説明

ラクチド及びグリコリドを含有するランダム非晶質ターポリマー

本発明は、薬物の放出を制御するための埋め込み型デバイス上のコーティングのための非晶質ターポリマー並びにそれを製造及び使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
[0001]本発明は、埋め込み型デバイス上のコーティングからの薬物の放出を制御するための生体吸収性非晶質ポリマーに関する。
[発明の背景]
【0002】
[0002]経皮冠動脈インターベンション(PCI)は、心臓疾患を治療するための手術である。バルーン部分を有するカテーテルアセンブリーを、橈骨動脈、上腕動脈又は大腿動脈を介して患者の心血管系へ経皮的に導入する。カテーテルアセンブリーを、バルーン部分が閉塞性病変部を横切って位置するまで、冠動脈血管系を通して進める。病変部を横切って位置したらすぐに、バルーンを所定のサイズに膨らませ、病変部のアテローム動脈硬化性プラークを半径方向に圧迫し、内腔壁を再構築する。次いで、バルーンを、患者の血管系からカテーテルを引き出すことができるように、より小さな外形に収縮させる。
【0003】
[0003]上記の手術に関連する問題には、剥離内膜又は裂けた動脈内層の形成があり、それらは、バルーンを収縮させた後に血液導管を崩壊及び閉塞させることがある。さらに血栓症及び動脈の再狭窄が、手術後の数カ月にわたって発生することがあり、それらは、別の血管形成手術又は外科的バイパス術を必要とすることがある。動脈内層の崩壊による動脈の部分的又は完全な閉塞を軽減するために、及び血栓症又は再狭窄の可能性を減らすために、ステントを動脈に埋め込み、動脈を開放したままにする。
【0004】
[0004]薬物送達ステントは、10年以上にわたって介入心臓病学を悩ませてきたPCI後のステント内再狭窄(ISR)の発生率を減少させた(例えば、Serruys,P.W.、ら、J.Am.Coll.Cardiol.39:393〜399(2002)を参照)。しかしながら、薬物送達ステントの技術分野における挑戦はわずかなままである。例えば、非晶質で形成されるコーティングからの薬物の放出は、薬物のバースト放出を有することが多く、薬物の制御放出が不十分という結果になる。
【0005】
[0005]したがって、コーティング中の薬物の制御された放出を提供するコーティングが必要である。
【0006】
[0006]本発明の実施形態は、上記の必要性及び問題に対処する。
【0007】
[発明の概要]
[0007]本発明は、コーティングからの薬物の放出を制御するための生体吸収性ランダム非晶質ターポリマーを含む、埋め込み型デバイス上のコーティングを提供する。ターポリマーは、ラクチド及びグリコリドから誘導されるユニット及び第三のモノマーから誘導されるユニットを含む。グリコリドは、ターポリマーの加速又は促進された分解を提供する。ラクチドモノマーは、ターポリマーに機械的強度を提供する。第三のモノマーは、ターポリマーに有益な特性を提供し、例えば、薬物透過性、水透過性を促進するように全体のポリマーガラス転移温度(T)を下げ、ポリマーの分解速度を促進し、より大きな柔軟性及び伸びを付与し、ターポリマーで形成されるコーティングの機械的特性を改善する。第三のモノマーの必要な属性は、ホモポリマーが第三のモノマーで形成されたとして、ホモポリマーが約−20℃未満のTgを有することである。
【0008】
[0008]本明細書に記載されているターポリマーで形成されるコーティングは、コーティングを備える医療デバイスの埋め込み後、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、6カ月、12カ月、18カ月、又は24カ月以内に分解することができる。一部の実施形態において、コーティングは、コーティングを備える医療デバイスの埋め込み後、24カ月以内に完全に分解するか完全に吸収することがある。
【0009】
[0009]一部の実施形態において、コーティングは、下記に記載されている1つ又は複数の他の生体適合性ポリマーを包含することができる。
【0010】
[0010]一部の実施形態において、ターポリマーは、1つ又は複数の生体活性剤、例えば、薬物(複数可)を包含することができるコーティングを形成することができる。本明細書に記載されているコーティングに包含することができる一部の例示的生体活性剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、ゾタロリムス、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、フェノフィブラート、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せである。生体活性剤の一部の他の例は、siRNA及び/又は内皮細胞遊走を阻害する他のオリゴヌクレオチドを包含する。生体活性剤の一部のさらなる例は、リゾホスファチジン酸(LPA)又はスフィンゴシン−1−リン酸(SIP)であってもよい。LPAは、多種多様な正常及び悪性細胞タイプにおいて成長因子様活性を生み出すことができる「生体活性」リン脂質である。LPAは、創傷治癒などの正常な生理学的プロセスにおいて、及び血管緊張、血管完全性、又は再生において重要な役割を果たす。一部の実施形態において、本明細書で使用する「薬物」という用語及び「生体活性剤」という用語は、互換的に使用される。
【0011】
[0011]本明細書に記載されている埋め込み型デバイスを、ステントなどの埋め込み型デバイス上に形成することができ、それを患者に埋め込み、血管病状を治療、予防、緩和、又は軽減するか、プロヒーリング効果を提供することができる。
【0012】
[0012]一部の実施形態において、血管病状又は血管状態は、冠動脈疾患(CAD)及び/又は末梢血管疾患(PVD)である。そのような血管内科疾患の一部の例は、再狭窄及び/又はアテローム性動脈硬化症である。
【0013】
[0013]これらの状態の一部の他の例は、血栓症、出血、血管の解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、吻合部増殖(静脈グラフト及び人工グラフトについて)、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍閉塞、又はこれらの組合せを包含する。
【0014】
[詳細な説明]
[0014]本発明は、コーティングからの薬物の放出を制御するための生体吸収性ランダム非晶質ターポリマーを含む、埋め込み型デバイス上のコーティングを提供する。ターポリマーは、ラクチド及びグリコリドから誘導されるユニット及び第三のモノマーから誘導されるユニットを含む。グリコリドは、ターポリマーの加速又は促進された分解を提供する。ラクチドモノマーは、ターポリマーに機械的強度を提供する。第三のモノマーは、ターポリマーに有益な特性を提供し、例えば、薬物透過性、水透過性を促進するように全体のポリマーガラス転移温度(T)を下げ、ポリマーの分解速度を促進し、より大きな柔軟性及び伸びを付与し、ターポリマーで形成されるコーティングの機械的特性を改善する。第三のモノマーの必要な属性は、ホモポリマーが第三のモノマーで形成されたとして、ホモポリマーが約−20℃未満のTgを有することである。
【0015】
[0015]一部の実施形態において、コーティングは、下記に記載されている1つ又は複数の他の生体適合性ポリマーを包含することができる。
【0016】
[0016]一部の実施形態において、ターポリマーは、1つ又は複数の生体活性剤、例えば、薬物(複数可)を包含することができるコーティングを形成することができる。上に記載されているコーティングに包含することができる一部の例示的生体活性剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、ゾタロリムス、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、フェノフィブラート、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せである。生体活性剤の一部の他の例は、siRNA及び/又は内皮細胞遊走を阻害する他のオリゴヌクレオチドを包含する。生体活性剤の一部のさらなる例は、リゾホスファチジン酸(LPA)又はスフィンゴシン−1−リン酸(SIP)であってもよい。LPAは、多種多様な正常及び悪性細胞タイプにおいて成長因子様活性を生み出すことができる「生体活性」リン脂質である。LPAは、創傷治癒などの正常な生理学的プロセスにおいて、及び血管緊張、血管完全性、又は再生において重要な役割を果たす。一部の実施形態において、本明細書で使用する「薬物」という用語及び「生体活性剤」という用語は、互換的に使用される。
【0017】
[0017]本明細書に記載されている埋め込み型デバイスを、ステントなどの埋め込み型デバイス上に形成することができ、それを患者に埋め込み、血管病状を治療、予防、緩和、又は軽減するか、プロヒーリング効果を提供することができる。
【0018】
[0018]一部の実施形態において、血管病状又は血管状態は、冠動脈疾患(CAD)及び/又は末梢血管疾患(PVD)である。そのような血管内科疾患の一部の例は、再狭窄及び/又はアテローム性動脈硬化症である。これらの状態の一部の他の例は、血栓症、出血、血管の解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、吻合部増殖(静脈グラフト及び人工グラフトについて)、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍閉塞、又はこれらの組合せを包含する。
【0019】
定義
[0019]適用可能な場所であればどこでも、以下で提供されるような本発明の説明を通して使用される一部の用語に対する定義が当てはまるものとする。
