説明

ラジオ放送受信装置、ラジオ放送受信方法、およびラジオ放送受信プログラム

【課題】アナログラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれが受信可能であり、それぞれの放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行う。
【解決手段】ラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)で受信した放送データから時刻を取得する時報検出部6および内部時計/時計校正部5(第1の時刻取得部)、サーバから配信されるデータに含まれる放送時刻を取得するストリーム・タイムスタンプ取得部4(第2の時刻取得部)、内部時計/時計校正部5および時報検出部6とストリーム/タイムスタンプ取得部4とでそれぞれ取得した時刻を比較して両者の差分を算出する遅延時間算出部(差分時刻算出部)、ラジオ放送データとサーバから配信されるデータについて差分に基づいた遅延処理をおこなって両者の同期をとる遅延制御部8を備えるラジオ放送受信装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ放送受信装置、ラジオ放送受信方法、およびラジオ放送受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から放送波を受信してラジオ放送を聞くことが可能な放送受信装置と、インターネットなどのIP通信網を経由して配信されるラジオ放送を受信してIP放送(以下、単に「IPラジオ放送」という)を聞くことが可能なIPラジオ放送受信装置がそれぞれ個別に知られている。放送受信装置の例として、ラジオ放送に加えて、交通情報も受信できるラジオ受信機が知られている(たとえば特許文献1参照)。また、IPラジオ放送受信装置の例として、IPマルチキャスト技術によりIPラジオ放送を受信できる受信端末も知られている(たとえば特許文献2参照)。
【0003】
また、ラジオ放送局からの受信と、携帯電話回線を利用してラジオ設備からの受信とを受信電波又は受信情報のエラー状態に応じて適宜切り替える携帯電話用ラジオ放送システムが知られている(たとえば特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−204512号公報
【特許文献2】特開2008−160196号公報
【特許文献3】特開2003−169380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ラジオ放送およびIPラジオ放送がそれぞれを聞くことが可能であり、受信切り替えがスムースにできる放送受信装置がない。また、ラジオ放送の受信中に、IPラジオ放送へと受信を切り替える、あるいはその逆へ切り替える場合、それぞれのラジオ放送の受信タイミングによっては、ズレが生じる可能性がある。また、受信切り替え時にそのズレにより放送内容の欠落や重複が生じるという問題がある。また、受信タイミングによっては、IPラジオ放送がラジオ放送よりも先に再生されてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、ラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれが受信可能であり、それぞれのラジオ放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行うことができるラジオ放送受信装置、ラジオ放送受信方法、およびラジオ放送受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面であるラジオ放送受信装置は、放送局のラジオ放送データの受信が可能である第1の放送データ受信部と、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータの受信が可能である第2の放送データ受信部と、第1の放送データ受信部で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得部と、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻情報を取得する第2の時刻取得部と、第1の時刻取得部および第2の時刻取得部でそれぞれ取得した情報に基づいて第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出部と、差分に基づいて第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御部と、備えるものである。
【0008】
また、本発明の一側面であるラジオ放送受信装置は、上述したラジオ放送受信装置の構成に加えて、第1の時刻取得部は、内部時計と、ラジオ放送データに含まれる時報を検出する時報検出部と、時報検出部により検出された時報タイミングに基づいて内部時計を校正する内部時計校正部と、を備え、遅延制御部は、内部時計校正部により時刻を校正された内部時計から供給される現在時刻と、第2の時刻取得部で取得した時刻情報に基づいて、第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの同期をとることが好ましい。
【0009】
また、本発明の一側面であるラジオ放送受信装置は、上述したラジオ放送受信装置の構成のいずれかに加えて、遅延制御部は、第2の放送データ受信部で受信したデータに含まれる当該データの放送時刻が内部時計の現在時刻より進んでいる場合には、現在時刻との差分だけ遅らせて第2の放送データ受信部で受信したデータを出力することが好ましい。
【0010】
また、本発明の一側面であるラジオ放送受信装置は、上述したラジオ放送受信装置の構成のいずれかに加えて、サーバから配信されたデータに含まれる所定情報に従って第1の放送データ受信部と第2の放送データ受信部とを切り替えることが好ましい。
【0011】
また、本発明の一側面であるラジオ放送受信方法は、放送局のラジオ放送データを受信する第1の放送データ受信ステップと、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを受信する第2の放送データ受信ステップと、第1の放送データ受信ステップで受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得ステップと、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得ステップと、第1の時刻取得ステップおよび第2の時刻取得ステップでそれぞれ取得した情報に基づいて第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出ステップと、差分に基づいて第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御ステップと、を有する。
