ラックシステムおよびその環境状態を決定する方法
ラックシステム(100)は、複数のラック(105)を備え、これらラック間に少なくとも一つの通路を形成するようにラックを配列する。通路(120)は、通路(120)を通過する冷却媒体のほぼすべてがラック(105)を通過するように封止する。抽気開口を設け、この抽気開口により、通路(120)外に冷却媒体を抽気し、また周囲媒体を通路(120)内に流入させることを可能にする。センサ(例えば温度センサ)を、抽気開口を通る媒体流れ方向を決定するために設ける。ある実施形態において、センサにより発生した信号を用いて、通路(120)に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却媒体、例えば冷却空気を供給するラックシステムに関する。本発明はさらに、ラックシステムの環境状態を決定する方法に関する。ラックシステムの環境状態は、例えば、ラックシステム内の1つまたはそれ以上の環境状態パラメータを制御するために決定(測定)する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、大容量記憶装置およびスイッチなどの電子デバイスを含む電気的に動作する電動機器は、いわゆるデータセンターに集約されることがよくある。データセンターにおいて、このような機器をラック内に格納するのが一般的になっている。2個の互いに隣接する列間に通路を設け、作業員が機器の設置、メンテナンスおよび撤去を行うことができるようにする。
【0003】
ラック内に収納したほとんどの機器は、周囲の温度を上昇させるほどの多量の電力を消費する。機器が動作するには、熱的限界があることが多いため、臨界レベル以下の動作温度に維持するステップをとらなければならない。例えば、コンピュータなどの多くの電子機器は、ファンまたは他の内部冷却機構を装備する。これら機構は、冷却媒体、例えば周囲空気が機器を通過する流れを発生させて、内部電子コンポーネントを冷却することができるようにする。
【0004】
しかし、とくに電子デバイスをラック内に密に詰め込むとき、周囲空気による冷却効果が十分でないことがよくある。さらに、データセンター内の周囲空気も温度上昇し、このことがさらに冷却効率を減少させる。周囲空気の温度上昇を回避する手法としては、データセンター内に環境状態制御システムを設置することである。環境状態制御システムは、周囲環境パラメータ、例えばデータセンター内の空気の温度および湿度を制御するよう構成する。
【0005】
多くのデータセンター内では、環境状態制御システムにより発生した冷却および/または除湿空気のラック周りおよびラック内への流れは、多かれ少かれ不安定であることが知られている。結果として劣悪な冷却効率となる。言い換えれば、環境状態制御システムは、実際に必要な量よりも多くの電力を消費する。
【0006】
冷却効率を向上するために、ラックに向かう冷却媒体の流れを集中および方向付けする様々な技術が提案されてきた。これに関して、特許文献1(米国特許6,672,955号)は空気流管理システムを開示しており、ラックの互いに隣接する2列で画定される通路の頂端部をカバーする。このカバーリング手法は、通路のフロアにから供給した冷却媒体が通路の上方向に流出することを防ぐ。他の例として、特許文献2(国際公開第2006/124240号)は、側方から周囲媒体が通路に流入することを防ぐためのバッフルまたはドアを提案している。したがって、周囲媒体が冷却媒体(やはり通路のフロアから供給する)と混合するのを防止することができ、こうして冷却効率を増大させる。さらに他の例として、特許文献3(米国特許公開第2005/0099770号)は、完全に通路を囲い込み、またラックを通じて外側から冷却媒体を供給することを開示している。この手法によれば、温度上昇した冷却媒体をその後に囲い込んだ通路内で収集し、冷却媒体と混合することなく容易に除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,672,955号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/124240号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0099770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数のラックで画定される通路内のその時点における環境状態条件を決定(測定)する必要がある。さらに、決定(測定)した環境状態条件に応じて冷却媒体のパラメータを効率的に制御する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様によれば、ラックシステムを提供し、当該ラックシステムは、複数のラックであって、ラック間に少なくとも1つの通路を生ずるよう配列し、通路に供給する冷却媒体のほぼすべてがラックに通過するように通路を封止する、該ラックと、通路外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体が前記通路内に流入できるようにする抽出開口と、および抽出開口を通過するよう媒体の流れ方向を測定する第1センサと、を備える。媒体の流れ方向は、ラックシステムの環境状態条件の表示または指標としてみなすことができる。
【0010】
冷却媒体はガス状媒体とすることができる。例えば空気または窒素を、使用できる。しかし、従来技術による他の冷却媒体を使用することができる。
【0011】
第1実施形態によれば、ラックは利用可能な工業規格標準に適合するものとする。工業規格標準の一例としては、ラック幅を48.26cm(19インチ)とし、所定高さのユニットを特定個数のラック高さを規定しており、1個のユニットの高さは4.445cm(1.75インチ)とする。他の実施形態において、ラックは専用の寸法を有する。ラックシステム内の複数のラックはそれぞれ同様の高さ、幅、奥行きを有することができる。各ラックは、ラックに冷却媒体を供給する供給側と、ラックから冷却媒体を排出する供給側とは反対側の排出側とを有する。ある実施形態において、ラックの供給側を通路の内部に面するように配置する。
【0012】
第1センサを、抽出開口を通過する媒体流れ方向を決定するために適切な任意の位置に配置する。第1センサは、例えば、抽出開口の近傍または内部に配置する。第1センサを、媒体の流れ方向を測定できる任意のセンサとすることができる。例として、第1センサを、温度センサ、空気スクリュー、風受け翼作動スイッチよりなるセットから選択できる。温度センサは、例えば、通路外に抽気開口を経て冷却媒体が流れるときは、(一般的に暖かい)周囲空気媒体が抽気開口を経て通路内に流れる場合と比較して抽気開口近傍の温度が低いという原理に基づいて動作する。空気スクリューは、空気スクリュー上で動く媒体の流れ方向に応じて回転することにより、流れ方向を決定する。風受け翼作動スイッチにおいては、媒体の一部を捕まえて、媒体の流れ方向に応じて方向を変更するように風受け翼を配置して、それによりスイッチを操作する。別の場合では、第1センサが、抽出開口と反対側における媒体のパラメータを比較するように構成することができる。このような媒体パラメータとしては、温度および圧力がある。したがって、第1センサは、2個以上の個別センサコンポーネントを備えることができる。
【0013】
一般的に、抽出開口を通路に対して任意の位置に配置することができる。例えば、抽気開口を、頂端部、底部または、通路の頂端部と底部との間における任意の位置に配置することができる。抽気開口は、冷却媒体を通路に供給する位置とはほぼ反対側に配置することができる。例えば冷却媒体を通路の底部から供給する場合、抽気開口を通路の頂端部に設けることができ、その逆もあり得る。
【0014】
システムは、第1センサにより発生する信号に基づいて、通路に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するよう構成した制御機構を備える。制御機構により制御する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択できる。ある場合において、これら3つのパラメータのうち少なくとも2つまたはすべてを制御することが役立つ。さらに、これらパラメータの一つまたは二つを、第1センサにより発生する信号とは独立して(例えば第2センサにより発生する信号に基づいて)制御することができる。冷却媒体の温度および湿度には物理的関係があるので、一つのパラメータ(例えば温度)を制御することは、同時に第2パラメータ(例えば湿度)の制御を結果的に得る。
【0015】
以下に、冷却媒体の一つ以上のパラメータを制御する制御機構の様々な実現および要素をより詳細に記載する。例えば、少なくとも一つのコンベヤを、通路内に冷却媒体を送給するために設けることができる。少なくとも一つのコンベヤを、冷却媒体の流れ方向において通路の上流側または下流側に配置することができる。上流側に配置する場合、コンベヤは冷却媒体を通路内に押し込み、下流側に配置する場合、コンベヤは通路から冷却媒体を吸い出す。
【0016】
コンベヤは、第1センサにより発生する信号に基づいて通路に供給する冷却媒体の流速を制御するよう構成する。コンベヤは、さらに、1つ以上の付加的または代替的センサの信号に基づいて、流速を制御するよう構成する。コンベヤは、例えば、調整可能な速度を有するファンを備える。
【0017】
システムは、さらに、通路に供給する冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一方を制御するための少なくとも1つの機構制御ユニットを備える。第1の実施形態によれば、コンベヤを環境状態制御ユニットと並置する(例えば一つのハウジング内で)。第2の実施形態によれば、コンベヤを環境状態制御ユニットから離して配置する。
【0018】
少なくとも1つの機構制御ユニットは、第1センサにより発生する信号に基づいて冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一方を制御するよう構成する。付加的にまたは代替的に、このような制御を1個またはそれ以上の第2センサにより発生する信号に基づく。
【0019】
上述のように、1個またはそれ以上のセンサを第1センサに加えて設けることができる。したがって、制御機構、コンベヤおよび環境状態制御ユニットの少なくとも1つを、付加的にまたは代替的に、第2センサにより発生する信号に基づいて制御する。第2センサは、抽気開口および第1センサの少なくとも一方から離して配置する。ある実施形態によれば、第2センサを複数のラックから離れた位置に配置する。例えば、環境状態制御ユニットおよび/またはコンベヤの近傍に配置することができる。このような場合、第2センサは、媒体が環境状態制御ユニットおよび/またはコンベヤに流入する前に、媒体のパラメータを決定するように設ける。
【0020】
ある実施形態において、システムは複数の第1センサおよび/または複数の第2センサと同様に、複数の第1センサおよび複数の第2センサの少なくとも一つと接続するマスタ制御ユニットを備える。マスタ制御ユニットは、コンベヤ(例えば少なくとも第1センサの信号に基づいて)および環境状態制御ユニット(例えば少なくとも第2センサの信号に基づいて)の少なくとも一方を制御するよう構成する。
【0021】
複数の第1センサを設ける場合、いくつかの第1センサ(およびいくつかの抽出開口)を、各通路と関連付ける。さらに、いくつかの通路を形成するよう複数のラックを設ける場合、少なくとも1つの第1センサ(と少なくとも一つの抽気開口)を各通路に関連させる。マスタユニットの制御操作は、このような構成において、最小の好ましい媒体流れまたは環境状態条件を感知する第1センサにより得る信号に基づく。第1センサを温度センサとして構成する場合、最小の好ましい媒体流れを、最高温度を感知する特定の第1センサにより検出する。
【0022】
システムの構成は、媒体循環経路を生ずるように行う。媒体循環経路は、1つまたはそれ以上の通路、少なくとも1つの制御ユニット、少なくとも1つのコンベヤを有する。この場合、1個またはそれ以上の第2センサを、循環経路に沿ってまた循環経路に隣接させて様々な場所に配置する。例えば、少なくとも1個の第2センサを、少なくとも1つのコンベヤの下流側でその近傍位置、または少なくとも1つの制御ユニットの近傍位置、または、少なくとも1つの環境状態制御ユニットと少なくとも1つの通路との間で流路内に、配置する。
【0023】
少なくとも1つの環境状態制御ユニットおよび/または少なくとも1つのコンベヤは、それぞれ、マスタ制御ユニットと接続するスレーブ制御ユニットを備える。スレーブ制御ユニットは、マスタ制御ユニットと通信して、マスタ制御ユニットからの制御命令を受信するよう構成する。ある実施例において、スレーブ制御ユニットを、冷却媒体温度(少なくとも1つの機構制御ユニットにより)、および冷却媒体の流速(少なくとも1つのコンベヤにより)の少なくとも一方を制御するよう構成する。
【0024】
システムは、さらに、通路の頂端部で通路を封止するカバー素子を備える。カバー素子は、外部照明からの光を通路に入れるように透明にする。さらに、カバー素子は、媒体を透過しないスペーサ素子を有する、または、スペーサ素子によりラックから離して配置する。ある実施例において、少なくとも1つの抽気開口を、少なくとも1つのカバー素子およびスペーサ素子に収容する。
