説明

ラベルプリンタ

【課題】剥離して送り出したラベルのだれの発生をなくして確実にラベルを支持して使用者へ受け取らせることのできるラベル剥離機構及び当該ラベル剥離機構を備えたラベルプリンタを提供する。
【解決手段】本発明のラベル剥離機構20は、ラベル7が貼り付けられた長尺状の台紙8を裏面側に90度以下に屈曲させるための凸状の屈曲面21aを備えた台紙屈曲用ガイド21と、台紙屈曲用ガイド21における屈曲面21aよりも上流側のガイド面部分21cに対峙している上流側台紙押さえガイド23と、台紙屈曲用ガイド21における屈曲面21aよりも下流側のガイド面部分21eに対峙している下流側台紙押さえガイド24と、台紙8が屈曲面21aに沿って90度以下に屈曲されて搬送される間に台紙8から剥離されたラベル7を送り出すラベル送り出しローラ27と、台紙8から剥離されたラベル7を保持するラベルガイドローラ28とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルが剥離可能な状態で貼り付けられている台紙を屈曲させた状態で搬送することにより、当該台紙からラベルを剥離するラベル剥離機構に関するものである。また、本発明は、印刷後のラベルを台紙から剥離するためにラベル剥離機構が搭載されているラベルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラベルを発行するためのラベルプリンタとしては、長尺状の台紙の表面に一定長さのラベルが剥離可能に貼り付けられた台紙を、ラベルが印刷位置に到達するまで搬送して、ラベルに印刷を行い、しかる後に台紙を搬送しながら、ラベル剥離機構によって印刷後のラベルを台紙から剥離し、台紙及びラベルを別個の経路で排出する構成のものが知られている。ラベル剥離機構としては一般に、ラベルが貼り付いた状態の台紙を裏面側から90度以下に屈曲させた状態で搬送することにより、ラベルの腰の強さ(面外剛性)を利用して、台紙からラベルを剥離するものが使用されている。例えば、特許文献1にこの構成のラベル剥離機構を備えたプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2992363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構成のラベル剥離機構では、図9に示すように、台紙51を裏面側から90度以下に屈曲させるための台紙屈曲用ガイド52を備えており、このガイド52の屈曲面に沿って台紙1を搬送させることにより、台紙51からラベル53を剥離させるようにしている。
ところで、台紙屈曲用ガイド52で台紙51から剥離させるラベル53は完全に剥離させると保持されるものがなく落下してしまい、使用者が受け取ることができない。このため、ラベル53の後端が台紙に僅かに付着されている位置まで送り出すことにより、ラベル53の後端を保持して、使用者に受け取らせるようにしている。このとき、後端を保持されたラベル53は、その自重により先端よりだれてしまうことがある。
そして、このようにラベル53がだれてしまうと、ラベル53が取りづらくなったり、ラベル53がプリンタのケースに貼り付いてしまうことがある。
また、ラベル53がだれた場合には、剥離されたラベル53の有無を検出するセンサがラベル53の位置が変動することにより検出が不正確となり、支持されたラベル53があるにも関わらず、無いと検出して次のラベル53が送り出されてしまうような誤動作が生じる虞もあった。
そして、このラベル53のだれは、ラベル53が長尺の場合あるいはラベル53が薄くて剛性が弱い場合、風が吹いている場合、などに顕著に生じやすい。
また、ラベル53の後端は台紙に付着した状態となっているので取り出すときに付着部分を剥がす必要があり、粘着力の強い接着剤が使用されている場合などは、使用者が取りづらくなることもあった。
【0005】
本発明の目的は、剥離して送り出したラベルのだれの発生をなくして、確実にラベルを使用者へ受け取らせることのできるラベル剥離機構、及び当該ラベル剥離機構を備えたラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明のラベル剥離機構は、ラベルが表面に貼り付けられた長尺状の台紙を裏面側に90度以下に屈曲させるための凸状の屈曲面を備えた台紙屈曲用ガイドと、前記台紙が前記屈曲面に沿って90度以下に屈曲されて搬送される間に当該台紙から剥離されながら送り出される前記ラベルを保持するラベルガイドローラとを備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成のラベル剥離機構は、台紙屈曲用ガイドによって屈曲された台紙から剥離されながら送り出されるラベルが、ラベルガイドローラによって保持される。そのため、剥離したラベルのだれを防止することができる。
