説明

ラベリングマシン

【課題】ラベルの前端部と後端部へ異なる種類の接着剤を塗布すること。
【解決手段】搬送中のラベル裏面の後端部に紫外線硬化形接着剤を塗布する接触式の第1塗布装置と、ラベル裏面の前端部にホットメルト形接着剤を塗布する接触式の第2塗布装置と、ラベルの巻着完了位置に配備し、紫外線硬化形接着剤に紫外線を照射して硬化させるUV照射装置とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルの前後端部に異種の接着剤を塗布できるラベリングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の容器用のラベルとして広く知られている筒状ラベルの装着方法は、つぎのように大別できる。
【0003】
<1>事前製作の筒状ラベルを装着する方法(特許文献1)
使用する筒状ラベルは、印刷済みのシュリンク系フィルムシートの両端を貼り合せて複数の連続した筒状物を予め製造し、扁平に折り畳んだ筒状物を巻取ったロール体を使用する。
ラベリングマシンに搭載したロール体から引き出した筒状物を筒状ラベルの単体長さに切断して筒状ラベルを製造しながら、扁平の筒状ラベルを円筒状に広げて容器に装着する。
【0004】
<2>マンドレルに巻き付けて筒状ラベルを製作する方法(特許文献2)
この装着方法は、印刷済みのシュリンク系のシングルフィルムシートを使用する方法で、ラベリングマシン上でフィルムシートを切断した後に、円柱状のマンドレルに巻着した後にラベルの両端部を接着して筒状ラベルを製作しながら、マンドレルから抜き取った筒状ラベルを容器に装着する。
【0005】
<3>容器に巻き付けて筒状ラベルを製作する方法
この装着方法は、印刷済みのシングルフィルムシートを使用する方法で、ラベリングマシン上でフィルムシートをラベル長さに切断した後に、ラベル裏面に接着剤を塗布し、ラベルの前端部側から順に容器の外周面に巻き付け、ラベルの後端部を前端部に重ねて貼り合わせ、筒状ラベルを容器の外周面上で製作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−316143号公報(図1)
【特許文献2】特公昭58−33813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既述したラベリング技術にはつぎのような問題点がある。
(1)特許文献1に記載のラベリングマシンは、筒状ラベルに形成したロール体を使用するためにラベルコストが高くつくだけでなく、少なくとも扁平の筒状ラベルを筒状に拡開する機構と、筒状ラベルを容器に被せる機構が必要であるため、マシンコストも高くつくといった問題がある。
(2)多数のマンドレルを使用して筒状ラベルを製造する特許文献2に記載のラベリングマシンにあっては、マシンの構造が複雑となってマシンコストが嵩むという問題がある。
(3)容器の外周面上でラベルの前端部の貼付、巻着、ラベル両端部の重合接着を行って筒状ラベルの形成とラベルの貼付を同時に行えるラベリングマシンにあっては、接着剤の塗布装置の構造上、ラベルに塗布できる接着剤が一種類に限定されてしまい、ラベルの前端部と後端部で塗布する接着剤を使い分けすることができない。
(4)上記(3)のラベリングマシンにおいて、ラベルの前端部と後端部にホットメルト系接着剤を塗布すると、ホットメルト系接着剤は接着力を発揮するまでに時間が長くかかり、さらに加温されると接着剤が軟化して接着力が低下する。
そのため、ラベルの貼付直後や高温環境下にあると、筒状ラベルの重合部が不用意にずれたり剥離したりする問題がある。
殊にラベル素材がシュリンクラベルであると、筒状ラベルを加熱収縮させる際にラベルの重合部にずれや剥離が生じ易くなる。
(5)上記(3)のラベリングマシンにおいて、ラベルの前端部と後端部に硬化時間が短く、接着強度の高い接着剤を塗布すると、接着剤が容器本体に付着したまま残り、きれいに除去することが難しい。
接着剤と容器本体は素材が異なるため、接着剤が付着したままの容器は、リサイクルに適さない。
