説明

ラベルプリンタおよび異常検出方法

【課題】加速度センサを設けることにより、落下による衝撃や振動の度合いを検出し、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知する。
【解決手段】加速度センサにより加速度を検出し、その日付と検出値とを記憶する。そして、検出値が規格の範囲外である場合に電気回路の動作を検証し、電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する。これにより、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証することにより、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサを備えたラベルプリンタおよび該ラベルプリンタにおける衝撃や振動による異常を検出する異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造ラインに設置されるラベリングマシンに組み込んで用いられるラベルプリンタが知られている。また、操作者のズボンのベルト等を介して取り付けられ、ハンディターミナルから送信されたプリントデータを用紙に印字するような携帯型プリンタが知られている。
【0003】
しかし、特に、インスタントフィルムを用いるようなプリンタでは、プリンタが落下した場合に、その衝撃によって、インスタントフィルムを収納する収容開口部の蓋が開いて、インスタントフィルムが外光にさらされて使用できなくなるといった問題があった。そのため、落下時の衝撃等によって蓋が開くことを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−216565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、落下時の衝撃等によって蓋が開くことを防止することは可能であっても、例えば、落下による衝撃で電気回路等が受けるダメージを把握するための手段がないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、加速度センサを設けることにより、落下による衝撃や振動の度合いを検出し、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知するラベルプリンタおよび異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
(1)本発明は、所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタであって、加速度センサ(例えば、図2の加速度センサ80に相当)と、該加速度センサからの出力信号により、衝撃や振動の度合いを検出する検出手段(例えば、図2の落下検出部90に相当)と、該検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知する報知手段(例えば、図2のモニタ70に相当)と、を備えたことを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0009】
この発明によれば、加速度センサからの出力信号により、衝撃や振動の度合いを検出し、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知する。したがって、従来は認知することができなかった所定の値以上の衝撃や振動がラベルプリンタに加わったことを的確に認知することができる。
【0010】
(2)本発明は、(1)のラベルプリンタについて、前記検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、ラベルの発行を停止させる停止手段をさらに備えたことを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0011】
この発明によれば、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、ラベルの発行を停止させる。つまり、所定の値以上の衝撃や振動がラベルプリンタに加わった場合には、電子部品の脱落等、そのまま動作をさせると、機器の発熱等の重大な症状を引き起こす可能性があるため、ラベルの発行を停止してラベルプリンタを保護する。
【0012】
(3)本発明は、(1)または(2)のラベルプリンタについて、電気回路の動作が正常か否かを検証する検証手段(例えば、図2の異常動作検出部95に相当)を備え、前記検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、前記検証手段が作動することを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0013】
この発明によれば、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証する。つまり、所定の値以上の衝撃や振動がラベルプリンタに加わった場合には、電子部品の脱落等によって電気回路が正常に動作しない可能性がある。また、このような電気回路の動作チェックを行わずに使用した場合には、機器の発熱等の重大な症状を引き起こす可能性がある。しかしながら、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証すれば、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができる。
【0014】
(4)本発明は、(1)から(3)のラベルプリンタについて、前記検出手段が、衝撃や振動を検知した場合に、その度合いを保持する記憶手段(例えば、図2のRAM48に相当)を備えたことを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0015】
この発明によれば、衝撃や振動を検知した場合に、その度合いを保持する。つまり、過去における衝撃や振動の度合いを保持することにより、過去の使用状態を把握できるため、保守点検の際に有用な情報を得ることができる。
