説明

ラジアルタービン

【課題】複数の圧力を持つ流体を単一あるいは一体のタービンホイールで取扱い、部品点数を削減して低コスト化したラジアルタービンを提供する。
【解決手段】半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路26を備え、外周側の主入口21から主通路26に半径方向の流れを主成分として流入する流体から、旋回エネルギーを回転動力に変換し、流体を軸方向に吐出するラジアルタービンホイール15を備えるラジアルタービン100であって、ラジアルタービンホイール15のシュラウド側に、主入口21に対し半径方向および軸方向に離隔した位置に主入口21から供給される流体の圧力R1とは異なる圧力R2の流体が流入する従入口29が形成され、従入口29を構成する翼形状は、ラジアルタービンホイール15の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアルタービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半径方向の流速成分を主要成分として持ってタービンホイールに流入する旋回する流体から、流れの旋回エネルギーを回転動力に変換し、そのエネルギーを放出した流れを軸方向に吐出する単一のタービンホイールを備えているラジアルタービンは、中低温・高温、高圧の流体からエネルギーを回転動力に変換するものであり、各種産業用プラントから高温、高圧の流体で排出される排出エネルギーの動力回収、船舶や車両用の動力源、等の熱サイクルを経由して動力を得るシステムの排熱回収、地熱・OTEC等の中低温熱源を利用するバイナリーサイクル発電の動力回収、等において広く用いられている。
【0003】
各種エネルギー源が複数の圧力を有する場合には、たとえば、特許文献1に示されるように、複数のタービン、すなわち、それぞれの1つの圧力源に対して1つのタービンが用いられている。あるいは、同一軸に2つのタービンホイールを設ける場合もある。
これは、ラジアルタービンが流体のそれぞれの圧力に対し最適な条件に設計されるからである。たとえば、ラジアルタービンの入口半径Rは、重力加速度をg、ヘッドをH、タービンホイール入口周速をUとすると、g・H≒Uの関係で決まる。すなわち、タービンホイールの回転数をN(rpm)とすると、入口半径Rは、R≒U/2・π/(N/60)の近傍の値が設定される。
【0004】
また、流量変動の大きな流体を扱うラジアルタービンでは、たとえば、特許文献2に示されるように、1個の入口流路を隔壁で仕切って、分割するものが知られている。しかしながら、これは同一圧力の流体を流量に応じて入口の大きさを変化させるものである。
しかしながら、これは両方の入口流路が同一圧力の流体を扱うものである。また、両方の入口流路が隣接して設けられ、隔壁によって区切られているだけのものであるので、異なる圧力の流体を取り扱う場合、高圧の流体が低圧の流体の方へ漏れ、タービン効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−285607号公報
【特許文献2】特開昭63−302134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示されるように複数のタービンを用いるものは、製造コストが大きくなるし、設置スペースが大きくなる。
また、同一軸に複数のタービンホイールを設ける場合、タービン部品点数が多く、構造が複雑となるし、製造コストが大きくなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、複数の圧力を持つ流体を単一あるいは一体のタービンホイールで取扱い、部品点数を削減して低コスト化したラジアルタービンを提供することを目的とする。
また、本発明では、タービン効率の低下を抑制し、あるいは、軸受箱等の空間を十分に確保できるラジアルタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第一態様は、半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を備え、外周側に位置する主入口から前記主通路に半径方向の流れを主成分として流入する旋回する流体から、流れの旋回エネルギーを回転動力に変換し、そのエネルギーを放出した流れを軸方向に吐出するタービンホイールを備えているラジアルタービンであって、前記タービンホイールのシュラウド側に、前記主入口に対し半径方向および軸方向に離隔した位置に前記主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力の流体が流入する従入口が形成され、該従入口を構成する翼形状は、前記タービンホイールの軸線に直交する面において前記翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けてに所定角度傾斜されているラジアルタービンである。
【0009】
本態様によると、流体は、主入口からタービンホイールの主通路の外周端に導入される。主入口から導入された流体は、半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を通って順次圧力を低減されつつタービンホイールから吐出され、タービンホイールが取り付けられている回転軸に動力を発生させる。
