挙げて説明したが、この取付手順に限定されるものではない。
【0015】
例えば、前記延出部を前記ビレットの後方に配置した後、前記ヒンジ部にて前記ライセンスプレートブラケットを前記ビレットの前方側に折り返して取り付けても良い。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明のライセンスプレートブラケットの取付構造にあっては、ライセンスプレートブラケットに設けられた延出部をヒンジ部にて裏側に折り返し、この延出部と前記ライセンスプレートブラケットとがビレットを挟持した状態で、当該ライセンスプレートブラケットを車両に固定することができる。
【0017】
このとき、前記ビレットを挟持する前記延出部は、前記ライセンスプレートブラケットに一体形成されている。このため、ライセンスプレートブラケットと別部材からなる固定用ブラケットを用いた従来のように、作業中に前記延出部を落としてしまうといった不具合を確実に防止することができる。
【0018】
また、前記ライセンスプレートブラケットと前記延出部との間には、ヒンジ部が形成されており、前記延出部を裏側へ折り返せるように構成されている。このため、別部材からなる固定用ブラケットを用いて固定する従来のように、前記ライセンスプレートブラケットに対する前記延出部の位置決め作業が不要となり、取付を容易に行うことができる。
【0019】
したがって、取付作業性を向上することができる。
【0020】
さらに、前記延出部は、前記ヒンジ部を介して前記ライセンスプレートブラケットに固定されている。このため、このヒンジ部側での固定作業が不要となるとともに、固定に要する部材も不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるライセンスプレートブラケットの取付構造を備えた車両1を示す図であり、該車両1の前部には、フロントバンパ2が設けられている。
【0022】
このフロントバンパ2には、空気を取り込むためのフロントバンパグリル11が設けられており、該フロントバンパグリル11の開口部12には、車幅方向に延在する複数のビレット13,・・・が上下方向に並設されている。各ビレット13,・・・は、図2に示すように、取付状態にて水平に延在する水平部14と、該水平部14の車両前方FR側の前縁より斜め下方に延出した下方延出片15とによって断面L字状に形成されている。
【0023】
このビレット13には、ライセンスプレートブラケット21が取り付けられるように構成されており、この車両1には、前記ライセンスプレートブラケット21を介してライセンスプレートを固定できるように構成されている。
【0024】
前記ライセンスプレートブラケット21は、合成樹脂によって形成されており、前記ライセンスプレートに適合した長方形状のブラケット本体22を中心に構成されている。該ブラケット本体22の上縁には、図3に示すように、裏面側へ延出した上縁フランジ23が形成されており、該上縁フランジ23の下部には、裏面24側へ没入した没入部25が形成されている。該没入部25の裏面24は、取付時に前記ビレット13の前記下方延出片15に面接する面接部26を構成しており、該面接部26を前記ビレット13の前記下方延出片15に面接した状態で、当該ライセンスプレートブラケット21の車両後方RRへの傾きを防止できるように構成されている。この没入部25の下部には、円筒部27が立設されており、当該円筒部27にタッピンねじ28を螺入できるように構成されている。
【0025】
前記ブラケット本体22の左縁及び右縁には(左縁のみ図示)、図2に示したように、側縁フランジ31が一体形成されており、該側縁フランジ31には、上下のビレット13,13間に挿入される挿入部32が形成されている。また、前記側縁フランジ31には、前記挿入部32の下部に切欠部33が設けられており、該切欠部33奥側の縁部は、図3に示したように、前記ビレット13の前記下方延出片15に当接する当接部34を構成している。
【0026】
また、前記ブラケット本体22の下縁には、図2に示したように、下方に延出する縦長の延出部41,41が左右の二カ所に設けられており、両延出部41,41は、前記ブラケット本体22に一体形成されている。該ブラケット本体22と前記延出部41,41との間には、図3に示したように、前記下縁に沿って延在するヒンジ部42が形成されており、該ヒンジ部42は、当該ブラケット本体22の裏面24側に設けられた溝部43によって構成されている。該溝部43は、当該ブラケット本体22を裏面24側からプレスして形成されており、この溝部43によって形成された薄肉部44は、折り曲げに対する耐久性が高いPPヒンジを構成している。
【0027】
これにより、前記ヒンジ部42を境に前記延出部41を前記ライセンスプレートブラケット21の裏面側に折り返せるように構成されており、この折り返した状態において、当該ライセンスプレートブラケット21に沿って配置された前記ビレット13を、前記延出部41と前記ライセンスプレートブラケット21との間に挟持できるように構成されている。
【0028】
前記延出部41は、図3及び図4に示すように、当該延出部41を前記ブラケット本体22の裏面24側に折り返した状態で、前記ビレット13が挿入されるビレット挿入凹部51が形成されており、該ビレット挿入凹部51を形成する対向した側壁52,52間の幅寸法は、前記ビレット13の高さ寸法に適合する寸法に設定されている。
【0029】
また、前記ビレット挿入凹部51の深さ寸法は、前記側縁フランジ31の前記切欠部33(図2参照)における前記当接部34を前記ビレット13の前記下方延出片15を当接した状態で、当該ビレット13を収容できる深さに設定されている。
【0030】
前記ビレット挿入凹部51を構成する前記側壁52,53の外面には、補強ブロック61,62が設けられており、当該延出部41の自由端部側に設けられた補強ブロック62には、前記円筒部27が挿入される挿入凹部63が形成されている。該挿入凹部63の底面64には、前記タッピンねじ28が挿入される挿入穴65が形成されており、該挿入穴65に挿入されたタッピンねじ28を前記円筒部27に螺入した状態で、当該延出部41の自由端部を前記ブラケット本体22に固定できるように構成されている。これにより、本発明の固定手段66が構成されている。
