説明

ラインヘッドおよび画像形成装置

【課題】組立性に優れ、高精度な露光処理を実現することができるラインヘッドを提供すること、また、安価で、高品位な画像を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ラインヘッド13は、光透過性を有する基板71と、基板71の一方の面側に第1の方向に配列された複数の発光素子72と、基板71の他方の面に、光透過性を有する板状のスペーサ17を介して接合され、発光素子72からの光を結像するレンズアレイ16と、スペーサ17を基板71側とは反対側から覆うように設けられた支持部材6とを有し、スペーサ17の第1の方向に垂直または略垂直な第2の方向での幅は、基板71の第2の方向での幅以上であり、基板71の第2の方向での端がスペーサ17の第2の方向での端よりも外側に突出しないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドおよびそれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる複写機、プリンター等の画像形成装置には、筒状の感光体の外表面を露光処理して静電潜像を形成する露光手段が備えられている。かかる露光手段としては、感光体の軸線方向(主走査方向)に複数の発光素子を配列した構造を有するラインヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に開示されたラインヘッドでは、ガラス基板の一方の面上に発光素子としてボトムエミッション型の有機EL素子が複数設けられ、そのガラス基板の他方の面上に光透過性の屈折率層を介してSLアレイ(レンズアレイ)が設けられている。そして、上記のガラス基板、有機EL素子および屈折率層は、ヘッドケース内に収納され、上記のSLアレイは、このヘッドケースに形成された開口部に配置される。
【0003】
このようなラインヘッドでは、有機EL素子からの光がガラス基板および屈折率層を透過しSLアレイにより集光(結像)されるが、SLアレイとガラス基板との間に介在した屈折率層の屈折率を空気の屈折率より高めることで、有機EL素子からSLアレイへの光の取り込み量を増加させることができる。
また、このようなラインヘッドでは、遮光性を有するヘッドケースにより屈折率層が覆われているため、有機EL素子からSLアレイに入射しなかった光が外部に漏れるのを防止することができる。その結果、不要光による感光体の露光を防止することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1にかかるラインヘッドでは、ガラス基板の幅が屈折率層の幅よりも大きく、ガラス基板の幅方向での端部が屈折率層の端から突出しているため、その突出部分の機械的強度が低いものとなってしまう。そのため、ガラス基板等をヘッドケース内に設置する際等(組立時)に、ガラス基板の突出部分の欠けや割れ等が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−205384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、組立性に優れ、高精度な露光処理を実現することができるラインヘッドを提供すること、また、高品位な画像を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のラインヘッドは、光透過性を有する基板と、
前記基板の一方の面の第1の方向に配設された発光素子と、
前記基板の前記一方の面と対向する他方の面に接合され、光透過性を有するスペーサと、
前記スペーサの前記基板側の面と対向する面に接合され、前記発光素子からの光を結像する結像光学系と、
前記スペーサを前記基板側の面と対向する面を覆うように設けられ、前記結像光学系が挿通される開口部を備えるとともに前記基板を支持する遮光性の支持部材とを有し、
前記スペーサの前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅は、前記基板の前記第2の方向の幅以上であり、
前記基板の前記第2の方向の一方の端が前記スペーサの前記第2の方向の該一方の端よりも外側に突出しないように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のラインヘッドでは、前記基板の前記一方の面から前記第2の方向に引き出されるように設けられた配線部を有することが好ましい。
本発明のラインヘッドでは、前記カバー部材は、前記スペーサの前記基板側の面とは反対側の面に密着していることが好ましい。
本発明のラインヘッドでは、前記カバー部材は、前記スペーサの前記一方の面に垂直もしくは略垂直な側面に密着していることが好ましい。
【0009】
本発明の画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光するラインヘッドと、を有し、
前記ラインヘッドは、
光透過性を有する基板と、
前記基板の一方の面の第1の方向に配設された発光素子と、
前記基板の前記一方の面と対向する他方の面に接合され、光透過性を有するスペーサと、
前記スペーサの前記基板側の面と対向する面に接合され、前記発光素子からの光を結像する結像光学系と、
前記スペーサを前記基板側の面と対向する面を覆うように設けられ、前記結像光学系が挿通される開口部を備えるとともに前記基板を支持する遮光性の支持部材とを有し、
前記スペーサの前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅は、前記基板の前記第2の方向の幅以上であり、
前記基板の前記第2の方向の一方の端が前記スペーサの前記第2の方向の該一方の端よりも外側に突出しないように構成されていることを特徴とする。
【0010】
以上のような構成を有する本発明のラインヘッドによれば、組立性に優れ、幅が狭く、高精度な露光処理を実現することができる。また、本発明の画像形成装置によれば、安価で、高品位な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられたラインヘッドの横断面図である。
【図3】図2に示すラインヘッドに備えられた発光素子の概略構成を示す断面図である。
【図4】図2に示すラインヘッドの制御系の構成を示す図である。