【0012】
また、本発明の一側面であるラジオ放送受信プログラムは、コンピュータを、放送局のラジオ放送データの受信が可能である第1の放送データ受信手段、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一内容のデータの受信が可能である第2の放送データ受信手段、第1の放送データ受信手段で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得手段、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得手段、第1の時刻取得手段および第2の時刻取得手段でそれぞれ取得した情報に基づいて第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出手段、差分に基づいて第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれの受信が可能であり、それぞれのラジオ放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行うことができるラジオ放送受信装置、ラジオ放送受信方法、およびラジオ放送受信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係るラジオ放送受信装置の詳細を示すブロック図である。
【図2】図1に示すストリーム・タイムスタンプ取得部の詳細を示す図である。
【図3】図1に示す内部時計/時計校正部の詳細を示す図である。
【図4】図1に示す時報検出部の詳細を示す図である。
【図5】図4に示す波形整形回路およびマイコンの詳細を示す図である。
【図6】図1に示す時報検出回路の各部に、通常の放送を受信しているときの音声波形の様子を示す図である。
【図7】図1に示す時報検出回路の各部に、時報を受信しているときの音声波形の様子を示す図である。
【図8】図1に示す遅延制御部の詳細を示す図である。
【図9】図1に示す復号部の詳細を示す図である。
【図10】図1に示す音声データ切り替え部の詳細を示す図である。
【図11】図1に示すD/A変換部の詳細を示す図である。
【図12】図1に示すラジオ放送受信装置の動作を示したフローチャートである。
【図13】IPラジオ放送で配信されるデータがラジオ放送で放送されるデータより遅れている場合(図12のステップS8でYESの場合)における両データの同期をとる様子を示す図である。
【図14】ラジオ放送で放送されるデータがIPラジオ放送で配信されるデータより遅れている場合(図12のステップS8でNOの場合)における両データの同期をとる様子を示す図である。
【図15】図12のステップS11で示したIPラジオ放送とラジオ放送の切り替え処理例を示している。
【図16】音声切り替え信号の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施例2に係るラジオ放送受信装置の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
本発明に係るラジオ放送受信装置の実施例1について、ラジオ放送受信装置1を例示して説明する。なお、ラジオ放送受信方法については、ラジオ放送受信装置1の動作として説明し、ラジオ放送受信プログラムについては他の実施例において説明することとする。
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係るラジオ放送受信装置1の詳細を示すブロック図である。図1に示すように、ラジオ放送受信装置1は、ラジオ放送受信回路2、データ送受信部3、ストリーム・タイムスタンプ取得部4、内部時計/時計校正部5、時報検出部6、選局部7、遅延制御部8、復号部9、音声データ切り替え部10、入力部11、D/A変換部12を主要な要素としている。
【0017】
第1のデータ放送受信部としてのラジオ放送受信回路2は、アンテナを通して不図示の放送局からの放送波を受信し、受信した放送波に基づく信号を出力する。
【0018】
第2のデータ放送受信部としてのデータ送受信部3は、不図示のIP通信網と接続可能であり、不図示の放送局に対応するサーバ、または当該放送局が放送する内容と同一のデータもしくは放送局から放送される放送データに相当するデータ(以下、これらのデータを「同一のコンテンツ」という)を配信するサーバに接続し、当該サーバから放送データと同一のコンテンツのデータを受信する。また、データ送受信部3は、トランスポートストリーム形式のパケットデータ(以下、単に「トランスポートストリーム」という)をストリーム・タイムスタンプ取得部4および遅延制御部8へ出力する。
【0019】
なお、上述したサーバは、放送局が放送する同一のコンテンツをIPパケットに変換して提供する、いわゆるIP再送信技術を使用するものである。なお、本実施例でいう「同一のコンテンツ」には、内容的に完全な同一性を必須要件とするものではない。たとえば、ラジオ放送で提供する音声データや音楽データと共に、画像データや映像データが新たに付加されたコンテンツ群をIPラジオ放送として提供している場合であっても、これらを「同一のコンテンツ」として取り扱ってもよい。また、ラジオ放送で提供するコンテンツの一部のみをIPラジオ放送によって提供する場合であっても、これらを「同一のコンテンツ」として取り扱ってもよい。
【0020】
第2の時刻取得部としてのストリーム・タイムスタンプ取得部4は、トランスポートストリームが入力されると、当該トランスポートストリームに含まれる表示時刻を示すPTS(Presentation Time Stamp)データとアダプテーションフィールドのデータを出力する。
【0021】
第1の時刻取得部の一部としての内部時計/時計校正部5では、初期状態やユーザが時刻を合わせたいときに、不図示の時刻入力部から時刻が入力される。また、内部時計/時計校正部5では、PTSデータから得た時刻情報に基づいて内部時計5b(図3参照)が設定される。また、内部時計/時計校正部5では、時報検出部6の時報情報から正確な時刻が設定される。
【0022】
