説明

ラインヘッドモジュール、及びそのラインヘッドモジュールを備えた画像形成装置

【課題】製造コストを抑えつつ、光量伝達率を向上させたラインヘッドモジュールを提供する。
【解決手段】ラインヘッド510と、複数の円柱状の正立等倍結像レンズ102を収束して形成したレンズアレイ500と、当該レンズアレイの入射面、及び出射面にそれぞれ接続される、前記入射面、及び前記出射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚さが前記レンズアレイの厚さと実質的に等しい第1の透明部材502、及び第2の透明部材504と、からなるラインヘッドモジュール100である。ラインヘッド510から出射する光、及びレンズアレイ500から出射する光を、前記鏡面処理された面内で全反射させて所定の範囲内に導くことができるので、製造コスト等を増加させずに光量伝達率を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドモジュール、及びそのラインヘッドモジュールを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配置された複数の光源で形成された画像を正立等倍結像レンズを介して感光ドラム等の感光体上に結像させ、当該結像された画像を紙等の記録媒体に転写する光ヘッドプリンタを小型軽量化するためには、光源から出射した光に対する感光体上に結像する光の割合である光量伝達率を向上させることが重要となる。光量伝達率の向上の手段として、例えば特許文献1では、光源と正立等倍結像レンズとの間、及び光源と感光体との間の光路の近傍に光反射面を配置した構造のラインヘッドモジュールが提示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−309118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記構造のラインヘッドモジュールは、光反射面と正立等倍結像レンズとの相対位置の調整が困難であり構造も複雑化するため、製造コストの上昇、及び生産性の低下を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の記載において、光学的距離とは、着目している透明部材の光軸方向の長さを、その透明部材の屈折率で除した長さのことを示す。
【0006】
また、以下の記載において、実質的に等しいとは、誤差が±10%以内であることを示す。そのような範囲とする理由は、誤差が±10%以内であるならば、実用上充分な精度の画像が得られるからである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のラインヘッドモジュールは、各々が独立に制御される複数の光源からなるラインヘッドと、複数の円柱状の正立等倍結像レンズが、前記光源からの光が入射する入射面と、当該入射面から入射した光が出射する出射面とを揃えた状態で配列されることによって形成されるレンズアレイと、前記入射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記正立等倍結像レンズの直径と実質的に等しい第1の透明部材と、前記出射面に接続されるとともに、前記出射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記正立等倍結像レンズの直径と実質的に等しい第2の透明部材と、を有する。
【0008】
第1の透明部材はレンズアレイの入射面よりも光源に近い位置にある。また第1の透明部材の光軸に直交する方向の厚さ(以下、「厚さ」と称する。)は、正立等倍結像レンズの直径、即ちレンズアレイの厚さと同一である。したがって、第1の透明部材には、当該部材が存在しない場合にレンズアレイの入射面に入射する光に比べて、より広い角度分の光、すなわち、より多量の光が入射する。
【0009】
上述したように第1の透明部材は、短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されている。したがって、当該2つの鏡面処理されている面は、レンズアレイを1つのレンズと仮定した場合の中心軸に対して互いに対象な位置を占めることとなり、入射した光は当該2つの面の間で全反射して、レンズアレイを形成する各々の正立等倍結像レンズの入射面へ導かれる。正立等倍結像レンズは入射面と出射面に同一の画像を形成するため、正立等倍結像レンズの出射面からは、入射した光と同一の光が出射する。
【0010】
また、第2の透明部材はレンズアレイの出射面に接しているため、レンズアレイの出射面から出射した光は、そのまま第2の透明部材に入射する。第2の透明部材は、第1の透明部材と同様に短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、入射面は光軸に垂直なため、入射した光は当該2つの面の間で全反射して、レンズアレイに接触している面の反対側の面から出射し、光源の前記レンズアレイを光軸に垂直方向に2等分する面である中心面に対して、対象な位置に結像する。
【0011】
したがって、このような構成により、光源から出射した光のうちの本来ならばレンズアレイに入射しなかった光もレンズアレイに入射させ、レンズアレイを構成する各々の正立等倍結像レンズの中心面に対して光源と対象となる位置に結像させることができ、これにより製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0012】
また、本発明のラインヘッドモジュールは、各々が独立に制御される複数の光源からなるラインヘッドと複数の円柱状の正立等倍結像レンズを、前記光源からの光が入射する入射面と、当該入射面から入射した光が出射する出射面とを揃えた状態であって、前記入射面及び前記出射面が同一面上に位置するように2段以上積み重ねることによって形成されるレンズアレイと、前記レンズアレイの前記入射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが、前記レンズアレイの積層方向の厚みと一致する第1の透明部材と、前記レンズアレイの前記出射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記レンズアレイの積層方向の厚みと実質的に等しい第2の透明部材と、を有する。
【0013】
