説明

ラベリングマシン

【課題】簡易な構成で以って接着剤の飛散現象の問題を確実に解消すること。
【解決手段】ラベル裏面にホットメルト形接着剤を噴出して塗布する非接触式の塗布装置と貼付ドラムの間であって、貼付ドラムの回転方向上手側に、貼付ドラムの外周面へ向けて熱風を噴射する接着剤の縁切装置を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルに溶融形(ホットメルト形)接着剤を非接触により塗布するラベリングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
感熱ラベルに対応したラベリングマシンが特許文献1,2に記載されている。
感熱ラベルを用いるラベリングマシンは、搬送中のラベルを高温加熱するための大型の加熱装置を追加配備する必要があるためにマシンコストが嵩むといった問題点にくわえ、非感熱ラベルと比較してラベルコストが格段に高くつくことが知られている。
【0003】
非感熱ラベルを対象として、貼付直前のラベルの裏面に接着剤を塗布するラベリングマシンが特許文献3により知られている。
接着剤の塗布位置は、環境性と経済性に配慮してラベルの前端部と後端部にスポット的に塗布する形態が主流を占めている。
接着剤の塗布手段はラベルの搬送速度によって使い分けがなされ、低速用途の場合は塗布ローラでラベルに直接接触して塗布する手段が用いられ、高速用と場合は噴射ガンから接着剤を噴出してラベルに触れずに塗布する手段が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−91751号公報
【特許文献2】特開2003−285810号公報
【特許文献3】特開平11−292047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のラベリングマシンにあってはつぎのような問題点がある。
<1>溶融形接着剤は加温により液状を呈するが、特有の粘性を有する。そのため、噴射ガンから接着剤を噴出する際に、接着剤が糸をひいてミスト状となって飛散する。
接着剤が飛散現象を生じると、飛散した接着剤が周辺機器を汚す問題が起きる。
特に図6に示すように、ラベルLの進行方向後方(後端部)側で生じると、飛散した接着剤28がラベルLからはみでて貼付ドラム40の周面に付着する問題が起きる。
<2>溶融形接着剤を使用した場合は、ラベル貼付速度が低速(毎分100枚(BPM)〜毎分200枚(BPM))でも接着剤の飛散現象を生じる。
そのため、ラベルの貼付速度が接着剤の飛散現象を生じない低速域に制限される。
<3>上記したように溶融形接着剤を用いた場合は、ラベル素材およびマシンの低廉化を図れる半面、接着剤の飛散現象の関係からラベルの貼付速度の高速化を実現することができなかった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、少なくともつぎの何れかひとつのラベリングマシンを提供することにある。
(1)簡易な構成で以って接着剤の飛散現象の問題を確実に解消すること。
(2)非感熱ラベルに溶融形接着剤を塗布して超高速貼付を可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、ラベル裏面を外側へ向けて移送し、該ラベルを容器に貼付する貼付ドラムとを具備したラベリングマシンであって、貼付ドラムの外周面へ向けて間隔を隔てて対向配置し、ラベル裏面にホットメルト形接着剤を噴出して塗布する非接触式の塗布装置と、前記塗布装置と貼付ドラムの間であって、貼付ドラムの回転方向上手側に配置し、貼付ドラムの外周面へ向けて熱風を噴射する接着剤の縁切装置とを具備することを特徴とする。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記ラベルが非感熱ラベルであることを特徴とする。
本願の第3発明は、前記第1又は第2発明において、前記縁切装置が噴射する熱風温度が接着剤の溶融可能な温度以上であることを特徴とする。
本願の第4発明は、前記第1乃至第3発明の何れかにおいて、前記縁切装置が熱風を連続噴射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明はつぎの何れかひとつの効果を奏する。
(1)塗布装置に隣接して縁切装置を設けるだけの簡易な構成で以って、接着剤の糸ひき現象の問題を確実に解消することができる。
(2)接着剤に熱風を噴射することで接着剤の固化時間を延長できるから、非感熱ラベルに溶融形接着剤を塗布してもラベルの超高速貼付を実現することができる。
(3)高価な感熱ラベルを使用せずに安価なラベル素材を使用できるので、ラベルコストを大幅に低廉することができる。
(4)超高速貼付用のラベル接着剤としてホットメルト形接着剤を使用できる。
そのため、特殊接着剤を用いる場合と比べて、接着剤のコストを安価に抑えられるだけでなく、貼付後に剥がし易いので容器のリサイクルする際のうえで有益である。
(5)縁切装置を追加するだけで対応できるからマシンコストも低廉に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一部を省略したラベリングマシンの平面図
【図2】図1における接着剤の塗布装置の拡大平面図
【図3】図2におけるIII−IIIの矢視図
【図4】接着剤の塗布工程を説明するためのモデル図
【図5】接着剤の塗布を完了したラベル裏面の正面図