「生物学的に分解可能な(biologically degradable)」(又は、「生体分解性の(biodegradable)」)、「生物学的に浸食可能な(biologically erodable)」(又は、「生体浸食性の(bioerodable)」)、「生物学的に吸収可能な(biologically absorbabole)」(又は、「生体吸収性の(bioabsorbable)」)、及び「生物学的に再吸収可能な(biologically resorbable)」(又は、「生体再吸収性の(bioresorbable)」)という用語は、ポリマー及びコーティングへの言及において、互換的に使用され、生理学的条件に暴露された場合に時間とともに完全に又は実質的に完全に分解、溶解、及び/又は浸食されることが可能であり、身体により徐々に再吸収、吸収及び/又は排除されることがあるか、動物(例えば、ヒト)の腎臓膜を通過することができるフラグメント、例えば、約40,000ダルトン(40Kダルトン)以下の分子量を有するフラグメントに分解されることがあるポリマー及びコーティングを指す。ポリマー又はコーティングの分解並びに最終的な吸収及び排除のプロセスは、例えば、加水分解、代謝プロセス、酸化、酵素プロセス、バルク浸食又は表面浸食などにより引き起こされることがある。逆に、「生体安定性の」ポリマー又はコーティングとは、生体分解性ではないポリマー又はコーティングを指す。
【0020】
[0020]「生物学的に分解可能な」、「生物学的に浸食可能な」、「生物学的に吸収可能な」、及び「生物学的に再吸収可能な」ステントコーティング又はそのようなステントコーティングを形成するポリマーに言及する場合であればいつでも、分解、浸食、吸収、及び/又は再吸収のプロセスが終了するか実質的に終了した後に、ステント上にはコーティングが残っていないか実質的にほとんど残っていないことが理解される。「分解可能な」、「生体分解性の」、又は「生物学的に分解可能な」という用語が本出願において使用される場合であればいつでも、それらの用語は、生物学的に分解可能な、生物学的に浸食可能な、生物学的に吸収可能な、及び生物学的に再吸収可能なポリマー又はコーティングを広く包含することが意図されている。
【0021】
[0021]「生理学的条件」とは、埋め込み物が、動物(例えば、ヒト)の身体内で暴露される条件を指す。生理学的条件は、その種の動物にとって「正常な」体温(ヒトについてはおよそ37℃)並びに生理学的イオン強度、pH及び酵素の水性環境を包含するが、これらに限定されるものではない。一部の場合において、特定の動物の体温は、その種の動物にとって「正常な」体温であると見なされるものを上回るか下回ることがある。例えば、ヒトの体温は、ある場合に、およそ37℃を上回るか下回ることがある。本発明の範囲は、動物の生理学的条件(例えば、体温)が「正常な」と見なされないような場合を包含する。
【0022】
[0022]血液に接触する埋め込み型デバイスとの関連において、「プロヒーリング」薬物又は薬剤とは、動脈内腔の内皮化を推進又は促進し、血管組織の治癒を推進する特性を有する薬物又は薬剤を指す。
【0023】
[0023]本明細書で使用する「コドラッグ」とは、別の薬物と同時か順次に投与され、特定の薬理学的効果を達成する薬物である。効果は、一般的か特異的であってもよい。コドラッグは、他の薬物の効果と異なる効果を発揮するか、コドラッグは、他の薬物の効果を推進、促進若しくは増強することがある。
【0024】
[0024]本明細書で使用する「プロドラッグ」という用語は、化学的又は生物学的部分により活性を低くされた薬剤を指し、それらは、代謝されるかインビボ加水分解を受け、薬物又はその活性成分を形成する。「プロドラッグ」という用語は、「プロエージェント(proagent)」、「潜伏化(latentiated)薬物」、「生体可逆性誘導体」、及び「コンジナー」などの用語と互換的に使用されることがある。N.J.Harper、Drug latentiation、Prog Drug Res.、4:221〜294(1962);E.B.Roche、Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs、Washington,DC:American Pharmaceutical Association(1977);A.A.Sinkula及びS.H.Yalkowsky、Rationale for design of biologically reversible drug derivatives:prodrugs、J.Pharm.Sci.、64:181〜210(1975)。「プロドラッグ」という用語の使用は、通常、薬物と化学的部分の間の共有結合を意味するが、一部の著者は、活性薬物分子の塩の一部の形態を特徴付けるためにもその用語を使用する。プロドラッグ自体の厳密な普遍的定義はなく、定義は、著者によって異なることがあるが、プロドラッグは、一般的に、インビボで、酵素的か非酵素的に、治療的、予防的又は診断的効果を発揮する活性な、又はより活性な薬物分子に変換することができる薬理学的に活性の低い化学的誘導体と定義することができる。Sinkula及びYalkowsky、上記;V.J.Stellaら、Prodrugs:Do they have advantages in clinical practice?、Drugs、29:455〜473(1985)。
【0025】
[0025]「ポリマー」及び「ポリマーの」という用語は、重合反応の生成物である化合物を指す。これらの用語は、ホモポリマー(すなわち、1つのタイプのモノマーを、連鎖ポリマーか縮合ポリマーのどちらかにより重合させることにより得られるポリマー)、コポリマー(すなわち、2つ又はそれ以上の異なるタイプのモノマーを、連鎖ポリマーか縮合ポリマーのどちらかにより重合させることにより得られるポリマー)、縮合ポリマー(縮合重合で作られるポリマー、ターポリマーなどを包含し、ランダム(連鎖ポリマーか縮合ポリマーのどちらかによる)、交互(連鎖ポリマーか縮合ポリマーのどちらかによる)、ブロック(連鎖ポリマーか縮合ポリマーのどちらかによる)、グラフト、樹状、架橋及びそれらの任意の他の変形例を包含する。
【0026】
[0026]本明細書で使用する「埋め込み型(implantable)」という用語は、デバイスが、デバイスにより指示されているような使用に安全及び有効であるという政府機関(例えば、米国FDA)の法律及び規定により提供されるデバイスの機械的、物理的、化学的、生物学的、及び薬理学的要件を満たす、哺乳動物(例えば、ヒト又は患者)で埋め込み可能(implantable)である属性を指す。本明細書で使用する「埋め込み型デバイス」は、ヒト又は非ヒト動物に埋め込むことができる任意の適当な基材であってもよい。埋め込み型デバイスの例は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、ステントグラフト、カテーテル、様々な身体の内腔又は開口部のための他の拡張型管状デバイス、グラフト、血管グラフト、動静脈グラフト、バイパスグラフト、ペースメーカー及び除細動器、前記のためのリード及び電極、人工心臓弁、吻合クリップ、動脈閉鎖デバイス、卵円孔開存閉鎖デバイス、脳脊髄液シャント、並びに粒子(例えば、薬物を溶出する粒子、ミクロ粒子及びナノ粒子)を包含するが、これらに限定されるものではない。ステントは、神経学的、頸動脈、静脈グラフト、冠動脈、大動脈、腎臓、腸骨、大腿、膝窩血管系、及び尿道の通路を包含する身体における任意の体内管を対象とすることができる。埋め込み型デバイスは、治療的薬剤の局所送達のために設計することができる。薬用埋め込み型デバイスは、部分的に、例えば、治療薬剤を含有するコーティング材料でデバイスをコーティングすることにより構築することができる。デバイスの本体が、治療薬剤を含有することもできる。
【0027】
[0027]埋め込み型デバイスは、生体分解性/生体吸収性/生体浸食性ポリマー、生体安定性ポリマー、又はそれらの組合せを部分的か完全に含有するコーティングで作製することができる。埋め込み型デバイス自体も、生体分解性/生体吸収性/生体浸食性ポリマー、生体安定性ポリマー、又はそれらの組合せから部分的又は完全に作製することができる。
【0028】
[0028]本明細書で使用する、指示された基材(例えば、埋め込み型デバイス)「の上に配置される」層又はフィルム(例えば、コーティング)と記載される材料とは、例えば、基材の表面の少なくとも一部の上に直接的か間接的に付着される材料のコーティングを指す。直接付着とは、コーティングが、基材の露出表面に直接的に塗布されることを意味する。間接付着とは、コーティングが、基材の上に直接的か間接的に付着された介在層に塗布されることを意味する。一部の実施形態において、「層」又は「フィルム」という用語は、非埋め込み型デバイス上に形成されるフィルム又は層を除外する。
【0029】
[0029]ステントに関連して、「送達」とは、治療を必要とする体内管において病変部などの領域に体腔を通してステントを導入及び輸送することを指す。「配置(deployment)」とは、治療領域において内腔内でステントを広げることに相当する。ステントの送達及び配備は、ステントをカテーテルの片端付近に配置し、体腔中に皮膚を通してカテーテルの末端を挿入し、所望の治療部位まで体腔中でカテーテルを進め、治療場所においてステントを広げ、内腔からカテーテルを取り出すことにより達成することができる。
【0030】
[0030]本明細書で使用する「非晶質の」という用語は、ターポリマーにおいて50%未満の結晶化度を有することを指す。一部の実施形態において、「非晶質の」という用語は、ターポリマーにおいて約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.1%未満の結晶化度を有することを指すことがある。
【0031】
ランダムターポリマー
