ラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造
【課題】ラフィングジブ連結用に使用される連結ピンを、その機能を低下させることなく短くでき、さらに径方向のはみ出しを小さくした状態で取付けることができるとともに、サポートに対して高強度で且つ着脱自在に取付け得るようにする。
【解決手段】ラフィングジブ連結用の連結ピン組付構造において、連結ピン4のシリンダチューブ43の胴部に径方向外方に突出する突起物40を固定し、サポート3に、突起物40の下面と上面と前面をそれぞれガードし得る横向き開口の突起物収納部34を設け、さらにサポート3に、突起物40を突起物収納部34に収納させた状態で突起物の後面をガードするガード部材5を着脱自在に固定しているとともに、サポート3に、ガード部材5における後面に近接又は当接するストッパーを設けていることにより、連結ピン4の長さ短縮と、組付状態でのコンパクト化と位置保持力強化とを達成し得るようにした。
【解決手段】ラフィングジブ連結用の連結ピン組付構造において、連結ピン4のシリンダチューブ43の胴部に径方向外方に突出する突起物40を固定し、サポート3に、突起物40の下面と上面と前面をそれぞれガードし得る横向き開口の突起物収納部34を設け、さらにサポート3に、突起物40を突起物収納部34に収納させた状態で突起物の後面をガードするガード部材5を着脱自在に固定しているとともに、サポート3に、ガード部材5における後面に近接又は当接するストッパーを設けていることにより、連結ピン4の長さ短縮と、組付状態でのコンパクト化と位置保持力強化とを達成し得るようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームの先端部にラフィングジブを取付けて使用するラフィングジブ付きブームクレーンに関し、さらに詳しくは、複数の分割ジブを連結する際に使用されるラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、高揚程あるいは遠隔位置での荷揚げ・荷下ろし作業を行うのに、伸縮ブームの先端部にラフィングジブを用いる場合がある。
【0003】
この種のラフィングジブは、複数の分割ジブに分割されていて、例えばクレーン車に装備されている伸縮ブームの先端部に各分割ジブを順次連結して構成される。即ち、このラフィングジブは、伸縮ブームの先端部にベースジブを取付け、該ベースジブの先端部に所定本数の中間ジブを継ぎ足した後、その先端部にトップジブを連結して構成される。
【0004】
ラフィングジブの各分割ジブの組立は、図10に示すように立ち組み方式で行う場合がある。尚、図10のラフィングジブ組立方法は、特許第3636860号公報(特許文献1)に示されるものであり、該図10の状態は、伸縮ブーム1の先端部にベースジブ21Aと第1中間ジブ21Bを連結した状態で、該第1中間ジブ21Bの先端部に第2中間ジブ21Cの基端部を連結しようとしているところである。
【0005】
第1中間ジブ21Bと第2中間ジブ21Cとの連結は、図10に示すように、第2中間ジブ21Cを地上に横たわらせた状態で、第1中間ジブ21Bの先端部の背面側ボス23A(左右一対ある)と第2中間ジブ21Cの基端部の背面側ボス22A(左右一対ある)とをそれぞれピン4Aで連結した後、伸縮ブーム1を伸長させなから起仰させて、第2中間ジブ21Cを第1中間ジブ21Bに対して直線状に指向させる。すると、第1中間ジブ21Bの先端部の腹面側ボス23B(左右一対ある)と第2中間ジブ21Cの基端部の腹面側ボス22B(左右一対ある)とが重合し、その重合した両ボス22B,23Bを図11に示す連結ピン4で連結する(両ボス穴に連結ピン4の挿入ピン41を挿通させる)ことにより、該第2中間ジブ21Cが第1中間ジブ21Bの先端部に継ぎ足される。
【0006】
そして、順次上記と同様に、必要本数の中間ジブを継ぎ足した後、その先端部にトップジブを連結することで、一連のラフィングジブ2を組立てることができる。尚、上記した立ち組み方式によるラフィングジブ2の組立方法は一般的なものであって(例えば上記特許文献1に記載されている)、ここではその詳細な説明は省略する。
【0007】
ところで、図10に示すラフィングジブの組立方法(立ち組み方式)において、各分割ジブの腹面側ボス22B,23B同士を連結ピンで連結する際には、背面側ボス22A,23A同士をピン4Aで連結した状態で、先側分割ジブが基側分割ジブに対して直線状になるまで引き上げる必要があるので、その連結すべき背面側ボスの高さが分割ジブのほぼ1本長さ分だけ上方に位置する。従って、立ち組み方式の場合の背面側ボス同士の連結作業は高所作業となるので、一般に図11に示すような油圧シリンダ42を用いた連結ピン4が使用される。尚、この連結ピン4は、油圧作動式であるのでパワーピンと称されている
この図11の連結ピン4は、両ボスのボス穴に挿通される挿入ピン41と、該挿入ピン41を出没させる油圧シリンダ42と、挿入ピン41を常時突出方向に付勢しているスプリング47とを有している。尚、図11の油圧シリンダ42において、符号43はシリンダチューブ、符号44はピストンロッド、符号45は伸長側送油ポート、符号46は縮小側送油ポートである。
【0008】
この連結ピン4は、図12及び図13に示すように分割ジブ21の基端部(図12の右端部)における腹面側(図13の下側)の左右両ボス22,22部分にそれぞれ内方向き姿勢で取付けられているサポート3,3に保持される。尚、図12は分割ジブ21の平面図であり、図13は図12のXIII−XIII拡大矢視図である。そして、両分割ジブ21,21の連結時(及び分解時)には、連結ピン4の油圧シリンダ42にアシストカーに搭載された油圧装置10(図10)から油路が接続される。
【0009】
分割ジブ21の長さ方向各端部にあるボスは、左右に間隔をもった2枚のボス板を有したもの(図12の右側ボスで基側ボス22という)と1枚のボス板のみのもの(図12の左側ボスで先側ボス23という)とがあり、2つの分割ジブ21,21を連結する際には、2枚のボス板を有する基側ボス22間に1枚のボス板からなる先側ボス23を挿入して両ボスを重合させる(そのとき両ボスの各穴が重合する)。2枚のボス板を有する基側ボス22の左右外面間の幅D(図13)は、ラフィングジブの機種にもよるが90〜95mm程度ある。
【0010】
連結ピン取付用のサポート3は、図12及び図13に示すように、連結ピン4の全長L(後述するようにL=550mm程度)よりやや短い程度で、上方が開口する断面コ形のものである。そして、左右の各サポート3,3は、左右向き姿勢で各サポート端部をそれぞれ各基側ボス22,22の内側端面に溶接により固定している。尚、この各サポート3,3は、溶接によって固定しているので、その取付強度は非常に強いものとなっている。
【0011】
ところで、図11に示す連結ピン4は、油圧シリンダ42の伸縮によって挿入ピン41を出没させ得るものであるが、該挿入ピン41は基側ボス22(2枚のボス板を有している)に対して抜き差しする必要があり、従って該挿入ピン41のストロークは基側ボス22の左右外面幅Dよりやや長い100mm程度必要となる。
【0012】
他方、図11の連結ピン4は、通常(油圧シリンダ42がフリー状態)は挿入ピン41を突出状態で維持させる必要から、挿入ピン41と油圧シリンダ42との間に弾発力の強いスプリング47が介在されている。そして、このスプリング47は、挿入ピン41のストローク(100mm程度)以上の伸縮ストロークが必要である。因に、図11の連結ピン4では、伸長状態におけるスプリング47の長さL1と、挿入ピン41の長さL2と、油圧シリンダ42部分の長さL3と、挿入ピン41の後端部にあるプレート厚さL4の、挿入ピン41の先端から油圧シリンダ42(シリンダチューブ43)の後端までの長さ(L1+L2+L3+L4)として500mmを若干超える程度(以下、500mm強という)あることが能力的に好ましいものである。
【0013】
図11の連結ピン4には、この連結ピン4をサポート3に固定するための固定部材として、シリンダチューブ43の後端部にブラケット48を取付けている。このブラケット48は、シリンダチューブ43の後端面から後方に突出する状態で取付けられている。尚、このブラケット48には、サポート3の両側壁に固定するための固定ピン49が挿通される。
【0014】
ところで、この連結ピン4は、油圧作動式であり、もし基側ボス22の穴と先側ボス23の穴とが位置ずれしている状態で油圧シリンダ42が伸長動作したときには、挿入ピン41に大きな抵抗が生じるが、そのときシリンダチューブ43に大きな反力(シリンダ縮小側への反力)が働くので、連結ピン4のサポート3に対する連結部(固定ピン49)は強度の強いものが要求される。そして、図11の連結ピン4では、固定ピン49として30mm程度の太さのものが使用されている関係で、ブラケット48もかなり大きいもの(突出長さL5が50mm程度)となっている。従って、図11の連結ピン4では、その全長L(L1+L2+L3+L4+L5)が550mm強程度のかなり長いものとなっている。
【0015】
図11の連結ピン4は、通常はスプリング47で付勢されて伸長している(挿入ピン41が突出している)。そして、この連結ピン4は、伸長状態で図13に示すようにサポート3内に収容し、その挿入ピン41部分を基側ボス22の両ボス板の各ボス穴22a,22aに挿通させた状態で、シリンダチューブ後端部のブラケット48をサポート3の両側面に固定ピン49で連結している。尚、連結ピン4をサポート3に装着した状態では、基側ボス22の内面から連結ピン4の後端(ブラケット48の後端)までの長さL6は440mm程度である。
【0016】
この連結ピン4をサポート3内にセットするには、図13の右側に鎖線図示(符号4′)するように、該連結ピン4′を伸長させた状態で行う必要がある。そして、挿入ピン41′の先端が基側ボス22の内面より内側に位置した状態でサポート3の上方開口から該サポート3内に落とし込み、該連結ピン全体を外方に移動させて挿入ピン41部分を基側ボス22のボス穴22a,22aに挿通させ、その後にブラケット48をサポート3の両側壁に固定ピン49で固定する。
【0017】
この連結ピン4は、故障時に修理や取替えが必要であるので、サポート3に対して取外し可能に装着されている。因に、図12及び図13に示す装着例では、固定ピン49を抜き外した後、連結ピン4全体を挿入ピン41が基側ボス22から抜け出すまで内方側に移動させることで取外すことができる。従って、連結ピン4をサポート3に脱着させるには、基側ボス22の内面から内方側に、少なくとも連結ピン4の全長L(550mm強)以上の左右長さの作業空間Gが必要となる。尚、連結ピン4の脱着は、片方ずつ行う関係で、該連結ピン4の脱着のための必要な作業空間Gは、一方の基側ボス22の内面から他方に位置する連結ピン4の後端(ブラケット48の後端)までの間隔Fが連結ピン4の全長L(550mm強)以上あればよい。
【0018】
ところで、ブームクレーンに使用されるラフィングジブ2(図10)は、機種によって大きさ(長さ方向に対する垂直断面の大きさ)が異なる。又、ラフィングジブ2の中には、先側の分割ジブほど大きさ(太さ)が小さい(細い)ものを使用する場合がある。例えば、図13の分割ジブ21では、左右の基側ボス22,22の内面間隔Eが約1500mmで、一方の基側ボス22の内面から他方に位置する連結ピン4の後端までの間隔F(E−L6)が1060mm程度あるので、連結ピン4の脱着に必要な作業空間G(550mm強以上)は十分に確保されている。
【0019】
ところが、図14に示すように、分割ジブ21の大きさが小さいもので、左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が例えば950mm程度のものでは、図11に示す全長Lが550mm強の連結ピン4を使用することができない。即ち、図14の分割ジブ21のように、左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が950mm程度であると、一方(左側)の連結ピン4をサポート3に装着した状態で他方(右側)の連結ピン4を装着させようとすると、右側の基側ボス22の内面から左側に位置する連結ピン4の後端までの間隔F1が510mm程度(950mm−440mm)となるので、連結ピン4を脱着させるのに必要な作業空間G(550mm強以上)を確保することができない。つまり、装着される側(右側)の連結ピン4の後端部(ブラケット48部分)と設置済(左側)の連結ピン4の後端部(ブラケット48部分)とが左右方向に長さH(40mm強)だけ重合するので、装着される側(右側)の連結ピン4を設置済(左側)の連結ピン4と同一直線上に位置させることができず、従って装着させる側(右側)の連結ピン4をサポート3内に収容させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第3636860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、上記した図11の連結ピン4では、ブラケット48があることで連結ピンの全長Lが長い(L=550mm強)ために、分割ジブ21の大きさが所定以下(左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が990mm強以下)まで小さいものには共用することができず、従って、その場合には長さの短い別製の連結ピンを使用する必要がある(用意すべき連結ピン4の種類が多くなる)。又、このように連結ピン4の長さを短くするにはスプリング47部分を短くする必要があるが、スプリング47部分を短くすると、その付勢力が小さくなるので、連結ピンとしての能力が低下するという問題もある。
【0022】
ところで、図11の連結ピン4において、ブラケット48部分は、連結ピン4の必要能力を得るための長さには関係ないものであり、連結ピン4をサポートに固定するのにブラケット48を取り除いてシリンダチューブ43の胴部をサポート3に固定することが考えられる。この場合は、連結ピン4の能力を低下させることなく、連結ピン4の全長をブラケット48の長さL5(50mm)分だけ短くできる。
【0023】
ところが、連結ピン4の固定方法として、シリンダチューブ43の胴部をサポート3に固定するのに一般的なボルト止めだけでは強度的に不十分である。即ち、油圧シリンダ42の伸長動作時に挿入ピン41がうまく両ボス22,23のボス穴に挿入できないときには、シリンダチューブ43に対して大きな反力が働くが、そのときボルト止めだけでは必要強度を確保するのが困難である(ボルトが剪断されてしまう虞れがある)。
【0024】
又、連結ピン4はサポート3に対して脱着自在に取付ける必要があるが、シリンダチューブ43の胴部をサポート3に対して高強度に取付けるためには、その取付部材がサポート3の外側に大きくはみ出すことが考えられる。
【0025】
そこで、本願発明は、連結ピンを、全長を短くした状態で且つ径方向のはみ出しを小さくし、さらに分割ジブ端部のボスに固定しているサポートに対して高強度で且つ着脱自在に取付け得るようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造を対象にしているが、発明の名称が長いので以下の説明では本願の名称を単に「連結ピン組付構造」と称することがある。
【0027】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用した、ラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造(以下、単に連結ピン組付構造という)である。
【0028】
本願の連結ピン組付構造は、基側分割ジブの先端部に先側分割ジブの基端部を連結する際の、腹面側のボス同士を連結するためのものであり、以下の説明でのボスは両分割ジブにおける腹面側のものである。尚、両分割ジブの背面側のボス同士は通常の連結ピンで連結される。
