説明

ラック装置

【課題】比較的規模の小さな保管倉庫に適用可能な、駆動用の動力を必要とせず、完全な先入先出し機能を持ち、かつ、保守・メンテナンスが容易なラック装置を提供する。
【解決手段】保管倉庫10に、入庫テーブル31と前側が高くなるように傾斜して設置された上側傾斜ローラーコンベヤ32とを備えた上段のラック30と、出庫テーブル41と後側が高くなるように傾斜して設置された下側傾斜ローラーコンベヤ42とを備えた下段のラック40と、第2のカウンターウエイト装置53を有し保管品Pを上段のラック30から下段のラック40へ移動させるリフター50とを備えたラック装置20を設置して、保管品Pを、入庫テーブル31から、上側及び下側傾斜ローラーコンベヤ32,42のストック領域32A,32B,42A,42B、リフター50の昇降テーブル51、及び、出庫テーブル41に自重により移動させて保管可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を一時保管する保管倉庫に設置されるラック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム製品を作成する際には、生ゴムを混練して練りゴムを作製し、この練りゴムを押出機等を用いて所望の形状に成形する方法が一般的である。
練りゴムは、直接次工程に送られる場合もあるが、保管倉庫に一時保管された後、使用されることも多い。練りゴムを保管する場合には、帯状の練りゴムを所定の長さに切断してからパレットに搭載し、フォークリフト等の運搬手段により保管倉庫に送って保管する。保管倉庫には、通常、物品を載置する多段型の収納棚を備えた保管ラックが設置されており、フォークリフト等により保管倉庫に送られてきた練りゴムは、パレットごと、収納棚に順次移動させられて保管される。
【0003】
収納棚に保管された練りゴムを出庫する際には、入庫順に出庫する、いわゆる先入先出しを行うことが望ましい。保管した物品の入出庫を効率よく行うとともに、先入先出し制御を行うことができる保管倉庫としては、保管ラックの所定の箇所への物品の入庫や所定の箇所からの物品の出庫を、スタッカークレーンやリフターなどの自動搬送装置により行うとともに、入出庫データの管理を行うことで、先入先出し制御を行うことができる方式の保管倉庫(自動倉庫)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−113534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動倉庫は、スタッカークレーンやリフターなどによるラックの自動保管機能や安全機構を作動させるために、多大な電力を使用するだけでなく、保守・メンテナンスの費用がかかるといった問題点があった。そのため、自動倉庫は、大規模な保管システムには有効であるが、比較的規模の小さな保管倉庫に適用することは、設備のコスト効率を考えると現実的ではないといえる。
また、自動倉庫は、必要な場所に直ちに設置できるといった小回りが利く設備ではなく、かつ、制御系も含む保守・メンテナンスも大変なことから、小規模で、かつ、多品種・少量生産品を保管する保管倉庫に適用するには問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、比較的規模の小さな保管倉庫に適用可能な、駆動用の動力を必要とせず、完全な先入先出し機能を持ち、かつ、保守・メンテナンスが容易なラック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、保管倉庫内に設置されて入庫された物品を一時保管するラック装置であって、入庫手段により搬送された物品を載置する入庫テーブルと、この入庫テーブルの後段に、前段側が高く後段側が低くなるように傾斜して設置される傾斜ローラーコンベヤと、前記傾斜ローラーコンベヤの後段に設置されて出庫される物品を保管する出庫テーブルと、前記入庫テーブルと前記出庫テーブルとを、それぞれ、前段側が後段側よりも高くなるように傾斜させる傾斜手段と、前記傾斜ローラーコンベヤに設けられて物品の自重による移動を規制するストッパーとを備え、入庫テーブルに入庫された物品を傾斜ローラーコンベヤ上、もしくは、出庫テーブル上に移動させて保管するようにしたものである。
このような構成を採ることにより、動力を用いることなく、入庫した物品をラック装置の前段側から後段側に移動させて保管することができるので、出庫時には、後段の保管箇所に保管された物品から順に出庫することができる。また、入出庫データの管理を行うことなく保管された物品を先入先出しできる。更に、本発明のラック装置は、駆動用の動力を必要としない簡単な構成なので、保守・メンテナンスが容易となる。
このとき、前記ストッパーを複数設けて傾斜ローラーコンベヤを複数の保管領域に分割すれば、傾斜ローラーコンベヤ上に複数個の物品を保管することができるとともに、ストッパーを順次解除することで、保管された物品を容易に後段に送ることができる。
【0008】
また、前記傾斜ローラーコンベヤを上下方向に複数段備えるとともに、搭載された物品の自重により下降し、物品が搭載されていないときには上昇する昇降テーブルを備えたカウンターウエイト式のリフターを設けて、上側の傾斜ローラーコンベヤを下降してきた物品を、昇降テーブルに載せて下降させ、下側の傾斜ローラーコンベヤに送るように構成することにより、動力を用いることなく、物品をラック装置の前段から後段に移動させることができる多段ラック装置を得ることができる。特に、上下方向の段数が偶数段の場合には、保管倉庫に入庫手段が入ってくる側から出庫手段を出入りさせることができる。したがって、保管倉庫の出入口が一つで済むだけでなく、フォークリフト等の動くスペースも一つの出入口側のみに設ければよいので、保管倉庫の省スペース化を図ることができる。
【0009】
また、前記入庫テーブルの下側に配置されて前記入庫テーブルの下降を防止する手段と、前記昇降テーブルの下側に配置されて前記昇降テーブルの下降を防止する手段とを設けるようにすれば、ストッパーの故障などがあった場合でも、入庫テーブルや昇降テーブルの落下を防止することができるので、入出荷時の安全性を向上させることができる。
【0010】
また、前記上側の傾斜ローラーコンベヤのローラーの回転を阻止して前記上側の傾斜ローラーコンベヤを停止させる上側コンベヤ停止手段と、前記下側の傾斜ローラーコンベヤのローラーの回転を阻止して前記下側の傾斜ローラーコンベヤを停止させる下側コンベヤ停止手段とを更に設ければ、万が一、物品が傾斜ローラーコンベヤの端部側に偏って搭載された場合などに傾斜ローラーコンベヤを停止させて物品の位置を直すことができるので、物品を確実に傾斜ローラーコンベヤ上に保管することができるとともに、物品をスムースに後段に送ることができる。