[0031]本明細書に記載されているターポリマーは、異なる含有量のラクチド(A)、グリコリド(B)、及び第三の低Tモノマー(C)を有することができる。ターポリマーは、この一般式Aで表すことができ、式中、x、y、及びzは、それぞれA、B、及びCの比である。ターポリマーの中で、モノマーA、B、及びCは、任意の配列順序、例えば、ABC、BAC、CBA、ACB、ABAC、ABBC、BABC、BAAC、BACC、CBCA、CBBA、CBAA、ABACA、ABACB、ABACC、BABCA、BABCB、BABCCなどを有することができる。一部の実施形態において概説されているように、モノマー又はユニットの配列は、モノマーの2つ以上のユニットを有することができ、それらは、以下でより詳細に記載される。
【0032】
[0032]異なる含有量のこれら3つのモノマーを含むターポリマーは、ターポリマーにおけるモノマーの特定の組成に応じて、例えば、分解速度、機械的特性、薬物透過性、水透過性、及び薬物放出速度に関して、異なる特性を有する。
【0033】
[0033]一部の実施形態において、ターポリマーは、約60℃未満のTを有することができる。このターポリマーは、約10重量%〜約80重量%のD−ラクチド、L−ラクチド、又はD,L−ラクチドから誘導されるユニットを有することができる。D−ラクチド、L−ラクチド、グリコリド、及びジオキサノンなどのモノマーは、ポリマー中に高濃度で存在する場合に結晶化することがある。しかしながら、これらのモノマーのいずれかからのユニットの結晶化は、各々の濃度がポリマー中で80重量%未満である場合に最小限に抑えるか防ぐことができる。したがって、本明細書に記載されているターポリマーの組成は、約10〜80重量%におけるD−ラクチド又はL−ラクチドのユニット、約5〜80重量%におけるグリコリドのユニット、及び約5〜60重量%における第三の低Tモノマーからのユニットを包含するものとする。ターポリマーは、約10Kダルトンを超える、好ましくは、約20Kダルトン〜約600Kダルトンの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0034】
[0034]ラクチド、グリコリド及び低Tモノマーからのユニットの比は変わることがあり、異なる特性、例えば、異なる分解速度、ターポリマーで形成されるコーティングからの薬物の異なる放出速度、異なる薬物透過性、異なる柔軟性又は機械的特性を有するターポリマーを形成する。上述のように、一般的に、グリコリドは、ターポリマーの加速された又は促進された分解を提供し、ラクチドモノマーは、ターポリマーに機械的強度を提供し、第三の低Tモノマーは、薬物透過性、水透過性を促進することができ、ポリマーの分解速度を促進し、より大きな柔軟性及び伸びを付与し、ターポリマーで形成されるコーティングの機械的特性を改善する。
【0035】
[0035]一部の実施形態において、様々なモノマーの比は、ターポリマーの鎖に沿って変わることがある。そのようなターポリマーにおいて、例えば、ポリマーの鎖の1点が、1つのモノマーで重いことがあり、一方で、鎖の別の点が、同じモノマーで軽いことがある。単官能基の開始剤が使用される場合、及び選択されたモノマーが、極めて異なる反応性比を有する場合、モノマーが重合中に消費されるにつれて、組成の勾配が生じる。別の方法論において、そのようなターポリマーは、重合中に、第一又は第二のモノマーが、第一のモノマーのすべて、又は一部を含有する反応器へ徐々に添加される、いわゆるグラジエント重合により調製することができる(Matyjaszewski K.及びDavis T.P.編 Handbook of Radical Polymerization、John Wiley & Sons、2002、789頁)。さらに、第三の方法は、ターポリマーの鎖の中に様々な比のモノマーのブロックを導入することによる。
【0036】
[0036]一部の実施形態において、本明細書に記載されているターポリマーを使用し、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などの他のブロック又は以下に記載されている生体分解性若しくは生体耐久性ポリマーの他のブロックと組み合わせて1つ又は複数のブロックを構築することができる。
【0037】
[0037]本明細書に記載されているターポリマーのランダム性は、ランダム性指数により測定することができる。一般的に、完全に交互のコポリマーは、1のランダム度を有するであろう。逆に、一部の実施形態において、ターポリマーは、3つのブロック、ラクチドブロック、グリコリドブロック、及び第三の低Tモノマーのブロック内にモノマーの反復ユニットすべてを包含することがある。そのようなターポリマーは、0のランダム度を有するであろう。これらはブロックコポリマーとして知られている。一部の他の実施形態において、ターポリマーは、0を上回り1を下回る範囲の、例えば、約0.01、約0.02、約0.05、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、又は約0.99のランダム度を有することができる。一般的に、結晶性ドメインが生じるには、通常、5個1組(すなわち、配列中に同じ5個の反復ユニット又はモノマー)を必要とする。したがって、一部の実施形態において、ターポリマーのランダム性を制御する1つの要素は、ターポリマーにおける配列中の反復ユニット又はモノマーを5個未満、例えば、1、2、3、又は4個に保つことである。
【0038】
[0038]ポリマーにおけるランダム性は、当技術分野における確立された技法により容易に決定することができる。1つのそのような技法は、NMR分析である((例えば、J.Kasperczyk、Polymer、37(2):201〜203(1996);Mangkorn Srisa−ard、ら、Polym Int.、50:891〜896(2001)を参照)。
【0039】
[0039]非晶質ターポリマーのランダム性は、当技術分野において知られている技法を使用して容易に制御又は変化させることができる。例えば、バッチ反応器におけるランダム性は、モノマー反応性比が変化する重合温度及び溶媒のタイプにより制御される。連続反応器の場合、ランダム性は、モノマー供給比及び温度によっても異なるであろう。二次的に、反応性比に対する圧力効果もある。モノマー相対反応性も重要であるため、類似か異なる反応性のモノマーを選択することによりランダム性を制御することができる。
【0040】
[0040]前述のように、第三のモノマーの1つの必要な属性は、ホモポリマーが第三のモノマーで形成されたとして、ホモポリマーが約−20℃未満のTを有することである。第三のモノマーは、ラクチド及びグリコリドとターポリマーを形成することができる任意のモノマーであってもよい。一部の実施形態において、第三の低Tモノマーは、ラクトン、カーボネート、チオカーボネート、オキサケトシクロアルカン、又はチオオキサケトシクロアルカンである。一部の実施形態において、ラクトン、カーボネート、チオカーボネート、オキサケトシクロアルカン、又はチオオキサケトシクロアルカンは、ヒドロカルビル又はアルコキシ置換基(複数可)を有することができる。一部の実施形態において、置換基(複数可)は、ハロ(F、Cl、Br又はI)基(複数可)などのヘテロ原子(複数可)を包含することができる。置換基の一部の例は、メトキシ、エトキシ、又はC1〜C12炭化水素基を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0041】
[0041]第三のモノマーの一部の例を表1で以下に示す。
【表1】

【0042】
[0042]一部の実施形態において、メソ−ラクチド又はチオラクトンなどのモノマーを使用し、第三のモノマーを含むターポリマーを形成することができる。これらの実施形態において、メソ−ラクチド又はチオラクトンは、ラクチドと一緒に使用することができるか、ラクチドに置き換わって第三の低Tモノマーを含むターポリマーを形成することができる。
【0043】
[0043]本明細書に記載されているターポリマーの調製は、ポリマー合成の確立された方法により容易に達成することができる。例えば、上記に記載されている様々な比のいずれかのラクチド、グリコリド、及び第三のモノマーの選択された組成物を開環重合(ROP)させ、ターポリマーを形成することができる。ROPによるポリマー合成は、ポリマー合成の十分に立証された方法であり、当業者が容易に行うことができる。ポリマー合成の一部の他の方法は、例えば、水の除去を伴う酸触媒重合を包含する。酸触媒重合は、ヒドロキシル−酸形態のモノマーから、又は環状エステル前駆体として開始するであろう。重合中に、形成される水は、留去されるであろう。代替方法として、ヒドロキシル−酸形態のモノマーの室温重縮合を、Mitsunobo条件(DEAD/TPP)を使用するか、ジメチルアミノピリジン(DMAP)塩と併せてジシクロヘキシルカルボジイミドを使用することにより行うことができるであろう。
【0044】
生物学的に活性な薬剤
[0044]一部の実施形態において、本明細書に記載されている埋め込み型デバイスは、場合により、少なくとも1つの生物学的に活性な(「生体活性な」)薬剤を場合により包含することができる。少なくとも1つの生体活性剤は、患者のために治療的、予防的又は診断的効果を発揮することが可能な任意の物質を包含することができる。
【0045】
[0045]適当な生体活性剤の例は、治療的、予防的又は診断的活性を有する合成の無機及び有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、並びにDNA及びRNA核酸配列を包含するが、これらに限定されるものではない。核酸配列は、遺伝子、相補DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子、及びリボザイムを包含する。他の生体活性剤の一部の他の例は、抗体、受容体リガンド、酵素、接着ペプチド、血液凝固因子、ストレプトキナーゼ及び組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの阻害剤又は血栓溶解剤、免疫化のための抗原、ホルモン及び成長因子、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム及び遺伝子療法で使用するためのレトロウイルスベクターなどのオリゴヌクレオチドを包含する。生体活性剤は、例えば、血管平滑筋細胞の活性を阻害するために設計することができるであろう。それらは、平滑筋細胞の異常か不適切な遊走及び/又は増殖を阻害することに向けられ、再狭窄を阻害することができるであろう。
