説明

ラベル付き商品包装体及び商品包装体のラベル貼付方法

【課題】正規のラベルからそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を安価な対策によって抑制できるようにしたラベル付き商品包装体及び商品包装体のラベル貼付方法を提供する。
【解決手段】ラベル付き商品包装体10において、皿状に形成されたトレー12に商品11が載せられており、トレー12の開放部がラップ13により覆われている。ラップ13には、売値,商品名,販売店名などの商品情報が印刷された表示ラベル21が貼付されている。表示ラベル21には、ラップ13に掛かるようにして無色透明の保護シート31が貼付されている。すなわち、保護シート31は、ラップ13と表示ラベル21とに跨るようにして貼付されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル付き商品包装体及び商品包装体のラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品、特に肉や鮮魚などの食料品の販売に際しては、衛生面や取扱性向上のため、これらをトレーに入れた状態でラップ等の包装材により包装されることが多い。これらの食料品は、例えばグラム単位の単価が設定され、その重量が計測されることで売値が決定される。その計量結果である重量、重量と単価とを乗算した売値、食料品の名称である商品名、販売店名などの商品情報は、表示ラベルの表面に印字され、その印字された表示ラベルが包装材の表面に貼り付けられる。
【0003】
上記商品の不正取得の態様として、正規の計量ラベルを剥がしてそれよりも低価格が表示された計量ラベルを貼付し、この不正な計量ラベルに表示された低価格で商品を購入することが報告されている。このような不正が行われると、店舗は大きな損害を被ることとなる。
【0004】
ここで、ラベルにICチップなどを組み込んで、正規のラベルか否かを判断できるようにした技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−62663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ICチップを組み込んだラベルを、包装材の表面に貼り付けることも考えられる。しかしながら、ICチップを組み込む等の不正対策は、非常に高価であって、安価な商品に付するラベルとしては現実的ではない。高価なラベルを用いる対策では、商品価格に上乗せせざるを得ず、店舗がその導入に躊躇するためである。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、正規のラベルからそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を安価な対策によって抑制できるようにしたラベル付き商品包装体及び商品包装体のラベル貼付方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.商品(商品11)を包装する包装材(トレー12、ラップ13)と、
表面に商品名称、値段等の商品情報が印刷された印刷面(サーマル層23)が形成され、裏面にラベル粘着層(ラベル粘着層24)が形成された表示ラベル(表示ラベル21)と、
透明性を有するシート材(シート材32)により形成され、裏面に前記ラベル粘着層と同等又はそれよりも高い粘着性を有するシート粘着層(シート粘着層33)が形成された保護シート(保護シート31,41)と
を備え、
前記包装材の表面に前記表示ラベルが前記ラベル粘着層により貼付されているとともに、前記包装材と前記表示ラベルとに跨るようにして前記保護シートが前記シート粘着層により貼付されていることを特徴とするラベル付き商品包装体。
【0009】
手段1によれば、包装材の表面に表示ラベルがラベル粘着層により貼付されているとともに、包装材と表示ラベルとに跨るようにして保護シートがシート粘着層により貼付されている。したがって、保護シートを剥がさない限りは表示ラベルを包装材から剥がし取ることができない。このため、仮に、表示ラベルを包装材から不正に剥がし取ってそれ以外のラベルを包装材に貼付しようとしても余計な手間(保護シートを剥がす手間)がかかり、店員などに発見されないようにかかる不正を行うことが困難なものとなっている。故に、表示ラベルの不正な貼り替えに対する抑止力を発揮することができる。
【0010】
また、保護シートの裏面に形成されたラベル粘着層の粘着力を、表示ラベルの裏面に形成されたラベル粘着層の粘着力と同等又はそれよりも高くした。このため、包装材及び表示ラベルから保護シートを剥がす際に、包装材から表示ラベルを剥がす手間と同等又はそれより余計な手間がかかることとなる。したがって、表示ラベルの不正な貼り替えに対する抑止力をより好適に発揮することができる。
【0011】