【0025】
システムは、さらに、通路の一以上の側方端部で封止する1個以上の終端素子を備える。一以上の側方端部をまた、ラックにより閉鎖する。終端素子は、作業員が通路に出入りすることを可能にするドアを備える。ドアは透明または不透明材料で形成し、スライドまたはスイングドアとする。ある実施形態において、ドアは、作業員の避難ルートの一部を形成するために180度開放するスイングドアとすることができる。
【0026】
さらに他の実施形態において、システムは通路に冷却媒体を供給する1個以上のグリルを有する。グリルを例えば、冷却媒体を上方から供給する場合、頂端部(通路のカバー素子内)に配置し、冷却媒体を下方から供給する場合、通路のフロアに配置する。冷却媒体のための各グリルの透過性を増大するため、少なくとも70%、好適には80%以上(例えば90%以上)のグリルの開口面積が、冷却媒体を透過するようにする。ある実施形態において、グリルを通路のフロアに配置し、作業員がグリル上を歩けるよう構成する。
【0027】
システムはまた、通路に冷却媒体を供給するダクトを備える。ダクトは、ほぼ複数の通路の上方または下方に設ける。ダクトは、下方および上方の平面により画定し、上方平面はラックを配置するフロアを画定する。下方平面と上方平面との間の距離は、例えば150mm〜1200mmの範囲内とする。
【0028】
ダクトの下方平面と上方平面との間における空間の一部を、電力ライン、通信ライン(ワイヤまたは光学ファイバライン)および液体またはガスなどの冷却媒体の供給および排出ラインを含む供給ラインが占めるようにする。ラックの近傍において、供給ラインは上方平面を通って、ラックおよび/または通路内へ延びる。供給ラインが上方平面を通る位置は、例えばブラシストリップまたは同様の方法を用いて封止する。
【0029】
ダクトを媒体循環経路の一部とすることができる。例えば、ダクトは、一方では少なくとも1つの環境状態制御ユニットおよび/または少なくとも1つのコンベヤと、他方では通路との間で延在させる。冷却媒体を通路の上方からまたは底部から供給するかに基づいて、ダクトは通路の上方または通路の下方に(少なくとも部分的に)延在する。さらに、冷却媒体を複数の通路に同時に供給するよう構成する。
【0030】
各ラックは、ペイロード(搭載物)を収納するための1個以上の搭載スペースを備える。ペイロードが占めない搭載スペースは、周囲媒体が通路内に多量に流れ込むおよび/または通路外に冷却媒体が多量に漏洩するのを防ぐために封止する。100%の封止は一般的に必要がないが、いかなる漏洩も、一般的にはシステム全体の冷却効率を降下させることに留意すべきである。
【0031】
搭載スペースに設けたペイロード(搭載物)は、電気的に動作する電動機器を備える。このような機器としては、コンピュータ(例えばサーバ)、大容量記憶装置、処理ユニット、スイッチ、またはハブなどのネットワークコンポーネントを備えることができる。そのようなペイロードおよび特に電動機器は、ラックの供給側から排出側に冷却媒体を送給する内蔵媒体コンベヤ(例えば内部ファン)を備える。ある実施形態において、ラック内部の全ペイロードを、内蔵媒体コンベヤの供給側がラックの供給側と一致して、内蔵媒体コンベヤの排出側がラックの排出側と一致するように、配置する。
【0032】
ペイロードの各アイテムは、内蔵媒体コンベヤを(例えばペイロードのセンサ感知値または決定状態などのペイロードのパラメータに基づいて)制御するコントローラを備える。ペイロードの各アイテムは、その内部情報と性能についての情報を交換し、他の機器の内蔵媒体コンベヤに現時点動作する通信機構を備える。このような他の機器としては、マスタ制御ユニット、通路内に冷却媒体を送給する少なくとも1つのコンベヤ、少なくとも1つの環境状態制御ユニットがある。
【0033】
システムは、さらに、通路を内部に配置するハウジングを備える。ハウジングを、冷却媒体の循環経路を閉じるように設ける。ハウジングは、データセンタールームのフロア、天井および壁を備える。ある実施例において、少なくとも1つのコンベヤおよび/または少なくとも1つの環境状態制御ユニットは、ハウジング内部またはその近傍に設ける。環境状態制御ユニットは、勿論、ハウジング外部に設けることができる。この場合、他のダクトを、ハウジングから環境状態制御ユニットへの周囲媒体の流れおよび冷却媒体(冷却した周囲媒体)の逆流を可能にするように設ける。環境状態制御ユニットと同様に、通路に冷却媒体を送給する少なくとも1つのコンベヤを、ハウジング内部または外部のいずれかに配置することができる。
【0034】
環境状態制御ユニットに、周囲媒体(閉じた循環経路の場合にラックから流出する温度上昇した冷却媒体を含む)を供給し、周囲媒体を冷却媒体に変換するために周囲媒体に環境状態制御を実行し、次に冷却媒体を(少なくとも1つのコンベヤの補助により)通路に向けてダクトを経て送り出す。このようにして、閉じた循環経路を形成することができる。
【0035】
他の態様によれば、複数のラックを備え、これらラック間に通路を形成するようにラックを配列したラックシステムの環境状態条件を決定(測定)する方法を提供する。本発明方法は、通路内に冷却媒体を供給する冷却媒体供給ステップであって、通路内に供給する冷却媒体のほぼ全てがラックを通過するよう通路を封止する、該冷却媒体供給ステップと、通路外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体を通路内に流入させることを可能にする抽気開口を設けるステップと、抽気開口を通る媒体の流れ方向を決定するステップとを備える。媒体の流れ方向は、ラックシステムが有する環境状態条件の指標または表示とみなすことができる。
【0036】
本発明方法は、さらに、媒体の流れ方向に基づいて通路に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するステップを備える。少なくとも一つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択することができる。
【0037】
以下に、本発明の他の利点および詳細を添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ラックシステムの実施形態の斜視図を示す。
【図2】ラックシステムの制御レイアウトの実施形態を示す。
【図3】第1方法の実施形態の概略的フローチャート図である。
【図4】第2方法の実施形態の概略的フローチャート図である。
【図5】複数通路のラックシステムを備えるデータセンターの頂面図である。
【図6a】ラックシステムの実施形態を実現するために用いることができる例示的なサーバーラックを示す。
【図6b】ラックシステムの実施形態を実現するために用いることができる例示的なサーバーラックを示す。
【図7】フロアグリルおよび2列の平行なラックを有する通路の写真である。
【図8】冷たい冷通路および暖かい暖通路を分離しないラックシステムのレイアウトを示す。
【図9】冷たい通路および暖かい通路を分離したラックシステムの第2のレイアウトを示す。
【図10】負荷試験の結果のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1はラックシステム100の実施形態の斜視図である。ラックシステム100は、付加的に他のラックシステムを収容することができるデータセンタールーム(図示せず)内に収納する。
【0040】
ラックシステム100は、複数の個別ラック105を備える。これらラック105を、「向かい合わせ(フロント‐ツー‐フロント)」の2列にして配置し、この列間に通路120を生ずるようにする。図1に示す実施形態において、ラック105の各列110,115を、対応するキャビネット125,130により付加的に囲い込む。
【0041】
個別ラック105は、電動機器(図示せず)のための搭載スペースを画定する。この実施形態において、電動機器は、そのシャシー内に冷却媒体を強制通過させるための内蔵媒体コンベヤ(例えば、ファン)を有するコンピュータサーバーおよび大容量記憶デバイスにより構成する。電動機器のラック内における配置は、電動機器の各要素の媒体供給側が通路120に面し、媒体排出側が反対側に面するように行う。電動機器の媒体供給側および媒体排出側は、したがって、個別ラックの媒体供給側および媒体排出側を定義する。
【0042】
図1に示すように、通路120を封止し、この封止は、通路120に供給する冷却媒体のほぼ全てがラック105を通過するように行う。言い換えれば、冷却媒体がラック105を通過する以外の方向で通路120から流出することをほぼ防止する。この点に関して通路120の完全封止は(妥当な技術的努力による技術的可能性がなければ)必要ないことに留意されたい。言い換えれば、冷却媒体の多少の漏れは、多くの場合、漏れがそれほど大幅に冷却効率を低下させない限りにおいて、許容される。
【0043】
図1に示す実施形態において、ラック105を収納するラックキャビネット125,130により区切られない通路部分において、通路120を封止するいくつかの封止部材を設ける。とくに、カバー素子135は通路120の頂部を封止する。カバー素子135は、透明材料、例えばアクリルガラスで形成し、データセンターの照明からの光が通路120に進入できるようにする。カバー素子135は側方スペーサ素子140,145を有し、カバー素子が画定する平面が、2個のキャビネット125,130の頂端部で画定される平面から離れるようにする。
【0044】
通路120を囲い込む封止部材としては、さらに、2個の側方終端素子150,155を備える。側方終端素子150,155は、作業員が通路120に出入りできるスイングドアとして構成する。側方終端素子150,155のうち一方は、1個またはそれ以上の他のラック105を収納するキャビネットと取り換えることができる。さらに、代替的なドア構造としてスライドドアを使用することもできる。
【0045】
空気などの冷却媒体を、通路のフロアすなわち底部から供給する。この目的のために、高床式のフロアシステム160を設ける。高床式のフロアシステム160は、高床式のシステムにおける下方平面170と上方平面175との間にダクト165を画定する。図1に示すように、ラックキャビネット125,130およびその間の通路120は、上方平面175上に配置する。
【0046】
高床式フロアシステムの上方平面175は、通路120をダクト165に流体連通するための複数の開口(図1には図示せず)を有する。矢印180で示すようにダクト165内に供給する冷却媒体は、したがって通路120に流入する。通路120を封止しているため、通路120に流入する冷却媒体は、矢印185で示すようにラック105を通ってのみ通路120から流出する。とくに、ラックの搭載スペース内に設けた電動機器の内蔵媒体コンベヤは、ラック105を通して、通路120に流入する冷却媒体を送給する。したがって、ラック105を通して送給する冷却媒体は、電動機器が放出する熱により加熱され、矢印190で示すようにラック105から流出する。
【0047】
ラック105から流出する温度上昇した冷却媒体の通路は、ラック105を出る温度上昇した冷却媒体を冷却し(および随意的に除湿する)、冷却した(および随意的に除湿した)媒体をダクト165内に再び流入させることにより閉じて循環させることができる。他の実施形態において、媒体流路を閉じて循環させる必要はないことに注意すべきである。このような実施形態において、ラック105を出る温度上昇した冷却媒体は、単にデータセンター外の環境に送出する。
【0048】
ダクト165により供給する冷却媒体のパラメータを制御することで、電動機器により発生する熱を効率的に打ち消して、ラック105内に発生する任意の望ましくない温度上昇を防ぐ。もう一方では、冷却媒体パラメータの過度の調整(例えば、過度の冷却)を回避して、エネルギー効率を向上しなければならない。
【0049】
通路120に供給する冷却媒体の一つ以上のパラメータを効率的に制御するために、センサ装置195を通路120の頂端部に設ける。センサ装置195は、スペーサ素子145内に抽気開口と、抽気開口近傍に配置したセンサを備える(抽気開口およびセンサの配置を、図2につきより詳細に後述する)。
【0050】
例えば10cm2から500cm2の間の範囲(例えば、80cm2から200cm2の間の範囲)で、一定あるいは調整可能な直径を有する抽気開口を設け、これにより通路120から冷却媒体を抽出し、または周囲媒体が通路120内に流入できるようにするようにする。言い換えれば、通路120の周囲と通路120との間の圧力差に応じて、冷却媒体が抽気開口を経て通路120を出る、または周囲媒体が抽気開口を経て通路120内に流入する。抽気開口の近傍に設けたセンサは、抽気開口を通過する媒体流れの方向を決定(測定)するよう構成する。したがって、センサにより感知した媒体流れ方向は、冷却媒体に関連する通路120内の環境状態の表示または指標である。したがってセンサにより感知した媒体流れ方向に応じて、冷却媒体の1個以上のパラメータを制御して、ラック105内に搭載した電動機器のエネルギー効率のよい冷却を可能にする。