第1の時刻取得部の一部としての時報検出部6は、不図示の放送局からの放送データを受信し、時報を検出する。そして、時報検出部6は、時報のタイミングに併せてパルスを発生させ、内部時計/時計校正部5へ出力することができる。
【0023】
選局部7は、ユーザからの選局指示を不図示の選局入力部より受け、指示された放送局を選局し、当該放送局からの放送波を受信する。選局部7は、受信した放送波に基づくアナログ信号を遅延制御部8へ出力する。
【0024】
遅延制御部8は、選局部7から入力されたアナログ信号をデジタルデータ化する。なお、このデジタル化された音声データは、内部時計5bと同期して再生される。一方、データ送受信部3から出力されるトランスポートストリームは、PTSの時刻に同期して再生される。遅延制御部8から出力されたトランスポートストリームは、復号部9にてデコードされ、ラジオ放送の音声データと共に音声データ切り替え部10に入力される。音声データ切り替え部10では、復号部9から出力された音声データもしくは遅延制御部8から出力された音声データを入力部11からの切り替え指示か、ストリーム・タイムスタンプ取得部4から出力される切り替え制御指示にしたがって、いずれかの音声データをD/A変換部12に出力する。D/A変換部12は、音声データ切り替え部10から出力される音声データをアナログ信号に変換して再生する。なお、D/A変換部12は、トランスポートストリームに映像データが含まれている場合、当該映像データを復号部9から受け取った後に、アナログ信号に変換して再生する。
【0025】
図2は、図1に示すストリーム・タイムスタンプ取得部4の詳細を示す図である。ストリーム・タイムスタンプ取得部4は、DEMUXER部4aと、PTS取得部4bとから構成される。DEMUXER部4aは、データ送受信部3から出力されたトランスポートストリームが入力されると、当該トランスポートストリームからアダプテーションフィールドデータを抽出して、音声データ切り替え部10へ出力する。また、DEMUXER部4aは、トランスポートストリームからオーディオパケットを抽出してPTS取得部4bへ出力する。PTS取得部4bは、DEMUXER部4aから出力されたオーディオパケットに含まれるPTSデータを抽出して、内部時計/時計校正部5および遅延制御部8へ出力する。
【0026】
図3は、図1に示す内部時計/時計校正部5の詳細を示す図である。内部時計/時計校正部5は、時刻プリセット回路5aと、内部時計5bと、秒数差分演算回路5cと、校正時刻設定回路5dとから構成される。時刻プリセット回路5aは、ストリーム・タイムスタンプ取得部4から出力されたPTSデータに基づいて時刻情報を内部時計5bへ出力する。内部時計5bは、時刻プリセット回路5aから出力された時刻情報に基づいて、ラジオ放送受信装置1の時刻を設定する。秒数差分演算回路5cは、内部時計5bからの時刻情報と、時報検出部6から出力されるラジオ放送波に含まれる時刻情報(時報のタイミング情報)が入力されると、その差分情報を校正時刻設定回路5dへ出力する。内部時計校正部としての校正時刻設定回路5dは、差分情報に基づいて内部時計5bに校正した時刻を設定する。これにより、内部時計5bは、正確な時刻情報を遅延制御部8に出力することができる。
【0027】
本実施例では、NHKラジオ放送の時報から正時のタイミング(たとえば正午12時、13時(午後1時)、14時(午後2時)ジャストを示すタイミング)を得る場合について説明する。内部時計/時計校正部5では、初めて内部時計5bに時刻を設定する、あるいは時刻プリセット回路5aの保持する時刻と内部時計5bの保持する時刻の間に1分以上の差がある場合、時刻プリセット回路5aの保持する時刻を内部時計5bに設定する。また、本実施例では、時報検出部6から出力される時報タイミングと内部時計5bの正時のタイミングに1分以上の差がある場合には、時刻プリセット回路5aの保持する時刻を内部時計5bに設定し、1分以上の差がない場合には、校正時刻設定回路5dで校正された時刻を内部時計5bに設定するようにしている。なお、時刻プリセット回路5aの保持する時刻と内部時計5bの保持する時刻の差、時報検出部6から出力される時報タイミングと内部時計5bの正時のタイミングの差については、上述の1分に限られず、30秒、45秒などの他の数値を採用してもよい。
【0028】
図4は、図1に示す時報検出部6の詳細を示す図である。時報検出部6は、チューナー6aと、BPF(Band Pass Filter)6b,6cと、BEF(Band−Eliminate Filter)6d,6eと、波形整形回路6f,6g,6h,6iと、マイコン6jとから構成される。ここで、440Hzおよび880HzのBPF6b,6c、BEF6d,6eをそれぞれ用いる理由は、放送局から受信する時報を基に正確な時報タイミング(正報音のタイミング)を取得するためである。なお、これらフィルタのそれぞれの通過周波数及び通過周波数帯は、時報を得る放送局の時報の周波数特性に合わせて適宜設定する必要がある。
【0029】
本実施例における時報は、3回の予報音と、1回の正報音により構成され、所定の周期(たとえば1時間毎)で放送される。予報音は、一定音量の440Hzの正弦波を100ミリ秒発振させる。そして、その後の900ミリ秒間の無音を1セットとして正報音の3秒前から3回繰り返す。そして、正報音は、880Hzの正弦波を発振させ、1000ミリ秒間一定の音量に保ち、次の2000ミリ秒で減衰する。なお、時報を構成する予報音、無音、正報音は、必ずしも上述した通りに放送されなくてもよいが、その場合には時報検出部6のマイコン6jでの時報検出判定アルゴリズムもその変更に併せて適宜変更する必要がある。
【0030】
チューナー6aは、AM放送/FM放送を選択して音声信号を受信する。BPF6bは、チューナー6aで受信した音声信号の中から所定周波数(本実施例では440Hz帯の周波数)の音声信号を通過させるフィルタ回路である。BPF6cは、チューナー6aで受信した音声信号の中から所定周波数(本実施例では880Hz帯の周波数)の音声信号を通過させるフィルタ回路である。BEF6dは、チューナー6aで受信した音声信号の中から所定周波数(本実施例では440Hz帯の周波数)の音声信号を取り除くフィルタ回路である。BEF6eは、チューナー6aで受信した音声信号の中から所定周波数(本実施例では880Hz帯の周波数)の音声信号を取り除くフィルタ回路である。波形整形回路6fは、BPF6bで通過させた440Hz帯の周波数の音声信号から入力レベルを整えた矩形波に変換するための回路である。波形整形回路6gは、BPF6cで通過させた880Hz帯の周波数の音声信号から入力レベルを整えた矩形波に変換するための回路である。波形整形回路6hは、BEF6dで440Hz帯の周波数の音声信号を取り除いた後の音声信号から入力レベルを整えた矩形波に変換するための回路である。波形整形回路6iは、BEF6eで880Hz帯の周波数の音声信号を取り除いた後の音声信号から入力レベルを整えた矩形波に変換するための回路である。波形整形回路6f,6g,6h,6iで整形された矩形波は、マイコン6jに入力される。マイコン6jは、波形整形回路6f,6g,6h,6iからの入力音声信号によって時報であるか否かを判定し、時報タイミングを取得する。