さらに、包装材及び表示ラベルに保護シートを貼付することでかかる不正に対する抑止力を発揮する構成としたため、従来の表示ラベルを従来通り使用することができる。故に、比較的安価な保護シートにより、かつその保護シートを貼付するという比較的容易な作業により不正対策を実現することができる。
【0012】
以上の結果、正規のラベルからそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を安価な対策によって抑制できる。
【0013】
手段2.前記保護シートに、切り込み(切り込み34a,34b)を設けたことを特徴とする手段1に記載のラベル付き商品包装体。
【0014】
手段2によれば、保護シートに切り込みを設けたため、保護シートが剥がされた場合、保護シートの剥離に伴う応力が切り込みに集中するなどして保護シートの破断が促進される。これにより、表示ラベルが包装材から剥がし取られても、その痕跡をより確実に残すことが可能となる。
【0015】
手段3.前記切り込みを、前記保護シートにおける前記包装材に貼付された部分に設けたことを特徴とする手段2に記載のラベル付き商品包装体。
【0016】
手段3によれば、保護シートにおける包装材に貼付された部分に切り込みを設けた。このため、表示ラベルを剥離すると、表示ラベルとともに剥離される保護シートが切り込み部分で破断され、保護シートの一部が包装材に残存し易くなる。この残存した保護シートの一部が痕跡となって残るため、表示ラベルをそれ以外のラベルに貼り替えても容易に発見することができる。
【0017】
手段4.前記切り込みを、前記包装材と前記表示ラベルとの境界に沿って延びるように前記保護シートに設けたことを特徴とする手段2又は3に記載のラベル付き商品包装体。
【0018】
手段4によれば、包装材と表示ラベルとの境界に沿って延びるように切り込みを保護シートに設けた。このため、保護シートを、包装材に貼付された側と表示ラベルに貼付された側とに破断させ易くすることができる。これにより、表示ラベルが包装材から剥がし取られた場合でも、その痕跡として保護シートの少なくとも一部をより確実に包装材に残すことができる。
【0019】
手段5.前記切り込みを、前記保護シートの端部に達するように設けたことを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【0020】
手段5によれば、切り込みを、保護シートの端部に達するように設けた。保護シートを包装材又は表示ラベルから剥がす場合、まず端部の1箇所を剥がし、それから剥離部分を中央に拡大させていくと考えられる。ここで、切り込みが保護シートの端部に達している場合、切り込みの片側の端部から保護シートを剥がしていっても、切り込みにて保護シートの破断が促進されるため、切り込みの両側の端部、計2箇所から保護シートを剥がしていく必要が生じることとなる。すなわち、痕跡を残さないように表示ラベルを剥がし取ろうとしても、保護シートを剥がし取るために余計な手間がかかるため、不正行為に対する抑止力を発揮することができる。
【0021】
手段6.前記保護シートを、可撓性を有する合成樹脂により形成したことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【0022】
手段6によれば、保護シートを、可撓性を有する合成樹脂により形成したため、保護シートの包装材及び表示ラベルに対する密着性を高めることができる。これにより、保護シートの貼付面が平坦でない場合でも、シート粘着層による保護シートの貼付状態を良好なものとすることができる。故に、保護シートの不要な剥離を抑制することができ、不正行為の痕跡をより確実に残すことができる。
【0023】
手段7.前記保護シートを、透明性を有する合成樹脂により形成したことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【0024】
手段7によれば、保護シートが透明性を有しているため、仮に、表示ラベルに印刷された商品情報に掛かるようにして保護シートが貼付されていたとしても、保護シートを介してその商品情報を目視確認することができる。さらに、保護シートを合成樹脂により形成したため、例えば、商品情報としてバーコードなどの識別コードが表示ラベルに表示されている場合でも、保護シートを介して識別コードの位置を視認確認しつつ、その識別コードを読取装置などにより読み取ることが可能となる。故に、保護シートを包装材及び表示ラベルに貼付する際の自由度が高くなり、保護シートの貼付作業を容易なものとすることができる。
【0025】
手段8.前記包装材を、透明性を有する材料により形成したことを特徴とする手段7に記載のラベル付き商品包装体。
【0026】
手段8によれば、包装材を、透明性を有する材料により形成した。このため、包装材を介して商品の内容や状態を目視確認することが可能となる。また、上記手段8の構成を備えていることにより、包装材における保護シートが貼付されている部分においても、包装材及び保護シートを介して商品の内容や状態を目視確認することが可能となる。故に、包装材に透明性を持たせた構成でも、保護シートを包装材及び表示ラベルに貼付する際の自由度の低下が抑制されるため、保護シートの添付作業を容易なものとすることができる。