【0046】
[0046]ある実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、埋め込み型デバイスは、抗増殖、抗新生物、抗有糸分裂、抗炎症、抗血小板、抗凝固、抗フィブリン、抗トロンビン、抗菌、抗アレルギー及び抗酸化物質から選択される少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を包含することができる。
【0047】
[0047]抗増殖剤は、サイトトキシンなどの天然タンパク質性薬剤又は合成分子であってもよい。抗増殖物質の例は、アクチノマイシンD又はその誘導体及びアナログ(Sigma−Aldrich製、又はMerckから入手可能なCOSMEGEN)(アクチノマイシンDの同義語は、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンCを包含する);タキソール、ドセタキセル、及びパクリタキセルなどのすべてのタキソイド並びにそれらの誘導体;マクロライド抗生物質、ラパマイシン、エベロリムス、ラパマイシンの構造誘導体及び機能アナログ、エベロリムスの構造誘導体及び機能アナログ、FKBP−12仲介性mTOR阻害剤、バイオリムス、ピルフェニドン(perfenidone)などのすべてのオリムス(olimus)薬物、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、並びにそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。ラパマイシン誘導体の例は、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(Novartisからの商品名エベロリムス)、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン(バイオリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ゾタロリムス、Abbot Labs.製)、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0048】
[0048]抗炎症薬は、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、又はそれらの組合せであってもよい。抗炎症薬の例は、アルクロフェナク、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アルゲストンアセトニド、αアミラーゼ、アムシナファル、アムシナフィド、アンフェナクナトリウム、塩酸アミプリロース、アナキンラ、アニロラク、アニトラザフェン、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザック、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カルプロフェン、シクロプロフェン、シンタゾン、クリプロフェン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、クロピラク、プロピオン酸クロチカゾン、酢酸コルメタゾン(cormethasone)、コルトドキソン、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸デキサメタゾン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジ酢酸ジフロラゾン、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジフタロン、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド、エンドリゾン(endrysone)、エンリモマブ(enlimomab)、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラク、エトフェナマート、フェルビナク、フェナモール、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンドサール、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコルト、フルフェナム酸、フルミゾール、酢酸フルニソリド、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル、酢酸フルオロメトロン、フルカゾン、フルルビプロフェン、フルレトフェン、プロピオン酸フルチカゾン、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダプ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドキソール、イントラゾール、酢酸イソフルプレドン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾール、ロモキシカム(lomoxicam)、エタボン酸ロテプレドノール、メクロフェナメートナトリウム、メクロフェナム酸、ジ酪酸メクロリゾン(meclorisone)、メフェナム酸、メサラミン、メセクラゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モミフルメート(momiflumate)、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ニマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニリン(paranyline)、ペントサン多硫酸ナトリウム、フェンブタゾングリセリン酸ナトリウム、ピルフェニドン、ピロキシカム、桂皮酸ピロキシカム、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナゼート、プリフェロン、プロドール酸、プロカゾン、プロキサゾール、クエン酸プロキサゾール、リメキソロン、ロマザリット、サルコレクス、サルナセジン(salnacedin)、サルサラート、塩化サングイナリウム、セクラゾン、セルメタシン、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルマート、タロサラート、テブフェロン、テニダプ、テニダプナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テトリダミン、チオピナク、ピバリン酸チキソコルトール、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド、トリフルミダート、ジドメタシン、ゾメピラクナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、コルチコステロイド、グルココルチコイド、タクロリムス、ピメクロリムス(pimecorlimus)、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0049】
[0049]代替方法として、抗炎症剤は、炎症誘発性シグナル伝達分子の生物学的阻害剤であってもよい。抗炎症性の生物学的薬剤は、そのような生物学的炎症性シグナル伝達分子に対する抗体を包含する。
【0050】
[0050]さらに、生体活性剤は、抗増殖剤又は抗炎症剤以外であってもよい。生体活性剤は、治療剤、予防剤又は診断剤である任意の薬剤であってもよい。一部の実施形態において、そのような薬剤は、抗増殖剤又は抗炎症剤と組み合わせて使用することができる。これらの生体活性剤は、抗増殖及び/又は抗炎症特性を有していてもよいか、抗新生物、抗有糸分裂、細胞静止、抗血小板、抗凝固、抗フィブリン、抗トロンビン、抗生物、抗アレルギー剤、及び/又は抗酸化特性などの他の特性を有していてもよい。
【0051】
[0051]抗新生物剤及び/又は抗有糸分裂剤の例は、パクリタキセル(例えば、Bristol−Myers Squibbから入手可能なタキソール(TAXOL)(登録商標))、ドセタキセル(例えば、Aventisからのタキソテール(Taxotere)(登録商標))、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pfizerからのアドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標))、及びマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibbからのムタマイシン(Mutamycin)(登録商標))を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0052】