【0031】
図5は、図4に示す波形整形回路6fおよびマイコン6jの詳細を示す図である。波形整形回路6fは、LPF6f1と、A/D変換部6f2とから構成される。LPF6f1は、低い周波数成分を取り出すフィルタ回路である。A/D変換部6f2は、LPF6f1により取り出された低い周波数成分のアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。なお、装置内の処理同期をとるためにクロック発振部6kからクロック信号が波形整形回路6fとマイコン6jにそれぞれ供給される。
【0032】
図6は、図4で示したBPF6b,6cと、BEF6d,6eと、波形整形回路6f,6g,6h,6iから出力される音声信号の状態を示す図であって、時報域以外の放送データ受信時における音声信号の状態を示している。なお、本実施例における時報域は、1000ミリ秒以上(1000ミリ秒以下でもよい)の無音と、3回の予報音とそれらの間の無音、正報音および当該正報音を減衰時間により構成される時間的領域を指す。なお、時報域は、必ずしも上述した設定でなくてもよいが、その場合には時報検出部6のマイコン6jが行う時報検出判定アルゴリズムもその変更に併せて適宜変更する必要がある。
【0033】
図6に示すE1は、図4に示すBPF6bへ入力される音声信号の波形についての時間的遷移を示している。これをそれぞれのフィルタ回路であるBPF6b,6c、BEF6d,6eを通すと図6に示すE1の右側に示されるA1、B1、C1、D1に示す波形が得られる。そして、これらの音声信号を、波形整形回路6f,6g,6h,6iを通すと矩形波A2、B2、C2、D2が得られる。これらの矩形波A2、B2、C2、D2をマイコン6jに取り込み、波形タイミングを検証する。
【0034】
マイコン6jは、矩形波A2の信号をトリガとし、タイマー6j3でのカウントをスタートさせる。マイコン6jは、矩形波A2の信号を検出してから990ミリ秒未満に再び矩形波A2の信号を検出した場合、または矩形波A2の信号の検出から1000ミリ秒±10ミリ秒以内に矩形波A2の信号を検出できなかった場合、あるいは矩形波C2または矩形波D2の信号を検出し続けた場合、これらの何れの場合でも時報とは関わりがなかったと判定する。
【0035】
続いて、時報近傍の音声信号の状態について説明する。図7は、図4で示した波形整形回路6f,6g,6h,6iから出力される音声信号の状態を示す図であって、時報近傍時の音声信号の状態を示している。マイコン6jは、矩形波A2の信号をトリガとしてタイマー6j3をスタートさせる。マイコン6jは、矩形波A2の信号を検出してから990ミリ秒未満に再び矩形波A2の信号を検出せず、矩形波B2、C2、D2を検出しないが、矩形波A2の信号を検出してから1000ミリ秒±10ミリ秒以内に矩形波A2の信号を再び検出するという状態が2回続き、更に、最後の矩形波A2の信号を検出してから1000ミリ秒±10ミリ秒以内に矩形波B2の信号を検出し、当該矩形波B2の信号を検出したときに矩形波A2、C2、D2の信号を検出しない場合、時報を検出したと判定し、E2から時報タイミングを示す信号を出力する。なお、図7で矩形波B2の信号を検出しても、同時にE2から信号を出力することが実質上できない。そのため、矩形波B2の信号を検出してからE2を出力するまでは、数ミリ秒〜数十ミリ秒程度の遅延時間が生じることになる。これを見越して内部時計/時計校正部5の時刻補正時に、E2信号検出後の次の1秒目を例えば950ミリ後に合わせることにより調整するようにしてもよい。また、当該遅延時間については、圧縮ストリームの放送における符号化、復号化、送信設備による各遅延時間を考慮すると相対的に小さいため、誤差の範囲としてもよい。
【0036】
図7に示すように、マイコン6jは、9時59分57秒において矩形波B2、C2、D2の信号を検出せず、矩形波A2の信号のみを検出し、当該検出時から1000ミリ秒±10ミリ秒以内に矩形波A2の信号のみを検出するという状態が9時59分58秒、9時59分59秒と2回続き、最後の矩形波A2の信号を検出してから1000ミリ秒±10ミリ秒以内に矩形波B2を検出し、かつ矩形波A2、C2、D2の信号を検出していない状態であるため、矩形波B2の検出とほぼ同時となる10時00分00秒のタイミング(数ミリ秒〜数十ミリ秒の遅延時間の誤差あり)でE2の検出信号を出力している。
【0037】
以上の通り、本実施例の時報の場合には、予告音から約1秒後に次の予告音の波形のみが矩形波A2の信号として検出されるはずなので、予告音を検出してから990ミリ秒未満に再び矩形波A2の信号を検出する、または予告音を検出してから1000ミリ+10ミリ秒を超えて矩形波A2の信号を検出したときは時報以外の音声データであると判定している。また、時報の場合には検出される440Hzの波形のみが検出されるはずであるが、時報以外の通常の音声データでも440Hzの波形が検出されることがあるため、440Hz以外、880Hz以外の成分の出力可否を矩形波C2,D2の信号の検出有無で判定して時報の検出を行っている。
【0038】
図8は、図1に示す遅延制御部8の詳細を示す図である。遅延制御部8は、PTSと内部時計5bを合わせるようにラジオ放送の音声データとトランスポートストリームの映像・音声データの同期をとるように時刻が先行するデータをバッファリングし、遅らせて出力するようにしている。なお、遅延制御部8は、データ送受信部3から得たデータについて、復号部9でのデコード時間を考慮して遅延時間を算出している。
【0039】
図8に示す遅延制御部8は、遅延時間算出部8aと、遅延時間設定部8b,8cと、トランスポートストリーム遅延バッファ8dと、音声データ遅延バッファ8eと、A/Dコンバータ8fとから構成される。
【0040】