【0029】
又、本願の連結ピン組付構造は、左右に同じものが一対装備されるが、以下の説明では、主として片側のものについて説明する。
【0030】
基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとは、その一方のボスに間隔をもった2枚のボス板(穴付き)を有し、他方のボスに1枚のボス板(穴付き)を有していて、基側分割ジブの先端部と先側分割ジブの基端部を連結するには、1枚のボス板のボスを2枚のボス板のボスに対して両ボス板間に挿入する。
【0031】
本願請求項1で使用する連結ピンは、両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと、挿入ピンを出没させる油圧シリンダと、挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有している。挿入ピンは、両分割ジブの各ボスを実質的に連結するものであり、油圧シリンダは、油圧力によって挿入ピンをボスに対して出没させるものであり、スプリングは、油圧シリンダのフリー状態において挿入ピンを突出状態に維持させるものである。尚、この連結ピンの全長は、上記背景技術の項で説明したように、連結ピンとしての能力を確保するためにかなりの長さ(例えば500mm強)を有している。
【0032】
他方、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面には、連結ピン保持用のサポートを固定している。このサポートは、連結ピンのほぼ全長を収容し得る程度の長さを有したものが好ましい。又、このサポートは、底壁とその両側に各側壁を有した上部が開口する断面コ形のものが採用できる。そして、このサポートは、その長さ方向の一端を2枚のボス板を有するボスの内面側に溶接によって取付けている。
【0033】
そして、本願請求項1の連結ピン組付構造は、上記サポートに対して連結ピンの油圧シリンダ(シリンダチューブ)部分を保持させるようにしたものであり、以下の構成を特徴としている。
【0034】
まず、連結ピンの一部を構成する油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に、該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定している。この突起物は、サポート内に連結ピンを収容した状態で、サポートの側壁外面から若干長さ(例えば10mm程度)だけ突出する程度の小長さのものでよい。この突起物は、シリンダチューブの胴部に対して1つだけでもよいが、該胴部の対向側面に左右一対設けることが好ましい。又、この突起物は、その軸線方向から見て四角形のものが好ましいが、円形のものでもよい。
【0035】
サポートには、シリンダチューブの胴部に設けた突起物における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面をそれぞれガードし得る下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とを有した横向き開口の突起物収納部を設けている。この突起物収納部の下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とは、連結ピンをサポート内の正常位置に収納した状態で突起物の下面と上面と一方の端面をそれぞれほぼ接触状態で囲うようになっている。
【0036】
又、サポートには、突起物を突起物収納部に収納させた状態で突起物における油圧シリンダ縮小方向側の端面をガードするガード部材を、サポートに対して着脱自在に固定している。このガード部材は、サポートに対してボルト止めにて固定することができ、該ボルトを外すことで該サポートから取り外すことができるものである。尚、以下の説明では、突起物における油圧シリンダ伸長側の端面を前面ということがあり、該突起物における油圧シリンダ縮小側の端面を後面ということがある。又、油圧シリンダの伸長方向を前方(又は前方側)といい、油圧シリンダの縮小方向を後方(又は後方側)ということもある。
【0037】
サポートには、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けている。このストッパーは、後述するようにガード部材が突起物により後方側に押されたときのバックアップ部材(位置保持部材)となるものである。尚、このストッパーは、サポートに対して溶接にて強固に固定されている。
【0038】
この請求項1の連結ピン組付構造では、次のような機能を有している。
【0039】
まず、連結ピンをサポートに対して位置保持させるのに、シリンダチューブの胴部に設けた突起物を固定部材として使用しているので、連結ピンのシリンダチューブ後端部にブラケットのような突出物が不要となり、連結ピンの機能を低下させることなく連結ピンの全長を短くできる。このように、全長を短くした連結ピンでは、分割ジブの大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できるので、単一の連結ピンで対応可能な分割ジブの適用範囲を拡大できる。
【0040】
連結ピンの組付状態では、シリンダチューブの胴部に設けた突起物をサポートの突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方(突起物の軸線周り)からガードしているので、連結ピンのシリンダチューブをサポートに対して不動状態で支持できる。又、このとき油圧シリンダがフリー状態では、スプリングの付勢力により挿入ピンが両ボス連結側に突出していて、該挿入ピンが不用意に抜け出すことがない。
【0041】
油圧シリンダに油路を接続すると、該油圧シリンダを油圧力で伸縮させることができ、それによって挿入ピンを出没させることができる。そのとき、挿入ピンに抵抗があると、その反力がシリンダチューブに伝わるが、該シリンダチューブに設けている突起物を突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方からガードしているので、連結ピン全体を安定姿勢で保持できる。
【0042】
基側分割ジブの先端部に先側分割ジブの基端部を連結させるには、まず両分割ジブの背面側の両ボスを通常の連結ピンで連結した後、油圧シリンダを縮小させた状態(挿入ピン没入状態)で、腹面側の両ボスを重合させる。そして、その状態で油圧シリンダを伸長作動させると、挿入ピンが突出して両ボスのボス穴に跨がって挿通され、該挿入ピンで両ボスを連結できる。尚、両ボスの連結後は、油圧シリンダをフリー状態にするが、挿入ピンはスプリングで突出方向に付勢されているので、該挿入ピンが不用意に抜け出すことがない。
【0043】
ところで、挿入ピンで両ボスを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダが伸長動作したときに挿入ピンに大きな抵抗が発生して、シリンダチューブに大きな反力を受けるが、そのシリンダチューブに受ける反力は、突起物を介して該突起物の後面をガードしているガード部材に対して後向きの押圧力として作用する。そのとき、ガード部材はサポートに対してボルト止めしているが、該ガード部材に非常に大きい反力が加わったときには、ボルト止めだけではガード部材の位置保持力が不足する場合がある。
【0044】
そこで、本願請求項1では、ガード部材の後面をサポートに固定しているストッパーでバックアップしているので、該ガード部材に後向きの大きな押圧力が働いても、該ガード部材をストッパーで安定的に位置保持させることができる。
【0045】
又、挿入ピンの抜き出し時(油圧シリンダの縮小動作時)には、何らかの理由で挿入ピンに大きな抜き出し抵抗が働くことがあり、そのときにはその反力により突起物を前方に押す作用が働く。ところが、突起物の前面はサポート側の突起物収納部(高強度である)の端面(前面)ガード部でガードされているので、この場合も連結ピン(シリンダチューブ)を安定的に位置保持させることができる。又、挿入ピンの抜き挿し両操作時の反力が突起物に対して下方向又は上方向に働くこともあるが、該突起物に下方向又は上方向の反力が働いても、突起物の下面及び上面が突起物収納部の下面ガード部又は上面ガード部でそれぞれガードしているので、この場合も連結ピン(シリンダチューブ)を安定的に位置保持させることができる。
【0046】
この請求項1の連結ピン組付構造では、連結ピンの修理又は取り替え時に、ガード部材をサポートから分離し(ガード部材取付用のボルトを外すことで分離できる)、連結ピンをサポートに対して後方に移動させて突起物を突起物収納部から脱出させ、その状態で連結ピンを上方に抜き出せば、サポートから取り外すことができる。
【0047】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の連結ピン組付構造も、前提となる連結ピン及びサポートの各基本構成は上記請求項1のものと同じである。
【0048】
即ち、この請求項2の連結ピン組付構造は、伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、該連結ピンは、両ボスの両ボス穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、両ボスのいずれか一方のボスの内面に連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたものである。
【0049】
又、油圧シリンダのシリンダチューブの胴部には、該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定していることも、請求項1のものと同じである。
【0050】
そして、この請求項2の連結ピン組付構造では、サポートに、突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材をサポートに対して着脱自在に取付けており、該ガード部材で突起物をガードしていることでシリンダチューブをサポートに対して移動不能に位置決めしている。
【0051】
この請求項2のものでは、サポートには突起物をガードする部分はないが、ガード部材に突起物の軸線周りの四方をガードし得るガード部(穴)を設けて、該ガード部材のみで突起物を保持するようにしている。ガード部材は、サポートに対してボルト止めによって着脱自在に取付けることができる。尚、ガード部材をサポートに対してボルト止めだけで固定したものでは、上記請求項1部分で説明したように、該ガード部材の取付強度が不足することがある。
【0052】
そこで、この請求項2の連結ピン組付構造では、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けて、該ストッパーでガード部材の後面をバックアップしている。
【0053】
この請求項2の連結ピン組付構造では、シリンダチューブに設けている突起物をガード部材単独で四方から位置保持しているとともに、突起物に対して特に大きな反力が発生する可能性がある油圧シリンダの伸長動作時(挿入ピンの突出動作時)においてガード部材に対して大きな後方押圧作用が働いても、該ガード部材をストッパーでバックアップしているので、該ガード部材を確実に位置保持させることができる。
【0054】
尚、挿入ピンの出没動作に起因する突起物への反力の大きさは、後方側が最も大きく発生する可能性があり(両ボス穴が位置ずれしている状態で油圧シリンダが伸長動作したとき)、前方側(挿入ピンの抜き出し時)にはそれよりかなり小さいものであり、下方側及び上方側にはさらに小さいものしか発生しない。
【0055】
従って、この請求項2では、突起物(ガード部材)に大きな反力が発生する可能性があるガード部材の後面側のみをストッパーでバックアップしている。尚、突起物(ガード部材)に対してさほど大きな反力が発生しない前面側、上面側及び下面側の三方は、ガード部材をサポートにボルト止めする程度の固定力で位置保持し得ると考えられる。
【0056】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の連結ピン組付構造において、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの伸長方向側の端面(前面)に近接(ほぼ当接)する第2のストッパーを設けたものである。尚、この請求項3の場合は、第2のストッパーに対して上記請求項2におけるガード部材後面側のストッパーが第1のストッパーとなる。
【0057】
この請求項3の連結ピン組付構造では、ガード部材の前後各側から2つのストッパーでそれぞれ位置保持させているので、該ガード部材の前後方向の位置保持が一層確実となる。尚、挿入ピンの出没動作に起因する突起物への反力は、下面側及び上面側には非常に小さいものであり、突起物への下面側及び上面側への反力に対しては、ガード部材をサポートにボルト止めした程度の固定力で十分に対応できる。
【発明の効果】
【0058】
[本願請求項1の発明の効果]
請求項1の連結ピン組付構造には、次のような効果がある。
【0059】
(1) 連結ピンをサポートに対して位置保持させるのに、シリンダチューブの胴部に設けた突起物を固定部材として使用しているので、連結ピンのシリンダチューブ後端部にブラケット(固定部材となる)のような突出物が不要となり、従って連結ピンの機能を低下させることなく該連結ピンの全長を短くできる。このように、全長を短くした連結ピンでは、分割ジブの大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できるので、単一の連結ピンで対応可能な分割ジブの適用範囲を拡大できる。
【0060】
(2) 連結ピンの組付状態では、シリンダチューブの胴部に設けた突起物をサポートの突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方(突起物の軸線周り)からガードしていることで連結ピンを位置保持しているので、その保持部分が突起物の外端よりシリンダチューブ径方向外方にはみ出すことがない。従って、連結ピンをシリンダチューブの胴部で保持するものであっても、その保持部分(サポートの突起物収納部とガード部材)をコンパクトに構成でき、周囲の余剰空間を広くできる。
【0061】
(3) 高強度であるサポートに、下面ガード部と上面ガード部と一方の端面ガード部(前面ガード部)とを有した突起物収納部を設けて、該突起物収納部に突起物を収納しているので、突起物の下面と上面と一方の端面(前面)との三面を既存のサポートを利用してガードできる(サポートを有効利用できる)とともに、該サポートは高強度部材であるので突起物の三方を確実に位置保持できる。
【0062】
(4) 挿入ピンで両ボスを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダが伸長動作したときに挿入ピンに大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ及び突起物を介してガード部材に後方側への大きな反力が作用する可能性があるが、ガード部材における油圧シリンダ縮小側の端面(後面)にストッパー(サポートに固定)を近接(ほぼ当接)させているので、ガード部材をボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、ガード部材が後方側に移動するのを確実に阻止できる(ガード部材固定用のボルトが剪断しない)。
【0063】
[本願請求項2の発明の効果]
請求項2の連結ピン組付構造は、サポートに、突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材をサポートに対して着脱自在に取付けている。又、該サポートに、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けている。