このような構成によれば、平面上に配置される一群の正立等倍結像レンズを2段以上積み重ねることにより、レンズアレイの厚さを増加させて、光源から出射する光が入射可能な面積を増加させることができる。したがって、レンズアレイに、平面上に配置される一群の正立等倍結像レンズを1段のみ用いるラインヘッドモジュールに比べて、より一層光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0014】
好ましくは、前記第1の透明部材の光学的距離は、前記第2の透明部材の光学的距離に実質的に等しい。
【0015】
前記第1、及び第2の透明部材の光学的距離が等しくなることにより、第1の透明部材の入射面と第2の透明部材の出射面は、正立等倍結像レンズの中心面に対して対称な面上に位置することになる。したがって、モジュールの組立て時に光学的距離の調整を行わなくても、第1の透明部材の入射面に形成される画像と同一の画像が第2の透明部材の出射面に良好に形成されることになり、製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0016】
好ましくは、前記第1の透明部材の前記光軸方向の長さと前記第2の透明部材の前記光軸方向の長さは実質的に等しく、前記第1の透明部材と前記第2の透明部材は同一の材料で形成されている。
【0017】
このような構成によれば、第1の透明部材と第2の透明部材を同一の部材とすることができるため、調達コストを低減することができる。
【0018】
好ましくは、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の距離は、前記光源と前記第1の透明部材の入射面との間の距離に実質的に等しい。
【0019】
上述したように、第1の透明部材と第2の透明部材は、材質、及び光軸方向の長さが同一であるので、このような構成により光源と感光体は、正立等倍結像レンズの中心面に対して互いに対象な面上に位置することになり、感光体上に光源で形成された画像が正確に結像する。したがって、画像の精度を劣化させることなく光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0020】
好ましくは、前記光源は、屈折率がngで厚さがLgの透明基板で覆われ、かつ、前記第1の透明部材の入射面が前記透明基板に接しており、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の距離であるL1に対して、L1=Lg/ng、の関係が実質的に成立する。上述したように、実質的に成立するということは、誤差が±10%以内であることを示す。
【0021】
このような構成により、光源と第1の透明部材の入射面との間の光学的距離と、第2の透明部材の出射面と感光体との間の光学的距離は実質的に同一になる。その結果、光源と感光体が、正立等倍結像レンズの中心面に対して互いに対称な面上に位置することになり、感光体上に光源で形成された画像が正確に結像する。したがって、光源が透明基板上に形成されている場合において、第1の透明部材の入射面を透明基板に接触させても、感光体上に形成される画像の劣化を抑えられるので、第1の透明部材の入射面と透明基板との間隙を調整する工程が不要となり、製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることができる。
【0022】
また、諸事情により、前記第1の透明部材の光学的距離である第1の距離を、前記第2の透明部材の光学的距離である第2の距離よりも長くしなければならない場合、前記第1の透明部材の、前記入射面から前記第1の距離と前記第2の距離との差の距離を占める部分の、短手方向で向かい合う2つの面である帯状領域に、前記光源から照射される光の反射を防止する反射防止層を形成すると良い。
【0023】
このような構成により、前記反射防止層により前記帯状領域では光源から照射される光が反射しなくなり、光源から照射される光を伝達する導光路としての機能が失われる。そのため、第1の透明部材の導光路の長さと第2の透明部材の導光路の長さが実質的に等しくなり、光源で形成された画像が感光体上に正確に結像する。したがって、第1の透明部材の光学的距離と第2の透明部材の光学的距離が異なる場合においても、光量伝達率を向上させることが可能となるので、ラインヘッドモジュール内の各部の寸法等の自由度が増し、製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0024】
好ましくは、前記反射防止層は、光を吸収する材料の塗布により形成される遮光層である。
【0025】
このような構成により、反射防止層部分に入射した光はすべて吸収されるため、感光体上に光源で形成された画像を正確に結像させることができる。本反射防止層を設けない場合、第1の透明部材における該当部分で反射した光は、第2の透明部材で反射する該当部分が無いために、感光体上で別の部分に結像してしまうことになる。
【0026】
好ましくは、前記光源は、透明な基板上に形成され、当該基板越しに前記レンズアレイに光を照射しており、前記第1の透明部材の入射面は前記基板に接しており、当該基板の光学的距離と前記差の距離の光学的距離の和は、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の光学的距離に実質的に等しい。
【0027】
このような構成により、第1の透明部材の入射面を前記基板に突き当てた状態において、第1の透明部材の入射面と光源の間の光学的距離と、第2の透明部材の出射面と感光体の間の光学的距離とが実質的に等しくなり、光源で形成される画像を、感光体上に正確に結像させることができる。したがって、光源が透明な基板上に形成されていても、第1の透明部材の入射面と光源との間隙を調整する必要がなくなり、製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0028】
好ましくは、前記差の距離の光学的距離は、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の光学的距離に実質的に等しい。
【0029】
このような構成により、前記第1の透明部材の前記入射面を前記光源に突き当てた状態において、第1の透明部材の入射面と光源の間の光学的距離と、第2の透明部材の出射面と感光体の間の光学的距離が実質的に等しくなり、光源で形成される画像を、感光体上に正確に結像させることができる。したがって、光源がガラス等の透明基板を介さずにレンズアレイに光を照射していても、第1の透明部材の入射面と光源との間隙を調整する必要がなくなり、製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0030】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、上述したラインヘッドモジュールを備えている。