【0011】
また、前記出庫テーブルを傾斜させる傾斜手段を、前記出庫テーブルが空の場合には当該出庫テーブルの出庫側と反対側を持ち上げ、前記出庫テーブルに物品が載った場合には前記出庫テーブルを水平に保持するダンパーとすれば、簡単な構成で、傾斜ローラーコンベヤから送られてきた物品をスムースに出庫テーブルに移すことができるとともに、出庫テーブルから出庫される物品を水平にした状態で載置できるので、フォークリフト等の出庫手段を用いて安全で確実な出庫作業ができる。
【0012】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係るラック装置を示す図である。
【図2】入庫テーブルの動作を説明するための図である。
【図3】リフターの動作を説明するための図である。
【図4】出庫テーブルの動作を説明するための図である。
【図5】第1の在荷検出アームと下降ストッパーとの連結状態を示す図である。
【図6】在荷検出アームと入庫ストッパーとの連結状態を示す図である。
【図7】ラック装置の他の構成を示す図である。
【図8】等速降下機構の一例を示す図である。
【図9】等速降下機構の他の例を示す図である。
【図10】落下防止機構の一例を示す図である。
【図11】非常停止機構の一例を示す図である。
【図12】ラック装置を全停止させるための全停止レバーの取付位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1(a),(b)は、本実施の形態に係るラック装置20を保管倉庫10に設置した図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。
保管倉庫10は、天井11と床12と4つの壁13〜16とに囲まれた部屋で、壁15には、保管品Pを移動・搬送する入出庫手段であるフォークリフト18が出入りする出入り口17が設けられている。ラック装置20は保管倉庫10の床12に設置されて保管品Pを一時保管する。本例では、パレットpとこのパレットp上に搭載される練りゴム製品mとを保管品Pとした。
【0016】
本発明のラック装置20は、上段のラック30と、下段のラック40と、保管品Pを上段のラック30から下段のラック40へ移動させるためのリフター50とを備える。ここで、保管倉庫10の出入り口17を前側、出入り口17とは反対側を後側とする。
上段のラック30の前側には入庫テーブル31が配置されており、この入庫テーブル31の後側には上側傾斜ローラーコンベヤ32が配置されている。一方、下段のラック40の前側には出庫テーブル41が配置されており、この出庫テーブル41の後側には下側傾斜ローラーコンベヤ42が配置されている。リフター50は、上側傾斜ローラーコンベヤ32及び下側傾斜ローラーコンベヤ42の後側に配置される。
上側傾斜ローラーコンベヤ32と下側傾斜ローラーコンベヤ42とは、それぞれ、保管品Pを保管するための複数(ここでは2つ)のストック領域32A,32B及びストック領域42A,42Bを備える。
なお、保管品Pは入庫テーブル31から上側傾斜ローラーコンベヤ32、リフター50、下側傾斜ローラーコンベヤ42、出庫テーブル41の順に移動・保管されて、出庫テーブル41から出庫されるので、入庫テーブル31側が保管品Pの流れの上流側、出庫テーブル41側が下流側となる。
【0017】
上段のラック30は、入庫テーブル31を昇降させる昇降装置としての第1のカウンターウエイト装置33と、入庫レバー34aを備え入庫テーブル31の位置を規制するテーブル位置規制手段34と、下降ストッパー35と、上側傾斜ブロック36と、第1及び第2の在荷検出アーム37a,37bと、第1及び第2の入庫ストッパー38a,38bとを更に備える。
下段のラック40は、第3及び第4の在荷検出アーム47a,47bと、第5の在荷検出アーム41cと、第3及び第4の入庫ストッパー48a,48bとを更に備える。
【0018】
図2は、第1のカウンターウエイト装置33とテーブル位置規制手段34の一構成例を示す図である。第1のカウンターウエイト装置33は、入庫テーブル31に連結ワイヤ33aにより連結された中間プレート33pと、この中間プレート33pを懸架するワイヤ33bと、ワイヤ33bが架けられた2つの滑車33m,33nと、ワイヤ33bの他端に連結されたバランスウエイト33wとを備え、入庫テーブル31を昇降させる。
本例では、入庫テーブル31を、テーブル本体31aと連結部31bとから構成し、テーブル本体31aに保管品Pを搭載し、連結部31bに連結ワイヤ33aを連結する。
バランスウエイト33wの重さは、空のときの入庫テーブル31の重さよりは重く、保管品Pを搭載した入庫テーブル31の重さよりも軽く設定されている。なお、同図において、細い2点鎖線で囲った、滑車33mより左側にある部材は、実際には、紙面の後側または手前側、すなわち、入庫テーブル31の右側もしくは左側に配置されている。
テーブル位置規制手段34は、入庫レバー34aと、テーブルストッパー34bと、切換手段34Rとを備え、第1のカウンターウエイト装置33の昇降動作を制御して、入庫テーブル31の位置を規制する。
【0019】
切換手段34Rは、回転軸34jの周りに回転自在に取付けられた3本のアーム341〜343を有する回転体34rと、この回転体34rの位置を固定する固定用スプリング34sとを備えている。入庫レバー34aとテーブルストッパー34bとは、それぞれ、アーム341,342を介して、切換手段34Rに連結されており、固定用スプリング34sは、アーム341とテーブル係止板31tとを連結する。なお、残りのアーム343については後述する。
本例では、入庫レバー34aの取付けられている押し板34pにより入庫レバー34aに連結されているアーム341を押すことで回転体34rを回転軸34jの周りに回転させて他のアーム342,343を図2の実線で示す矢印の方向に回転させる。固定用スプリング34sは、アーム341が押されると伸長されてアーム341の回転を規制することで、回転体34rの回転位置を固定する。
【0020】
テーブルストッパー34bは、バネ34k、係止片34m、及び、バネ34kと係止片34mとを連結する連結棒34nとを備え、バネ34kがアーム342に連結される。バネ34kは連結棒34nを介して係止片34mをテーブル係止板31t側に付勢する。