【0064】
従って、この請求項2の連結ピン組付構造では、上記請求項1における上記(1)と(2)と(4)の各効果があるとともに、サポート側に突起物ガード用の加工が不要となり、該突起物ガードのための構成が簡単となる(ガード部材側に突起物の四方をガードする穴を設けるだけでよい)という効果がある。
【0065】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の連結ピン組付構造において、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの伸長方向側の端面(前面)に近接(ほぼ当接)する第2のストッパーを設けたものである。
【0066】
従って、この請求項3のものでは、上記請求項2の効果に加えて、油圧シリンダの縮小動作時における挿入ピンの抵抗による反力でガード部材に前方側への押圧作用が働いても、ガード部材の前面を第2のストッパーでバックアップしているので、該ガード部材が前方側にも移動することがない(ガード部材固定用のボルトが剪断しない)という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願第1実施例の連結ピン組付構造を示す側面図である。
【図2】図1の連結ピン組付構造の平面図である。
【図3】図1の連結ピン組付構造のIII−III拡大断面図である。
【図4】図1の連結ピン組付構造のIV−IV拡大断面図である。
【図5】図1の連結ピン組付構造における油圧シリンダ縮小状態での平面図である。
【図6】図1の連結ピン組付構造の組付方法説明図である。
【図7】図1の連結ピンを使用したことによる機能説明図である。
【図8】本願第2実施例の連結ピン組付構造を示す側面図である。
【図9】図8の連結ピン組付構造の平面図である。
【図10】ラフィングジブの一般的な組立方法の説明図である。
【図11】公知(特許文献1)の連結ピンの断面図である。
【図12】図11の連結ピンを装着させた分割ジブの平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII拡大矢視図である。
【図14】図11の連結ピンの問題点説明図である。
【実施例】
【0068】
以下、図1〜図9を参照して本願の実施例を説明すると、図1〜図7には本願請求項1に対応する第1実施例の連結ピン組付構造を示し、図8〜図9には本願請求項2及び3に対応する第2実施例の連結ピン組付構造を示している。
【0069】
尚、本願の各実施例の連結ピン組付構造も、図10に示すように各分割ジブ(21A,21B,21C)を順次継ぎ足して一連のラフィングジブ2に組付けるためのものであるが、各実施例の連結ピン組付構造は、ラフィングジブを図10に示す立ち組み方式で組立てる方式のほかに、地面上で組立てる場合にも適用できるものである。
【0070】
又、本願各実施例で使用されている連結ピン4の基本構成部分は図11の公知のものとほぼ同じであり、さらに本願各実施例で使用される連結ピン4も図12及び図13に示すように分割ジブ21の基部側端部の腹面側の左右各ボス22,22に取付けられるものである、従って、本願各実施例の説明において、図10〜図13を併用することがある。
【0071】
[図1〜図7の第1実施例]
この第1実施例の連結ピン組付構造は、図1〜図4に示すものであるが、この連結ピン組付構造も、図12及び図13に示す公知例のように分割ジブ21の左右の各基側ボス22,22のそれぞれ内面側に装着されるものである。尚、図12及び図13の連結ピン組付構造では、連結ピン4を油圧シリンダ42の後端部に設けたブラケット48をサポート3に対して固定ピン49で位置保持させるものであるが、この点は本願と異なる。
【0072】
図1〜図4に示す第1実施例の連結ピン組付構造では、分割ジブ21の基側ボス22(2枚のボス板を有している)の内面にサポート3の一端部を溶接により固定しており、該サポート3内に連結ピン4を収容し、連結ピン4の挿入ピン41を基側ボス22のボス穴22aに挿通させた状態で、該連結ピン4をサポート3に対して後述する構成で位置保持させている。
【0073】
この第2実施例で使用されている連結ピン4は、基側ボス22及び先側ボス23の各ボス穴22a,23aに跨がって挿通される挿入ピン41と、該挿入ピン41を出没させる油圧シリンダ42と、挿入ピン41を突出方向に付勢するスプリング47とを基本構成としている。
【0074】
この連結ピン4における挿入ピン41と油圧シリンダ42とスプリング47とは、図11の公知例のものと同構成のものである。そして、この実施例で使用される連結ピン4も、図11の連結ピン4と同様に、油圧シリンダ42がフリー状態ではスプリング47の弾発力で挿入ピン41を突出状態に維持し、縮小側送油ポート46に作動油を供給するとスプリング47の弾発力に抗して挿入ピン41を没入させ、伸長側送油ポート45に作動油を供給すると挿入ピン41を突出させるようになっている。
【0075】
又、この実施例で使用される連結ピン4は、図11におけるブラケット48のないものであって、挿入ピン41の長さL2と、スプリング47の伸長状態での長さL1と、シリンダチューブ43の長さL3と、プレート厚さL4との合計長さ(L1+L2+L3+L4)が500mm強となっている。尚、この連結ピン4の合計長さ(500mm強)は、分割ジブ連結用の連結ピンとしての能力を十分に確保し得るものである。
【0076】
サポート3は、図1〜図4に示すように、内部に連結ピン4を収容し得る容積を有し、底壁31と左右の側壁32,32を有する断面コ形のもので、連結ピン41のほぼ全長を収容し得る程度の長さ(例えば全長が405mm)を有している。又、両側壁32,32の外面間隔は110mm程度に設定している。尚、これらの各寸法は特に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。
【0077】
そして、このサポート3は、上部に開口が位置する状態でその長さ方向の一端を2枚のボス板を有する基側ボス22の内面側に溶接によって取付けている。このようにサポート3を溶接によって取付けると、基側ボス22に対して高強度に固定できる。尚、以下の説明では、油圧シリンダ42の伸長方向側を前方(又は前側)といい、油圧シリンダ42の縮小方向側を後方(又は後側)ということがある。
【0078】
このサポート3に連結ピン4を装着させるには、該連結ピン4をサポート3の上部開口からサポート3内に落とし込んだ後、挿入ピン41が基側ボス22の2枚のボス板の各ボス穴22a,22aに完全に挿通されるまでの前方に移動させる。そして、この第1実施例の連結ピン組付構造では、サポート3に連結ピン4を位置保持させるのに、油圧シリンダ42のシリンダチューブ43部分を保持させるようにしている関係で、以下のように構成されている。
【0079】
まず、連結ピン4の一部を構成する油圧シリンダ42のシリンダチューブ43の胴部に該シリンダチューブ43の径方向外方に突出する突起物40を固定している。この突起物40は、シリンダチューブ43の左右側面の対向位置に一対設けられている。尚、一方の突起物40(図3の右側の突起物40)は、縮小側送油路取付の突起物を利用している。
【0080】
この各突起物40,40は、サポート3内に連結ピン4を収容した状態で、サポート3の各側壁32,32のそれぞれ外面から若干長さ(例えば10mm程度)だけ突出する程度のものでよい。尚、この実施例では、一方(図3の右側)の突起物40に縮小側油路取付用のものを利用している関係で、他方(図3の左側)の突起物40より突出幅が若干長くなっている。
【0081】
この第1実施例の各突起物40,40は、その軸線方向から見て一辺が35mm程度の正方形のものが使用されている。尚、突起物40の大きさ(太さ)は上記寸法に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。又、他の実施例では、突起物40として例えば円形のものを使用することもできる。
【0082】
連結ピン4をサポート3に装着するには、該連結ピン4をサポート3の上方から落とし込んだ後、連結ピン4を前方に移動させるが、そのとき左右の突起物40,40がサポート3の左右各側壁32,32に干渉しないようにするために、該各側壁32,32の上部にその上端から所定深さを有し且つ前後に所定長さを有した切欠状の空所33,33を設けている。そして、各切欠状空所33,33のそれぞれ前端部に、シリンダチューブ43の胴部に設けた各突起物40,40をそれぞれ位置保持するための突起物収納部34,34を設けている。
【0083】
この各突起物収納部34,34は、連結ピン4をサポート3内において挿入ピン41が基側ボス22の両ボス穴22a,22aに挿通される位置まで前進させた状態(図1及び図2の状態)で、各突起物40,40における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面(前面)をそれぞれガードし得る下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cとを有した横向き開口の切欠状に形成している。尚、突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cは、それぞれサポート3の左右各側壁32,32で構成されたものであり、それぞれ剛性が高いものである。尚、上面ガード部34bは、軒状に突出したものであるが、上下にかなりの幅(突起物40の高さと同程度)を有しているので、必要な剛性を確保している。
【0084】
この突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cとは、連結ピン4をサポート3内の正常位置に収納した状態(図1及び図2の状態)で、突起物40の下面と上面と前面をそれぞれほぼ接触状態で囲うようになっている。即ち、この突起物収納部34の空所の大きさは、上下間隔及び奥行き深さがそれぞれ突起物40の正面視の一辺(35mm程度)より僅かに大きい程度に設定しており、図1及び図2に示すように連結ピン4をサポート3内の正常位置に収納した状態では、図3に示すように突起物40の下面と上面がそれぞれ突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bに近接(ほぼ当接)している一方、図4に示すように突起物40の前面が突起物収納部34の前面ガード部34cに近接(ほぼ当接)している。
【0085】
サポート3の左右各側壁32,32には、次述するガード部材5をボルト止めするためのネジ穴35がそれぞれ複数箇所(4箇所)に形成されている。
【0086】
サポート3には、各突起物40,40を突起物収納部34,34に収納させた状態で突起物40における油圧シリンダ縮小方向側の端面(後面)をガードするガード部材5が取付けられている。
【0087】
このガード部材5は、上壁51と左右の各側壁52,52とを有した下方が開口するコ形に形成されている。上壁51及び各側壁52,52は、かなりの剛性を有しており、さらに両側壁52,52の内面間隔は上記サポート3の両側壁32,32の外面間隔より僅かに広く設定している。
【0088】
このガード部材5の両側壁52,52には、サポート3の各側壁32,32に設けた各ネジ穴35に合致するボルト挿通穴53(4個ずつ)が形成されている。尚、この各ボルト挿通穴53は、前後に若干長さを有する長穴にして、後述するようにガード部材5をサポート3に固定する際の位置決め時に余裕をもたせるようにするとよい。
【0089】
又、ガード部材5の左右両側壁52,52には、後述するようにガード部材5をサポート3に対して正常位置に固定した状態で、サポート3の各突起物収納部34,34に収納させた各突起物40,40の後面に近接(ほぼ当接)するガード部54を有している。
【0090】
そして、このガード部材5はサポート3に対して次のように取付けている。即ち、ガード部材5をサポート3に対してガード部材5の各側壁52,52がサポート3の両側壁32,32を跨ぐように被せた状態で、ガード部材5の各側壁52,52の外面から各ボルト挿通穴53を通して各ネジ穴35にそれぞれボルト61(4本ずつ)を螺合させることにより、ガード部材5をサポート3に取付けている。
【0091】
このガード部材5の取付状態では、各側壁52,52のガード部54,54が突起物収納部34内の正常位置(奥端部)に収納されている突起物40,40の後面に近接(ほぼ当接)している。従って、各突起物40,40は、突起物収納部34の各ガード部34a,34b,34cで三方(下面と上面と前面)からガードされている一方、ガード部材5のガード部54で残りの一方(後面)をガードされているので、シリンダチューブ43は前後及び上下に移動不能状態で位置保持されることになる。
【0092】
ところで、両分割ジブ21,21の基側ボス22と先側ボス23とを連結ピン4の挿入ピン41で連結する際には、油圧シリンダ42を伸長させて挿入ピン41を両ボス22,23の各ボス穴22a,23aに挿通させるが、基側ボス22のボス穴22aに対して先側ボス23のボス穴23aが位置ずれしている場合には、挿入ピン41に大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ43に大きな反力を受ける。そして、そのシリンダチューブ43に受ける反力は、突起物40,40を介して該突起物40,40の後面をガードしているガード部材5(左右の側壁52,52)に対して後向きの押圧力として作用する。そのとき、ガード部材5はサポート3に対して各ボルト61(左右に4本ずつ)で固定しているが、該ガード部材5に非常に大きい反力(後方押圧力)が加わったときには、ボルト止めだけではガード部材5の固定力が不足する場合がある(ボルト61が剪断されることがある)。
【0093】
そこで、この第1実施例では、サポート3の各側壁32,32の外面に、ガード部材5の各側壁52,52の後面52aに近接(ほぼ当接)するストッパー36を設けている。このストッパー36の取付位置は、ガード部材側壁52の前部にあるガード部54が突起物収納部34の正常位置に収納された突起物40の後面に近接(ほぼ当接)する状態で、ガード部材側壁52の後面52aに近接(ほぼ当接)するように位置決めされている。
【0094】
この第1実施例の連結ピン組付構造は、図6(及び図7の右半分)に示すようにして組立てられる。尚、連結ピン4は、油圧シリンダ42がフリー状態ではスプリング47によって挿入ピン41が前方に突出しているので、全長が長い状態となっている(全長が500mm強)。
【0095】
そして、まず挿入ピン突出状態の連結ピン4を基側ボス22の内面に取付けているサポート3内にその上方から落とし込むが、そのとき平面視において挿入ピン41の前端41aが基側ボス22の内面22bに近接する位置で行う。すると、左右の突起物40,40がサポート3の両側壁32,32よりそれぞれ外方に突出しているものの、該各突起物40,40が該各側壁32,32に設けた空所33,33内に進入して、連結ピン4全体をサポート3内に収容できる。
【0096】
次に、サポート3内に収容した連結ピン4を前方に移動させて、挿入ピン41を基側ボス22のボス穴22a,22aに挿通させる。このとき、各突起物40は、サポート3の各側壁32の空所33の底辺に沿って前方移動した後、突起物収納部34内に進入する。
【0097】
続いて、ガード部材5を、その両側壁52,52がサポート3の両側壁32,32を跨ぐ状態で上方から被せるが、そのときガード部材5の側壁52の後面52aと前部のガード部54とがそれぞれサポート側壁32のストッパー36の前面と突起物収納部34内に収納している突起物40の後面に近接(ほぼ当接)する状態で、該ガード部材5を下動させる。尚、この状態では、ガード部材側壁52側の各ボルト挿通穴53(4箇所)がそれぞれサポート側壁32側の各ネジ穴35(4箇所)に重合する。
【0098】
