説明

ラベルプリンタ

【課題】ラベル用紙の搬送経路の清掃に掛かる手間を低減可能で、確実に付着物の除去が可能なラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ラベルプリンタ1Aは、長手方向に沿ってラベル11が貼着された長尺状のラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、ラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Aを備え、ラベル用紙12の搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aの基板41Aに付着している粘着剤成分等の付着物の印刷ヘッド4Aによる加熱制御と、加熱された付着物をラベル用紙12のプラテンローラ3による搬送制御で基板41Aから剥がしてラベル11に付着させるクリーニングモードを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のラベル用紙を搬送してラベルに印刷を行うラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、台紙に貼り付けられたラベルに印刷を行うラベルプリンタが提案されている。台紙にラベルが貼着されたラベル用紙では、ラベルの端部及びラベル間に粘着剤成分が残留している場合があり、このようなラベル用紙を搬送して印刷を行うラベルプリンタでは、長期間の使用において粘着剤成分がラベル用紙から搬送経路側に付着することがある。ラベル用紙の搬送経路に粘着剤成分が付着すると、ラベル用紙の搬送不良及び印刷不良の要因となる。
【0003】
また、台紙にラベルが貼着されたラベル用紙では、ラベルを台紙から剥離すると、ラベル側の粘着剤成分の一部が台紙側に残ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このため、長尺の台紙に貼り付けられたラベルに印刷を行うと共に、印刷が行われたラベルを台紙から剥離して排出するラベルプリンタでは、ラベルの剥離により台紙側に残る粘着剤成分が、プリンタの搬送経路側に付着する。
【0005】
従来は、プリンタの搬送経路に付着した粘着剤成分等の付着物は、定期的に搬送経路を清掃して除去していた。清掃のタイミングを報知する技術は、使用条件等に応じて報知する技術が従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、クリーニング部材を有した清掃シートを利用して、付着物を除去できるようにしたラベルプリンタが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−345497号公報
【特許文献2】特開2004−224045号公報
【特許文献3】特開2008−080508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、人手による清掃作業は、カバーを開けて行う等作業に手間が掛かる。また、搬送経路の付着物が粘着剤成分であると、確実な除去は難しく、専用の清掃道具も必要となる。清掃のタイミングを報知すれば、適切なタイミングで清掃は行えるが、清掃の手間が掛かる点については改善されない。また、清掃シートを使用する場合も、粘着剤成分を除去しきれないことがあり、清掃に手間が掛かる点については改善されない。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ラベル用紙の搬送経路の清掃に掛かる手間を低減可能で、確実に付着物の除去が可能なラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、媒体類を搬送する搬送手段と、搬送手段で搬送される媒体類に対向する配置で設けられる印刷手段とを備え、媒体類を搬送手段で搬送し、印刷手段でラベルに印刷を行うラベルプリンタにおいて、媒体類の搬送経路に付着している付着物の加熱制御と、加熱された付着物を剥がすために媒体類を搬送させる搬送制御で、搬送経路から付着物を媒体類に付着させるクリーニングモードを実行する制御手段を備えたラベルプリンタである。
【0011】
本発明のラベルプリンタでは、クリーニングモードが実行されると、媒体類の搬送経路に付着している付着物を加熱することで、付着物が持つ粘着性を回復させ、媒体類に粘着させると共に、付着物が粘着した媒体類を搬送することで、付着物が搬送経路側から剥がれて媒体類側に残り、装置外部に排出される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラベルプリンタによれば、クリーニングモードを実行することで、利用者による清掃作業を行うことなく、媒体類の搬送経路に残る付着物を除去できるので、媒体類の搬送時に媒体類が付着物に当たることがなく、搬送不良の発生及び印刷不良の発生を抑えることができる。また、利用者による清掃作業が不要であるので、利用者の手間を低減することができる。
【0013】
更に、媒体類として通常のラベルを利用して付着物の除去が可能であり、クリーニング専用のラベルを用意すれば、クリーニングモードにおいて付着物を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す側断面図である。
【図2】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す要部側断面図である。
【図3】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【図4】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態のラベルプリンタの制御機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図8】本実施の形態のラベルプリンタにおける印刷動作の一例を示す動作説明図である。
【図9】本実施の形態のラベルプリンタにおける印刷動作の一例を示す動作説明図である。
【図10】本実施の形態のラベルプリンタにおける印刷動作の一例を示す動作説明図である。
【図11】搬送経路に粘着剤成分が付着することによる課題を示す動作説明図である。
【図12】本実施の形態のラベルプリンタにおいてクリーニングモードを実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】クリーニング処理時の情報表示の一例を示す動作説明図である。
【図14】実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示す動作説明図である。
【図16】本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示す動作説明図である。
【図17】本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示す動作説明図である。
【図18】本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示す動作説明図である。
【図19】本実施の形態のラベルプリンタの変形例を示す側断面図である。
【図20】本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明のラベルプリンタの実施の形態について説明する。
【0016】
<本実施の形態のラベルプリンタの構成例>
図1は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す側断面図、図2は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す要部側断面図であり、図1及び図2では、ラベルプリンタにおける印刷搬送機構を示す。また、図3は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す印刷ヘッドの斜視図である。
【0017】
更に、図4〜図6は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す斜視図であり、図4では、カバーを開いてラベル用紙をセットした状態を示し、図5では、カバーを開いてラベル用紙をセットする前の状態を示し、図6では、カバーを閉じた状態を示す。
