説明

ラベルの加工方法

【課題】形状が複雑なラベルを加工するに際し、ラベル周囲の不要部分を簡単且つ確実に除去し、効率良く、高歩留まりでラベルを加工できるラベル加工方法を提供する。
【解決手段】ラベル基材および粘着剤層からなる粘着紙本体とセパレータとからなり、ロール状に巻回された長尺帯状の粘着紙を巻き出す巻き出し工程と、ラベル基材に印刷を施す印刷工程と、粘着紙を粘着紙本体とセパレータとに分離する分離工程と、分離した粘着紙本体の粘着剤層表面の一部に非粘着性の被覆層を形成して非粘着部を設ける粘着力減殺工程と、非粘着部が設けられた粘着紙本体とセパレータとを再度貼り合わせる貼合工程と、粘着紙をハーフカットして所定のラベルに画成するダイカット工程と、ラベル周囲の不要部分を除去するカス上げ工程と、を含み、前記粘着力減殺工程では、被覆層を、ダイカット工程を経て不要部分になる予定であるラベル周囲の少なくとも一部に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルの加工方法に関し、特に、形状が複雑なラベルを簡単に歩留まり良く得られる加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールやラベル製品(以下、ラベルと称す)に用いる粘着紙は、図8に示すようにラベル基材5、粘着剤層6およびセパレータ7をこの順に積層したものである。粘着紙2は、片面に剥離剤層を設けたセパレータ7の剥離剤層側に液状の粘着剤を塗工し、粘着剤の水分または溶剤を蒸発させた後、乾燥した粘着剤層6にラベル基材5を貼り合わせて作成される。この他、ラベル基材5に粘着剤を直接塗工し、乾燥させた後にセパレータ7と貼り合わせる場合もある。このような工程を経て作成された粘着紙2は所定の幅にスリットされ、粘着原紙ロール12になる。
【0003】
所定幅にスリットされた粘着原紙ロール12は、図6に示すような印刷機(ラベル加工装置)21でラベル加工される。図6はラベル加工装置の一例である凸版輪転印刷機の概略側面図である。
【0004】
図6のラベル加工装置21による加工を概説すると、巻出し部10の供給軸11に帯状の粘着紙2をロール状に巻いた粘着原紙ロール12が装着され、粘着紙2が供給軸11から巻き出される。粘着紙2はガイドローラ22に案内されて第1の表面印刷工程40に至り、続いてガイドローラ23、24に案内されて第2の表面印刷工程60を経て裏面印刷工程70に至る。第1の表面印刷工程40、第2の表面印刷工程60では主に文字や図柄が印刷される。また、裏面印刷工程70ではタイミングマークの印刷が行われることが多い。
【0005】
第1の表面印刷工程40、第2の表面印刷工程60および裏面印刷工程70において、符号41・61・71は印刷ユニット、符号42・62・72は版胴、符号43・63・73は圧胴、符号44・64・74はUV硬化装置を示す。
【0006】
続いて、印刷が施された粘着紙2はガイドローラ25に案内されてダイカット工程80ヘ進み、ダイロール81とアンビルロール82によって所望するラベルのサイズ形状にハーフカットされた後、カス取りロール83でハーフカット周囲の不要な部分(以下、ラベルカス9と称す。)が引き剥がされる(図7参照)。
【0007】
ラベルカス9が剥がされると、粘着紙2はセパレータ7上にラベル14が一定間隔で並んだラベル連続体30となる。次いで、ラベル連続体30はガイドローラ26を経て巻き取り部90の巻き取り軸91に巻き取られラベルロール92となる。ラベルカス9はカス巻き取り部95の巻き取り軸96に巻き取られる。前述のラベル加工装置21や加工方法は一般的なものであり、ラベルを効率よく生産する方法として普及している。
【0008】