(6)ラベルの前端部と後端部に異種の接着剤を塗布する方法として、例えばラベルの搬送経路(例えば貼付ドラムの外周)に間隔を隔てて二組の接触式の塗布装置を配置する方法が考えられる。
この方法は、ラベルの前端部と後端部に両組の塗布装置が接触することになって、接着剤を区別して塗布することができない。
(7)ラベルの前端部と後端部に異種の接着剤を塗布する方法として、例えば二組の接触式の塗布装置を配置し、ラベルの通過に合せて二組の接触式の塗布装置を進退させて塗布する方法が考えられる。
この方法は原理的に接着剤を区別して塗布できるが、超高速移動するラベルの通過タイミングに合せて二組の塗布装置の進退を正確に制御することが技術的に困難であるだけでなく、塗布装置の進退運動に伴い接着剤が周囲に飛散するなどの多くの問題がある。
(8)例えば接着剤を噴射する非接触式の塗布装置を二組配置し、ラベルへ向けて異種の接着剤を噴射する方法が考えられる。
この方法は塗布装置が高額である問題と、噴射した接着剤が塊状に隆起するため、貼り終えたラベルの表面に凹凸感が表われて外観を損ねる問題がある。
(9)ラベルの前端部と後端部に同種の接着剤を塗布すると、上記(4)(5)で説明したような問題があり、また上記(6)〜(8)に説明したように、ラベルの前端部と後端部に異なる接着剤を塗布できる実用化レベルの技術が未だ提案されていない。
そのため、多数の筒状ラベルを連続的に形成した高価なロール体の使用を強いられている。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、少なくともつぎのラベリング技術を提供することを目的とする。
(1)ラベルの前端部と後端部へ異なる種類の接着剤を塗布できること。
(2)ラベルコストとマシンコストの低減を両立できること。
(3)筒状ラベルの両端部が剥離し難く、容器本体のリサイクルに悪影響を及ぼすことがないこと。
(4)容器の形状(角形容器、異径容器等)を問わず、しかもマンドレル等の成形型を使用せずにラベリングマシン上で筒状ラベルを製造できること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の第1発明は、全周巻きラベル用のシングルラベルを供給するラベル供給手段と、容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、ドラム回転軸を中心に位置方向に回転し、外周面に複数の吸着孔を有する負圧吸引式の貼付ドラムと、を具備するラベリングマシンにおいて、搬送中のラベル裏面の後端部に紫外線硬化形接着剤を塗布する接触式の第1塗布装置と、ラベル裏面の前端部にホットメルト形接着剤を塗布する接触式の第2塗布装置と、ラベルの巻着完了位置に配備し、紫外線硬化形接着剤に紫外線を照射して硬化させるUV照射装置とを具備し、前記第1塗布装置と第2塗布装置とを貼付ドラムの近傍であって、貼付ドラムの回転方向に沿って配備し、前記貼付ドラムはその外周面にラベル前端部を吸着する前端吸着部と、前端吸着部より小径であって、ラベル前端部以外の残存部を吸着する凹部とを形成したことを特徴とする。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記第2塗布装置は塗布ローラを具備し、該塗布ローラはその外周面に、貼付ドラムの凹部に吸着されたラベルの後端部と接触可能な後端塗布部と、後端塗布部より小径であって、前記貼付ドラムの前端吸着部との接触を回避する逃げ部とを形成していることを特徴とする。
本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記第1塗布装置および第2塗布装置は、それぞれ後退手段を具備し、前記後退手段を介して前記第1塗布装置および第2塗布装置の塗布ローラを貼付ドラムの周面から同時に離隔可能に構成したことを特徴とする。
本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明の何れかにおいて、前記第2塗布装置の異種の接着剤がホットメルト形接着剤であることを特徴とする。