【0016】
(5)本発明は、(1)から(3)のラベルプリンタについて、前記所定の値が予め定められた規格値であることを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0017】
この発明によれば、所定の値が予め定められた規格値である。したがって、予め定められた規格値を超える程度の衝撃や振動をラベルプリンタが受けた場合に、その旨を的確に把握することができる。
【0018】
(6)本発明は、(1)から(3)のラベルプリンタについて、前記所定の値が前記記憶手段に保持された履歴情報の最大値であることを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0019】
この発明によれば、所定の値が保持された履歴情報の最大値である。つまり、予め定められた規格値以下の衝撃や振動をラベルプリンタが受けた場合でも、ラベルプリンタに何らかの不良が発生する可能性がある。したがって、保持された履歴情報の最大値に相当する衝撃や振動をラベルプリンタが受けた場合に、その旨を報知することにより、不良の有無を早期に発見することができる。
【0020】
(7)本発明は、(1)から(6)のラベルプリンタについて、前記加速度センサが、回路基板に実装可能であることを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0021】
この発明によれば、加速度センサが、回路基板に実装可能である。つまり、ラベルプリンタの動作に最も重大な影響を及ぼすと考えられる電気回路に加わった衝撃や振動を的確に把握するために、加速度センサは、回路基板に実装可能であることが好ましい。
【0022】
(8)本発明は、(7)のラベルプリンタについて、前記加速度センサが、MEMS加速度センサであることを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0023】
この発明によれば、加速度センサが、MEMS加速度センサである。つまり、MEMS加速度センサは、回路基板に実装可能な小型の電子部品であることから、電気回路に加わった衝撃や振動を的確に把握するために好適な加速度センサである。
【0024】
(9)本発明は、(1)から(8)のラベルプリンタについて、前記ラベルプリンタが携帯型ラベルプリンタであることを特徴とするラベルプリンタを提案している。
【0025】
この発明によれば、ラベルプリンタが携帯型ラベルプリンタである。つまり、携帯型ラベルプリンタの場合には、作業者に携帯されて使用されるため、固定型のラベルプリンタに比べて、気がつかないうちに、ラベルプリンタに衝撃や振動が加わる可能性が高い。したがって、携帯型ラベルプリンタに加速度センサを搭載することにより、作業員が気付かなかったラベルプリンタに加わった衝撃や振動を検出し、保守点検時に、この情報を利用して適切な対応を行うことができる。
【0026】
(10)本発明は、所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタにおける衝撃や振動による異常検出方法であって、加速度センサにより加速度を検出する第1のステップ(例えば、図5のステップS101に相当)と、該加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する第2のステップ(例えば、図5のステップS102に相当)と、該検出値が規格の範囲外である場合に電気回路の動作を検証する第3のステップ(例えば、図5のステップS103、ステップS104に相当)と、該電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する第4のステップ(例えば、図5のステップS105、ステップS106に相当)と、を備えたことを特徴とする異常検出方法を提案している。
【0027】
この発明によれば、加速度センサにより加速度を検出し、加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する。そして、検出値が規格の範囲外である場合に電気回路の動作を検証し、電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する。したがって、従来は認知することができなかった規格値以上の衝撃や振動がラベルプリンタに加わったことを的確に認知することができる。また、規格値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証することにより、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができる。さらに、過去における衝撃や振動の度合いを保持することにより、過去の使用状態を把握できるため、保守点検の際に有用な情報を得ることができる。
【0028】
(11)本発明は、所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタにおける衝撃や振動による異常検出方法であって、加速度センサにより加速度を検出する第1のステップ(例えば、図8のステップS201に相当)と、該加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する第2のステップ(例えば、図8のステップS202に相当)と、該検出値が記憶された履歴情報の最大値である場合に電気回路の動作を検証する第3のステップ(例えば、図8のステップS203、ステップS204に相当)と、該電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する第4のステップ(例えば、図8のステップS205、ステップS206に相当)と、を備えたことを特徴とする異常検出方法を提案している。
【0029】