【0008】
また、本発明のラベル剥離機構において、前記台紙から剥離されながら前記ラベルを送り出すラベル送り出しローラが前記台紙屈曲用ガイドと前記ラベルガイドローラとの間に配置され、送り出した前記ラベルの後端部が前記ラベル送り出しローラによって保持されるとともに、当該ラベルの中央側が前記ラベルガイドローラによって保持されることが好ましい。この場合は、ラベルの後端を台紙に付着して保持させる必要がなく、ラベルを完全に台紙から剥離することができるため、ラベルが先端からのだれを防止すると共に、使用者が取り出し易くなることもできる。
もしくは、本発明のラベル剥離機構において、剥離されながら送り出された前記ラベルの後端部が前記台紙に保持されるとともに、当該ラベルの中央側が前記ラベルガイドローラによって保持されることが好ましい。
これにより、ラベルが後端側及び中央側の複数箇所で保持され、だれることなく確実に支持される。
【0009】
また、本発明のラベル剥離機構において、前記ラベルガイドローラおよび前記ラベル送り出しローラは、それぞれラベルの粘着面と接触したときの粘着力が異なる表面を持つ複数のローラが同軸上に組み合わされてなることが好ましい。
一方のローラはラベルの接着面との粘着力が比較的強く、他方のローラはラベルの接着面との粘着力が比較的弱く、これらのローラを同軸上に組み合わせてラベルガイドローラおよびラベル送り出しローラを構成することにより、ラベルの保持力を適切に設定することができる。
【0010】
また、上記課題を解決することのできる本発明のラベルプリンタは、上記の何れかのラベル剥離機構と、前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、この印刷ヘッドによる印刷位置及び前記ラベル剥離機構によるラベル剥離位置を順次に経由させて、前記ラベルが貼り付けられている長尺状の前記台紙を搬送する搬送機構と、前記ラベルが剥離した後の前記台紙を排出するための台紙排出口と、前記台紙から剥離した後の前記ラベルを排出するためのラベル発行口とを有していることを特徴としている。また、前記印刷ヘッドはサーマルヘッドであり、前記搬送機構は、前記サーマルヘッドに押圧されたプラテンローラを備えていても良い。
【0011】
このような構成のラベルプリンタは、印刷されたラベルを、確実に台紙から剥離した後、安定的に保持することができる。したがって、台紙から剥離したラベルにだれが生じて、使用者が取り出しづらいとか、ラベルの粘着面がケースへ貼り付いてしまうような不具合を防止でき、プリンタとしての使い勝手の良さと高い信頼性を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラベル剥離機構及びラベルプリンタによれば、台紙屈曲用ガイドによって台紙から剥離されながら送り出されるラベルを保持するラベルガイドローラが設けられているため、台紙から剥離させたラベルを安定的に保持することができ、ラベルのだれの発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用したラベルプリンタの外観斜視図である。
【図2】図1のラベルプリンタの概略断面図である。
【図3】図1のラベルプリンタのラベル剥離機構を示す部分拡大断面図である。
【図4】図1のラベルプリンタの開閉部を開けた状態の外観斜視図である。
【図5】図4のラベルプリンタの概略断面図である。
【図6】ラベル剥離機構におけるラベルの支持状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】ラベル剥離機構におけるラベルの支持状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】他の構造のラベル剥離機構を示す部分拡大断面図である。
【図9】ラベルがだれた状態を示す従来のラベル剥離機構の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したラベル剥離機構が搭載されたラベルプリンタの実施の形態の一例を説明する。
【0015】
(全体構成)
