説明

ラジアル転がり軸受特に1列深溝転がり軸受

本発明は、ラジアル転がり軸受(1)であって、外レース(2)、内レース(3)、及びこれらのレース(2,3)の間に設けられる多数の転動体(4)を含み、保持器(5)により転動体(4)が保持されるものに関する。転動体(4)が、球基本形状から対称に平らにされる。
本発明によれば、保持器(5)が保持器ポケット(15)を持ち、これらの保持器ポケット(15)内で転動体(4)が、その側面(8,9)の中心範囲(16,17)と保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)との間の少なくとも2つの摩擦の少ない点接触を介して、一方では両レース(2,3)の間の軸線方向案内を受け、他方では転動方向に対して直角に生じる傾倒運動に対する所定の自由度をもつように、またラジアル転がり軸受(1)の押圧角に自動的に合わせるための所定の自由度を持つように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のラジアル転がり軸受に関し、自動車変速機又は内燃機関の二次伝動部内又は電気制動機にある1列深溝転がり軸受において特に有利に実現可能である。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受技術において、1列深溝玉軸受が分解不可能なラジアル転がり軸受であり、特にその半径方向及び軸線方向の荷重負担能力が同じように大きく、その僅かな摩擦のためすべての種類の軸受の最高回転数限界を持っている点ですぐれていることは、当業者に周知である。これらの深溝玉軸受は以前から公知であり、外レース、内レース及びこれらのレースの間に設けられる転動体としての玉から成り、これらの玉が、外レースの内側及び内レースの外側にある溝状の転動軌道において、保持器により互いに等間隔に案内される。このようなラジアル玉軸受への玉の挿入は、ドイツ連邦共和国特許第168499号明細書により公知になっている偏心組立て方法によって行われ、両方のレースが互いに偏心して配置され、それによりレースの間に生じる自由空間へ玉が充填され、最後に玉転動路のピッチ円上で互いに等間隔に分布される。
【0003】
しかしこのような深溝玉軸受は、内レース及び外レースの寸法及び玉直径に関係する玉の最大に挿入可能な数が少ないため、軸受の荷重負担能力に関して限界があることが、実際にわかった。従って過去に多数の解決策が提案され、玉の数を多くすることにより、深溝玉軸受の荷重負担能力を高めるようにしていた。
【0004】
ラジアル転がり軸受における転動体の数を高めるこのような可能性は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4334195号明細書により公知になっている。しかし1列深溝玉軸受として構成されるこれらのラジアル転がり軸受では転動体が玉ではなく、球基本形状から対称に平らにされかつ互いに平行に配置される2つの側面により構成されるいわゆる球面板によって形成される。これらの側面の間におけるこれらの球面板の幅は、外レースの内側と内レースの外側との間隔より小さく構成されているので、軸受に入れる際、球面板は軸受の軸線方向に内レースと外レースとの間隔を通って軸受へ導入され、それからレースの転動路内で90°回される。この組立て方法によっては個々の転動体の間に一層小さい間隔が得られるので、全体としてもっと多数の転動体をラジアル転がり軸受へ入れることができる。しかし軸受作動中に転動体の相互接触及び転動方向に対して直角な転動体の自動的ねじれを回避するため、これらの転動体も1つの保持器内で互いに等間隔に保持され、かつ軸線方向に案内される。提案された保持構成の1つは、2つの環半体から組合わされる保持器であり、環半体の各々に球面円板の数に相当する凹所がそれぞれ形成され、球面円板の側面にある相補的な中心凹所へこれらの凹所がはまる。球面円板の側面にある凹所は、中心貫通孔により互いに接続され、これらの貫通孔を通して鋲により両方の環半体が互いに結合されるので、球面円板は周方向に互いに位置ぎめされている。凹所の間で保持器の両方の環半体は、球面円板の側面に沿ってそれぞれまっすぐに延びる部分を持ち、これらの部分により、球面円板の転がり軸として役立つ鋲との共同作用で、転動方向に対して直角な転動体の自動的なねじれも回避される。