係止片34mが入庫テーブル31の連結部31bの下部に取付けられたテーブル係止板31tに設けられた係止孔31Hに挿入されることでテーブル係止板31tを係止して、入庫テーブル31を初期位置である入庫位置に保持する。すなわち、入庫テーブル31側に保管品Pを載せても、直ちに、入庫テーブル31が下降することがないので、保管品Pを入庫テーブル31に確実に移動させて載置させることができる。
一方、回転体34rが回転してアーム342が回転することで、係止片34mが係止孔31Hから引き抜かれ、入庫テーブル31は下降可能となる。
また、本例では、テーブル係止板31tの上側の幅方向外側に、上側に行くにしたがって幅が広がるような斜面部を備えたレバー戻し片31kを設けている。切換手段34Rの残りのアーム343は、レバー戻し片31kにより下方に押されることで、回転体34rを回転軸34jの周りに逆回転させ、他のアーム341,342を元の位置に戻す。
【0021】
下降ストッパー35は、バネ35k、係止片35m、及び、バネ35kと係止片35mとを連結する連結棒35nとを備えている。係止片35mはバネ35kにより入庫テーブル31の連結部31bの下部に取付けられた下降係止板31u側に常に付勢されている。以下、係止片35mが係止孔31hに挿入されている状態を、下降ストッパー35がON状態にあるという。
一方、第1のストック領域32Aに保管品Pがなく在荷検出アーム37aがOFFである場合、すなわち、保管品Pの入庫テーブル31からの受け入れが可能な場合には、下降ストッパー35の係止片35mが入庫テーブル31から引き離された解除状態となる。また、入庫テーブル31に保管品Pが置かれ、入庫レバー34aが押されると、前述の通り、テーブルストッパー34bが解除される。すなわち、係止片34mが係止孔31Hから引き抜かれ、入庫テーブル31の係止は解除される。
また、上側傾斜ブロック36は、入庫テーブル31の下方に設置されて、下降してきた入庫テーブル31のテーブル本体31aを支持するもので、詳細には、入庫テーブル31のテーブル本体31aをその最下位置において、前側が高く上側傾斜ローラーコンベヤ32側が低くなるように傾斜させた状態で下側から支持する。
【0022】
図1(a)に示すように、上側傾斜ローラーコンベヤ32は、ラック装置20の前後方向に延長する互いに平行な2本のビーム状の支持部材32aと、2本の支持部材32a,32a間に渡された複数の軸部材32bと、この軸部材32bに同軸にかつ回転自在に取付けられた送りローラー32cとを備えており、2本の支持部材32a,32aは、前側が高く後側が低くなるように傾いて設置されている。
本例では、上側傾斜ローラーコンベヤ32を、保管品Pを保管することのできる第1及び第2のストック領域32A,32Bの2つのストック領域に分割している。第1及び第2の在荷検出アーム37a,37bと、第1及び第2の入庫ストッパー38a,38bは、第1及び第2のストック領域32A,32Bに配置される。
【0023】
第1の在荷検出アーム37aと下降ストッパー35とは図示しない連結棒で連結されており、第1の在荷検出アーム37aが第1のストック領域32Aに保管品Pが保管されていることを検出した場合には、入庫テーブル31が下降しないように、下降ストッパー35のバネ35kを付勢して係止片35mを下降係止板31uの係止孔31hに挿入して、下降ストッパー35をON状態にする。
また、第2の在荷検出アーム37bと第1の入庫ストッパー38aも図示しない連結棒で連結されており、第2の在荷検出アーム37bが第2のストック領域32Bに保管品Pが保管されていることを検出した場合には、第1のストック領域32Aに保管されている保管品Pが第2のストック領域32Bに入庫されることを防止する。
一方、第2の入庫ストッパー38bは、後述するリフター在荷検出アーム57と図示しない連結棒で連結されている。これにより、リフター在荷検出アーム57がリフター50に保管品Pが保管されていることを検出した場合には、第2のストック領域32Bに保管されている保管品Pがリフター50に入庫されることを防止することができる。
また、第2の入庫ストッパー38bは、リフター50の昇降テーブル51が保管品Pの積載により下降しているときに、第2のストック領域32Bに保管されている保管品P(次にリフター50へ入庫される予定の保管品P)がリフター50側へ移動して落下してしまうことを防ぐために設けられたもので、図示しないカムの組み合わせで、昇降テーブル51の下降中もストッパーの機能を果たすON状態を保持し続ける。
第2の入庫ストッパー38bの解除は、昇降テーブル51が上昇して初期位置に戻ったときに、前述するカムにより行われる。すなわち、第2の入庫ストッパー38bは、リフター在荷検出アーム57及び昇降テーブル51の両方の位置によりON状態もしくはOFF状態となる。
【0024】
リフター50は、図3に示すように、昇降テーブル51と、この昇降テーブル51を昇降させる第2のカウンターウエイト装置53と、リフター下降ストッパー54と、リフター上昇ストッパー55と、下側傾斜ブロック56と、リフター在荷検出アーム57と、リフター出庫ストッパー58とを備える(リフター出庫ストッパー58については図1を参照)。
第2のカウンターウエイト装置53の構成は、上述した第1のカウンターウエイト装置33と同様の構成で、連結ワイヤ53aと、中間プレート53pと、ワイヤ53bと、2つの滑車53m,53nと、バランスウエイト53wとを備え、昇降テーブル51を昇降させる。なお、昇降テーブル51も、入庫テーブル31と同様に、テーブル本体51aと連結部51bとから構成され、テーブル本体51aに保管品Pを搭載し、連結部51bに連結ワイヤ53aを連結する。また、バランスウエイト53wの重さは、空のときの昇降テーブル51の重さよりは重く、保管品Pを搭載した昇降テーブル51の重さよりも軽く設定されている。
【0025】
リフター下降ストッパー54の構成は下降ストッパー35と同様で、バネ54k、係止片54m、及び、バネ54kと係止片54mとを連結する連結棒54nとを備え、係止片54mが昇降テーブル51の連結部51bの下部に取付けられたリフター下降係止板51uに設けられた係止孔51Hに挿入されることで、昇降テーブル51を初期位置である入庫位置に保持する。
リフター下降ストッパー54は、後述するリフター在荷検出アーム57が昇降テーブル51上に保管品Pを検出したときに解除される。
また、テーブル本体51aとリフター下降係止板51tとは、図示しないテーブル傾斜手段により連結されており、リフター下降ストッパー54がONのとき、すなわち、昇降テーブル51が入庫位置に保持されているときにはテーブル本体51aを後側に傾け、リフター下降ストッパー54が開放されたときには、テーブル本体51aを水平に保持する。