【0031】
上述したように、本発明に係るラインヘッドモジュールは製造コスト等の増加を抑えつつ光量伝達率を向上させているため、製造コスト等の増加を抑えつつ、光量伝達率が高く光源の消費電力も抑制された画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態の説明及び理解を容易にすべく、各実施形態の説明に先立ち、本発明の基本原理について説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るラインヘッドモジュールを構成する要素の1つであるSELFOCレンズ(「SELFOC」は日本板硝子株式会社の登録商標、以下、SLと称する。)の、光軸を含む面での模式断面図である。SLとは、中心軸(光軸)からの距離によって屈折率が変わるように成分を調整したガラスファイバーを所定の長さに切断したもので、屈折率の変化による光の蛇行により、等倍率で正立実像を結像する性質を持つ。
【0034】
光源112から出射した光は、SL102の入射面104に入射し、第1の経路10で示すように、SL102の内部を曲線状に進行し、中心面108を挟んで対称な角度でSL102の出射面106から出射し、感光体114上の、光源112に対して、中心面108を挟んで面対称となる点に結像する。すなわち、光源112の点a1から出射した光は感光体114の点a2に、光源112の点b1から出射した光は感光体114の点b2に、光源112の点c1から出射した光は感光体114の点c2にそれぞれ入射して正立等倍画像を結像する。このように、入射面104を通過する光の当該面における通過点、及び角度は、出射面106を通過する光の、当該面における通過点、及び角度と、中心面108を挟んで対称となる。
【0035】
SL102の光軸101方向の長さLは、上述した屈折率の分布等により決定される。また、像面距離、すなわち入射面104と光源112の間の光学的距離L11、及び出射面106と感光体114の間の光学的距離L12も固有の値として決定される。L11とL12は等しい。
【0036】
上述した正立等倍画像の結像は、隣接する複数の光源から出射する光が同一のSLに入射しても、あるいは、1つの光源から出射する光が隣接する複数のSLに入射しても変りはない。したがって、長さが同一である複数のSLを、面を揃えて一群にしたものに光を出射すると、各々のSLが形成する画象が媒体(感光体)上で重なり合い、全体として1つの画像を形成する。つまり、一方の面(入射面)に前記像面距離をおいて対面する平面上に画像を形成すると、他方の面(出射面)に像面距離をおいて対面する感光体上に当該画像の正立実像が結像する。これは、面が揃えられている、長さが同一の一群のSL(以下、「SLA(日本板硝子株式会社の登録商標)」と称する。)を、1つのレンズと考えてもいいということである。
【0037】
上述したように、光源112上の点b1から出射した光は、感光体114上の点b2で結像する。しかし、点b1から出射した光の全てが結像するのではない。点b2で結像する光は、点b1から出射する全出射光のうち、点b1と入射面104の図1で示す入射面上端132、及び入射面下端134とで規定される入射角A1内の光である。
【0038】
入射面104に入射しなかった光は、感光体114上に結像することはない。したがって、点b1から出射する光のうち、点b2で結像する光の割合(すなわち、光源112から出射する光のうち、感光体114上に結像する光の割合)である光量伝達率を向上させるためには、入射角A1を広くする必要がある。点a1、及び点c1についても同様である。
【0039】
入射角A1を広くするためには、入射面104と光源112の間の距離を短縮するか、SLAの中心面108における断面積を増加することが必要である。しかし、入射面104と光源112の間の距離L11はSLAの固有の像面距離であり、変更は困難である。また、SLAの中心面108における断面積を増大させることは、モジュールの小型化の要請に逆行し、コスト上昇の要因ともなるため好ましくない。そこで、本発明に係るラインヘッドモジュールは、後述するようにSL102の入射面104、及び出射面106に、光を導く導光路となる透明部材をスペーサとして接続することにより、入射面104と光源112との距離、及び出射面106と感光体114との距離を短縮することと同等の効果を生じさせている。
【0040】
なお、光源とSL、SLと感光体までの結像距離はSL固有の値である。例えばこの値をそれぞれLo、Liとすると、SL前後の媒体が同じであればLo=Liである。
【0041】
前記双方の媒体の屈折率が異なる場合も、双方の媒体の光軸方向の距離を光学的距離に換算した場合の値が等しければ、上述する正立等倍像の結像が得られる。後述する図2で、出射面106にも透明部材を接続するのは、上述する双方の光学的距離を等しくし、SL前後での光反射環境を等しくするためである。さもなくば、SLの入射側に配置した第1の透明部材の短手方向の鏡面で反射した光は、SLを通過後、反射することなく感光体に届いてしまい、この光は正しく結像しない。
【0042】
図2は、導光路の機能(以下、「導光機能」と称する。)を有する透明部材を接続したSLの模式断面図である。SL102の入射面104に、第1の透明部材202を、SL102の出射面106に、第2の透明部材204を、夫々接続した状態を示している。
【0043】
第1の透明部材202の、光源112と対面している面(以下、「入射面」と称する。)206は、光源112との間にL3の間隙を有している。同様に、第2の透明部材204の、感光体114と対面している面(以下、「出射面」と称する。)208は、感光体114との間にL1の間隙を有している。ここで、この図2に記載のレンズは、図3以降で述べるような複数のSLの面を揃えて一群にしたSLAではなく、1本のSLであるため、第1の透明部材202と第2の透明部材204の形状もそれに合わせて、SL102と直径が実質的に等しい円柱状としてある。
【0044】