【図6】従来の塗布手段による接着剤の塗布を完了したラベル裏面の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら本発明に係るラベリングマシンについて説明する。
【0011】
<1>ラベリングマシンの概要
図1に本発明に係るラベリングマシンの一例を示す。
本発明が前提とするラベリングマシンはラベル供給手段と、ラベル供給手段からラベルを受取り貼付位置まで複数のラベルを移送するラベル移送手段と、容器10をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段を具備していて、ラベル移送手段によるラベル移送経路に向けて接着剤の塗布装置20及び接着剤の縁切装置30を隣接して配備する。
【0012】
本発明ではラベルに非感熱ラベルを使用し、接着剤にホットメルト形接着剤を使用する。
【0013】
(容器)
容器10は樹脂、ガラス、金属、紙等の公知の素材よりなる各種容器又はボトルを含む。
【0014】
(非感熱ラベル)
非感熱ラベルとは、ラベル素材に感熱性接着剤が予め塗布されていないラベルを意味し、ラベル素材は公知の樹脂製、紙製等のすべての素材を含む。
ラベルの全長は容器10の全周巻き用の他に、容器10の周長以下であってもよい。
【0015】
(溶融形接着剤)
溶融形接着剤とは、一般にホットメルト形接着剤と呼ばれる安価で、接着後の剥離性に優れた公知の接着剤を意味し、溶融形であれば公知の各種接着剤が適用可能である。
この種の溶融形接着剤は約140℃に加温すると液状化して接着性を発揮し、大気中に放出すると自然冷却されて瞬時に固化する性質を有する。
【0016】
<2>ラベル供給手段
ラベル供給手段は鉛直の回転軸41を中心に一方向(図1,2では反時計回り方向)へ回転する貼付ドラム40を具備している。
【0017】
(貼付ドラム)
図2に拡大して示すように、貼付ドラム40は公知の負圧吸引式の回転ドラムで、その外周面へ吸着した複数のラベルLをドラムの回転により移送し得るように複数の吸引孔42を有する。
吸引孔42はラベルLの移送範囲に亘って負圧を発生し、それ以外の区間では負圧が切れる。吸引孔42の負圧のオンオフ機構は周知であるから説明を省略する。
【0018】
(ラベル供給方式)
貼付ドラム30へのラベル供給方式は、複数のラベルを収容したラベルマガジンから供給する枚葉ラベル供給方式、ロールから引き出したテープを切断して製造したラベルを供給するロールラベル供給方式等の公知供給方式が適用可能である。
【0019】
<3>容器移送手段
図1に示すように容器移送手段は、容器10を貼付ドラム30に外接可能に移送する手段で、本例では搬入路51と搬出路52の間に設けたロータリー搬送装置50で構成する場合を示す。
【0020】
ロータリー搬送装置50は鉛直の回転軸53を中心に容器10を公転搬送する装置で、搬入路51に設けたスター54を通じて容器10を取り込み、ラベルの貼付を完了した容器10を、スター55を通じて搬出路52へ排出する。
ロータリー搬送装置50は容器10の上下部、又は下部を保持していて、貼付ドラム30の箇所を通過する際に自転し、容器10の外周面の所定位置にラベルLを貼付し得るようになっている。
【0021】
容器移送手段はロータリー搬送装置50以外に公知の移送手段を適用可能である。
【0022】
<4>接着剤の塗布装置
図2,3に基づいて塗布装置20は液状接着剤を噴出して塗布する非接触形の塗布装置で、液状接着剤を収容するタンク21と、タンク21に隣接して設けた塗布ガン22を具備する。
【0023】
タンク21には接着剤供給管23とエア供給管24が接続している。適温で溶融した液状接着剤は接着剤供給管23を通じてタンク21内に供給される。
接着剤供給管23の基端は図外の接着剤溶融製造装置に接続していて、溶融した接着剤をタンク21へ向けてポンプ圧送している。
【0024】
塗布ガン22には図3に示すように縦向きに複数の噴射口25を形成している。
塗布ガン22の内部には電磁弁やレギュレータ等を内蔵していて、エア供給管24を通じて供給される圧縮空気によって、接着剤の塗布タイミングに合わせて噴射口25から接着剤を噴射し得るようになっている。
図3では噴射口25を縦方向に向けてシングルの形態で配列した場合を示すが、複数の噴射口25,25を並列に配列してもよい。
【0025】
<5>接着剤の縁切装置
接着剤の縁切装置30は塗布した接着剤を縁切りするために、貼付ドラムの周面へ向けて熱風(又は温風)を噴射する装置で、公知の発熱体と送風手段を具備した熱風発生体31と、熱風発生体31から貼付ドラム40の周面へ向けて延出した吹出フード32を具備する。
接着剤の縁切装置30は塗布装置20と貼付ドラム40の間であって、貼付ドラム40の回転方向上手側に配置する。
【0026】
本例では発熱体を内蔵した熱風発生体31に給気管33を接続し、送風手段を熱風発生体31から分離した形態を示すが、熱風発生体31の内部にファン等の送風手段を内蔵してもよいことは勿論である。
【0027】
図3に示すように、吹出フード32はその先端が縦長に絞り込まれていて、前面に吹出口34を形成している。
吹出口34は図示した孔の形態の他にスリットであってもよい。
最終的に吹出口34から接着剤の固化を阻止し、接着剤を溶融可能な温度(例えば140℃以上)の熱風を、貼付ドラム40の外周面へ向けて噴射できるようになっている。
溶融形接着剤の溶融温度は接着剤の種類により適宜選択する。
また熱風の温度は接着剤の溶融温度に限定されるものではなく、溶融温度より低い温度であってもよい。