[0052]細胞分裂抑制又は抗増殖特性を有することもある抗血小板剤、抗凝固剤、抗フィブリン剤、及び抗トロンビン剤の例は、ナトリウムヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリンアナログ、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、ANGIOMAX(Biogenから)などのトロンビン阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー(例えば、ニフェジピン)、コルヒチン、線維芽細胞成長因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(例えば、ω−3脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoAレダクターゼを阻害するコレステロール低下薬、Merckからの商品名メバコール(Mevacor)(登録商標))、モノクローナル抗体(例えば、血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異的なもの)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニンブロッカー、ステロイド、チオプロテアーゼ(thioprotease)阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、酸化窒素又は酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、エストラジオール、抗癌剤、様々なビタミンなどの栄養補助食品、並びにそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0053】
[0053]細胞分裂抑制物質の例は、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibbからのカポテン(Capoten)(登録商標)及びカポジド(Capozide)(登録商標))、シラザプリル及びリシノプリル(例えば、Merckからのプリニビル(Prinivil)(登録商標)及びプリンジド(Prinzide)(登録商標))などのアンジオテンシン変換酵素阻害剤を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0054】
[0054]抗アレルギー剤の例は、ペルミロラスト(permirolast)カリウムを包含するが、これに限定されるものではない。抗酸化物質の例は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)を包含するが、これに限定されるものではない。他の生体活性剤は、抗ウイルス剤などの抗感染剤;鎮痛剤及び鎮痛配合剤;食欲抑制剤;駆虫剤;抗関節炎剤;抗喘息剤;抗痙攣剤;抗うつ剤;抗利尿剤;止瀉剤;抗ヒスタミン剤;抗偏頭痛調製物;抗嘔吐剤;抗パーキンソン病薬;鎮痒剤;抗精神病剤;解熱剤;鎮痙剤;抗コリン剤;交感神経様作用剤;キサンチン誘導体;ピンドロール及び抗不整脈剤などのカルシウムチャネルブロッカー及びβ−ブロッカーを包含する心血管調製物;降圧剤;利尿剤;一般冠血管拡張剤を包含する血管拡張剤;末梢及び脳血管拡張剤;中枢神経系刺激剤;充血除去剤を包含する咳及び風邪調製物;催眠剤;免疫抑制剤;筋弛緩剤;副交感神経ブロッカー;精神刺激剤;鎮静剤;精神安定剤;天然由来か遺伝子操作されたリポタンパク質;並びに再狭窄減少剤を包含する。
【0055】
[0055]使用することができる他の生物学的に活性な薬剤は、α−インターフェロン、遺伝子操作された上皮細胞、タクロリムス及びデキサメタゾンを包含する。
【0056】
[0056]「プロヒーリング」薬物又は薬剤とは、血液に接触する埋め込み型デバイスとの関連において、動脈内腔の再内皮化を推進又は促進し、血管組織の治癒を推進する特性を有する薬物又は薬剤を指す。プロヒーリング薬物又は薬剤を含有する埋め込み型デバイス(例えば、ステント)の部分(複数可)は、誘引し、結合し、最終的に、内皮細胞(例えば、内皮前駆細胞)によりカプセル化された状態になることができる。細胞の誘引、結合、及びカプセル化は、ステントが不十分にカプセル化された場合に起きることがある機械的特性の喪失に起因する塞栓又は血栓の形成を軽減又は予防するであろう。促進された再内皮化は、ステントの機械的特性の喪失よりも速い速度で内皮化を推進することができる。
【0057】
[0057]プロヒーリング薬物又は薬剤は、生体吸収性のポリマー基材又は足場の本体に分散させることができる。プロヒーリング薬物又は薬剤は、埋め込み型デバイス(例えば、ステント)の表面の上の生体吸収性ポリマーコーティングの中に分散させることもできる。
【0058】
[0058]「内皮前駆細胞」とは、血流に入り、血管傷害の領域に行って損傷の修復を助けることができる、骨髄で作られる原始的細胞を指す。内皮前駆細胞は、成人ヒト末梢血内を循環し、サイトカイン、成長因子、及び虚血状態により骨髄から動員される。血管傷害は、血管新生と血管形成の両方の機構により修復される。循環する内皮前駆細胞は、主に血管形成機構を介して傷害を受けた血管の修復に寄与する。
【0059】
[0059]一部の実施形態において、プロヒーリング薬物又は薬剤は、内皮細胞(EDC)−結合剤であってもよい。ある実施形態において、EDC−結合剤は、タンパク質、ペプチド又は抗体であってよく、それらは、例えば、1型コラーゲン、単鎖Fvフラグメント(scFv A5)として知られている23ペプチドフラグメント、結合膜タンパク質血管内皮(VE)−カドヘリン、及びそれらの組合せのうちの1つであってもよい。1型コラーゲンは、オステオポンチンに結合している場合に、アポトーシス経路のダウンレギュレーションにより、内皮細胞の接着を推進し、内皮細胞の生存度を調節することが明らかにされている。S.M.Martin、ら、J.Biomed.Mater.Res.、70A:10〜19(2004)。内皮細胞を、scFv A5を使用して選択的に標的化することができる(免疫リポソームの標的化送達のため)。T.Volkel、ら、Biochimica et Biophysica Acta、1663:158〜166(2004)。結合膜タンパク質血管内皮(VE)−カドヘリンは、内皮細胞に結合し、内皮細胞のアポトーシスをダウンレギュレートすることが明らかにされている。R.Spagnuolo、ら、Blood、103:3005〜3012(2004)。
【0060】
[0060]特定の実施形態において、EDC−結合剤は、オステオポンチン、(Asp−Val−Asp−Val−Pro−Asp−Gly−Asp−Ser−Leu−Ala−Try−Gly)の活性フラグメントであってもよい。他のEDC−結合剤は、EPC(上皮細胞)抗体、RGDタンパク質配列、RGD模倣体、及びそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0061】
[0061]さらなる実施形態において、プロヒーリング薬物又は薬剤は、内皮前駆細胞を誘引して結合する物質又は薬剤であってもよい。内皮前駆細胞を誘引して結合する代表的な物質又は薬剤は、CD−34、CD−133及び2型vegf受容体などの抗体を包含する。内皮前駆細胞を誘引して結合する薬剤は、酸化窒素供与体基を有するポリマーを包含することができる。
【0062】
[0062]上記の生物学的に活性な薬剤は、一例として列挙されており、限定しているとは意味していない。現在のところ入手可能であるか、将来に開発されることがある他の生物学的に活性な薬剤は、同様に適用可能である。
【0063】
[0063]より具体的な実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、本発明の埋め込み型デバイスは、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン(バイオリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ゾタロリムス)、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、クロベタゾール、前駆細胞−捕捉抗体、プロヒーリング薬物、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含む。特定の実施形態において、生体活性剤は、エベロリムスである。別の具体的な実施形態において、生体活性剤は、クロベタゾールである。
【0064】
[0064]代替クラスの薬物は、脂質輸送を増加させるためのp−para−α−アゴニストであり、例は、フェノフィブラートを包含する。
【0065】
[0065]一部の実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤は、具体的に、本明細書に記載されている生体活性な薬物又は薬剤のいずれかのうちの1つ又は複数でなくてもよい。
【0066】
コーティング構築物
[0066]本発明の一部の実施形態によれば、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、埋め込み型デバイス(例えば、ステント)の上に配置されるコーティングは、コーティングの任意の設計に従って、層の中に本明細書に記載されている非晶質ターポリマーを包含することができる。コーティングは、以下に記載されている層(2)である少なくとも1つの貯留層を包含する多層構造であってもよく、下記の(1)、(3)、(4)及び(5)の層のいずれか又はそれらの組合せを包含することができる。
(1)プライマー層、(任意選択の)
(2)少なくとも1つのポリマーを包含する薬物−ポリマー層(薬物−ポリマー層)か、代替方法として、ポリマーを含まない薬物層であってもよい貯留層(「マトリックス層」又は「薬物マトリックス」とも呼ばれる);
(3)放出制御層(「律速層」とも呼ばれる)(任意選択の);
(4)トップコート層、及び/又は(任意選択の);
(5)仕上げコート層(任意選択の)。
一部の実施形態において、本発明のコーティングは、上記に記載されている2つ以上の貯留層を包含することができ、各々は、本明細書に記載されている生体活性剤を包含することができる。
【0067】
[0067]ステントコーティングの各層は、溶媒、又は溶媒の混合物に、場合により1つ又は複数の他のポリマーと一緒に、非晶質ポリマーを溶かし、スプレーするか、溶液にステントを浸漬することにより、得られるコーティング溶液をステントの上に配置することにより、埋め込み型デバイス(例えば、ステント)の上に配置することができる。溶液がステントの上に配置された後、コーティングを、溶媒を蒸発させることにより乾燥する。乾燥のプロセスは、乾燥を高温で行う場合に加速することができる。完全なステントコーティングを、望ましい場合に、ポリマーコーティングの結晶化を可能にするために、及び/又はコーティングの熱力学的安定性を改善するために、約5分間〜約60分間にわたって、約40℃〜約150℃、例えば、80℃の温度にて場合によりアニールすることができる。