タービンホイールのシュラウド側に、主入口に対し半径方向および軸方向に離隔した位置に従入口が形成され、従入口には、主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力、具体的には主入口に流入する流体よりも低い圧力の流体が流入する。従入口から導入された流体は、上流側の主入口および従入口から導入された流体と混合され、順次圧力を低減されつつタービンホイールから流出し、タービンホイールが取り付けられている回転軸に動力を発生させる。
主入口と従入口との間および各従入口間には、ケーシングが存在しているので、明確に区別され、流体の漏出を防止することができる。
このように、複数の圧力を有する流体を、単一のタービンホイールによって回転動力として取り出すことができる。これにより、部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0010】
このとき、従入口を構成する翼形状は、タービンホイールの軸線に直交する面において翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されているので、流入する流体の旋回流速成分の大きさは、その位置におけるタービンホイール、すなわち、翼の周速よりも小さくなる。
タービンホイールへ流入する流体の圧力であるヘッドは、流体の旋回流速成分と翼の周速とを乗算した値に比例する。タービンホイールの軸線に直交する面において翼の中心線が半径方向に対し回転方向に傾斜していないタービンホイールでは、一般に設計点として、タービンホイールの出口での流体の旋回流速成分をゼロとし、入口におけるヘッドを流体の旋回流速成分と翼の周速とが等しくなるようにされている。
本態様では、流入する流体の旋回流速成分の大きさは、その位置におけるタービンホイール、すなわち、翼の周速よりも小さくなるので、同一ヘッド、すなわち、流体の旋回流速成分と翼の周速との積を一定とする場合、翼の周速を一般のものよりも大きくすることができる。言い換えれば、従入口の半径方向位置を主入口により近い位置にすることができる。
従入口の半径方向位置を主入口により近い位置にすると、主入口から流入する流体と従入口から流入する流体との流れ方向が交差する角度がより小さくなり、なめらかに合流することができるので、両者の衝突によって生じる圧力損失をより小さくすることができる。これにより、ラジアルタービンのタービン効率の低下を抑制することができる。
【0011】
前記態様では、前記従入口を構成する翼の前縁を結ぶ線が、前記タービンホイールの軸線中心を中心とする円筒面において、前記軸線中心に対して前記翼の先端側に開くように傾斜して構成されていてもよい。
【0012】
このようにすると、従入口を構成する翼の主入口側が、主入口を構成する翼に近づくようにすることができる。したがって、従入口を構成する翼の主入口側を、主入口を構成する翼に連続するようにすることができる。
この場合、主入口からの翼をタービンホイールの軸線中心を中心とする円筒面において、軸線中心に対して従入口の翼側に開くように傾斜させることによってよりなめらかに連続させることができる。
このように、主入口を持つ翼と、従入口を持つ翼とが連続した翼面を構成するようにすると、従来の手法にて、あたかも1枚の翼面が連続する翼であるかのよう設計することができるし、従来の翼製作技術にて一体に製作することができる。
【0013】
本発明の第二態様は、半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を備え、外周側に位置する主入口から前記主通路に半径方向の流れを主成分として流入する旋回する流体から、流れの旋回エネルギーを回転動力に変換し、そのエネルギーを放出した流れを軸方向に吐出するタービンホイールを備えているラジアルタービンであって、前記タービンホイールには、前記主入口よりも半径方向内側位置に、前記主通路のハブ面から分岐され前記主通路の背面側に向かい延在する従通路が備えられ、該従通路の外周端には、前記主入口と異なる半径方向位置とされ、前記主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力の流体が供給される従入口が形成され、該従入口を構成する翼形状は、前記タービンホイールの軸線に直交する面において前記翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されているラジアルタービンである。
【0014】
本態様によると、流体は、主入口からタービンホイールの主通路の外周端に導入される。主入口から導入された流体は、半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を通って順次圧力を低減されつつタービンホイールから吐出され、タービンホイールが取り付けられている回転軸に動力を発生させる。
主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力の流体が、従入口から従通路の外周端に導入される。この流体は、従通路を通って主通路のハブ面から主通路に供給され、主入口から導入された流体と混合される。混合された流体は、順次圧力を低減されつつタービンホイールから流出し、タービンホイールが取り付けられている回転軸に動力を発生させる。
明確に区別され、流体の漏出を低減するために、主入口と従入口との間は、主通路を構成するタービンホイールの背板とケーシングとの間で調整された間隙で区切られていることが好適である。
このように、複数の圧力を有する流体を、単一あるいは一体のタービンホイールによって回転動力として取り出すことができる。これにより、部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0015】