【0026】
リフター上昇ストッパー55の構成も下降ストッパー35と同様で、バネ55k、係止片55m、及び、バネ55kと係止片55mとを連結する連結棒55nとを備え、係止片55mが昇降テーブル51の連結部51bの下部に取付けられたリフター上昇係止板51tに設けられた係止孔51hに挿入されることで、昇降テーブル51を下降時の最下位置に保持する。
また、下側傾斜ブロック56は、昇降テーブル51の下方に設置されて、下降してきた昇降テーブル51のテーブル本体51aを支持するもので、詳細には、昇降テーブル51のテーブル本体51aをその最下位置において、後側が高く下側傾斜ローラーコンベヤ42側が低くなるように傾斜させた状態で下側から支持する。
リフター在荷検出アーム57は、昇降テーブル51上に保管品Pが保管されていることを検出する。
リフター出庫ストッパー58は、リフター上昇係止板51tに設けられて、リフター上昇ストッパー55のON時にリフター上昇ストッパー55と連動して稼働し、昇降テーブル51上の保管品Pを下側傾斜ローラーコンベヤ42側に入庫させる。
【0027】
下側傾斜ローラーコンベヤ42は、2本のビーム状の支持部材42a,42aと軸部材42bとローラー42cとを備えている。下側傾斜ローラーコンベヤ42は、2本の支持部材42a,42aが、後側が高く前側が低くなるように傾いて設置されている以外は、上側傾斜ローラーコンベヤ32と同様の構成で、保管品Pを保管することのできる第3及び第4のストック領域42A,42Bの2つのストック領域に分割されている。第3及び第4の在荷検出アーム47a,47bと、第3及び第4の入庫ストッパー48a,48bとは、第3及び第4のストック領域42A,42Bに配置される。
【0028】
第3の在荷検出アーム47aは、第3のストック領域42Aに保管品Pが保管されているか否かを検出し、第4の在荷検出アーム47bは、第4のストック領域42Bに保管品Pが保管されているか否かを検出する。
第3の在荷検出アーム47aとリフター上昇ストッパー55とは図示しない連結棒で連結されており、第3の在荷検出アーム47aが第3のストック領域42Aに保管品Pが保管されていることを検出した場合には、リフター出庫ストッパー58をON状態とするとともに、リフター上昇ストッパー55をOFF状態として昇降テーブル51上昇させ、保管品Pがリフター50の昇降テーブル51から第3のストック領域42Aに入庫することを防止する。
また、第4の在荷検出アーム47bと第3の入庫ストッパー48aも図示しない連結棒で連結されており、第4の在荷検出アーム47bが第4のストック領域42Bに保管品Pが保管されていることを検出した場合には、第3のストック領域42Aに保管されている保管品Pが第4のストック領域42Bに入庫されることを防止する。
一方、第4の入庫ストッパー48bは、後述する出庫テーブル41に設けられた第5の在荷検出アーム41cと図示しない連結棒で連結されており、出庫テーブル41を第4のストック領域42B側で支持するダンパー43が収縮した状態、すなわち、第5の在荷検出アーム41cがON状態で出庫テーブル41に保管品Pが保管されているときには、保管品Pが出庫テーブル41に入庫されることを防止する。
【0029】
出庫テーブル41は、図4に示すように、出庫される保管品Pが搭載されるテーブル本体41aと、このテーブル本体41aの両側に設置された基台41bと、基台41bの下側でかつ後側に設けられてテーブル本体41aの後側を上方に付勢するダンパー43と、回転ストッパー44とを備えている。テーブル本体41aは基台41bに、回転軸41jを中心にして、回転可能に取付けられている。ダンパー43は、テーブル本体41aが空の場合には、テーブル本体41aを後側が高く前側が低くなるように傾ける。テーブル本体41aに保管品Pが搭載された場合には、保管品Pの重さにより、テーブル本体41aが水平になる方向に回転し、回転ストッパー44により水平位置に保持される。
【0030】
なお、第1の在荷検出アーム37aと下降ストッパー35とは、例えば、図5に示すように、複数本の連結棒37p〜37rとバネ部材37kとを備えた連結機構37Rにより連結すればよい。具体的には、第1の在荷検出アーム37aに連結された第1の連結棒37pと第2の連結棒37qの一端側とを連結し、この第2の連結棒37qの他端側と下降ストッパー35の連結棒35nと連結するとともに、第2の連結棒37qと下降ストッパー35の連結棒35nとの連結部を第3の連結棒37rとバネ部材37kにより、上段のラック30の図示しないフレームに取付けられた固定部材Fに連結する。
第2の連結棒37qと第3の連結棒37rと下降ストッパー35の連結棒35nとは、互いの角度が変化可能に連結される。バネ部材37kは第3の連結棒37rを固定部材F方向に付勢する。
これにより、保管品Pを検出した第1の在荷検出アーム37aが下降すると、下降ストッパー35の連結棒35nが下降係止板31u側に押されるとともに係止片35mがバネ35kに付勢されて下降係止板31uの係止孔31hに挿入されるので、下降ストッパー35はON状態になる。
【0031】
また、第2の在荷検出アーム37bと第1の入庫ストッパー38aとは、例えば、図6に示すように、複数本の連結棒37p〜37rとバネ部材37kとを備えた第1の連結機構37Sと複数本の連結棒38p〜38rとを備えた第2の連結機構38Sとにより連結すればよい。
第1の連結機構37Sは、図5に示した連結機構37Rと同構成である。
第2の連結機構38Sは、連結機構37Sの連結棒37qと連結された第1の連結棒38pと、一端が第2の固定点fから上方に延長する第2の連結棒38qと、第2の連結棒38qの他端と第1の入庫ストッパー38aとを連結する第3の連結棒38rとを備えている。第1の連結棒38pと第2の連結棒38qとは第2の連結棒38qの中間部38oで連結されている。
なお、第1の連結棒38pと第2の連結棒38qとは互いの角度が変化可能に連結されている。
保管品Pを検出した第2の在荷検出アーム37bが下降すると、第1の連結棒38pが第2の固定点f側に押されるため、第2の連結棒38pは第2の固定点fを中心に回転する。これにより、第3の連結棒38qは斜め上方に移動するので、第1の入庫ストッパー38aが上側傾斜ローラーコンベヤ32上の第1のストック領域32Aと第2のストック領域32Bとの間に突出してON状態となる。