【図5】図4に示す制御系の変形例を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかるラインヘッドの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のラインヘッドおよび画像形成装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図、図2は、図1に示す画像形成装置に備えられたラインヘッドの横断面図、図3は、図2に示すラインヘッドに備えられた発光素子の概略構成を示す断面図、図4は、図2に示すラインヘッドの制御系の構成を示す図、図5は、図4に示す制御系の変形例を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0013】
(画像形成装置)
図1に示す画像形成装置1は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Pに記録する電子写真方式のプリンターである。本実施形態では、画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンタである。
このような画像形成装置1は、図1に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット10と、転写工程のための転写ユニット20と、定着工程のための定着ユニット30と、紙などの記録媒体Pを搬送するための搬送機構40と、この搬送機構40に記録媒体Pを供給する給紙ユニット50とを有している。
【0014】
画像形成ユニット10は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション10Yと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション10Mと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション10Cと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション10Kとの4つの画像形成ステーションを備えている。
各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kは、静電的な潜像を担持する潜像担持体である感光ドラム(感光体)11を有し、その周囲(外周側)には、帯電ユニット12、ラインヘッド(露光ユニット)13、現像装置14、クリーニングユニット15が配設されている。ここで、各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kは、用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同じ構成である。
【0015】
感光ドラム11は、全体形状が円筒状をなし、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。そして、感光ドラム11の外周面(円筒面)付近には、感光層(図示せず)が設けられている。このような感光ドラム11の外周面は、ラインヘッド13からの光L(出射光)を受光する受光面111を有している(図2参照)。
帯電ユニット12は、コロナ帯電などにより感光ドラム11の受光面111を一様に帯電させるものである。
【0016】
ラインヘッド13は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム11の受光面111に向けて光Lを照射するものである。一様に帯電された感光ドラム11の受光面111に光Lが照射されると、その光Lの照射パターンに対応した潜像(静電潜像)が受光面111上に形成される。なお、ラインヘッド13の構成については、後に詳述する。
【0017】
現像装置14は、トナーを貯留する貯留部(図示せず)を有しており、当該貯留部から、感光ドラム11の受光面111にトナーを供給し、付与する。静電的な潜像が形成された受光面111にトナーが付与されると、当該潜像がトナー像として可視化(現像)される。
クリーニングユニット15は、感光ドラム11の受光面111に当接するゴム製のクリーニングブレード151を有し、後述する一次転写後の感光ドラム11上に残存するトナーをクリーニングブレード151により掻き落として除去するようになっている。
【0018】
転写ユニット20は、前述したような各画像形成ステーション10Y、10M、10C、10Kの感光ドラム11上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Pに転写するようになっている。
各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kでは、感光ドラム11が1回転する間に、帯電ユニット12による感光ドラム11の受光面111の帯電と、ラインヘッド13による受光面111の露光と、現像装置14による受光面111へのトナーの供給と、後述する一次転写ローラ22による中間転写ベルト21へのトナー像の一次転写と、クリーニングユニット15による受光面111のクリーニングとが順次行なわれる。
【0019】
転写ユニット20は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト21を有し、この中間転写ベルト21は、複数(図1に示す構成では4つ)の一次転写ローラ22と駆動ローラ23と従動ローラ24とで張架されており、駆動ローラ23の回転により、図1に示す矢印方向に、感光ドラム11の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
各一次転写ローラ22は、対応する感光ドラム11に中間転写ベルト21を介して対向配設されており、感光ドラム11上の単色のトナー像を中間転写ベルト21に転写(一次転写)するようになっている。この一次転写ローラ22は、一次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。
【0020】
中間転写ベルト21上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも1色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト21上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