【0068】
[0068]貯留層に生体活性剤(例えば、薬物)を組み入れるために、薬物を、上記に記載されているような埋め込み型デバイスの上に配置されるポリマー溶液と合わせることができる。代替方法として、望ましい場合に、ポリマーを含まない貯留層を製造することができる。ポリマーを含まない貯留層を作製するために、薬物を、適当な溶媒又は溶媒の混合物に溶かすことができ、得られる薬物溶液を、スプレーするか、薬物含有溶液にステントを浸漬することにより、埋め込み型デバイス(例えば、ステント)の上に配置することができる。
【0069】
[0069]溶液を介して薬物を導入する代わりに、薬物を、適切な溶媒相における懸濁液などのコロイド系として導入することができる。懸濁液を製造するために、薬物を、コロイド化学で使用される従来の技法を使用して溶媒相に分散させることができる。様々な要素、例えば、薬物の性質に応じて、当業者は、懸濁液の溶媒相を形成するための溶媒、並びに溶媒相に分散させるべき薬物の量を選択することができる。場合により、界面活性剤を添加し、懸濁液を安定化することができる。懸濁液を、ポリマー溶液と混合することができ、混合物を、上記に記載されているようにステントの上に配置することができる。代替方法として、薬物懸濁液を、ポリマー溶液と混合することなくステントの上に配置することができる。
【0070】
[0070]薬物−ポリマー層は、ステント表面の少なくとも一部の上に直接的又は間接的に塗布され、貯留層に組み入れられる少なくとも1つの生体活性剤(例えば、薬物)のための貯留層としての役割を果たすことができる。任意選択のプライマー層を、ステントと貯留層の間に塗布し、薬物−ポリマー層のステントへの接着を改善することができる。任意選択のトップコート層が、貯留層の少なくとも一部の上に塗布されることがあり、薬物の放出速度を制御するのに役立つ律速膜としての役割を果たす。一実施形態において、トップコート層は、いかなる生体活性な薬剤も薬物も実質的に含まなくてもよい。トップコート層が使用される場合、任意選択の仕上げコート層を、薬物放出速度のさらなる制御のため、及びコーティングの生体適合性を改善するために、トップコート層の少なくとも一部の上に塗布することができる。トップコート層がなければ、仕上げコート層を、貯留層の上に直接的に配置することができる。
【0071】
[0071]コーティングされた医療デバイスの滅菌は、一般的に、ミクロ病原体(micropathogens)を不活性化する工程を含む。そのような工程は、当技術分野において良く知られている。少数の例は、e−ビーム、ETO滅菌、及び照射である。全部ではないが、これらの工程の大部分は、昇温を含むことがある。例えば、コーティングされたステントのETO滅菌は、一般的に、数時間から24時間にわたって100%に達する湿度レベルにおいて50℃を超えて加熱することを含む。典型的なEtOサイクルは、密閉チャンバー内で最初の3〜4時間以内に50℃を超える高い温度に達し、次いで、17〜18時間にわたって40〜50℃を変動する温度を有し、一方、湿度は、100%のピークに達し、サイクルの変動時間中に80%超を維持するであろう。
【0072】
[0072]トップコート層と仕上げコート層の両方を有するコーティングからの薬物の放出のプロセスは、少なくとも3つのステップを包含する。まず、薬物は、薬物−ポリマー層/トップコート層界面においてトップコート層のポリマーにより吸収される。次に、薬物は、移動のための経路としてのトップコート層ポリマーの巨大分子間の空隙容量を使用してトップコート層を通って拡散する。次に、薬物は、トップコート層/仕上げコート層界面に到達する。最後に、薬物は、同様にして仕上げコート層を通って拡散し、仕上げコート層の外部表面に到達し、外部表面から脱離する。この時点で、薬物は、血管又は周囲の組織中に放出される。結果的に、トップコート層と仕上げコート層の組合せは、使用される場合に、律速バリアとしての役割を果たすことができる。薬物は、コーティングを形成する層(複数可)の分解、溶解、及び/又は浸食によって、又は血管若しくは組織への非晶質ポリマー層(複数可)を通る薬物の移動を介して放出させることができる。
【0073】
[0073]一実施形態において、ステントコーティングの層のいずれか又はすべてを、場合により生物学的に分解可能/浸食可能/吸収可能/再吸収可能であるという特性を有する本明細書に記載されている非晶質ターポリマー、非分解性/生体安定性ポリマー、又はそれらの組合せで製造することができる。別の実施形態において、コーティングの最外層を、上記で定義されているような非晶質ターポリマーに限定することができる。
【0074】
[0074]より詳細に説明すると、上記に記載されている4つのすべての層(すなわち、プライマー、貯留層、トップコート層及び仕上げコート層)を有するステントコーティングにおいて、最外層は、仕上げコート層であり、これは、本明細書に記載されていて場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有する非晶質ターポリマーで製造されているか、非晶質ターポリマーと混合されていてもよい。場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有するか非晶質ターポリマーと混合されている残りの層(すなわち、プライマー、貯留層及びトップコート層)。特定の層におけるポリマー(複数可)は、別の生体吸収性の外側の層も、好ましくは、生体吸収性であり、内部の層に比べて同様に又は速く分解する限り、他の層のいずれかにおけるポリマーと同じか又は異なっていてもよい。別の説明として、コーティングは、本明細書に記載されているポリマー及び薬物を含む単一マトリックス層を包含することができる。
【0075】
[0075]仕上げコート層が使用されない場合、トップコート層は、最外層であってよく、本明細書に記載されていて場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有する非晶質ターポリマーで製造されているか、非晶質ターポリマーと混合されているべきである。この場合、残りの層(すなわち、プライマー及び貯留層)は、本明細書に記載されていて場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有する非晶質ターポリマーで場合により作製されているか、非晶質ターポリマーと混合されていてもよい。特定の層におけるポリマー(複数可)は、別の生体吸収性の外側も、好ましくは、生体吸収性であり、内部の層に比べて同様に又は速く分解する限り、他の層のいずれかにおけるポリマーと同じか又は異なっていてもよい。
【0076】
[0076]仕上げコート層もトップコート層も使用されない場合、ステントコーティングは、2つの層−プライマー及び貯留層のみを有することがある。そのような場合、貯留層は、ステントコーティングの最外層であり、本明細書に記載されていて場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有する非晶質ターポリマーで製造されているか、非晶質ターポリマーと混合されているべきである。プライマーも、場合により、本明細書に記載されている非晶質ターポリマー及び場合により1つ又は複数の生体分解性ポリマー(複数可)、生体安定性ポリマー(複数可)、又はそれらの組合せで作製されていてもよい。2つの層は、別の生体吸収性の外側の層も、好ましくは、生体吸収性であり、内部の層に比べて同様に又は速く分解する限り、同じか又は異なるポリマーで製造されていてもよい。
【0077】
[0077]コーティングのいずれの層も、任意の量の、本明細書に記載されていて場合により生体分解性か、生体安定性であるという特性を有する非晶質ターポリマーを含有するか、非晶質ターポリマーと混合されていてもよい。生体吸収性ポリマー及び生体適合性ポリマーの非限定的な例は、ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリジオキサノン;ポリオルトエステル;ポリアンヒドリド;ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);コ−ポリ(エーテル−エステル);ポリアルキレンオキサレート;ポリホスファゼン;生体分子、例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、セロハン、デンプン、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びそれらの誘導体(例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル及びカルボキシメチルセルロース)、ポリウレタン;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ(L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−グリコール酸(PDLA−GA)、ポリ(L−乳酸−グリコール酸(PLLA−GA)、ポリ(DL−乳酸−グリコール酸(PDLLA−GA)、ポリ(D−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PDLA−GA−CL)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PLLA−GA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PDLLA−GA−CL)、ポリ(L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLLA−CL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA−CL)、又はそれらの任意のコポリマーを包含する。