【0027】
手段9.前記保護シートが、前記商品の中央寄りに前記シート粘着層により貼付されていることを特徴とする手段10に記載のラベル付き商品包装体。
【0028】
手段9によれば、保護シートが、商品の中央寄りにシート粘着層により貼付されている。このため、保護シートを極力小さくした場合でも、保護シートの目視確認を容易なものとすることができる。この場合、保護シートをより安価なものとしつつ、不正行為のより確実な発見を可能なものとすることができる。
【0029】
手段10.商品を包装する包装材(トレー12、ラップ13)の表面に、商品の名称や値段等の商品情報が印刷された印刷面(サーマル層23)を表面に有する表示ラベル(表示ラベル)を貼付し、
前記包装材と前記表示ラベルとに跨るようにして、透明性を有しかつ前記表示ラベルと同等又はそれよりも高い粘着性を有する保護シート(保護シート31)を貼付したことを特徴とする商品包装体のラベル貼付方法。
【0030】
手段10によれば、包装材と、その包装材の表面に貼付した表示ラベルとに跨るようにして保護シートを貼付したため、保護シートを剥がさない限りは表示ラベルを包装材から剥がし取ることができない。このため、仮に、表示ラベルを包装材から不正に剥がし取ってそれ以外のラベルを包装材に貼付しようとしても余計な手間(保護シートを剥がす手間)がかかり、店員などに発見されないようにかかる不正を行うことが困難なものとなっている。故に、表示ラベルの不正な貼り替えに対する抑止力を発揮することができる。
【0031】
また、保護シートが有する粘着力を、表示ラベルが有する粘着力と同等又はそれよりも高くした。このため、包装材及び表示ラベルから保護シートを剥がす際に、包装材から表示ラベルを剥がす手間と同等又はそれより余計な手間がかかることとなる。したがって、不正行為に対する抑止力をより好適に発揮することができる。
【0032】
さらに、保護シートを、かかる不正に対する抑止力を発揮するように包装材及び表示ラベルに貼付したため、従来の表示ラベルを従来通り使用することができる。故に、比較的安価な保護シートにより、かつその保護シートを貼付するという比較的容易な作業により不正対策を実現することができる。
【0033】
以上の結果、正規のラベルからそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を安価な対策によって抑制できる。
【0034】
手段11.前記切り込みが前記包装材と前記表示ラベルとの境界に沿って延びるような状態となるように前記保護シートを貼付したことを特徴とする手段10に記載の商品包装体のラベル貼付方法。
【0035】
手段11によれば、切り込みが包装材と表示ラベルとの境界に沿って延びるような状態となるように保護シートを貼付した。このため、保護シートを、包装材に貼付された側と表示ラベルに貼付された側とに破断させ易くすることができる。これにより、表示ラベルが包装材から剥がし取られた場合でも、その痕跡として保護シートの少なくとも一部をより確実に包装材に残すことができる。
【0036】
手段12.前記包装材と前記表示ラベルとのそれぞれの一部に跨るようにして前記保護シートを貼付したことを特徴とする手段10又は11に記載の商品包装体のラベル貼付方法。
【0037】
手段12によれば、包装材と表示ラベルとのそれぞれの一部に跨るようにして保護シートを貼付した。表示ラベルの一部にでも包装材と跨るように保護シートが貼付されていれば、表示ラベルからそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為に対して抑止力が発揮される。この場合、例えば表示ラベルの全体を覆うように保護シートを貼付する場合と比べて、保護シートの貼付作業に対する自由度を高めることができる。故に、保護シートの貼付作業を容易なものとすることができる。
【0038】
手段13.前記商品の中央寄りに前記保護シートを貼付したことを特徴とする手段12に記載の商品包装体のラベル貼付方法。
【0039】
手段13によれば、商品の中央寄りに保護シートを貼付した。このため、保護シートを包装材と表示ラベルとのそれぞれの一部に跨るように貼付した場合でも、保護シートの目視確認を容易なものとすることができる。したがって、保護シートの貼付作業を容易なものとしつつ、不正行為のより確実な発見を可能なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、商品の販売に際して包装材により商品を包装しその包装材にラベルを貼付したラベル付き商品包装体について具体化している。図1は、本実施の形態におけるラベル付き商品包装体10を示す平面図であり、図2は、ラベル付き商品包装体10の表示ラベル21及び保護シート31周辺の構成を示す断面図である。但し、図2では説明の便宜上、表示ラベル21及び保護シート31等の厚み寸法を実際の厚み寸法よりも大きく示している。