この発明によれば、加速度センサにより加速度を検出し、加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する。そして、検出値が記憶された履歴情報の最大値である場合に電気回路の動作を検証し、電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する。したがって、規格値の範囲内であっても、記憶された履歴情報の最大値の衝撃や振動がラベルプリンタに加わったことを的確に認知することができる。また、規格値の範囲内であっても、記憶された履歴情報の最大値の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証することにより、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができる。さらに、過去における衝撃や振動の度合いを保持することにより、過去の使用状態を把握できるため、保守点検の際に有用な情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、加速度センサを設けることにより、落下による衝撃や振動の度合いを検出し、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知することにより、その旨を的確に認知することができるという効果がある。
【0031】
また、所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証することにより、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができるという効果がある。さらに、過去における衝撃や振動の度合いを保持することにより、過去の使用状態を把握できるため、保守点検の際に有用な情報を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る携帯型ラベルプリンタの概略斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るラベルプリンタの電気的構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る加速度センサの内部構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る落下検出部の内部構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係るラベルプリンタの処理フローである。
【図6】第1の実施形態に係るラベルプリンタの電気的構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る落下検出部の内部構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るラベルプリンタの処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0034】
<第1の実施形態>
図1から図5を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、ラベルプリンタとして携帯型ラベルプリンタを例示して説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、固定型のラベルプリンタ等においても適用することができる。
【0035】
<ラベルプリンタの外観構成>
図1に示すように、ラベルプリンタ10の外装ケース12は、ケース本体14とフロントカバー16とで構成されている。
【0036】
また、ケース本体14は、その正面に開口部を有しており、この開口部を覆うようにフロントカバー16が取付けられている。さらに、ケース本体14の両側面には軟質樹脂で形成されたサイドカバー18が取り付けられている。また、ケース本体14とフロントカバー16との境目には、取出口20が形成されている。なお、本ラベルプリンタには、肩掛け用ベルト22が備えられており、この肩掛け用ベルト22により、作業者がラベルプリンタ10を持ち運ぶことができる。
【0037】
また、上記のように構成された外装ケース12の内部に、後述する印字部や給紙部、制御部等の印字に必要な各部が内蔵される。さらに、内部には、電子部品等で実装された基板100が内蔵され、この基板100に加速度センサ80が実装されている。なお、加速度センサ80は、ラベルプリンタの落下により基板100が受ける衝撃や振動を検出するため、小型で基板実装が可能なMEMS加速度センサ等が好ましい。
【0038】
<ラベルプリンタの電気的構成>
図2に示すように、ラベルプリンタ10の内部は、制御部34と、搬送モータ36と、印字ヘッド32と、位置検出センサ42と、加速度センサ80とから構成され、その外部には、入力部68と、モニタ70とが設けられている。
【0039】
また、制御部34は、CPU46と、ROM44と、RAM48と、モータ制御部50と、ヘッド制御部52と、位置センサ制御部54と、外部インタフェース60と、インタフェース62と、電源部64と、落下検出部90と、異常動作検出部95とから構成されている。
【0040】
ここで、CPU(central processing unit)46は、ROM44に記憶されている制御プログラムに従って動作し、ラベルプリンタ10の各部を制御する。ROM(readonly memory)44は、所定の制御プログラムを記憶する書き換え不能な記憶素子である。RAM(random access memory)48は、CPU46が動作する上で必要となる各種データを記憶する書き換え可能な記憶素子であり、本発明においては、落下や衝突等があった場合に、その日付と衝撃レベルおよび振動レベルを関連付けて記憶する。
【0041】
モータ制御部50は、搬送モータ36にパルス信号を供給し、回転の制御を行う。ヘッド制御部52は、CPU46から供給される印字すべき文字、図形及びバーコード等の印字データに対応する制御信号を生成し、生成した制御信号を印字ヘッド32に供給して、印字動作を制御する。
【0042】