差分時刻算出部としての遅延時間算出部8aは、ストリーム・タイムスタンプ取得部4のPTS取得部4bから出力されるPTS情報と、内部時計/時計校正部5の内部時計5bから出力される現在時刻情報とに基づいて遅延時間を算出する。遅延時間算出部8aは、算出した遅延時間情報を遅延時間設定部8b,8cへそれぞれ出力する。遅延時間設定部8bは、トランスポートストリーム遅延バッファ8dに遅延時間を設定し、遅延時間設定部8cは、音声データ遅延バッファ8eに遅延時間を設定する。トランスポートストリーム遅延バッファ8dは、データ送受信部3から出力されたトランスポートストリームを遅延時間設定部8bで設定された遅延時間に従って、復号部9へ出力する。一方、音声データ遅延バッファ8eは、ラジオ放送受信回路2、選択部7を介して入力されるラジオ放送データを、遅延時間設定部8cで設定された遅延時間に従って、A/Dコンバータ8fでデジタル化した音声データを音声データ切り替え部10へと出力する。
【0041】
図9は、図1に示す復号部9の詳細を示す図である。復号部9は、DEMUXER部9aと、ビデオデコーダ9bと、オーディオデコーダ9cとから構成される。DEMUXER部9aは遅延制御部8のトランスポートストリーム遅延バッファ8dから出力されたトランスポートストリームからビデオデータとオーディオデータとをそれぞれ抽出すると共に、ビデオデータについてはビデオデコーダ9bへ出力し、オーディオデータについてはオーディオデコーダ9cへ出力する。そして、ビデオデコーダ9bは、ビデオデータを所定の方式にて再生可能なデジタル信号へと復号すると共に、当該デジタル信号をD/A変換部12へと出力する。一方、オーディオデコーダ9cは、再生可能なデジタル音声信号へ復号すると共に、音声データ切り替え部10へと出力する。
【0042】
図10は、図1に示す音声データ切り替え部10の詳細を示す図である。音声データ切り替え部10は、音声信号切り替え器10aと、制御信号切り替え回路10bと、切り替え制御信号発生回路10cとから構成される。
【0043】
音声データ切り替え部10は、トランスポートストリームのアダプテーションフィールドに含まれる切り替え指示またはユーザの切り替え指示に従って音声を切り替える。具体的には、音声信号切り替え器10aは、IPラジオ放送か、またはラジオ放送からの音声データをD/A変換部12へ出力する。制御信号切り替え回路10bは、後述する切り替え制御信号発生回路10cから切り替え制御信号が生成されると、そのまま音声信号切り替え器10aへ通知する。しかし、制御信号切り替え回路10bは、入力部11からの切り替え指示があると、切り替え制御信号発生回路10cからの切り替え制御信号を遮断し、入力部11からの切り替え制御信号を音声信号切り替え器10aへ通知する切り替え回路である。切り替え制御信号発生回路10cは、ストリーム・タイムスタンプ取得部4から出力されたアダプテーションフィールドデータに含まれる切り替え指示をトリガとして、切り替え制御信号を発生させる回路である。
【0044】
図11は、図1に示すD/A変換部12の詳細を示す図である。D/A変換部12は、映像D/Aコンバータ12aと音声D/Aコンバータ12bとから構成される。映像D/Aコンバータ12aは、復号部9のビデオデコーダ9bから出力されるデジタル信号をアナログ信号へ変換するコンバータである。音声D/Aコンバータ12bは、音声データ切り替え部10の音声信号切り替え器10aから出力されるデジタル信号をアナログ信号へ変換するコンバータである。
【0045】
続いて、ラジオ放送受信装置1の動作について説明する。図12は、図1に示すラジオ放送受信装置1の動作を示したフローチャートである。
【0046】
ラジオ放送受信装置1の電源ONになると処理を開始する(START)。そして、ラジオ放送受信装置1は、ラジオ地上波放送受信処理を開始する(ステップS1)。ラジオ放送受信装置1は、選局部7を用いて所望の放送局へチューニングする(ステップS2)。ラジオ放送受信装置1は、IPラジオ放送に対応しているラジオ局が選局されたか否かを判定する(ステップS3)。ラジオ放送受信装置1は、選局された場合(ステップS3でYES)にはステップS4の処理へ移行し、選局されなかった場合(ステップS3でNO)には処理を終了する。
【0047】
ラジオ放送受信装置1は、ステップS4においてデータ送受信部3で当該ラジオ局放送波の受信を開始する。そして、ラジオ放送受信装置1は、インターネット接続を開始し(ステップS5)、サーバとの通信接続処理が完了すると、当該サーバからパケットの受信を開始する(ステップS6)。そして、ラジオ放送受信装置1の遅延制御部8は、ストリーム・タイムスタンプ取得部4によりパケットに含まれるPTS情報を取得すると共に、内部時計/時計校正部5より現在時刻情報を取得し、遅延時間算出部8aによりそれらを比較してその差分時間を得る(ステップS7)。
【0048】
遅延制御部8は、IPラジオ放送の方がラジオ放送より受信タイミングが遅いか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、受信したパケットに含まれるPTSの時刻情報と現在時刻を比較し、PTSの示す時刻が内部時計5bから取得した時刻より進んでいる場合には、受信タイミングが早いと判定し、PTSの示す時刻が内部時計5bから取得した時刻より遅れている場合には受信タイミングが遅いと判定する。遅延制御部8は、受信タイミングが遅い場合(ステップS8でYES)には、ステップS9へ処理を移行し、受信タイミングが早い場合(ステップS8でNO)には、ステップS10の処理へ移行する。
【0049】
遅延処理部8は、A/Dコンバータ8fを介してデジタル化された音声データの再生タイミングについて、音声データ遅延バッファ8eを使用して差分時間だけ遅らせる(ステップS9)。一方、遅延処理部8は、IPラジオ放送からの音声データの再生タイミングについて、トランスポートストリーム遅延バッファ8dを使用して差分時間だけ遅らせる(ステップS10)。
【0050】
音声データ切り替え部10は、ステップS9またはステップS10の処理が完了すると、放送波からの音声と、IPラジオ放送からの音声を入力部11からの切り替え指示やトランスポートストリームに含まれる制御信号に基づいて切り替え、D/A変換部12へ出力する(ステップS11)。なお、IPラジオ放送からの映像データがある場合には、復号部9から映像データがD/A変換部12へ出力される。そして、ラジオ放送受信装置1は、映像および/または音声の再生処理を完了する(END)。
【0051】
図13は、IPラジオ放送で配信されるデータがラジオ放送で放送されるデータより遅れている場合(図12のステップS8でYESの場合)における両データの同期をとる様子を示す図である。
【0052】