【0005】
しかしこのように構成される保持器により、球面円板として構成される転動体の異なる軸受負荷において起こる全運動挙動が考慮されないので、この保持器がこのような特殊の転動体に不適当であると思われていることが、不利であることがわかった。例えばラジアル転がり軸受にある転動体としての球面円板が、高い回転数及び均一な荷重では、振り分け運動なしに起こる環動効果のため、その転動体転動路内で安定に転動し、保持器による軸線方向案内を必要としないことがわかった。しかし軸受回転数が許容最低回転数以下に低下すると、いわゆるよろめき効果が生じ、球面円板がその転動路内で転動方向に対して直角に波状に転がる傾向がある。その際球面円板の転動路縁が保持器の両方の環半体の直線部分に接触し、それにより摩擦熱が発生されて、ラジアル転がり軸受に作動温度の上昇が起こる。球面円板と保持器との摩擦が強くなって、軸受の許容作動温度を超過し、球面円板と保持器とレースとの間に必要な潤滑膜が局部的に裂けるか、又は潤滑剤が一部燃焼するので、保持器の破裂及び軸受の故障を起こすことがある。このような軸受では、保持器の鋲上において両方の環半体の間に締付けられるその支持により、ラジアル転がり軸受に半径方向及び軸受方向の荷重が加わる際、球面円板がラジアル転がり軸受のそれぞれの押圧角に合わされないことが、同様にわかった。ラジアル転がり軸受のこのような荷重を受けて、球面円板を自動的にラジアル転がり軸受の押圧角に合わせようとする際、同様に球面円板の側面が保持器の環半体の直線部分に接触し、また球面円板にある中心貫通孔が保持器の鋲に接触するので、このような条件でもラジアル転がり軸受に過度の摩擦熱が生じることがある。最後に球面円板用のこのような保持器は、このような保持器を備えたラジアル転がり軸受の製造費に関しても不利なことがわかった。なぜならば、その製造特に軸受において鋲により行われるその組立てに比較的費用がかかるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って公知の従来技術の上述した欠点から始まって、本発明の基礎になっている課題は、簡単かつ安価に製造可能な保持器で構成されるラジアル転がり軸受特に深溝転がり軸受を考案し、この軸受により、一方では球面円板として構成される転動体の軸線方向案内が保証され、他方では低い軸受回転数及び/又は軸線方向及び半径方向負荷においても摩擦熱を発生する球面円板と保持器との接触が回避可能であるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によればこの課題は、請求項1の上位概念に記載のラジアル転がり軸受において、各転動体用の保持器が、ピッチ円線の所でこれらの転動体を包囲する保持器ポケットを持ち、これらの保持器ポケット内で転動体が、その側面の中心範囲と保持器ポケットの縦橋絡片との間の少なくとも2つの摩擦の少ない点接触を介して、一方では両レースの間の軸線方向案内を受け、他方では転動方向に対して直角に生じる傾倒運動に対する所定の自由度をもつように、他方ではラジアル転がり軸受の押圧角に自動的に合わせるための所定の自由度を持つように構成されていることによって、解決される。
【0008】
本発明により構成されるラジアル転がり軸受の好ましい構成及び有利な展開は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明により構成されるラジアル転がり軸受において請求項2によれば、転動体の側面の中心範囲が、これらの側面に形成される中心凹所又は同心切欠きにより形成される。転動体に中心凹所を形成する際、これらの凹所はなるべく丸い偏平くぼみの形で形成され、転動体に中心切欠きを形成する際、これらの切欠きがなるべく転動体軸線の周りに延びる偏平環状溝により形成される。これらの凹所又は切欠きは、特に、それにより転動体の質量重心が半径方向外方へその転動面の方へ移され、それにより転動体の転動特性が改善される、という利点を持っている。
【0010】