また、転写ユニット20は、中間転写ベルト21を介して駆動ローラ23に対向配設される二次転写ローラ25と、中間転写ベルト21を介して従動ローラ24に対向配設されるクリーニングユニット26とを有している。
【0021】
二次転写ローラ25は、中間転写ベルト21上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像(中間転写像)を、給紙ユニット50から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写(二次転写)するようになっている。二次転写ローラ25は、二次転写時に、中間転写ベルト21に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。このような二次転写時には、駆動ローラ23は、二次転写ローラ25のバックアップローラとしても機能する。
【0022】
クリーニングユニット26は、中間転写ベルト21の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード261を有し、二次転写後の中間転写ベルト21上に残存するトナーをクリーニングブレード261により掻き落として除去するようになっている。
定着ユニット30は、定着ローラ301と、定着ローラ301に圧接される加圧ローラ302とを有しており、定着ローラ301と加圧ローラ302との間を記録媒体Pが通過するよう構成されている。また、定着ローラ301の内側には、当該定着ローラ301の外周面を加熱するヒータが内蔵されている。このような構成の定着ユニット30では、トナー像の二次転写を受けた記録媒体Pが定着ローラ301と加圧ローラ302との間を通過しながら加熱および加圧されることにより、トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させる。
【0023】
搬送機構40は、前述した二次転写ローラ25と中間転写ベルト21との間の二次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Pを搬送するレジストローラ対41と、定着ユニット30での定着処理済みの記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対42、43、44とを有している。
このような搬送機構40は、記録媒体Pの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを搬送ローラ対42により挟持搬送して、画像形成装置1の外部へ排出する。また、記録媒体Pの両面に画像形成する場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦搬送ローラ対42により挟持した後に、搬送ローラ対42を反転駆動するとともに、搬送ローラ対43、44を駆動して、当該記録媒体Pを表裏反転してレジストローラ対41へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
給紙ユニット50は、未使用の記録媒体Pを収容する給紙カセット51と、給紙カセット51から記録媒体Pを1枚ずつレジストローラ対41へ向け給送するピックアップローラ52とを備えている。
【0024】
(ラインヘッド)
次に、ラインヘッド13について説明する。
ラインヘッド13は、感光ドラム11の外周面(より具体的には受光面111)に対向して配設されている(図1および図2参照)。
このラインヘッド13は、図2に示すように、支持部材6と、発光基板ユニット7と、を有しており、図示しないが、後述のとおり、発光基板ユニット7には、発光素子72を駆動する回路を制御する制御基板が接続されている。
このようなラインヘッド13では、発光基板ユニット7から出射した光Lがスペーサ17およびレンズアレイ16を透過して、感光ドラム11の受光面111に照射される。
【0025】
以下、ラインヘッド13を構成する各部を順次詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、発光基板ユニット7の基板71の長手方向(第1の方向)を「主走査方向」、幅方向(第2の方向)を「副走査方向」と言う。
支持部材6は、長尺状(長手形状)をなし、感光ドラム11の軸線方向(主走査方向)に沿うように設置されている。
この支持部材6は、図2に示すように、基板搭載部61と、1対の脚部62とを有し、支持部材6の横断面形状は、略U字状をなしている。
【0026】
基板搭載部61は、図2に示す横断面(後述する基板71の長手方向に垂直な断面)にて、基板71の板面に沿うように設けられている。
基板搭載部61は、長尺板状をなし、その一方の面側(図2にて下側)には、後述する発光基板ユニット7の基板71が搭載されている。そして、基板搭載部61は、後述するスペーサ17を介して基板71を固定・支持している。
また、基板搭載部61には、各発光素子72の光軸方向に貫通する開口部611が形成されており、その開口部611を介してレンズアレイ16が支持部材6の内外を貫通するように設けられている。
【0027】
1対の脚部62は、基板搭載部61の幅方向(副走査方向)での両端部から基板71側へ延びている。すなわち、1対の脚部62は、基板搭載部61の幅方向での両端部(すなわち短手方向での両端部)から下方に延びている。これにより、支持部材6の内側に、発光基板ユニット7が設けられている。
このような支持部材6は、例えば金属材料で構成されている場合、電磁シールド性を有し、後述する駆動回路821や配線ユニット9の一部を覆うように配設されている。これにより、駆動回路821および配線ユニット9の一部と外部との間での電磁気的悪影響を防止することができる。その結果、ラインヘッド13の露光特性を高めることができる。
【0028】
また、支持部材6は、その横断面が前述したように略U字状をなすように構成することで、比較的簡単な構成で、支持部材6の剛性を優れたものとすることができる。さらに、基板搭載部61で基板71を支持することで、基板71を安定的に支持し、安定した露光処理を行うことができる。特に、基板搭載部61は、その平面度が高いため、基板71の平面度を高い状態で維持することができる。
また、支持部材6は、金属板を折り曲げ加工したものである場合、比較的簡単かつ安価に得ることができる。
また、支持部材6は、各発光素子72から後述するレンズアレイ16へ入射しなかった光が外部に漏れるのを防止する機能(遮光性)を有する。
【0029】
