説明

ラベラー下地塗布方法

【課題】 棒鋼の切断端面の凹凸を平滑化させるため、グラインダーによる仕上げ作業の時間を必要とせず、作業員の塗布忘れがなく、塗膜16の厚さや指触乾燥時間のバラツキのない、塗料の自動塗付方法を提供する。
【解決手段】 棒鋼1の製造工程で、1本毎に棒鋼1の切断端面2にロット表示ラベル3をラベラーで貼付する作業において、切断ラインからローラーテーブル11に搬送され、スキッドテーブル12に取り込まれたスキッド上の棒鋼1が転動による自重落下を始めるまでに、切断作業で生じた棒鋼1の切断端面2の凹凸面にラベル接着性に好適な塗料を自動的に塗付することにより棒鋼1の切断端面2を平滑化することからなる棒鋼1の切断端面2のラベラー下地塗布方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒鋼の一端面にロット表示ラベルを貼り付ける作業に関し、特に、ラベル剥れ防止のため、凹凸のある棒鋼の切断端面を平滑にし、ラベル接着性に好適な塗料を自動的に塗布するラベラー下地塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、コールドシャーで棒鋼1を切断した場合、棒鋼1の切断端面2に凹凸ができ、後工程で一日当たり例えば4,320本の棒鋼1の切断端面2に、ロット表示ラベル3を貼り付けるが、その内、16〜24本の棒鋼1の切断端面2の接着面積が小さいため、ロット表示ラベル3が剥れる問題がある。ロット表示ラベル3には、材質・長さ・向け先が表示されており、剥れることによりその棒鋼1は、ミス材となり出荷することができなくなる。
【0003】
ロット表示ラベル3の剥れ防止のため、棒鋼1の切断端面2を平滑化させ、接着面積を大きくする方法として、作業員がグラインダーなどで切断端面2を仕上げる方法が一般的であるが、仕上げ作業のために余分な時間が掛かってしまう問題点がある。
【0004】
また、上記のグラインダー仕上げに替えて、棒鋼1の切断端面2を平滑化するために、図3に示すように、作業員が手作業で塗料を塗布して塗膜16を形成し、ロット表示ラベル3を貼付した場合には、切断端面2は平滑になっているが、手作業のため作業員の塗料の塗布忘れなどが発生し、このため作業効率が悪い問題がある。さらに、作業員の感覚で塗布しているため、塗膜16の厚や指触乾燥時間がバラつくといった問題点がある。
【0005】
棒鋼面のラベル貼付け面を平滑化するために、一般的には、棒鋼面をグラインダーにより研磨し、ワイヤーブラシあるいはエアーで清掃する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開昭59−199424
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、棒鋼の切断端面の凹凸を平滑化させるため、作業員がグラインダーなどの手作業による切断端面仕上げを行う場合に、仕上げ作業のため、時間が掛かってしまう問題点や、あるいは、作業員が手作業で塗料を塗布した場合、切断面は平滑になっているが、作業員の塗料の塗布忘れなどの作業効率の悪さや、作業員の感覚で塗布するための塗膜厚さや指触乾燥時間のバラツキの問題を解消できる、自動で塗料を塗付する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、棒鋼の製造工程で、棒鋼の1本毎の端面にラベラーでロット表示ラベルを貼付する作業において、棒鋼が切断ラインからローラーテーブルに搬送され、ローラーテーブルからスキッドテーブルに取り込まれたスキッド上の棒鋼が自重落下を始めるまでに、上記切断ラインにおいて切断により凹凸を生じた棒鋼端面にラベル接着性に好適な塗料を自動的に塗付することにより棒鋼端面を平滑化することを特徴とする棒鋼の切断端面のラベラー下地塗布方法である。
【0009】
すなわち、前工程の切断ラインより搬送された凹凸のある棒鋼の切断端面をグラインダーなどの手作業による切断端面仕上げを行うことなく、自動塗料吹付け装置のノズル6から自動的に定量の塗料を切断端面に塗布することにより、100〜300μm厚さの塗16膜を生成して切断端面を平滑化し、乾燥するものである。この場合、乾燥時間として2分を保持する。この方法を実施するため、塗料タンク4、塗料吐出ポンプ5、ノズル6及びノズル6内部の詰りを洗浄するための洗浄水タンク7、洗浄水ポンプ8、制御盤などから構成される自動塗料吹付け装置を使用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手段を適用することにより、棒鋼の切断端面を平滑化することで、従来のグラインダー研磨仕上げ工程よりも棒鋼の切断端面仕上げ工程の時間を短縮することができ、さらに、塗料の塗布作業を自動化することにより、塗膜の厚さや指触乾燥時間が画一化でき、処理する棒鋼の全量を自動吹付け装置ラインに投入できるので、作業員の塗料の塗布忘れによるロット表示ラベルの剥れが解消止できるなど、本発明は優れた作用効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を図1および図2を用いて説明する。