位置センサ制御部54は、CPU46の制御の下、位置検出センサ42の発光部を制御し、光を照射させると共に、受光部から出力される電気信号を受け取り、ディジタルデータに変換して、CPU46に供給する。落下検出部90は、加速度センサ80の出力信号に基づいて、ラベルプリンタ10の落下や衝突に伴う振動や衝撃の度合いを検出する。異常動作検出部95は、落下検出部90において規格値以上の振動や衝撃を検出したときに、所定の検査プログラムにしたがって、電気回路各部を動作させて、電気回路に異常があるか否かを検出する。
【0043】
入力部68は、外部から各種データを入力する。入力部68より入力された入力データは、インタフェース62を介してCPU46に供給される。モニタ70は、用紙切れ(ペーパーエンド)や通信エラー等の情報はもとより、異常動作検出部95が動作の異常を検出した場合にその旨を表示して作業者に知らせる。また、外部インタフェース60を介して、外部に接続された図示せぬ機器との間で各種データの送受信を行うことができるように構成されている。
【0044】
<加速度センサの内部構成>
図3に示すように、本実施形態に係る加速度センサ80は、加速度検出部81と、信号処理部82と、衝撃検出部83と、振動検出部84とから構成されている。
【0045】
加速度検出部81は、落下や衝突等に伴う加速度を検出し、これに対応した信号を出力する。信号処理部82は、加速度検出部81が出力する信号を増幅、調整して加速度に応じた直流電圧を出力する。
【0046】
衝撃検出部83は、信号処理部82が出力する直流電圧信号に基づいて、衝撃の度合いに応じた直流電圧信号を出力する。振動検出部84は、信号処理部82が出力する直流電圧信号に基づいて、振動の度合いに応じた直流電圧信号を出力する。衝撃や振動は、3次元で検出することができる。
【0047】
<落下検出部の内部構成>
図4に示すように、本実施形態に係る落下検出部90は、コンパレータ91、92と、OR回路93とから構成されている。
【0048】
コンパレータ91は、正端子に衝撃検出部83からの出力信号を、負端子に衝撃規格値に相当する基準電圧が入力され、衝撃検出部83からの出力信号レベルが衝撃規格値に相当する基準電圧よりも高い場合に、「Hi」レベルの信号を出力する。
【0049】
コンパレータ92は、正端子に振動検出部84からの出力信号を、負端子に振動規格値に相当する基準電圧が入力され、振動検出部84からの出力信号レベルが振動規格値に相当する基準電圧よりも高い場合に、「Hi」レベルの信号を出力する。
【0050】
OR回路93は、コンパレータ91、コンパレータ92からの出力信号を入力し、いずれか一方から「Hi」レベルの信号を入力した場合に、「Hi」レベルの信号を異常動作検出部95に出力する。OR回路93が「Hi」レベルの信号を出力することにより、異常動作検出部95が起動状態となる。
【0051】
<ラベルプリンタの処理>
図5を用いて、ラベルプリンタの処理について説明する。
まず、加速度センサ80により、加速度を検出すると(ステップS101)、日付と検出した値とをRAM48の所定領域に保存する(ステップS102)。次に、落下検出部90により、加速度センサ80が検出した値が動作規格範囲内の値であるか否かが検出される(ステップS103)。
【0052】
そして、加速度センサ80が検出した値が動作規格範囲内の値でない場合(ステップS103の「No」)には、異常動作検出部95により、回路各部のセルフチェックを実施し(ステップS104)、異常が認められる場合(ステップS105の「Yes」)には、モニタ70にアラーム表示を行う(ステップS106)。
【0053】
一方、異常動作検出部95による回路各部のセルフチェックの結果、異常が認められない場合(ステップS105の「Yes」)には、処理動作を終了する。また、加速度センサ80が検出した値が動作規格範囲内の値である場合(ステップS103の「Yes」)には、ステップS101に戻って待機する。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態によれば、従来は認知することができなかった規格値以上の衝撃や振動がラベルプリンタに加わったことを的確に認知することができる。また、規格値以上の衝撃や振動を検出したときに、電気回路の動作が正常か否かを検証することにより、機器を分解することなく、電子部品の脱落等を確認でき、機器の発熱等の重大な症状の発生を未然に防止することができる。さらに、過去における衝撃や振動の度合いを保持することにより、過去の使用状態を把握できるため、保守点検の際に有用な情報を得ることができる。
【0055】
<第2の実施形態>
図6から図8を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0056】
第1の実施形態においては、加速度センサが検出した値が動作規格範囲を超えている場合に、異常動作検出部が、回路各部のセルフチェックを実施する例について説明したが、本実施形態では、加速度センサが検出した値が記憶された履歴情報の最大値である場合に、異常動作検出部が、回路各部のセルフチェックを実施する点において特徴を有する。これは、予め定められた規格値以下の衝撃や振動をラベルプリンタが受けた場合でも、ラベルプリンタに何らかの不良が発生する可能性があるためである。
【0057】
そのため、落下検出部94は、図7に示すように、コンパレータ91、92と、OR回路93とから構成され、コンパレータ91は、正端子に衝撃検出部83からの出力信号を、負端子に保存最大衝撃値に相当する基準電圧が入力され、衝撃検出部83からの出力信号レベルが保存最大衝撃値に相当する基準電圧よりも高い場合に、「Hi」レベルの信号を出力する。
【0058】
一方で、コンパレータ92は、正端子に振動検出部84からの出力信号を、負端子に保存最大振動値に相当する基準電圧が入力され、振動検出部84からの出力信号レベルが保存最大振動値に相当する基準電圧よりも高い場合に、「Hi」レベルの信号を出力する。
【0059】
そして、OR回路93は、コンパレータ91、コンパレータ92からの出力信号を入力し、いずれか一方から「Hi」レベルの信号を入力した場合に、「Hi」レベルの信号を異常動作検出部95に出力する。OR回路93が「Hi」レベルの信号を出力することにより、異常動作検出部95が起動状態となる。