特に、支持部材6は、スペーサ17の基板71側とは反対側の面に密着している。これにより、支持部材6と、スペーサ17の基板71側とは反対側の面との間に空気層が形成されるのを防止することができる。その結果、発光素子72からスペーサ17に入射した光がスペーサ17の基板71側とは反対側の面で反射するのを防止することができる。そのため、不要光(ゴースト光)がレンズアレイ16から出射されるのを防止し、高精度な露光処理を実現することができる。
【0030】
さらに、支持部材6は、スペーサ17の側面に密着している。これにより、支持部材6とスペーサ17の側面との間に空気層が形成されるのを防止することができる。その結果、発光素子72からスペーサ17に入射した光がスペーサ17の側面で反射するのを防止することができる。そのため、不要光(ゴースト光)がレンズアレイ16から出射されるのを防止し、高精度な露光処理を実現することができる。
【0031】
このように、本実施形態では、支持部材6とスペーサ17との間に空気層がほとんど存在しないため、不要光(ゴースト光)がレンズアレイ16から出射されるのをより確実に防止し、極めて高精度な露光処理を実現することができる。
支持部材6の構成材料としては、特に限定されず、各種金属材料(特に軟磁性材料)を用いることができるが、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金等が好適に用いられる。
このようにして支持部材6は、発光基板ユニット7を支持している。
【0032】
発光基板ユニット7は、長尺状をなす基板71と、基板71の一方の面側にその長手方向に沿って配列された複数の発光素子72と、複数の発光素子72を覆う封止部材73とを備えている。
基板71は、各発光素子72を支持するもの(基板)であり、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。
【0033】
この基板71は、ガラス材料で構成されている。すなわち、基板71は、ガラス基板である。ガラス基板は、絶縁性および光透過性を有する。そのため、基板71がガラス基板であると、比較的簡単かつ安価に、基板71上に発光素子72として有機エレクトロルミネッセンス素子を形成することができる。また、後述するようにボトムエミッション構造の各発光素子72からの光Lを基板71を介して出射することができる。また、ガラス基板はその平面度が比較的高いため、基板71にガラス基板を用いることにより、発光素子72とレンズアレイ16との間の距離のバラツキを低減し、レンズアレイ16が感光ドラム11の受光面111に対し高精度に光Lを結像することができる。
また、基板71をガラス材料で構成することにより、各発光素子72の発光により生じる熱を基板71を介して支持部材6等へ効率良く放熱することができる。
【0034】
このような基板71には、一方の面(図2にて下側の面)に、複数の発光素子72および封止部材73が接合されている。
複数の発光素子72は、基板71上にその長手方向(主走査方向)に沿って配列されている。また、各発光素子72は、その光軸が基板71の板面に略直交するように設置されている。
【0035】
各発光素子72は、有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)で構成されている。
より具体的に説明すると、各発光素子72は、図3に示すように、陽極722と、陽極722上に設けられた有機半導体層723と、有機半導体層723上に設けられた陰極724とを備え、これらが基板71上に設けられている。
また、本実施形態では、有機半導体層723は、陽極722側から陰極724側へ、正孔輸送層726、発光層727および電子輸送層728の順で積層された複数の層で構成される積層体となっている。
【0036】
このような発光素子72では、陽極722と陰極724との間に直流電圧が印加されると、これにより、発光層727において、電子輸送層728を介して輸送された電子と、正孔輸送層726を介して輸送された正孔とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギーが光L(蛍光やりん光)として放出される。これにより、発光素子72(発光層727)が発光する。
本実施形態では、この発光素子72は、発光層727からの光Lを陽極722側に取り出して利用するボトムエミッション構造の素子となっている。
【0037】
陽極722は、有機半導体層723(後述する正孔輸送層726)に正孔を注入する電極である。この陽極722の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
【0038】
陰極724は、有機半導体層723(後述する電子輸送層728)に電子を注入する電極である。また、この陰極724は、陰極724側に漏れた光Lを陽極722側に反射する反射膜としての機能も有している。これにより、レンズアレイ16側に向かう光Lの光量をより多く確保することができる。
陰極724の構成材料としては、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
陽極722と陰極724との間には、有機半導体層723が設けられている。有機半導体層723は、前述したように、正孔輸送層726と、発光層727と、電子輸送層728とを備え、これらがこの順で陽極722上に積層されている。
【0039】
正孔輸送層726は、陽極722から注入された正孔を発光層727まで輸送する機能を有するものである。
正孔輸送層726の構成材料(正孔輸送材料)は、正孔輸送能力を有するものであれば、いかなるものであってもよいが、共役系の化合物であるのが好ましい。共役系の化合物は、その特有な電子雲の広がりによる性質上、極めて円滑に正孔を輸送できるため、正孔輸送能力に特に優れる。
【0040】
このような正孔輸送材料としては、例えば、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサンのようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミンのようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミンのようなフェニレンジアミン系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、フタロシアニンのようなフタロシアニン系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