第1の透明部材、及び第2の透明部材の側面部103は各々鏡面研磨されており、内部から側面部103に達した光は外部へは漏れずに内部で全反射する。したがって、点b1から出射して第1の透明部材202の入射面206に入射した光は、第2の経路20で示すように、第1の透明部材202の内部を、ある光は光軸に沿って直進し、またある光は第1の透明部材の鏡面で全反射して進行し、入射面104に入射する。入射面104に入射した光は、図1に示す屈折率の分布の働きにより、入射面104に入射したときと同様の角度で出射し、出射面106から第2の透明部材204に入射する。光源112の、他の点(すなわち、点a1、点c1)から出射した光も同様である。
【0045】
第2の透明部材204に入射した光は、前述した第1の透明部材202における光と同様に、ある光は光軸に沿って直進し、またある光は第1の透明部材202の鏡面研磨された側面部103で全反射して第2の透明部材204の内部を進行した後、第1の透明部材202に入射するときと同様の角度で出射面208から出射し、感光体114に達する。ここで、第1の透明部材202と第2の透明部材204の、材質、及び寸法が同一であり、L1=L3であり、さらに、各々の透明部材の光学的距離と間隙(L1,またはL3)の和がSL102の固有の像面距離である(図示しない)L0に等しければ、入射角と出射角が一致するので、光源112で形成された画像は、感光体114上に結像する。
【0046】
この場合、入射面206が入射面104よりも光源112に近く、第1の透明部材202の光軸に垂直な断面形状がSL102の光軸に垂直な断面形状と同一なので、点b1と入射面206の図2に示す入射面上端232、及び入射面下端234とで規定される、第1の透明部材202に対する入射角A2は、図1に示すSL102の入射面104に対する入射角A1よりも大きくなり、入射面104に入射する光量が増すこととなる。つまり、SL102の両端に、光軸に平行な面が鏡面研磨された透明部材を装着することにより、構造を複雑化すること無く、製造コストの上昇を抑えつつ、光量伝達率を向上させることができる。
【0047】
なお、第1の透明部材202と第2の透明部材204は、光学的距離が同一であれば、材質、及び光軸方向の長さが異なっていても影響はなく、正立等倍像を結像できる。
【0048】
また、光軸に平行な研磨面により、入射した光を全反射させて伝達する機能を、以下、導光機能と称し、導光機能を有する部分を導光部分と称する。
【0049】
図3は、SLを単層に並べて形成された一列SLA300を示す斜視図である。参考として、第1〜第3の平面(301〜303)を示す立方体の図も付加してある。
【0050】
同一寸法の複数のSL102を、各々のSL102の光軸101が第1の平面301上に、入射面104が第2の平面302上に位置するように配置して、全体として1つの正立等倍画像を結像できる一列SLA300を形成している。第1の平面301と第2の平面302の双方に直交し、前記複数のSL102のうちのいずれか1本のSL102の光軸を含む面が、第3の平面303である。各々のSLの入射面104が集合して一列SLAの入射面304を形成し、各々のSL102の出射面106が集合して一列SLAの出射面306を形成している。
【0051】
上述したように、複数のSL102により全体として1つのレンズが形成されているので、各々のSL102に個別の透明部材を接続する必要は無く、一列SLA300の入射面304、及び一列SLA300の出射面306の形状に合わせた、光軸に垂直な断面が細長い長方形の透明部材を、入射面304、及び出射面306にそれぞれ1つづつ接続すれば良い。その場合、後述する各実施形態で述べるように、鏡面研磨は第1の平面301と平行な2つの面に施すことになる。
【0052】
図4は、同一寸法の複数のSL102を、各々の光軸101が第1の平面上に位置し、各々の入射面が第2の平面302上に位置するように配置して形成される一列SLA300(図3参照)を、各々の列の入射面304が同一平面上に配置されるように、面の位置を合わせて千鳥状に重ねて形成された二列SLA400を示す斜視図である。SLAの第1の平面301における、光軸101(図1参照)と直交する方向の長さを、感光体に合わせて一定に保ったままで、入射面、及び出射面の面積を増加させることができる。同じ一列SLA300を2列重ねにすることで、入射面、及び出射面306の面積を増加させて、二列SLAの入射面404、及び二列SLAの出射面406としている。なお、重ね方は千鳥状に限定はされず、碁盤の目状に重ねることもできる。
【0053】
図5は、本発明に係るラインヘッドモジュール100と、当該モジュールにより画像を投射される感光体114の斜視図である。ラインヘッドモジュール100は、面を揃えて配置された複数のSL102からなる1列のSLA、又は当該1列のSLAを複数列積み重ねて形成された、1列、又は複数列のSLA(以下、「SLA」と称する。)500と、第1の透明部材502、及び第2の透明部材504とから成っている。SLA500は、入射面と出射面とを揃えた複数の円柱状のSL102を、図示しない固定枠等により1つのアレイとしている。各々のSL102が緻密に配列されて構成されているため、固定枠は光の取込量に影響しないものとして以下の説明を行うものとする。
【0054】
図3と同様に、第1〜第3の平面(301〜303)を示す立方体の図も付加してある。光源112から出射する光は、上述したように第1の透明部材502、SLA500、第2の透明部材504、の順に進行して、感光体114上に結像する。
【0055】
ラインヘッド510は、基板と、基板上に規則的に配置されている複数の光源112とで形成されている。光源は、無機LED、有機LED等が好ましく、各々の光源は、光量のレベルも含めて独立に制御され、感光体114に伝達すべき画像を形成する。なお、光源112の個数は、SLA500を構成するSL102の個数と一致する必要はなく、上記伝達すべき画像の精度等に合わせて決めることができる。また、各々の光源の配置は、方形の光源112を碁盤の目状に配置する構成に限定はされず、例えば円形の光源を千鳥状に配置しても良い。なお、第2の透明部材504と感光体114の間には、メンテナンスの都合等のため若干の間隙が必要となる。
【0056】
以下、各実施形態について述べる。
【0057】
(第1の実施形態)
図6に、本発明の第1の実施形態のラインヘッドモジュールの、第3の平面(図5参照)における断面図を、当該ラインヘッドモジュールにより画像が形成される(書き込まれる)感光体も含めて示す。
【0058】