【0051】
以下において、センサ装置195にもとづいて冷却媒体のパラメータを制御する一つの実施例を、図2の線図的な制御ダイアグラムを用いて説明する。図2に示す特定の実施形態において、図1と同一の参照符号を使用して、同一または同様な要素を示す。
【0052】
図2に示す制御の実施形態は、冷却媒体の閉じた循環経路に基づく。閉じた循環経路は、通路120を収容するデータセンタールーム内に配置する少なくとも1個の下行流ユニット205を備える。代替の実施形態では、下行流ユニット205は、図2に示す方法と同様の方法でルームとの流体連通を維持するように、ルーム外に配置することができる。
【0053】
下行流ユニット205は、1個のハウジング内に2個の専用コンポーネントを備える、すなわち一方は環境状態制御ユニット210であり、他方は冷却媒体コンベヤ215である。環境状態制御ユニット210はいわゆる冷却装置であり、冷水供給チューブ220および暖水排出チューブ225に接続する。冷水供給チューブ220により供給する冷却水は、およそ5℃〜15℃(例えば11℃〜13℃の間)の温度である。暖水排出チューブ225により排出する暖水は、およそ12℃〜22℃の間(例えば16℃〜19℃の間)の温度である。
【0054】
環境状態制御ユニット210を通過する周囲媒体を、冷水と熱的に接触させて冷却する。同時に、冷水は温度上昇し、また暖水排出チューブ225を経て環境状態制御ユニット210から排出させる。随意的に、周囲媒体は、さらに、環境状態制御ユニット内210で除湿ステップを受けるようにする。
【0055】
冷却媒体コンベヤ215は、ダクト165内に冷却した周囲媒体を冷却媒体として送給する。冷却媒体をダクト165に供給する近傍で、制御ユニット240に接続した温度センサ235を設ける。温度センサ235は、冷却媒体の現時点温度を感知するよう構成する。制御ユニット240において、冷却媒体の現時点温度を設定温度と比較して、冷水供給チューブ220内に配置した冷水供給バルブ245をこの比較結果に基づいて制御する。
【0056】
冷水供給バルブ245は、環境状態制御ユニット210を通過する冷水の流れを制御して、センサ235により感知した媒体温度を特定の設定温度に近づけるまたは等しくする。図2に示すように、ダクト165内に流入する冷却媒体の温度を一般的には、約18℃〜26℃の間の範囲における値(例えば20,21,22,23,24℃)に設定できる。
【0057】
図2に図示する実施形態において、冷却媒体温度の制御を自動的に実行する。言い換えれば、制御ユニット240は、単に温度センサ235により発生する信号に従ってのみ作動する。他の実施形態において、制御ユニット240は、付加的にまたは代替的に、図2に示す1個またはそれ以上のセンサの信号を考慮することができ、このことを、以下に説明する。
【0058】
上述のように、環境状態制御ユニットにより冷却した周囲媒体を、ダクト165内に冷却媒体コンベヤ215により送り込む。冷却媒体コンベヤ215を、専用の制御ユニット250の制御下でダクト165内に供給する冷却媒体の流速(媒体速度)を調整するよう、速度調整可能なファンとして設ける。通常動作中、冷却媒体コンベヤ215は冷却媒体を1〜3m/s(例えば約1.5〜2.2m/s)の速度で送り込む。
【0059】
冷却媒体の好適な流速を得るために必要な媒体速度は、冷却媒体を下行流ユニットから通路120に送り込むダクト165の高さに依存する。この媒体速度値は、通常のダクト高さである約400〜600mmに対応する。より小さいダクト高さ(例えば150mm)である場合、速度を増加する必要があり、より大きいダクト高さで(例えば800mm)である場合、速度を減少させる必要がある。一般的に、媒体速度およびダクト165の高さの選択は、ダクト内の媒体圧力が比較的低く、例えば通路外部であってデータセンター内の媒体圧力よりも20Pa(例えば10Pa)高くならないように行う。
【0060】
図2に示すように、ダクト165から送り込む冷却媒体(約1.7m/sの速度であり、データセンターの内部圧力に比べて10Pa以下の増圧にする)は、上方フロア平面175内の開口255を経て通路120内に流入する。通路120内で、このようにして一般的に22℃〜26℃である媒体温度を維持し、この温度は32℃〜38℃である周囲温度よりも大幅に低い。図2に矢印で示すように、通路120内に流入する冷却媒体を、電動機器の内蔵媒体コンベヤにより通路120外に排出し、同時に電動機器内部の熱を吸収するとき温度上昇する。温度上昇した冷却媒体は、下行流ユニット205に戻る周囲媒体をなし、したがって、閉じた流れの回路を形成する。
【0061】
図2につき説明すると、センサ装置195は、通路120の頂端部に配置した抽気開口195A、ならびに抽気開口195Aの近傍に配置した温度センサ195Bを備える。温度センサ195Bを、通路120内に配置するよう図示しているが、温度センサ195Bを、代替案として、抽気開口195Aの内部または通路120の外部に配置してもよく、しかし、抽気開口195Aの媒体流れを検知するために抽気開口195Aの十分近くとする。図2に示す実施形態においては、センサ195Bを温度センサとしているが、抽気開口を通る媒体流れ方向を検知できる他のタイプのセンサも使用できることは理解できるだろう。
【0062】
温度センサ195Bを、コンベヤ215に関連する制御ユニット250に電気的に接続する。言い換えれば、抽気開口195Aを通る媒体流れ方向を示すセンサ信号を、冷却媒体の速度(したがって流速も)制御するために使用して、冷却媒体の適正量を通路120に供給する。他のモードにおいて、コンベヤ215をさらに、通路120の外部で、好適には下行流ユニット205の吸気口の近傍に配置した、他の(随意的)温度センサ260の信号に基づいて制御することもできる。
【0063】
以下に、下行流ユニット205に配置するコンベヤの制御を、図3のフローチャート300につき詳細に説明する。
【0064】
図3のフローチャートを参照して、コンベヤ215に対する制御命令を、通路120内に冷却媒体を供給するステップ(ステップ302)から開始する。このようにして、冷却媒体を、フロアからカバー素子135(したがって、温度センサ195B)に達するまで通路120に充満させる。通路120は、両側方および頂部で封止する(図1参照)ため、開口255から通路120に流入する冷却媒体のほぼすべてはラック105を通過して、ラック105内に搭載した電動機器の熱消散を効率的に行うために使用できる。
【0065】
ラック105内の機器はより多くの熱を消散させる必要がある(したがってより多くの冷却を必要とする)ので、機器内蔵の媒体コンベヤは、通路120からラック105を通る多くの冷却媒体を送り込む、結果として、周囲に対する通路120内部の圧力はわずかに降下する。通路120内部のこの圧力降下の結果として、温かい周囲媒体が抽気開口195Aを通って通路120内に吸い込まれる(ステップ304)。結果として抽気開口195Aを通る媒体流れ方向を、温度上昇として温度センサ195Bにより感知できる(ステップ306)。特に、抽気開口120内に吸い込まれて温度センサ195Bを通過する周囲媒体は、通路内部に圧力降下を生ずる前の温度センサ195Bの近傍に存在する冷却媒体の環境よりも高温となる。
【0066】
温度センサ195Bの位置において上昇する温度は、制御ユニット250により感知して(例えば、制御ユニット240により付与した現時点温度の設定点と、所定の温度設定点との比較により)、より多くの冷却媒体を必要とすると解釈する。結果として、制御ユニット250は、媒体速度(すなわち流速)が増加するようにコンベヤ215を制御する。したがって、一定時間当たりにより多くの冷却媒体を、ダクト165に送り込む。周囲媒体が抽気開口195Aを通って通路120内に流入する結果である通路120内部の圧力降下に基因して、より多くの冷却媒体が通路120内に流入する。
【0067】
時間当たりに通路内に流入した冷却媒体が、通路外へラック105を経て内蔵媒体コンベヤにより送出した冷却媒体をわずかに上回った後、通路120内部の冷却媒体のレベルは、再び、温度センサ195Bの位置まで上昇する。同時に、通路120と周囲との間における圧力差は、これ以上の周囲媒体を通路内へ抽気開口195Aから吸入しなくなるまで減少する。言い換えれば、温度センサ195Bは最終的に冷却媒体環境下に再び戻り、結果の温度を制御ユニット250が感知する。特に、制御ユニット250は、十分な冷却媒体を通路120内に供給して、温度センサ195Bに関連する特定の温度設定点に再び達するまで、ダクト165を通る冷却媒体の速度(すなわち流速)を徐々に低下させ始める。
【0068】
この上述の温度設定点は、通路120内に流入する冷却媒体の平均温度より数℃(例えば1〜8℃)高い温度とする。例えば、温度設定点は、制御ユニット240により調整する冷却媒体温度(温度センサ235により測定する)に基づいて動的に定義することができる。設定点は、制御ユニット250により実装する制御シナリオは、特定の予定流速から開始する流速の増加を制限しないという利点を有するが、減少した初期流速で開始することもできる。したがって、ラック内に配置した電動機器がより少ないエネルギーを消費するならば、(したがってその内蔵媒体コンベヤがラック105を通って通路120からより少ない冷却媒体を強制通過させるならば)、温度センサ195B感知が感知する温度は、温度設定点に対して低下する。この温度低下は、制御ユニット250が、過剰な冷却媒体を通路120に供給したと解釈して、ダクト165内への冷却媒体の送り込み(すなわち媒体速度)を減少することができる。
【0069】
随意的な制御シナリオにおいて、制御ユニット250は、さらに、他の温度センサ260(もし存在するなら)により発生する信号を、コンベヤ215を制御するときに考慮する。特に、制御ユニット250は、一方で温度センサ260により感知する温度および他方で温度センサ195Bにより感知する温度との間の温度差に応じて、コンベヤ215を制御する.例えば制御ユニット250は、冷却媒体の流速制御を以下のように構成する、すなわち、もし2個の温度センサ195B,260によりそれぞれ感知した温度間の所定温度差が、温度センサ195Bにより感知した温度が上昇することによって減少する場合に、冷却媒体の流速を増加させる、およびその逆のようにするよう制御する。
【0070】
以下に、コンベヤ215を制御する他の実施形態を、図4のフローチャートにつき説明する。図4に示す制御の実施形態を、図3を用いた上記制御の実施形態と同時並行的に、あるいは代替的に実施することができる。
【0071】
第1ステップ402において、冷却媒体の温度(例示的なパラメータとして)を、冷却媒体が通路120およびラック105内に流入する前に、所定温度値に維持する。上述のように、冷却媒体温度を所定値に維持するステップは、温度センサ235が感知した温度に基づいてバルブ245を調整する制御ユニット240の下で環境状態制御ユニット210が実行する。
【0072】
ステップ404において、冷却媒体をコンベヤ215により、ダクト165から通路120に、そしてラック105媒体供給側に、送り込む。次に、ステップ406において、ラック105を通過する冷却媒体の移動率が、コンベヤを通過する冷却媒体の移動率と異なるかどうかを決定する。
【0073】
さらなるステップ408において、コンベヤ215を、ステップ406において決定した移動率の差に基づいて制御する。この制御は、例えば移動率の差を最小化するまたは所定値に移動率差を維持することを目標とする。
【0074】
ステップ402〜408は、一般的なシナリオにおいて、同時並行的にまた繰り返し行う。さらに、上述のように、移動率差および移動率差におけるいかなる変化をも、温度センサ195Bまたは抽気開口195Aを通過する流れ方向を測定可能な任意の他のセンサにより得る信号に基づく。
【0075】
図1〜4に図示するコンベヤ215に対する制御方法の結果として、コンベヤの電力消費は、ラック105内に搭載した電動機器がより少ない冷却しか必要としない状況で選択的にファンの速度を低下させることにより、減少させることができる。
【0076】
上述の実施形態は、1個のセンサ装置195のみを備えるものとして説明したが、2個以上のセンサ装置を、通路120の上方部分に間隔を空けて配置できることは理解できるであろう。このような場合において、各センサ装置195の温度センサ195Bを、制御ユニット250に電気的に接続する。制御ユニット250は、次に、いずれかの温度センサ195Bが感知した最高温度に基づいて制御タスクを実行することができる。さらに、ダクト165に接続する通路120の数を必要に応じて増加することができる。ここれに関連して、図5に示す概略的ラックシステムレイアウトにつき説明する。また、同一参照符号を、同一または同様のコンポーネントを識別するために用いる。
【0077】
図5に示すラックシステムのレイアウトによれば、4つの平行な通路120を設け、各通路120は、2つの平行なラック列110,115(2つの列を図5内に特に示す)により画定される。各通路120を全て同一ダクト(図1および2の参照符号165参照)に接続する。各ラック列110,115は、9または10個のラックユニットを備える。各通路120に、少なくとも1個のセンサ装置195を備える。