図1はラベルプリンタの外観斜視図であり、図2はその内部構成を示す概略断面図であり、図3はそのラベル剥離機構を示す拡大部分断面図である。本例のラベルプリンタ1は、全体として縦長の直方体形状をしたプリンタケース2を備え、その前面部分2aには、上側にラベル発行口3が形成され、その下側に台紙排出口4が形成されている。プリンタケース2の内部には、その下半部分にロール紙装填部5が形成されている。ロール紙装填部5にはラベル印刷用のロール紙6が装填されている。ラベル印刷用のロール紙6は、表面に長方形等の形状をしたラベル7が一定間隔で貼り付けられている一定幅の長尺状の台紙8がロール状に巻かれた構成のものである。ラベルプリンタ1の内部には、ロール紙6および台紙8の紙幅を規制する図示していない紙幅規制ガイドが設けられており、紙幅の変更を可能としている。
【0016】
ロール紙装填部5に装填されたロール紙6から繰り出されるラベルが貼り付けられている台紙8は、搬送路11を通って、プラテンローラ13とサーマルヘッド12に狭持され、プラテンローラ13の回転により搬送される。サーマルヘッド12によって、台紙8の表面8aに貼り付けられているラベル7に印刷が行われた後、台紙8は、全体として鋭角に折れ曲がっている台紙屈曲用ガイド21を備えたラベル剥離機構20を経由して搬送される。この間、印刷後のラベル7は台紙8から剥離して、ラベル発行口3から発行される。
【0017】
台紙8の搬送経路の下流側には、プラテンローラ13に対するサーマルヘッド12の位置とは反対側の外周側の位置に、ラベル剥離機構20の構成部品であるピーラーローラ22が備えられ、プラテンローラ13の外周面部分に押圧されている。ラベル7が剥離された後の台紙8は、台紙屈曲用ガイド21に沿って進み、プラテンローラ13とピーラーローラ22に狭持される。プラテンローラ13の回転により台紙8は、ピーラーローラ22の外周面に沿ってプリンタ前面側に搬送され、台紙排出口4からプリンタ前方に排出される。
【0018】
(ラベル剥離機構)
図2及び図3を参照して、印刷後のラベル7を台紙8から剥離するラベル剥離機構20を説明する。ラベル剥離機構20の台紙屈曲用ガイド21は、先端部分に凸円弧面からなる小さな曲率半径の屈曲面21aが形成されており、この屈曲面21aにおける台紙搬送方向の上流側の端21bには、平坦な上流側ガイド面部分21cが滑らかに連続している。同様に、屈曲面21aにおける台紙搬送方向の下流側の端21dにも、平坦な下流側ガイド面部分21eが滑らかに連続している。
【0019】
上流側ガイド面部分21cには、台紙の幅方向に所定の間隔でガイド面23aが設けられた、上流側台紙押さえガイド23が対峙している。下流側ガイド面部分21eにも、台紙の幅方向に所定の間隔でガイド面24aが設けられた、下流側台紙押さえガイド24が対峙している。上流側ガイド面部分21cと上流側台紙押えガイド23のガイド面23aの隙間は、台紙8とラベル7の合計厚さよりもわずかに大きな寸法とされている。また、上流側台紙押さえガイド23のガイド面23aは、台紙屈曲用ガイド21の屈曲面21aの上流側の端21bよりも台紙搬送方向の下流側に所定長さだけ突出している。すなわち、屈曲面21aを規定している曲面の中心25と端21bを結ぶ線分L1よりも下流側に延びている。他方の下流側台紙押さえガイド24のガイド面24aは、屈曲面21aの下流側の端21dよりも台紙搬送方向の上流側に所定長さだけ突出している。すなわち、中心25と端21dを結ぶ線分L2よりも上流側に延びている。
【0020】
また、上流側台紙押さえガイド23よりも台紙搬送方向の上流側の位置には、屈曲面21aに向けて搬送される台紙8をその裏面側に凸となるように湾曲させるための台紙押さえ26が配置されている。換言すると、台紙押さえ26は、屈曲面21aによる台紙8の屈曲方向とは逆方向に台紙8を僅かに湾曲させることができるように、その凸円弧状の押さえ面26aが上流側台紙押さえガイド23のガイド面23aよりも上流側ガイド面部分21cの側に僅かに突出している。したがって、台紙8は台紙押さえ26によって裏面側に僅かに湾曲させられた状態を経て台紙屈曲用ガイド21の屈曲面21aに案内され、この屈曲面21aに沿って鋭角に屈曲される。
【0021】
次に、台紙屈曲用ガイド21の屈曲面21aの下流側近傍位置には、ラベル送り出しローラ27が回転自在の状態で配置されている。ラベル送り出しローラ27は、その外周面の上側部分が、上流側台紙押さえガイド23のガイド面23aの延長面上にほぼ位置するように配置されている。このラベル送り出しローラ27におけるラベル発行口3の側に隣接した位置にはラベルガイドローラ28が回転自在の状態で配置されている。ラベルガイドローラ28はラベル送り出しローラ27とほぼ同一の高さ位置にある。
【0022】