本願の第5発明は、前記第1発明乃至第4発明の何れかにおいて、前記シングルラベルがシュリンクラベルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明はつぎの何れかひとつの効果を少なくとも奏する。
(1)本発明では第1塗布装置および第2塗布装置の両塗布ローラを定位置で回転させるだけ、ラベルの前後端部の所定位置へ異種の接着剤を正確に塗布することができる。
(2)両塗布ローラでラベル裏面に接触して接着剤の層厚を均一に塗布できるので、貼付跡に凹凸がなくきれいに仕上げることができる。
(3)接着剤を塗布する都度、塗布ローラが往復動しないので、接着剤が周囲に飛散することもなく、ラベルの高速貼付に適している。
(4)全周巻きラベル用のシングルラベルを使用して筒状ラベルを巻着できるので、高価な筒状ラベルのロール体と比較してラベルコストを大幅に低減できるだけでなく、ラベリングマシンに第1および第2塗布装置とUV照射装置を追加するだけでよいので、筒状ラベルのロール体を使用するラベリングマシンと比較してマシンコストも大幅に低減できる。
(5)ラベル裏面の前端部に安価なHM接着剤を塗布し、ラベル裏面の後端部にUV接着剤を塗布できるので、筒状ラベルの両端部が剥離し難く、しかもリサイクル時に接着剤が容器本体に残らない。
異種の接着剤の優れた特性を活かした使い方ができる。
(6)本発明ではUV接着剤を介してラベルの前後端部の貼り合せ終了と同時に紫外線を照射してラベルの前後端部の貼り合せ箇所を強固に固定できるので、その後に筒状ラベルに収縮や外力が作用しても、貼り合せ箇所がずれたり剥離したりする心配がまったくない。
そのため、容器の形状(角形容器、異径容器等)を問わず、しかもマンドレル等の成形型を使用せずにラベリングマシン上で筒状ラベルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るラベリングマシンの平面モデル図
【図2】一部を破断した貼付ドラムの斜視図
【図3】一部を破断した貼付ドラムの平面図
【図4】貼付ドラムの一部の外周面を直線的に表した展開平面図
【図5】貼付ドラムの前端吸着部が塗布ローラの逃げ部を通過するときの説明図
【図6A】ラベル前端部の貼付工程を説明する斜視図
【図6B】ラベル後端部の貼付工程を説明する斜視図
【図6C】筒状ラベルの装着を終了した容器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0013】
<1>ラベリングマシンの概要
図1にラベリングマシンの平面モデル図を示す。
本発明が前提とするラベリングマシンは、少なくともラベルLを一枚単位で連続的に供給するラベル供給手段10と、ラベルLをドラム外周面に吸着する貼付ドラム20と、ラベル貼付位置を通過させて容器Aを搬送する容器搬送手段とを具備している。
【0014】
本発明に係るラベリングマシンは、搬送中のラベル裏面の後端部に紫外線硬化形接着剤(以下「UV接着剤」という)を塗布する接触式の第1塗布装置30と、ラベル裏面の前端部に例えばホットメルト形接着剤(以下「HM接着剤」という)等の異種の接着剤を塗布する接触式の第2塗布装置40と、UV接着剤に紫外線を照射して硬化させるUV照射装置60とをさらに具備している。
本発明では、HM接着剤を介してラベルLの前端部と容器Aの外周面の間を接着できるとともに、UV接着剤を介して容器Aの周面上で筒状に巻着したラベルLの両端部の間を強固に接着することができる。
【0015】
第1塗布装置30と第2塗布装置40は貼付ドラム20の近傍であって、貼付ドラム20の回転方向に沿って配備され、またUV照射装置60はラベルLの巻着完了位置に配備される。
以降に主要な資材と構成装置について説明する。
【0016】
<1.1>ラベル
本発明では接着剤層のない全周巻きラベル用のシングルラベルを使用する。
ラベル素材は熱収縮性のシュリンクラベル、伸縮性を有するストレッチラベル等の樹脂製ラベルに限定されず、紙製ラベルも含む。
ラベルの供給形態としては、公知のテープ片を切断してラベルを製造するロールラベル以外に、マガジンに収容した多数のラベルを一枚単位で供給する枚葉ラベルも含むものである。