リフター在荷検出アーム57と第2の入庫ストッパー38bとの連結、第3の在荷検出アーム47aとリフター出庫ストッパー58との連結、第4の在荷検出アーム47bと第3の入庫ストッパー48aとの連結、及び、第5の在荷検出アーム41cと第4の入庫ストッパー48bとの連結についても同様の連結機構を用いることができる。
【0032】
次に、ラック装置20における保管品Pの入庫及び出庫の動作について説明する。
まず、保管品P(ここでは、練りゴム製品mとパレットp)をフォークリフト18に搭載し、保管倉庫10の出入り口17からラック装置20の前まで運搬する。保管品Pは、フォークリフト18により、最前列の上段のテーブルである入庫テーブル31のテーブル本体31a上に移載される。このとき、テーブルストッパー34bは、入庫テーブル31のテーブル係止板31tに設けられた係止孔31Hに挿入された状態にある。したがって、入庫テーブル31側に保管品Pを載せても、直ちに、入庫テーブル31が下降することがない。
第1のストック領域32Aに保管品Pがない場合には、フォークリフト18の操作者などの作業者が、入庫レバー34aを押してテーブルストッパー34bを解除する。これにより、第1のカウンターウエイト装置33のバランスウエイト33wが上昇し、入庫テーブル31は自重により下降する。
なお、第1のストック領域32Aに保管品Pが保管されている場合には、下降ストッパー35が入庫テーブル31を係止しているので、入庫テーブル31は下降せず、フォークリフト18により入庫された保管品Pは、入庫位置にて、入庫テーブル31に保管される。
【0033】
第1のストック領域32Aに保管品Pが保管されていない場合には、入庫テーブル31は下降し、入庫テーブル31の最下位置にて、テーブル本体31aが上側傾斜ブロック36に当接する。これにより、入庫テーブル31のテーブル本体31aは前側が高く後側が低くなるように傾斜する。この傾斜により、保管品Pは、自重により、入庫テーブル31のテーブル本体31aから上側傾斜ローラーコンベヤ32の第1のストック領域32Aに出庫される。
入庫テーブル31のテーブル本体31aから保管品Pがなくなると、第1のカウンターウエイト装置33のバランスウエイト33wが下降し、入庫テーブル31が上昇する。
【0034】
また、入庫テーブル31が下降し、入庫テーブル31のテーブル係止板31tのレバー戻し片31kが切換手段34Rのアーム343に接触すると、アーム343がレバー戻し片31kに押されてレバー戻し片31kの斜面に沿うように移動するため、回転体34rは回転軸34j周りに逆回転する。これにより、テーブルストッパー34bに連結されたアーム342は元の位置に戻るので、テーブルストッパー34bのバネ部材34kは連結棒34nを介して係止片34mをテーブル係止板31t側に付勢する。したがって、入庫テーブル31が上昇して初期位置に戻ったときには、テーブルストッパー34bの係止片34mは、テーブル係止板31tの係止孔31Hに挿入されて入庫テーブル31を初期位置に固定する。
一方、入庫レバー34aの押し板34pにより入庫レバー34aに連結されているアーム341は、押し板34pを押すことで入庫レバー34aを元の位置に戻す。したがって、入庫テーブル31と入庫レバー34aとは、入庫前の状態に位置に戻ったことになる。
【0035】
保管品Pが入庫テーブル31から第1のストック領域32Aに入庫されると、第1の在荷検出アーム37aが下降して、第1のストック領域32Aへの保管品Pの入庫を検出するとともに、下降ストッパー35の係止片35mに連結された連結棒35nを稼働させて下降ストッパー35のバネ35kを付勢して下降ストッパー35をON状態にし、入庫テーブル31がバランスウエイト33wの下降により上昇して初期位置に戻ると、バネ35kにより付勢された下降ストッパー35の係止片35mが下降係止板31uの係止孔31hに挿入され、入庫テーブル31が初期位置で固定されて、保管品Pが入庫テーブル31から第1のストック領域32Aへ入庫しないようにする。
第2のストック領域32Bに保管品Pが保管されていない場合には、第1のストック領域32Aに保管された保管品Pは、自重により、送りローラー32c上を移動し、第1のストック領域32Aから出庫されて第2のストック領域32Bに入庫される。そして、第1のストック領域32Aに保管品Pがない状態(以下、非在荷という)になると、第1の在荷検出アーム37aが上昇するとともに、下降ストッパー35の係止片35mを下降係止板31uの係止孔31hから抜き、第1のストック領域32Aを保管品Pの入庫が可能な状態に戻す。
なお、第2のストック領域32Bに保管品Pが保管されている状態(以下、在荷時という)には、第1の入庫ストッパー38aがON状態になっているので、保管品Pは第1のストック領域32Aに保管される。
【0036】
保管品Pが第1のストック領域32Aから第2のストック領域32Bに入庫されると、第2の在荷検出アーム37bが下降して、第2のストック領域32Bへの保管品Pの入庫を検出するとともに、第1の入庫ストッパー38aに連結された連結棒を稼働させて第1の入庫ストッパー38aをON状態にし、保管品Pが第1のストック領域32Aから第2のストック領域32Bへ入庫しないようにする。
リフター50に保管品Pが保管されていない場合、すなわち、リフター50の昇降テーブル51が初期位置である入庫位置にある場合には、第2のストック領域32Bに保管された保管品Pは、自重により、送りローラー32c上を移動して昇降テーブル51に移される。すなわち、保管品Pは、第2のストック領域32Bから出庫されてリフター50に入庫される。そして、第2のストック領域32Bが非在荷になると、第2の在荷検出アーム37bが上昇するとともに、第1の入庫ストッパー38aを開放して、第2のストック領域32Bを保管品Pの入庫が可能な状態に戻す。
なお、リフター50の在荷時、すなわち、リフター50の昇降テーブル51が下降している場合には、第2の入庫ストッパー38bがON状態になっているので、保管品Pは第2のストック領域32Bに保管される。
【0037】
保管品Pが第2のストック領域32Bからリフター50に入庫されると、リフター在荷検出アーム57が下降して、昇降テーブル51への保管品Pの保管を検出する。
リフター在荷検出アーム57が保管品Pを検出すると、リフター下降ストッパー54が解除されて、昇降テーブル51は下降し、昇降テーブル51の最下位置にて、テーブル本体51aが下側傾斜ブロック56に当接するとともに、下段の第3のストック領域42Aに保管品Pの在荷がない場合には、リフター上昇ストッパー55がONとなり、昇降テーブル51のテーブル本体51aは後側が高く下側傾斜ローラーコンベヤ42側が低くなるように傾斜する。この傾斜により、保管品Pは、自重により、昇降テーブル51のテーブル本体51aから下側傾斜ローラーコンベヤ42の第3のストック領域42Aに出庫される。