電子輸送層728は、陰極724から注入された電子を発光層727まで輸送する機能を有するものである。
電子輸送層728の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)のようなベンゼン系化合物(スターバースト系化合物)、ナフタレンのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセンのようなクリセン系化合物、ペリレンのようなペリレン系化合物、アントラセンのようなアントラセン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、発光層727としては、電圧印加時に陽極722側から正孔を、また、陰極724側から電子を注入することができ、正孔と電子が再結合する場を提供できる構成材料により構成されるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0042】
このような発光層727の構成材料(発光材料)としては、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1)、1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリスフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)のようなベンゼン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq)、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))のような低分子系のものや、オキサジアゾール系高分子、トリアゾール系高分子、カルバゾール系高分子のような高分子系のものが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて、目的とする発光色を有する光Lを得ることができる。
【0043】
本実施形態では、各発光素子72がいずれも赤色光を発光するように構成されている。ここで、赤色光を発光する発光層727としては、例えば、(4−ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)およびナイルレッド等が挙げられる。なお、各発光素子72は、赤色光を発光するよう構成されているのに限定されず、他の色の単色光や白色光を発光するよう構成されていてもよい。このように、有機EL素子では、発光層727の構成材料に応じて当該発光層727が発する光Lを任意の色の単色光に適宜設定することができる。
ただし、一般に電子写真プロセスに用いられる感光ドラム(感光体)の分光感度特性は、半導体レーザーの発光波長である赤色から近赤外の領域でピークを持つように設定されているので、上記のように赤色の発光材料を利用することが好ましい。
【0044】
このような有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)で各発光素子72がそれぞれ構成されていると、発光素子72同士の間隔(ピッチ)を比較的小さく設定することができる。言い換えると、基板71の幅方向(副走査方向)での発光素子72の数を抑えながら、基板71の長手方向(主走査方向)での発光素子72の配置密度を高めることができる。これにより、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度が比較的高くなる。よって、より鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0045】
また、有機EL素子で各発光素子72が構成されていると、発光素子72を形成する際に、発光素子72と一括して、発光素子72を駆動するための駆動回路の一部を構成するTFTや配線等を基板71上に形成することができる。
なお、各発光素子72の外周側には、それぞれ、光Lの広がりを防止するためのリフレクタのような光路調整部材を設けてもよい。
また、以上に述べた有機EL素子の材料あるいは層構成は、代表的な例を示したものであり、他の材料、層構成であっても同様に本発明の作用・効果は得られる。
【0046】
このような各発光素子72とともに基板71の一方の面側に設けられた封止部材73は、図2に示すように、凹部731が形成され、その凹部731の周縁部が接着剤等により基板71に接合されている。そして、凹部731内に複数の発光素子72が納められている。これにより、封止部材73は、複数の発光素子72を覆っている。
封止部材73は、ガスバリア性を有し、封止部材73と基板71とは気密的に接合されている。これにより、各発光素子72を構成する各部を水分や酸素などを含む雰囲気ガスから遮断し当該各部の酸化や劣化を防止することができる。また、各発光素子72等に異物が付着するのを防止することもできる。
封止部材73の凹部731内には、乾燥剤および/または脱酸素剤が設けられているのが好ましい。これにより、各発光素子72を構成する各部の酸化や劣化をより確実に防止することができる。
【0047】
乾燥剤としては、凹部731内で吸湿効果を発揮するものであれば、特に限定されることはなく種々のものが使用可能であり、例えば酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、硫酸リチウム(Li2SO4)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸ガリウム(Ga2(SO43)、硫酸チタン(Ti(SO42)、硫酸ニッケル(NiSO4)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化ストロンチウム(SrCl2)、塩化イットリウム(YCl3)、塩化銅(CuCl2)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化タンタル(TaF5)、フッ化ニオブ(NbF5)、臭化カルシウム(CaBr2)、臭化セリウム(CeBr3)、臭化セレン(SeBr4)、臭化バナジウム(VBr2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、ヨウ化バリウム(BaI2)、ヨウ化マグネシウム(MgI2)、過塩素酸バリウム(Ba(ClO42)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO42)等が挙げられる。