SLAの入射面505、すなわち光源からの光が入射する面には、第1の透明部材502が接触するように配置され、SLA500の出射面506、すなわち感光体114へ光を出射する面には、第2の透明部材504が接触するように配置されている。第1の透明部材502の、透明基板602に突き当てられている面が第1の透明部材502の入射面507であり、第2の透明部材504の、感光体と対面する面が第2の透明部材502の出射面508である。第3の平面における断面において、SLA500と透明部材502、及び504は、光軸101方向の長さが異なる他は同一の寸法である。第2の透明部材504と感光体114の間には間隙L1がある。第1の透明部材502は、光源が形成されている、すなわち光源の基板である厚さがLgの透明基板602に突き当てられており、透明基板602との間に間隙はない。
【0059】
第1の透明部材502と第2の透明部材504は同一の材料で形成されており、寸法も実質的に同一である。したがって、双方の部材の光学的距離は等しくなり、第1の透明部材502の入射面507と第2の透明部材504の出射面508には、同一の画像が形成される。
【0060】
双方の透明部材は、第1の平面301(図5参照)に平行な上下2つの面が鏡面研磨され研磨面200となっているため、上述したように導光機能を持つ。したがって、第1の透明部材502の入射面507に入射した光は、一部は直進して、また一部は第1の透明部材502の研磨面200で反射して入射面505に入射する。同様に、出射面506から第2の透明部材504に入射した光は、一部は直進して、また一部は第2の透明部材504の研磨面200で反射して、出射面508から感光体114に向けて出射する。
【0061】
L1は、メンテナンス上の都合により定まる。そしてLgの値は、L1と光学的距離が等しくなるように、すなわち、L1=Lg/ngとなるように定められる。そのようにするとSLA500の前後での光学的距離が等しくなり、SLAの本来の像面距離に一致して、光源が像面にシャープに結像することになる。
【0062】
透明基板602上に形成されている光源112は、ボトムエミッションタイプの有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」と称する。)であり、第1の透明部材502に向けて、透明基板602越しに光を出射する。透明基板602は、第1の透明部材502とは異なり、研磨面200を有していないため、光源と研磨面200を結ぶ線の外に出射した光は、第1の透明部材502には入射しない。つまり透明基板602は導光機能を有さず、間隙L1とは屈折率が異なるのみであって、透光性物質という機能としては同一である。
【0063】
各構成要素の寸法は、透明基板602の厚さがLg、第1、及び第2の透明部材の光軸101方向の長さ(以下、「長さ」と称する。)が、それぞれLsg1、Lsg2である。上述したように、第2の透明部材504と感光体114の間隙はL1である。また、透明基板602の屈折率はngであり、第1の透明部材502、及び第2の透明部材504の屈折率は、それぞれnsg1、nsg2である。上述したように、第1の透明部材502と第2の透明部材504は同一の材料で形成され、寸法も同一のため、Lsg1=Lsg2、nsg1=nsg2となる。
【0064】
そして、双方の透明部材の寸法は、光源112と入射面505の間の光学的距離、及び、出射面506と感光体114の間の光学的距離が、SLA500を構成する各々のSLの固有の像面距離である(図示しない)L0と等しくなるように定められている。すなわち、L0=Lg/ng+Lsg1/nsg1=L1+Lsg2/nsg2である。上述したように、Lsg1=Lsg2、Lg/ng=L1なので、光源112、及び感光体114は、SLA500の結像点に位置し、かつ、全反射する導光路長は、SLAの入射側と出射側で等しくなる。そして入射角A6は、双方の透明部材がないと仮定したときの入射角よりも大きい。したがって、本実施形態のラインヘッドモジュールは、光源112を覆う透明基板602にSLA500を突き当てた状態で、通常のラインヘッドモジュールよりも多量の光を、感光体114上に結像させることができる。
【0065】
なお、上述したように、第1の透明部材と第2の透明部材は、双方とも厚さがSLAと等しく、双方の光学的距離が等しければ、材質や長さが異なっていても上記の効果は生じる。
【0066】
本発明の実施において、第2の透明部材504の出射面508と感光体114の間隙L1を、一定以上は確保する必要がある。したがって、光源としての有機ELが形成される透明基板602の厚さを上記間隙をもとに算出し、次に、ラインヘッドモジュールを構成するSLA500の固有の像面距離から上記間隙、及び上記厚さを減じた長さの、光軸101に平行な面が鏡面研磨された透明部材を導光路として用いることにより、第1の透明部材502を突き当てた状態で、光量伝達率を向上できる。したがって、本実施形態に係るラインヘッドモジュールは、光源とSLA相互の位置の調整が不要となり、製造コスト等の増加を抑えつつ、光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0067】
(第2の実施形態)
図7に、本発明の第2の実施形態に係るラインヘッドモジュールの、第3の平面(図5参照)における断面図を示す。
【0068】
上記第1の実施形態と同様に、SLA500の入射面505には第1の透明部材502が配置され、出射面506には第2の透明部材504が配置され、第2の透明部材504と感光体の間には間隙L1がある。第2の透明部材504の光学的距離とL1の和は、SLA500に固有の像面距離である。第1、及び第2の双方の透明部材は、寸法、及び材質が同一であり、上記第1の実施形態と同様に、第1の平面301(図5参照)と平行な2つの面が鏡面研磨されている。
【0069】
第1の実施形態と異なる点は、光源112と第1の透明部材502の位置関係である。光源112は無機LEDであり、光源112が形成されている面とは反対側の面から光を出射している。したがって、光源112と第1の透明部材502との間には透明基板はなく、間隙L7となっている。そして、L7=L1である。
【0070】
上述したように、第1の透明部材502と第2の透明部材504は、寸法、及び材質が同一なため、このように定めることにより、光源112と入射面507の間、及び出射面508と感光体114の間で、導光路の長さ、及び光学的距離が等しくなる。また、入射角、及び出射角も等しくなる。したがって、本実施形態のラインヘッドモジュールは、中心面108に対して左右対称となり、光源112から出射する光は感光体114上に正立等倍像を結像する。そして、導光機能を有する透明部材により入射角が大きくなっているので、光量伝達率が向上する。