なお、第3のストック領域42Aの在荷時には、リフター上昇ストッパー55はOFF状態であるが、リフター出庫ストッパー58がON状態にあるので、昇降テーブル51上の保管品Pが下側傾斜ローラーコンベヤ42側に移動することはない。すなわち、第3のストック領域42が在荷時には、保管品Pがリフター50に保管される。
昇降テーブル51のテーブル本体51aから保管品Pがなくなると、第2のカウンターウエイト装置53のバランスウエイト53wが下降し、昇降テーブル51が上昇する。昇降テーブル51が初期位置付近まで上昇すると、リフター下降ストッパー54の係止片54mが、リフター下降係止板51uの係止孔51Hに挿入され、昇降テーブル51は初期位置である入庫位置で停止し、元の状態に戻る。
【0038】
保管品Pがリフター50から第3のストック領域42Aに入荷されると、第3の在荷検出アーム47aが下降して、第3のストック領域42Aへの保管品Pの移動を検出する。第3の在荷検出アーム47aは、保管品Pを検出すると、図示しない連結棒を介してリフター上昇ストッパー55の係止片55mをリフター上昇係止板51tの係止孔51hより抜き、リフター上昇ストッパー55をOFF状態にする。これにより、リフター50の昇降テーブル51がバランスウエイト53wの下降により上昇する。
第3のストック領域42Aに移動させられた保管品Pは、第4のストック領域42Bに保管品Pがない場合には、自重により、下側傾斜ローラーコンベヤ42上を、第4のストック領域42Bまで移動する。
また、第3のストック領域42Aが非在荷になると、第3の在荷検出アーム47aが上昇して、第4のストック領域42Bへの保管品Pの移動を検出する。第3の在荷検出アーム47aが保管品Pの移動を検出すると、図示しない連結棒を介してリフター上昇ストッパー55のバネ55kにより係止片55mがリフター上昇係止板51t側に付勢される。これにより、保管品Pをリフター50から第3のストック領域42Aに移動させることができる。
【0039】
保管品Pが第3のストック領域42Aから第4のストック領域42Bに移動すると、第4の在荷検出アーム47bが下降して、第4のストック領域42Bへの保管品Pの移動を検出する。第4の在荷検出アーム47bは、保管品Pを検出すると、図示しない連結棒を介して第3の入庫ストッパー48aをONにする。これにより、第4のストック領域42Bに保管品Pが保管されている場合に、保管品Pが第3のストック領域42Aから第4のストック領域42Bに入荷できないようにしている。
第4のストック領域42Bに移動してきた保管品Pは、出庫テーブル41に保管品Pが比在庫時には、自重により、出庫テーブル41に移動する。なお、出庫テーブル41の在荷時には、第4の入庫ストッパー48bがON状態になっているので、保管品Pは第4のストック領域42Bに保管される。
また、第4のストック領域42Bが非在荷になると、第4の在荷検出アーム47bが上昇して、出庫テーブル41への保管品Pの移動を検出する。第4の在荷検出アーム47bは、保管品Pの移動を検出すると、図示しない連結棒を介して第3の入庫ストッパー48aをOFFにする。これにより、保管品Pを第3のストック領域42Aから第4のストック領域42Bに入庫させることができる。
【0040】
保管品Pが第4のストック領域42Bから出庫テーブル41に移されると、出庫テーブル41のテーブル本体41aは、図4に示すように、保管品Pの自重によりダンパー43を押し下げ、回転ストッパー44で止められて水平方向に戻される。すなわち、保管品Pは出庫テーブル41のテーブル本体41a上に水平に載置される。したがって、保管品Pを出庫する際には、フォークリフト18等の運搬手段により、保管品Pを容易に取り出すことができる。また、出庫テーブル41の在荷時には、第5の在荷検出アーム41cが下降して保管品Pを検出するとともに、図示しない連結棒を介して第4の入庫ストッパー48bをONにする。したがって、出庫テーブル41の在荷時には、第4のストック領域42Bから出庫テーブル41へ保管品Pが進入することはない。
テーブル本体41aから保管品Pが出庫されると、テーブル本体41aがダンパー43の押上げ力により再び傾いて、第4のストック領域42Bからの入庫が可能な状態になる。
【0041】
このように、本実施の形態では、保管倉庫10に、第1のカウンターウエイト装置33に取付けられた入庫テーブル31とこの入庫テーブル31の後段に前段側が高く後段側が低くなるように傾斜して設置された上側傾斜ローラーコンベヤ32とを備えた上段のラック30と、出庫テーブル41とこの出庫テーブルの後段に後段側が高く前段側が低くなるように傾斜して設置された下側傾斜ローラーコンベヤ42とを備えた下段のラック40と、第2のカウンターウエイト装置53を有し保管品Pを上段のラック30から下段のラック40へ移動させるリフター50とを備えたラック装置20を設置し、フォークリフト18により運搬された保管品Pを、入庫テーブル31から、入庫ストッパー38a,38bにより分割された上側傾斜ローラーコンベヤ32のストック領域32A,32B、リフター50の昇降テーブル51、リフター出庫ストッパー58及び入庫ストッパー48a,48bにより分割された下側傾斜ローラーコンベヤ42のストック領域42A,42B、及び、出庫テーブル41の何れかあるいは複数箇所に自重により移動させて保管するようにしたので、駆動用の動力を必要とせず、かつ、入出庫データの管理を行うことなく、保管された物品を先入先出しできる。また、装置構成が駆動用の動力を必要としない簡単な構成なので、保守・メンテナンスが容易となる。
【0042】
なお、前記実施の形態では、各ストッパーの動作を、在荷検出アームに連動させて行う、いわゆるメカ式インターロック機構としたが、必ずしも、これら各ストッパーを全てメカ式にする必要はない。ストッパーや在荷検出アームについては、例えば、電磁ソレノイドを用いたアクチュエータにより駆動し、保管品Pの移動や昇降のみを自重により行うようにしても、クレーンやリフターなどを用いた従来の自動倉庫に比較して、消費電力を大幅に低減することができる。
【0043】
また、前記例では、ラック装置20を、上段のラック30と下段のラック40とリフター50とからなる2段ラックとしたが、3段以上のラック装置を構成することも可能である。この場合には、リフターを段数に応じて設ける必要があることはいうまでもない。
なお、段数が偶数段であれば、入庫と出庫とをともに前側で行うことができるので、好ましい。