また、脱酸素剤としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。
【0048】
この封止部材73の構成材料としては、特に限定されず、ステンレス、アルミニウムまたはその合金等の金属材料、ソーダ石灰ガラス、珪酸塩ガラス等のガラス材料、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の樹脂材料等を用いることができるが、ガラス材料が好適に用いられる。封止部材73と基板71とをともにガラス材料で構成することで、これらの間の線膨張係数差による変形、損傷等の不具合を防止することができる。
【0049】
一方、基板71の他方の面(図2にて上側の面)は、スペーサ17を介してレンズアレイ16が接合されている。
レンズアレイ16は、発光基板ユニット7の光Lの出射側に設けられている。このレンズアレイ16は、前述した発光素子72からの光を結像する結像光学系である。
図2に示すレンズアレイ16は、2列で主走査方向に俵積みするように多数配列された多数の屈折率分布型のロッドレンズ161を有している。
各ロッドレンズ161は、その光軸が基板71の厚さ方向となるように設置されている。また、各ロッドレンズ161は、例えば、光透過性を有する樹脂材料および/またはガラス材料で構成されている。
【0050】
スペーサ17は、基板71とレンズアレイ16との間に設けられ、レンズアレイ16を基板71に対して支持するとともに、基板71とレンズアレイ16との間の光路長を規定するものである。このスペーサ17は、板状をなし、例えば、光透過性を有する樹脂材料および/またはガラス材料で構成されている。このようなスペーサ17を設けることで、スペーサ17の厚さに応じて各発光素子72とレンズアレイ16との間の距離を調整することができる。その結果、比較的簡単な構成で、高精度な露光処理を実現することができる。
【0051】
また、スペーサ17は、光透過性基板であり、レンズアレイ16がスペーサ17に接合・支持されている。これにより、各発光素子72とレンズアレイ16との間の距離を簡単かつ正確に規定することができる。
【0052】
また、スペーサ17は、板状をなすものであるため、各発光素子72とレンズアレイ16との間の距離、および、基板71と支持部材6との間に距離を高精度でかつ安定的に規定することができる。
また、スペーサ17は、基板71に接合されている。これにより、スペーサ17を基板71に対して安定的に支持することができる。その結果、スペーサ17がレンズアレイ16を基板71に対してより安定的に支持することができる。
【0053】
特に、図2に示すように、スペーサ17の副走査方向(第1の方向に垂直または略垂直な第2の方向)での幅Wは、基板71の副走査方向での幅Wよりも大きい。
そして、基板71の副走査方向での端がスペーサ17の副走査方向での端よりも外側に突出しないように構成されている。
これにより、基板71の幅方向での端部がスペーサ17により補強され、当該端部の機械的強度が増す。そのため、ラインヘッド13の組立時に基板71の幅方向での端部の欠けや割れ等を防止することができる。
【0054】
また、スペーサ17の主走査方向(第1の方向)での幅が基板71の主走査方向での幅よりも大きく、基板71の主走査方向での端がスペーサ17の主走査方向での端よりも外側に突出しないように構成されているのが好ましい。すなわち、スペーサ17は、平面視したときに、基板71を含むように構成されているのが好ましい。これにより、基板71の主走査方向での端部の割れ・欠けを防止することもできる。
【0055】
また、前述したように、スペーサ17の基板71側とは反対側の面は、遮光性を有する支持部材6に密着している。また、スペーサ17Aの側面も、支持部材6に密着している。したがって、本実施形態では、支持部材6とスペーサ17との間に空気層が存在しないため、スペーサ17の側面や上面での反射に起因する不要光(ゴースト光)がレンズアレイ16から出射されるのをより確実に防止し、極めて高精度な露光処理を実現することができる。
前述した発光基板ユニット7には、配線ユニット9を介して後述する制御回路822が電気的に接続されている。
【0056】
ここで、図4ないし図5に基づいて、ラインヘッド13の制御系を説明する。
図4に示すように、ラインヘッド13は、回路部82を有している。そして、回路部82は、各発光素子72を駆動するための駆動回路821と、この駆動回路821の作動を制御する制御回路822とを備える。
駆動回路821は、前述した各発光素子72を駆動するためのものである。
本実施形態では、駆動回路821は、ゲート電圧保持型の複数の定電流駆動回路83と、選択スイッチ84と、ドライバIC85とを備えている。
【0057】
各定電流駆動回路83は、定電流トランジスタ831と、電圧保持コンデンサ832と、選択トランジスタ833とを有している。
このような各定電流駆動回路83では、選択トランジスタ833がオンされると、後述するドライバIC85の出力電圧に応じた定電流が定電流トランジスタ831を通じて発光素子72に流れ、発光素子72が発光する。また、ドライバIC85の出力電圧が電圧保持コンデンサ832に保持されることで、選択トランジスタ833がオフされても、発光素子72に電流が流れ続け、発光素子72の発光が維持される。
選択スイッチ84は、制御回路822からのselect信号により切り替えられ、所定のブロックごとに、定電流駆動回路83を選択する。この選択スイッチ84を切り替えることで、所定ブロックごとに各発光素子72に通電する電圧を設定することができる。
【0058】
ドライバIC85は、シフトレジスタ851と、ラッチ回路852と、DAC853(D/Aコンバータ)とを備えている。
このようなドライバIC85では、制御回路822からシフトレジスタ851に、startパルス信号(start)をトリガにして、クロック信号(CLK)に同期したデータ信号(DATA)が送られる。一方、ラッチ回路852には制御回路822からLatch信号(Latch)が送られ、シフトレジスタ851でデータ信号が所定タイミングで揃うように、データ信号がラッチされる。そして、データ信号(デジタル信号)が所定タイミングで揃えられた状態でDAC853に送られ、DAC853は前述した定電流駆動回路83(選択トランジスタ833)に所定の電圧信号(アナログ信号)を出力する。
【0059】