【0078】
通路120に、6個の個別の下行流ユニット205から冷却媒体を供給する。マスタ制御ユニット(図示せず)は、下行流ユニット管理の役割を持ち、6個の下行流ユニット205を、マスタ制御ユニットにスレーブユニットとして接続する。マスタ制御ユニットには、制御ユニット250に接続する上述の制御機能、および下行流ユニット管理のための他の制御機能を組み込む。
【0079】
マスタ制御ユニットは、各通路120にわたって分布させたセンサ装置195のいずれかにより感知した最高温度に基づいて制御動作を実行するよう構成する。冷却条件に基づいて、マスタ制御ユニットは、個別の下行流ユニットをオンモード、オフモードまたはスタンバイモードに切り替える。さらに、マスタ制御ユニットは、感知した最高温度に基づいて、スイッチオンにした下行流ユニット205に関連するコンベヤのファン速度を(最大速度の30〜100%の間で)制御する。マスタユニットは集中的に冷却媒体の全体流速を制御するが、各下行流ユニットは自動で局部的に、個別下行流ユニット205を通過する冷却媒体の温度および湿度を制御できる。個別下行流ユニットの温度および湿度制御は、マスタ制御ユニットから受信した温度設定点に基づく。
【0080】
全体制御の概念は、図1〜4につき説明した制御概念と同一である。言い換えれば、第1ステップにおいて、分布させたセンサ装置195のいずれかが検出した最高温度を、温度設定点と比較する。特定の例において、制御ユニット240(図2参照)により付与した温度設定点よりも1〜6℃高い温度設定点に設定する。いずれかの温度センサ195Bにより感知した最高温度がマスタ制御ユニットにより付与した温度設定点よりも低い場合、下行流ユニット205が各通路内に冷却媒体を多く送給しすぎていることを示す。したがって、冷却媒体の流速を減少する。他方、最高温度が温度設定点よりも高い場合、下行流ユニット205が各通路内に冷却媒体を十分に送給していないことを示す。したがって、冷却媒体の流速を増加させる。上述のように、流速を制御するとり得る手法としては、各下行流ユニットをオンまたはオフに切り換えるステップ、およびスイッチをオンにした下行流ユニットのファン速度を制御するステップがある。図2に示す制御ユニット240,250およびマスタ制御ユニットが行う制御方策としては、例えば、従来既知のPI制御がある。
【0081】
図6は、電動機器を含むペイロード(搭載物)を実装するための複数の搭載スペースを備えるラックの実施形態を示す。とくに、図6は、図1〜5につき説明したラックシステムの基本構造をなす空ラック105を示す。ラック105の未使用スペースは、図6bに示すブランクパネルにより覆う。ブランクパネルは、通路120内に供給した冷却媒体がラック105から漏れないようにする。効率的な冷却作業を行うためには100%の封止は必要ないことを、ここで再度留意されたい。
【0082】
図7は通路120のフロアを示す。図7で見ることができるように、フロアを完全にグリル705によりカバーする。グリル705は、大きな開口面積を有する。とくに、グリル705の表面積のおよそ90%は冷却媒体を透過させることができる。図7に示すようなグリル705を使用する結果として、一方のダクト165と他方の通路120の空気との間における比較的小さな圧力差のみが、通路120に効率的に冷却媒体を供給するために必要となり、このことは下行流ユニット内のコンベヤが低速で作動することをも可能にする。上述のように、10Pa以下の圧力差で、多くの場合十分である。
【0083】
本明細書で説明した様々な冷却手法は、例えば図8および9に示すような従来技術の冷却技術を越える大きな利点をもたらす。図8は、冷通路および暖通路を分離しないラックシステムレイアウトを示す。この種のラックシステムレイアウトは、ホストレガシーシステムであるデータセンターで一般的であり、データセンター内部の通気路を支持するように特別に仕立てていない。楕円内に見ることができるように、フロアから供給した新鮮な冷却媒体とラックから流出する温度上昇した冷却媒体が様々な区域で混合する。図9は、データセンター内のラックシステムレイアウトの他の実施形態を示し、この場合、冷通路と暖通路を分離する。楕円で示すように、依然として、新鮮な冷却媒体と温度上昇した冷却媒体が混合する区域が存在する。
【0084】
図8及び9に示すラックシステムレイアウトの動作パラメータを、図2に示した動作パラメータと比較すると、本明細書で説明した冷却手法を、より少ない媒体速度および圧力差を用いて実装できる。さらに、下行流ユニット205を出る冷却媒体は、従来方法ほど冷たい必要はなく、全体の冷却効率を増加する。
【0085】
本明細書で説明した技術の改善した冷却効率を、図10のグラフで示す。図10から明らかなように、通路120(図10で「冷通路」と記載する)の頂部および底部における温度は、電気的負荷およびしたがって、電気的負荷により発生する消散すべき熱が大幅に増大したとしても、臨界温度の25℃以下に十分維持することができる。冷通路温度に影響するのではなく、電気的負荷のいかなる増加も、通路120外部のデータルーム(図10内の「暖通路」で示す)が温度上昇するだけである。
【0086】
したがって、図10は、本明細書に記載した方法が高冷却効率をもたらすことを示す。同時に、下行流ユニット205(特にコンベヤ215)のエネルギーコストおよび稼働時間は、従来技術と比較して著しく減少する。さらなる副次的効果として、コンベヤ215のファン速度を、ほとんどの作動状態において減少させることができ、データセンター内の騒音の著しい低減につながる。
【0087】
本発明を、特別な実施形態を用いて説明したが、本発明を本明細書に説明および図示した特定の実施形態に限定されないことを当業者は理解するであろう。したがって、本明細書は単に例示に過ぎないことを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却媒体、例えば冷却空気を供給するラックシステムに関する。本発明はさらに、ラックシステムの環境状態を決定する方法に関する。ラックシステムの環境状態は、例えば、ラックシステム内の1つまたはそれ以上の環境状態パラメータを制御するために決定(測定)する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、大容量記憶装置およびスイッチなどの電子デバイスを含む電気的に動作する電動機器は、いわゆるデータセンターに集約されることがよくある。データセンターにおいて、このような機器をラック内に格納するのが一般的になっている。2個の互いに隣接する列間に通路を設け、作業員が機器の設置、メンテナンスおよび撤去を行うことができるようにする。
【0003】
ラック内に収納したほとんどの機器は、周囲の温度を上昇させるほどの多量の電力を消費する。機器が動作するには、熱的限界があることが多いため、臨界レベル以下の動作温度に維持するステップをとらなければならない。例えば、コンピュータなどの多くの電子機器は、ファンまたは他の内部冷却機構を装備する。これら機構は、冷却媒体、例えば周囲空気が機器を通過する流れを発生させて、内部電子コンポーネントを冷却することができるようにする。
【0004】
しかし、とくに電子デバイスをラック内に密に詰め込むとき、周囲空気による冷却効果が十分でないことがよくある。さらに、データセンター内の周囲空気も温度上昇し、このことがさらに冷却効率を減少させる。周囲空気の温度上昇を回避する手法としては、データセンター内に環境状態制御システムを設置することである。環境状態制御システムは、周囲環境パラメータ、例えばデータセンター内の空気の温度および湿度を制御するよう構成する。
【0005】
多くのデータセンター内では、環境状態制御システムにより発生した冷却および/または除湿空気のラック周りおよびラック内への流れは、多かれ少かれ不安定であることが知られている。結果として劣悪な冷却効率となる。言い換えれば、環境状態制御システムは、実際に必要な量よりも多くの電力を消費する。
【0006】
冷却効率を向上するために、ラックに向かう冷却媒体の流れを集中および方向付けする様々な技術が提案されてきた。これに関して、特許文献1(米国特許6,672,955号)は空気流管理システムを開示しており、ラックの互いに隣接する2列で画定される通路の頂端部をカバーする。このカバーリング手法は、通路のフロアにから供給した冷却媒体が通路の上方向に流出することを防ぐ。他の例として、特許文献2(国際公開第2006/124240号)は、側方から周囲媒体が通路に流入することを防ぐためのバッフルまたはドアを提案している。したがって、周囲媒体が冷却媒体(やはり通路のフロアから供給する)と混合するのを防止することができ、こうして冷却効率を増大させる。さらに他の例として、特許文献3(米国特許公開第2005/0099770号)は、完全に通路を囲い込み、またラックを通じて外側から冷却媒体を供給することを開示している。この手法によれば、温度上昇した冷却媒体をその後に囲い込んだ通路内で収集し、冷却媒体と混合することなく容易に除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,672,955号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/124240号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0099770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数のラックで画定される通路内のその時点における環境状態条件を決定(測定)する必要がある。さらに、決定(測定)した環境状態条件に応じて冷却媒体のパラメータを効率的に制御する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様によれば、ラックシステムを提供し、当該ラックシステムは、複数のラックであって、ラック間に少なくとも1つの通路を生ずるよう配列し、通路に供給する冷却媒体のほぼすべてがラックに通過するように通路を封止する、該ラックと、通路外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体が前記通路内に流入できるようにする抽出開口と、および抽出開口を通過するよう媒体の流れ方向を測定する第1センサと、を備える。媒体の流れ方向は、ラックシステムの環境状態条件の表示または指標としてみなすことができる。
【0010】
冷却媒体はガス状媒体とすることができる。例えば空気または窒素を、使用できる。しかし、従来技術による他の冷却媒体を使用することができる。
【0011】
第1実施形態によれば、ラックは利用可能な工業規格標準に適合するものとする。工業規格標準の一例としては、ラック幅を48.26cm(19インチ)とし、所定高さのユニットを特定個数のラック高さを規定しており、1個のユニットの高さは4.445cm(1.75インチ)とする。他の実施形態において、ラックは専用の寸法を有する。ラックシステム内の複数のラックはそれぞれ同様の高さ、幅、奥行きを有することができる。各ラックは、ラックに冷却媒体を供給する供給側と、ラックから冷却媒体を排出する供給側とは反対側の排出側とを有する。ある実施形態において、ラックの供給側を通路の内部に面するように配置する。
【0012】
第1センサを、抽出開口を通過する媒体流れ方向を決定するために適切な任意の位置に配置する。第1センサは、例えば、抽出開口の近傍または内部に配置する。第1センサを、媒体の流れ方向を測定できる任意のセンサとすることができる。例として、第1センサを、温度センサ、空気スクリュー、風受け翼作動スイッチよりなるセットから選択できる。温度センサは、例えば、通路外に抽気開口を経て冷却媒体が流れるときは、(一般的に暖かい)周囲空気媒体が抽気開口を経て通路内に流れる場合と比較して抽気開口近傍の温度が低いという原理に基づいて動作する。空気スクリューは、空気スクリュー上で動く媒体の流れ方向に応じて回転することにより、流れ方向を決定する。風受け翼作動スイッチにおいては、媒体の一部を捕まえて、媒体の流れ方向に応じて方向を変更するように風受け翼を配置して、それによりスイッチを操作する。別の場合では、第1センサが、抽出開口と反対側における媒体のパラメータを比較するように構成することができる。このような媒体パラメータとしては、温度および圧力がある。したがって、第1センサは、2個以上の個別センサコンポーネントを備えることができる。
【0013】
一般的に、抽出開口を通路に対して任意の位置に配置することができる。例えば、抽気開口を、頂端部、底部または、通路の頂端部と底部との間における任意の位置に配置することができる。抽気開口は、冷却媒体を通路に供給する位置とはほぼ反対側に配置することができる。例えば冷却媒体を通路の底部から供給する場合、抽気開口を通路の頂端部に設けることができ、その逆もあり得る。
【0014】