【0028】
接着剤の縁切装置30は連続して熱風を噴射する。
熱風を連続噴射することで、熱風を一定温度に保つことができるので、安定した接着剤の飛散防止効果を得られる。
【0029】
尚、必要に応じて、接着剤の縁切装置30を塗布装置20と連動し、接着剤の噴射完了のタイミングに合わせて、熱風を間欠的に噴射するように構成してもよい。
【0030】
縁切装置30から空気を噴射するのは、塗布装置20から噴出した接着剤のうち、ラベルに塗布された接着剤と、ラベルに塗布されずに糸をひいてミスト状となって飛散した接着剤を完全に縁切りすることと、飛散した接着剤をラベル裏面へ向けて吹き戻すためである。
【0031】
また空気を加熱したのは、接着剤の固化を遅らせるためで、飛散した接着剤の接着性を保持したままラベル裏面へ再塗布するためである。
【0032】
[作用]
つぎにラベリングマシンにおけるラベルの貼付方法について説明する。
【0033】
<1>ラベルの進行
図1において、ラベルは貼付ドラム40の外周面にラベル表面を吸着された状態で反時計回り方向に進行する。
この際、ラベルは裏面側を露出した状態で進行する。
【0034】
<2>接着剤の塗布
ラベルの前端部および後端部が通過するタイミングに合わせて、塗布装置20がラベルの裏面へ向けて接着剤を噴射する。
図4はラベルLの後端部に塗布装置20の噴射口25を通じてラベルLの裏面へ接着剤26を噴射して塗布した状態を示す。
【0035】
<3>接着剤の縁切り
図4に示すように、縁切装置30の吹出フード32の前面の吹出口34から熱風35を連続して噴射している。
より正確には、塗布装置20の接着剤26の噴出方向と交差する方向であって、貼付ドラム40の回転方向下手側へ向けて斜めに熱風35を噴射している。
貼付ドラム40の外周面に吸着されたラベルが縁切装置30の前を通過する際、ラベルLの裏面に熱風35が噴射される。
【0036】
熱風35の縁切り作用により、塗布装置20から噴出した接着剤26のうち、ラベルLに塗布された接着層27と、ラベルLに塗布されずに糸をひいてミスト状となって飛散した接着剤28を完全に縁切りするとともに、熱風35がラベルLの進行方向へ向けて噴射されるため、飛散した接着剤28をラベルLの裏面へ向けて吹き戻す。
【0037】
また熱風35の加温作用により、接着剤が加温されて縁切りし易くなり、さらに飛散した接着剤28がラベル裏面へ付着し易くなる。
したがって、図5のようにラベルLの前後端部にスポット的な接着層27を塗布することができる。
【0038】
<4>ラベルの貼付
図1において、非接触形式で接着剤を塗布したラベルがロータリー搬送装置50の容器10と出会い、自転する容器10の周面へ向けてラベルの貼付を完了する。
【0039】
既述したように塗布装置20に隣接して縁切装置30を設け、熱風を噴射するだけで、接着剤の飛散現象の問題を確実に解消できるだけでなく、接着剤が固化するまでの時間を延長することができる。
そのため、ラベルLを高速で移送しても良好な接着性を保持したまま貼付することが可能となる。
従来まで制限があった毎分200枚(BPM)以上の高速貼付が可能となる。
ラベリングマシンの実機では毎分800枚(BPM)以上の超高速貼付を実現することができた。
【0040】
本発明では高価な感熱ラベルを使用せずに安価なラベル素材を使用できるので、ラベルコストを低廉に抑制することができるうえに、ラベリングマシンには小型の縁切装置30を追加するだけで対応できるからマシンコストも低廉に抑制できる。
【符号の説明】
【0041】
10・・・・・容器
20・・・・・塗布装置
30・・・・・縁切装置
32・・・・・吹出フード
34・・・・・吹出口
35・・・・・熱風
40・・・・・貼付ドラム
50・・・・・ロータリー搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、ラベル裏面を外側へ向けて移送し、該ラベルを容器に貼付する貼付ドラムとを具備したラベリングマシンであって、
貼付ドラムの外周面へ向けて間隔を隔てて対向配置し、ラベル裏面にホットメルト形接着剤を噴出して塗布する非接触式の塗布装置と、
前記塗布装置と貼付ドラムの間であって、貼付ドラムの回転方向上手側に配置し、貼付ドラムの外周面へ向けて熱風を噴射する接着剤の縁切装置とを具備することを特徴とする、
ラベリングマシン。
【請求項2】
請求項1において、前記ラベルが非感熱ラベルであることを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記縁切装置が噴射する熱風温度が接着剤の溶融可能な温度以上であることを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項において、前記縁切装置が熱風を連続噴射することを特徴とする、ラベリングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−16544(P2011−16544A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161678(P2009−161678)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【出願人】(392037127)アイ・ティー・ダブリュー・ダイナテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】