説明

ラック装置

【課題】構成の簡素化を図ることができるラック装置を提供する。
【解決手段】ラック装置1は、複数のケース収容部2と、各ケース収容部2の底面位置に位置する第1ローラ4、第2ローラ5、第3ローラ6および第4ローラ7とを備える。ラック装置1は、第1ローラ4、第2ローラ5および第3ローラ6で支持したケースWと当接してケースWの下り傾斜方向への移動を規制するストッパ体11を備える。ストッパ体11とケースWとの当接を解除してケースWの一部を第1ローラ4および第2ローラ5間の間隙10内に落下させると、ケースWが回動してケースWの傾斜角度が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成の簡素化を図ることができ、製造およびメンテナンス等を容易にできるラック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラック装置として、例えば可変エプロン式ピッキングラックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この可変エプロン式ピッキングラックは、ケースが収容される複数のケース収容部と、各ケース収容部の底面位置に上下方向に回動可能に配設されたエプロンとを備えている。エプロンには、移動子が螺合されたボールネジと摺動子とが設けられ、移動子と摺動子とが連結手段にて連結されている。また、摺動子にはステーの一端が回動可能に取り付けられ、ステーの他端が縦枠に回動可能に取り付けられている。そして、クランクの操作によるボールネジの回動により移動子と摺動子とを移動させると、ステーの取付角度が変わり、エプロン上のケースの傾斜角度が増減する。
【特許文献1】特許第2877219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のラック装置では、ボールネジ、移動子、摺動子、ステー、クランク等からなるエプロン部の構成がきわめて複雑となり、構成の簡素化を図れないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成の簡素化を図ることができ、製造およびメンテナンス等を容易にできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のラック装置は、ケースが収容される複数のケース収容部と、この各ケース収容部の底面位置に配設され、間隙を介して互いに離間対向した状態で互いに異なる高さ位置に位置する第1ケース支持体および第2ケース支持体とを備え、ケースの一部を前記間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものである。
【0007】
そして、ケースの一部を第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものであるから、構成の簡素化を図ることが可能であり、製造およびメンテナンス等が容易である。
【0008】
請求項2記載のラック装置は、ケースが収容される複数のケース収容部と、この各ケース収容部の底面位置に配設され、間隙を介して互いに離間対向した状態で互いに異なる高さ位置に位置する第1ケース支持体および第2ケース支持体と、この第1ケース支持体と第2ケース支持体とにて傾斜状に支持されたケースと当接してケースの下り傾斜方向への移動を規制するストッパ体とを備え、前記ストッパ体とケースとの当接を解除してケースの一部を前記間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものである。
【0009】
そして、ストッパ体とケースとの当接を解除してケースの一部を第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものであるから、構成の簡素化を図ることが可能であり、製造およびメンテナンス等が容易である。
【0010】
請求項3記載のラック装置は、請求項1または2記載のラック装置において、第1ケース支持体および第2ケース支持体は、いずれもローラ部材にて構成されているものである。
【0011】
そして、第1ケース支持体および第2ケース支持体がいずれもローラ部材にて構成されているため、ケースをスムーズに移動させることが可能である。
【0012】
請求項4記載のラック装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載のラック装置において、第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙寸法は、ケースの高さ寸法未満であるものである。
【0013】