【0018】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aは、媒体類の一例として、消耗品であるラベル11が貼着された長尺状のラベル用紙12を搬送して、ラベル11に印刷を行うと共に、ラベル11をラベル用紙12から剥離して排出する機構を備える。ラベル用紙12は、長尺状の台紙に、当該台紙の長手方向に沿ってラベル11が貼着され、ラベル11が並ぶ長手方向に搬送される。
【0019】
ラベルプリンタ1Aは、ラベル11が貼着された一の面である表面が内向きとなる内巻きと称される形態で、ラベル用紙12が巻かれて提供されるラベルロール13が装着される装着部2を備える。なお、本実施の形態では、内巻きと称される形態のラベルロール13を用いる例で説明するが、使用されるラベルロールとしては、ラベルが貼着された表面が外向きとなる外巻きと称される形態で、ラベル用紙が巻かれて提供されるラベルロールでも良く、本発明のラベルプリンタで使用されるラベルロールは、内巻きの形態に限定されるものではない。
【0020】
また、ラベルプリンタ1Aは、装着部2に装着されたラベルロール13から引き出されたラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、プラテンローラ3で搬送されるラベル用紙12のラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Aを備える。
【0021】
更に、ラベルプリンタ1Aは、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aでラベル11に印刷を行って排出する動作におけるラベル用紙12の搬送方向である順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aの上流側に、ラベル用紙12の搬送経路を構成する搬送路5を備える。
【0022】
搬送路5は、装着部2とプラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aとの間に、ラベル11の非貼着面であるラベル用紙12の裏面と対向するガイド部材50と、ラベルロール13から引き出されたラベル用紙12をガイド部材50に誘導するガイドローラ51を設けて構成される。
【0023】
また、ラベルプリンタ1Aは、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3及び印刷ヘッド4Aの下流側に、ラベル11が剥離されるラベル用紙12の搬送経路を構成する排出搬送路6を備える。
【0024】
排出搬送路6は、印刷ヘッド4Aを押さえ部材としてラベル用紙12を屈曲させる搬送経路を形成し、ラベル11の剛性を利用して、ラベル用紙12からラベル11を剥離する剥離プレート7を設けて構成される。
【0025】
また、ラベルプリンタ1Aは、剥離プレート7で排出搬送路6から分岐して、ラベル11が剥離されたラベル用紙12の搬送経路を構成する剥離搬送路8を備える。剥離搬送路8は、剥離プレート7でラベル11が剥離されたラベル用紙12を、プラテンローラ3に従動して搬送する剥離ローラ80を設けて構成される。
【0026】
装着部2は、所定の径を有するラベルロール13を収納可能な空間を設けて構成され、ラベルロール13の芯14に挿入されるラベルホルダ20を支持するホルダ受け部21が、対向する側面の内側に設けられる。
【0027】
プラテンローラ3は搬送手段の一例で、後述するモータによって正逆両方向に回転駆動される本例では1本のローラで構成される。プラテンローラ3は、径方向に沿った上側で円周面が印刷ヘッド4Aと対向し、径方向に沿った下側で円周面が剥離ローラ80と対向する配置で、搬送路5及び排出搬送路6におけるラベル用紙12の搬送経路の下側に設けられる。
【0028】
プラテンローラ3は、軸方向に沿った円周面の長さが、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成される。プラテンローラ3は、ラベル用紙12の裏面の幅方向の全体に円周面が接するようにして、ラベル用紙12を印刷ヘッド4Aに押圧し、プラテンローラ3の軸方向に対して交差する方向、本例では軸方向に対して直交する方向にラベル用紙12を搬送する。
【0029】
ラベルプリンタ1Aでは、プラテンローラ3が正方向に回転駆動されると、搬送路5にセットされたラベル用紙12が順送り方向に搬送され、順送り方向に搬送されるラベル11に印刷ヘッド4Aで印刷が行われる。また、ラベルロール13からラベル用紙12が引き出される。プラテンローラ3が逆方向に回転駆動されると、搬送路5にセットされたラベル用紙12が逆送り方向に搬送され、印刷ヘッド4Aに対する印刷開始位置への位置合わせが行われる。
【0030】
印刷ヘッド4Aは印刷手段の一例で、本例ではラベル11が感熱紙であるため、サーマルヘッドで構成される。印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3と対向すると共に、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と対向する形状を有し、搬送路5及び排出搬送路6におけるラベル用紙12の搬送経路の上側に設けられる。
【0031】
印刷ヘッド4Aは、図示しないバネでプラテンローラ3方向に付勢され、プラテンローラ3によってラベル用紙12が押圧される。また、印刷ヘッド4Aは、剥離プレート7との間に排出搬送路6が形成される所定の空間を設けて剥離プレート7と対向する。印刷ヘッド4Aは、剥離プレート7でラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲するように、排出搬送路6に搬送されたラベル用紙12の面方向の形状を所定の形状に保つ。
【0032】
印刷ヘッド4Aは、ライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Aと、基板41Aに取り付けられた放熱板42Aを備える。印刷ヘッド4Aは、ライン状の素子40がプラテンローラ3の軸方向に沿った向きで、プラテンローラ3と対向する配置で設けられ、素子40の長手方向の長さが、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成される。
【0033】
印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する側が基板41Aで構成される。基板41Aは、本例ではセラミック基板で構成され、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する面が平面で構成される。
【0034】
剥離プレート7は剥離手段の一例で、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対してプラテンローラ3の下流側で、プラテンローラ3の円周面と印刷ヘッド4Aの基板41Aとの間に形成される空間に設けられる。
【0035】
剥離プレート7は、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に沿った先端側に屈曲ガイド部70が設けられる。屈曲ガイド部70は、処理対象とするラベル用紙12の短手方向の幅より長く構成され、ラベル用紙12の搬送方向と交差する方向に延在する。
【0036】
ラベル用紙12は、搬送路5ではプラテンローラ3と印刷ヘッド4Aとの間に挟持され、排出搬送路6では剥離プレート7の屈曲ガイド部70に当てられるようにして下方に屈曲され、剥離搬送路8ではプラテンローラ3と剥離ローラ80の間に挟持される搬送経路が構成される。
【0037】
そして、排出搬送路6では、ラベル用紙12の搬送経路を所定の鋭角で屈曲させるため、剥離プレート7は、プラテンローラ3の円周面より前方に突出させて屈曲ガイド部70が設けられる。
【0038】
排出搬送路6では、ラベル用紙12が剥離プレート7の屈曲ガイド部70で屈曲されると、屈曲ガイド部70の上流側では、ラベル用紙12の剛性によってラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かる。