このとき、従入口を構成する翼形状は、タービンホイールの軸線に直交する面において翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されているので、流入する流体の旋回流速成分の大きさは、その位置におけるタービンホイール、すなわち、翼の周速よりも小さくなる。
タービンホイールへ流入する流体の圧力であるヘッドは、流体の旋回流速成分と翼の周速とを乗算した値に比例する。タービンホイールの軸線に直交する面において翼の中心線が半径方向に対し回転方向に傾斜していないタービンホイールでは、一般に設計点として、タービンホイールの出口での流体の旋回流速成分をゼロとし、入口におけるヘッドを流体の旋回流速成分と翼の周速とが等しくなるようにされている。
本態様では、流入する流体の旋回流速成分の大きさは、その位置におけるタービンホイール、すなわち、翼の周速よりも小さくなるので、同一ヘッド、すなわち、流体の旋回流速成分と翼の周速との積を一定とする場合、翼の周速を一般のものよりも大きくすることができる。言い換えれば、従入口の半径方向位置を主入口により近い位置にすることができる。
従入口の半径方向位置を主入口により近い位置にすると、従入口に流入させる流体通路を回転軸からより離れた位置に設置することができるので、回転軸の回りに設置される軸受箱等の空間を十分に確保することができる。
【0016】
上記各態様では、前記所定角度は、10°以上とされていることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タービンホイールのシュラウド側に、主入口に対し半径方向および軸方向に離隔した位置に複数の従入口が形成され、あるいは、主通路のハブ面から分岐され主通路の背面側に向かい延在する従通路および従入口が備えられているので、複数の圧力を有する流体を、単一あるいは一体のタービンホイールによって回転動力として取り出すことができる。これにより、部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
このとき、従入口を構成する翼形状は、タービンホイールの軸線に直交する面において翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されているので、ラジアルタービンのタービン効率の低下を抑制することができる、あるいは、回転軸の回りに設置される軸受箱等の空間を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるエキスパンジョンタービンが用いられているバイナリー発電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のエキスパンジョンタービンにラジアルタービンを適用した部分断面図である。
【図3】図2のラジアル翼を軸線方向に見た正面図である。
【図4】図2のラジアル翼を示すX−X視図である。
【図5】図2の従入口における速度三角形を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態にかかるラジアルタービンの比較例を示す部分断面図である。
【図7】図6の従入口における速度三角形を示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態にかかるエキスパンジョンタービンが用いられているバイナリー発電システムの別の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第一実施形態にかかるエキスパンジョンタービンが用いられているプラントシステムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第二実施形態にかかるラジアルタービンを示す部分断面図である。
【図11】図10のラジアル翼を軸線方向に見た正面図である。
【図12】図10のラジアル翼を示すY−Y視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態にかかるラジアルタービン100について図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかるエキスパンジョンタービンが用いられているバイナリー発電システムの構成を示すブロック図である。図2は、図1のエキスパンジョンタービンとして本発明のラジアルタービンが使用される場合のラジアルタービン形状を示す部分断面図である。図3は、図2のラジアル翼を軸線方向に見た正面図である。図4は、図2のラジアル翼を示すX−X視図である。図5は、従入口における速度三角形を示す図である。
【0020】
バイナリー発電システム3は、たとえば、地熱発電を行うシステムとして使用されるものである。バイナリー発電システム3には、複数の熱源を有する熱源部5と、2個のバイナリーサイクル7A,7Bと、エキスパンジョンタービン1、エキスパンジョンタービン1の回転動力によって電力を発生する発電機9とが備えられている。
【0021】
熱源部5は、地熱によって加熱された蒸気や熱水をバイナリーサイクル7A,7Bに供給する。熱源部5は、温度T1,T2が異なり圧力が異なる2種類の蒸気や熱水を供給するように構成されている。
バイナリーサイクル7A,7Bは、作動流体である低沸点媒体(流体)を循環させるランキンサイクルで構成されている。低沸点媒体としては、たとえば、イソブタン等の有機媒体、フロン、代替フロン、またはアンモニアやアンモニアと水の混合流体、等が用いられる。