転動体が、丸いくぼみとして形成される中心凹所をその側面に形成されていると、請求項3によれば、本発明により構成されるラジアル転がり軸受の別の特徴は、側面の中心範囲と保持器ポケットの縦橋絡片との点接触が、縦中心で縦橋絡片に形成される円錐先端を介して行われることである。転動体の側面にあるそれぞれの中心凹所へ軸線方向に入り込むこれらの円錐先端は、案内の場合凹所の平らな底と作用結合しているが、軸受作動中には、凹所の底と永続的に接触しない。更に円錐先端の端部が丸めて形成されて、これらの円錐先端の早期の摩耗を防止すると、有利なことがわかった。
【0011】
これに反し転動体が、環状溝として形成される同心切欠きをその側面に形成されていると、本発明により構成されるラジアル転がり軸受では、請求項4によれば、転動体の軸線方向案内のため、側面の中心範囲と保持器ポケットの縦橋絡片との点接触を、転動体に一体に形成される2つの円錐先端を介して行うことが可能である。転動体の側面にあるそれぞれの同心切欠きから軸線方向に突出するこれらの円錐先端は、案内の場合、保持器ポケットの縦橋絡片の平らな縦中心範囲と作用結合しているが、同様に縦橋絡片に永続的には接触せず、摩耗を回避するため、その端部を丸めて形成されている。
【0012】
請求項5〜7によれば、本発明により構成されるラジアル転がり軸受は、更に次の特徴を持っている。即ち転動体の転動面の縦半径及び横半径に従って湾曲して形成される保持器の横橋絡片が、両側でこれらの転動面を越えて延びて、横橋絡片の間で丸められる移行範囲を介してこれらの横橋絡片に結合される保持ポケットの縦橋絡片が、転動体の側面から離れて設けられるようにしている。転動体の転動面を越えて延びる保持器ポケットの横橋絡片の構成により、転動体が走行方向において両側に、保持器ポケットの縦橋絡片への移行範囲により限定される約3°〜7°の角度の自由度を持ち、この自由度により、許容最小回転数以下で転動方向に対して直角な転動体を傾倒運動が起こる場合、摩擦熱を発生する球面円板と保持器との接触が回避される。これに反し側面から離れて保持器ポケットの縦橋絡片を配置すると、転動体が、両側に、縦橋絡片の上縁及び下縁により限定される約12°〜18°の自由度を持ち、この自由度により半径方向及び軸線方向荷重においてラジアル転がり軸受の押圧角に転動体を自動的に合わことができるという利点が生じる。
【0013】
転動体に対して前記の両方の自由度を実現するための別の前提条件は、請求項8により本発明に従って構成される好適な展開では、更に保持器のピッチ円がラジアル転がり軸受のピッチ円より小さく、保持器ポケットの両縦橋絡片が転動体の直径の35%の最大高さを持っていることである。軸受ピッチ円より小さい保持器のピッチ円により、転動体がその縦軸線より下で保持器ポケットにより包囲されるので、接触なしにそのつど存在する軸受負荷に保持器を合わせることができるようにするため、保持器ポケットの縦橋絡片の小さい高さ及び保持器ポケットの前述した構成に関連して転動体が充分な運動遊隙を利用可能である。その際転動体の側面により限定される転動体幅が転動体の直径の少なくとも70%である。なぜならば、このような幅は、実際に軸受の半径方向及び軸線方向荷重負担能力に関してよいことがわかり、かつ従来の深溝玉軸受の玉がレースにあるその転動路に対して持つ接触面にほぼ等しいからである。
【0014】
与えられた課題の解決に、請求項9及び10によるラジアル転がり軸受の特徴も寄与し、これらの特徴によれば、保持器が非切削で製造可能な打抜き部品として、金属材料から、又は射出成形部品として、工業プラスチック又は耐熱プラスチックから構成されるか、又はその代わりに補強ガラス織布及び樹脂母体から成る繊維複合材料から製造される。金属材料として特に鋼、真ちゅう又はアルミニウムが適当であり、これらの材料により保持器が更に完全に又は転動体との接触個所に限定されて、硬質材料、クロム鉄、酸化物セラミック又はモリブデンから成る機能層で被覆されるか、又は工業プラスチックを周りに射出成形される。保持器用工業プラスチックとして、ガラス繊維から成る内包物を持つか又は持たないPA66又はPA46が提供され、耐熱プラスチックとして、適当な添加物又はガラスから成る内包物を持つPAEK,PEEK,TPI又はPAIが使用可能である。前記の材料は特に安価に購入され、更に保持器のために安価な製造方法の使用を可能にするので、このような保持器で構成されるラジアル転がり軸受は、全体として低い製造費で製造可能である。
【0015】