【0039】
排出搬送路6では、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aによってラベル用紙12が挟持される。これにより、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かると、プラテンローラ3と屈曲ガイド部70との間でラベル用紙12が上方に湾曲して、プラテンローラ3により押さえられていない屈曲ガイド部70側に頂点P1を有した湾曲部12aが形成される。
【0040】
印刷ヘッド4Aは、プラテンローラ3及び剥離プレート7と対向する形状を有し、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0041】
排出搬送路6では、印刷ヘッド4Aの基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられることで、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0042】
これにより、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。
【0043】
ラベルプリンタ1Aは、搬送路5を搬送されるラベル用紙12のラベル11を検出するラベルセンサ52Sを備える。ラベルセンサ52Sはラベル検出手段の一例で、ガイドローラ51とプラテンローラ3の間の搬送経路に設けられる。
【0044】
ラベルセンサ52Sは、本例ではラベル用紙12の搬送経路を挟んで対向する一対の受発光素子を備えた透過型の光センサで構成され、ラベル用紙12において、ラベル11と台紙の光の透過率の違いから、ラベル11の先端を検出する。
【0045】
ラベルセンサ52Sは、ラベル11が検出位置にあるときの出力を例えばONとし、台紙が検出位置にあるときの出力を例えばOFFとする。これにより、ラベル用紙12の順送りの搬送動作では、ラベルセンサ52Sの出力がOFFからONに変化することで、ラベル11の先端を検出したことを示すラベル先端検出信号が出力される。
【0046】
これに対し、ラベル用紙12を戻す逆送りの搬送動作では、ラベルセンサ52Sの出力がONからOFFに変化することで、ラベル11の先端を検出したことを示すラベル先端検出信号が出力される。
【0047】
ラベルプリンタ1Aは、排出搬送路6を搬送されるラベル用紙12からラベル11が剥離されたことを検出する剥離センサ61Sを備える。剥離センサ61Sは剥離検出手段の一例で、剥離プレート7より下流側の搬送経路に設けられる。
【0048】
剥離センサ61Sは、本例ではラベル11の搬送経路を挟んで対向する一対の受発光素子を備えた透過型の光センサで構成され、ラベル11の光の透過率でラベル11の有無を検出する。
【0049】
剥離センサ61Sは、ラベル11が検出位置にあるときの出力を例えばONとし、ラベル11が無いときの出力を例えばOFFとする。これにより、ラベル用紙12の順送りの搬送動作で、剥離センサ61Sの出力がOFFからONに変化することで、ラベル11が排出位置にあることを示すラベル検出信号が出力される。また、剥離センサ61Sの出力がONからOFFに変化することで、ラベル11がラベル用紙12から剥離されたことを示す剥離検出信号が出力される。
【0050】
上述したように、剥離センサ61Sは、排出搬送路6を挟んで対向する一対の光センサで構成される。このため、印刷ヘッド4Aの先端P2は、剥離センサ61Sの光軸を遮らないように、剥離センサによる検出位置よりは上流側となるように構成される。
【0051】
ラベルプリンタ1Aは、装着部2、プラテンローラ3、搬送路5を構成するガイド部材50、及び排出搬送路6を構成する剥離プレート7等を有したプリンタ本体90を備える。また、搬送路5を構成するガイドローラ51、印刷ヘッド4A、及び操作部91等を有し、プリンタ本体90に軸部90aを支点に開閉可能に設けられたカバー92を備える。
【0052】
ラベルプリンタ1Aは、図4及び図5に示すように、カバー92を開くと、ガイドローラ51が上方に退避して、ラベルロール13が装着部2に装着可能で、ラベルロール13から引き出したラベル用紙12を、搬送路5及び排出搬送路6にセット可能な状態になる。また、ラベル11を剥離したラベル用紙12を、剥離プレート7で屈曲させて剥離搬送路8にセット可能な状態となる。
【0053】
ラベルプリンタ1Aは、図6に示すようにカバー92が閉じられると、図1に示すように、ガイド部材50とガイドローラ51が対向して搬送路5が形成される。また、ラベルプリンタ1Aは、カバー92が閉じられると、印刷ヘッド4Aと、プラテンローラ3及び剥離プレート7が対向し、搬送路5にセットされたラベル用紙12がプラテンローラ3で印刷ヘッド4Aに押圧されると共に、印刷ヘッド4Aと剥離プレート7の間に排出搬送路6が形成される。
【0054】
更に、ラベルプリンタ1Aは、カバー92が閉じられると、操作部91の操作が可能となる。操作部91は、文字、数字等の情報の入力、動作の設定及び実行等の操作が行われるボタンを有した入力部91aと、各種情報の表示が行われるLCD等の表示部91bを備える。
【0055】
<本実施の形態のラベルプリンタの制御機能例>
図7は、本実施の形態のラベルプリンタの制御機能の一例を示す機能ブロック図である。ラベルプリンタ1Aは、マイクロコンピュータ等で構成される制御部100を備える。
【0056】
制御部100は制御手段の一例で、ラベルプリンタ1Aで実行する動作モードとして、操作部91での所定の操作でラベル11に印刷を行って排出する通常印刷モードを備える。
【0057】
また、制御部100は、ラベルプリンタ1Aで実行する動作モードとして、ラベル用紙12の搬送経路における付着物、本例では、排出搬送路6で搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aの基板41Aにおける付着物を、ラベル11に付着させることで除去するクリーニングモードを備える。
【0058】
制御部100は、プラテンローラ3を回転駆動するラベルフィードモータ101Mと、印刷ヘッド4Aを動作モードに基づき制御して、通常印刷モードでは、印刷データに基づきラベル11の印刷動作を行う。
【0059】
ラベルプリンタ1Aでは、剥離プレート7でラベル用紙12を屈曲させることによって発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで押さえられることで、搬送されるラベル11及びラベル用紙12が基板41Aに接する。
【0060】
このため、ラベル11あるいはラベル用紙12からの汚れが基板41Aに付着する可能性がある。特に、ラベル11が剥離された後にラベル用紙12側に残る粘着剤の成分が、基板41Aに付着する可能性がある。
【0061】
そこで、制御部100は、クリーニングモードでは、印刷ヘッド4Aの基板41Aに付着している粘着剤成分の加熱制御を、印刷ヘッド4Aの温度制御で行うと共に、印刷ヘッド4Aの温度制御で加熱された粘着剤成分を、ラベルフィードモータ101Mによるラベル用紙12の搬送制御で基板41Aから剥離して、ラベル11に付着させるクリーニング処理を行う。
【0062】
制御部100は、各動作モードでラベルセンサ52Sからラベル先端検出信号が入力され、ラベル用紙12の搬送動作でラベル11が所定の位置に搬送されたことを判断する。
【0063】
ラベルフィードモータ101Mにはステッピングモータが使用され、制御部100では、ラベルフィードモータ101Mを駆動するステップ数でラベル用紙12及びラベル11の搬送量が求められる。
【0064】
また、制御部100は、剥離センサ61Sからラベル検出信号が入力され、ラベル用紙12の搬送動作で剥離されたラベル11が、ラベル用紙12から取られたことを判断する。
【0065】
制御部100は、クリーニングモードの実行の有無が切り替えられる設定モードを備える。クリーニングモードの実行の有無を切り替える設定モードでは、操作部91の表示部91bに設定値を表示すると共に、入力部91aの所定の操作で設定値の変更及び変更された設定値の記憶を行う。
【0066】