ラベル供給手段10はこれら各種のラベルの素材や供給形態に応じた公知の供給手段を含むものである。
【0017】
またラベルの表面に印字等をする場合には、必要に応じて貼付ドラム20の直前に負圧吸引式の中継ドラムを介装してもよいが、中継ドラムは必須ではない。
【0018】
<1.2>容器搬送手段
図1において、容器搬送手段はラベル貼付位置へ向けて容器Aを搬入する機構と、ラベル貼付後の容器を搬出する機構とを具備していて、例えば公知のスクリューコンベア、ベルトコンベア、スターホイール11,12、ターレットロータリー等のロータリー搬送装置13等を適宜組合せて構成されている。
【0019】
ロータリー搬送装置13は容器Aの上下を把持して回転軸14を中心に公転するとともに、ラベルの巻付区間Bに亘り容器Aをラベルの巻付方向(図1では時計回り方向)へ強制的に自転するように構成されている。
公転中に容器Aを自転させるには、歯車機構やカム機構等を組合せた公知の自転機構を適用できる。
【0020】
容器搬送手段は図示した形態に限定されるものではなく、要は貼付ドラム20の接線方向へ向けて容器Aを搬送できるとともに、ラベルの巻付区間Bに亘り容器Aの自転できる機構を有していればよく、容器Aの素材、サイズ、外形形状等に応じて公知の搬送手段を適宜選択することができる。
【0021】
<1.3>ラベルと容器の検知手段
図1において符号S1は第1塗布装置30の上流側に配設されたラベルLの有無を検知するセンサであり、符号S2はラベル貼付前の容器Aの有無を検知するセンサであり、両センサS1、S2は制御部50と電気的に接続されている。
【0022】
第1塗布装置30および第2塗布装置40は、それぞれ後退手段35,46を具備していて、各後退手段35,46も制御部50と電気的に接続されている。
【0023】
両センサS1、S2により、制御部50でラベルLまたは容器Aの供給停止が確認されると、制御部50は第1塗布装置30および第2塗布装置40が貼付ドラム20の外周面から離隔するように後退制御して接着剤の塗布を中断することができる。
【0024】
容器AとラベルLが間欠なく正常に供給されているときは、第1塗布装置30および第2塗布装置40の後退制御は行われない。
第1塗布装置30および第2塗布装置40の後退機構については後述する。
【0025】
<2>貼付ドラム
図2に一部を破断した貼付ドラム20の斜視図を示し、図3に一部を破断した貼付ドラム20の平面図を示し、図4に貼付ドラム20の一部の外周面を直線的に表した展開平面図を示す。
【0026】
<2.1>貼付ドラムの基本構成
回転軸21を中心に回転する公知の負圧吸引式の貼付ドラム20は、ラベル供給手段10から受け取ったラベルLをラベル貼付位置まで搬送して容器Aへ貼付するために機能する。
貼付ドラム20の外周面には複数の吸着孔22が形成されていて、周知の負圧吸着機構により周知ラベルの搬送区間に亘って各吸着孔22に負圧を生じながらラベルLを吸着搬送できるようになっている。
【0027】
<2.2>貼付ドラムの外周面
図2,4に示すように、貼付ドラム20はその外周面に回転方向に沿って回転軸21と平行な前端吸着部23と、前端吸着部23より小径の凹部24とが形成されている。
前端吸着部23はラベルLの前端部Laを吸着する部位であり、凹部24は前端部La以外の部位(後端部Lbを含む)を吸着する部位であり、これらの外周面には複数の吸着孔22が形成されている。
【0028】
前端吸着部23と凹部24の間には径差(高低差)G1が設けられている。
ラベルLの前端部Laと後端部Lbに径差を生じさせて、異種の接着剤の個別塗布を可能にするためである。
したがって、この径差G1はラベルLのシート厚以上であればよく、数ミリ程度の僅かな寸法差でよい。
【0029】
<3>第1塗布装置
図3に第1及び第2塗布装置30,40の平面図を示し、図4に貼付ドラム20の近傍に配設した塗布装置30,40の平面モデル図を示す。
尚、図4では第1及び第2塗布装置30,40の構造と機構の理解を助けるため、タンク31,41の図示を省略している。