その後、左右のガード部材側壁52,52の各ボルト挿通穴53を通して各ボルト61(図1〜図4)を左右のサポート側壁32,32の各ネジ穴35に螺合させることで、この連結ピン組付構造の組立てが完了する。
【0099】
上記した第1実施例の連結ピン組付構造には、次のような機能がある。
【0100】
まず、連結ピン4をサポート3に対して位置保持させるのに、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40を固定部材として使用しているので、図11の連結ピンのようにシリンダチューブ後端部にブラケットのような突出物が不要となり、連結ピン4の機能を低下させることなく該連結ピン4の全長を短くできる。即ち、この第1実施例の連結ピン4の全長(図7のL0)は、図11の連結ピンの全長L(550mm強)よりブラケットの突出長さ分(50mm)だけ短く(L0=500mm強)なっている。そして、この連結ピン4をサポート3に装着するには、その全長L0(500mm強)が最低長さの必要作業空間Gとなる。
【0101】
このように、全長(L0=500mm強)を短くした連結ピン4では、例えば図7に示すように分割ジブ21の大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できる。即ち、図7の分割ジブ21は図14のものと同大きさであり、この場合の左右両ボス22,22の内面間隔E1は950mmである。又、図7の左側の連結ピン組付構造で示すように、サポート3に連結ピン4を装着した状態では、基側ボス22の内面から連結ピン4の後端までの長さL7が390mm程度(図11のL1+L3)であるので、他方の基側ボス22の内面から既設側の連結ピン4の後端までの間隔F2(E1−L7)が570mm程度となる。この間隔F2は、連結ピン4をサポート3に組付ける際の作業空間となるものであるが、図7の例では該間隔F2(570mm程度)が連結ピン4の全長L0(500mm強)より長さH1(H1=70mm程度)だけ長くなっている。
【0102】
従って、図7に示すように、一方(左側)の連結ピン4をサポート3に装着した状態で、他方(右側)の連結ピン4をサポート3に組付ける際に、上記間隔(余剰間隔)F2が連結ピン組付けのための最低長さの必要作業空間GよりH1(70mm程度)だけ長いので、組付側の連結ピン4を余裕をもって組付けることができる。
【0103】
このことは、機能を低下させない長さL0(500mm強)の連結ピン4であっても、分割ジブ21の大きさ(両ボス間の間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できることを意味し、単一の連結ピン4で対応可能な分割ジブ21の適用範囲を拡大できる。
【0104】
又、他の機能として、連結ピン4の組付状態では、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40をサポート3の突起物収納部34とガード部材5とで上下及び前後の四方(突起物40の軸線周り)からガードしていることで連結ピン4を固定(位置保持)しているので、その保持部分が突起物40の外端よりシリンダチューブ径方向外方にはみ出すことがない。従って、連結ピン4をシリンダチューブ43の胴部で保持するものであっても、その保持部分(サポート3の突起物収納部34とガード部材5)をコンパクトに構成でき、周囲の余剰空間を広くできる。
【0105】
又、高強度であるサポート3に、下面ガード部34aと上面ガード部34bと一方の端面ガード部(前面ガード部)34cとを有した突起物収納部34を設けて、該突起物収納部34に突起物40を収納しているので、突起物40の下面と上面と一方の端面(前面)との三面を既存のサポート3を利用してガードできる(サポート3を有効利用できる)とともに、該サポート3は高強度部材であるので突起物40の三方(三面)を確実に位置保持できる。
【0106】
又、挿入ピン41で一方の分割ジブ21の先側ボス23と他方の分割ジブ21の基側ボス22とを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダ42が伸長動作したときに挿入ピン41に大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ43及び突起物40を介してガード部材5に後方側への大きな反力が作用することがあるが、ガード部材5における油圧シリンダ縮小側の端面(後面)にストッパー36を近接(ほぼ当接)させているので、ガード部材5をボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、ガード部材5が後方側に移動するのを確実に阻止できる。尚、ガード部材側壁52側のボルト挿通穴53を長穴にしておけば、ガード部材5の後面がストッパー36に圧接するまで(ごく僅かである)後退しても、ボルト61に対して剪断作用は働かない。
【0107】
又、この第1実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4が故障等の不都合が生じた際に、該連結ピン4をサポート3から取外す必要あるが、その取外しは、ガード部材5の各固定ボルト61(左右3本ずつある)を抜き外し、ガード部材5をサポート3から上方に離脱させて、連結ピン4をサポート3内で後方に移動させた後(挿入ピン41が両ボス穴から抜け出すとともに、突起物40も突起物収納部34から抜け出す)、該連結ピン4を上方に持ち上げることで達成できる。
【0108】
ところで、この第1実施例で使用されている連結ピン4には、上記構成のほかに、挿入ピン41が突出状態(図1及び図2)にあるか没入状態(図5)にあるかを地上から確認し得るようにするための確認装置7が設けられている。
【0109】
この確認装置7は、挿入ピン41の後端部に設けた筒部材71と、シリンダチューブ43の後端部に設けた識別板72とを有している。
【0110】
筒部材71は、スプリング47の外側を囲う状態で、挿入ピン41の後端部からかなり後方まで延出されている。又、この筒部材71の後部側には、大きく切欠いた開放部71aと、縮小側油路取付用の突起物40を跨ぐ長溝71bとが形成されている。又、筒部材71の後端部には後述のロッド73の前端に当接し得る当接片74を設けている。
【0111】
識別板72は、シリンダチューブ43の後端部においてバネ75でシリンダチューブ43の後端面側に付勢されている。又、識別板72の前面側には、上記ロッド73の前端部が枢着されている。該ロッド73は、シリンダチューブ43の後端部に取付けているガイド部材76にガイドされた状態で前後動し得るようになっている。
【0112】
そして、この確認装置7は、挿入ピン41が前方に突出している状態(図1及び図2)では、筒部材71の後端部の当接片74がロッド73の前端から離間していて、識別板72がバネ75により閉状態(図1、図2の実線図示状態)に維持されている一方、図5に示すように挿入ピン41が基側ボス22のボス穴22aから抜け出すまで後退すると、筒部材後端部の当接片74がロッド73を後方に押して識別板72を図5の状態及び図1に二点鎖線で図示する状態に開放させるようになっている。
【0113】
従って、この確認装置7があると、識別板72が閉位置にあるか開位置にあるかを地上から視認することによって、連結ピン4の挿入ピン41が突出位置(図1、図2)にあるか後退位置(図5)にあるかを確認できる。
【0114】
[図8〜図9の第2実施例]
図8〜図9に示す第2実施例の連結ピン組付構造も、前提となる連結ピン4及びサポート3の各基本構成は上記第1実施例のものと同じである。
【0115】
即ち、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、連結ピン4として、挿入ピン41と油圧シリンダ42とスプリング47とを有しているとともに、シリンダチューブ43の胴部に左右一対の突起物40,40を取付けている。
【0116】
この第2実施例の突起物40も、第1実施例と同様に、軸線方向から見て一辺が35mm程度の正方形のものであるが、この第2実施例では後述するようにガード部材5Aのガード部となる四角穴54Aを突起物40に対してサポート側壁32の外方から嵌合させるようにしている関係で、該突起物40の先側部分(四角穴54Aが嵌合する部分)には四角穴嵌合の障害となるもの(例えば第1実施例の場合の油路)は設けない。
【0117】
他方、サポート3は、底壁31と左右の側壁32,32を有した上方が開口する断面コ形のものであるが、このサポート3の各側壁32,32には突起物40を直接位置保持するものはない。尚、サポート3の各側壁32,32には、連結ピン4をサポート3内に落とし込む際に突起物40が干渉しないようにするための切欠状の空所33が形成されている。
【0118】
そして、この第2実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4側の各突起物40,40を位置保持させる構造が上記第1実施例のものと若干異なっている。即ち、この第2実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4側の各突起物40,40をサポート3に位置保持させるのに、該各突起物40,40をその突出方向の軸線周りの四方からそれぞれガードし得る2つのガード部材5A,5Aを使用し、この各ガード部材5A,5Aをサポート3の左右各側壁32,32にボルト止め(符号61)している。
【0119】
この第2実施例で使用されるガード部材5Aは、サポート側壁32に設けている空所33より大きい面積を有した平板52Aが使用されている。この平板52Aは、その下辺部と前後各側辺部を複数のボルト61(片側5箇所)でサポート側壁32の外面に着脱自在に固定できる。
【0120】
このガード部材5Aの適所(即ち、連結ピン4をサポート3内の正常位置に収容した状態での突起物40の位置)には、突起物40の外形(35mm程度の正方形)とほぼ同形(僅かに大きい)の四角穴54Aを設けている。この四角穴54Aは、突起物40の上面と下面と前後各面の四方から該突起物40をガードするものであり、該四角穴54Aに突起物40を挿通させることで突起物40を確実に位置保持できるようになっている。
【0121】
ところで、ガード部材5Aをサポート側壁32の外面に対してボルト61だけで固定したものでは、該ガード部材5Aの取付強度が不足するので、この第2実施例でも、ガード部材5Aをストッパーで位置保持させている。
【0122】
この第2実施例では、該ストッパーとして、サポート3の各側壁32,32の外面に、ガード部材5Aの取付状態において、該ガード部材5Aの後面に近接(ほぼ当接)する第1のストッパー36と該ガード部材5Aの前面に近接(ほぼ当接)する第2のストッパー37とを取付けている。この第1のストッパー36及び第2のストッパー37は、サポート側壁32に対してそれぞれ溶接によって強固に固定している。
【0123】
尚、本願請求項2の連結ピン組付構造を実施する場合は、ガード部材5Aの前面側の第2のストッパー37がないものでもよい。
【0124】
この第2実施例の連結ピン組付構造でも、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40を、ガード部材5を介してサポート3に位置保持させているので、連結ピン4として図11のブラケット48のないもの(全長が500mm強のもの)を使用できる。
【0125】
又、サポート3にボルト止めしているガード部材5Aで連結ピン4側の突起物40をその軸線周りの四方からガードしているので、シリンダチューブ43の胴部を位置保持するものであっても、その位置保持部材がシリンダチューブ43の径方向外方にはさほど大きくはみ出さない。
【0126】
又、油圧シリンダ42の伸長動作で挿入ピン41が突出する際に、両ボス穴22a,23aが位置ずれしている場合には該挿入ピン41に大きな抵抗が生じる(シリンダチューブ43、突起物40を介してガード部材5Aに大きな反力が発生する)が、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、ガード部材5Aの後面を第1のストッパー36でガードしているので、ガード部材5Aをボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、該ガード部材5Aが後方側に移動するのを確実に阻止できる。
【0127】
さらに、この第2実施例では、ガード部材5Aの前面にも第2のストッパー37を設けているので、油圧シリンダ42の縮小動作時に挿入ピン41に大きな抵抗が生じても、ガード部材5Aが前方側にも移動することがない。
【0128】
尚、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、ガード部材固定用の各ボルト61(各側に5本ずつある)を外して各ガード部材5A,5Aをサポート3から取り外すと、連結ピン4をサポート3から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0129】
1は伸縮ブーム、2はラフィングジブ、3はサポート、4は連結ピン、5,5Aはガード部材、21は分割ジブ、22はボス(基側ボス)、22aはボス穴、23はボス(先側ボス)、23aはボス穴、32はサポートの側壁、34は突起物収納部、36はストッパー(第1のストッパー)、37は第2のストッパー、40は突起物、41は挿入ピン、42は油圧シリンダ、43はシリンダチューブ、47はスプリング、52はガード部材の側壁、52Aは平板、54はガード部、54Aは四角穴(ガード部)、61はボルトである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームの先端部にラフィングジブを取付けて使用するラフィングジブ付きブームクレーンに関し、さらに詳しくは、複数の分割ジブを連結する際に使用されるラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、高揚程あるいは遠隔位置での荷揚げ・荷下ろし作業を行うのに、伸縮ブームの先端部にラフィングジブを用いる場合がある。
【0003】
この種のラフィングジブは、複数の分割ジブに分割されていて、例えばクレーン車に装備されている伸縮ブームの先端部に各分割ジブを順次連結して構成される。即ち、このラフィングジブは、伸縮ブームの先端部にベースジブを取付け、該ベースジブの先端部に所定本数の中間ジブを継ぎ足した後、その先端部にトップジブを連結して構成される。
【0004】
ラフィングジブの各分割ジブの組立は、図10に示すように立ち組み方式で行う場合がある。尚、図10のラフィングジブ組立方法は、特許第3636860号公報(特許文献1)に示されるものであり、該図10の状態は、伸縮ブーム1の先端部にベースジブ21Aと第1中間ジブ21Bを連結した状態で、該第1中間ジブ21Bの先端部に第2中間ジブ21Cの基端部を連結しようとしているところである。
【0005】
第1中間ジブ21Bと第2中間ジブ21Cとの連結は、図10に示すように、第2中間ジブ21Cを地上に横たわらせた状態で、第1中間ジブ21Bの先端部の背面側ボス23A(左右一対ある)と第2中間ジブ21Cの基端部の背面側ボス22A(左右一対ある)とをそれぞれピン4Aで連結した後、伸縮ブーム1を伸長させなから起仰させて、第2中間ジブ21Cを第1中間ジブ21Bに対して直線状に指向させる。すると、第1中間ジブ21Bの先端部の腹面側ボス23B(左右一対ある)と第2中間ジブ21Cの基端部の腹面側ボス22B(左右一対ある)とが重合し、その重合した両ボス22B,23Bを図11に示す連結ピン4で連結する(両ボス穴に連結ピン4の挿入ピン41を挿通させる)ことにより、該第2中間ジブ21Cが第1中間ジブ21Bの先端部に継ぎ足される。
【0006】