【0071】
第1の実施形態とは異なり、光源112に第1の透明部材502を突き当てられないため、組立て時の調整は必要にはなるが、光源に無機LEDを用いるラインヘッドモジュールにおいて、構造を複雑化せずに光量伝達率を向上させることができる。なお、光源112は上面発光型有機LEDであっても構わない。
【0072】
(第3の実施形態)
図8に、本発明の第3の実施形態に係るラインヘッドモジュールの、第3の平面(図5参照)における断面図を示す。SLA500の入射面505、及び出射面506に、第1の平面(図5参照)と平行な2つの面が鏡面研磨された透明部材が配置され、第2の透明部材504と感光体114の間には間隙L1がある点は、上記第1、第2の実施形態と同様である。光源112が透明基板602上に形成されている有機ELである点、及び第1の透明部材502が透明基板602に突き当てられている点は、第1の実施形態と同様である。なお光源112は、図6と同様に透明部材602上にボトムエミッションタイプの有機EL素子が形成され、第1の透明部材502に向けて透明基板602越しに光を出射する。
【0073】
第1の透明部材502と第2の透明部材504は、材質は同一であり、第3の平面(図5参照)における断面形状が長方形で、厚さはSLA500と等しいが長さは異なり、第1の透明部材502の方がL8の分だけ長い。L8は、上述した透明基板602の厚さLg、透明基板602の屈折率ng、及び間隙L1に対して、L8/nsg1+Lg/ng=L1、となるように定められている。そして、第1の透明部材502における入射面507からL8以内の部分である延長部80の、第1の平面(図5参照)と平行な2つの面である帯状領域82には、光吸収塗料が塗布されている。
【0074】
帯状領域82は、上述の光吸収塗料により、光を反射せずに吸収する。したがって、光源112から第1の透明部材502に入射した光のうち、この帯状領域82に当たった光は上述した全反射はせず、SLA500の入射面505まで導かれることはない。つまり、延長部80は導光機能を有しないため、第1の透明部材502と第2の透明部材504の導光路の長さは等しくなる。導光部86の導光部面84における入射角A8は、第1、及び第2の実施形態と同様に、透明部材がない場合の値よりも大きくなり、光量伝達率は向上する。
【0075】
上述したように、画像形成装置は、ラインヘッドモジュール100と感光体114の間隙を、一定以上は確保する必要がある。一方で、光源としての有機ELが形成される透明基板602の厚さは、当該有機ELの製造設備等の制約により、L1に合わせて厚くすることができない場合もある。そのような場合において、本実施形態によるラインヘッドモジュールは、透明基板602の厚さを補填すべく、第1の透明部材502に導光機能を有しない延長部80を設けることにより、第1の透明部材502を透明基板602に突き当てることを可能にし、第1の透明部材502を突き当てた状態で、光量伝達率を向上できる。したがって、光源112とSLA500の相互の位置の調整を不要とし、製造コスト等の増加を抑えつつ、光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0076】
(第4の実施形態)
図9に、本発明の第2の実施形態に係るラインヘッドモジュールの、第3の平面(図5参照)における断面図を示す。上記第1〜第3の実施形態と同様に、SLA500の入射面505には第1の透明部材502が、出射面506には第2の透明部材504が配置され、第2の透明部材504と感光体114の間には間隙L1がある。
【0077】
そして、上記第3の実施形態と同様に、第1の透明部材502は、第2の透明部材504と材質、第3の平面(図5参照)における断面形状、厚さは等しく、光軸101方向の長さが第1の透明部材502の方が、L9の分若干長いことが異なっている。
【0078】
上記L9は、間隙L1に対して、L9/nsg1=L1となるように定められている。上記L9の長さの第1の透明部材502に近い部分(以下、「第2の延長部」と称する。)90の第1の平面(図5参照)と平行な2つの面である第2の帯状領域92には、光吸収塗料が塗布されている。そのため、光源から第1の透明部材502に入射した光のうち、第2の帯状領域92に入射した光は、反射せずに吸収される。したがって、第1の透明部材502と第2の透明部材504とは光軸101方向の長さが異なるが、上記第3の実施形態と同様に導光機能を有する部分の長さは等しくなっている。
【0079】
光源112は、第2の実施形態と同様に無機LEDであり、光源112が形成されている基板とは反対側から、透明基板を介さずに画像を形成する光をSLA500に向けて出射している。そして第1の透明部材502は、光源112に突き当てられている。また、上述したように、L9/nsg1=L1であり、第2の延長部90の光学的距離は間隙L1と等しい。
【0080】
したがって、メンテナンス上必要なL1を定め、SLA500の固有の像面距離L0=L1+Lsg2/nsg2となるように第2の透明部材504の長さを定め、第1の透明部材502の長さを、L9/nsg1=L1の関係を満たすL9に対しLsg1=Lsg2+L9となるように定めれば、第1の透明部材502を光源112に直接突き当てることにより、構造を単純化し、製造コストを抑えつつ、光量伝達率を向上させられる。
【0081】
上述したように、ラインヘッドモジュールを構成するSLA500の両端に導光路としての第1、及び第2の透明部材を配置した場合、第2の透明部材504と感光体114の間には、所定の間隙を確保する必要がある。そして、第1の透明部材502と光源112の間には、上記間隙に相当する、導光機能を有しない光路が必要である。
【0082】
したがって、本実施形態のように感光体114とラインヘッドモジュールの間隙L1に相当する分、第1の透明部材502を延長し、当該延長部に遮光層を形成することにより、光源112がガラス等の透明基板を介さずにSLA500に光を照射していても、第1の透明部材502の入射面と光源112との間隙を調整する必要がなくなり、製造コスト等の増加を抑えつつ、光量伝達率を向上させることが可能となる。
【0083】
(第5の実施形態)
上記の第1〜第4の実施形態で述べたように、本発明に係るラインヘッドモジュールは、各々が独立に制御される複数の光源により形成される画像を、所定の間隙L1だけ離れた感光体上に結像する。したがって、感光体をラインヘッドモジュール100に対して相対的に移動させ、光源112で形成される経時的に変化する画像を感光体上に定着させ、当該定着された画像を記録媒体に転写することで、記録媒体上に画像を形成できる。