切断ラインより抽出された棒鋼1は、ローラーテーブル11を通過する時に、棒鋼1の切断端面2が小断面径であるかあるいは大断面径であるかの断面径を判別した信号をローラーテーブル11内に取り付けたセンサー9で感知して自動塗料吹付け装置14の図示しない制御装置に送信されて塗料の塗布量が決定される。この場合、棒鋼1の小断面径の外径はφ30mm〜φ59mmとし、大断面径の外径はφ60mm〜φ100mmとする。さらにローラーテーブル11で棒鋼1の通過信号が近接センサー10から自動塗料吹付け装置14の制御装置に入力されると、その制御装置の可変タイマーにより0.5秒〜1.0秒の時間差をおいて、塗料吐出ポンプ5により塗料タンク4から、大断面径の棒鋼1の場合は1ccの塗料が、小断面径の棒鋼1の場合は0.5ccの塗料が塗料タンク4から塗料吐出ポンプ5により、図2の(B)に示すチューブ15を通じてノズル6に送給され、圧力0.3Mpaの圧縮ドライエアーによりノズル6から塗料が、ローラーテーブル11により搬送された後、スキッドテーブル12に投入機13により投入され、スキッドテーブル12上を自重により転動落下を始めるまでの、棒鋼1の切断端面2の中心部に向けて吹付けられる。
【0012】
この時、棒鋼1に付着した塗膜16の厚さは100〜300μmで、塗膜16は2分間の指触乾燥時間で乾燥する。圧縮ドライエアーは塗料吐出ポンプ5と連動してノズル6へ供給され、塗料の吐出が完了すると共に圧縮ドライエアーの供給は停止される。
【0013】
上記の方法において、繰り返して塗料の吹付けを行っていると、ノズル6の外周部に塗料が付着して固化し、ノズル6の穴を塞いでしまう。そのため、通常運転で次の棒鋼1の通過信号が近接センサー10から自動塗料吹付け装置14の制御装置に入力されるまでの2.5秒〜4.5秒の待機状態の間、ノズル6の先端外周部をエアーで洗浄する。エアー洗浄の積算時間が10秒間になれば、次の洗浄では、洗浄水ポンプ8から吐出された洗浄水0.5ccを注入してノズル6の先端の固化物を洗浄水で洗い流す。ノズル6の先端の洗浄水による洗浄後、次の棒鋼1の通過信号が入力されるまでにエアー洗浄に戻り、棒鋼1の通過信号が入力されると同時に洗浄工程は停止される。したがって、洗浄による自動塗料吹付け装置を停止することがなく、継続して塗料の吹付け作業をすることができる。さらに、棒鋼1が60分以上ローラーテーブル11を流れない時は、圧縮ドライエアーと洗浄水によるノズル6の洗浄を自動設定で実施する。
【0014】
本発明の方法によれば、棒鋼1が切断ラインからローラーテーブル11に搬送され、次いで、スキッドテーブル12に取り込まれたスキッド上の棒鋼1がスキッドテーブル12上を自重落下により転動を始めるまでに、塗料を自動で塗付することにより棒鋼1の切断端面2を平滑化するので、棒鋼1の切断端面2の仕上げのために必要な余分の工程停止時間が不要である。従来は作業員が手作業で塗料を塗付する場合、スキッドテーブルに棒鋼1を10本ずつ待機させ、まとめて塗布していたため、後工程が空いていたとしても、塗料の塗布作業待ちがあった。このために40秒〜60秒の工程停止時間が生じた。しかし、本発明の方法により自動塗料吹付け装置を使用して塗布すれば、棒鋼1の1本毎に塗料の塗布を行って次工程に送れるので、従来の手作業時のような工程停止時間がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の方法を実施するための自動塗料吹付け装置についての系統図である。
【図2】本発明の方法を実施するための自動塗料吹付け装置の配置図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】従来の棒鋼の切断端面に塗料を塗布してロット表示ラベルの側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 棒鋼
2 切断端面
3 ロット表示ラベル
4 塗料タンク
5 塗料吐出ポンプ
6 ノズル
7 洗浄水タンク
8 洗浄水ポンプ
9 センサー
10 近接センサー
11 ローラーテーブル
12 スキッドテーブル
13 投入機
14 自動塗料吹付け装置
15 チューブ
16 塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒鋼の製造工程で、棒鋼の1本毎の端面にラベラーでロット表示ラベルを貼付する作業において、棒鋼が切断ラインからローラーテーブルに搬送され、ローラーテーブルからスキッドテーブルに取り込まれたスキッド上の棒鋼が自重落下を始めるまでに、上記切断ラインにおいて切断により凹凸を生じた棒鋼端面にラベル接着性に好適な塗料を自動的に塗付することにより棒鋼端面を平滑化することを特徴とする棒鋼の切断端面のラベラー下地塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−142216(P2006−142216A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336510(P2004−336510)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【出願人】(390008338)広和株式会社 (21)
【Fターム(参考)】