ラベルの多くは四角形や円形など単純な形であるが、貼り付ける対象物を引き立たせるために図5に示すような形状が複雑なラベル4を求められることがある。菓子の包装を飾るラベルや、プリンやゼリーの容器に貼るラベルが挙げられる。これらには高い装飾性が求められ、輪郭が複雑になることが多い。例えばプリンの容器の場合、容器の側面から蓋を跨いで反対側の側面までコの字状(コの文字を反時計回りに90度回転した形状)に貼り付ける。この場合、ラベル4は短辺と長辺との比率が極端に異なった細長い形状になるが、ラベルロール92はラベル4の短辺とラベル連続体30の移送方向とを平行にして巻回することが多い。ラベルロール1巻あたり多くのラベルを巻くためと、自動貼り機を用いた貼付け作業を可能にするためである。
【0009】
図4や図5に示す細長いラベル4を、その短辺とラベル連続体30の長手方向と平行にして加工する場合、ラベルカス9のうち前後をラベル4に挟まれた部分にあたる幅方向ラベルカス9aは細い紐状になる。カス上げ作業は、粘着紙2両縁の連続したラベルカス連続部9bを引っ張って剥離させ、それを介してラベル4間の幅方向ラベルカス9aを引き剥がしている。
【0010】
図7のようにラベル14が単純な矩形状の場合は、ラベル14とラベル14との間の幅方向ラベルカス9aは全幅に渡って太さが均一であり、粘着紙2両縁のラベルカス連続部9bを剥がすことによって剥離可能である。しかし、図4、図5に示したラベル4のように細長く且つ輪郭が複雑な場合、幅方向ラベルカス9aは細い部分9cと太い部分9dが混在した形状になる。幅方向ラベルカス9aの太さが不均一な場合、セパレータ7から引き剥がす際の剥離抵抗が一定でなくなり、カス上げが不安定になる。カス上げ作業では細い部分9cと太い部分9dの境界部分9eに力が集中し、ラベルカス9が切れ易くなる。
【0011】
ラベル加工中にラベルカス9が切断すると、ラベルカス9が除去されずにセパレータ7上に残り、いわゆるカス残りと称される不良の原因になる。また、一旦剥離させたラベルカス9が切れた場合には、粘着剤が露出したラベルカス9の端切れがラベル4の表面に落下し付着した状態でラベルロール92に巻き込まれる等、異物混入の原因となる。ラベルカス9が切断した場合はその都度加工装置21を停止させ、手作業でラベルカス9を剥して除去したり、切れたラベルカス9をカス巻き取り部95につないで加工装置を復旧させる必要があり、手間がかかる。時間的なロス、コストへの影響も甚大になる。
【0012】
対策として、ラベル4の前後間隔を拡げて幅方向ラベルカス9aを太くし、切断しにくくする方法がある。しかし、ラベル1枚を得るために必要な粘着紙2の面積が増え、資源の無駄になるとともにコストアップが避けられない。
【0013】
ラベル4の長辺と短辺を逆にし、長辺を長手方向と平行にして加工する対策もある。しかし、そのように作成したラベルロールは、同じ外径に巻回した幅広ラベルロールに比べて一巻当たりの巻き枚数が少なくなってしまう。貼付ける際には、ラベル一枚の巻出しに時間を要するため、単位時間当たりの貼付け能力が不十分になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−355907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、形状が複雑なラベルを加工するに際し、ラベル周囲の不要部分であるラベルカスを簡単且つ確実に除去し、効率良く、高歩留まりでラベルを加工できるラベル加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するためになされた本発明のラベルの加工方法は、ラベル基材および粘着剤層からなる粘着紙本体とセパレータとからなり、ロール状に巻回された長尺帯状の粘着紙を巻き出す巻き出し工程と、ラベル基材に印刷を施す印刷工程と、粘着紙を粘着紙本体とセパレータとに分離する分離工程と、分離した粘着紙本体の粘着剤層表面の一部に非粘着性の被覆層を形成して非粘着部を設ける粘着力減殺工程と、非粘着部が設けられた粘着紙本体とセパレータとを再度貼り合わせる貼合工程と、粘着紙をハーフカットして所定のラベルに画成するダイカット工程と、ラベル周囲の不要部分を除去するカス上げ工程と、を含み、前記粘着力減殺工程では、被覆層を、ダイカット工程を経て不要部分になる予定であるラベル周囲の少なくとも一部に形成することを特徴としている。