【0041】
図1に示すように、ラベル付き商品包装体10は、商品11が包装材としてのトレー12及びラップ13により包装されており、ラップ13に表示ラベル21及び保護シート31が貼付されている。
【0042】
トレー12は合成樹脂により皿状に形成されており、そのトレー12には鮮魚などの食料品が商品11として載せられている。トレー12は、その開放部がラップ13により覆われており、商品11が露出しないようになっている。ラップ13は、例えばポリ塩化ビニルなどの合成樹脂によりフィルム状に形成されている。また、ラップ13は無色透明となっており、商品11がトレー12及びラップ13により包装された状態でも、ラップ13を介して商品11の目視確認が可能となっている。
【0043】
ラップ13には、表示ラベル21が貼付されている。表示ラベル21は、略矩形状に形成されたラベル材22によりなっており、ラベル材22は紙により形成されている。表示ラベル21の表面には文字等の印刷が可能なサーマル層23が形成されている。サーマル層23には、売値,商品名,産地,販売店名などの商品情報が印刷されており、商品情報を目視確認できるようになっている。さらに、サーマル層23には、識別コードとしてのバーコードが印刷されており、読取装置などによりバーコードから商品情報を読み取ることができるようになっている。
【0044】
一般的に、販売店名などのベース印刷は、表示ラベル21を製造する製造メーカなどで行われ、売値,商品名などの内容物に関する印刷は、商品11を販売する店舗で行われる。なお、売値がグラム単位の単価に商品11の重量を乗算して決定される場合、表示ラベル21を計量ラベルとも言い、特に、印刷可能な計量ラベルを計量プリンタラベルとも言う。
【0045】
表示ラベル21の裏面にはラベル粘着層24が形成されている。ラベル粘着層24は、アクリル水溶性接着剤,溶剤系接着剤,ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布されることで形成されており、ラベル粘着層24により表示ラベル21がラップ13に貼付されている。
【0046】
表示ラベル21には、ラップ13に掛かるようにして保護シート31が貼付されている。保護シート31は、表示ラベル21に印刷されている商品情報などに重ならないようにして、ラベル付き商品包装体10の上下方向における中央寄りに貼付されている。この場合、保護シート31は、図2に示すように、ラップ13と表示ラベル21とに跨るようにして貼付されている。保護シート31は、矩形状に形成されたシート材32によりなっており、シート材32は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP),ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂により形成されている。シート材32は、表示ラベル21よりも強度の高い材料により形成されており、意図しない破断などが発生しにくくなっている。
【0047】
保護シート31は無色透明となっており、保護シート31がラップ13及び表示ラベル21に貼付された状態でも、保護シート31を介して商品11や表示ラベル21の目視確認が可能となっている。また、保護シート31は可撓性を有しており、保護シート31がラップ13及び表示ラベル21に密着し易いようになっている。したがって、保護シート31がラップ13及び表示ラベル21から剥がれにくくなっている。
【0048】
保護シート31の裏面にはシート粘着層33が形成されており、シート粘着層33は、アクリル水溶性接着剤,溶剤系接着剤などの接着剤が塗布されることで形成されている。なお、ホットメルト接着剤が塗布されることでシート粘着層33が形成されていてもよいが、この場合はシート粘着層33が白くなるため、無色透明の保護シート31に形成するには好ましくない。シート粘着層33の粘着力はラベル粘着層24の粘着力と同等かそれより高くなっている。その高い粘着力は、ラベル粘着層24よりも多量の接着剤をシート粘着層33に塗布したり、ラベル粘着層24を形成する接着剤よりも粘着特性の高い接着剤をシート粘着層33に塗布したりすることで実現されている。そして、シート粘着層33により保護シート31がラップ13及び表示ラベル21に貼付されている。
【0049】
保護シート31には、切り込み34a,34bが複数設けられている。切り込み34aは図1における左右方向の端部から中央に向かって延びるようにしてそれぞれ設けられており、切り込み34bは上方の端部から中央に向かって延びるようにして設けられている。保護シート31は、特に、切り込み34aが表示ラベル21の領域外において表示ラベル21の端部に沿って延びるような状態となるようにして、ラップ13及び表示ラベル21に貼付されている。