従って本発明により構成されるラジアル転がり軸受は、従来技術から公知のラジアル転がり軸受に対して次の利点を持っている。即ち転動体を2つの点接触によってのみ軸線方向に案内する保持器ポケットを持つ保持器の構成により、ラジアル転がり軸受がこのようなラジアル転がり軸受における運動状態を考慮して、それが第1の自由度を持ち、この自由度により、許容最低回転数以下で生じるよろめき運動又は転動方向に対して直角に生じる転動体の傾倒運動が、摩擦熱及びラジアル転がり軸受の作動温度の許容できない上昇をひき起こすことはもはやない。同時に転動体は、保持器ポケットにおけるその点接触案内により、軸線方向における充分な第2の自由度を持ち、この自由度により転動体が、半径方向及び軸線方向軸受負荷において保持器と接触することなしに、ラジアル転がり軸受のそのつど存在する押圧角に自動的に合わされる。更にこのような保持器は、一層少ない製造費に関しても有利なことがわかった。なぜならば、保持器が構造的に簡単に構成され、安価な材料から安価な製造方法及び組立て方法で製造可能だからである。
【0016】
本発明により構成されるラジアル転がり軸受の好ましい実施例が、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1の分解図から、1列深溝転がり軸受として構成されるラジアル転がり軸受がわかり、この軸受は、公知の深溝玉軸受と同様に外レース2、内レース3、及びこれらのレース2,3の間に設けられる転動体4を含んでいる。転動体4は、明らかなようにいわゆる球面円板により形成され、球基本形状から対称に平らにされて互いに平行に配置されるそれぞれ2つの側面8,9を持ち、その転動面10で、外レース2の内側13及び内レース3の外側14に形成されている2つの溝状転動路11,12内を転がる。更に転動体4は、2つの環半体6,7から組合わされる保持器5により、周方向に互いに等間隔に保持され、この保持器5が以下の説明の対象である。
【0018】
図2及び3から明らかなように、保持器5は、本発明によれば、各転動体4に対して、1つのピッチ円線において転動体を包囲する保持器ポケット15を持ち、これらのポケット内で転動体4が、その側面8,9の中心範囲16,17と保持器ポケット15の縦橋絡片18,19との少なくとも2つの摩擦の少ない点接触を介して、レース2,3の間で軸線方向に案内される。転動体4の側面8,9の中心範囲16,17は、図4からわかるように、これらの側面8,9に形成される中心凹所20,21により形成されて、転動体の軸線方向案内部の一部を形成し、これらの中心凹所により、転動体4の質量重心が半径方向外方へ転動面の方へ移される。
【0019】
更に図4からわかるように、側面8,9の中心範囲16,17と保持器ポケット15の縦橋絡片18,19との点接触は、縦中心で縦橋絡片18,19に形成されかつ転動体4の側面にあるそれぞれの中心凹所29,21へはまる2つの軸線方向円錐先端22,23を介して行われ、これらの円錐先端22,23が凹所20,21の平らな底24,25と作用結合している。転動体4の転動面10の縦半径及び横半径に従って湾曲して形成される保持器ポケット15の横橋絡片26,27は、図からわかるように、両側でこれらの転動面10を越えて延びて、横橋絡片26,27の間で丸められる移行範囲28,28′,29,29′を介して横橋絡片に結合される保持器ポケット15の縦橋絡片18,19が、転動体4の側面8,9から離れて配置されるようにしている。
【0020】
転動体4と転動面10を越えて延びる保持器ポケット15の横橋絡片26,27の構成により、一方では、転動体4が両側に、保持器ポケット15の縦橋絡片18,19への移行範囲28,28′,29,29′により限定されかつ図4に破線で示す約3°〜70°の自由度を、転動方向に対して直角に生じる傾倒運動のために持っている。他方では、転動体14の側面8,9から離れた保持器ポケット15の縦橋絡片18,19の配置により、転動体4が同時に両側に、縦橋絡片18,19の上縁及び下縁により限定されかつ図2に破線で示される約12°〜18°の自由度を、半径方向及び軸線方向の負荷においてラジアル転がり軸受1の押圧角に自動的に合わせるために持っている。
【0021】