【0078】
[0078]ステントコーティングのいずれの層も、その層が生体吸収性ポリマーと混合されていないか、非分解性層の下のいずれの層も生体吸収性ポリマーを含む限りは、任意の量の、非分解性ポリマー、又は2つ以上のそのようなポリマーのブレンドを含有することができる。非分解性ポリマーの非限定的な例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール(PEG)アクリレート)、ポリ(PEGメタクリレート)、2−メタクリルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を含有するメタクリレートポリマー、PC1036、及びポリ(n−ビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、3−トリメチルシリルプロピルメタクリレートを含有するメタクリレートポリマー、並びにそれらのコポリマーを包含する。
【0079】
[0079]本明細書に記載されているターポリマーで形成されるコーティングは、コーティングを備える医療デバイスの埋め込み後、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、6カ月、12カ月、18カ月、又は24カ月以内に分解することができる。一部の実施形態において、コーティングは、コーティングを備える医療デバイスの埋め込み後、24カ月以内に完全に分解するか完全に吸収することができる。
【0080】
埋め込み型デバイスを作製する方法
[0080]本発明の他の実施形態は、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、埋め込み型デバイスを作製する方法を対象とする。一実施形態において、本方法は、場合により1つ又は複数の他の生体分解性又は生体安定性のポリマー又はコポリマーと一緒に、本明細書に記載されている非晶質ターポリマーを含有する材料の埋め込み型デバイスを形成することを含む。
【0081】
[0081]本方法の下で、埋め込み型デバイスの一部又はデバイス全体自体を、生体分解性又は生体安定性のポリマー又はコポリマーを含有する材料で形成することができる。本方法は、埋め込み型デバイスの上に、ある範囲の厚さを有するコーティングを配置することができる。ある実施形態において、本方法は、埋め込み型デバイスの少なくとも一部の上に、約30ミクロン以下、又は約20ミクロン以下、又は約10ミクロン以下、又は約5ミクロン以下の厚さを有するコーティングを配置する。
【0082】
[0082]ある実施形態において、本方法は、ステント、グラフト、ステントグラフト、カテーテル、リード線及び電極、クリップ、シャント、閉鎖デバイス、弁、及び粒子から選択される埋め込み型デバイスを作製するために使用される。特定の実施形態において、本方法は、ステントを作製するために使用される。
【0083】
[0083]一部の実施形態において、ポリマーから形成される埋め込み型デバイスを形成するために、場合により本明細書に記載されている少なくとも1つの生体活性剤を包含するポリマー又はコポリマーを、チューブ又はチューブなどの構築物を形成するために丸めるか接着することができるシートなどのポリマー構築物中に形成することができる。次いで、埋め込み型デバイスを、構築物から作製することができる。例えば、ステントを、あるパターンをチューブにレーザー加工することによりチューブから作製することができる。別の実施形態において、ポリマー構築物を、射出成形機器を使用して本発明のポリマー材料から形成することができる。
【0084】
[0084]埋め込み型デバイスを作製するのに使用することができる、上記に定義されている非晶質ターポリマーであってもなくてもよいポリマーの非限定的な例は、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−グリコール酸(PDLA−GA)、ポリ(L−乳酸−グリコール酸(PLLA−GA)、ポリ(DL−乳酸−グリコール酸(PDLLA−GA)、ポリ(D−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PDLA−GA−CL)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PLLA−GA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)(PDLLA−GA−CL)、ポリ(L−乳酸−コ−カプロラクトン)(PLLA−CL)、ポリ(D−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLA−CL)、ポリ(DL−乳酸−コ−カプロラクトン)(PDLLA−CL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA−CL)、ポリ(チオエステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエチレンアミド、ポリエチレンアクリレート、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、コ−ポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー、アクリルポリマー及びポリアクリレート以外のコポリマー、ビニルハライドポリマー及びコポリマー(例えば、ポリビニルクロリド)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリビニリデンハライド(例えば、ポリビニリデンクロリド)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、セルロース及びその誘導体(例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロース)、並びにそれらのコポリマーを包含する。
【0085】
[0085]埋め込み型デバイスを作製するのに適しているポリマーの追加代表例は、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般名EVOH又は商品名EVALにより一般に知られている)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ビニリデンフルオリド−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(例えば、SOLEF21508、Solvay Solexis PVDF of Thorofare、New Jerseyから入手可能)、ポリビニリデンフルオリド(別名KYNARとして知られている、ATOFINA Chemicals of Philadelphia、Pennsylvaniaから入手可能)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン−コ−ビニリデンフルオリド)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、及びポリエチレングリコールを包含する。
【0086】
障害を治療又は予防する方法
[0086]本発明による埋め込み型デバイスを使用し、様々な状態又は障害を治療、予防又は診断することができる。そのような状態又は障害の例は、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離、血管穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、卵円孔開存症、跛行、静脈グラフト及び人工グラフトの吻合部増殖、動静脈吻合症、胆管閉塞、尿道閉塞及び腫瘍閉塞を包含するが、これらに限定されるものではない。埋め込み型デバイスの一部又はデバイス全体自体を、本明細書に記載されているように、材料で形成することができる。例えば、材料を、デバイスの少なくとも一部の上にコーティング配置することができる。
【0087】
[0087]ある実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、本発明の方法は、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄、出血、血管解離、血管穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、卵円孔開存症、跛行、静脈グラフト及び人工グラフトの吻合部増殖、動静脈吻合症、胆管閉塞、尿道閉塞及び腫瘍閉塞から選択される状態又は障害を治療、予防又は診断する。特定の実施形態において、状態又は障害は、アテローム性動脈硬化症、血栓症、再狭窄又は不安定プラークである。
【0088】
[0088]本方法の一実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、埋め込み型デバイスは、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(2−エトキシ)エチル−ラパマイシン(バイオリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ゾタロリムス)、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、クロベタゾール、前駆細胞−捕捉抗体、プロヒーリング薬物、フェノフィブラート、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含有する材料で形成されるか、含有するコーティングを包含する。
【0089】