そして、順次上記と同様に、必要本数の中間ジブを継ぎ足した後、その先端部にトップジブを連結することで、一連のラフィングジブ2を組立てることができる。尚、上記した立ち組み方式によるラフィングジブ2の組立方法は一般的なものであって(例えば上記特許文献1に記載されている)、ここではその詳細な説明は省略する。
【0007】
ところで、図10に示すラフィングジブの組立方法(立ち組み方式)において、各分割ジブの腹面側ボス22B,23B同士を連結ピンで連結する際には、背面側ボス22A,23A同士をピン4Aで連結した状態で、先側分割ジブが基側分割ジブに対して直線状になるまで引き上げる必要があるので、その連結すべき背面側ボスの高さが分割ジブのほぼ1本長さ分だけ上方に位置する。従って、立ち組み方式の場合の背面側ボス同士の連結作業は高所作業となるので、一般に図11に示すような油圧シリンダ42を用いた連結ピン4が使用される。尚、この連結ピン4は、油圧作動式であるのでパワーピンと称されている
この図11の連結ピン4は、両ボスのボス穴に挿通される挿入ピン41と、該挿入ピン41を出没させる油圧シリンダ42と、挿入ピン41を常時突出方向に付勢しているスプリング47とを有している。尚、図11の油圧シリンダ42において、符号43はシリンダチューブ、符号44はピストンロッド、符号45は伸長側送油ポート、符号46は縮小側送油ポートである。
【0008】
この連結ピン4は、図12及び図13に示すように分割ジブ21の基端部(図12の右端部)における腹面側(図13の下側)の左右両ボス22,22部分にそれぞれ内方向き姿勢で取付けられているサポート3,3に保持される。尚、図12は分割ジブ21の平面図であり、図13は図12のXIII−XIII拡大矢視図である。そして、両分割ジブ21,21の連結時(及び分解時)には、連結ピン4の油圧シリンダ42にアシストカーに搭載された油圧装置10(図10)から油路が接続される。
【0009】
分割ジブ21の長さ方向各端部にあるボスは、左右に間隔をもった2枚のボス板を有したもの(図12の右側ボスで基側ボス22という)と1枚のボス板のみのもの(図12の左側ボスで先側ボス23という)とがあり、2つの分割ジブ21,21を連結する際には、2枚のボス板を有する基側ボス22間に1枚のボス板からなる先側ボス23を挿入して両ボスを重合させる(そのとき両ボスの各穴が重合する)。2枚のボス板を有する基側ボス22の左右外面間の幅D(図13)は、ラフィングジブの機種にもよるが90〜95mm程度ある。
【0010】
連結ピン取付用のサポート3は、図12及び図13に示すように、連結ピン4の全長L(後述するようにL=550mm程度)よりやや短い程度で、上方が開口する断面コ形のものである。そして、左右の各サポート3,3は、左右向き姿勢で各サポート端部をそれぞれ各基側ボス22,22の内側端面に溶接により固定している。尚、この各サポート3,3は、溶接によって固定しているので、その取付強度は非常に強いものとなっている。
【0011】
ところで、図11に示す連結ピン4は、油圧シリンダ42の伸縮によって挿入ピン41を出没させ得るものであるが、該挿入ピン41は基側ボス22(2枚のボス板を有している)に対して抜き差しする必要があり、従って該挿入ピン41のストロークは基側ボス22の左右外面幅Dよりやや長い100mm程度必要となる。
【0012】
他方、図11の連結ピン4は、通常(油圧シリンダ42がフリー状態)は挿入ピン41を突出状態で維持させる必要から、挿入ピン41と油圧シリンダ42との間に弾発力の強いスプリング47が介在されている。そして、このスプリング47は、挿入ピン41のストローク(100mm程度)以上の伸縮ストロークが必要である。因に、図11の連結ピン4では、伸長状態におけるスプリング47の長さL1と、挿入ピン41の長さL2と、油圧シリンダ42部分の長さL3と、挿入ピン41の後端部にあるプレート厚さL4の、挿入ピン41の先端から油圧シリンダ42(シリンダチューブ43)の後端までの長さ(L1+L2+L3+L4)として500mmを若干超える程度(以下、500mm強という)あることが能力的に好ましいものである。
【0013】
図11の連結ピン4には、この連結ピン4をサポート3に固定するための固定部材として、シリンダチューブ43の後端部にブラケット48を取付けている。このブラケット48は、シリンダチューブ43の後端面から後方に突出する状態で取付けられている。尚、このブラケット48には、サポート3の両側壁に固定するための固定ピン49が挿通される。
【0014】
ところで、この連結ピン4は、油圧作動式であり、もし基側ボス22の穴と先側ボス23の穴とが位置ずれしている状態で油圧シリンダ42が伸長動作したときには、挿入ピン41に大きな抵抗が生じるが、そのときシリンダチューブ43に大きな反力(シリンダ縮小側への反力)が働くので、連結ピン4のサポート3に対する連結部(固定ピン49)は強度の強いものが要求される。そして、図11の連結ピン4では、固定ピン49として30mm程度の太さのものが使用されている関係で、ブラケット48もかなり大きいもの(突出長さL5が50mm程度)となっている。従って、図11の連結ピン4では、その全長L(L1+L2+L3+L4+L5)が550mm強程度のかなり長いものとなっている。
【0015】
図11の連結ピン4は、通常はスプリング47で付勢されて伸長している(挿入ピン41が突出している)。そして、この連結ピン4は、伸長状態で図13に示すようにサポート3内に収容し、その挿入ピン41部分を基側ボス22の両ボス板の各ボス穴22a,22aに挿通させた状態で、シリンダチューブ後端部のブラケット48をサポート3の両側面に固定ピン49で連結している。尚、連結ピン4をサポート3に装着した状態では、基側ボス22の内面から連結ピン4の後端(ブラケット48の後端)までの長さL6は440mm程度である。
【0016】
この連結ピン4をサポート3内にセットするには、図13の右側に鎖線図示(符号4′)するように、該連結ピン4′を伸長させた状態で行う必要がある。そして、挿入ピン41′の先端が基側ボス22の内面より内側に位置した状態でサポート3の上方開口から該サポート3内に落とし込み、該連結ピン全体を外方に移動させて挿入ピン41部分を基側ボス22のボス穴22a,22aに挿通させ、その後にブラケット48をサポート3の両側壁に固定ピン49で固定する。
【0017】
この連結ピン4は、故障時に修理や取替えが必要であるので、サポート3に対して取外し可能に装着されている。因に、図12及び図13に示す装着例では、固定ピン49を抜き外した後、連結ピン4全体を挿入ピン41が基側ボス22から抜け出すまで内方側に移動させることで取外すことができる。従って、連結ピン4をサポート3に脱着させるには、基側ボス22の内面から内方側に、少なくとも連結ピン4の全長L(550mm強)以上の左右長さの作業空間Gが必要となる。尚、連結ピン4の脱着は、片方ずつ行う関係で、該連結ピン4の脱着のための必要な作業空間Gは、一方の基側ボス22の内面から他方に位置する連結ピン4の後端(ブラケット48の後端)までの間隔Fが連結ピン4の全長L(550mm強)以上あればよい。
【0018】
ところで、ブームクレーンに使用されるラフィングジブ2(図10)は、機種によって大きさ(長さ方向に対する垂直断面の大きさ)が異なる。又、ラフィングジブ2の中には、先側の分割ジブほど大きさ(太さ)が小さい(細い)ものを使用する場合がある。例えば、図13の分割ジブ21では、左右の基側ボス22,22の内面間隔Eが約1500mmで、一方の基側ボス22の内面から他方に位置する連結ピン4の後端までの間隔F(E−L6)が1060mm程度あるので、連結ピン4の脱着に必要な作業空間G(550mm強以上)は十分に確保されている。
【0019】
ところが、図14に示すように、分割ジブ21の大きさが小さいもので、左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が例えば950mm程度のものでは、図11に示す全長Lが550mm強の連結ピン4を使用することができない。即ち、図14の分割ジブ21のように、左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が950mm程度であると、一方(左側)の連結ピン4をサポート3に装着した状態で他方(右側)の連結ピン4を装着させようとすると、右側の基側ボス22の内面から左側に位置する連結ピン4の後端までの間隔F1が510mm程度(950mm−440mm)となるので、連結ピン4を脱着させるのに必要な作業空間G(550mm強以上)を確保することができない。つまり、装着される側(右側)の連結ピン4の後端部(ブラケット48部分)と設置済(左側)の連結ピン4の後端部(ブラケット48部分)とが左右方向に長さH(40mm強)だけ重合するので、装着される側(右側)の連結ピン4を設置済(左側)の連結ピン4と同一直線上に位置させることができず、従って装着させる側(右側)の連結ピン4をサポート3内に収容させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第3636860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、上記した図11の連結ピン4では、ブラケット48があることで連結ピンの全長Lが長い(L=550mm強)ために、分割ジブ21の大きさが所定以下(左右の基側ボス22,22の内面間隔E1が990mm強以下)まで小さいものには共用することができず、従って、その場合には長さの短い別製の連結ピンを使用する必要がある(用意すべき連結ピン4の種類が多くなる)。又、このように連結ピン4の長さを短くするにはスプリング47部分を短くする必要があるが、スプリング47部分を短くすると、その付勢力が小さくなるので、連結ピンとしての能力が低下するという問題もある。
【0022】
ところで、図11の連結ピン4において、ブラケット48部分は、連結ピン4の必要能力を得るための長さには関係ないものであり、連結ピン4をサポートに固定するのにブラケット48を取り除いてシリンダチューブ43の胴部をサポート3に固定することが考えられる。この場合は、連結ピン4の能力を低下させることなく、連結ピン4の全長をブラケット48の長さL5(50mm)分だけ短くできる。
【0023】
ところが、連結ピン4の固定方法として、シリンダチューブ43の胴部をサポート3に固定するのに一般的なボルト止めだけでは強度的に不十分である。即ち、油圧シリンダ42の伸長動作時に挿入ピン41がうまく両ボス22,23のボス穴に挿入できないときには、シリンダチューブ43に対して大きな反力が働くが、そのときボルト止めだけでは必要強度を確保するのが困難である(ボルトが剪断されてしまう虞れがある)。
【0024】
又、連結ピン4はサポート3に対して脱着自在に取付ける必要があるが、シリンダチューブ43の胴部をサポート3に対して高強度に取付けるためには、その取付部材がサポート3の外側に大きくはみ出すことが考えられる。
【0025】
そこで、本願発明は、連結ピンを、全長を短くした状態で且つ径方向のはみ出しを小さくし、さらに分割ジブ端部のボスに固定しているサポートに対して高強度で且つ着脱自在に取付け得るようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造を対象にしているが、発明の名称が長いので以下の説明では本願の名称を単に「連結ピン組付構造」と称することがある。
【0027】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用した、ラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造(以下、単に連結ピン組付構造という)である。
【0028】
本願の連結ピン組付構造は、基側分割ジブの先端部に先側分割ジブの基端部を連結する際の、腹面側のボス同士を連結するためのものであり、以下の説明でのボスは両分割ジブにおける腹面側のものである。尚、両分割ジブの背面側のボス同士は通常の連結ピンで連結される。
【0029】
又、本願の連結ピン組付構造は、左右に同じものが一対装備されるが、以下の説明では、主として片側のものについて説明する。
【0030】
基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとは、その一方のボスに間隔をもった2枚のボス板(穴付き)を有し、他方のボスに1枚のボス板(穴付き)を有していて、基側分割ジブの先端部と先側分割ジブの基端部を連結するには、1枚のボス板のボスを2枚のボス板のボスに対して両ボス板間に挿入する。
【0031】
本願請求項1で使用する連結ピンは、両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと、挿入ピンを出没させる油圧シリンダと、挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有している。挿入ピンは、両分割ジブの各ボスを実質的に連結するものであり、油圧シリンダは、油圧力によって挿入ピンをボスに対して出没させるものであり、スプリングは、油圧シリンダのフリー状態において挿入ピンを突出状態に維持させるものである。尚、この連結ピンの全長は、上記背景技術の項で説明したように、連結ピンとしての能力を確保するためにかなりの長さ(例えば500mm強)を有している。
【0032】
他方、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面には、連結ピン保持用のサポートを固定している。このサポートは、連結ピンのほぼ全長を収容し得る程度の長さを有したものが好ましい。又、このサポートは、底壁とその両側に各側壁を有した上部が開口する断面コ形のものが採用できる。そして、このサポートは、その長さ方向の一端を2枚のボス板を有するボスの内面側に溶接によって取付けている。
【0033】
そして、本願請求項1の連結ピン組付構造は、上記サポートに対して連結ピンの油圧シリンダ(シリンダチューブ)部分を保持させるようにしたものであり、以下の構成を特徴としている。
【0034】
まず、連結ピンの一部を構成する油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に、該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定している。この突起物は、サポート内に連結ピンを収容した状態で、サポートの側壁外面から若干長さ(例えば10mm程度)だけ突出する程度の小長さのものでよい。この突起物は、シリンダチューブの胴部に対して1つだけでもよいが、該胴部の対向側面に左右一対設けることが好ましい。又、この突起物は、その軸線方向から見て四角形のものが好ましいが、円形のものでもよい。
【0035】
サポートには、シリンダチューブの胴部に設けた突起物における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面をそれぞれガードし得る下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とを有した横向き開口の突起物収納部を設けている。この突起物収納部の下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とは、連結ピンをサポート内の正常位置に収納した状態で突起物の下面と上面と一方の端面をそれぞれほぼ接触状態で囲うようになっている。
【0036】
又、サポートには、突起物を突起物収納部に収納させた状態で突起物における油圧シリンダ縮小方向側の端面をガードするガード部材を、サポートに対して着脱自在に固定している。このガード部材は、サポートに対してボルト止めにて固定することができ、該ボルトを外すことで該サポートから取り外すことができるものである。尚、以下の説明では、突起物における油圧シリンダ伸長側の端面を前面ということがあり、該突起物における油圧シリンダ縮小側の端面を後面ということがある。又、油圧シリンダの伸長方向を前方(又は前方側)といい、油圧シリンダの縮小方向を後方(又は後方側)ということもある。