【0030】
第1塗布装置30はラベル裏面の後端部LbにUV接着剤を塗布するための塗布装置であり、UV接着剤を収容するタンク31と、タンク31の一部の開口に面して設けた誘導ローラ32と、誘導ローラ32に隣接して設けた塗布ローラ33と、両ローラ32,33の軸32a,33aの間に横架した間隔保持板34とを具備する。
【0031】
<3.1>UV接着剤
ラベル裏面の後端部LbにHM接着剤を塗布するのは、筒状ラベルを成形したときにラベルLの両端部が、加熱や外力によって剥がれ難くするためである。
【0032】
UV接着剤としては紫外線を照射することで瞬時に硬化する特性を有する公知のエポキシ系、アクリル系等の液状またはエマルション接着剤を使用できる。
UV接着剤の硬化時間は、UV照射装置60から照射される紫外線の照射量を変更することで選択できる。
【0033】
尚、リサイクル時のラベルの除去性を高めるには、ミシン目入りのラベルを用いる等の公知の手法を採用すればよいから、本発明ではリサイクル時のラベルの除去性については特に考慮していない。
【0034】
<3.2>誘導ローラ
誘導ローラ32は金属製ローラであり、支軸32aを中心に回転することでタンク31内のUV接着剤を取り出して塗布ローラ33の外周面へ受け渡すために機能する。
【0035】
<3.3>塗布ローラ
塗布ローラ33は回転軸33aを中心に回転する樹脂製ローラであり、貼付ドラム20の周速度と同一の速度で回転する。
塗布ローラ33の外周面には回転軸33aと平行な後端塗布部33bと、後端塗布部33bより小径の逃げ部33cが形成されている。
【0036】
後端塗布部33bは貼付ドラム20の凹部24に吸着されたラベルLの後端部Lbと接触してUV接着剤を塗布する部位である。
逃げ部33cはラベルLの前端部Laとの接触を回避するため部位であり、後端塗布部33bと逃げ部33cの間に径差G2が設けられいる
【0037】
<3.4>間隔保持板
両ローラ32,33の軸32a,33aの間には間隔保持板34が横架してあって、両ローラ32,33の間隔を一定に維持している。
【0038】
<3.5>塗布ローラと誘導ローラの関係
図4に示すように、塗布ローラ33はその後端塗布部33bが誘導ローラ32の外周面と接触可能であって、逃げ部33cは誘導ローラ32と接触しない関係にある。
【0039】
<3.6>塗布ローラと貼付ドラムの関係
塗布ローラ33の後端塗布部33bは、貼付ドラム20の凹部24と接触可能な距離まで接近している。
塗布ローラ33の逃げ部33cは、貼付ドラム20の前端吸着部23と接触しないように離隔していて、逃げ部33cと前端吸着部23との間に間隔G3が設けられている。
要は、塗布ローラ33の後端塗布部33bが貼付ドラム20の凹部24と接触可能で、塗布ローラ33の逃げ部33cが前端吸着部23と接触不能な寸法関係になっていればよい。
【0040】
<3.7>後端塗布部が前端吸着部と接触しない理由
図4において、異種の接着剤の重複塗布を回避してラベルの前後端部に個別に接着剤を塗布するには、塗布ローラ33から突出した後端塗布部33bが貼付ドラム20から突出した前端吸着部23と接触することを防止すればよい。
【0041】
上記した接触を防止するには、図5に示すように、貼付ドラム20の前端吸着部23が塗布ローラ33の前を通過する直前に、塗布ローラ33の後端塗布部33bが前端吸着部23を越える位置まで回転を終えていて、貼付ドラム20の前端吸着部23が塗布ローラ33の前を通過しているときは、塗布ローラ33の逃げ部33cが前端吸着部23と対向するように、貼付ドラム20の回転を基に塗布ローラ33の回転を制御すればよい。
このようにすれば、塗布ローラ33の後端塗布部33bが貼付ドラム20の前端吸着部23と接触せずに乗越えることができる。
【0042】
<3.8>ローラの回転手段
図3に歯車機構を用いた誘導ローラ32と塗布ローラ33の回転手段を例示する。