【0084】
図10に、本発明に係るラインヘッドモジュール100を具備する、ベルト中間転写体方式を利用した、タンデム型のフルカラー画像形成装置の概略断面図を示す。この画像形成装置では、第1〜第4の実施形態のうちのいずれかに示される、各々が同様な構成の4個のラインヘッドモジュール100K、C、M、Yが、同様な構成である4個の感光体としての感光体ドラム160K、C、M、Yの露光位置にそれぞれ配置されている。ここで、添え字K、C、M、Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローに対応していることを表わす。他の構成要素についても同様である。
【0085】
図示するように、この画像形成装置には、駆動ローラ171と従動ローラ172が設けられており、これらのローラには無端の中間転写ベルト170が巻回されて、矢印に示すように駆動ローラ171と従動ローラ172の周囲を回転する。
【0086】
この中間転写ベルト170の周囲には、互いに所定の間隔をおいて、外周面に感光体層を有する4個の感光体ドラム160K、C、M、Y、が配置される。各々の感光体ドラムは、中間転写ベルト170の駆動と同期して回転する。
【0087】
各感光体ドラム160K、C、M、Yの周囲には、コロナ帯電器161K、C、M、Yと、ラインヘッドモジュール100K、C、M、Y、と現像器164K、C、M、Y、が配置されている。コロナ帯電器161K、C、M、Yは、対応する感光体ドラム160K、C、M、Yの外周面を一様に帯電させることができる。ラインヘッドモジュール100K、C、M、Yは、感光体である感光体ドラム160K、C、M、Yの帯電した外周面に、光源からの光を出射することにより、静電潜像を書き込む。第1〜第4の実施形態で述べたように、ラインヘッドモジュール100K、C、M、Y、は光量伝達率が向上しているため、従来のラインヘッドモジュールを用いる場合に比べ、低い電力で同一の静電潜像を書き込むことができる。
【0088】
現像器164K、C、M、Yは、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより、感光体ドラム160K、C、M、Yに顕像すなわち可視像を形成する。
【0089】
このような、4色に対応する各単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト170上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト170上で重ね合わされて、フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト170の内側には、一次転写コロトロン(転写器)162K、C、M、Y、が配置されている。一次転写コロトロン162K、C、M、Yは、感光体ドラム160K、C、M、Yの近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム160K、C、M、Yから顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラム160K、C、M、Yと一次転写コロトロン162の間を通過する中間転写ベルト170に顕像を転写する。
【0090】
最終的に、画像を形成する対象である記録媒体としての記録用紙152は、ピックアップローラ153によって給紙カセット151から1枚づつ搬出されて、駆動ローラ171に接した中間転写ベルト170と二次転写ローラ176の間のニップに送られる。中間転写ベルト170上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ176によって記録用紙152の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対177を通ることで、記録用紙152上に定着される。この後、記録用紙152は、排紙ローラ対178によって、本画像形成装置上に設けられた図示しない排紙カセット上に排出される。
【0091】
このように、静電潜像の書き込み手段として第1〜第4の実施形態のうちのいずれかに記載する、光量伝達率が向上したラインヘッドモジュールを用いることにより、現行の画像形成装置と同様の要素で構成されながら、使用時の消費電力、及び製造コストが抑制された画像形成装置を提供することが可能となる。
【0092】
なお、本発明に係るラインヘッドモジュールを用いる画像形成装置は、タンデム型のフルカラー画像形成装置に限られるものではなく、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置、あるいはモノクロの画像形成装置に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】SLの模式断面図。
【図2】透明部材を接続したSLAの模式断面図。
【図3】SLを単層に並べて形成されたSLAを示す斜視図。
【図4】単層に並べられた一群のSLを重ねて形成されたSLAを示す斜視図。
【図5】本発明に係るラインヘッドモジュールの概略を示す斜視図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るラインヘッドモジュールの断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るラインヘッドモジュールの断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るラインヘッドモジュールの断面図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るラインヘッドモジュールの断面図。
【図10】本発明のラインヘッドモジュールを具備した画像形成装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0094】