なお、前述した駆動回路821は、アクティブ型の駆動回路であるが、この駆動回路821に代えて、例えば、図5に示すようなパッシブ型の駆動回路821Aを用いてもよい。この駆動回路821Aでは、定電流タイプのドライバIC85Aを用い、選択スイッチ84Aは、制御回路822からのselect信号により切り替えられ、所定のブロックごとに、発光素子72を選択する。
ここで、複数の定電流駆動回路83および選択スイッチ84は、前述した基板71上に設けられた回路部である。また、ドライバIC85は、後述する配線ユニット9上に設けられた半導体素子である。
【0060】
以上説明したような駆動回路821は、制御回路822により制御される。
制御回路822は、駆動回路821の作動を制御するものである。この制御回路822は、後述するプリンタコントローラ18からの信号に基づき、駆動回路821の作動を制御する。
このような制御回路822は、インターフェース回路86と、複数(本実施形態では2つ)のデータ制御回路87と、補正値メモリ88とを備えている。
【0061】
インターフェース回路86は、画像形成装置1本体(ラインヘッド13の外部)に備えられたプリンタコントローラ18から信号を受け取るものである。本実施形態では、インターフェース回路86は、図4に示すように、LVDS(Low voltage differential signaling)を用いた受信回路で構成されており、プリンタコントローラ18から、タイミングクロックとともに、データ線に展開されたデータを受け取り、各データ制御回路87に分配する。
データ制御回路87は、インターフェース回路86からのデータを補正値メモリ88の補正データに基づいて、各発光素子72の発光量が最適となるように補正し、補正後のデータを制御信号とともに前述したドライバIC85(シフトレジスタ851)に送る。
【0062】
プリンタコントローラ18は、各発光素子72の駆動制御のための信号を制御回路822に送信する機能を有するものである。本実施形態では、プリンタコントローラ18は、ラインヘッド13の駆動制御のためのヘッド制御部181と、このヘッド制御部181からの信号を前述したインターフェース回路86に送信するための送信回路182とを備えている。また、プリンタコントローラ18は、画像形成装置1の各部を制御する機能をも有する。
このような制御系(回路部82)により各発光素子72の駆動が制御される。なお、上述した制御系の構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
このような回路部82は、各発光素子72に電気的に接続されている。
【0063】
配線ユニット9は、基板71の下面(一方の面)から副走査方向に引き出されるように設けられている。
この配線ユニット9は、前述した発光基板ユニット7上の回路部と、発光基板ユニット7の外部の回路部(以下、「外部回路」とも言う)とを電気的に接続する配線を備えるもの(配線部)である。
本実施形態では、配線ユニット9は、複数のフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されている。これにより、基板71に対する外部回路の設置の自由度を高めることができる。なお、配線ユニット9は、単数のフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されていてもよい。
【0064】
配線ユニット9(フレキシブルプリント基板)は、図2に示すように、基板71の幅方向での一端部に固定されている。これにより、ラインヘッド13の長手方向での寸法を短くする(長尺化を防止する)ことができる。このようなラインヘッド13を用いることで、画像形成装置1の小型化(主走査方向での寸法の小型化)を図ることができる。
このような配線ユニット9の配線の一端は、基板71上の配線に対し異方性導電接着剤(ACF)等を用いて接続されている。
【0065】
ここで、配線ユニット9の配線の一端は、基板71の下面の副走査方向での端部に接続されている。前述したように、基板71の副走査方向での端部はスペーサ17により補強されているので、ラインヘッド13の組立時などに、配線ユニット9に外力が与えられても、基板71の副走査方向での端部の割れ・欠けを防止することができる。
また、本実施形態では、スペーサ17の副走査方向での一端部(図2にて左側の端部)が基板71の端よりも外側に突出している。これにより、ラインヘッド13の組立時などに、配線ユニット9に外力が与えられるのを防止(他の物体との接触を防止)し、配線ユニット9が基板71から剥がれるのを防止することができる。
【0066】
以上説明したようなラインヘッド13によれば、スペーサ17の副走査方向での幅Wが基板71の副走査方向での幅Wよりも大きく、基板71の副走査方向での端がスペーサ17の副走査方向での端よりも外側に突出しないように構成されているので、基板71の幅方向での端部がスペーサ17により補強され、当該端部の機械的強度が増す。そのため、ラインヘッド13の組立時に基板71の幅方向での端部の欠けや割れ等を防止することができる。
【0067】
特に、スペーサ17の副走査方向での一端部(基板71と配線ユニット9との接続側の端部)が基板71の端よりも外側に突出している。これにより、ラインヘッド13の組立時などに、配線ユニット9に外力が与えられるのを防止(他の物体との接触を防止)し、配線ユニット9が基板71から剥がれるのを防止することができる。
また、基板71およびスペーサ17が支持部材6内に収納されているので、発光素子72からレンズアレイ16に入射しなかった光が外部に漏れるのを防止することができる。
このようにして、ラインヘッド13は、組立性に優れ、高精度な露光処理を実現することができる。また、このようなラインヘッド13を備える画像形成装置1は、安価で、高品位な画像を得ることができる。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかるラインヘッドの横断面である。
以下、第2実施形態のラインヘッドについて、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のラインヘッド13Aは、スペーサおよび支持部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態のラインヘッド13と同様である。
【0069】
本実施形態のラインヘッド13Aでは、図6に示すように、基板71とレンズアレイ16との間に介在するスペーサ17Aと、このスペーサ17Aの上面側を覆うように設けられた支持部材6Aとを有している。