本例では、貼付ドラム20と一体に設けた親歯車g1に駆動力を得てローラ32,33を回転駆動する例を示したもので、親歯車g1の回転を複数の中継歯車g2〜g5を経由して誘導ローラ32の支軸32aに設けた従動歯車g6へ伝え、さらに塗布ローラ33に一体に設けた従動歯車を経て誘導ローラ32と塗布ローラ33を回転駆動できるようになっている。
【0043】
誘導ローラ32と塗布ローラ33の回転手段は歯車機構に限定されず、モータで駆動してもよい。
【0044】
<3.9>塗布ローラの後退機構
本発明では、第1および第2塗布装置30,40の両塗布ローラ33,42が後退せずに定位置でラベルLの裏面に異種の接着剤を塗布する構造である。
そのため、ラベルLや容器Aの供給停止に合せて接着剤の塗布を停止するため、第1および第2塗布装置30,40は後退機構を具備している。
【0045】
図3,4に基づいて、第1塗布装置30の後退機構について説明する。
本例では塗布ローラ33が間隔保持板34を介して誘導ローラ32の支軸32aに揺動可能に支持されていて、エアシリンダ等の後退手段35が例えば回転軸33aまたは間隔保持板34の一部に連結されている。
ラベルLや容器Aの供給停止に合せて後退手段35が作動することで、支軸32aを中心に塗布ローラ33が後退する。
【0046】
尚、塗布ローラ33を後退する機構は、上記した以外に第1塗布装置30の全体を後退するように構成してもよい。
【0047】
<4>第2塗布装置
第2塗布装置40はラベル裏面の前端部LaにHM接着剤を塗布するための公知の塗布装置であり、HM接着剤を収容するタンク41と、タンク31の一部の開口に面して回転可能に設けた外周面に径差のない塗布ローラ42とを具備する。
【0048】
<4.1>HM接着剤
ラベル裏面の前端部Laに公知のHM接着剤を塗布するのは、接着剤のコストを抑制するためと、リサイクル時にラベルLを剥がれ易くするためだけでなく、PETボトル等の容器Aから接着剤自体も剥がれ易くして、容器Aに接着剤を残存させないためである。
【0049】
<4.2>塗布ローラ
塗布ローラ42は、回転軸42aを中心に回転するローラであり、貼付ドラム20の周速度と同一の速度で回転する。
塗布ローラ42はタンク41内のHM接着剤を取り出して、貼付ドラム20の前端吸着部23に吸着されたラベルLの前端部Lbと接触してHM接着剤を塗布することができる。
【0050】
<4.3>塗布ローラと貼付ドラムの関係
塗布ローラ42は、貼付ドラム20の前端吸着部23とだけ接触可能な距離まで接近している。
【0051】
<4.4>ローラの回転手段
図3に示すように、第2塗布装置40を構成する塗布ローラ42は、親歯車g1に噛合する複数の中継歯車g2、g3を経由して塗布ローラ42の回転軸42aに設けた従動歯車g4へ回転が伝えられることで、塗布ローラ42を回転駆動できるようになっている。
塗布ローラ42の回転手段は歯車機構に限定されず、直接モータで駆動してもよい。
【0052】
<4.5>塗布ローラの後退機構
図3,4に基づいて第2塗布装置40の後退機構について説明する。
本例では中継歯車g3の支軸44を利用して塗布ローラ42を含む第2塗布装置40の全体を後退させる場合について説明する。
中継歯車g3の支軸44と塗布ローラ42の回転軸42aの間に間隔保持板45が横架されていて、第2塗布装置40は支軸44を中心に揺動可能である。
エアシリンダ等の後退手段46が第2塗布装置40の一部に連結されている。
ラベルLや容器Aの供給停止に合せて後退手段46が作動することで、支軸44を中心に塗布ローラ33を含む第2塗布装置40の全体が後退する。
【0053】
尚、第2塗布装置40の全体を後退する以外に塗布ローラ42のみを後退するように構成してもよい。
【0054】
つぎにラベルの貼付方法について説明する。
<1>ラベルの貼付
図1において、ラベル供給手段10から供給されるラベルLは、貼付ドラム20の外周面に吸着されて搬送される。
このとき、ラベルLの前端部Laは前端吸着部23に吸着され、前端部La以外の部位は凹部24に吸着される。
【0055】
<2>HM接着剤の塗布
図3,4において、貼付ドラム20の前端吸着部23に吸着されたラベル裏面の前端部Laが、第1塗布装置30の塗布ローラ33と触れることなく通過し、その後、第2塗布装置40を通過する際に、第2塗布装置40の塗布ローラ42を通じてラベル裏面の前端部LaにHM接着剤が塗布される。