10…第1の経路、20…第2の経路、80…延長部、82…帯状領域、84…導光部面、86…導光部、90…第2の延長部、92…第2の帯状領域、100…ラインヘッドモジュール、101…SLの光軸、102…SL、103…側面部、104…入射面、106…出射面、108…中心面、112…光源、114…感光体、132…入射面上端、134…入射面下端、151…給紙カセット、152…記録媒体としての記録用紙、ピックアップローラ153、160…感光体としての感光体ドラム、161…コロナ帯電器、162…一次転写コロトロン、164…現像器、170…中間転写ベルト、171…駆動ローラ、172…従動ローラ、176…二次転写ローラ、177…定着ローラ対、178…排紙ローラ対、200…研磨面、202…第1の透明部材、204…第2の透明部材、206…第1の透明部材の入射面、208…第2の透明部材の出射面、232…入射面上端、234…入射面下端、300…一列SLA、301…第1の平面、302…第2の平面、303…第3の平面、304…一列SLAの入射面、306…一列SLAの出射面、400…二列SLA、404…二列SLAの入射面、406…二列SLAの出射面、500…1列、又は複数列のSLA、502…第1の透明部材、504…第2の透明部材、505…SLAの入射面、506…SLAの出射面、507…第1の透明部材の入射面、508…第2の透明部材の出射面、510…ラインヘッド、602…透明基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が独立に制御される複数の光源からなるラインヘッドと、
複数の円柱状の正立等倍結像レンズが、前記光源からの光が入射する入射面と、当該入射面から入射した光が出射する出射面とを揃えた状態で配列されることによって形成されるレンズアレイと、
前記入射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記正立等倍結像レンズの直径と実質的に等しい第1の透明部材と、
前記出射面に接続されるとともに、前記出射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記正立等倍結像レンズの直径と実質的に等しい第2の透明部材と、を有することを特徴とするラインヘッドモジュール。
【請求項2】
各々が独立に制御される複数の光源からなるラインヘッドと、
複数の円柱状の正立等倍結像レンズを、前記光源からの光が入射する入射面と、当該入射面から入射した光が出射する出射面とを揃えた状態であって、前記入射面及び前記出射面が同一面上に位置するように2段以上積み重ねることによって形成されるレンズアレイと、
前記レンズアレイの前記入射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが、前記レンズアレイの積層方向の厚みと一致する第1の透明部材と、
前記レンズアレイの前記出射面に接続されるとともに、前記入射面に直交する面の内、少なくとも短手方向で向かい合う2面が鏡面処理されており、前記短手方向の厚みが前記レンズアレイの積層方向の厚みと実質的に等しい第2の透明部材と、を有することを特徴とするラインヘッドモジュール。
【請求項3】
前記第1の透明部材の光軸方向長さを屈折率で除した値である第1の距離が、前記第2の透明部材の前記第1の距離に対応する第2の距離に実質的に等しいことを特徴とする請求項1、又は2に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項4】
前記第1の透明部材の前記光軸方向長さと前記第2の透明部材の前記光軸方向長さ
とが実質的に等しく、前記第1の透明部材と前記第2の透明部材は、同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項5】
前記第2の透明部材から光が出射する出射面と前記光源で形成された画像が結像する感光体との間の距離が、前記光源と前記第1の透明部材に前記光源からの光が入射する入射面との間の距離に実質的に等しいことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれかの1項に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項6】
前記光源は、屈折率がngで厚さがLgの透明基板で覆われ、かつ、前記第1の透明部材の前記入射面が前記透明基板に接しており、前記第2の透明部材の前記出射面と前記感光体との間の距離であるL1に対して、L1=Lg/ng、の関係が実質的に成立することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれかの1項に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項7】
前記第1の透明部材の、光軸方向の長さを屈折率で除した値である第1の距離が、前記第2の透明部材の前記第1の距離に対応する第2の距離よりも長く、前記第1の透明部材の、前記入射面から前記第1の距離と前記第2の距離との差の距離を占める部分の帯状領域に、前記光源から照射される光の反射を防止する反射防止層が形成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項8】
前記反射防止層は、光を吸収する材料の塗布により形成される遮光層であることを特徴とする請求項7に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項9】
前記光源は、透明な基板上に形成され、当該基板越しに前記レンズアレイに光を照射しており、
前記第1の透明部材の入射面は前記基板に接しており、
当該基板の厚さを屈折率で除した値と前記差の距離を屈折率で除した値との和は、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の距離に実質的に等しいことを特徴とする請求項7、又は8に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項10】
前記差の距離を屈折率で除した値は、前記第2の透明部材の出射面と前記感光体との間の距離に実質的に等しいことを特徴とする請求項7、又は8に記載のラインヘッドモジュール。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれかの1項に記載のラインヘッドモジュールを具備した画像形成装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−152611(P2007−152611A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347547(P2005−347547)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】