制御部100は、クリーニングモードを実行する設定では、クリーニング処理を実行する条件を満たすか否かの判断、クリーニング処理、及びクリーニング処理に関連する情報の報知を行う。
【0067】
制御部100は、ラベルプリンタ1Aが所定の状態にあることを検出して、クリーニング処理の実行の有無を判断するため、所定の管理情報を記憶部102に記憶する。
【0068】
ラベルプリンタ1Aでは、ラベル11の発行枚数が増加すると、印刷ヘッド4Aの基板41Aに粘着剤成分が付着する度合いが高くなる。そこで、本例では、制御部100は、通常印刷モードでラベル11の発行枚数をカウントして発行枚数情報を取得し、取得した発行枚数情報を管理情報として記憶部102に記憶する。また、制御部100は、クリーニング処理を実行すべきラベル11の発行枚数が規定された規定枚数情報を記憶部102に記憶する。
【0069】
ここで、ラベルプリンタ1Aでは、ラベル11をラベル用紙12から剥離して排出する発行形式と、ラベル用紙12に貼着された状態で排出する発行形式が切り替えられる。このため、印刷ヘッド4Aの基板41Aに粘着剤成分が付着する度合いは、ラベル11の発行形式によっても異なる。
【0070】
更に、粘着剤成分の粘度等の物性が温度によって変化するので、印刷ヘッド4Aの基板41Aに粘着剤成分が付着する度合いは、ラベルプリンタ1Aが使用される環境温度によっても異なる。
【0071】
そこで、制御部100は、ラベル11の発行形式毎に発行枚数をカウントし、発行形式毎の発行枚数情報を記憶部102に記憶する。あるいは、温度センサを設けて 環境温度を検出し、ラベル11の発行時の環境温度毎に発行枚数をカウントし、環境温度毎の発行枚数情報を記憶部102に記憶する。
【0072】
制御部100は、クリーニングモードを実行する設定では、ラベル11の発行枚数と、予め設定された処理タイミング情報に基づき、クリーニング処理を実行する条件を満たすか否かを判断する。
【0073】
また、制御部100は、クリーニングモードを実行する設定では、クリーニング処理に関連する情報として、クリーニング処理を実行することの確認の報知、及び、クリーニング処理を実行中であることの報知を行う。
【0074】
制御部100は、クリーニング処理に関連する情報の報知を、操作部91を制御して、例えば、表示部91bに文字情報を表示することで行う。また、LED等により構成されるランプ91cの点灯と点滅の切り替え等で行う。
【0075】
ここで、制御部100は、記憶部102に記憶される規定枚数情報を変更する設定モードを備えても良い。規定枚数情報を変更する設定モードでは、操作部91の表示部91bに設定値を表示すると共に、入力部91aの所定の操作で設定値の変更及び変更された設定値の記憶を行う。なお、規定枚数情報を変更する設定モードでは、ラベル11の発行形式毎、環境温度毎に規定枚数情報を変更可能としても良い。
【0076】
また、制御部100は、クリーニング処理における印刷ヘッド4Aの加熱温度を設定できる設定モードを備えても良い。加熱温度を設定する設定モードでは、操作部91の表示部91bに設定温度を表示すると共に、入力部91aの所定の操作で設定温度の変更及び変更された設定温度の記憶を行う。
【0077】
更に、制御部100は、クリーニングモードとして、設定で決められた時間にクリーニング処理を行うセルフクリーニングモードを備えると共に、セルフクリーニングモードの実行の有無が切り替えられる設定モードを備えても良い。
【0078】
<本実施の形態のラベルプリンタの動作例>
図8〜図10は、本実施の形態のラベルプリンタにおける印刷動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態のラベルプリンタ1Aの動作について説明する。ラベル用紙12をセットする動作では、カバー92が開けられ、ラベルロール13の芯14にラベルホルダ20が挿入され、ラベルロール13に挿入されたラベルホルダ20がホルダ受け部21に取り付けられる。
【0079】
装着部2に装着されたラベルロール13からラベル用紙12が引き出され、ガイド部材50及びプラテンローラ3に沿わせるようにセットされる。また、引き出されたラベル用紙12の先端側から所定枚数のラベル11が剥離され、ラベル11が剥離されたラベル用紙12が、剥離プレート7の屈曲ガイド部70に当てられるようにして屈曲され、プラテンローラ3と剥離ローラ80が対向する剥離搬送路8側にセットされる。
【0080】
このとき、ラベル用紙12に貼着されている先頭のラベル11の先端が、ラベル用紙12の順送りの搬送方向に対して、剥離プレート7の屈曲ガイド部70より上流側に位置するように、ラベル用紙12がセットされる。そして、カバー92が閉じられる。
【0081】
ラベル用紙12がセットされてカバー92が閉じられると、ラベルプリンタ1Aでは、ガイド部材50とガイドローラ51が対向して形成される搬送路5で、ガイド部材50に沿ってラベル用紙12がガイドされる。また、搬送路5でガイドされるラベル用紙12が、プラテンローラ3で印刷ヘッド4Aに押圧される。
【0082】
更に、印刷ヘッド4Aと剥離プレート7との間に形成される排出搬送路6で、ラベル用紙12の湾曲部12aが印刷ヘッド4Aの基板41Aによって押さえられ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲されると共に、剥離搬送路8方向にガイドされる。
【0083】
通常印刷モードでは、制御部100は、ラベルフィードモータ101Mを駆動して、プラテンローラ3を正方向に回転させる。ラベル用紙12がセットされたラベルプリンタ1Aでは、プラテンローラ3が正方向に回転駆動されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aに挟持されたラベル用紙12が順送り方向に搬送される。
【0084】
ラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、ラベル11の先端がラベルセンサ52Sによる検出位置に到達することで、ラベルセンサ52Sでラベル先端検出信号が出力されてラベル11の先端が検出される。
【0085】
ラベルセンサ52Sでラベル11の先端が検出されると、印刷ヘッド4Aに対するラベル11の位置に関する情報が取得され、ラベル用紙12が印刷ヘッド4Aに対して所定の位置に搬送される。
【0086】
本例では、図8に示すように、印刷データに応じて設定されるラベル11における印刷開始位置が、印刷ヘッド4Aと対向する位置となるように、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されて、印刷ヘッド4Aでラベル11に印刷が行われる。
【0087】
印刷ヘッド4Aで印刷が行われたラベル11は、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されることで、剥離プレート7でラベル用紙12から剥離される。すなわち、ラベル用紙12は、搬送路5ではプラテンローラ3と印刷ヘッド4Aとの間に挟持され、排出搬送路6では剥離プレート7の屈曲ガイド部70で下方に屈曲され、剥離搬送路8ではプラテンローラ3と剥離ローラ80の間に挟持される搬送経路が構成される。
【0088】
プラテンローラ3を正方向に回転させて、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aより下流側の搬送経路では、剥離搬送路8でプラテンローラ3と剥離ローラ80との間に挟持されているラベル用紙12が、プラテンローラ3の回転により順送り方向に搬送される。
【0089】
このように、プラテンローラ3の駆動力を利用して、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8でラベル用紙12を搬送する構成であるので、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8におけるラベル用紙12の搬送速度は同じである。
【0090】
排出搬送路6では、ラベル用紙12が剥離プレート7の屈曲ガイド部70で屈曲されることで、屈曲ガイド部70の上流側では、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かる。