図13(1)に示す時刻関係の説明図では、アンテナで受信したラジオ放送データがIP通信網を経由して受信したパケットのPTSの時刻情報より早い場合を示している。図13(2)では、アンテナで受信したラジオ放送の音声データを、音声データ遅延バッファ8eを使用して遅らせ、IPラジオ放送からの音声データの出力タイミングと同期をとる様子を示している。
【0053】
図13(2)の下段に示すように、ある放送データの再生タイミング(T1)は、IP通信網を経由して受信した同一内容のデータの再生タイミング(T2)より約3秒半早いことを示している。この場合、遅延制御部8は、音声データ遅延バッファ8eを使用してラジオ放送の音声データを3秒半程度遅らせ、IP通信網を経由して受信した同一内容のデータの再生タイミング(T2)と同一のタイミングで出力することにより両放送データを同期させている。
【0054】
図14は、ラジオ放送で放送されるデータがIPラジオ放送で配信されるデータより遅れている場合(図12のステップS8でNOの場合)における両データの同期をとる様子を示す図である。
【0055】
図14(1)に示す時刻関係の説明図では、アンテナで受信した放送データがIPパケットのPTS情報より遅い場合を示している。図14(2)の下段に示すように、IP通信網から受信しているあるIPラジオ放送からの音声データの再生タイミング(T3)は、同一内容の放送データの再生タイミング(T4)より約1秒半早いことを示している。この場合、遅延制御部8は、トランスポートストリーム遅延バッファ8dを使ってトランスポートストリームの出力を1秒半程度遅らせ、アンテナで受信した放送データの再生タイミング(T4)と同一のタイミングで出力することにより両放送データを同期させている。
【0056】
図15は、図12のステップS11に示すIP通信網からの受信とアンテナで受信したラジオ放送の切り替え処理例を示している。図15に示すように、IP通信網から受信したデータをフェードアウトさせつつ、アンテナで受信したデータをフェードインさせる(双方の音声をクロスフェードさせる)ことで、滑らかに繋げるようにした状態を示している。すなわち、切り替え時点で、一方の音声を徐々に減衰させ、もう一方の音声については徐々にレベルアップするように制御している。
【0057】
図16は、アダプテーションフィールドに設定された音声切り替え信号のデータ内容を示している。「data_length」は、自身を含まないこの音声切り替え信号自体のデータ長を表しており、ここでは3バイト(24ビット)に固定して設定されている。なお、データ長は3バイトに限られず、他のバイト長に固定して設定されていてもよい。また、「cross_fade_on」は、クロスフェードの開始するか否かの情報を示している。たとえば、開始点では0001bが設定され、それ以外のパケットでは0000bが設定される。「cross_fade_direction」は、各音声レベルの調整内容を示している。たとえば、「cross_fade_direction」が0000bであれば、ラジオ放送の音声を下げ、IPラジオ放送の音声のレベルを上げる。また、「cross_fade_direction」が、0001bであれば、IPラジオ放送の音声レベルを下げ、ラジオ放送の音声レベルを上げる制御を行う。また、「cross_fade_direction」が、0010bであれば現在の音声の選択状態を反対にする制御を行う。なお、「cross_fade_time」は、クロスフェードの切り替え所要時間を示している。なお、「Mnemonic」に記載している「uimsbf」は「unsigned integer, most significant bit first」を意味し、「bslbf」は、「bit string, left bit first」を意味する。
【実施例2】
【0058】
続いて、本発明の実施例2を説明する。図17は、本発明の実施例2に係るラジオ放送受信装置1Aの詳細を示すブロック図である。図17の内容は、図1の内容とほぼ同様であるが、IPラジオ放送からのデータを復号部9でデコードした後で、遅延制御部8の音声データ遅延バッファおよびビデオ用遅延バッファ(いずれも不図示)に入力する方法を採用したものである。このような構成とすると、復号部9でのデコード処理がなされたデジタル信号について遅延制御部8で遅延制御を行う。したがって、遅延制御部8は、実施例1ではデコード処理時間を事前に考慮した遅延制御をしていたが、実施例2の場合にはデコード処理時間を考慮せずに遅延制御を行なうことができる。
【0059】
上述したように本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aは、放送局のラジオ放送データの受信が可能であるラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)と、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータの受信が可能であるデータ送受信部3(第2の放送データ受信部)と、ラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する時報検出部6および内部時計/時計校正部5(第1の時刻取得部)と、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻情報を取得するストリーム・タイムスタンプ取得部4(第2の時刻取得部)と、時報検出部6および内部時計/時計校正部5(第1の時刻取得部)およびストリーム・タイムスタンプ取得部4(第2の時刻取得部)でそれぞれ取得した情報に基づいてラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)で受信したラジオ放送データと、データ送受信部3(第2の放送データ受信部)で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する遅延制御部8に含まれる遅延時間算出部8a(差分時刻算出部)と、当該差分に基づいてラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)で受信したラジオ放送データと、データ送受信部3(第2の放送データ受信部)で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御部8と、を備える。
【0060】
これにより、ラジオ放送受信装置1、1Aは、ラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれの受信が可能であり、それぞれのラジオ放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行うことができる。また、ラジオ放送を受信中にIPラジオ放送が開始された場合に、出力される音声をラジオ放送からIPラジオ放送へとシームレスに切り替えることが可能となる。また、IPラジオ放送を受信中に、当該IPラジオ放送が終了または受信不可能となっても、シームレスにラジオ放送へ切り替えることが可能となる。