また、ラベル送り出しローラ27及びラベルガイドローラ28は、ラベル7の搬送方向と直交する幅方向の複数箇所でのみ接触するように、ラベル7の幅方向に間隔をあけて配置された同軸上の複数のローラから構成されている。これにより、ラベル7の粘着面がラベル送り出しローラ27及びラベルガイドローラ28に付着して、使用者がラベル7を取り出しにくくなる等の不具合の発生を防止している。また、ラベル7の粘着面に対する接触面積が小さくされているため、ラベル7の粘着面にある接着剤がラベル送り出しローラ27及びラベルガイドローラ28に付着して溜まることによりラベル送り出しを円滑に行えなくなる等の不具合の発生が防がれる。これらの構成によれば、ラベル7の後端を台紙に付着して保持させる必要がなく、ラベル7を完全に台紙8から剥離することができるため、使用者が取り出し易くなる。
【0023】
ここで、下流側台紙押さえガイド24の下流側には、台紙屈曲用ガイド21の下流側ガイド面部分21eに対峙した状態で、動力伝達ローラ29が回転自在の状態で配置されている。これらの間を通って台紙8が搬送されると、動力伝達ローラ29が台紙8と連れ回り状態になる。動力伝達ローラ29は、不図示の歯車列などの動力伝達機構を介して、ラベル送り出しローラ27に連結されており、ラベル送り出しローラ27がラベル7をラベル発行口3に向けて送り出す方向に回転駆動されるようになっている。
なお、ラベル送り出しローラ27の上方には、マニュアルカッタ31が設けられている。台紙8からラベル7を剥離させずに発行したい場合には、台紙8をラベル発行口3から送り出すようにセットし、このマニュアルカッタ31によって印刷されたラベル7が貼り付いた状態のままの台紙8を、手動で切断することができるようになっている。
【0024】
ここで、本例のラベルプリンタ1では、図4及び図5に示すように、台紙排出口4の上側位置を中心としてプリンタ前方に開けることのできる開閉部30を備えている。この開閉部30に、ラベル剥離機構20のピーラーローラ22、ラベル送り出しローラ27、ラベルガイドローラ28、動力伝達ローラ29が取付けられている。また、下流側台紙押さえガイド24が取付けられている。開閉部30を開くと、台紙屈曲用ガイド21から台紙排出口4に到る台紙排出路が開放される。したがって、台紙8からラベル7を剥離させてラベル発行口3から発行するモードにするには、開閉部30を開いた状態で、図4及び図5に示すように台紙8の先端部分を開閉部30の下側の台紙排出口4に引き出し、この状態で開閉部30を閉めればよい。また、ラベル7が台紙8とともにラベル発行口3から送り出されるモードにするには、台紙8を台紙排出口4に通さず開閉部30の上方(すなわちラベル発行口3)に引き出し、開閉部30を閉めればよい。
【0025】
(ラベル剥離動作)
この構成のラベル剥離機構20によるラベル7の剥離動作を説明する。ラベル7が表面に貼り付いている台紙8がサーマルヘッド12とプラテンローラ13に狭持され搬送される間に、サーマルヘッド12により白紙状態のラベル7の表面に所定の情報が印刷される。その後台紙8は、台紙屈曲用ガイド21の上流側ガイド面部分21cと台紙押さえ26の間を通ることによって、台紙裏面側に僅かに湾曲させられた状態を経て、屈曲面21aに向けて搬送される。台紙押さえ26によって裏面側に湾曲させられるので、ラベル7が貼り付いている台紙8は、台紙屈曲用ガイド21の上流側ガイド面部分21cから浮き上がることなく当該上流側ガイド面部分21cに沿って搬送される。
【0026】
台紙押さえ26の下流側には、上流側台紙押さえガイド23が配置されており、そのガイド面23aと上流側ガイド面部分21cの隙間は台紙8及びラベル7の合計厚さよりも僅かに大きい程度の狭い隙間となっている。また、上流側台紙押さえガイド23のガイド面23aは屈曲面21aの上流側部分にオーバラップする状態になっている。よって、ラベル7が貼り付いている台紙8は、上流側台紙押さえガイド23のガイド面23aから浮き上がることなく、当該ガイド面23aに沿って屈曲面21aに搬送される。
【0027】
屈曲面21aは曲率半径の小さな凸円弧面であり、台紙8はこの屈曲面21aに沿って鋭角に屈曲された状態で搬送される。この結果、ラベル7は、それ自体の腰の強さによって、貼り付けられていた台紙8より先端部分から剥がれていき、それまでの搬送方向と同一の方向に送り出されることになる。台紙8は屈曲面21aに沿って、下流側ガイド面部分21eと、これに対峙している下流側台紙押さえガイド24のガイド面24aの間に案内され、ここから、下流側ガイド面部分21eと動力伝達ローラ29の間を経て、プラテンローラ13及びピーラーローラ22の間を通り、台紙排出口4から排出される。
【0028】