【0022】
バイナリーサイクル7A,7Bでは、熱源部5からの高温蒸気や熱水によって、低沸点媒体が加熱され、高圧流体とされ、これがエキスパンジョンタービン1に供給される。エキスパンジョンタービン1から排出された低沸点媒体は、バイナリーサイクル7A,7Bに戻され、再度高温蒸気や熱水によって加熱され、これを順次繰り返す。
このとき、2つのバイナリーサイクル7A,7Bでは、同じ低沸点媒体が用いられている。バイナリーサイクル7A,7Bに供給される高温蒸気や熱水の温度が異なるので、それらからエキスパンジョンタービン1に供給される低沸点媒体の圧力P1、P2は異なっている。圧力P1が圧力P2よりも大きい。
【0023】
ラジアルタービン100には、ケーシング11と、ケーシング11に回転可能に支持された回転軸13と、回転軸13の外周に取り付けられたラジアルタービンホイール(タービンホイール)13と、が備えられている。
ラジアルタービンホイール15は、回転軸13の外周に取り付けられたハブ17とハブ17の外周面に放射状に間隔を空けて備えられた複数の翼19とで構成されている。
【0024】
ラジアルタービンホイール15の外周端には、半径R1の位置に全周に亘る主入口21が形成されている。主入口21の外周側には、環状の空間である入口流路25が形成されている。入口流路25の外周側端部には、バイナリーサイクル7Aから供給される圧力P1の低沸点媒体が導入される主流入路23が形成されている。
入口流路25には、周方向に間隔を空けて配置された複数の翼から構成され高速旋回流を発生させるノズル27が設けられている。
また、ノズル翼を有しないスクロールなどの高速旋回流発生流路により高速旋回流を発生させるようにしても良い。
ラジアルタービンホイール15には、主入口21からタービンホイール出口21に向かって流れが流出するように半径方向から軸方向に向かい湾曲した主通路26が形成されている。
【0025】
ラジアルタービンホイール15のシュラウド側に、主入口21に対し半径方向および軸方向に離隔した半径R2の位置に従入口29が形成されている。
従入口29の外周側には、環状の空間である入口流路33が形成されている。入口流路33の外周側端部には、バイナリーサイクル7Bから供給される圧力P2の低沸点媒体が導入される従流入路31が形成されている。
入口流路33には、周方向に間隔を空けて配置された複数の翼から構成されるノズル35が設けられている。
【0026】
図2には、ラジアルタービンホイール15内を通る流体の等圧線が一点鎖線で示されている。
半径R2は、従入口29から供給される流体の圧力が、ラジアルタービンホイール15内でこの位置を通る流体の圧力と略同一となるように設定されている。
【0027】
翼19は、主入口21のハブ17側は軸線中心24に対してほぼ同一の角度の放射状の翼形状を有し、ラジアルタービンホイール15の出口に向けて放物線状に回転軸13に対して翼の角度が大きくなるという翼形状とされている。
従入口29を構成する翼形状は、図3に示されるように、回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に対し回転方向20の下流側に角度(所定角度)β2傾斜されている。角度β2は、10°以上とされていることが好適である。
そして、前縁を結ぶ線22は、図4に示されるように回転軸13の軸線中心24を中心とする円筒面において、軸線中心24に対して翼19の先端側に開くように傾斜して構成されている。線22の回転軸13の軸線中心24に対する傾斜角は角度γ2とされている。
【0028】
主入口21は半径R1の位置に、従入口29は半径R2の位置に設けられている。
翼19の主入口21近傍における翼形状は、回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に略沿うように構成されている。したがって、主入口21の半径R1は、次のように設定される。入口圧P1およびヘッドH1に対してg・H1≒U12の関係がある。ラジアルタービンホイール15の回転数をN(rpm)とすると、主入口21の半径R1は、R1≒U1/2・π/(N/60)の近傍の値に設定される。
これをさらに厳密に表示すると、g*H1=Cu1*U1−Cud*Ud(Cu1;主入口21での流れの旋回流速成分、Cud;ラジアルタービンホイール15出口の代表旋回流速成分、Ud;ラジアルタービンホイール15出口の代表周速)であり、設計点では一般にCud≒0、Cu1≒U1に設定されるために、結果として前述した関係で主入口21の半径R1が設定される。
【0029】
一方、従入口29近傍の翼形状は、回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に対し回転方向20の下流側に角度(所定角度)β2傾斜されている。
この場合、従入口29における速度三角形は図5に示されるようになる。すなわち、従入口29に流入する流体の絶対流速C2は、子午面流速成分Cm2と旋回流速成分Cu2とに分解される。また、絶対流速C2は、翼面に沿う相対流速W2と、ラジアルタービンホイール15の周速U2とに分解される。
従入口29の近傍における角度β2傾斜した翼面に沿う相対流速W2によって流入する流体の旋回流速成分Cu2の大きさは、その位置におけるラジアルタービンホイール15の周速U2よりも小さくなる。言い換えれば、旋回流速成分Cu2と周速U2とは異なる大きさとなる。
【0030】