前記非粘着部を、ハーフカットによって不要部分になる予定であるラベル周囲のうち、少なくともラベル同士に挟まれた部分に設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のラベルの加工方法によれば、ラベル周囲のラベルカスになる予定の部分の粘着剤層の表面の少なくとも一部に非粘着性の被覆層を形成して粘着性を減殺しておき、その後にハーフカットしてカス上げしている。そのため、ラベルカスをセパレータから剥がす際の剥離抵抗が小さくなり、カス上げ作業を円滑に行うことができる。ラベルカスが切断するリスクが低減され、ラベル加工の速度アップが可能になる。
また、ラベルの輪郭が複雑でラベルカスの太さが一定でない場合でも、ラベルカスが太い部分の剥離抵抗と細い部分の剥離抵抗との差が小さくなり、ラベルカスの太さが変わる部分に力が集中する現象が回避され、円滑なカス上げ作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のラベルの加工方法に用いるラベル加工装置を表す概略側面図。
【図2】本発明のラベルの加工方法を説明する図で、粘着紙に印刷を施した状態を示す平面図。
【図3】本発明のラベルの加工方法を説明する図で、粘着剤層の表面に被覆層を形成した状態を示す平面図。
【図4】本発明のラベルの加工方法を説明する図で、粘着紙にハーフカットを施した状態を示す平面図
【図5】本発明のラベルの加工方法で得られたラベル連続体の平面図。
【図6】従来のラベル加工装置を表す概略側面図。
【図7】ラベル連続体のカス上げを説明する概略斜視図。
【図8】一般的なラベル連続体を表す平面図および断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明のラベル加工方法で用いるラベル加工装置20の一例である凸版輪転印刷機の側面図である。
【0021】
このラベル加工装置20の主要部は、通紙経路順に、巻出し部10、第1の表面印刷工程40、分離手段31、粘着力減殺工程50、確認エリア55、貼合手段35、第2の表面印刷工程60、裏面印刷工程70、ダイカット工程80および巻き取り部90を配置したものである。
【0022】
巻出し部10は、供給軸11にラベル基材5、粘着剤層6およびセパレータ7をこの順に積層した粘着紙2(図8参照)をロール状に巻いた粘着原紙ロール12を巻出し可能に軸支する。巻出し部10の下流には第1の表面印刷工程40が設けられている。
【0023】
第1の表面印刷工程40は、主に版胴42、圧胴43等からなる印刷ユニット41と、その下流に設けられたUV硬化装置44とからなり、版胴42と圧胴43とで粘着紙2を挟圧して搬送するとともに、版胴42に紫外線硬化型インキ(紫外線の照射により瞬時に硬化するインキ)を供給して粘着紙2に印刷を行う仕組みである。そしてUV硬化装置44から紫外線を照射して印刷したインキを硬化させることにより粘着紙2のラベル基材5側に印刷を施すものである(図2参照)。
【0024】
第1の表面印刷工程40の下流には粘着紙2を粘着紙本体3(ラベル基材5と粘着剤層6)とセパレータ7とに分離する分離手段として対ローラ31が設けられている。
【0025】
ここで、粘着紙2から分離された粘着紙本体3とセパレータ7のうち、先ず粘着紙本体3の通紙経路に沿って説明する。
【0026】
対ローラ31の下流には、粘着力減殺工程50が設けられる。粘着力減殺工程50は、主に版胴52、圧胴53等からなる印刷ユニット51と、その下流に設けられたUV硬化装置54とからなる。版胴52と圧胴53とで粘着剤層6が露出した粘着紙本体3を挟圧して搬送するとともに、版胴52に非粘着性の紫外線硬化型インキやニスを供給して粘着剤層6の表面に印刷を行う仕組みである。そしてUV硬化装置54から紫外線を照射して粘着剤層6に印刷したインキやニスを硬化させると、粘着剤層6表面の一部に非粘着性の被覆層8が形成され、被覆された部分が非粘着部となる(図3参照)。