ここで、下流側台紙押さえガイド24のガイド面24aは、屈曲面21aにオーバラップした状態に配置されているので、屈曲面21aに沿って屈曲した後の台紙8が、当該屈曲面21aから浮き上がることがない。よって、台紙8は屈曲面21aに沿って、小さな曲率半径となるように屈曲されるので、ラベル7が台紙8から確実に剥離することができる。
【0029】
一方、屈曲面21aにおいて台紙8から剥がれ始めたラベル7の送り出し側には、ラベル送り出しローラ27が配置されている。ラベル送り出しローラ27は、搬送される台紙8と連れ回りしている動力伝達ローラ29によって、ラベル送り出し方向に回転駆動されている。したがって、台紙8から剥がれ始めたラベル7の先端部分がラベル送り出しローラ27に乗ると、ラベル7が当該ラベル送り出しローラ27によって台紙8とは異なる方向であるラベル発行口3の方向に送り出される。よって、屈曲面21aによって先端部分が剥がれ始めたラベル7は、剥離動作が中断することなくそのまま継続されて、さらにラベル7と連れ回りするラベルガイドローラ28によってラベル発行口3に案内される。
【0030】
このラベル発行口3へ送り出されたラベル7は、図6に示すように、ラベル送り出しローラ27とラベルガイドローラ28とに保持された状態で受け取り位置に配置され、使用者により受け取られる。そして、この配置されたラベル7が使用者によって受け取られると、受け取り位置に設置されているラベル7の有無を検出する図示しないセンサからの検出信号に基づいて、サーマルヘッド12による印刷とラベル剥離機構20が作動し、次のラベル7がラベル発行口3へ送り出されて受け取り位置に配置される。
【0031】
ここで、本例のラベルプリンタ1のラベル剥離機構20では、ラベル7がラベル送り出しローラ27によってラベル発行口3へ送り出されて受け取り位置に配置されると、ラベル7の後端側がラベル送り出しローラ27に保持されるとともに、ラベル7の中央側がラベルガイドローラ28によって保持される。これにより、ラベル7が後端側及び中央側の複数箇所にて支持され、だれることなく受け取り位置にて支持される。
また、万一風の影響などにより、ラベル7の後端がラベル送り出しローラ27から剥がれたとしても、図7に示すように、ラベルガイドローラ28によって中央側が保持されたラベル7は、その後端付近にマニュアルカッタ31が当接することにより、ラベル7の落下を防止すると共に、だれを防止することができる。
【0032】
以上説明したように、本例のラベルプリンタ1のラベル剥離機構20では、台紙屈曲用ガイド21にて台紙8から剥離されて送り出されるラベル7を保持するラベルガイドローラ28を設けたので、台紙8から剥離させたラベル7を確実に保持することができる。これにより、ラベル7が長尺である場合や風が吹いている場合にも、ラベル7のだれの発生を確実になくすことができる。
そして、ラベル剥離機構20によって印刷されたラベル7を、確実に台紙8から剥離して保持することができ、剥離したラベル7にだれが生じて粘着面が、ケースへ貼り付いてしまうような不具合をなくすことができる。
【0033】
また、剥離されたラベル7の位置がだれにより変動しないため、剥離されたラベル7の有無を検出するセンサによる検出を正確に行わせることができる。これにより、支持されたラベル7があるにも関わらず、次のラベル7が送り出されてしまうような誤動作を確実に防止することができる。
【0034】
なお、本発明においては、図8に示すように、ラベル送り出しローラ27及び動力伝達ローラ29を省略し、ラベル送り出しローラ27の位置にラベルガイドローラ28を配置してもよい。
この場合には、ラベルガイドローラ28が、送り出されるラベル7と連れ回りして、ラベル7を剥離方向にガイドする。そして、ラベル7がラベル発行口3へ、ラベル7の後端側が台紙8に僅かに付着した状態に残るまで送り出し、ラベル7の後端側を保持する。このとき、ラベル7の中央側はラベルガイドローラ28によって保持されている。これにより、ラベル7が後端側及び中央側の複数箇所にて保持され、だれることなく受け取り位置にて支持される。
【0035】
また、ラベル送り出しローラ27及びラベルガイドローラ28の表面材質としては、例えば、ポリアセタールなどの合成樹脂が適用可能であるが、ラベル7の接着剤との粘着力が比較的強いクロロプレンゴムのローラと粘着力が比較的弱いシリコンゴムのローラとを組み合わせても良い。シリコンゴムは、ラベル7の接着剤として用いるアクリルエマルジョン系接着剤の付着力が極めて弱く、接着剤の付着も防止される。そして、このように、ラベル7の接着剤との粘着力の異なる複数のローラとを同軸上に組み合わせた場合、その割合を調整することによって、ラベル7の保持力を最適な状態に調整することができる。