また、ラック装置を一段にする場合には、図7に示すように、入庫テーブル31の後段に上側傾斜ローラーコンベヤ32と同様の構成の傾斜ローラーコンベヤ32Sを設置し、この傾斜ローラーコンベヤ32Sの後段に出庫テーブル41と同構成の後側出庫テーブル41Sを配置すればよい。これにより、簡単な構成で、保管倉庫10の前側に設けられた入口17Aから入庫テーブル31に入庫された保管品Pを出庫テーブル41Sに送り、この保管品Pを後側の出口17Bから出庫することができる。
【0044】
また、前記例では、入庫テーブル31や昇降テーブル51の落下速度は保管品Pの重量に依存するが、第1及び第2のカウンターウエイト装置33,53に等速降下機構を設けることで、保管品Pの重量によらず、落下速度を一定にすることができる。
図8は、等速降下機構60の一例を示す図である。この等速降下機構60は、重量センサ61と、シグナルワイヤ62とディスクブレーキ63とワンウエイクラッチ64とを備える。重量センサ61は入庫テーブル31に設けられて、入庫テーブル31に搭載された保管品Pの重量を計測する。シグナルワイヤ62はこの重量をディスクブレーキ63に伝達する。ディスクブレーキ63は、入庫テーブル31の下降時において、滑車33mに当接して滑車33mの回転速度を減速する。なお、ワンウエイクラッチ64は、入庫テーブル31の上昇時において、ディスクブレーキ63を滑車33mから離す機能を有する。
この等速降下機構60では、保管品Pの重量が重い場合にはディスクブレーキ63の押し当て力を大きくし、保管品Pの重量が軽い場合にはディスクブレーキ63の押し当て力を小さくする。これにより、保管品Pの落下速度を、保管品Pの重量によらず一定にすることができる。
【0045】
等速降下機構としては、図9に示すような、等速降下機構70を用いてもよい。この等速降下機構70は、バネ式重量計71と連結棒72とレバー式ディスクブレーキ73と、ブレーキ走行ビーム74を備える。バネ式重量計71は入庫テーブル31に設けられて、入庫テーブル31に搭載された保管品Pの重量を計測するとともに、連結棒72を押して、重量に応じた押し当て角度でレバー式ディスクブレーキ73を、上下方向に延長するブレーキ走行ビーム74に押し付けることで、入庫テーブル31の下降時の速度を減速する。
この等速降下機構70では、保管品Pの重量が重い場合にはレバー式ディスクブレーキ73の押し当て力を大きくし、保管品Pの重量が軽い場合にはレバー式ディスクブレーキ73の押し当て力を小さくするように、押し当て角度が調整されるので、保管品Pの落下速度を、保管品Pの重量によらず一定にすることができる。
なお、入庫テーブル31の上昇時においては、レバー式ディスクブレーキ73はブレーキ走行ビーム74に当接しているだけなので、等速降下機構70は機能しない。
【0046】
また、入庫テーブル31や昇降テーブル51にテーブル落下を防止するための落下防止機構や、上側及び下側傾斜ローラーコンベヤ32,42の送りローラー32c、42cの回転を停止させる非常停止機構などの安全装置を設けるようにすれば、入出荷作業の安全性を向上させることができる。
図10は、入庫テーブル31に設けられた落下防止機構80の一例を示す図である。
落下防止機構80は、下降係止板31uに設けられた鋸状の切り込み部81と、先端が切り込み部81の切り込み形状と同形状に形成されて切り込み部81に噛み込む下降防止キー82と、下降防止キー82を支持する支持板83と、下降防止キー82を作動させる入庫テーブル下降ロック解除手段84と、入庫テーブル31を含む本ラック装置20を取り囲むように床面に設けられた安全柵85とを備えている。
入庫テーブル下降ロック解除手段84は、ロック解除レバー84aと、一端がロック解除レバー84aに連結され他端が支持板83に連結されるレバー連結棒84bを備え、ロック解除レバー84aを押すことで、支持板83を傾ける。これにより、下降防止キー82が下降係止板31uの切り込み部81に挿入され噛み込まれるので、入庫テーブル31の落下を防止することができる。
なお、昇降テーブル51にも同様の落下防止機構を設けるようにすれば、安全性を更に向上させることができる。
また、入庫テーブル31を含む本ラック装置20を取り囲むように床面に設けられた安全柵85に安全扉86を設け、ラック動作中に安全柵85に立入ろうとして安全扉86を開くと、安全扉86とワイヤ86aで連結されたストッパー87が支持板83より解除され、下降防止キー82が、支持板83に付勢されたバネ83aの引き力により、下降係止板31uに設けられた鋸状の切り込み部81へ噛み込み、入庫テーブル31の下降動作をロックする。これにより、仮に、不用意に安全扉86を開けて中に立入ったとしても、入庫テーブル31の下降はロックされるので、安全が確保される。
また、安全柵85の外(安全エリア)に出て安全扉86を閉じることにより、ストッパー87はバネ87aにより支持板83にロックするよう付勢され、下降ロック解除手段84のロック解除レバー84aを同図の矢印の方向へ作動させることで、支持板83に連結されたワイヤ84cにより支持板83が引張られ、下降防止キー82が切り込み部81より外れ、入庫テーブル31の下降ロックが安全に解除される。
【0047】
また、非常停止機構としては、図11に示すようなブレーキ装置90を用いることができる。
ブレーキ装置90は、ブレーキパット91と、パット基台92と、パット懸架手段93と、パット係止板94と、ストッパー95と、非常時にストッパー95を解除する全停止レバー101,102に連結されたワイヤ97とを備える。
ブレーキパット91は、パット基台92上に貼り付けられて上側及び下側傾斜ローラーコンベヤ32,42の下方に配置されるゴム部材で、上昇時には送りローラー32c、42cの下端に当接して送りローラー32c、42cの回転を停止させる。
パット懸架手段93は、ブレーキパット91が上側及び下側傾斜ローラーコンベヤ32,42の下方にあるときには自然長よりも伸長してパット基台92を上方に付勢するバネ部材93kを備え、パット基台92をラック装置20の図示しないフレームに懸架する。
パット係止板94は、パット基台92の下方に突出する板状の部材で、後述するストッパー95の係止片95mが挿入される係止孔94hを備えている。
ストッパー95は、バネ95k、係止片95m、及び、バネ95kと係止片95mとをレバー97aを介して連結する連結棒95nとを備えている。