【0027】
粘着力減殺工程50で印刷する被覆層8の材料は、紫外線硬化型のインキやニスである。紫外線硬化型のメジウムインキが好適である。
【0028】
粘着力減殺工程50の下流には確認エリア55が設けられる。確認エリア55では第1の表面印刷工程40で印刷したマーカ46(十字トンボなど)を用いて被覆層8の見当合せを行う。
【0029】
確認エリア55の下流には、粘着紙本体3とセパレータ7とを再度貼合わせるための貼合手段としてニップロール35が設けられている。
【0030】
一方、セパレータ7は対ローラ31で粘着紙本体3と分離された後に、アキューム装置32を経てガイドローラ33、ガイドローラ34の順に迂回経路を通り、前述のニップロール35に至り、粘着紙本体3と再度貼合される。
【0031】
ニップロール35の下流には、第2の表面印刷工程60、裏面印刷工程70が順に配置されている。第2の表面印刷工程60は、主に版胴62、圧胴63等からなる印刷ユニット61と、その下流に設けられたUV硬化装置64とからなる。裏面印刷工程70は、主に版胴72、圧胴73等からなる印刷ユニット71と、その下流に設けられたUV硬化装置74とからなる。個々の機能は第1の表印刷工程40と同一であるため、詳細な説明は省略する。裏面印刷工程70の下流にはダイカット工程80が配置されている。
【0032】
ダイカット工程80は粘着紙2のラベル基材5側から粘着剤層6に至るハーフカットを行う工程である。ダイロール81と呼ばれる刃付きロールとアンビルロール82とで構成され、それらの間に粘着紙2を鋏み、ダイロール81をラベル基材5に押し当てて回転させることによりハーフカットが行われる。
【0033】
ダイロールの下流には、ハーフカットが施された粘着紙2から周囲のラベルカス9を分離する一対のカス取りロール83・84が配置されている。分離後、粘着紙2はラベル連続体30として巻き取り部90へ向かい、巻き取り軸91に巻き取られてラベルロール92となる。ラベルカス9はカス巻き取り部95へと向かい、巻き取り軸96に巻き取られる。
【0034】
続いて、図1のラベル加工装置20を用いたラベル加工方法について説明する。ここでは図2〜図5に示す不定形のラベル4を加工する例を説明する。このラベル4は、移送方向の長さ(短辺)に比べて幅方向の長さ(長辺)が長い短冊状で、移送方向の長さは一定でなく、所々が膨らんだ複雑な輪郭をしている。従って、ラベル4と後続のラベル4との間のラベルカスの太さは一定でなく、細い部分と太い部分とが混在した状態になる。
【0035】
図1に示すラベル加工装置20の巻出し部10の供給軸11に粘着原紙ロール12を装着し、装置を動作させる。巻き出された粘着紙2はガイドローラ22に案内されて第1の表面印刷工程40に至り、図2に示すようにラベル基材5の表面に文字や図柄等の画像45を印刷する。図2においては、ラベル4の外周になる予定の輪郭47を仮想線で示した。同時に、以降の工程に備え、マーカ46(十字トンボなど)をラベルカス9になる予定の部分に印刷しておく。なお、次工程の粘着力減殺工程50に備え、粘着力を減殺する範囲を印刷しておいても良い。減殺する範囲を示す輪郭線はラベル4の輪郭47より一回り大きくしておけば良い。
【0036】
次に、表面に画像45やマーカ46が印刷された粘着紙2を、ラベル基材5および粘着剤層6からなる粘着紙本体3と、セパレータ7とに対ローラ31の位置で分離し、別々の経路を走行させる。
【0037】