システムは、第1センサにより発生する信号に基づいて、通路に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するよう構成した制御機構を備える。制御機構により制御する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択できる。ある場合において、これら3つのパラメータのうち少なくとも2つまたはすべてを制御することが役立つ。さらに、これらパラメータの一つまたは二つを、第1センサにより発生する信号とは独立して(例えば第2センサにより発生する信号に基づいて)制御することができる。冷却媒体の温度および湿度には物理的関係があるので、一つのパラメータ(例えば温度)を制御することは、同時に第2パラメータ(例えば湿度)の制御を結果的に得る。
【0015】
以下に、冷却媒体の一つ以上のパラメータを制御する制御機構の様々な実現および要素をより詳細に記載する。例えば、少なくとも一つのコンベヤを、通路内に冷却媒体を送給するために設けることができる。少なくとも一つのコンベヤを、冷却媒体の流れ方向において通路の上流側または下流側に配置することができる。上流側に配置する場合、コンベヤは冷却媒体を通路内に押し込み、下流側に配置する場合、コンベヤは通路から冷却媒体を吸い出す。
【0016】
コンベヤは、第1センサにより発生する信号に基づいて通路に供給する冷却媒体の流速を制御するよう構成する。コンベヤは、さらに、1つ以上の付加的または代替的センサの信号に基づいて、流速を制御するよう構成する。コンベヤは、例えば、調整可能な速度を有するファンを備える。
【0017】
システムは、さらに、通路に供給する冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一方を制御するための少なくとも1つの機構制御ユニットを備える。第1の実施形態によれば、コンベヤを環境状態制御ユニットと並置する(例えば一つのハウジング内で)。第2の実施形態によれば、コンベヤを環境状態制御ユニットから離して配置する。
【0018】
少なくとも1つの機構制御ユニットは、第1センサにより発生する信号に基づいて冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一方を制御するよう構成する。付加的にまたは代替的に、このような制御を1個またはそれ以上の第2センサにより発生する信号に基づく。
【0019】
上述のように、1個またはそれ以上のセンサを第1センサに加えて設けることができる。したがって、制御機構、コンベヤおよび環境状態制御ユニットの少なくとも1つを、付加的にまたは代替的に、第2センサにより発生する信号に基づいて制御する。第2センサは、抽気開口および第1センサの少なくとも一方から離して配置する。ある実施形態によれば、第2センサを複数のラックから離れた位置に配置する。例えば、環境状態制御ユニットおよび/またはコンベヤの近傍に配置することができる。このような場合、第2センサは、媒体が環境状態制御ユニットおよび/またはコンベヤに流入する前に、媒体のパラメータを決定するように設ける。
【0020】
ある実施形態において、システムは複数の第1センサおよび/または複数の第2センサと同様に、複数の第1センサおよび複数の第2センサの少なくとも一つと接続するマスタ制御ユニットを備える。マスタ制御ユニットは、コンベヤ(例えば少なくとも第1センサの信号に基づいて)および環境状態制御ユニット(例えば少なくとも第2センサの信号に基づいて)の少なくとも一方を制御するよう構成する。
【0021】
複数の第1センサを設ける場合、いくつかの第1センサ(およびいくつかの抽出開口)を、各通路と関連付ける。さらに、いくつかの通路を形成するよう複数のラックを設ける場合、少なくとも1つの第1センサ(と少なくとも一つの抽気開口)を各通路に関連させる。マスタユニットの制御操作は、このような構成において、最小の好ましい媒体流れまたは環境状態条件を感知する第1センサにより得る信号に基づく。第1センサを温度センサとして構成する場合、最小の好ましい媒体流れを、最高温度を感知する特定の第1センサにより検出する。
【0022】
システムの構成は、媒体循環経路を生ずるように行う。媒体循環経路は、1つまたはそれ以上の通路、少なくとも1つの制御ユニット、少なくとも1つのコンベヤを有する。この場合、1個またはそれ以上の第2センサを、循環経路に沿ってまた循環経路に隣接させて様々な場所に配置する。例えば、少なくとも1個の第2センサを、少なくとも1つのコンベヤの下流側でその近傍位置、または少なくとも1つの制御ユニットの近傍位置、または、少なくとも1つの環境状態制御ユニットと少なくとも1つの通路との間で流路内に、配置する。
【0023】
少なくとも1つの環境状態制御ユニットおよび/または少なくとも1つのコンベヤは、それぞれ、マスタ制御ユニットと接続するスレーブ制御ユニットを備える。スレーブ制御ユニットは、マスタ制御ユニットと通信して、マスタ制御ユニットからの制御命令を受信するよう構成する。ある実施例において、スレーブ制御ユニットを、冷却媒体温度(少なくとも1つの機構制御ユニットにより)、および冷却媒体の流速(少なくとも1つのコンベヤにより)の少なくとも一方を制御するよう構成する。
【0024】
システムは、さらに、通路の頂端部で通路を封止するカバー素子を備える。カバー素子は、外部照明からの光を通路に入れるように透明にする。さらに、カバー素子は、媒体を透過しないスペーサ素子を有する、または、スペーサ素子によりラックから離して配置する。ある実施例において、少なくとも1つの抽気開口を、少なくとも1つのカバー素子およびスペーサ素子に収容する。
【0025】
システムは、さらに、通路の一以上の側方端部で封止する1個以上の終端素子を備える。一以上の側方端部をまた、ラックにより閉鎖する。終端素子は、作業員が通路に出入りすることを可能にするドアを備える。ドアは透明または不透明材料で形成し、スライドまたはスイングドアとする。ある実施形態において、ドアは、作業員の避難ルートの一部を形成するために180度開放するスイングドアとすることができる。
【0026】
さらに他の実施形態において、システムは通路に冷却媒体を供給する1個以上のグリルを有する。グリルを例えば、冷却媒体を上方から供給する場合、頂端部(通路のカバー素子内)に配置し、冷却媒体を下方から供給する場合、通路のフロアに配置する。冷却媒体のための各グリルの透過性を増大するため、少なくとも70%、好適には80%以上(例えば90%以上)のグリルの開口面積が、冷却媒体を透過するようにする。ある実施形態において、グリルを通路のフロアに配置し、作業員がグリル上を歩けるよう構成する。
【0027】
システムはまた、通路に冷却媒体を供給するダクトを備える。ダクトは、ほぼ複数の通路の上方または下方に設ける。ダクトは、下方および上方の平面により画定し、上方平面はラックを配置するフロアを画定する。下方平面と上方平面との間の距離は、例えば150mm〜1200mmの範囲内とする。
【0028】
ダクトの下方平面と上方平面との間における空間の一部を、電力ライン、通信ライン(ワイヤまたは光学ファイバライン)および液体またはガスなどの冷却媒体の供給および排出ラインを含む供給ラインが占めるようにする。ラックの近傍において、供給ラインは上方平面を通って、ラックおよび/または通路内へ延びる。供給ラインが上方平面を通る位置は、例えばブラシストリップまたは同様の方法を用いて封止する。
【0029】
ダクトを媒体循環経路の一部とすることができる。例えば、ダクトは、一方では少なくとも1つの環境状態制御ユニットおよび/または少なくとも1つのコンベヤと、他方では通路との間で延在させる。冷却媒体を通路の上方からまたは底部から供給するかに基づいて、ダクトは通路の上方または通路の下方に(少なくとも部分的に)延在する。さらに、冷却媒体を複数の通路に同時に供給するよう構成する。
【0030】
各ラックは、ペイロード(搭載物)を収納するための1個以上の搭載スペースを備える。ペイロードが占めない搭載スペースは、周囲媒体が通路内に多量に流れ込むおよび/または通路外に冷却媒体が多量に漏洩するのを防ぐために封止する。100%の封止は一般的に必要がないが、いかなる漏洩も、一般的にはシステム全体の冷却効率を降下させることに留意すべきである。
【0031】
搭載スペースに設けたペイロード(搭載物)は、電気的に動作する電動機器を備える。このような機器としては、コンピュータ(例えばサーバ)、大容量記憶装置、処理ユニット、スイッチ、またはハブなどのネットワークコンポーネントを備えることができる。そのようなペイロードおよび特に電動機器は、ラックの供給側から排出側に冷却媒体を送給する内蔵媒体コンベヤ(例えば内部ファン)を備える。ある実施形態において、ラック内部の全ペイロードを、内蔵媒体コンベヤの供給側がラックの供給側と一致して、内蔵媒体コンベヤの排出側がラックの排出側と一致するように、配置する。
【0032】
ペイロードの各アイテムは、内蔵媒体コンベヤを(例えばペイロードのセンサ感知値または決定状態などのペイロードのパラメータに基づいて)制御するコントローラを備える。ペイロードの各アイテムは、その内部情報と性能についての情報を交換し、他の機器の内蔵媒体コンベヤに現時点動作する通信機構を備える。このような他の機器としては、マスタ制御ユニット、通路内に冷却媒体を送給する少なくとも1つのコンベヤ、少なくとも1つの環境状態制御ユニットがある。
【0033】
システムは、さらに、通路を内部に配置するハウジングを備える。ハウジングを、冷却媒体の循環経路を閉じるように設ける。ハウジングは、データセンタールームのフロア、天井および壁を備える。ある実施例において、少なくとも1つのコンベヤおよび/または少なくとも1つの環境状態制御ユニットは、ハウジング内部またはその近傍に設ける。環境状態制御ユニットは、勿論、ハウジング外部に設けることができる。この場合、他のダクトを、ハウジングから環境状態制御ユニットへの周囲媒体の流れおよび冷却媒体(冷却した周囲媒体)の逆流を可能にするように設ける。環境状態制御ユニットと同様に、通路に冷却媒体を送給する少なくとも1つのコンベヤを、ハウジング内部または外部のいずれかに配置することができる。
【0034】
環境状態制御ユニットに、周囲媒体(閉じた循環経路の場合にラックから流出する温度上昇した冷却媒体を含む)を供給し、周囲媒体を冷却媒体に変換するために周囲媒体に環境状態制御を実行し、次に冷却媒体を(少なくとも1つのコンベヤの補助により)通路に向けてダクトを経て送り出す。このようにして、閉じた循環経路を形成することができる。
【0035】
他の態様によれば、複数のラックを備え、これらラック間に通路を形成するようにラックを配列したラックシステムの環境状態条件を決定(測定)する方法を提供する。本発明方法は、通路内に冷却媒体を供給する冷却媒体供給ステップであって、通路内に供給する冷却媒体のほぼ全てがラックを通過するよう通路を封止する、該冷却媒体供給ステップと、通路外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体を通路内に流入させることを可能にする抽気開口を設けるステップと、抽気開口を通る媒体の流れ方向を決定するステップとを備える。媒体の流れ方向は、ラックシステムが有する環境状態条件の指標または表示とみなすことができる。
【0036】
本発明方法は、さらに、媒体の流れ方向に基づいて通路に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するステップを備える。少なくとも一つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択することができる。
【0037】
以下に、本発明の他の利点および詳細を添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ラックシステムの実施形態の斜視図を示す。
【図2】ラックシステムの制御レイアウトの実施形態を示す。
【図3】第1方法の実施形態の概略的フローチャート図である。
【図4】第2方法の実施形態の概略的フローチャート図である。
【図5】複数通路のラックシステムを備えるデータセンターの頂面図である。
【図6a】ラックシステムの実施形態を実現するために用いることができる例示的なサーバーラックを示す。
【図6b】ラックシステムの実施形態を実現するために用いることができる例示的なサーバーラックを示す。
【図7】フロアグリルおよび2列の平行なラックを有する通路の写真である。
【図8】冷たい冷通路および暖かい暖通路を分離しないラックシステムのレイアウトを示す。
【図9】冷たい通路および暖かい通路を分離したラックシステムの第2のレイアウトを示す。
【図10】負荷試験の結果のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1はラックシステム100の実施形態の斜視図である。ラックシステム100は、付加的に他のラックシステムを収容することができるデータセンタールーム(図示せず)内に収納する。
【0040】
ラックシステム100は、複数の個別ラック105を備える。これらラック105を、「向かい合わせ(フロント‐ツー‐フロント)」の2列にして配置し、この列間に通路120を生ずるようにする。図1に示す実施形態において、ラック105の各列110,115を、対応するキャビネット125,130により付加的に囲い込む。
【0041】