そして、第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙寸法がケースの高さ寸法未満であるため、ケース全体が間隙から落下することを防止可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ケースの一部を第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものであるから、構成の簡素化を図ることができ、製造およびメンテナンス等を容易にできる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、ストッパ体とケースとの当接を解除してケースの一部を第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大するものであるから、構成の簡素化を図ることができ、製造およびメンテナンス等を容易にできる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、第1ケース支持体および第2ケース支持体がいずれもローラ部材にて構成されているため、ケースをスムーズに移動させることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙寸法がケースの高さ寸法未満であるため、ケース全体が間隙から落下することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のラック装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、1はラック装置で、このラック装置1は、例えば上下方向に3つ、左右方向に3つ並んだ行列状の複数(例えば9)のケース収容部2を備えている。各ケース収容部2には、上面が開口した外形直方体状のケースWが収容される。
【0020】
例えば空のケースWが仕分け作業者Aの手作業によりラック装置1の前方部からケース収容部2内に収容され、仕分け完了後のケースW(つまりオーダに応じた商品が入れられたケースW)は、仕分け作業者Aの手で押されてラック装置1の後面側に移動し、その後、出荷作業者Bの手作業によりケース収容部2内からラック装置1の後方部へ取り出されて出荷される。
【0021】
各ケース収容部2の前部における前下り傾斜面状の底面位置には、互いに平行な円筒状をなす回転自在の複数のローラ、すなわち例えば第1ローラ(第1ケース支持体)4、第2ローラ(第2ケース支持体)5、第3ローラ6および第4ローラ7が下り傾斜方向に沿って異なる高さで配設されている。
【0022】
第1ローラ4および第2ローラ5は、間隙10を介して前後に互いに離間対向した状態で、互いに異なる高さ位置に位置する。なお、ケースW全体が間隙10から落下しないよう、第1ローラ4と第2ローラ5との間の間隙寸法XがケースWの高さ寸法Y未満になっている(図3参照)。
【0023】
また、各ケース収容部2の前部における前下り傾斜面状の底面前端位置には、少なくともローラ4,5、すなわち例えば第1ローラ4と第2ローラ5と第3ローラ6とにて下り傾斜方向に沿って傾斜状に支持されたケースWと当接してケースWの下り傾斜方向への自重移動を規制するストッパ体11がケース収容部2の略全幅にわたって配設されている。ストッパ体11は、例えば複数箇所で長手方向に沿って折り曲げられた板部材にて構成されている。
【0024】
そして、図3に示すように、ケースWを後方へ押すことによりストッパ体11とケースWとの当接を解除してケースWの一部(下部の前側角部)を間隙10内に落下させると、ケースWが下方回動して水平方向に対するケースWの傾斜角度αが増大する。
【0025】
このようにケースWの一部が間隙10内に入り込んでケースWの傾斜角度αが増大すると、床面12からケースWの前面上端までの高さが、入り込む前の状態に比べて(H−h)分だけ低くなる。このため、仕分け作業者Aは、ケースW内の商品の確認やケースW内への商品の投入等が容易となり、効率的な仕分け作業が可能となる。
【0026】
また一方、各ケース収容部2の後部における後下り傾斜面状の底面位置には、互いに平行な円筒状をなす回転自在の複数の搬送ローラ(ケース搬送手段)15が互いに等間隔をおいて配設されている。仕分け完了後のケースWが第2ローラ5、第3ローラ6および第4ローラ7上から搬送ローラ15上に乗り移ると、そのケースWは自重により搬送ローラ15上をラック装置1の後面側に向って移動する。
【0027】
また、各ケース収容部2の後部における後下り傾斜面状の底面後端位置には、搬送ローラ15上に載置された仕分け完了後のケースWと当接してケースWの自重移動を規制するストッパ体16がケース収容部2の略全幅にわたって配設されている。ストッパ体16は、例えば複数箇所で長手方向に沿って折り曲げられた板部材にて構成されている。
【0028】
さらに、各ケース収容部2の前部の両側面位置にはガイド手段である前ガイド板21が垂直状に立設され、各ケース収容部2の後部の両側面位置にはガイド手段である後ガイド板22が垂直状に立設され、これら前ガイド板21および後ガイド板22は機枠23に固着されている。
【0029】
そして、図1および図2から明らかなように、前ガイド板21の後端部の外面が後ガイド板22の前端部の対向内面に接した状態で、前ガイド板21の後端部と後ガイド板22の前端部とが重なり合っている。また、互いに離間対向した左右の前ガイド板21の下端部間にローラ4,5,6,7が脱着可能に設けられ、互いに離間対向した左右の後ガイド板22の下端部間に搬送ローラ15が脱着可能に設けられている。
【0030】
次に、上記ラック装置1の作用等を説明する。
【0031】
例えば下から2段目と3段目のケース収容部2内においてローラ4,5,6にて支持されてストッパ体11と当接したケースWが仕分け作業者Aの手によって後方へ少し押されると、ケースWはストッパ体11から離れ、ケースWの下部の前側角部が第1ローラ4と第2ローラ5との間の間隙10内に入り込む。すると、ケースWは水平方向の軸を中心として下方回動し、その結果、水平方向に対するケースWの傾斜角度αが増大する。よって、仕分け作業者Aは、ケースW内の商品の確認やケースW内への商品の投入等が容易となり、効率良く仕分け作業ができる。