図3(a)は粘着剤層6の表面に被覆層8を形成した状態を示す平面図、図3(b)はそのb−b線断面図である。分離した粘着紙本体3は粘着力減殺工程50に至り、粘着剤層6表面の所定部に紫外線硬化型の塗剤(インキ、ニス、メジウム等)を印刷して被覆層8を形成し、粘着剤層6の一部を覆う。UV硬化装置54でインキやニスを硬化すると粘着力が減殺され、図3のようにラベルカス9になる予定の部分の一部に被覆層8が形成される。図3(a)では、後の工程でハーフカットされてラベル4の輪郭47になる部分を仮想線で示した。被覆層8は、ラベル4の輪郭47を一回り大きくした輪郭線8aと、粘着紙本体3の縁に沿った輪郭線8bとで囲まれた範囲になる。即ち、前後のラベルに挟まれた被覆層8が、粘着紙本体3の両縁に沿って延びた被覆層8cで梯子状に繋がった形になる。粘着力減殺工程50において、被覆層8はラベル4にかかるとラベル4の周囲の粘着性が損なわれるため、輪郭線8aはラベル4の輪郭よりも一回り大きくし、0.3mm以上あけることが望ましい。なお、被覆層8に使用する塗剤を着色しておくと便利である。例えば塗剤が無色のメジウムである場合、インキを混ぜて着色すれば見当合わせを行い易くなる。
【0038】
続いて粘着紙本体3は確認エリア55に進入する。確認エリア55内では、被覆層8やトンボと、ラベル基材5側に印刷された画像45やマーカ46を用いて見当合せを行う。見当合せ作業では、ラベル基材5側を確認エリア55よりも明るくしてあるため、ラベル基材5表面のマーカ46はラベル基材5を透かして粘着剤層6側から目視確認することができる。
【0039】
確認エリア55で見当の確認を終えた粘着紙本体3は、ニップローラ35に進み、アキューム装置32を経てガイドローラ33・34に従って迂回して来たセパレータ7と再び貼り合わされる。
【0040】
再度貼り合わされた粘着紙2はガイドローラ23・24に案内され、次の印刷工程へ至る。図1に示した実施の形態では、第2の表面印刷工程60でラベル基材5表面に先とは別の色で画像(不図示)を印刷し、裏面印刷工程70でセパレータ7の裏面にタイミングマーク(不図示)を印刷する。タイミングマークは、電子プリンタなどでラベルに可変情報を印字したり、自動貼り付け装置でラベルを1枚ずつ貼り付けたり、ラベル剥離機(不図示)でラベルを1枚ごと剥離させる際にラベルの位置を光学的に検出するためのマークである。
【0041】
第2の表面印刷工程60および裏面印刷工程70では第1の表面印刷工程40で印刷したマーカ46に見当を合わせる。この見当合わせ作業により、粘着力減殺を含む全ての印刷の見当が合う。
【0042】
印刷を終えた粘着紙2は、ガイドローラ25に案内されて、ダイカット工程80で所定の形状にハーフカットされ、図4に示すようにラベル4を一枚ずつ区画する輪郭47が形成される。
【0043】
続いて、カス取りロール83でラベルカス9が引き剥がされる。ラベルカス9の一部は被覆層8が形成されて粘着力が減殺された非粘着部になっており、それ以外の粘着剤層6のみでセパレータ7に仮着している。非粘着部はセパレータ7に対する粘着性を有していないため、セパレータ7から簡単に分離され、カス巻き取り部95の巻き取り軸96に巻き取られる。従って、ラベル4の形状が複雑で、ラベルカス9に細い部分9cや太い部分9dが混在している場合でも、ラベルカス9がセパレータ7から剥がれる時の抵抗は略一定になり、カス上げ作業がスムースになる。
【0044】
カス上げ終了後は、図5に示すようなセパレータ7上にラベル4が一定間隔で並んだラベル連続体30となり、ガイドローラ26を経て巻き取り部90の巻き取り軸91に巻き取られ、ラベルロール92が完成する。
【0045】
このように本発明のラベルの加工方法によれば、ラベルカス9になる予定の部分の粘着剤層6の少なくとも一部について、予め粘着力を減殺させている。ラベル4の形状が複雑で、ラベルカス9の太さが一定ではない場合でも、ラベルカス9をセパレータ7から剥離する際の抵抗力が小さいため、カス上げ作業を円滑に行うことができる。従って、加工中にラベルカス9が切れる等のトラブルが回避され、ラベル4の生産効率と歩留りが向上する。また、切れたラベルカス4がラベルロール92に混入したり、ラベル4の周囲に剥離されなかったラベルカス9が残る等の不具合発生の頻度も低減される。
【0046】