【0050】
ここで、かかる構成としたラベル付き商品包装体10において、表示ラベル21をラップ13から剥がし取るには、表示ラベル21と共に保護シート31をラップ13から剥がし取ったり、保護シート31を表示ラベル21から剥がしたりする必要が生じる。したがって、表示ラベル21をラップ13から剥がし取る際には、保護シート31をラップ13又は表示ラベル21から剥がす手間が余計にかかることとなる。
【0051】
また、例えば、表示ラベル21に対するシート粘着層33の粘着力を利用して、表示ラベル21を剥がすことで保護シート31を剥がし取ろうとした場合、図3に示すように、切り込み34aの両側における保護シート31は、表示ラベル21と共にラップ13から剥離される側とラップ13への貼付状態が保持される側とに分離される。この場合、保護シート31の剥離される側の剥離に伴う応力が切り込み34aの中央側端部に集中する。そして、その応力によって、切り込み34aから中央側への保護シート31の破断が促進される。したがって、表示ラベル21がラップ13から剥がし取られても、保護シート31が破断され、保護シート31の一部がラップ13に貼付されたまま残ることとなる。この場合、ラップ13に残った保護シート31の一部が、表示ラベル21がラップ13から剥離されたことの痕跡となる。ラップ13に残った保護シート31の一部を剥がし取るには、また余計に手間がかかることとなる。
【0052】
さらに、保護シート31をラップ13及び表示ラベル21から剥がし取ろうとした場合、保護シート31をその右部から剥がしていっても、剥離部分が例えば切り込み34bに達することで保護シート31の中央側への破断が促進され、保護シート31の左部がラップ13に残ることとなる。ここで、保護シート31をその左部からも剥がしていくことで、保護シート31の左右両部をラップ13から剥がし取ることが可能となるが、その分保護シート31の全体を剥がし取るための手間が余計にかかる。
【0053】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0054】
保護シート31を、ラップ13と表示ラベル21とに跨るようにして貼付したため、表示ラベル21のみをラップ13に貼付した場合と比べて、表示ラベル21をラップ13から剥がし取るのに余計な手間(保護シート31をラップ13又は表示ラベル21から剥がす手間)がかかるようになっている。このため、店舗の店員などに発見されないように表示ラベル21をそれ以外のラベルに不正に貼り替えようとしても、それが困難なものとなっている。
【0055】
保護シート31のシート粘着層33の粘着力を表示ラベル21のラベル粘着層24の粘着力と同等かそれより高くしたため、保護シート31をラップ13又は表示ラベル21から剥がすには、表示ラベル21をラップ13から剥がす際の手間と同等又はそれより余計に手間がかかることとなる。したがって、店員などに発見されないように表示ラベル21をそれ以外のラベルに不正に貼り替えることがより困難なものとなっている。
【0056】
また、ラップ13及び表示ラベル21に保護シート31を貼付することで表示ラベル21の不正な貼り替えに対する抑止力を発揮する構成としたため、表示ラベル21として従来のラベルを従来通り使用することができる。したがって、比較的安価な保護シート31により、かつその保護シート31を貼付するという比較的容易な作業により不正対策を実現することができる。
【0057】
以上の結果、正規の表示ラベル21からそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を安価な対策によって抑制できる。
【0058】
保護シート31に切り込み34a,34bを設けたため、ラップ13からの表示ラベル21の剥離や、ラップ13及び表示ラベル21からの保護シート31の剥離に伴って、保護シート31が破断し易くなっている。したがって、破断した保護シート31の一部がラップ13に残ることなく表示ラベル21をラップ13から剥がし取ることが困難なものとなっている。このため、表示ラベル21がそれ以外のラベルに不正に貼り替えられたとしても、その痕跡を残すことができる。これにより、かかる不正行為を容易に発見することができる。また、切り込み34a,34bが保護シート31の端部に達しているため、痕跡を残さないように、保護シート31におけるラップ13に残った部分を剥がし取ろうとしても、その手間が余計にかかることとなる。故に、不正行為に対する抑止力をより好適に発揮することができる。
【0059】
保護シート31を無色透明としたため、保護シート31を介して表示ラベル21を視認確認することができる。したがって、例えば、保護シート31が、表示ラベル21に印刷されている商品情報などに重なるようにして貼付された場合でも、保護シート31を介して商品情報を視認確認することができる。このため、保護シート31をラップ13及び表示ラベル21に貼付する際の自由度を高めることができる。故に、保護シート31の貼付作業を容易なものとすることができる。