したがって、従入口29の半径R2は、次のように設定される。従入口29における入口圧P2およびヘッドH2に対してg*H2≒Cu2*U2の関係がある。ラジアルタービンホイール15の回転数をN(rpm)とすると、従入口29の半径R2は、R2≒U2/2・π/(N/60)の近傍の値に設定される。
これをさらに厳密に表示すると、g*H2=Cu2*U2−Cud*Udであり、設計点では一般にCud≒0に設定されるために、結果として前述した関係で従入口29の半径R2が設定される。
【0031】
比較例として、図6に示される回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に略沿うように構成されている翼形状を持つ従入口30を備え、それ以外は本実施形態と同様な構成とされているラジアルタービンホイール15について説明する。図7には、図6のラジアルタービン15の従入口30における速度三角形が示されている。
従入口30が設置される位置の半径R´は、主入口21の半径R1と同様に、入口圧P2´およびヘッドH2´に対してg*H2´≒U2´2(≒Cu2´・U2´)の関係がある。ラジアルタービンホイール15の回転数をN(rpm)とすると、従入口30の半径R2´は、R2´≒U2´/2・π/(N/60)の近傍の値に設定される。
【0032】
従入口29においてはg・H2≒Cu2*U2と示されるのに対し、従入口30では、g・H2´≒U2´2(≒Cu2´*U2´)と示される。
この関係において、従入口29のヘッドH2および従入口30のヘッドH2´が同一とされる場合、上述のように従入口29では、旋回流速成分Cu2が周速U2よりも小さいので、Cu2´≒U2´である従入口30の旋回流速成分Cu2´および周速U2´に対して、たとえば、1以上の定数αを用いてCu2=Cu2´/α、U2=U2´*αとすることで行うことができる。この時、回転数が一定とすれば、従入口29の半径R2と従入口30の半径R2´との関係は、半径R2=R2´*αとなる。
したがって、ヘッドHが同一である場合には、従入口29の半径R2は、従入口30の半径R2´よりも大きくすることができる。
【0033】
従入口29の前縁を結ぶ線22は、回転軸13の軸線中心24を中心とする円筒面において、軸線中心24に対して翼19の先端側に角度γ2だけ開くように傾斜して構成されているので、従入口29を構成する翼19の主入口21側が、主入口21を構成する翼19に近づくようにすることができる。したがって、図4に示されるように従入口29を構成する翼19の翼面を、主入口21を構成する翼19の翼面と連続するようにすることができる。
このように、主入口21と、従入口29とが連続した翼面を構成するようにすると、従来の手法にて、あたかも1枚の翼面が連続する翼19であるかのよう設計することができるし、従来の翼製作技術にて一体に製作することができる。
この場合、軸線中心24を中心とする円筒面において、主入口21からの翼19部分を軸線中心24に対して従入口29側に開くように傾斜させるようにしてもよい。これによって、主入口21と、従入口29とをよりなめらかに連続させることができる。
【0034】
以下、このように構成された本実施形態にかかるラジアルタービン100の動作について説明する。
バイナリーサイクル7Aから供給される圧力P1の低沸点媒体は、主流入路23から入口流路25を通ってノズル27によって流量、流速を調整され、流量G1の低沸点媒体が主入口21から主通路26に供給される。この低沸点媒体は、主通路26に沿って流れ28のように湾曲しつつラジアルタービンホイール15の出口に向かい流れる。このとき、ラジアルタービンホイール15に供給される低沸点媒体の圧力はPN1である。この圧力PN1の低沸点媒体は、主通路26を通ってラジアルタービンホイール15の出口圧Pdまで連続的に圧力が低下しながらラジアルタービンホイール15から流出し、ラジアルタービンホイール15が取り付けられている回転軸13に回転動力を発生させる。
【0035】
このとき、バイナリーサイクル7Bから供給される圧力P2の低沸点媒体は、従流入路31から入口流路33を通ってノズル35によって流量、流速を調整され、流量G2の低沸点媒体が従入口29からラジアルタービンホイール15に供給される。
このとき、この従入口29からラジアルタービンホイール15内に供給される低沸点媒体の圧力PN2は、ラジアルタービンホイール15を流れるラジアルタービンホイール15出口に向かい順次、言い換えれば連続的に低下する低沸点媒体の従入口29位置における圧力に一致するようにされている。
従入口29に供給された低沸点媒体は、流れ37のように流れて主入口21から導入された低沸点媒体と合流する。
【0036】
ラジアルタービンホイール15の出口の半径Rdは、流量が大きい場合、主入口21の半径R1の0.6〜0.7倍程度の大きさに設定されるものが多い。たとえば、図6に示される従入口30を備えたラジアルタービンホイール15を用いる場合、従入口30に流入する低沸点媒体のヘッドH2´が主入口21でのヘッドH1の0.5倍であるとすると、従入口30が設置される半径R2´は、主入口21の半径R1の√5倍、すなわち、0.707倍となる。
このような状態では、主入口21から流入した流れ28と、従入口30から流入した流れ37と、の子午面における流れの代表速度のベクトルが平行に流れることができず、流れ28,37が互いに衝突するため、流れの圧力損失が増加することになる。
【0037】