【0036】
また、ラベル送り出しローラ27とラベルガイドローラ28との配置は、ラベル7の搬送方向に沿って直列に配置しても良いが、ラベル7の幅方向へ互い違いにずらして千鳥状に配置しても良い。特に、千鳥状に配置することにより、ラベル7の幅が狭い場合にも、確実な保持力でラベル7を保持することができる。
【0037】
なお、剥離したラベル7をラベル発行口3に送り出すためのローラ(例えばラベル送り出しローラ27やラベルガイドローラ28)を3個以上配置しても良い。
一方、本例のラベルプリンタ1はサーマルヘッドを備えているが、インクジェットヘッドなどのような異なる形式の印刷ヘッドを備えていても良い。
【符号の説明】
【0038】
1:ラベルプリンタ、3:ラベル発行口、4:台紙排出口、7:ラベル、8:台紙、12:サーマルヘッド(印刷ヘッド)、13:プラテンローラ、20:ラベル剥離機構、21:台紙屈曲用ガイド、21a:屈曲面、22:ピーラーローラ、23:上流側台紙押さえガイド、24:下流側台紙押さえガイド、27:ラベル送り出しローラ、28:ラベルガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルが表面に貼り付けられた長尺状の台紙を裏面側に90度以下に屈曲させるための凸状の屈曲面を備えた台紙屈曲用ガイドと、
前記台紙が前記屈曲面に沿って90度以下に屈曲されて搬送される間に当該台紙から剥離されながら送り出される前記ラベルを保持するラベルガイドローラとを備えたことを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル剥離機構であって、
前記台紙から剥離された前記ラベルを送り出すラベル送り出しローラが前記台紙屈曲用ガイドと前記ラベルガイドローラとの間に配置され、剥離されながら送り出された前記ラベルの後端部が前記ラベル送り出しローラによって保持されるとともに、当該ラベルの中央側が前記ラベルガイドローラによって保持されることを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項3】
請求項1に記載のラベル剥離機構であって、
剥離されながら送り出された前記ラベルの後端部が前記台紙に保持されるとともに、当該ラベルの中央側が前記ラベルガイドローラによって保持されることを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項4】
請求項2に記載のラベル剥離機構であって、
前記ラベル送り出しローラは、それぞれラベルの粘着面と接触したときの粘着力が異なる表面を持つ複数のローラが同軸上に組み合わされてなることを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のラベル剥離機構であって、
前記ラベルガイドローラは、それぞれラベルの粘着面と接触したときの粘着力が異なる表面を持つ複数のローラが同軸上に組み合わされてなることを特徴とするラベル剥離機構。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のラベル剥離機構と、
前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、
この印刷ヘッドによる印刷位置及び前記ラベル剥離機構によるラベル剥離位置を順次に経由させて、前記ラベルが貼り付けられている長尺状の前記台紙を搬送する搬送機構と、
前記ラベルが剥離した後の前記台紙を排出するための台紙排出口と、
前記台紙から剥離した後の前記ラベルを排出するためのラベル発行口とを有していることを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項7】
請求項6に記載のラベルプリンタであって、
前記印刷ヘッドはサーマルヘッドであり、
前記搬送機構は、前記サーマルヘッドに押圧されたプラテンローラを備えていることを特徴とするラベルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−222146(P2010−222146A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112022(P2010−112022)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【分割の表示】特願2004−232772(P2004−232772)の分割
【原出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】