【0032】
また、仕分け完了後のケースWが仕分け作業者Aの手によって搬送ローラ15上まで押されると、ケースWは自重により搬送ローラ15上をラック装置1の後面側に向って移動し、ストッパ体16と当接して停止する。そして、出荷作業者BがそのケースWをケース収容部2内から取り出して出荷する。
【0033】
そして、上記ラック装置1によれば、ケースWの一部を第1ローラ4と第2ローラ5との間の間隙10内に落下させると、ケースWが回動してケースWの傾斜角度αが増大するものであるから、従来のラック装置に比べて、構成の簡素化を図ることができ、製造およびメンテナンス等を容易にできる。
【0034】
また、第1ローラ4、第2ローラ5、第3ローラ6および第4ローラ7がいずれもローラ部材にて構成されているため、ケース収容部2内においてケースWをスムーズに移動させることができ、仕分け完了後のケースWを搬送ローラ15上に簡単に押し出すことができる。
【0035】
さらに、第1ローラ4と第2ローラ5との間の間隙寸法XがケースWの高さ寸法Y未満であるため、ケースW全体が間隙10から落下することを防止でき、ケースWの損傷等を防ぐことができる。
【0036】
また、前ガイド板21の後端部と後ガイド板22の前端部とが重なり合っているため、ケースWである例えばダンボールの搬送ローラ15上への移動の際に、そのダンボールのフラップが後ガイド板22に引っ掛かるようなことがない。
【0037】
さらに、例えば第2ローラ5の取外し、第2ローラ5および第3ローラ6の取外し、或いはローラの取付けにより、間隙10の間隙寸法XをケースWの大きさに応じて変更することができる。すなわち、第2ローラ5側のローラ本数(ケース支持体の数)の変更により間隙10の間隙寸法Xが調節可能となっている。
【0038】
なお、ラック装置1のケース収容部(間口)2の数は任意であり、例えば図4に示すように、ケース収容部2を上下方向に3つ、左右方向に16並べた構成としてもよい。
【0039】
また、第1ケース支持体(第1ローラ)4および第2ケース支持体(第2ローラ)5は、ローラ部材にて構成されたものには限定されず、水平方向に長手状の棒部材、或いは板部材等にて構成されたもの等でもよい。また例えばローラ部材にて構成する場合、上側が下り傾斜方向とは反対側に向う方向にしか回転しないローラ部材を用いてもよい。
【0040】
さらに、仕分け完了後のケースWを搬送貯留するケース搬送手段(搬送ローラ)15は、ベルトコンベヤや複数のころ等にて構成されてものでもよく、またその長さも任意である。
【0041】
また、ラック装置1は、上記のような仕分け装置のほか、商品をピッキングするピッキング装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のラック装置の一実施の形態の側面図である。
【図2】同上ラック装置の平面図である。
【図3】同上ラック装置の要部説明図である。
【図4】本発明のラック装置の他の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ラック装置
2 ケース収容部
4 第1ケース支持体である第1ローラ
5 第2ケース支持体である第2ローラ
10 間隙
11 ストッパ体
X 間隙寸法
Y ケースの高さ寸法
W ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースが収容される複数のケース収容部と、
この各ケース収容部の底面位置に配設され、間隙を介して互いに離間対向した状態で互いに異なる高さ位置に位置する第1ケース支持体および第2ケース支持体とを備え、
ケースの一部を前記間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大する
ことを特徴とするラック装置。
【請求項2】
ケースが収容される複数のケース収容部と、
この各ケース収容部の底面位置に配設され、間隙を介して互いに離間対向した状態で互いに異なる高さ位置に位置する第1ケース支持体および第2ケース支持体と、
この第1ケース支持体と第2ケース支持体とにて傾斜状に支持されたケースと当接してケースの下り傾斜方向への移動を規制するストッパ体とを備え、
前記ストッパ体とケースとの当接を解除してケースの一部を前記間隙内に落下させると、ケースが回動してケースの傾斜角度が増大する
ことを特徴とするラック装置。
【請求項3】
第1ケース支持体および第2ケース支持体は、いずれもローラ部材にて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のラック装置。
【請求項4】
第1ケース支持体と第2ケース支持体との間の間隙寸法は、ケースの高さ寸法未満である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のラック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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