【0037】
サポートには、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けている。このストッパーは、後述するようにガード部材が突起物により後方側に押されたときのバックアップ部材(位置保持部材)となるものである。尚、このストッパーは、サポートに対して溶接にて強固に固定されている。
【0038】
この請求項1の連結ピン組付構造では、次のような機能を有している。
【0039】
まず、連結ピンをサポートに対して位置保持させるのに、シリンダチューブの胴部に設けた突起物を固定部材として使用しているので、連結ピンのシリンダチューブ後端部にブラケットのような突出物が不要となり、連結ピンの機能を低下させることなく連結ピンの全長を短くできる。このように、全長を短くした連結ピンでは、分割ジブの大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できるので、単一の連結ピンで対応可能な分割ジブの適用範囲を拡大できる。
【0040】
連結ピンの組付状態では、シリンダチューブの胴部に設けた突起物をサポートの突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方(突起物の軸線周り)からガードしているので、連結ピンのシリンダチューブをサポートに対して不動状態で支持できる。又、このとき油圧シリンダがフリー状態では、スプリングの付勢力により挿入ピンが両ボス連結側に突出していて、該挿入ピンが不用意に抜け出すことがない。
【0041】
油圧シリンダに油路を接続すると、該油圧シリンダを油圧力で伸縮させることができ、それによって挿入ピンを出没させることができる。そのとき、挿入ピンに抵抗があると、その反力がシリンダチューブに伝わるが、該シリンダチューブに設けている突起物を突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方からガードしているので、連結ピン全体を安定姿勢で保持できる。
【0042】
基側分割ジブの先端部に先側分割ジブの基端部を連結させるには、まず両分割ジブの背面側の両ボスを通常の連結ピンで連結した後、油圧シリンダを縮小させた状態(挿入ピン没入状態)で、腹面側の両ボスを重合させる。そして、その状態で油圧シリンダを伸長作動させると、挿入ピンが突出して両ボスのボス穴に跨がって挿通され、該挿入ピンで両ボスを連結できる。尚、両ボスの連結後は、油圧シリンダをフリー状態にするが、挿入ピンはスプリングで突出方向に付勢されているので、該挿入ピンが不用意に抜け出すことがない。
【0043】
ところで、挿入ピンで両ボスを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダが伸長動作したときに挿入ピンに大きな抵抗が発生して、シリンダチューブに大きな反力を受けるが、そのシリンダチューブに受ける反力は、突起物を介して該突起物の後面をガードしているガード部材に対して後向きの押圧力として作用する。そのとき、ガード部材はサポートに対してボルト止めしているが、該ガード部材に非常に大きい反力が加わったときには、ボルト止めだけではガード部材の位置保持力が不足する場合がある。
【0044】
そこで、本願請求項1では、ガード部材の後面をサポートに固定しているストッパーでバックアップしているので、該ガード部材に後向きの大きな押圧力が働いても、該ガード部材をストッパーで安定的に位置保持させることができる。
【0045】
又、挿入ピンの抜き出し時(油圧シリンダの縮小動作時)には、何らかの理由で挿入ピンに大きな抜き出し抵抗が働くことがあり、そのときにはその反力により突起物を前方に押す作用が働く。ところが、突起物の前面はサポート側の突起物収納部(高強度である)の端面(前面)ガード部でガードされているので、この場合も連結ピン(シリンダチューブ)を安定的に位置保持させることができる。又、挿入ピンの抜き挿し両操作時の反力が突起物に対して下方向又は上方向に働くこともあるが、該突起物に下方向又は上方向の反力が働いても、突起物の下面及び上面が突起物収納部の下面ガード部又は上面ガード部でそれぞれガードしているので、この場合も連結ピン(シリンダチューブ)を安定的に位置保持させることができる。
【0046】
この請求項1の連結ピン組付構造では、連結ピンの修理又は取り替え時に、ガード部材をサポートから分離し(ガード部材取付用のボルトを外すことで分離できる)、連結ピンをサポートに対して後方に移動させて突起物を突起物収納部から脱出させ、その状態で連結ピンを上方に抜き出せば、サポートから取り外すことができる。
【0047】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の連結ピン組付構造も、前提となる連結ピン及びサポートの各基本構成は上記請求項1のものと同じである。
【0048】
即ち、この請求項2の連結ピン組付構造は、伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、該連結ピンは、両ボスの両ボス穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、両ボスのいずれか一方のボスの内面に連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたものである。
【0049】
又、油圧シリンダのシリンダチューブの胴部には、該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定していることも、請求項1のものと同じである。
【0050】
そして、この請求項2の連結ピン組付構造では、サポートに、突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材をサポートに対して着脱自在に取付けており、該ガード部材で突起物をガードしていることでシリンダチューブをサポートに対して移動不能に位置決めしている。
【0051】
この請求項2のものでは、サポートには突起物をガードする部分はないが、ガード部材に突起物の軸線周りの四方をガードし得るガード部(穴)を設けて、該ガード部材のみで突起物を保持するようにしている。ガード部材は、サポートに対してボルト止めによって着脱自在に取付けることができる。尚、ガード部材をサポートに対してボルト止めだけで固定したものでは、上記請求項1部分で説明したように、該ガード部材の取付強度が不足することがある。
【0052】
そこで、この請求項2の連結ピン組付構造では、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けて、該ストッパーでガード部材の後面をバックアップしている。
【0053】
この請求項2の連結ピン組付構造では、シリンダチューブに設けている突起物をガード部材単独で四方から位置保持しているとともに、突起物に対して特に大きな反力が発生する可能性がある油圧シリンダの伸長動作時(挿入ピンの突出動作時)においてガード部材に対して大きな後方押圧作用が働いても、該ガード部材をストッパーでバックアップしているので、該ガード部材を確実に位置保持させることができる。
【0054】
尚、挿入ピンの出没動作に起因する突起物への反力の大きさは、後方側が最も大きく発生する可能性があり(両ボス穴が位置ずれしている状態で油圧シリンダが伸長動作したとき)、前方側(挿入ピンの抜き出し時)にはそれよりかなり小さいものであり、下方側及び上方側にはさらに小さいものしか発生しない。
【0055】
従って、この請求項2では、突起物(ガード部材)に大きな反力が発生する可能性があるガード部材の後面側のみをストッパーでバックアップしている。尚、突起物(ガード部材)に対してさほど大きな反力が発生しない前面側、上面側及び下面側の三方は、ガード部材をサポートにボルト止めする程度の固定力で位置保持し得ると考えられる。
【0056】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の連結ピン組付構造において、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの伸長方向側の端面(前面)に近接(ほぼ当接)する第2のストッパーを設けたものである。尚、この請求項3の場合は、第2のストッパーに対して上記請求項2におけるガード部材後面側のストッパーが第1のストッパーとなる。
【0057】
この請求項3の連結ピン組付構造では、ガード部材の前後各側から2つのストッパーでそれぞれ位置保持させているので、該ガード部材の前後方向の位置保持が一層確実となる。尚、挿入ピンの出没動作に起因する突起物への反力は、下面側及び上面側には非常に小さいものであり、突起物への下面側及び上面側への反力に対しては、ガード部材をサポートにボルト止めした程度の固定力で十分に対応できる。
【発明の効果】
【0058】
[本願請求項1の発明の効果]
請求項1の連結ピン組付構造には、次のような効果がある。
【0059】
(1) 連結ピンをサポートに対して位置保持させるのに、シリンダチューブの胴部に設けた突起物を固定部材として使用しているので、連結ピンのシリンダチューブ後端部にブラケット(固定部材となる)のような突出物が不要となり、従って連結ピンの機能を低下させることなく該連結ピンの全長を短くできる。このように、全長を短くした連結ピンでは、分割ジブの大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できるので、単一の連結ピンで対応可能な分割ジブの適用範囲を拡大できる。
【0060】
(2) 連結ピンの組付状態では、シリンダチューブの胴部に設けた突起物をサポートの突起物収納部とガード部材とで上下及び前後の四方(突起物の軸線周り)からガードしていることで連結ピンを位置保持しているので、その保持部分が突起物の外端よりシリンダチューブ径方向外方にはみ出すことがない。従って、連結ピンをシリンダチューブの胴部で保持するものであっても、その保持部分(サポートの突起物収納部とガード部材)をコンパクトに構成でき、周囲の余剰空間を広くできる。
【0061】
(3) 高強度であるサポートに、下面ガード部と上面ガード部と一方の端面ガード部(前面ガード部)とを有した突起物収納部を設けて、該突起物収納部に突起物を収納しているので、突起物の下面と上面と一方の端面(前面)との三面を既存のサポートを利用してガードできる(サポートを有効利用できる)とともに、該サポートは高強度部材であるので突起物の三方を確実に位置保持できる。
【0062】
(4) 挿入ピンで両ボスを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダが伸長動作したときに挿入ピンに大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ及び突起物を介してガード部材に後方側への大きな反力が作用する可能性があるが、ガード部材における油圧シリンダ縮小側の端面(後面)にストッパー(サポートに固定)を近接(ほぼ当接)させているので、ガード部材をボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、ガード部材が後方側に移動するのを確実に阻止できる(ガード部材固定用のボルトが剪断しない)。
【0063】
[本願請求項2の発明の効果]
請求項2の連結ピン組付構造は、サポートに、突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材をサポートに対して着脱自在に取付けている。又、該サポートに、ガード部材における油圧シリンダの縮小方向側の端面(後面)に近接(ほぼ当接)するストッパーを設けている。
【0064】
従って、この請求項2の連結ピン組付構造では、上記請求項1における上記(1)と(2)と(4)の各効果があるとともに、サポート側に突起物ガード用の加工が不要となり、該突起物ガードのための構成が簡単となる(ガード部材側に突起物の四方をガードする穴を設けるだけでよい)という効果がある。
【0065】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の連結ピン組付構造において、サポートに、ガード部材における油圧シリンダの伸長方向側の端面(前面)に近接(ほぼ当接)する第2のストッパーを設けたものである。
【0066】
従って、この請求項3のものでは、上記請求項2の効果に加えて、油圧シリンダの縮小動作時における挿入ピンの抵抗による反力でガード部材に前方側への押圧作用が働いても、ガード部材の前面を第2のストッパーでバックアップしているので、該ガード部材が前方側にも移動することがない(ガード部材固定用のボルトが剪断しない)という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願第1実施例の連結ピン組付構造を示す側面図である。
【図2】図1の連結ピン組付構造の平面図である。
【図3】図1の連結ピン組付構造のIII−III拡大断面図である。
【図4】図1の連結ピン組付構造のIV−IV拡大断面図である。
【図5】図1の連結ピン組付構造における油圧シリンダ縮小状態での平面図である。
【図6】図1の連結ピン組付構造の組付方法説明図である。
【図7】図1の連結ピンを使用したことによる機能説明図である。
【図8】本願第2実施例の連結ピン組付構造を示す側面図である。
【図9】図8の連結ピン組付構造の平面図である。
【図10】ラフィングジブの一般的な組立方法の説明図である。
【図11】公知(特許文献1)の連結ピンの断面図である。
【図12】図11の連結ピンを装着させた分割ジブの平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII拡大矢視図である。
【図14】図11の連結ピンの問題点説明図である。
【実施例】
【0068】
以下、図1〜図9を参照して本願の実施例を説明すると、図1〜図7には本願請求項1に対応する第1実施例の連結ピン組付構造を示し、図8〜図9には本願請求項2及び3に対応する第2実施例の連結ピン組付構造を示している。
【0069】
尚、本願の各実施例の連結ピン組付構造も、図10に示すように各分割ジブ(21A,21B,21C)を順次継ぎ足して一連のラフィングジブ2に組付けるためのものであるが、各実施例の連結ピン組付構造は、ラフィングジブを図10に示す立ち組み方式で組立てる方式のほかに、地面上で組立てる場合にも適用できるものである。
【0070】
又、本願各実施例で使用されている連結ピン4の基本構成部分は図11の公知のものとほぼ同じであり、さらに本願各実施例で使用される連結ピン4も図12及び図13に示すように分割ジブ21の基部側端部の腹面側の左右各ボス22,22に取付けられるものである、従って、本願各実施例の説明において、図10〜図13を併用することがある。
【0071】
[図1〜図7の第1実施例]
この第1実施例の連結ピン組付構造は、図1〜図4に示すものであるが、この連結ピン組付構造も、図12及び図13に示す公知例のように分割ジブ21の左右の各基側ボス22,22のそれぞれ内面側に装着されるものである。尚、図12及び図13の連結ピン組付構造では、連結ピン4を油圧シリンダ42の後端部に設けたブラケット48をサポート3に対して固定ピン49で位置保持させるものであるが、この点は本願と異なる。
【0072】
図1〜図4に示す第1実施例の連結ピン組付構造では、分割ジブ21の基側ボス22(2枚のボス板を有している)の内面にサポート3の一端部を溶接により固定しており、該サポート3内に連結ピン4を収容し、連結ピン4の挿入ピン41を基側ボス22のボス穴22aに挿通させた状態で、該連結ピン4をサポート3に対して後述する構成で位置保持させている。
【0073】