更に図2に示すように、前記の両自由度のための別の前提条件として、保持器5のピッチ円TKKaefigがラジアル転がり軸受1のピッチ円TKLagerより小さいので、転動体4はその縦軸線の下で保持器ポケット15により包囲される。保持器ポケット15の縦橋絡片18,19は、転動体4の直径dwの35%最大高さhを持ち、転動体4の側面8,9により限定される転動体幅bwは転動体4の直径dwの少なくとも70%である。
【0022】
図面から更にそれとなくわかるように、保持器5は鋼板から非切削で製造される打抜き部品として構成され、その転動体4との接触個所に限定されて、クロム鉄から成る摩耗減少機能層で被覆されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明により構成されるラジアル転がり軸受の分解斜視図を示す。
【図2】 本発明により構成されるラジアル転がり軸受の断面の拡大斜視図を示す。
【図3】 本発明により構成されるラジアル転がり軸受の保持器の詳細斜視図を示す。
【図4】 本発明により構成されるラジアル転がり軸受の保持器の保持器ポケットの詳細図を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 ラジアル転がり軸受
2 外レース
3 内レース
4 転動体
5 保持器
6,7 5の環半体
8,9 4の側面
10 4の転動面
11 2の転動路
12 3の転動路
13 2の内側
14 3の外側
15 保持器ポケット
16 8の中心範囲
17 9の中心範囲
18,19 15の縦橋絡片
20,21 8の凹所
22 18の円錐先端
23 19の円錐先端
24 20の底
25 21の底
26,27 15の横橋絡片
28,28′,29,29′ 移行範囲
TKKaefig 5のピッチ円
TKLager 1のピッチ円
h 18,19の高さ
dw 4の直径
bw 4の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル転がり軸受特に1列深溝転がり軸受であって、外レース(2)、内レース(3)、及びこれらのレース(2,3)の間に設けられる多数の転動体(4)を含み、2つの環半体(6,7)から組合わされる保持器(5)により、転動体(4)が周方向に互いに等間隔に保持され、転動体(4)が、球基本形状から対称に平らにされかつ平行に配置されるそれぞれ2つの側面(8,9)を持つ球面円板により形成され、転動体の転動面(10)が、外レース(2)の内側(13)及び内レース(3)の外側(14)に形成される2つの溝状転動路(11,12)内で転がるものにおいて、各転動体(4)用の保持器(5)が、ピッチ円線の所でこれらの転動体を包囲する保持器ポケット(15)を持ち、これらの保持器ポケット(15)内で転動体(4)が、その側面(8,9)の中心範囲(16,17)と保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)との間の少なくとも2つの摩擦の少ない点接触を介して、一方では両レース(2,3)の間の軸線方向案内を受け、他方では転動方向に対して直角に生じる傾倒運動に対する所定の自由度をもつように、他方ではラジアル転がり軸受(1)の押圧角に自動的に合わせるための所定の自由度を持つように構成されていることを特徴とする、ラジアル転がり軸受。
【請求項2】
転動体(4)の側面の中心範囲(16,17)が、なるべくこれらの側面(8,9)に形成される中心凹所(20,21)又は同心切欠きにより形成され、これらの中心凹所又は同心切欠きにより転動体(4)の質量重心が半径方向外方へその転動面(10)の方へ移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項3】
側面(8,9)の中心範囲(16,17)と保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)との点接触が、縦中心で縦橋絡片(18,19)に形成されかつ転動体の側面(8,9)にあるそれぞれの中心凹所(20,21)へ入り込む2つの軸線方向円錐先端(22,23)を介して行われ、これらの円錐先端(22,23)が凹所(20,21)の平らな底(24,25)と作用結合していることを特徴とする、請求項2に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項4】