【0056】
<3>UV接着剤の塗布
貼付ドラム20の外周面に吸着されたラベル裏面の後端部Lbが、第1塗布装置30を通過する際、塗布ローラ33を構成する後端塗布部33bを通じてラベル裏面の後端部LbにUV接着剤が塗布される。
【0057】
本発明では第1塗布装置30および第2塗布装置40の両塗布ローラ33,42が定位置で回転するだけであるから、ラベルLの前後端部の所定位置へHM接着剤およびUV接着剤を正確に塗布できる。
また本発明では、接着剤を塗布する都度、塗布ローラ33,42を往復動する必要がないので、接着剤が周囲に飛散することもなく、これまで実用化が困難視されていたラベルLの前後端部へ異種の接着剤の塗布を実現できるだけでなく、殊に塗布ラベルLの高速貼付に適している。
【0058】
<4>筒ラベルの形成
図1において、接着剤の塗布を完了したラベルLがロータリー搬送装置13により搬送された容器Aと出会うことで、HM接着剤を塗布したラベル裏面の前端部Laが容器Aの胴部に接着する。
次いで、容器Aが強制回転することで容器Aの胴部にラベルの残部が巻き付けられる(図6A参照)。
容器Aが一回転する、UV接着剤を塗布したラベル裏面の後端部Lbがラベル裏面の前端部Laに貼り合わされて、容器Aの外周に筒状ラベルが形成される(図6B参照)。
【0059】
<5>紫外線の照射
筒状ラベルの形成が完了すると同時に、UV照射装置60からラベルLの重合部へ向けて紫外線が照射される。
UV接着剤が紫外線を受けると瞬時に硬化して筒状ラベルの重合部が固着される。
【0060】
従来はラベルの前後端部を貼り合せした直後は、接着剤が十分接着力を発揮できないために容器を高速搬送する際の空気抵抗だけでも貼り合せ箇所がずれたり剥離したりするおそれがあった。
これに対し、本発明ではUV接着剤を介してラベルの前後端部の貼り合せ終了と同時に紫外線を照射してラベルの前後端部の貼り合せ箇所を強固に固定できるので、貼り合せ箇所がずれたり剥離したりする心配がまったくない。
【0061】
このように、本発明では、ラベルLの前端部と容器Aの外周面の間はHM接着剤を介して接着し、容器Aの周面上で筒状に巻着したラベルLの両端部の間はUV接着剤を介して強固に接着することができる。
しかも両塗布ローラ33,42でラベルLの裏面に接触して接着剤の層厚を均一に塗布できるので、貼付跡に凹凸がなくきれいに仕上げることができる。
【0062】
<6>容器の搬出
UV照射装置60の前を通過した容器Aは、ロータリー搬送装置13および搬出用のスターホイール12を通じて搬出される。
【0063】
ラベルLがシュリンクラベルの場合は、その後、容器Aとともに熱処理工程へ移送されて筒状ラベルがシュリンクして容器Aの外形に密着する(図6C参照)。
筒状ラベルがシュリンクする際、筒状ラベルが収縮しても、筒状ラベルの重合部が接着力の強固なUV接着剤で接着されているため、筒状ラベルの重合部にずれや剥離を生じない。
【0064】
またラベルLを巻着予定の容器Aは円筒形に限定されるものではなくものではなく、例えば多角形や楕円形等の各種の断面形状の容器を対象にできる。
【0065】
殊に本発明では、UV接着剤を介してラベルの前後端部の貼り合せ終了と同時に紫外線を照射してラベルの前後端部の貼り合せ箇所を強固に固定できるので、
外形が特殊形状を呈する容器Aであって、或いはラベルLを巻着する部位が異径であっても、マンドレル等を使用せずに、容器Aに直接ラベルLを巻着して筒状ラベルを形成することができて、ラベルLを巻着する対象部位の形状に制約を受けない。
そのため、ラベルLを巻着する部位が、例えば図6A〜6Cに示すように、容器Aの胴部とテーパ状の首部に跨って巻着する場合や、図示を省略するが、瓢箪形状を呈する容器Aの胴部に対しても同様にラベルLを巻着して筒状ラベルを形成することができる。
【0066】
<6>接着剤の塗布の停止
ラベリングマシンの運転中において、センサS1、S2および制御部50がラベルLまたは容器Aの供給を監視している。