【0060】
ラップ13を無色透明としたため、ラップ13を介して商品11を目視確認することができる。さらに、保護シート31が無色透明であるため、ラップ13及び保護シート31を介して商品11を目視確認することができる。したがって、保護シート31を貼付する際の自由度を商品11に対しても高めることができる。
【0061】
保護シート31に可撓性を持たせたため、ラップ13及び表示ラベル21に対する保護シート31の密着性を高めることができる。例えば、商品11の形状などに起因して保護シート31の貼付面が凹凸状となっていても、ラップ13及び表示ラベル21に対する保護シート31の密着性の低下を抑制することができる。故に、保護シート31の不要な剥離を抑制することができ、不正行為の痕跡をより確実に残すことができる。
【0062】
保護シート31を、表示ラベル21の上部とラップ13に跨るようにして貼付される程度の大きさとしたため、保護シート31をより安価なものとすることが可能となる。また、保護シート31を極力小さくすることにより保護シート31の貼付作業を容易なものとすることができる。したがって、保護シート31の貼付作業の効率を高めることができる。さらに、保護シート31を、ラベル付き商品包装体10における表示ラベル21の中央寄りに貼付したため、保護シート31の視認確認を容易なものとすることができる。これにより、不正行為の痕跡をより確実に発見することができる。
【0063】
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0064】
(a)本実施の形態では、ラベル付き商品包装体10を、保護シート31がラップ13に掛かるようにして表示ラベル21の上部に貼付されている構成としたが、保護シート31がラップ13と表示ラベル21とに跨るようにして貼付されていればよい。例えば、ラベル付き商品包装体10を、保護シート41が表示ラベル21の全体を覆うようにしてラップ13に貼付されている構成とする。ここで、保護シート41は、表示ラベル21の全体を覆うのに十分な大きさとなっている。この場合、表示ラベル21をラップ13から剥がし取るには、まず表示ラベル21が露出するまで保護シート31を剥がす必要が生じる。したがって、表示ラベル21をラップ13から剥がし取るには、より余計な手間がかかるようになっている。このため、店舗の店員などに発見されないように、表示ラベル21をそれ以外のラベルに不正に貼り替えようとしても、それがより困難なものとなっている。故に、正規の表示ラベル21からそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為を抑制できる。
【0065】
かかる構成とした場合でも、保護シート31を無色透明とすることにより、表示ラベル21に印刷されている商品情報を保護シート31を介して目視確認することができる。また、保護シート31を合成樹脂により形成することにより、表示ラベル21に印刷されているバーコードの位置を視認確認しつつ、そのバーコードから読取装置などにより商品情報を読み取ることができるようになっている。
【0066】
(b)本実施の形態では、保護シート31を矩形状に形成したが、保護シート31の形状を変更してもよい。例えば、図4に示すように、保護シート41を、その周辺がギザギザ状(階段状)に形成された形状とする。保護シート41は、上記実施の形態と同様に、ラップ13と表示ラベル21とに跨るようにして貼付されている。かかる構成において、保護シート31をラップ13から剥がし取ろうとした場合、保護シート41の剥離に伴う応力がギザギザ状の周辺のうち凹部の隅角に集中することとなり、それに起因して保護シート41の破断が促進される。したがって、表示ラベル21からそれ以外のラベルへの貼り替えという不正行為が行われても、その痕跡をより確実に残すことができる。故に、かかる不正行為をより好適に抑制することができる。
【0067】
(c)本実施の形態では、保護シート31のシート材32を比較的強度の高い材料により形成したが、脆性の高い材料により形成してもよい。例えば、シート材32を、ラップ13からの表示ラベル21の剥離に伴いその応力によって破れる程度の脆性を有する材料により形成する。これにより、表示ラベル21の破断に伴い保護シート31が破断し易くなり、表示ラベル21からそれ以外のラベルに貼り替えられる際に、その痕跡をより確実に残すことができる。
【0068】
(d)本実施の形態では、切り込み34a,34bを、保護シート31の端部から中央に向かって延びるようにして設けたが、保護シート31の端部に達していない切り込み34a,34bを設けてもよく、破線状となるように設けてもよい。この場合でも、ラップ13からの表示ラベル21の剥離に伴い保護シート31の破断を促進させることが可能となる。また、保護シート31に切り込み34a,34bを設けなくてもよい。この場合、ラップ13から表示ラベル21が剥がし取られた場合にその痕跡が残りにくくなるおそれがあるが、(b)の構成を適用することで表示ラベル21の貼り替えに対する抑止力の低下を抑制することができる。