個別ラック105は、電動機器(図示せず)のための搭載スペースを画定する。この実施形態において、電動機器は、そのシャシー内に冷却媒体を強制通過させるための内蔵媒体コンベヤ(例えば、ファン)を有するコンピュータサーバーおよび大容量記憶デバイスにより構成する。電動機器のラック内における配置は、電動機器の各要素の媒体供給側が通路120に面し、媒体排出側が反対側に面するように行う。電動機器の媒体供給側および媒体排出側は、したがって、個別ラックの媒体供給側および媒体排出側を定義する。
【0042】
図1に示すように、通路120を封止し、この封止は、通路120に供給する冷却媒体のほぼ全てがラック105を通過するように行う。言い換えれば、冷却媒体がラック105を通過する以外の方向で通路120から流出することをほぼ防止する。この点に関して通路120の完全封止は(妥当な技術的努力による技術的可能性がなければ)必要ないことに留意されたい。言い換えれば、冷却媒体の多少の漏れは、多くの場合、漏れがそれほど大幅に冷却効率を低下させない限りにおいて、許容される。
【0043】
図1に示す実施形態において、ラック105を収納するラックキャビネット125,130により区切られない通路部分において、通路120を封止するいくつかの封止部材を設ける。とくに、カバー素子135は通路120の頂部を封止する。カバー素子135は、透明材料、例えばアクリルガラスで形成し、データセンターの照明からの光が通路120に進入できるようにする。カバー素子135は側方スペーサ素子140,145を有し、カバー素子が画定する平面が、2個のキャビネット125,130の頂端部で画定される平面から離れるようにする。
【0044】
通路120を囲い込む封止部材としては、さらに、2個の側方終端素子150,155を備える。側方終端素子150,155は、作業員が通路120に出入りできるスイングドアとして構成する。側方終端素子150,155のうち一方は、1個またはそれ以上の他のラック105を収納するキャビネットと取り換えることができる。さらに、代替的なドア構造としてスライドドアを使用することもできる。
【0045】
空気などの冷却媒体を、通路のフロアすなわち底部から供給する。この目的のために、高床式のフロアシステム160を設ける。高床式のフロアシステム160は、高床式のシステムにおける下方平面170と上方平面175との間にダクト165を画定する。図1に示すように、ラックキャビネット125,130およびその間の通路120は、上方平面175上に配置する。
【0046】
高床式フロアシステムの上方平面175は、通路120をダクト165に流体連通するための複数の開口(図1には図示せず)を有する。矢印180で示すようにダクト165内に供給する冷却媒体は、したがって通路120に流入する。通路120を封止しているため、通路120に流入する冷却媒体は、矢印185で示すようにラック105を通ってのみ通路120から流出する。とくに、ラックの搭載スペース内に設けた電動機器の内蔵媒体コンベヤは、ラック105を通して、通路120に流入する冷却媒体を送給する。したがって、ラック105を通して送給する冷却媒体は、電動機器が放出する熱により加熱され、矢印190で示すようにラック105から流出する。
【0047】
ラック105から流出する温度上昇した冷却媒体の通路は、ラック105を出る温度上昇した冷却媒体を冷却し(および随意的に除湿する)、冷却した(および随意的に除湿した)媒体をダクト165内に再び流入させることにより閉じて循環させることができる。他の実施形態において、媒体流路を閉じて循環させる必要はないことに注意すべきである。このような実施形態において、ラック105を出る温度上昇した冷却媒体は、単にデータセンター外の環境に送出する。
【0048】
ダクト165により供給する冷却媒体のパラメータを制御することで、電動機器により発生する熱を効率的に打ち消して、ラック105内に発生する任意の望ましくない温度上昇を防ぐ。もう一方では、冷却媒体パラメータの過度の調整(例えば、過度の冷却)を回避して、エネルギー効率を向上しなければならない。
【0049】
通路120に供給する冷却媒体の一つ以上のパラメータを効率的に制御するために、センサ装置195を通路120の頂端部に設ける。センサ装置195は、スペーサ素子145内に抽気開口と、抽気開口近傍に配置したセンサを備える(抽気開口およびセンサの配置を、図2につきより詳細に後述する)。
【0050】
例えば10cm2から500cm2の間の範囲(例えば、80cm2から200cm2の間の範囲)で、一定あるいは調整可能な直径を有する抽気開口を設け、これにより通路120から冷却媒体を抽出し、または周囲媒体が通路120内に流入できるようにするようにする。言い換えれば、通路120の周囲と通路120との間の圧力差に応じて、冷却媒体が抽気開口を経て通路120を出る、または周囲媒体が抽気開口を経て通路120内に流入する。抽気開口の近傍に設けたセンサは、抽気開口を通過する媒体流れの方向を決定(測定)するよう構成する。したがって、センサにより感知した媒体流れ方向は、冷却媒体に関連する通路120内の環境状態の表示または指標である。したがってセンサにより感知した媒体流れ方向に応じて、冷却媒体の1個以上のパラメータを制御して、ラック105内に搭載した電動機器のエネルギー効率のよい冷却を可能にする。
【0051】
以下において、センサ装置195にもとづいて冷却媒体のパラメータを制御する一つの実施例を、図2の線図的な制御ダイアグラムを用いて説明する。図2に示す特定の実施形態において、図1と同一の参照符号を使用して、同一または同様な要素を示す。
【0052】
図2に示す制御の実施形態は、冷却媒体の閉じた循環経路に基づく。閉じた循環経路は、通路120を収容するデータセンタールーム内に配置する少なくとも1個の下行流ユニット205を備える。代替の実施形態では、下行流ユニット205は、図2に示す方法と同様の方法でルームとの流体連通を維持するように、ルーム外に配置することができる。
【0053】
下行流ユニット205は、1個のハウジング内に2個の専用コンポーネントを備える、すなわち一方は環境状態制御ユニット210であり、他方は冷却媒体コンベヤ215である。環境状態制御ユニット210はいわゆる冷却装置であり、冷水供給チューブ220および暖水排出チューブ225に接続する。冷水供給チューブ220により供給する冷却水は、およそ5℃〜15℃(例えば11℃〜13℃の間)の温度である。暖水排出チューブ225により排出する暖水は、およそ12℃〜22℃の間(例えば16℃〜19℃の間)の温度である。
【0054】
環境状態制御ユニット210を通過する周囲媒体を、冷水と熱的に接触させて冷却する。同時に、冷水は温度上昇し、また暖水排出チューブ225を経て環境状態制御ユニット210から排出させる。随意的に、周囲媒体は、さらに、環境状態制御ユニット内210で除湿ステップを受けるようにする。
【0055】
冷却媒体コンベヤ215は、ダクト165内に冷却した周囲媒体を冷却媒体として送給する。冷却媒体をダクト165に供給する近傍で、制御ユニット240に接続した温度センサ235を設ける。温度センサ235は、冷却媒体の現時点温度を感知するよう構成する。制御ユニット240において、冷却媒体の現時点温度を設定温度と比較して、冷水供給チューブ220内に配置した冷水供給バルブ245をこの比較結果に基づいて制御する。
【0056】
冷水供給バルブ245は、環境状態制御ユニット210を通過する冷水の流れを制御して、センサ235により感知した媒体温度を特定の設定温度に近づけるまたは等しくする。図2に示すように、ダクト165内に流入する冷却媒体の温度を一般的には、約18℃〜26℃の間の範囲における値(例えば20,21,22,23,24℃)に設定できる。
【0057】
図2に図示する実施形態において、冷却媒体温度の制御を自動的に実行する。言い換えれば、制御ユニット240は、単に温度センサ235により発生する信号に従ってのみ作動する。他の実施形態において、制御ユニット240は、付加的にまたは代替的に、図2に示す1個またはそれ以上のセンサの信号を考慮することができ、このことを、以下に説明する。
【0058】
上述のように、環境状態制御ユニットにより冷却した周囲媒体を、ダクト165内に冷却媒体コンベヤ215により送り込む。冷却媒体コンベヤ215を、専用の制御ユニット250の制御下でダクト165内に供給する冷却媒体の流速(媒体速度)を調整するよう、速度調整可能なファンとして設ける。通常動作中、冷却媒体コンベヤ215は冷却媒体を1〜3m/s(例えば約1.5〜2.2m/s)の速度で送り込む。
【0059】
冷却媒体の好適な流速を得るために必要な媒体速度は、冷却媒体を下行流ユニットから通路120に送り込むダクト165の高さに依存する。この媒体速度値は、通常のダクト高さである約400〜600mmに対応する。より小さいダクト高さ(例えば150mm)である場合、速度を増加する必要があり、より大きいダクト高さで(例えば800mm)である場合、速度を減少させる必要がある。一般的に、媒体速度およびダクト165の高さの選択は、ダクト内の媒体圧力が比較的低く、例えば通路外部であってデータセンター内の媒体圧力よりも20Pa(例えば10Pa)高くならないように行う。
【0060】
図2に示すように、ダクト165から送り込む冷却媒体(約1.7m/sの速度であり、データセンターの内部圧力に比べて10Pa以下の増圧にする)は、上方フロア平面175内の開口255を経て通路120内に流入する。通路120内で、このようにして一般的に22℃〜26℃である媒体温度を維持し、この温度は32℃〜38℃である周囲温度よりも大幅に低い。図2に矢印で示すように、通路120内に流入する冷却媒体を、電動機器の内蔵媒体コンベヤにより通路120外に排出し、同時に電動機器内部の熱を吸収するとき温度上昇する。温度上昇した冷却媒体は、下行流ユニット205に戻る周囲媒体をなし、したがって、閉じた流れの回路を形成する。
【0061】
図2につき説明すると、センサ装置195は、通路120の頂端部に配置した抽気開口195A、ならびに抽気開口195Aの近傍に配置した温度センサ195Bを備える。温度センサ195Bを、通路120内に配置するよう図示しているが、温度センサ195Bを、代替案として、抽気開口195Aの内部または通路120の外部に配置してもよく、しかし、抽気開口195Aの媒体流れを検知するために抽気開口195Aの十分近くとする。図2に示す実施形態においては、センサ195Bを温度センサとしているが、抽気開口を通る媒体流れ方向を検知できる他のタイプのセンサも使用できることは理解できるだろう。
【0062】
温度センサ195Bを、コンベヤ215に関連する制御ユニット250に電気的に接続する。言い換えれば、抽気開口195Aを通る媒体流れ方向を示すセンサ信号を、冷却媒体の速度(したがって流速も)制御するために使用して、冷却媒体の適正量を通路120に供給する。他のモードにおいて、コンベヤ215をさらに、通路120の外部で、好適には下行流ユニット205の吸気口の近傍に配置した、他の(随意的)温度センサ260の信号に基づいて制御することもできる。
【0063】
以下に、下行流ユニット205に配置するコンベヤの制御を、図3のフローチャート300につき詳細に説明する。
【0064】
図3のフローチャートを参照して、コンベヤ215に対する制御命令を、通路120内に冷却媒体を供給するステップ(ステップ302)から開始する。このようにして、冷却媒体を、フロアからカバー素子135(したがって、温度センサ195B)に達するまで通路120に充満させる。通路120は、両側方および頂部で封止する(図1参照)ため、開口255から通路120に流入する冷却媒体のほぼすべてはラック105を通過して、ラック105内に搭載した電動機器の熱消散を効率的に行うために使用できる。
【0065】
ラック105内の機器はより多くの熱を消散させる必要がある(したがってより多くの冷却を必要とする)ので、機器内蔵の媒体コンベヤは、通路120からラック105を通る多くの冷却媒体を送り込む、結果として、周囲に対する通路120内部の圧力はわずかに降下する。通路120内部のこの圧力降下の結果として、温かい周囲媒体が抽気開口195Aを通って通路120内に吸い込まれる(ステップ304)。結果として抽気開口195Aを通る媒体流れ方向を、温度上昇として温度センサ195Bにより感知できる(ステップ306)。特に、抽気開口120内に吸い込まれて温度センサ195Bを通過する周囲媒体は、通路内部に圧力降下を生ずる前の温度センサ195Bの近傍に存在する冷却媒体の環境よりも高温となる。
【0066】
温度センサ195Bの位置において上昇する温度は、制御ユニット250により感知して(例えば、制御ユニット240により付与した現時点温度の設定点と、所定の温度設定点との比較により)、より多くの冷却媒体を必要とすると解釈する。結果として、制御ユニット250は、媒体速度(すなわち流速)が増加するようにコンベヤ215を制御する。したがって、一定時間当たりにより多くの冷却媒体を、ダクト165に送り込む。周囲媒体が抽気開口195Aを通って通路120内に流入する結果である通路120内部の圧力降下に基因して、より多くの冷却媒体が通路120内に流入する。
【0067】