全停止時等、送りローラー32c,42cの回転を止める必要が生じたとき、全停止レバー101,102を作動させるべく、この全停止レバー101,102に連結されたワイヤ97が図の矢印方向に引張られることによりレバー97aが作動し、レバー97aに連結されている係止片95mがパット係止板94の係止孔94hより抜かれる。係止片95mがパット係止板94から引き抜かれると、ブレーキパット91はパット懸架手段93のバネ部材93kが縮小することで上昇し、送りローラー32c,42cの下端に当接して送りローラー32c,42cの回転を停止させる。
ブレーキパット91が送りローラー32c,42cに当接し、ローラー32c,42cの回転を止めている停止状態を解除するには、全停止レバー101,102を全停止解除位置に戻す。そして、全停止レバー101,102に連結しバネ95kにより付勢されワイヤ97が、レバー97aを作動させることにより、係止片95mはパット係止板94へバネ95kの付勢力により押し付けられる。この状況で、ローラー停止解除レバー98を図の矢印の方向へ移動させると、パット基台92及びブレーキパット91は送りローラー32c,42cから引き離され、送りローラー32c,42cのブレーキは解除される。
なお、係止片95mは、送りローラー32c,42cから離れて戻って来たパット係止板94の係止孔94hにバネ95kの付勢力で入り、ブレーキパット91は、送りローラー32c,42cから下方に離れた場所に固定される。
なお、下側傾斜ローラーコンベヤ42にも同様の非常停止機構を設けることが好ましい。
【0048】
更に、図8及び図12に示すように、入庫テーブル31や昇降テーブル51のカウンターウエイト装置33,53の等速降下機構60に、ディスクブレーキ63を滑車33mもしくは滑車53mに押し付けて滑車33mもしくは滑車53mの回転を停止させるための全停止レバー101,102を取付けるとともに、全停止レバー101(または、全停止レバー102)が作動した場合には、入庫テーブル31と昇降テーブル51の昇降をそれぞれ停止させるとともに、図示しない連結棒を介して、ブレーキ装置90を作動させて上側及び下側傾斜ローラーコンベヤ32,42の送りローラー32c,42cをそれぞれ停止させるようにすれば、非常時において、ラック装置20を全停止させることができる。
このとき、安全扉86を開放して下降防止キー82が下降係止板31uの鋸状の切り込み部81へ噛み込むことにより、入庫テーブル31及び昇降テーブル51の落下を防止するようにしておけば、緊急停止時やメンテナンス時の安全性を更に向上させることができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
このように、本発明によれば、ラック装置における保管品の移動や昇降を自重により行う機構としたので、比較的規模の小さな保管倉庫に適用可能な、駆動用の動力を必要とせず、かつ、保守・メンテナンスが容易なラック装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 保管倉庫、11 天井、12 床、13〜16 壁、17 出入り口、
18 フォークリフト、20 ラック装置、30 上段のラック、
31 入庫テーブル、32 上側傾斜ローラーコンベヤ、
32A 第1のストック領域、32B 第2のストック領域、
33 第1のカウンターウエイト装置、34 テーブル位置規制手段、
35 下降ストッパー、36 上側傾斜ブロック、
37a,37b,41c,47a,47b 在荷検出アーム、
38a,38b,48a,48b 入庫ストッパー、
40 下段のラック、41 出庫テーブル、42 下側傾斜ローラーコンベヤ、
42A 第3のストック領域、42B 第4のストック領域、43 ダンパー、
44 回転ストッパー、50 リフター、51 昇降テーブル、
53 第2のカウンターウエイト装置、54 リフター下降ストッパー、
55 リフター上昇ストッパー、56 下側傾斜ブロック、
57 リフター在荷検出アーム、58 リフター出庫ストッパー、
m 練りゴム製品、p パレット、P 保管品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管倉庫内に設置されて入庫された物品を一時保管するラック装置であって、
入庫手段により搬送された物品を載置する入庫テーブルと、
この入庫テーブルの後段に、前段側が高く後段側が低くなるように傾斜して設置される傾斜ローラーコンベヤと、
前記傾斜ローラーコンベヤの後段に設置されて出庫される物品を保管する出庫テーブルと、
前記入庫テーブルと前記出庫テーブルとを、それぞれ、前段側が後段側よりも高くなるように傾斜させる傾斜手段と、
前記傾斜ローラーコンベヤに設けられて物品の自重による移動を規制するストッパーとを備えていることを特徴とするラック装置。
【請求項2】
前記ストッパーを複数設けて傾斜ローラーコンベヤを複数の保管領域に分割したことを特徴とする請求項1に記載のラック装置。
【請求項3】
前記傾斜ローラーコンベヤを上下方向に複数段備えるとともに、
搭載された物品の自重により下降し、物品が搭載されていない時には上昇する昇降テーブルを備えたカウンターウエイト式のリフターを設けて、
上側の傾斜ローラーコンベヤを下降してきた物品を、昇降テーブルに移載して下降させ、下側の傾斜ローラーコンベヤに送るように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラック装置。
【請求項4】
前記入庫テーブルの下側に配置されて前記入庫テーブルの下降を防止する手段と、
前記昇降テーブルの下側に配置されて前記昇降テーブルの下降を防止する手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のラック装置。
【請求項5】
前記上側の傾斜ローラーコンベヤのローラーの回転を阻止して前記上側の傾斜ローラーコンベヤを停止させる上側コンベヤ停止手段と、
前記下側の傾斜ローラーコンベヤのローラーの回転を阻止して前記下側の傾斜ローラーコンベヤを停止させる下側コンベヤ停止手段とを更に設けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のラック装置。
【請求項6】
前記出庫テーブルを傾斜させる傾斜手段を、前記出庫テーブルが空の場合には当該出庫テーブルの出庫側と反対側を持ち上げ、前記出庫テーブルに物品が載った場合には前記出庫テーブルを水平に保持するダンパーとしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のラック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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