本実施形態では、同じヘッドの場合、回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に対し回転方向20の下流側に角度β2傾斜されている翼形状を持つ従入口29が設置される半径位置は、回転軸13の軸線に直交する面において翼19の中心線が半径方向に略沿うように構成されている翼形状を持つ従入口30の半径位置に比べて大きくできるので、主入口21から流入する低沸点媒体の流れ28と従入口29から流入する低沸点媒体の流れ37とが交差する角度を、従入口30のそれと比べて小さくすることができる。したがって、主入口21から低沸点媒体と従入口29からの低沸点媒体とが従入口30よりもよりなめらかに合流することができるので、両者の衝突によって生じる圧力損失をより小さくすることができる。これにより、ラジアルタービン100のタービン効率の低下を抑制することができる。
【0038】
従入口29から流入した流量G2の低沸点媒体は、主入口21から供給された流量G1の低沸点媒体と混合され、一体となってラジアルタービンホイール15の出口から流出される。流量G1および流量G2が合わさった流量の低沸点媒体が、ラジアルタービンホイール15を介して回転軸13に回転動力を発生させる。
回転軸13の回転駆動によって発電機9が電力を発生させる。
【0039】
このように、バイナリーサイクル7A,7Bからの圧力の異なる低沸点媒体を、それぞれラジアルタービンホイール15の主入口21および従入口29に供給することによって、単一のラジアルタービンホイール15によって回転動力として取り出すことができる。
これにより、本実施形態にかかるラジアルタービン100は、複数のエキスパンジョンタービンあるいは複数のラジアルタービンホイールを備えるエキスパンジョンタービンに比べて部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、ラジアルタービンホイール15にシュラウドが設けられていないが、これに限定されない。
たとえば、主入口21と従入口29との間に位置するラジアルタービンホイール15にシュラウドを取り付けてもよい。また、シュラウドに加えて従入口29からラジアルタービンホイール15の出口の間にシュラウドを設けるようにしてもよい。
このようにすると、主入口21と従入口29との間における翼先端のクリアランスによる低沸点媒体の漏れ損失を低減することができ、タービン効率を高くすることができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、従入口29は一箇所とされているが、複数箇所に設けるようにしてもよい。
このようにすると、3以上の異なる圧力の低沸点媒体を単一のラジアルタービンホイール15によって回転動力として取り出すことができ、より部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0042】
本実施形態では、2つのバイナリーサイクル7A,7Bを持つ、バイナリー発電システム3に適用するとして説明したが、エキスパンジョンタービン1の用途はこれに限定されない。
たとえば、図8に示されるように、1つのバイナリーサイクル7Cを有するバイナリー発電システム3にも適用できる。これはバイナリーサイクル7Cから圧力の異なる低沸点媒体を取り出してエキスパンジョンタービン1によって動力を回収する。
【0043】
また、図9に示されるプラントシステム2でエキスパンジョンタービン1を用いるようにしてもよい。プラントシステム2には、たとえば、ボイラプラント4で、複数、たとえば、3つの圧力の異なる蒸気(流体)を取り出してエキスパンジョンタービン1によって動力を回収するものである。
プラントシステム2としては、各種産業プラントであり、たとえば、化学プラントにおいて分離や混合が行われるプロセスの混合過程に使用されても良い。
【0044】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態にかかるラジアルタービン100について、図10〜図12を用いて説明する。
本実施形態は、タービンホイールの構成が第一実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0045】
図10は、本発明の第二実施形態にかかるラジアルタービン100を示す部分断面図である。図11は、図10のラジアル翼を軸線方向に見た正面図である。図12は、図10のラジアル翼を示すY−Y視図である。
【0046】
本実施形態では、主通路26のハブ面に、背面側に向かい延在する従通路32が備えられている。主通路26と従通路32とは、一点鎖線で示される主通路26のハブ面の仮想線である合流部34で流れが合流する。言い換えれば、従通路32は、合流部34から分岐され、主通路26の背面側に向かい延在するように形成されている。
従通路32の背面側の外周端には、主入口21と異なる半径R2の位置に全周に亘る従入口36が形成されている。
【0047】
半径R2の位置に設置された従入口36の外周側には、環状の空間である入口流路38が形成されている。入口流路38の外周端には、バイナリーサイクル7Bから供給される圧力P2の低沸点媒体が導入される従流入路40が接続されている。
入口流路40には、周方向に間隔を空けて配置された複数の翼から構成されるノズル42が設けられている。
【0048】
ラジアルタービンホイール15の翼19には、合流部34で分岐され、従通路32の周方向を区画する分岐通路壁(翼)44が形成されている。
主入口21から合流部34に至る翼19の背面と、分岐通路壁44のシュラウド側には、背板46が設けられている。
隣り合う翼19と、ハブ17と、背板46と、ケーシング11とで、主通路26が形成される。隣り合う翼19の分岐通路壁44と、ハブ17と、背板26の半径方向内向きの面とで、従通路32が形成される。