【0031】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記ライセンスプレートブラケット21を車両1に固定する際には、当該ライセンスプレートブラケット21をフロントバンパグリル11に設けられたビレット13,・・・に沿って配置する。
【0032】
このとき、前記ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22に設けられた没入部25の面接部26を、上段のビレット13の下方延出片15に面接する。また、前記ブラケット本体22の側縁フランジ31に形成された挿入部32を上下のビレット13,13間に挿入するとともに、前記切欠部33奥側に設けられた当接部34を、前記ビレット13の前記下方延出片15に当接した状態で位置決めする。
【0033】
そして、当該ライセンスプレートブラケット21に設けられた延出部41,41を、ヒンジ部42,42にて折曲して裏面24側に折り返し、前記ライセンスプレートブラケット21に沿って配置された前記ビレット13を前記延出部41と前記ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22との間に挟持する。
【0034】
このとき、前記延出部41に設けられたビレット挿入凹部51に下段のビレット13を挿入し、該ビレット13を当該ビレット挿入凹部51内に保持するとともに、当該ビレット挿入凹部51の底面と前記ブラケット本体22の側縁フランジ31に設けられた当接部34との間に、前記ビレット13を挟持した状態で固定する。また、前記延出部41の前記補強ブロック62に設けられた挿入凹部63に、前記ブラケット本体22に突設された円筒部27を挿入する。これにより、仮止め状態を形成することができる。
【0035】
そして、前記挿入凹部63の底面64に開設された挿入穴65にタッピンねじ28を挿入するとともに、該タッピンねじ28を前記ブラケット本体22の前記円筒部27に螺入して、前記延出部41を前記ブラケット本体22に固定する。すると、前記ライセンスプレートブラケット21は、前記延出部41と当該ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22とが前記ビレット13を挟持した状態で、前記フロントバンパ2のフロントバンパグリル11に固定される。
【0036】
このように、前記ライセンスプレートブラケット21に設けられた前記延出部41を前記ヒンジ部42にて裏面24側に折り返し、この延出部41と前記ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22とが前記ビレット13を挟持した状態で、当該ライセンスプレートブラケット21を前記車両1に固定することができる。
【0037】
このとき、前記ビレット13を挟持する前記延出部41は、前記ライセンスプレートブラケット21に一体形成されている。このため、ライセンスプレートブラケット21と別部材からなる固定用ブラケットを用いた従来のように、前記延出部41を作業中に落とすといった不具合を確実に回避することができる。
【0038】
また、前記ライセンスプレートブラケット21と前記延出部41との間には、ヒンジ部42が形成されており、前記延出部41を裏面24側へ折り返せるように構成されている。このため、別部材からなる固定用ブラケットを用いて固定する従来のように、前記ライセンスプレートブラケット21に対する前記延出部41の位置決め作業を行うこと無く、位置決めを行うことができ、取付を容易に行うことができる。
【0039】
したがって、取付作業性を向上することができる。
【0040】
さらに、前記延出部41は、前記ヒンジ部42を介して前記ライセンスプレートブラケット21に固定されている。このため、このヒンジ部42側でのタッピンねじ28による固定作業が不要となるとともに、固定に要するタッピンねじ28等の固定部材も不要となる。
【0041】
なお、本実施の形態では、前記ライセンスプレートブラケット21のブラケット本体22を前記ビレット13の前方に配置した後、前記延出部41,41を前記ヒンジ部42にて前記ブラケット本体22の裏面24側に折り返す取付手順を例に挙げて説明したが、この取付手順に限定されるものではない。
【0042】
例えば、前記延出部41,41のビレット挿入凹部51を前記ビレット13の後方から嵌合した後、前記ヒンジ部42にて前記ブラケット本体22を前記ビレット13の前方側に折り返して取り付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の要部を示す斜視図である。
【図3】同実施の形態のライセンスプレートブラケットを示す断面図である。
【図4】同実施の形態のライセンスプレートブラケットをビレットに取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】従来のライセンスプレートブラケットを示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両
11 フロントバンパグリル
13 ビレット
21 ライセンスプレートブラケット
24 裏面
41 延出部
42 ヒンジ部
66 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延在するビレットを備えたフロントバンパグリルに、ライセンスプレートを固定する為のライセンスプレートブラケットが取り付けられるライセンスプレートブラケットの取付構造において、
前記ライセンスプレートブラケットに、当該ライセンスプレートブラケットの外側に延出する延出部を一体形成し、前記ライセンスプレートブラケットと前記延出部との間にヒンジ部を設けて、該ヒンジ部を境に前記延出部を前記ライセンスプレートブラケットの裏面側に折り返した状態で該ライセンスプレートブラケットに沿って配置された前記ビレットを前記延出部と前記ライセンスプレートブラケットとの間に挟持可能に構成するとともに、前記延出部と前記ライセンスプレートブラケットとの間に前記ビレットを挟持した状態で前記延出部の自由端部を前記ライセンスプレートブラケットに固定する固定手段を備えたことを特徴とするライセンスプレートブラケットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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