【0091】
上述したように、搬送路5及び排出搬送路6と、剥離搬送路8におけるラベル用紙12の搬送速度は同じであるので、屈曲ガイド部70の下流側でラベル用紙12を搬送する力では、屈曲ガイド部70の上流側でのラベル用紙12の浮き上がりを解消するような力は生じない。
【0092】
これにより、ラベル用紙12を浮き上がらせる力が掛かると、プラテンローラ3と屈曲ガイド部70との間でラベル用紙12が上方に湾曲して、プラテンローラ3により押さえられていない屈曲ガイド部70側に頂点P1を有した湾曲部12aが形成される。
【0093】
そこで、排出搬送路6では、印刷ヘッド4Aの基板41Aの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられ、かつ、ラベル用紙12の面に対して垂直な方向である上下方向における基板41Aの下面が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1を押さえる位置に設けられる。
【0094】
これにより、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0095】
従って、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。
【0096】
剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12が所定の鋭角に屈曲されていると、順送り方向に搬送されるラベル用紙12に貼着されているラベル11は、剥離プレート7で屈曲したラベル用紙12の搬送経路に追従しない。
【0097】
これにより、ラベル用紙12に貼着されているラベル11は、先端が剥離プレート7の屈曲ガイド部70を通過することで、ラベル用紙12の順送り方向の搬送によって、先端側からラベル用紙12より剥離される。ここで、図9に示すように、ラベル11がラベル用紙12から剥離されると、ラベル11の粘着剤成分11aが、ラベル11が剥離された後のラベル用紙12側に残留する場合がある。
【0098】
ラベル用紙12が順送り方向に搬送されて、先頭のラベル11の後端が、剥離プレート7の屈曲ガイド部70より上流側にあって、ラベル11の後端がラベル用紙12に貼着された状態で保持される位置までラベル11が搬送されると、プラテンローラ3が停止される。
【0099】
制御部100は、剥離センサ61Sの出力からラベル11がラベル用紙12から取られたか否かを判断する。剥離センサ61Sから剥離検出信号が出力されることで、ラベル11がラベル用紙12から剥離されて取られたことが検出されると、制御部100は、ラベルフィードモータ101Mを駆動して、プラテンローラ3を逆方向に回転させ、次のラベル11の位置合わせを行う。
【0100】
プラテンローラ3が逆方向に回転駆動されると、プラテンローラ3と印刷ヘッド4Aに挟持されたラベル用紙12が逆送り方向に搬送される。先行するラベル11が剥離されたラベル用紙12は、後続のラベル11の先端が印刷開始位置にくるよう所定量搬送されて、プラテンローラ3が停止される。
【0101】
本例では、先行するラベル11の搬送・印刷時に、後続のラベル11の先端がラベルセンサ52Sで検出され、ラベル11の先端がラベルセンサ52Sで検出されてからのラベル用紙12の正逆両方向の搬送量に基づいて、ラベル11の位置が制御される。このため、先行するラベル11が剥離されたラベル用紙12は、後続のラベル11の先端が印刷開始位置にくるよう所定量逆送り方向に搬送されて、プラテンローラ3が停止される。
【0102】
上述したように、ラベルプリンタ1Aでは、剥離プレート7でラベル用紙12を屈曲させることによって発生する湾曲部12aが、印刷ヘッド4Aの基板41Aで押さえられることで、搬送されるラベル11及びラベル用紙12が基板41Aに接する。
【0103】
このため、図10に示すように、先行するラベル11が剥離されたラベル用紙12が逆送り方向に搬送されると、先行するラベル11が剥離された後にラベル用紙12側に残る粘着剤成分11aが、基板41Aに付着する可能性がある。
【0104】
図11は、搬送経路に粘着剤成分が付着することによる課題を示す動作説明図である。搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aの基板41Aに粘着剤成分11aが付着した状態で、次のラベル11に印刷を行うため、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、基板41Aでラベル用紙12を押すように基板41Aにラベル11が接することで、基板41Aに付着している粘着剤成分11aに次のラベル11が接触する場合がある。
【0105】
基板41Aに付着している粘着剤成分11aにラベル11が接触すると、ラベル用紙12の搬送速度が変化する等の搬送不良が起こる。また、搬送不良に伴い印字のずれ等の印刷不良が起こる。
【0106】
そこで、ラベルプリンタ1Aでは、ラベル用紙12の搬送経路、本例では搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aのクリーニング処理を行うクリーニングモードを備える。
【0107】
図12は、本実施の形態のラベルプリンタにおいてクリーニングモードを実行する処理の一例を示すフローチャートである。本例では、電源投入時にクリーニングモードを実行する処理について説明する。
【0108】
制御部100は、ラベルプリンタ1Aの電源が投入されると、図12のステップSA1で、クリーニングモードを実行する設定か否かを判断する。クリーニングモードを実行する設定であると、制御部100は、図12のステップSA2で、記憶部102に記憶された発行枚数情報と規定枚数情報を照合する。ここで、記憶部102に記憶された発行枚数情報は、前回のクリーニング処理を実行してからのラベル11の発行枚数であり、クリーニング処理を実行すると、発行枚数情報がクリアされる。
【0109】
制御部100は、図12のステップSA2で、ラベル11の発行枚数が規定枚数以上であると判断すると、ステップSA3で、処理タイミング情報として、1日の中での初回の電源投入時にクリーニング処理を実行するため、前回の電源投入時の日付と現在の日付を比較する。
【0110】
ステップSA3の判断で、前回の電源投入時の日付と現在の日付が同じであれば、1日の中で2回目以降の電源投入であるのに対して、現在の日付が前回の電源投入時の日付より後であれば、1日の中で初回の電源投入である。そこで、ラベル11の発行枚数が規定枚数以上であり、かつ、1日の中で初回の電源投入時であると、クリーニング処理を実行する条件を満たすと判断する。
【0111】
クリーニング処理を実行する条件を満たすと、制御部100は、図12のステップSA4で、クリーニング処理を実行することを通知し、利用者の確認操作を誘導する。
【0112】
図13は、クリーニング処理時の情報表示の一例を示す動作説明図である。クリーニング処理を実行する条件を満たすと、制御部100は、表示部91bを制御して、図13(a)に示すように、クリーニング処理を実行することを通知すると共に、利用者の確認操作を誘導する確認誘導画面110を表示する。
【0113】
制御部100は、クリーニング処理の確認誘導画面を表示すると、図12のステップSA5で利用者の操作を待つ。利用者の操作で取消キーが操作された場合は、クリーニング処理は実行しない。利用者の操作で確認キーが操作されると、図12のステップSA6でクリーニング処理を実行する。ここで、クリーニング処理の詳細は後述する。
【0114】
制御部100は、図12のステップSA6でクリーニング処理を実行した場合、及び、ステップSA1、ステップSA2、ステップSA3、ステップSA5の判断で、クリーニング処理を行わない場合、ステップSA7で前回の電源投入時の日付を現在の日付に更新し、クリーニングモードを終了する。なお、クリーニングモードの実行は、電源投入時に限らず、規定の発行枚数に到達した時点でクリーニングモードの実行を促すように表示部91bに表示しても良い。
【0115】
図14は、本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示すフローチャート、図15〜図18は、本実施の形態のラベルプリンタにおけるクリーニング処理の一例を示す動作説明図である。