【0049】
翼19の後縁は、図10に示されるように、低沸点媒体がほぼ軸向きの成分を持って流出するように、ほぼ半径方向の線からなるように構成されている。
翼19の後縁は、流れが半径内向きの成分を持って流出するように傾斜して構成されていてもよい。
【0050】
主通路26を構成する翼19は、図12に示されるように主入口21において回転軸13の軸線中心24に対してほぼ同一の角度の放射状の翼形状を有し、ラジアルタービンホイール15の出口に向けて、回転軸13に対して翼の中心線XLが放物線状に大きくなるという翼形状とされている。この転向点は、合流部34の近傍である。
従通路32を構成する分岐通路壁44は、翼19の主入口21側の部分である主入口部および背板26の遠心力を受け止めるため、合流部34に位置する翼19をハブ側へ延長した位置に設置されている。
なお、遠心力による翼19の分岐通路壁44に作用する応力が十分小さい場合には、翼19の主入口部の角度と分岐通路壁44の角度とが食い違うようにされてもよい。
【0051】
従入口36を構成する分岐通路壁44の形状(翼形状)は、図11に示されるように、回転軸13の軸線に直交する面において分岐通路壁44の中心線が半径方向に対し回転方向20の下流側に角度(所定角度)β2傾斜されている。なお、角度β2は、10°以上とされていることが好適である。
これにより、第一実施形態における従入口29と同様に、従入口36の近傍における角度β2傾斜した翼面に沿う相対流速によって流入する流体の旋回流速成分Cu2の大きさは、その位置におけるラジアルタービンホイール15の周速U2よりも小さくなる。言い換えれば、旋回流速成分Cu2と周速U2とは異なる大きさとなる。
【0052】
したがって、従入口36の半径R2は、次のように設定される。従入口36における入口圧P2およびヘッドH2に対してg*H2≒Cu2*U2の関係がある。ラジアルタービンホイール15の回転数をN(rpm)とすると、従入口36の半径R2は、R2≒U2/2・π/(N/60)の近傍の値に設定される。
これをさらに厳密に表示すると、g*H2=Cu2*U2−Cud*Udであり、設計点では一般にCud≒0に設定されるために、結果として前述した関係で従入口36の半径R2が設定される。
【0053】
従入口36が、回転軸13の軸線に直交する面において分岐通路壁44の中心線が半径方向に略沿うように構成されている場合には、従入口36が設置される位置の半径R´は、主入口21の半径R1と同様にして設定される。すなわち、入口圧P2´およびヘッドH2´に対してg*H2´≒U2´2(≒Cu2´・U2´)の関係がある。ラジアルタービンホイール15の回転数をN(rpm)とすると、半径R2´は、R2´≒U2´/2・π/(N/60)の近傍の値に設定される。
【0054】
この関係において、ヘッドH2およびヘッドH2´が同一とされる場合、たとえば、1以上の定数αを用いてCu2=Cu2´/α、U2=U2´*αとすることで行うことができる。この時回転数が一定とすれば、半径R2と半径R2´との関係は、R2=R2´*αとなる。
したがって、ヘッドHが同一である場合には、図10に示されるように半径R2は、半径R2´よりも大きくすることができる。
【0055】
このように、従入口36の設置される半径R2が大きくできるので、従流入路40の位置を回転軸13からより離隔した位置に配置することができる。言い換えると、従流入路40の下端から回転軸13までの空間54の高さを大きくすることができる。
回転軸13の周囲には、ラジアルタービンホイール15の軸受けや、シール構造等が設置されるが、空間54の高さを大きくできるので、軸受けや、シール構造等が設置される場所を十分に確保することができる。
言い換えると、軸受けや、シール構造等と干渉しないように従流入路40を設置できるヘッドH2の範囲を拡大することができる。
【0056】
主通路26および従通路32はタービンホイール出口21に向かうに連れて主通路26の翼19の高さと従通路32の分岐通路壁44の高さとが共に高くなるように構成されており、主通路26を流れる低沸点媒体の流れ48および従通路32を流れる低沸点媒体の流れ50は、ラジアルタービンホイール15の出口に向かうに連れて流量容積が増加しながら順次低圧になる。
図10には、ラジアルタービンホイール15内を通る流体の等圧線が一点鎖線で示されている。
半径R2は、従入口36から供給され、合流部34に至る流体の圧力が、主通路26の合流部34を通る流体の圧力と略同一となるように設定されている。
【0057】
ケーシング11には、主入口21と従入口36との間に、一面が入口流路39の通路壁を構成し、他面が背板26との間隙が小さくなるように調整されたケーシング壁52が備えられている。
【0058】
以下、このように構成された本実施形態にかかるラジアルタービン100の動作について説明する。
バイナリーサイクル7Aから供給される圧力P1の低沸点媒体は、主流入路29から入口流路31を通ってノズル33によって流量、流速を調整され、流量G1の低沸点媒体が主入口27から主通路23に供給される。このとき、ラジアルタービンホイール15に供給される低沸点媒体の圧力はPN1である。この圧力PN1の低沸点媒体は、ラジアルタービンホイール15の出口圧Pdまで連続的に圧力が低下しながらラジアルタービンホイール15から流出し、ラジアルタービンホイール15が取り付けられている回転軸13に回転動力を発生させる。
【0059】