側面(8,9)の中心範囲(16,17)と保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)との点接触が、転動体(4)の側面(8,9)にあるそれぞれの同心切欠きから軸線方向に突出する2つの円錐先端を介して行われ、これらの円錐先端が保持器ポケット(15)の縦橋絡片の平らな縦中心範囲と作用結合していることを特徴とする、請求項2に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項5】
転動体(4)の転動面(10)の半径に従って湾曲して形成される保持器(15)の横橋絡片(26,27)が、両側でこれらの転動面(10)を越えて延びて、横橋絡片(26,27)の間で丸められる移行範囲(28,28′,29,29′)を介してこれらの横橋絡片に結合される保持ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)が、転動体(4)の側面(8,9)から離れて設けられるようにしていることを特徴とする、請求項3に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項6】
転動体(4)が、その転動面(10)を越えて延びる保持器ポケット(15)の横橋絡片(26,27)の構成により、両側に、保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)への移行範囲(28,28′,29,29′)により限定される約3°〜7°の自由度を、転動方向に対して直角に生じる傾倒運動のために持っていることを特徴とする、請求項5に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項7】
転動体(4)が、その側面(8,9)から離れた保持器ポケット(15)の縦橋絡片(18,19)の配置により、両側に、縦橋絡片(18,19)の上縁及び下縁により限定される約12°〜18°の自由度を、半径方向及び軸線方向負荷においてラジアル転がり軸受(1)の押圧角に自動的に合わせるために持っていることを特徴とする、請求項5に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項8】
保持器(5)のピッチ円(TKKaefig)がラジアル転がり軸受(1)のピッチ円(TKLager)より小さく、保持器ポケット(15)の両縦橋絡片(16,17)が転動体(4)の直径(dw)の35%の最大高さ(h)を持ち、転動体(4)の側面(8,9)により限定される転動体幅(bw)が転動体(4)の直径(dw)の少なくとも70%であることを特徴とする、請求項1に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項9】
保持器(5)が非切削で製造可能な打抜き部品として、金属材料例えば鋼、真ちゅう又はアルミニウムから構成され、この金属材料が完全に又は限定されて、転動体(4)との接触個所に、硬質材料、クロム鉄、酸化物セラミック又はモリブデンから成る機能層で被覆されるか、又は工業プラスチックを周りに射出成形されていることを特徴とする、請求項1に記載のラジアル転がり軸受。
【請求項10】
保持器(5)が射出成形部品として、ガラス繊維から成る内包物を持つか又はなしのPA66又はPA46のような工業プラスチックから、又は例えば適当な添加物又はガラスから成る内包物を持つPAEK,PEEK,TPI又はPAIのような耐熱プラスチックから、又は補強ガラス織布及び樹脂母体から成る繊維複合材料から成っていることを特徴とする、請求項1に記載のラジアル転がり軸受。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−518607(P2009−518607A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548924(P2008−548924)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/DE2006/002153
【国際公開番号】WO2007/065414
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506420843)シエフレル・コマンデイトゲゼルシヤフト (80)
【Fターム(参考)】