なお、本発明が前述した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状、配置等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0047】
この実施の形態では、加工装置として凸版輪転印刷機を用いたが、例えば平打ち印刷機やオフセット印刷機など、印刷機の種類、仕様に関わらず使用可能である。また、実施の形態で説明した凸版輪転印刷機では表面印刷、裏面印刷(粘着性減殺)、表面印刷、裏面印刷の順に加工を行ったが、印刷の色数、順序、表面印刷、裏面印刷の組み合わせは任意である。
【0048】
ラベル基材5の種類や材質は、紙や合成樹脂フィルムなど特に限定されるものではなく、粘着紙として一般的に用いられているものである。例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。感熱紙(サーマル紙)でも構わない。
【0049】
粘着剤層6の粘着剤は、例えば、エマルジョン系(粘着剤を水に分散したもの)、ソルベント系(粘着剤を溶剤に溶解したもの)、ホットメルト系(熱可塑性を利用したもの)等である。材質としては、合成ゴム系や天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤があげられる。粘着剤の粘着力は任意である。
【0050】
セパレータ7は、例えば、紙やフィルムに紫外線硬化型のシリコーン、熱硬化型のシリコーン、溶剤型のシリコーン、アルキルペンダントポリマーの他、フッ素系の剥離剤を塗工したものが使用可能である。
【0051】
また、先の実施の形態では被覆層8をラベル4を囲むようにして幅方向ラベルカス9aとラベルカス連続部9bの両方に設けたが、幅方向ラベルカス9aだけに設けても良い。被覆層8を形成する位置や配置は任意である。被覆層8のラベルカス9全体の面積に占める割合も任意である。
【符号の説明】
【0052】
2 粘着紙
3 粘着紙本体
4 ラベル
5 ラベル基材
6 粘着剤層
7 セパレータ
8 被覆層
8a 輪郭線
8b 輪郭線
8c 被覆層
9 ラベルカス
9a 幅方向ラベルカス
9b ラベルカス連続部
9c 細い部分
9d 太い部分
10 巻出し部
20 印刷機(ラベル加工装置)
21 印刷機(ラベル加工装置)
30 ラベル連続体
40 第1の表面印刷工程
46 マーカ
47 輪郭
50 粘着力減殺工程
55 確認エリア
60 第2の表面印刷工程
70 裏面印刷工程
80 ダイカット工程
90 巻き取り部
95 カス巻き取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材および粘着剤層からなる粘着紙本体とセパレータとからなり、ロール状に巻回された長尺帯状の粘着紙を巻き出す巻き出し工程と、
ラベル基材に印刷を施す印刷工程と、
粘着紙を粘着紙本体とセパレータとに分離する分離工程と、
分離した粘着紙本体の粘着剤層表面の一部に非粘着性の被覆層を形成して非粘着部を設ける粘着力減殺工程と、
非粘着部が設けられた粘着紙本体とセパレータとを再度貼り合わせる貼合工程と、
粘着紙をハーフカットして所定のラベルに画成するダイカット工程と、
ラベル周囲の不要部分を除去するカス上げ工程と、
を含み、
前記粘着力減殺工程では、被覆層を、ダイカット工程を経て不要部分になる予定であるラベル周囲の少なくとも一部に形成することを特徴とするラベルの加工方法。
【請求項2】
前記非粘着部を、ハーフカットによって不要部分になる予定であるラベル周囲のうち、少なくともラベル同士に挟まれた部分に設けることを特徴とする請求項1に記載のラベルの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10327(P2013−10327A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145929(P2011−145929)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】