このとき、バイナリーサイクル7Bから供給される圧力P2の低沸点媒体は、従流入路40から入口流路38を通ってノズル42によって流量、流速を調整され、流量G2の低沸点媒体が従入口36から従通路32に供給される。このとき、この従入口36から従通路32に供給される低沸点媒体の圧力PN2は、低沸点媒体が従通路32を流れる間に減圧され、主通路26における合流部34位置における圧力に略一致するようにされる。
主入口21と従入口36との間は、主通路26の背板46との間でクリアランスが小さくなるように間隙調整されたケーシング壁52が備えられているので、ホイール入口にて圧力PN1と圧力PN2との圧力の異なる低沸点媒体を用いても主入口21からの圧力の高い低沸点媒体が従入口36の方へ漏れるのを抑制し、漏れを低減することができる。
【0060】
合流部34において従入口36から流入した流量G2の低沸点媒体は、主入口21から供給された流量G1の低沸点媒体と混合される。主通路26と従通路32とは、翼19および分岐通路壁44によって連続して形成されるので、これらの通路を通る流体は滑らかに混合されることができる。
混合された低沸点媒体は、ラジアルタービンホイール15から流出される。流量G1および流量G2が合わさった流量の低沸点媒体が、ラジアルタービンホイール15を介して回転軸13に回転動力を発生させる。
回転軸13の回転駆動によって発電機9が電力を発生させる。
【0061】
このように、バイナリーサイクル7A,7Bからの圧力の異なる低沸点媒体を、それぞれラジアルタービンホイール15の主入口21および従入口36に供給することによって、単一のラジアルタービンホイール15によって回転動力として取り出すことができる。
これにより、本実施形態にかかるラジアルタービン100は、複数のエキスパンジョンタービンあるいは複数のラジアルタービンホイールを備えるエキスパンジョンタービンに比べて部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、ラジアルタービンホイール15にシュラウドが設けられていないが、必要に応じてシュラウドを取り付けるようにしてもよい。
このようにすると、主通路26における低沸点媒体の漏れ損失を低減することができ、タービン効率を高くすることができる。
【0063】
本実施形態では、2つのバイナリーサイクル7A,7Bを持つ、バイナリー発電システム3に適用するとして説明したが、エキスパンジョンタービン1の用途はこれに限定されない。
たとえば、図8に示されるように、1つのバイナリーサイクル7Cを有するバイナリー発電システム3にも適用できる。
また、図9に示されるプラントシステム2でエキスパンジョンタービン1を用いるようにしてもよい。プラントシステム2としては、各種産業プラントであり、たとえば、化学プラントにおいて分離や混合が行われるプロセスの混合過程に使用されても良い。
【0064】
なお、本発明は以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 エキスパンジョンタービン
13 回転軸
15 ラジアルタービンホイール
19 翼
21 主入口
26 主通路
29 従入口
36 従入口
44 分岐通路壁
100 ラジアルタービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を備え、外周側に位置する主入口から前記主通路に半径方向の流れを主成分として流入する旋回する流体から、流れの旋回エネルギーを回転動力に変換し、そのエネルギーを放出した流れを軸方向に吐出するタービンホイールを備えているラジアルタービンであって、
前記タービンホイールのシュラウド側に、前記主入口に対し半径方向および軸方向に離隔した位置に前記主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力の流体が流入する従入口が形成され、
該従入口を構成する翼形状は、前記タービンホイールの軸線に直交する面において前記翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されていることを特徴とするラジアルタービン。
【請求項2】
前記従入口を構成する翼の前縁を結ぶ線が、前記タービンホイールの軸線中心を中心とする円筒面において、前記軸線中心に対して前記翼の先端側に開くように傾斜して構成されている請求項1に記載のラジアルタービン。
【請求項3】
半径方向から軸方向に湾曲しつつ順次翼高さが高くなる主通路を備え、外周側に位置する主入口から前記主通路に半径方向の流れを主成分として流入する旋回する流体から、流れの旋回エネルギーを回転動力に変換し、そのエネルギーを放出した流れを軸方向に吐出するタービンホイールを備えているラジアルタービンであって、
前記タービンホイールには、前記主入口よりも半径方向内側位置に、前記主通路のハブ面から分岐され前記主通路の背面側に向かい延在する従通路が備えられ、
該従通路の外周端には、前記主入口と異なる半径方向位置とされ、前記主入口から供給される流体の圧力とは異なる圧力の流体が供給される従入口が形成され、
該従入口を構成する翼形状は、前記タービンホイールの軸線に直交する面において前記翼の中心線が半径方向に対し回転方向に向けて所定角度傾斜されていることを特徴とするラジアルタービン。
【請求項4】
前記所定角度は、10°以上とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラジアルタービン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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