【0116】
制御部100は、クリーニング処理を開始すると、図13(b)に示すように、クリーニング処理を行っていることを通知する通知画面111を表示すると共に、図14のステップSB1で、ラベル先端の検出動作を行う。ラベル先端検出動作では、ラベルフィードモータ101Mを駆動して、プラテンローラ3を正方向に回転させる。
【0117】
プラテンローラ3の正方向の回転駆動でラベル用紙12が順送り方向に搬送されると、ラベル11の先端がラベルセンサ52Sによる検出位置に到達することで、ラベルセンサ52Sでラベル先端検出信号が出力されてラベル11の先端が検出される。
【0118】
ラベルセンサ52Sでラベル11の先端が検出されると、制御部100は、図14のステップSB2で、図15に示すように、印刷ヘッド4Aの下流側の加熱開始位置までラベル11を搬送するラベル送り動作を行う。
【0119】
ラベル11を加熱開始位置まで搬送すると、制御部100は、図14のステップSB3で、印刷ヘッド4Aを予め設定された温度まで加熱する加熱動作を行う。加熱動作では、印刷ヘッド4Aの素子40の全体を駆動して、基板41Aに付着している粘着剤成分11aを加熱できるような温度制御を行う。
【0120】
加熱動作で印刷ヘッド4Aを加熱すると、基板41Aに付着している粘着剤成分11aが加熱されることで粘着性が回復する。また、基板41Aにおける粘着剤成分11aの付着位置と対向する位置にラベル11があることで、ラベル用紙12の湾曲部12aを押さえる配置である基板41Aとラベル11が接触する。これにより、基板41a側に付着している粘着剤成分11aがラベル11の表面に粘着する。
【0121】
ここで、加熱動作では、制御部100は、ランプ91cを点滅表示させること等により、加熱動作を行っていることを利用者に報知し、装置が正常に動作していることを確認可能とする。
【0122】
加熱動作で印刷ヘッド4Aを加熱すると、制御部100は、図14のステップSB4で、基板41Aに付着している粘着剤成分11aを剥がすクリーニング動作を行う。クリーニング動作では、図16に示すように、ラベル用紙12を順送り方向に所定量搬送する。
【0123】
加熱動作で基板41a側に付着している粘着剤成分11aがラベル11の表面に粘着した状態で、ラベル用紙12を順送り方向に搬送すると、せん断力が加わることによる凝集破壊あるいは界面破壊によって、基板41Aに付着していた粘着剤成分11aが基板41Aから剥がれ、ラベル11側に残る。
【0124】
クリーニング動作でラベル用紙12を順送り方向に所定量搬送すると、制御部100は、プラテンローラ3を逆方向に回転させてラベル用紙12を逆送り方向に所定量搬送する。
【0125】
ラベル用紙12を順送り方向に搬送すると、ラベル用紙12からラベル11を剥離する力でラベル11は下方に引かれるため、ラベル11は図17に破線で示すような状態となる。一方、ラベル用紙12を逆送り方向に搬送すると、ラベル11の先端がラベル用紙12から剥離しており、ラベル用紙12により下方に引かれる力は加わらないので、プラテンローラ3の回転方向により、ラベル11は、図17に実線で示すように、順送り方向への搬送時と比較して上方に移動する。
【0126】
ラベル11が上方に移動すると、基板41A方向に押されることになり、基板41A側に粘着剤成分11aが残っている場合に、積極的にラベル11が当てられる。これにより、ラベル用紙12の搬送方向の切り替えによるラベル11の挙動の変化で、基板41A側に残っている粘着剤成分11aにラベル11が当てられる。
【0127】
クリーニング動作でラベル用紙12を逆送り方向に所定量搬送すると、制御部100は、プラテンローラ3を正方向に回転させて、図18に示すように、ラベル用紙12を順送り方向に所定量搬送する。
【0128】
上述したように、ラベル用紙12の逆送り方向への搬送で、基板41A側に残っている粘着剤成分11aにラベル11が当てられることで、粘着剤成分11aをラベル11の表面により強く粘着した状態とし、ラベル用紙12を順送り方向に搬送すると、より大量の粘着剤成分11aが基板41Aから剥がれる。
【0129】
ラベル用紙12の正逆両方向への搬送によるクリーニング動作を行うと、制御部100は、図14のステップSB5で、ラベル11の排出動作を行う。ラベル11の排出動作では、ラベル用紙12が順送り方向に搬送されて、粘着剤成分11aを付着させたラベル11の後端が、剥離プレート7の屈曲ガイド部70より上流側にあって、ラベル11の後端がラベル用紙12に貼着された状態で保持される位置までラベル11を搬送して、プラテンローラ3を停止させる。
【0130】
ラベル11の排出動作を行うと、制御部100は、図13(c)に示すように、クリーニング処理が完了したことを通知すると共に、ラベル11を取る操作を誘導する操作誘導画面112を表示する。また、図14のステップSB6で、剥離センサ61Sの出力からラベル11がラベル用紙12から取られたか否かを判断する。剥離センサ61Sから剥離検出信号が出力されることで、ラベル11がラベル用紙12から剥離されて取られたことが検出されると、クリーニング処理を終了する。
【0131】
<本実施の形態のラベルプリンタの作用効果例>
本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、上述したように、ラベル用紙12の搬送経路における付着物、本例では、排出搬送路6で搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aの基板41Aにおける付着物である粘着剤成分11aを、粘着剤成分11aの加熱制御とラベル用紙12の搬送制御によってラベル11に付着させることで除去するクリーニングモードを備える。
【0132】
これにより、ラベル用紙12の搬送経路を構成する基板41Aに残る粘着剤成分11aを除去できるので、ラベル用紙12の搬送時にラベル用紙12またはラベル11が粘着剤成分11aに当たることがなく、搬送不良の発生及び印刷不良の発生を抑えることができる。
【0133】
また、粘着剤成分11aを除去するための清掃用具が不要で、利用者による清掃作業も不要とすることができ、利用者の手間を低減することができる。更に、粘着剤成分11aを付着させる消耗品として、通常のラベル11を利用することで、クリーニング専用のラベルを用意する必要がなく、クリーニングモードでラベルの交換が不要である。一方、粘着剤成分11aを付着させる消耗品として、長尺状の台紙にクリーニング専用のラベルが貼着された媒体類を用意しても良く、クリーニング専用のラベルを用意すれば、クリーニングモードで付着物をより効率的に除去できる。更に、長尺状の台紙をクリーニングシートで構成した媒体類を用意しても良い。
【0134】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、排出搬送路6で搬送経路を構成する印刷ヘッド4Aを熱源として粘着剤成分11aを加熱するので、別部品で粘着剤成分11aの温度を上昇させる手段を設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができると共に、装置コストを低減できる。
【0135】
また、加熱して粘着性を回復させた粘着剤成分11aをラベル11に付着させ、ラベル11を搬送することでせん断力を加えることで、粘着剤成分11aを基板41Aから剥がすことができる。更に、ラベル11を順送り方向と逆送り方向に搬送することで、粘着剤成分11aを基板41Aから剥がす力を異なる方向から加えることができ、より確実に大量の粘着剤成分11aを剥がして除去することができる。
【0136】
また、剥離プレート7により屈曲させた搬送経路によって、ラベル用紙12の逆送り方向への搬送でラベル用紙12を面方向に変位させ、ラベル11を粘着剤成分11aの付着箇所に押し付けることができ、より確実に大量の粘着剤成分11aをラベル11に付着させて除去することができる。
【0137】
更に、剥離プレート7により屈曲させた搬送経路を利用して、ラベル用紙12の正逆両方向の搬送でラベル用紙12の挙動を変化させることができるので、ラベル11を粘着剤成分11aの付着箇所に押し付けるための別の搬送機構等が不要である。