この第2実施例で使用されている連結ピン4は、基側ボス22及び先側ボス23の各ボス穴22a,23aに跨がって挿通される挿入ピン41と、該挿入ピン41を出没させる油圧シリンダ42と、挿入ピン41を突出方向に付勢するスプリング47とを基本構成としている。
【0074】
この連結ピン4における挿入ピン41と油圧シリンダ42とスプリング47とは、図11の公知例のものと同構成のものである。そして、この実施例で使用される連結ピン4も、図11の連結ピン4と同様に、油圧シリンダ42がフリー状態ではスプリング47の弾発力で挿入ピン41を突出状態に維持し、縮小側送油ポート46に作動油を供給するとスプリング47の弾発力に抗して挿入ピン41を没入させ、伸長側送油ポート45に作動油を供給すると挿入ピン41を突出させるようになっている。
【0075】
又、この実施例で使用される連結ピン4は、図11におけるブラケット48のないものであって、挿入ピン41の長さL2と、スプリング47の伸長状態での長さL1と、シリンダチューブ43の長さL3と、プレート厚さL4との合計長さ(L1+L2+L3+L4)が500mm強となっている。尚、この連結ピン4の合計長さ(500mm強)は、分割ジブ連結用の連結ピンとしての能力を十分に確保し得るものである。
【0076】
サポート3は、図1〜図4に示すように、内部に連結ピン4を収容し得る容積を有し、底壁31と左右の側壁32,32を有する断面コ形のもので、連結ピン41のほぼ全長を収容し得る程度の長さ(例えば全長が405mm)を有している。又、両側壁32,32の外面間隔は110mm程度に設定している。尚、これらの各寸法は特に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。
【0077】
そして、このサポート3は、上部に開口が位置する状態でその長さ方向の一端を2枚のボス板を有する基側ボス22の内面側に溶接によって取付けている。このようにサポート3を溶接によって取付けると、基側ボス22に対して高強度に固定できる。尚、以下の説明では、油圧シリンダ42の伸長方向側を前方(又は前側)といい、油圧シリンダ42の縮小方向側を後方(又は後側)ということがある。
【0078】
このサポート3に連結ピン4を装着させるには、該連結ピン4をサポート3の上部開口からサポート3内に落とし込んだ後、挿入ピン41が基側ボス22の2枚のボス板の各ボス穴22a,22aに完全に挿通されるまでの前方に移動させる。そして、この第1実施例の連結ピン組付構造では、サポート3に連結ピン4を位置保持させるのに、油圧シリンダ42のシリンダチューブ43部分を保持させるようにしている関係で、以下のように構成されている。
【0079】
まず、連結ピン4の一部を構成する油圧シリンダ42のシリンダチューブ43の胴部に該シリンダチューブ43の径方向外方に突出する突起物40を固定している。この突起物40は、シリンダチューブ43の左右側面の対向位置に一対設けられている。尚、一方の突起物40(図3の右側の突起物40)は、縮小側送油路取付の突起物を利用している。
【0080】
この各突起物40,40は、サポート3内に連結ピン4を収容した状態で、サポート3の各側壁32,32のそれぞれ外面から若干長さ(例えば10mm程度)だけ突出する程度のものでよい。尚、この実施例では、一方(図3の右側)の突起物40に縮小側油路取付用のものを利用している関係で、他方(図3の左側)の突起物40より突出幅が若干長くなっている。
【0081】
この第1実施例の各突起物40,40は、その軸線方向から見て一辺が35mm程度の正方形のものが使用されている。尚、突起物40の大きさ(太さ)は上記寸法に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。又、他の実施例では、突起物40として例えば円形のものを使用することもできる。
【0082】
連結ピン4をサポート3に装着するには、該連結ピン4をサポート3の上方から落とし込んだ後、連結ピン4を前方に移動させるが、そのとき左右の突起物40,40がサポート3の左右各側壁32,32に干渉しないようにするために、該各側壁32,32の上部にその上端から所定深さを有し且つ前後に所定長さを有した切欠状の空所33,33を設けている。そして、各切欠状空所33,33のそれぞれ前端部に、シリンダチューブ43の胴部に設けた各突起物40,40をそれぞれ位置保持するための突起物収納部34,34を設けている。
【0083】
この各突起物収納部34,34は、連結ピン4をサポート3内において挿入ピン41が基側ボス22の両ボス穴22a,22aに挿通される位置まで前進させた状態(図1及び図2の状態)で、各突起物40,40における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面(前面)をそれぞれガードし得る下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cとを有した横向き開口の切欠状に形成している。尚、突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cは、それぞれサポート3の左右各側壁32,32で構成されたものであり、それぞれ剛性が高いものである。尚、上面ガード部34bは、軒状に突出したものであるが、上下にかなりの幅(突起物40の高さと同程度)を有しているので、必要な剛性を確保している。
【0084】
この突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bと前面ガード部34cとは、連結ピン4をサポート3内の正常位置に収納した状態(図1及び図2の状態)で、突起物40の下面と上面と前面をそれぞれほぼ接触状態で囲うようになっている。即ち、この突起物収納部34の空所の大きさは、上下間隔及び奥行き深さがそれぞれ突起物40の正面視の一辺(35mm程度)より僅かに大きい程度に設定しており、図1及び図2に示すように連結ピン4をサポート3内の正常位置に収納した状態では、図3に示すように突起物40の下面と上面がそれぞれ突起物収納部34の下面ガード部34aと上面ガード部34bに近接(ほぼ当接)している一方、図4に示すように突起物40の前面が突起物収納部34の前面ガード部34cに近接(ほぼ当接)している。
【0085】
サポート3の左右各側壁32,32には、次述するガード部材5をボルト止めするためのネジ穴35がそれぞれ複数箇所(4箇所)に形成されている。
【0086】
サポート3には、各突起物40,40を突起物収納部34,34に収納させた状態で突起物40における油圧シリンダ縮小方向側の端面(後面)をガードするガード部材5が取付けられている。
【0087】
このガード部材5は、上壁51と左右の各側壁52,52とを有した下方が開口するコ形に形成されている。上壁51及び各側壁52,52は、かなりの剛性を有しており、さらに両側壁52,52の内面間隔は上記サポート3の両側壁32,32の外面間隔より僅かに広く設定している。
【0088】
このガード部材5の両側壁52,52には、サポート3の各側壁32,32に設けた各ネジ穴35に合致するボルト挿通穴53(4個ずつ)が形成されている。尚、この各ボルト挿通穴53は、前後に若干長さを有する長穴にして、後述するようにガード部材5をサポート3に固定する際の位置決め時に余裕をもたせるようにするとよい。
【0089】
又、ガード部材5の左右両側壁52,52には、後述するようにガード部材5をサポート3に対して正常位置に固定した状態で、サポート3の各突起物収納部34,34に収納させた各突起物40,40の後面に近接(ほぼ当接)するガード部54を有している。
【0090】
そして、このガード部材5はサポート3に対して次のように取付けている。即ち、ガード部材5をサポート3に対してガード部材5の各側壁52,52がサポート3の両側壁32,32を跨ぐように被せた状態で、ガード部材5の各側壁52,52の外面から各ボルト挿通穴53を通して各ネジ穴35にそれぞれボルト61(4本ずつ)を螺合させることにより、ガード部材5をサポート3に取付けている。
【0091】
このガード部材5の取付状態では、各側壁52,52のガード部54,54が突起物収納部34内の正常位置(奥端部)に収納されている突起物40,40の後面に近接(ほぼ当接)している。従って、各突起物40,40は、突起物収納部34の各ガード部34a,34b,34cで三方(下面と上面と前面)からガードされている一方、ガード部材5のガード部54で残りの一方(後面)をガードされているので、シリンダチューブ43は前後及び上下に移動不能状態で位置保持されることになる。
【0092】
ところで、両分割ジブ21,21の基側ボス22と先側ボス23とを連結ピン4の挿入ピン41で連結する際には、油圧シリンダ42を伸長させて挿入ピン41を両ボス22,23の各ボス穴22a,23aに挿通させるが、基側ボス22のボス穴22aに対して先側ボス23のボス穴23aが位置ずれしている場合には、挿入ピン41に大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ43に大きな反力を受ける。そして、そのシリンダチューブ43に受ける反力は、突起物40,40を介して該突起物40,40の後面をガードしているガード部材5(左右の側壁52,52)に対して後向きの押圧力として作用する。そのとき、ガード部材5はサポート3に対して各ボルト61(左右に4本ずつ)で固定しているが、該ガード部材5に非常に大きい反力(後方押圧力)が加わったときには、ボルト止めだけではガード部材5の固定力が不足する場合がある(ボルト61が剪断されることがある)。
【0093】
そこで、この第1実施例では、サポート3の各側壁32,32の外面に、ガード部材5の各側壁52,52の後面52aに近接(ほぼ当接)するストッパー36を設けている。このストッパー36の取付位置は、ガード部材側壁52の前部にあるガード部54が突起物収納部34の正常位置に収納された突起物40の後面に近接(ほぼ当接)する状態で、ガード部材側壁52の後面52aに近接(ほぼ当接)するように位置決めされている。
【0094】
この第1実施例の連結ピン組付構造は、図6(及び図7の右半分)に示すようにして組立てられる。尚、連結ピン4は、油圧シリンダ42がフリー状態ではスプリング47によって挿入ピン41が前方に突出しているので、全長が長い状態となっている(全長が500mm強)。
【0095】
そして、まず挿入ピン突出状態の連結ピン4を基側ボス22の内面に取付けているサポート3内にその上方から落とし込むが、そのとき平面視において挿入ピン41の前端41aが基側ボス22の内面22bに近接する位置で行う。すると、左右の突起物40,40がサポート3の両側壁32,32よりそれぞれ外方に突出しているものの、該各突起物40,40が該各側壁32,32に設けた空所33,33内に進入して、連結ピン4全体をサポート3内に収容できる。
【0096】
次に、サポート3内に収容した連結ピン4を前方に移動させて、挿入ピン41を基側ボス22のボス穴22a,22aに挿通させる。このとき、各突起物40は、サポート3の各側壁32の空所33の底辺に沿って前方移動した後、突起物収納部34内に進入する。
【0097】
続いて、ガード部材5を、その両側壁52,52がサポート3の両側壁32,32を跨ぐ状態で上方から被せるが、そのときガード部材5の側壁52の後面52aと前部のガード部54とがそれぞれサポート側壁32のストッパー36の前面と突起物収納部34内に収納している突起物40の後面に近接(ほぼ当接)する状態で、該ガード部材5を下動させる。尚、この状態では、ガード部材側壁52側の各ボルト挿通穴53(4箇所)がそれぞれサポート側壁32側の各ネジ穴35(4箇所)に重合する。
【0098】
その後、左右のガード部材側壁52,52の各ボルト挿通穴53を通して各ボルト61(図1〜図4)を左右のサポート側壁32,32の各ネジ穴35に螺合させることで、この連結ピン組付構造の組立てが完了する。
【0099】
上記した第1実施例の連結ピン組付構造には、次のような機能がある。
【0100】
まず、連結ピン4をサポート3に対して位置保持させるのに、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40を固定部材として使用しているので、図11の連結ピンのようにシリンダチューブ後端部にブラケットのような突出物が不要となり、連結ピン4の機能を低下させることなく該連結ピン4の全長を短くできる。即ち、この第1実施例の連結ピン4の全長(図7のL0)は、図11の連結ピンの全長L(550mm強)よりブラケットの突出長さ分(50mm)だけ短く(L0=500mm強)なっている。そして、この連結ピン4をサポート3に装着するには、その全長L0(500mm強)が最低長さの必要作業空間Gとなる。
【0101】
このように、全長(L0=500mm強)を短くした連結ピン4では、例えば図7に示すように分割ジブ21の大きさ(左右のボスの間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できる。即ち、図7の分割ジブ21は図14のものと同大きさであり、この場合の左右両ボス22,22の内面間隔E1は950mmである。又、図7の左側の連結ピン組付構造で示すように、サポート3に連結ピン4を装着した状態では、基側ボス22の内面から連結ピン4の後端までの長さL7が390mm程度(図11のL1+L3)であるので、他方の基側ボス22の内面から既設側の連結ピン4の後端までの間隔F2(E1−L7)が570mm程度となる。この間隔F2は、連結ピン4をサポート3に組付ける際の作業空間となるものであるが、図7の例では該間隔F2(570mm程度)が連結ピン4の全長L0(500mm強)より長さH1(H1=70mm程度)だけ長くなっている。
【0102】
従って、図7に示すように、一方(左側)の連結ピン4をサポート3に装着した状態で、他方(右側)の連結ピン4をサポート3に組付ける際に、上記間隔(余剰間隔)F2が連結ピン組付けのための最低長さの必要作業空間GよりH1(70mm程度)だけ長いので、組付側の連結ピン4を余裕をもって組付けることができる。
【0103】
このことは、機能を低下させない長さL0(500mm強)の連結ピン4であっても、分割ジブ21の大きさ(両ボス間の間隔)が所定範囲内で小さくなったものにも適用できることを意味し、単一の連結ピン4で対応可能な分割ジブ21の適用範囲を拡大できる。
【0104】
又、他の機能として、連結ピン4の組付状態では、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40をサポート3の突起物収納部34とガード部材5とで上下及び前後の四方(突起物40の軸線周り)からガードしていることで連結ピン4を固定(位置保持)しているので、その保持部分が突起物40の外端よりシリンダチューブ径方向外方にはみ出すことがない。従って、連結ピン4をシリンダチューブ43の胴部で保持するものであっても、その保持部分(サポート3の突起物収納部34とガード部材5)をコンパクトに構成でき、周囲の余剰空間を広くできる。
【0105】
又、高強度であるサポート3に、下面ガード部34aと上面ガード部34bと一方の端面ガード部(前面ガード部)34cとを有した突起物収納部34を設けて、該突起物収納部34に突起物40を収納しているので、突起物40の下面と上面と一方の端面(前面)との三面を既存のサポート3を利用してガードできる(サポート3を有効利用できる)とともに、該サポート3は高強度部材であるので突起物40の三方(三面)を確実に位置保持できる。
【0106】