時間当たりに通路内に流入した冷却媒体が、通路外へラック105を経て内蔵媒体コンベヤにより送出した冷却媒体をわずかに上回った後、通路120内部の冷却媒体のレベルは、再び、温度センサ195Bの位置まで上昇する。同時に、通路120と周囲との間における圧力差は、これ以上の周囲媒体を通路内へ抽気開口195Aから吸入しなくなるまで減少する。言い換えれば、温度センサ195Bは最終的に冷却媒体環境下に再び戻り、結果の温度を制御ユニット250が感知する。特に、制御ユニット250は、十分な冷却媒体を通路120内に供給して、温度センサ195Bに関連する特定の温度設定点に再び達するまで、ダクト165を通る冷却媒体の速度(すなわち流速)を徐々に低下させ始める。
【0068】
この上述の温度設定点は、通路120内に流入する冷却媒体の平均温度より数℃(例えば1〜8℃)高い温度とする。例えば、温度設定点は、制御ユニット240により調整する冷却媒体温度(温度センサ235により測定する)に基づいて動的に定義することができる。設定点は、制御ユニット250により実装する制御シナリオは、特定の予定流速から開始する流速の増加を制限しないという利点を有するが、減少した初期流速で開始することもできる。したがって、ラック内に配置した電動機器がより少ないエネルギーを消費するならば、(したがってその内蔵媒体コンベヤがラック105を通って通路120からより少ない冷却媒体を強制通過させるならば)、温度センサ195B感知が感知する温度は、温度設定点に対して低下する。この温度低下は、制御ユニット250が、過剰な冷却媒体を通路120に供給したと解釈して、ダクト165内への冷却媒体の送り込み(すなわち媒体速度)を減少することができる。
【0069】
随意的な制御シナリオにおいて、制御ユニット250は、さらに、他の温度センサ260(もし存在するなら)により発生する信号を、コンベヤ215を制御するときに考慮する。特に、制御ユニット250は、一方で温度センサ260により感知する温度および他方で温度センサ195Bにより感知する温度との間の温度差に応じて、コンベヤ215を制御する.例えば制御ユニット250は、冷却媒体の流速制御を以下のように構成する、すなわち、もし2個の温度センサ195B,260によりそれぞれ感知した温度間の所定温度差が、温度センサ195Bにより感知した温度が上昇することによって減少する場合に、冷却媒体の流速を増加させる、およびその逆のようにするよう制御する。
【0070】
以下に、コンベヤ215を制御する他の実施形態を、図4のフローチャートにつき説明する。図4に示す制御の実施形態を、図3を用いた上記制御の実施形態と同時並行的に、あるいは代替的に実施することができる。
【0071】
第1ステップ402において、冷却媒体の温度(例示的なパラメータとして)を、冷却媒体が通路120およびラック105内に流入する前に、所定温度値に維持する。上述のように、冷却媒体温度を所定値に維持するステップは、温度センサ235が感知した温度に基づいてバルブ245を調整する制御ユニット240の下で環境状態制御ユニット210が実行する。
【0072】
ステップ404において、冷却媒体をコンベヤ215により、ダクト165から通路120に、そしてラック105媒体供給側に、送り込む。次に、ステップ406において、ラック105を通過する冷却媒体の移動率が、コンベヤを通過する冷却媒体の移動率と異なるかどうかを決定する。
【0073】
さらなるステップ408において、コンベヤ215を、ステップ406において決定した移動率の差に基づいて制御する。この制御は、例えば移動率の差を最小化するまたは所定値に移動率差を維持することを目標とする。
【0074】
ステップ402〜408は、一般的なシナリオにおいて、同時並行的にまた繰り返し行う。さらに、上述のように、移動率差および移動率差におけるいかなる変化をも、温度センサ195Bまたは抽気開口195Aを通過する流れ方向を測定可能な任意の他のセンサにより得る信号に基づく。
【0075】
図1〜4に図示するコンベヤ215に対する制御方法の結果として、コンベヤの電力消費は、ラック105内に搭載した電動機器がより少ない冷却しか必要としない状況で選択的にファンの速度を低下させることにより、減少させることができる。
【0076】
上述の実施形態は、1個のセンサ装置195のみを備えるものとして説明したが、2個以上のセンサ装置を、通路120の上方部分に間隔を空けて配置できることは理解できるであろう。このような場合において、各センサ装置195の温度センサ195Bを、制御ユニット250に電気的に接続する。制御ユニット250は、次に、いずれかの温度センサ195Bが感知した最高温度に基づいて制御タスクを実行することができる。さらに、ダクト165に接続する通路120の数を必要に応じて増加することができる。ここれに関連して、図5に示す概略的ラックシステムレイアウトにつき説明する。また、同一参照符号を、同一または同様のコンポーネントを識別するために用いる。
【0077】
図5に示すラックシステムのレイアウトによれば、4つの平行な通路120を設け、各通路120は、2つの平行なラック列110,115(2つの列を図5内に特に示す)により画定される。各通路120を全て同一ダクト(図1および2の参照符号165参照)に接続する。各ラック列110,115は、9または10個のラックユニットを備える。各通路120に、少なくとも1個のセンサ装置195を備える。
【0078】
通路120に、6個の個別の下行流ユニット205から冷却媒体を供給する。マスタ制御ユニット(図示せず)は、下行流ユニット管理の役割を持ち、6個の下行流ユニット205を、マスタ制御ユニットにスレーブユニットとして接続する。マスタ制御ユニットには、制御ユニット250に接続する上述の制御機能、および下行流ユニット管理のための他の制御機能を組み込む。
【0079】
マスタ制御ユニットは、各通路120にわたって分布させたセンサ装置195のいずれかにより感知した最高温度に基づいて制御動作を実行するよう構成する。冷却条件に基づいて、マスタ制御ユニットは、個別の下行流ユニットをオンモード、オフモードまたはスタンバイモードに切り替える。さらに、マスタ制御ユニットは、感知した最高温度に基づいて、スイッチオンにした下行流ユニット205に関連するコンベヤのファン速度を(最大速度の30〜100%の間で)制御する。マスタユニットは集中的に冷却媒体の全体流速を制御するが、各下行流ユニットは自動で局部的に、個別下行流ユニット205を通過する冷却媒体の温度および湿度を制御できる。個別下行流ユニットの温度および湿度制御は、マスタ制御ユニットから受信した温度設定点に基づく。
【0080】
全体制御の概念は、図1〜4につき説明した制御概念と同一である。言い換えれば、第1ステップにおいて、分布させたセンサ装置195のいずれかが検出した最高温度を、温度設定点と比較する。特定の例において、制御ユニット240(図2参照)により付与した温度設定点よりも1〜6℃高い温度設定点に設定する。いずれかの温度センサ195Bにより感知した最高温度がマスタ制御ユニットにより付与した温度設定点よりも低い場合、下行流ユニット205が各通路内に冷却媒体を多く送給しすぎていることを示す。したがって、冷却媒体の流速を減少する。他方、最高温度が温度設定点よりも高い場合、下行流ユニット205が各通路内に冷却媒体を十分に送給していないことを示す。したがって、冷却媒体の流速を増加させる。上述のように、流速を制御するとり得る手法としては、各下行流ユニットをオンまたはオフに切り換えるステップ、およびスイッチをオンにした下行流ユニットのファン速度を制御するステップがある。図2に示す制御ユニット240,250およびマスタ制御ユニットが行う制御方策としては、例えば、従来既知のPI制御がある。
【0081】
図6は、電動機器を含むペイロード(搭載物)を実装するための複数の搭載スペースを備えるラックの実施形態を示す。とくに、図6は、図1〜5につき説明したラックシステムの基本構造をなす空ラック105を示す。ラック105の未使用スペースは、図6bに示すブランクパネルにより覆う。ブランクパネルは、通路120内に供給した冷却媒体がラック105から漏れないようにする。効率的な冷却作業を行うためには100%の封止は必要ないことを、ここで再度留意されたい。
【0082】
図7は通路120のフロアを示す。図7で見ることができるように、フロアを完全にグリル705によりカバーする。グリル705は、大きな開口面積を有する。とくに、グリル705の表面積のおよそ90%は冷却媒体を透過させることができる。図7に示すようなグリル705を使用する結果として、一方のダクト165と他方の通路120の空気との間における比較的小さな圧力差のみが、通路120に効率的に冷却媒体を供給するために必要となり、このことは下行流ユニット内のコンベヤが低速で作動することをも可能にする。上述のように、10Pa以下の圧力差で、多くの場合十分である。
【0083】
本明細書で説明した様々な冷却手法は、例えば図8および9に示すような従来技術の冷却技術を越える大きな利点をもたらす。図8は、冷通路および暖通路を分離しないラックシステムレイアウトを示す。この種のラックシステムレイアウトは、ホストレガシーシステムであるデータセンターで一般的であり、データセンター内部の通気路を支持するように特別に仕立てていない。楕円内に見ることができるように、フロアから供給した新鮮な冷却媒体とラックから流出する温度上昇した冷却媒体が様々な区域で混合する。図9は、データセンター内のラックシステムレイアウトの他の実施形態を示し、この場合、冷通路と暖通路を分離する。楕円で示すように、依然として、新鮮な冷却媒体と温度上昇した冷却媒体が混合する区域が存在する。
【0084】
図8及び9に示すラックシステムレイアウトの動作パラメータを、図2に示した動作パラメータと比較すると、本明細書で説明した冷却手法を、より少ない媒体速度および圧力差を用いて実装できる。さらに、下行流ユニット205を出る冷却媒体は、従来方法ほど冷たい必要はなく、全体の冷却効率を増加する。
【0085】
本明細書で説明した技術の改善した冷却効率を、図10のグラフで示す。図10から明らかなように、通路120(図10で「冷通路」と記載する)の頂部および底部における温度は、電気的負荷およびしたがって、電気的負荷により発生する消散すべき熱が大幅に増大したとしても、臨界温度の25℃以下に十分維持することができる。冷通路温度に影響するのではなく、電気的負荷のいかなる増加も、通路120外部のデータルーム(図10内の「暖通路」で示す)が温度上昇するだけである。
【0086】
したがって、図10は、本明細書に記載した方法が高冷却効率をもたらすことを示す。同時に、下行流ユニット205(特にコンベヤ215)のエネルギーコストおよび稼働時間は、従来技術と比較して著しく減少する。さらなる副次的効果として、コンベヤ215のファン速度を、ほとんどの作動状態において減少させることができ、データセンター内の騒音の著しい低減につながる。
【0087】
本発明を、特別な実施形態を用いて説明したが、本発明を本明細書に説明および図示した特定の実施形態に限定されないことを当業者は理解するであろう。したがって、本明細書は単に例示に過ぎないことを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックシステム(100)において、
・ 複数のラック(105)であって、ラック間に少なくとも1つの通路(120)を生ずるよう配列し、前記通路(120)に供給する冷却媒体のほぼすべてが前記ラック(105)を通過するよう前記通路を封止するようにした、該ラック(105)と、
・ 前記通路(120)外に前記冷却媒体を抽出し、また周囲媒体が前記通路(120)内に流入できるようにする抽気開口(195A)と、および
・ 前記抽気開口を通過する媒体流れ方向を測定する第1センサ(195B)と、
を備えたラックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のラックシステムにおいて、前記第1センサ(195B)を前記抽気開口(195A)の近傍に配置する、ラックシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のラックシステムにおいて、前記第1センサ(195B)を、温度センサと、空気スクリューと、風受け翼操作スイッチからなるセットから選択した、ラックシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、前記抽気開口(195A)を通路(120)の頂部に配置した、ラックシステム
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記第1センサ(195A)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するよう構成した制御機構を備えた、ラックシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択した、ラックシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)内に前記冷却媒体を送給するための少なくとも1つのコンベヤ(215)を備えた、ラックシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つのコンベヤ(215)は、前記第1センサ(195B)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の流速を制御するよう構成した、ラックシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも1つを制御するための少なくとも1つの環境状態制御ユニット(210)を備えた、ラックシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つの環境状態制御ユニット(210)を、前記第1センサ(195B)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一つを制御するように構成した、ラックシステム。