【0138】
ラベルプリンタ1Aでは、ラベル11をラベル用紙12から剥離して排出する発行形態と、ラベル11をラベル用紙12に貼着された状態で排出する発行形態が切り替えられる。
【0139】
ラベル11を剥離して排出する発行形態では、ラベル11の端部に露出する粘着剤成分11aと、ラベル11を剥離した後のラベル用紙12に残る粘着剤成分11aが、基板41Aに付着する可能性がある。一方、ラベル11を剥離しない発行形態では、ラベル11の端部に露出する粘着剤成分11aと、搬送方向に並ぶラベル11間のギャップ部に残る粘着剤成分11aが、基板41Aに付着する可能性がある。
【0140】
このため、ラベル11の発行形態によって、基板41Aに付着する粘着剤成分11aの量が異なる。そこで、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、ラベル11の発行形式毎に発行枚数をカウントすると共に、ラベル11の発行形式毎に規定枚数情報を設定することで、発行形態に応じて最適なタイミングでクリーニング処理を実行できる。また、規定枚数情報を変更可能な設定モードを備えることで、ラベル11の発行形態に応じて規定枚数情報を変更することができる。
【0141】
また、ラベルプリンタ1Aでは、環境温度が高い場合は、粘着剤成分11aの温度も高くなる傾向にあるので、通常のラベル11の発行動作で、基板41Aに付着した粘着剤成分11aがラベル11に付着して排出される。ラベル11の発行動作の都度、粘着剤成分11aの除去が行われるので、ラベル11の搬送及び印刷品位に影響を及ぼすことはない。
【0142】
一方、環境温度が低い場合は、基板41Aに付着した粘着剤成分11aが基板41A側に残る。そこで、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、環境温度毎、例えば、環境温度の高低に基づきラベル11の発行形式毎に発行枚数をカウントすると共に、ラベル11の環境温度毎に規定枚数情報を設定することで、環境温度に応じて最適なタイミングでクリーニング処理を実行できる。また、規定枚数情報を変更可能な設定モードを備えることで、環境温度に応じて規定枚数情報を変更することができる。
【0143】
更に、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、クリーニング処理における印刷ヘッド4Aの加熱温度を設定できる設定モードを備えることで、粘着剤成分11aの特性に応じてラベル11への再付着及び基板41Aからの剥離に適した温度制御が可能である。
【0144】
ラベルプリンタ1Aでは、利用者の業務時間中等にクリーニング処理が実行されると、業務が中断される可能性が生じる。そこで、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、クリーニング処理を実行するタイミングを設定可能とし、予め設定された処理タイミング情報に基づきクリーニング処理を実行することで、本例では、初回の電源投入時等の業務開始時にクリーニング処理を行うことができる。
【0145】
また、本実施のラベルプリンタ1Aでは、クリーニングモードの実行の有無が切り替えられる設定モードを備えることで、ラベル用紙12の種別、発行形態、環境温度等の要因で粘着剤成分11aが付着しない場合等、クリーニング処理の実行、及びクリーニング処理に関連する情報の報知を停止することができる。これにより、クリーニングモードの実行が不要な場合には、利用者は一連の動作を中断することなく、ラベル11の発行動作を継続できる。
【0146】
更に、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、設定で決められた時間にクリーニング処理を行うセルフクリーニングモードを備えると共に、セルフクリーニングモードの実行の有無が切り替えられる設定モードを備えることで、夜間等、業務を行っていない時間にクリーニング処理を実行できる。
【0147】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、環境温度が低い場合、クリーニング処理の実行中に印刷ヘッド4Aの温度を所定の温度に加熱する時間が長くなる。そこで、印刷ヘッド4Aの温度を上げる加熱動作時に、加熱動作を行っていることを利用者に通知することで、装置が正常に動作していることを利用者が可能となり、装置の故障等と誤認すること防ぐことができる。
【0148】
<本実施の形態のラベルプリンタの変形例>
図19は、本実施の形態のラベルプリンタの変形例を示す側断面図である。本実施の形態の変形例のラベルプリンタ1Bは、長尺状のラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、プラテンローラ3で搬送されるラベル用紙12のラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Bを備える。
【0149】
印刷ヘッド4Bは印刷手段の一例で、図3に示すライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Bと、基板41Bに取り付けられた放熱板42Bを備える。
【0150】
印刷ヘッド4Bは、基板41Bがプラテンローラ3と対向すると共に、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7と放熱板42Bが対向する形状を有し、ラベル用紙12の搬送経路の上側に設けられる。
【0151】
基板41Bは、本例ではセラミック基板で構成され、ライン状の素子40がプラテンローラ3の軸方向に沿った向きで、プラテンローラ3と対向する配置で設けられる。
【0152】
印刷ヘッド4Bは、図示しないバネでプラテンローラ3方向に付勢され、プラテンローラ3によってラベル用紙12が押圧される。また、印刷ヘッド4Bは、放熱板42Bと剥離プレート7との間に排出搬送路6が形成される所定の空間を設けて剥離プレート7と対向する。
【0153】
印刷ヘッド4Bは、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、放熱板42Bの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍、本例では頂点P1より下流側に設けられる。
【0154】
排出搬送路6では、印刷ヘッド4Bの放熱板42Bの先端P2が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1より下流側に設けられることで、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Bの放熱板42Bで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0155】
これにより、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Bでも、印刷ヘッド4Bでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0156】
また、変形例のラベルプリンタ1Bでは、印刷ヘッド4Bの基板41Bで発生する熱が放熱板42Bに伝達されるので、ラベル用紙12からの粘着剤成分が付着する部位である放熱板42Bの温度制御を印刷ヘッド4Bで行うことができる。これにより、上述したクリーニング処理を実行することで、搬送経路を構成する放熱板42Bに付着した接着材成分を、印刷ヘッド4Bの温度制御による粘着剤成分の加熱及びラベル用紙12の搬送制御でラベル11付着させ、放熱板42Bから剥がすことができる。
【0157】
図20は、本実施の形態のラベルプリンタの他の変形例を示す側断面図である。本実施の形態の他の変形例のラベルプリンタ1Cは、長尺状のラベル用紙12を搬送するプラテンローラ3と、プラテンローラ3で搬送されるラベル用紙12のラベル11に印刷を行う印刷ヘッド4Cを備える。
【0158】
印刷ヘッド4Cは印刷手段の一例で、図3に示すライン状の素子40及び素子40を駆動する図示しない回路等が実装された基板41Cと、基板41Cに取り付けられた放熱板42Cと、放熱板42Cに取り付けられたヘッドプレート43Cを備える。