【0060】
<ラベルプリンタの処理>
図8を用いて、ラベルプリンタの処理について説明する。
まず、加速度センサ80により、加速度を検出すると(ステップS201)、日付と検出した値とをRAM48の所定領域に保存する(ステップS202)。次に、落下検出部94により、加速度センサ80が検出した値が今までの最大値であるか否かが検出される(ステップS203)。
【0061】
そして、加速度センサ80が検出した値が今までの最大値である場合(ステップS203の「Yes」)には、異常動作検出部95により、回路各部のセルフチェックを実施し(ステップS204)、異常が認められる場合(ステップS205の「Yes」)には、モニタ70にアラーム表示を行う(ステップS206)。
【0062】
一方、異常動作検出部95による回路各部のセルフチェックの結果、異常が認められない場合(ステップS205の「Yes」)には、処理動作を終了する。また、加速度センサ80が検出した値が今までの最大値でない場合(ステップS203の「No」)には、ステップS201に戻って待機する。
【0063】
以上、説明したように、本実施形態によれば、保持された履歴情報の最大値に相当する衝撃や振動をラベルプリンタが受けた場合に、その旨を報知することにより、不良の有無を早期に発見することができる。
【0064】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、第1および第2の実施形態では、所定値以上の衝撃や振動が加わったときに、動作に異常があるか否かを検出する処理を行っていたが、ラベルプリンタの安全性を保持するために、所定値以上の衝撃や振動が加わったときには、ラベルの発行を即座に停止してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10;携帯プリンタ
12;外装ケース
14;ケース本体
16;フロントカバー
18;サイドカバー
20;取出口
22;肩掛け用ベルト
32;印字ヘッド
34;制御部
36;搬送モータ
42;位置検出センサ
44;ROM
46;CPU
48;RAM
50;モータ制御部
52;ヘッド制御部
54;位置センサ制御部
60;外部インタフェース
62;インタフェース
64;電源部(バッテリー)
68;入力部
70;モニタ
80;加速度センサ
81;加速度検出部
82;信号処理部
83;衝撃検出部
84;振動検出部
90;落下検出部
91;コンパレータ
92;コンパレータ
93;OR回路
94;落下検出部
95;異常動作検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタであって、
加速度センサと、
該加速度センサからの出力信号により、衝撃や振動の度合いを検出する検出手段と、
該検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、その旨を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、ラベルの発行を停止させる停止手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
電気回路の動作が正常か否かを検証する検証手段を備え、
前記検出手段が所定の値以上の衝撃や振動を検出したときに、前記検証手段が作動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記検出手段が、衝撃や振動を検知した場合に、その度合いを保持する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記所定の値が予め定められた規格値であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記所定の値が前記記憶手段に保持された履歴情報の最大値であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記加速度センサが、回路基板に実装可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項8】
前記加速度センサが、MEMS加速度センサであることを特徴とする請求項7に記載のラベルプリンタ。
【請求項9】
前記ラベルプリンタが携帯型ラベルプリンタであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項10】
所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタにおける衝撃や振動による異常検出方法であって、
加速度センサにより加速度を検出する第1のステップと、
該加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する第2のステップと、
該検出値が規格の範囲外である場合に電気回路の動作を検証する第3のステップと、
該電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する第4のステップと、
を備えたことを特徴とする異常検出方法。
【請求項11】
所定の情報をラベルに印字するラベルプリンタにおける衝撃や振動による異常検出方法であって、
加速度センサにより加速度を検出する第1のステップと、
該加速度を検出したときに、その日付と検出値とを記憶する第2のステップと、
該検出値が記憶された履歴情報の最大値である場合に電気回路の動作を検証する第3のステップと、
該電気回路の動作に異常がある場合にその旨を報知する第4のステップと、
を備えたことを特徴とする異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207084(P2011−207084A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77554(P2010−77554)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】