【0061】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aは、上述の構成に加えて、第1の時刻取得部は、内部時計5bと、ラジオ放送データに含まれる時報を検出する時報検出部6と、時報検出部6により検出された時報タイミングに基づいて内部時計5bを校正する内部時計校正部5と、を備え、遅延制御部8は、内部時計校正部5により時刻を校正された内部時計5bから供給される現在時刻と、ストリーム・タイムスタンプ取得部4(第2の時刻取得部)で取得した時刻情報に基づいて、ラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)で受信したラジオ放送データと、データ送受信部3(第2の放送データ受信部)で受信したデータとの出力タイミングの同期をとっている。
【0062】
これにより、ラジオ放送受信装置1、1Aは、上述した効果に加えて、ユーザが手動で設定した時刻などと比較してより正確な時刻情報に基づいてラジオ放送およびIPラジオ放送の出力タイミングについての同期をとることができる。
【0063】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aは、上述のいずれかの構成に加えて、遅延制御部8は、データ送受信部3(第2の放送データ受信部)で受信したデータに含まれる当該データの放送時刻が内部時計5bの現在時刻より先の時刻の場合には、現在時刻との差分だけ遅らせてデータ送受信部3(第2の放送データ受信部)で受信したデータを出力している。
【0064】
これにより、ラジオ放送受信装置1、1Aは、上述した効果に加えて、サーバから配信されたデータに含まれる放送時刻が現在時刻より先の場合、つまり、予定放送時刻より早くパケットを受信している場合であっても、現在時刻との差分だけ遅らせてIPラジオ放送を出力することができる。
【0065】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aは、上述のいずれかの構成に加えて、サーバから配信されたデータに含まれる所定情報に従ってラジオ放送受信回路2(第1の放送データ受信部)とデータ送受信部3(第2の放送データ受信部)とを切り替える。
【0066】
これにより、ラジオ放送受信装置1、1Aは、上述した効果に加えて、IPラジオ放送で配信されるデータに含まれる情報に基づいて自動的にラジオ放送へと切り替えることができる。
【0067】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aの放送受信方法は、放送局のラジオ放送データを受信する第1の放送データ受信ステップと、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを受信する第2の放送データ受信ステップと、第1の放送データ受信ステップで受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得ステップと、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得ステップと、第1の時刻取得ステップおよび第2の時刻取得ステップでそれぞれ取得した情報に基づいて第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出ステップと、差分に基づいて第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御ステップと、を有する。
【0068】
これにより、ラジオ放送受信装置1、1Aの放送受信方法は、ラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれの受信が可能であり、それぞれのラジオ放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行うことができる。
【0069】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信装置1、1Aの各部をソフトウェアにより実現することもできる。すなわち、コンピュータにインストールされる放送受信プログラムは、当該コンピュータを、放送局のラジオ放送データの受信が可能である第1の放送データ受信手段、IP通信網を経由してラジオ放送データと同一の内容、またはラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、ラジオ放送データと同一内容のデータの受信が可能である第2の放送データ受信手段、第1の放送データ受信手段で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得手段、サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得手段、第1の時刻取得手段および第2の時刻取得手段でそれぞれ取得した情報に基づいて第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出手段、差分に基づいて第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御手段、として機能させる。
【0070】
これにより、当該放送受信プログラムをインストールされたコンピュータは、ラジオ放送受信装置1、1Aと同様にラジオ放送とIPラジオ放送のそれぞれの受信が可能であり、それぞれのラジオ放送の受信タイミングを考慮して適切に受信切り替えを行うことができる。
【0071】
以上、ラジオ放送受信装置1、1Aを本発明の一実施例として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0072】
たとえば、ラジオ放送受信装置1、1Aの構成に加えて、遅延制御部8での遅延時間を表示する表示部(不図示)を備えるようにしてもよい。たとえば、リスナー参加型番組をIPラジオ放送で受信し、かつ当該番組では電話を用いたリアルタイム性が要求されるような場合に、リスナーであるユーザに対してラジオ放送とIPラジオ放送との遅延時間を提示することが可能となる。遅延時間を提示されたユーザは、自分が電話で発言した内容に対する当該番組のパーソナリティからの応答がどのくらいの所要時間で返答されるのかがある程度予想可能となる。これにより、リスナーであるユーザは、遅延時間によるパーソナリティからの回答の遅延によるストレスを感じることが緩和される。また、当該番組のパーソナリティと、リスナーであるユーザとの会話が、遅延により噛み合わなくなったり、重なったりすることなく円滑に進められる可能性も高まる。