何れかのセンサS1、S2がラベルLまたは容器Aの欠落を感知すると、制御部50は第1塗布装置30および第2塗布装置40の後退手段35,46へ後退指令を発する。
後退手段35,46の稼動に伴い、第1塗布装置30および第2塗布装置40の両塗布ローラ33,42が、図4の二点鎖線に示すように貼付ドラム20の外周面から同時に離隔して異種の接着剤の塗布作業を停止する。
【0067】
何れかのセンサS1、S2がラベルLまたは容器Aの供給の再開を感知すると、制御部50が第1塗布装置30および第2塗布装置40の後退手段35,46へ復帰指令を発し、第1塗布装置30および第2塗布装置40の両塗布ローラ33,42が塗布位置に復帰して異種の接着剤の塗布作業を再開する。
【符号の説明】
【0068】
A・・・・・・容器
L・・・・・・ラベル
La・・・・・ラベルの前端部
Lb・・・・・ラベルの後端部
10・・・・・ラベル供給手段
20・・・・・貼付ドラム
21・・・・・回転軸
23・・・・・前端吸着部
30・・・・・第1塗布装置
32・・・・・誘導ローラ
33・・・・・塗布ローラ
33b・・・・後端塗布部
33c・・・・逃げ部
35・・・・・後退手段
40・・・・・第1塗布装置
42・・・・・塗布ローラ
46・・・・・後退手段
50・・・・・制御部
60・・・・・UV照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周巻きラベル用のシングルラベルを供給するラベル供給手段と、容器をラベル貼付位置を通過させて移送する容器移送手段と、ドラム回転軸を中心に位置方向に回転し、外周面に複数の吸着孔を有する負圧吸引式の貼付ドラムと、を具備するラベリングマシンにおいて、
搬送中のラベル裏面の後端部に紫外線硬化形の接着剤を塗布する接触式の第1塗布装置と、
ラベル裏面の前端部に前記接着剤の異種の接着剤を塗布する接触式の第2塗布装置と、
ラベルの巻着完了位置に配備し、紫外線硬化形接着剤に紫外線を照射して硬化させるUV照射装置とを具備し、
前記第1塗布装置と第2塗布装置とを貼付ドラムの近傍であって、貼付ドラムの回転方向に沿って配備し、
前記貼付ドラムはその外周面にラベル前端部を吸着する前端吸着部と、
前端吸着部より小径であって、ラベル前端部以外の残存部を吸着する凹部とを形成したことを特徴とする、
ラベリングマシン。
【請求項2】
請求項1において、前記第2塗布装置は塗布ローラを具備し、該塗布ローラはその外周面に、貼付ドラムの凹部に吸着されたラベルの後端部と接触可能な後端塗布部と、後端塗布部より小径であって、前記貼付ドラムの前端吸着部との接触を回避する逃げ部とを形成していることを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記第1塗布装置および第2塗布装置は、それぞれ後退手段を具備し、前記後退手段を介して前記第1塗布装置および第2塗布装置の塗布ローラを貼付ドラムの周面から同時に離隔可能に構成したことを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記第2塗布装置の異種の接着剤がホットメルト形接着剤であることを特徴とする、ラベリングマシン。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、前記シングルラベルがシュリンクラベルであることを特徴とする、ラベリングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−30851(P2012−30851A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172320(P2010−172320)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【特許番号】特許第4644310号(P4644310)
【特許公報発行日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【Fターム(参考)】