【0159】
印刷ヘッド4Cは、基板41Cがプラテンローラ3と対向すると共に、プラテンローラ3の下流側に設けられる剥離プレート7とヘッドプレート43Cが対向する形状を有し、ラベル用紙12の搬送経路の上側に設けられる。
【0160】
基板41Cは、本例ではセラミック基板で構成され、ライン状の素子40がプラテンローラ3の軸方向に沿った向きで、プラテンローラ3と対向する配置で設けられる。
【0161】
印刷ヘッド4Cは、図示しないバネでプラテンローラ3方向に付勢され、プラテンローラ3によってラベル用紙12が押圧される。また、印刷ヘッド4Cは、ヘッドプレート43Cと剥離プレート7との間に排出搬送路6が形成される所定の空間を設けて剥離プレート7と対向する。
【0162】
印刷ヘッド4Cは、剥離プレート7と対向する部位が、ラベル用紙12の湾曲部12aと接するように、ヘッドプレート43Cの押圧位置P3が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1の近傍に設けられる。
【0163】
排出搬送路6では、印刷ヘッド4Cのヘッドプレート43Cの押圧位置P3が、ラベル用紙12の湾曲部12aの頂点P1近傍に設けられることで、ラベル用紙12を剥離プレート7で屈曲させることで発生するラベル用紙12の湾曲部12aが、印刷ヘッド4Cのヘッドプレート43Cで剥離プレート7方向に押さえられる。
【0164】
これにより、排出搬送路6では、プラテンローラ3の下流側に搬送されたラベル用紙12の屈曲ガイド部70の上流側での面方向の形状が所定の形状に保たれ、剥離プレート7の屈曲ガイド部70で、ラベル用紙12がラベル11の剥離に適した所定の鋭角に屈曲される。従って、変形例のラベルプリンタ1Cでも、印刷ヘッド4Cでラベル用紙12の押さえ部材を構成して、ラベル11を確実に剥離することができる。
【0165】
また、変形例のラベルプリンタ1Cでは、印刷ヘッド4Cの基板41Cで発生する熱が放熱板42Cを介してヘッドプレート43Cに伝達されるので、ラベル用紙12からの粘着剤成分が付着する部位であるヘッドプレート43Cの温度制御を印刷ヘッド4Cで行うことができる。これにより、上述したクリーニング処理を実行することで、搬送経路を構成するヘッドプレート43Cに付着した接着材成分を、印刷ヘッド4Cの温度制御による粘着剤成分の加熱及びラベル用紙12の搬送制御でラベル11付着させ、ヘッドプレート43Cから剥がすことができる。
【0166】
上述した各変形例のラベルプリンタで説明したように、印刷ヘッドの熱が伝達される部材で搬送経路が構成されることで、クリーニング処理を実行して粘着剤成分をラベル11に再付着させての除去が可能となる。
【0167】
なお、本実施の形態では、剥離プレート7を備える構成について説明したが、ラベル用紙で粘着剤成分が付着している箇所が接する搬送経路を持つラベルプリンタであれば、搬送経路の温度制御を行う構成を備えることで、他の形態のラベルプリンタにも適用可能である。例えば、台紙の無い長尺状のラベルに等間隔でミシン目を入れ巻き回した台紙無しラベルと呼ばれるラベルを用いるラベルプリンタにも適用することができる。
【0168】
また、クリーニング処理でラベル用紙の挙動を変化させ、ラベルを搬送経路側に残る粘着剤成分に押し付ける構成として、プラテンローラの下流側でかつ粘着剤成分が付着する箇所の下流側に他の搬送手段を備え、ラベル用紙の搬送速度の差を利用してラベル用紙の挙動を変化させることとしても良い。更に、プラテンローラの回転動作等で変位するレバーを備え、レバーの変位でラベル用紙の挙動を変化させることとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、ラベル用紙を屈曲させる搬送経路を構成してラベルの剥離を行う機構を備えたラベルプリンタ、ラベル貼付機、剥離機、ラベラーに適用される。
【符号の説明】
【0170】
1A,1B,1C・・・ラベルプリンタ、11・・・ラベル、12・・・ラベル用紙、13・・・ラベルロール、2・・・装着部、3・・・プラテンローラ、4A,4B,4C・・・印刷ヘッド、40・・・素子、41A,41B,41C,・・・基板、42A,42B,42C・・・放熱版、43C・・・ヘッドプレート、5・・・搬送路、6・・・排出搬送路、7・・・剥離プレート、70・・・屈曲ガイド部、8・・・剥離搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体類を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される媒体類に対向する配置で設けられる印刷手段とを備え、
媒体類を前記搬送手段で搬送し、前記印刷手段でラベルに印刷を行うラベルプリンタにおいて、
媒体類の搬送経路に付着している付着物の加熱制御と、加熱された付着物を剥がすために媒体類を搬送させる搬送制御で、搬送経路から付着物を媒体類に付着させるクリーニングモードを実行する制御手段を備えた
ことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記印刷手段はサーマルヘッドで構成され、前記印刷手段の温度制御で前記印刷手段から前記媒体類の搬送経路に熱が伝達されて、搬送経路に付着している付着物が加熱される
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、媒体類の搬送経路に付着している付着物と対向する位置に媒体類を搬送して付着物を当該媒体類に付着させ、媒体類を排出する順送り方向に搬送して、付着物を搬送経路から剥がす搬送制御を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記制御手段は、媒体類を排出する順送り方向と戻す逆送り方向の正逆両方向に搬送して、付着物を搬送経路から剥がす搬送制御を行う
ことを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
媒体類の搬送方向に対して交差する方向に延在する屈曲ガイド部が設けられ、前記屈曲ガイド部で媒体類を屈曲させる搬送経路を構成して、長尺状の台紙の長手方向に沿って消耗品が貼着された媒体類を前記屈曲ガイド部で屈曲させることで、台紙から消耗品を剥離する剥離手段を備え、
前記制御手段は、前記屈曲ガイド部で構成される搬送経路を搬送される媒体類を面方向に変位させ、媒体類の搬送により面方向に変位する媒体類に付着物を付着させると共に、媒体類を搬送して付着物を搬送経路から剥がす搬送制御を行う
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記印刷手段は、媒体類と対向する部位が、前記搬送手段と対向すると共に、前記搬送手段の下流側に設けられる前記剥離手段と対向する形状を有し、
前記剥離手段の前記屈曲ガイド部で屈曲される媒体類が、前記屈曲ガイド部の上流側で面方向に浮き上がることによる媒体類の湾曲部を押さえる配置とした
ことを特徴とする請求項5に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記搬送手段は、回転駆動されるプラテンローラで構成され、
前記印刷手段は、前記プラテンローラと対向する素子が実装される基板が設けられ、媒体類の湾曲部を押さえる部位が前記基板で構成される
ことを特徴とする請求項6に記載のラベルプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、予め設定された処理タイミング情報に基づきクリーニングモードを実行する
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項9】
前記制御手段は、クリーニングモードにおける前記印刷手段の加熱温度が設定される設定モードを備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−240202(P2012−240202A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108824(P2011−108824)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】