【符号の説明】
【0073】
1、1A・・・ラジオ放送受信装置、2・・・ラジオ放送受信回路(第1の放送データ受信部)、3・・・データ送受信部(第2の放送データ受信部)、4・・・ストリーム・タイムスタンプ取得部(第2の時刻取得部)、5・・・内部時計/時計校正部(第1の時刻取得部の一部)、5b・・・内部時計、5d・・・校正時刻設定回路(内部時計校正部)、6・・・時報検出部(第1の時刻取得部の一部)、7・・・選局部、8・・・遅延制御部、9・・・復号部、10・・・音声データ切り替え部、12・・・D/A変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局のラジオ放送データの受信が可能である第1の放送データ受信部と、
IP通信網を経由して上記ラジオ放送データと同一の内容、または上記ラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、上記ラジオ放送データと同一の内容、または上記ラジオ放送データに相当する内容のデータの受信が可能である第2の放送データ受信部と、
上記第1の放送データ受信部で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得部と、
上記サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻情報を取得する第2の時刻取得部と、
上記第1の時刻取得部および上記第2の時刻取得部でそれぞれ取得した情報に基づいて上記第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出部と、
上記差分に基づいて上記第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御部と、
を備えることを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラジオ放送受信装置であって、
前記第1の時刻取得部は、
内部時計と、
前記ラジオ放送データに含まれる時報を検出する時報検出部と、
上記時報検出部により検出された時報タイミングに基づいて上記内部時計を校正する内部時計校正部と、を備え、
前記遅延制御部は、上記内部時計校正部により時刻を校正された上記内部時計から供給される現在時刻と、前記第2の時刻取得部で取得した時刻情報に基づいて、前記第1の放送データ受信部で受信したラジオ放送データと、前記第2の放送データ受信部で受信したデータとの出力タイミングの同期をとることを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のラジオ放送受信装置であって、
前記遅延制御部は、前記第2の放送データ受信部で受信したデータに含まれる当該データの放送時刻が内部時計の現在時刻より進んでいる場合には、現在時刻との差分だけ遅らせて前記第2の放送データ受信部で受信したデータを出力することを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラジオ放送受信装置であって、
前記サーバから配信されたデータに含まれる所定情報に従って前記第1の放送データ受信部と前記第2の放送データ受信部とを切り替えることを特徴とするラジオ放送受信装置。
【請求項5】
放送局のラジオ放送データを受信する第1の放送データ受信ステップと、
IP通信網を経由して上記ラジオ放送データと同一の内容、または上記ラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、上記ラジオ放送データと同一の内容、または上記ラジオ放送データに相当する内容のデータを受信する第2の放送データ受信ステップと、
上記第1の放送データ受信ステップで受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得ステップと、
上記サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得ステップと、
上記第1の時刻取得ステップおよび上記第2の時刻取得ステップでそれぞれ取得した情報に基づいて上記第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出ステップと、
上記差分に基づいて上記第1の放送データ受信ステップで受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信ステップで受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御ステップと、
を有することを特徴とするラジオ放送受信方法。
【請求項6】
コンピュータを、
放送局のラジオ放送データの受信が可能である第1の放送データ受信手段、
IP通信網を経由して上記ラジオ放送データと同一の内容、または上記ラジオ放送データに相当する内容のデータを配信するサーバに接続し、上記ラジオ放送データと同一内容のデータの受信が可能である第2の放送データ受信手段、
上記第1の放送データ受信手段で受信した放送データから時刻に関する情報を取得する第1の時刻取得手段、
上記サーバから配信されるデータに含まれる当該データの放送時刻を取得する第2の時刻取得手段、
上記第1の時刻取得手段および上記第2の時刻取得手段でそれぞれ取得した情報に基づいて上記第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの差分を算出する差分時刻算出手段、
上記差分に基づいて上記第1の放送データ受信手段で受信したラジオ放送データと、上記第2の放送データ受信手段で受信したデータとの出力タイミングの同期をとる遅延制御手段、
として機能させるためのラジオ放送受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−14994(P2011−14994A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155109(P2009−155109)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】