[0089]ある実施形態において、場合により本明細書に記載されている1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて、本方法で使用される埋め込み型デバイスは、ステント、グラフト、ステントグラフト、カテーテル、リード線及び電極、クリップ、シャント、閉鎖デバイス、弁、及び粒子から選択される。具体的実施形態において、埋め込み型デバイスは、ステントである。
【0090】
[0090]本発明の特定の実施態様を示し記載してきたが、そのより広範な態様において、本発明から逸脱することなく変更及び修正を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲に入るものとしてすべてのそのような変更及び修正をそれらの範囲内に包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質ランダムターポリマーを含むコーティングを備え、前記ターポリマーが、ラクチド、グリコリド、及び低ガラス転移温度(T)モノマーから誘導されるユニットを含む埋め込み型デバイスであって、
前記ラクチドが、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、又はメソ−ラクチドから選択され、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記グリコリドが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記低Tモノマーが、20℃以下のTを有するホモポリマーを形成することが可能であり、
前記ターポリマーが、約60℃以下のT及び約20Kダルトン〜約600Kダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、埋め込み型デバイス。
【請求項2】
前記非晶質ターポリマーが、0.5を超えて約1までの範囲のランダム度を有する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項3】
前記低Tモノマーが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜60重量%の比を有する、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項4】
前記低Tモノマーが、非置換若しくは置換のラクトン、非置換若しくは置換のカーボネート、チオカーボネート、オキサケトシクロアルカン、又はチオオキサケトシクロアルカンである、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項5】
前記低Tモノマーが、モノマー1〜16から選択される、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【化1】

【請求項6】
1つ又は複数の生体活性剤をさらに備える、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項7】
前記生体活性剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、ゾタロリムス、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、フェノフィブラート、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、並びにそれらの組合せから選択される、請求項6に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項8】
ステントである、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項9】
生体吸収性ステントである、請求項1に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項10】
生体吸収性ステントである、請求項6に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項11】
生体吸収性ステントである、請求項7に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項12】
ラクチド、グリコリド、及び低ガラス転移温度(T)モノマーから誘導されるユニットを含む非晶質ランダムターポリマーであって、
前記ラクチドが、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、又はメソ−ラクチドから選択され、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記グリコリドが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記低Tモノマーが、20℃以下のTを有するホモポリマーを形成することが可能であり、
前記ターポリマーが、約60℃以下のT及び約20Kダルトン〜約600Kダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する、非晶質ランダムターポリマー。
【請求項13】
前記非晶質ターポリマーが、0.5を超えて約1までの範囲のランダム度を有する、請求項12に記載のターポリマー。
【請求項14】
前記低Tモノマーが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜60重量%の比を有する、請求項12に記載のターポリマー。
【請求項15】
前記低Tモノマーが、非置換若しくは置換のラクトン、非置換若しくは置換のカーボネート、チオカーボネート、オキサケトシクロアルカン、又はチオオキサケトシクロアルカンである、請求項12に記載のターポリマー。
【請求項16】
前記低Tモノマーが、モノマー1〜16から選択される、請求項12に記載のターポリマー。
【化2】

【請求項17】
埋め込み型デバイス上にコーティングを形成するステップを含み、前記コーティングが、ラクチド、グリコリド、及び低ガラス転移温度(T)モノマーから誘導されるユニットを含む非晶質ランダムターポリマーを含む、埋め込み型医療デバイスを作製する方法であって、
前記ラクチドが、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド、又はメソ−ラクチドから選択され、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記グリコリドが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜80重量%の比を有し、
前記低Tモノマーが、20℃以下のTを有するホモポリマーを形成することが可能であり、
前記ターポリマーが、約60℃以下のT及び約20Kダルトン〜約600Kダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する方法。
【請求項18】
前記非晶質ターポリマーが、0.5を超えて約1までの範囲のランダム度を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記低Tモノマーが、前記ターポリマーを形成する全モノマーの約5〜60重量%の比を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記低Tモノマーが、非置換若しくは置換のラクトン、非置換若しくは置換のカーボネート、チオカーボネート、オキサケトシクロアルカン、又はチオオキサケトシクロアルカンである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記低Tモノマーが、モノマー1〜16から選択される、請求項17に記載の方法。
【化3】

【請求項22】
1つ又は複数の生体活性剤をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記生体活性剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、ゾタロリムス、バイオリムスA9(Biosensors International、Singapore)、AP23572(Ariad Pharmaceuticals)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、フェノフィブラート、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグ、並びにそれらの組合せから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の埋め込み型デバイスを患者に埋め込むステップを含む血管病状を治療、予防、又は緩和する方法であって、前記血管病状が、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、血栓症、出血、血管の解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、吻合部増殖(静脈グラフト及び人工グラフトについて)、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍閉塞、又はこれらの組合せから選択される方法。

【公表番号】特表2011−500282(P2011−500282A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531195(P2010−531195)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080719
【国際公開番号】WO2009/055426
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】