【請求項11】
請求項5,8および10のうち一項記載のラックシステムであって、さらに、少なくとも1つの第2センサ(235,260)を備えたラックシステムにおいて、制御機構、コンベヤ(215)および環境状態制御ユニット(210)のうち少なくとも一つを、さらに、前記第2センサ(235,260)により発生する信号に基づいて制御する、ラックシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つの第2センサ(235,260)を、前記抽気開口(195A)および前記第1センサ(195B)のうち少なくとも一方から距離を空けて配置した、ラックシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)の頂部を封止するカバー素子(135)を備えた、ラックシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)を1個またはそれ以上の側方端部で封止する終端素子(150,155)を備えた、ラックシステム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)に前記冷却媒体を供給するためのグリル(705)を備え、前記グリル(705)を前記通路(120)のフロアに配置した、ラックシステム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)内に前記冷却媒体を供給するよう構成したダクト(165)を備えた、ラックシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のラックシステムにおいて、前記ダクトを(165)は、複数の通路(120)に冷却媒体を供給するよう構成した、ラックシステム。
【請求項18】
請求項16または17に記載のラックシステムにおいて、前記ダクト(165)の大部分を複数のラック(105)の下方に配置した、ラックシステム。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、各ラック(105)は、前記ラック(105)に前記冷却媒体を供給する供給側と、前記ラック(105)から前記冷却媒体を排出する供給側とは反対側の排出側とを有し、前記ラック(105)の前記供給側を、通路(120)内部に向かい合うよう配置した、ラックシステム。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、冷却を必要とする電動機器を備え、当該電動機器を前記ラック(105)の搭載スペースに配置した、ラックシステム。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路を内部に配置するハウジングを備えて、前記ハウジングは、前記冷却媒体の循環経路を閉じるよう構成した、ラックシステム。
【請求項22】
複数のラック(105)を備え、これらラック間に通路(120)を形成するようラックを配列したラックシステム(100)の環境状態状況を決定する方法において、
・ 通路(120)内に冷却媒体を供給する冷却媒体供給ステップであって、前記通路内に供給する冷却媒体のほぼすべてがラック(105)を通過するよう前記通路(120)を封止する、該冷却媒体供給ステップと、
・ 前記通路(120)外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体を通路(120)内に流入させることを可能にする抽気開口(195A)を設けるステップと、
・ 前記抽気開口(195A)を通る媒体の流れ方向を決定するステップと、
を有する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、さらに、前記媒体流れ方向に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するステップを有する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記少なくとも一つのパラメータを、温度、湿度および前記冷却媒体の流速よりなるセットから選択する、方法。
【請求項1】
ラックシステム(100)において、
・ 複数のラック(105)であって、ラック間に少なくとも1つの通路(120)を生ずるよう配列し、前記通路(120)に供給する冷却媒体のほぼすべてが前記ラック(105)を通過するよう前記通路を封止するようにした、該ラック(105)と、
・ 前記通路(120)外に前記冷却媒体を抽出し、また周囲媒体が前記通路(120)内に流入できるようにする抽気開口(195A)と、および
・ 前記抽気開口を通過する媒体流れ方向を測定する第1センサ(195B)と、
を備えたラックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のラックシステムにおいて、前記第1センサ(195B)を前記抽気開口(195A)の近傍に配置する、ラックシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のラックシステムにおいて、前記第1センサ(195B)を、温度センサと、空気スクリューと、風受け翼操作スイッチからなるセットから選択した、ラックシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、前記抽気開口(195A)を通路(120)の頂部に配置した、ラックシステム
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記第1センサ(195A)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するよう構成した制御機構を備えた、ラックシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つのパラメータは、温度、湿度および冷却媒体の流速よりなるセットから選択した、ラックシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)内に前記冷却媒体を送給するための少なくとも1つのコンベヤ(215)を備えた、ラックシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つのコンベヤ(215)は、前記第1センサ(195B)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の流速を制御するよう構成した、ラックシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも1つを制御するための少なくとも1つの環境状態制御ユニット(210)を備えた、ラックシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つの環境状態制御ユニット(210)を、前記第1センサ(195B)により発生した信号に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の温度および湿度のうち少なくとも一つを制御するように構成した、ラックシステム。
【請求項11】
請求項5,8および10のうち一項記載のラックシステムであって、さらに、少なくとも1つの第2センサ(235,260)を備えたラックシステムにおいて、制御機構、コンベヤ(215)および環境状態制御ユニット(210)のうち少なくとも一つを、さらに、前記第2センサ(235,260)により発生する信号に基づいて制御する、ラックシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のラックシステムにおいて、前記少なくとも1つの第2センサ(235,260)を、前記抽気開口(195A)および前記第1センサ(195B)のうち少なくとも一方から距離を空けて配置した、ラックシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)の頂部を封止するカバー素子(135)を備えた、ラックシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)を1個またはそれ以上の側方端部で封止する終端素子(150,155)を備えた、ラックシステム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)に前記冷却媒体を供給するためのグリル(705)を備え、前記グリル(705)を前記通路(120)のフロアに配置した、ラックシステム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路(120)内に前記冷却媒体を供給するよう構成したダクト(165)を備えた、ラックシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のラックシステムにおいて、前記ダクトを(165)は、複数の通路(120)に冷却媒体を供給するよう構成した、ラックシステム。
【請求項18】
請求項16または17に記載のラックシステムにおいて、前記ダクト(165)の大部分を複数のラック(105)の下方に配置した、ラックシステム。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、各ラック(105)は、前記ラック(105)に前記冷却媒体を供給する供給側と、前記ラック(105)から前記冷却媒体を排出する供給側とは反対側の排出側とを有し、前記ラック(105)の前記供給側を、通路(120)内部に向かい合うよう配置した、ラックシステム。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、冷却を必要とする電動機器を備え、当該電動機器を前記ラック(105)の搭載スペースに配置した、ラックシステム。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項記載のラックシステムにおいて、さらに、前記通路を内部に配置するハウジングを備えて、前記ハウジングは、前記冷却媒体の循環経路を閉じるよう構成した、ラックシステム。
【請求項22】
複数のラック(105)を備え、これらラック間に通路(120)を形成するようラックを配列したラックシステム(100)の環境状態状況を決定する方法において、
・ 通路(120)内に冷却媒体を供給する冷却媒体供給ステップであって、前記通路内に供給する冷却媒体のほぼすべてがラック(105)を通過するよう前記通路(120)を封止する、該冷却媒体供給ステップと、
・ 前記通路(120)外に冷却媒体を抽出し、また周囲媒体を通路(120)内に流入させることを可能にする抽気開口(195A)を設けるステップと、
・ 前記抽気開口(195A)を通る媒体の流れ方向を決定するステップと、
を有する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、さらに、前記媒体流れ方向に基づいて前記通路(120)に供給する前記冷却媒体の少なくとも一つのパラメータを制御するステップを有する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記少なくとも一つのパラメータを、温度、湿度および前記冷却媒体の流速よりなるセットから選択する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−503853(P2011−503853A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532447(P2010−532447)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004871
【国際公開番号】WO2009/059649
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(506196281)クヌール アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004871
【国際公開番号】WO2009/059649
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(506196281)クヌール アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
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