又、挿入ピン41で一方の分割ジブ21の先側ボス23と他方の分割ジブ21の基側ボス22とを連結する際に、両ボス穴が位置ずれしている場合には、油圧シリンダ42が伸長動作したときに挿入ピン41に大きな抵抗が発生して、シリンダチューブ43及び突起物40を介してガード部材5に後方側への大きな反力が作用することがあるが、ガード部材5における油圧シリンダ縮小側の端面(後面)にストッパー36を近接(ほぼ当接)させているので、ガード部材5をボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、ガード部材5が後方側に移動するのを確実に阻止できる。尚、ガード部材側壁52側のボルト挿通穴53を長穴にしておけば、ガード部材5の後面がストッパー36に圧接するまで(ごく僅かである)後退しても、ボルト61に対して剪断作用は働かない。
【0107】
又、この第1実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4が故障等の不都合が生じた際に、該連結ピン4をサポート3から取外す必要あるが、その取外しは、ガード部材5の各固定ボルト61(左右3本ずつある)を抜き外し、ガード部材5をサポート3から上方に離脱させて、連結ピン4をサポート3内で後方に移動させた後(挿入ピン41が両ボス穴から抜け出すとともに、突起物40も突起物収納部34から抜け出す)、該連結ピン4を上方に持ち上げることで達成できる。
【0108】
ところで、この第1実施例で使用されている連結ピン4には、上記構成のほかに、挿入ピン41が突出状態(図1及び図2)にあるか没入状態(図5)にあるかを地上から確認し得るようにするための確認装置7が設けられている。
【0109】
この確認装置7は、挿入ピン41の後端部に設けた筒部材71と、シリンダチューブ43の後端部に設けた識別板72とを有している。
【0110】
筒部材71は、スプリング47の外側を囲う状態で、挿入ピン41の後端部からかなり後方まで延出されている。又、この筒部材71の後部側には、大きく切欠いた開放部71aと、縮小側油路取付用の突起物40を跨ぐ長溝71bとが形成されている。又、筒部材71の後端部には後述のロッド73の前端に当接し得る当接片74を設けている。
【0111】
識別板72は、シリンダチューブ43の後端部においてバネ75でシリンダチューブ43の後端面側に付勢されている。又、識別板72の前面側には、上記ロッド73の前端部が枢着されている。該ロッド73は、シリンダチューブ43の後端部に取付けているガイド部材76にガイドされた状態で前後動し得るようになっている。
【0112】
そして、この確認装置7は、挿入ピン41が前方に突出している状態(図1及び図2)では、筒部材71の後端部の当接片74がロッド73の前端から離間していて、識別板72がバネ75により閉状態(図1、図2の実線図示状態)に維持されている一方、図5に示すように挿入ピン41が基側ボス22のボス穴22aから抜け出すまで後退すると、筒部材後端部の当接片74がロッド73を後方に押して識別板72を図5の状態及び図1に二点鎖線で図示する状態に開放させるようになっている。
【0113】
従って、この確認装置7があると、識別板72が閉位置にあるか開位置にあるかを地上から視認することによって、連結ピン4の挿入ピン41が突出位置(図1、図2)にあるか後退位置(図5)にあるかを確認できる。
【0114】
[図8〜図9の第2実施例]
図8〜図9に示す第2実施例の連結ピン組付構造も、前提となる連結ピン4及びサポート3の各基本構成は上記第1実施例のものと同じである。
【0115】
即ち、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、連結ピン4として、挿入ピン41と油圧シリンダ42とスプリング47とを有しているとともに、シリンダチューブ43の胴部に左右一対の突起物40,40を取付けている。
【0116】
この第2実施例の突起物40も、第1実施例と同様に、軸線方向から見て一辺が35mm程度の正方形のものであるが、この第2実施例では後述するようにガード部材5Aのガード部となる四角穴54Aを突起物40に対してサポート側壁32の外方から嵌合させるようにしている関係で、該突起物40の先側部分(四角穴54Aが嵌合する部分)には四角穴嵌合の障害となるもの(例えば第1実施例の場合の油路)は設けない。
【0117】
他方、サポート3は、底壁31と左右の側壁32,32を有した上方が開口する断面コ形のものであるが、このサポート3の各側壁32,32には突起物40を直接位置保持するものはない。尚、サポート3の各側壁32,32には、連結ピン4をサポート3内に落とし込む際に突起物40が干渉しないようにするための切欠状の空所33が形成されている。
【0118】
そして、この第2実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4側の各突起物40,40を位置保持させる構造が上記第1実施例のものと若干異なっている。即ち、この第2実施例の連結ピン組付構造では、連結ピン4側の各突起物40,40をサポート3に位置保持させるのに、該各突起物40,40をその突出方向の軸線周りの四方からそれぞれガードし得る2つのガード部材5A,5Aを使用し、この各ガード部材5A,5Aをサポート3の左右各側壁32,32にボルト止め(符号61)している。
【0119】
この第2実施例で使用されるガード部材5Aは、サポート側壁32に設けている空所33より大きい面積を有した平板52Aが使用されている。この平板52Aは、その下辺部と前後各側辺部を複数のボルト61(片側5箇所)でサポート側壁32の外面に着脱自在に固定できる。
【0120】
このガード部材5Aの適所(即ち、連結ピン4をサポート3内の正常位置に収容した状態での突起物40の位置)には、突起物40の外形(35mm程度の正方形)とほぼ同形(僅かに大きい)の四角穴54Aを設けている。この四角穴54Aは、突起物40の上面と下面と前後各面の四方から該突起物40をガードするものであり、該四角穴54Aに突起物40を挿通させることで突起物40を確実に位置保持できるようになっている。
【0121】
ところで、ガード部材5Aをサポート側壁32の外面に対してボルト61だけで固定したものでは、該ガード部材5Aの取付強度が不足するので、この第2実施例でも、ガード部材5Aをストッパーで位置保持させている。
【0122】
この第2実施例では、該ストッパーとして、サポート3の各側壁32,32の外面に、ガード部材5Aの取付状態において、該ガード部材5Aの後面に近接(ほぼ当接)する第1のストッパー36と該ガード部材5Aの前面に近接(ほぼ当接)する第2のストッパー37とを取付けている。この第1のストッパー36及び第2のストッパー37は、サポート側壁32に対してそれぞれ溶接によって強固に固定している。
【0123】
尚、本願請求項2の連結ピン組付構造を実施する場合は、ガード部材5Aの前面側の第2のストッパー37がないものでもよい。
【0124】
この第2実施例の連結ピン組付構造でも、シリンダチューブ43の胴部に設けた突起物40を、ガード部材5を介してサポート3に位置保持させているので、連結ピン4として図11のブラケット48のないもの(全長が500mm強のもの)を使用できる。
【0125】
又、サポート3にボルト止めしているガード部材5Aで連結ピン4側の突起物40をその軸線周りの四方からガードしているので、シリンダチューブ43の胴部を位置保持するものであっても、その位置保持部材がシリンダチューブ43の径方向外方にはさほど大きくはみ出さない。
【0126】
又、油圧シリンダ42の伸長動作で挿入ピン41が突出する際に、両ボス穴22a,23aが位置ずれしている場合には該挿入ピン41に大きな抵抗が生じる(シリンダチューブ43、突起物40を介してガード部材5Aに大きな反力が発生する)が、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、ガード部材5Aの後面を第1のストッパー36でガードしているので、ガード部材5Aをボルト止め程度の簡易な手段で固定したものであっても、該ガード部材5Aが後方側に移動するのを確実に阻止できる。
【0127】
さらに、この第2実施例では、ガード部材5Aの前面にも第2のストッパー37を設けているので、油圧シリンダ42の縮小動作時に挿入ピン41に大きな抵抗が生じても、ガード部材5Aが前方側にも移動することがない。
【0128】
尚、この第2実施例の連結ピン組付構造でも、ガード部材固定用の各ボルト61(各側に5本ずつある)を外して各ガード部材5A,5Aをサポート3から取り外すと、連結ピン4をサポート3から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0129】
1は伸縮ブーム、2はラフィングジブ、3はサポート、4は連結ピン、5,5Aはガード部材、21は分割ジブ、22はボス(基側ボス)、22aはボス穴、23はボス(先側ボス)、23aはボス穴、32はサポートの側壁、34は突起物収納部、36はストッパー(第1のストッパー)、37は第2のストッパー、40は突起物、41は挿入ピン、42は油圧シリンダ、43はシリンダチューブ、47はスプリング、52はガード部材の側壁、52Aは平板、54はガード部、54Aは四角穴(ガード部)、61はボルトである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、前記連結ピンは、前記両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと前記挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面に前記連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに前記連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造であって、
前記油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定し、
前記サポートに、前記突起物における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面をそれぞれガードし得る下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とを有した横向き開口の突起物収納部を設けている一方、
前記サポートに、前記突起物を前記突起物収納部に収納させた状態で該突起物における油圧シリンダ縮小方向側の端面をガードするガード部材を前記サポートに対して着脱自在に固定しているとともに、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの縮小方向側の端面に近接又は当接するストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【請求項2】
伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、前記連結ピンは、前記両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと前記挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面に前記連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに前記連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造であって、
前記油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定し、
前記サポートに、前記突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材を前記サポートに対して着脱自在に取付けて、前記ガード部材で前記突起物をガードしていることで前記シリンダチューブを前記サポートに対して移動不能に位置決めしているともに、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの縮小方向側の端面に近接又は当接するストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの伸長方向側の端面に近接又は当接する第2のストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【請求項1】
伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、前記連結ピンは、前記両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと前記挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面に前記連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに前記連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造であって、
前記油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定し、
前記サポートに、前記突起物における下面と上面と油圧シリンダ伸長方向側の端面をそれぞれガードし得る下面ガード部と上面ガード部と端面ガード部とを有した横向き開口の突起物収納部を設けている一方、
前記サポートに、前記突起物を前記突起物収納部に収納させた状態で該突起物における油圧シリンダ縮小方向側の端面をガードするガード部材を前記サポートに対して着脱自在に固定しているとともに、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの縮小方向側の端面に近接又は当接するストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【請求項2】
伸縮ブームの先端部に複数の分割ジブを連結してなるラフィングジブを組立てる際に、基側分割ジブの先端部に設けたボスと先側分割ジブの基端部に設けたボスとを連結するための連結ピンを使用し、前記連結ピンは、前記両ボスの両穴に跨がって挿通される挿入ピンと該挿入ピンを出没させる油圧シリンダと前記挿入ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有し、前記両ボスのいずれか一方のボスの側面に前記連結ピン保持用のサポートを固定して、該サポートに前記連結ピンの油圧シリンダ部分を保持させるようにしたラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造であって、
前記油圧シリンダのシリンダチューブの胴部に該シリンダチューブの径方向外方に突出する突起物を固定し、
前記サポートに、前記突起物をその突出方向の軸線周りの四方からガードし得るガード部材を前記サポートに対して着脱自在に取付けて、前記ガード部材で前記突起物をガードしていることで前記シリンダチューブを前記サポートに対して移動不能に位置決めしているともに、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの縮小方向側の端面に近接又は当接するストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記サポートに、前記ガード部材における前記油圧シリンダの伸長方向側の端面に近接又は当接する第2のストッパーを設けている、
ことを特徴とするラフィングジブ連結用の連結ピンの組付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−41148(P2012−41148A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184580(P2010−184580)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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