本実施形態では、スペーサ17Aの副走査方向での幅Wが基板71の副走査方向での幅Wとほぼ等しく、かつ、基板71の副走査方向での端がスペーサ17Aの副走査方向での端よりも外側に突出しないように構成されている。
これにより、基板71の幅方向での端部がスペーサ17Aにより補強され、当該端部の機械的強度が増す。そのため、ラインヘッド13Aの組立時に基板71の幅方向での端部の欠けや割れ等を防止することができる。
【0070】
また、支持部材6Aは、その内部空間の副走査方向での幅を拡げるように段差部63が設けられている。
このような段差部63を設けることにより、組立時等に、配線ユニット9の基板71付近の屈曲部と支持部材6Aとの接触を防止することができる。その結果、配線ユニット9が基板71から剥がれるのを防止することができる。
【0071】
以上、本発明のラインヘッドおよび画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ラインヘッドおよび画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、レンズアレイは、複数のレンズが2行n列の行列状に配置さているのに限定されず、例えば、3行n列、4行n列等の行列状に配置されていてもよい。
【0072】
また、レンズアレイとして、マイクロレンズが多数配列されたマイクロレンズアレイを用いることもできる。
また、前述した実施形態では、説明の便宜上、発光素子が1行n列に配列したものを説明したが、これに限定されるものではなく、発光素子が2行n列、3行n列等の行列状に配列されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…画像形成装置 6、6A…支持部材 61…基板搭載部 611…開口部 62…脚部 63…段差部 7…発光基板ユニット 71…基板 72…発光素子 73…封止部材 722…陽極 723…有機半導体層 724…陰極 726…正孔輸送層 727…発光層 728…電子輸送層 8…回路基板ユニット 81…第2の基板 82…回路部 821、821A…駆動回路 822…制御回路 83…定電流駆動回路 831…定電流トランジスタ 832…電圧保持コンデンサ 833…選択トランジスタ 84、84A…選択スイッチ 85、85A…ドライバIC 851…シフトレジスタ 852…ラッチ回路 853…DAC 86…インターフェース回路 87…データ制御回路 88…補正値メモリ 9…配線ユニット 91、92…折り返し部 10…画像形成ユニット 10C、10K、10M、10Y…画像形成ステーション 11…感光ドラム(潜像担持体) 111…受光面 12…帯電ユニット 13、13A…ラインヘッド(露光ユニット) 14…現像装置 15…クリーニングユニット 151…クリーニングブレード 16…レンズアレイ 161…ロッドレンズ 17、17A…スペーサ 181…ヘッド制御部 182…送信回路 20…転写ユニット 21…中間転写ベルト 22…一次転写ローラ 23…駆動ローラ 24…従動ローラ 25…二次転写ローラ 26…クリーニングユニット 261…クリーニングブレード 30…定着ユニット 301…定着ローラ 302…加圧ローラ 40…搬送機構 41…レジストローラ対 42、43、44…搬送ローラ対 50…給紙ユニット 51…給紙カセット 52…ピックアップローラ 18…プリンタコントローラ 731…凹部 P…記録媒体 L…光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基板と、
前記基板の一方の面の第1の方向に配設された発光素子と、
前記基板の前記一方の面と対向する他方の面に接合され、光透過性を有するスペーサと、
前記スペーサの前記基板側の面と対向する面に接合され、前記発光素子からの光を結像する結像光学系と、
前記スペーサを前記基板側の面と対向する面を覆うように設けられ、前記結像光学系が挿通される開口部を備えるとともに前記基板を支持する遮光性の支持部材とを有し、
前記スペーサの前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅は、前記基板の前記第2の方向の幅以上であり、
前記基板の前記第2の方向の一方の端が前記スペーサの前記第2の方向の該一方の端よりも外側に突出しないように構成されていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記基板の前記一方の面から前記第2の方向に引き出されるように設けられた配線部を有する請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記スペーサの前記基板側の面とは反対側の面に密着している請求項1または2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記スペーサの前記一方の面に垂直もしくは略垂直な側面に密着している請求項1ないし3のいずれか1項に記載のラインヘッド。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光するラインヘッドと、を有し、
前記ラインヘッドは、
光透過性を有する基板と、
前記基板の一方の面の第1の方向に配設された発光素子と、
前記基板の前記一方の面と対向する他方の面に接合され、光透過性を有するスペーサと、
前記スペーサの前記基板側の面と対向する面に接合され、前記発光素子からの光を結像する結像光学系と、
前記スペーサを前記基板側の面と対向する面を覆うように設けられ、前記結像光学系が挿通される開口部を備えるとともに前記基板を支持する遮光性の支持部材とを有し、
前記スペーサの前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅は、前記基板の前記第2の方向の幅以上であり、
前記基板の前記第2の方向の一方の端が前記スペーサの前記第2の方向の該一方の端よりも外側に突出しないように構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−194717(P2010−194717A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38683(P2009−38683)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】