【0069】
(e)本実施の形態では、保護シート31を無色透明としたが、有色透明としてもよく、不透明としてもよい。但し、保護シート31を不透明とした場合、保護シート31の貼付状態によっては商品11や表示ラベル21に対する視認性が低下するおそれがある。この場合、商品11や表示ラベル21の視認性を確保するためには保護シート31の貼付箇所が制限されることとなり、保護シート31の貼付作業の容易性が低下する。したがって、保護シート31は透明性を有するものであることが望ましい。
【0070】
(f)本実施の形態では、保護シート31を、可撓性を有する構成としたが、可撓性を有していない構成としてもよい。但し、例えば、商品11の形状に起因してラップ13及び表示ラベル21における保護シート31の貼付面が平坦となっていない場合、ラップ13及び表示ラベル21に対する保護シート31の密着性が低下するため、保護シート31が剥がれ易くなるおそれがある。したがって、保護シート31を、可撓性を有する構成とすることが望ましい。
【0071】
(g)本実施の形態では、表示ラベル21のラベル材22を紙により形成したが、ラベル材22を形成する材料を変更してもよい。例えば、ラベル材22を合成樹脂により形成してもよい。要は、粘着性を有する表示ラベル21が包装材としてのラップ13に貼付されている構成であれば、本発明を好適に適用することができる。
【0072】
(h)本実施の形態では、ラベル付き商品包装体10を、商品11がトレー12及びラップ13により包装されている構成としたが、商品11がラップ13のみにより包装されている構成としてもよい。また、ラップ13を無色透明としたが、有色透明としてもよく、不透明としてもよい。要は、商品11が包装材により包装されている構成であれば、本発明を好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】一実施の形態のラベル付き商品包装体を示す平面図。
【図2】ラベル付き商品包装体の表示ラベル及び保護シート周辺の構成を示す断面図。
【図3】ラップからの表示ラベル及び保護シートの剥離の様子を示す平面図。
【図4】別のラベル付き商品包装体を示す平面図。
【符号の説明】
【0074】
10…ラベル付き商品包装体、11…商品、12…包装材を構成するトレー、13…包装材を構成するラップ、21…表示ラベル、23…印刷面としてのサーマル層、24…ラベル粘着層、31…保護シート、32…シート材、33…シート粘着層、34a,34b…切り込み、41…保護シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装する包装材と、
表面に商品名称、値段等の商品情報が印刷された印刷面が形成され、裏面にラベル粘着層が形成された表示ラベルと、
透明性を有するシート材により形成され、裏面に前記ラベル粘着層と同等又はそれよりも高い粘着性を有するシート粘着層が形成された保護シートと
を備え、
前記包装材の表面に前記表示ラベルが前記ラベル粘着層により貼付されているとともに、前記包装材と前記表示ラベルとに跨るようにして前記保護シートが前記シート粘着層により貼付されていることを特徴とするラベル付き商品包装体。
【請求項2】
前記保護シートに、切り込みを設けたことを特徴とする請求項1に記載のラベル付き商品包装体。
【請求項3】
前記切り込みを、前記保護シートにおける前記包装材に貼付された部分に設けたことを特徴とする請求項2に記載のラベル付き商品包装体。
【請求項4】
前記切り込みを、前記包装材と前記表示ラベルとの境界に沿って延びるように前記保護シートに設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のラベル付き商品包装体。
【請求項5】
前記切り込みを、前記保護シートの端部に達するように設けたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【請求項6】
前記保護シートを、可撓性を有する合成樹脂により形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【請求項7】
前記保護シートを、透明性を有する合成樹脂により形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のラベル付き商品包装体。
【請求項8】
前記包装材を、透明性を有する材料により形成したことを特徴とする請求項7に記載のラベル付き商品包装体。
【請求項9】
商品を包装する包装材の表面に、商品の名称や値段等の商品情報が印刷された印刷面を表面に有する表示ラベルを貼付し、
前記包装材と前記表示ラベルとに跨るようにして、透明性を有しかつ前記表示ラベルと同等又はそれよりも高い粘着性を有する保護シートを貼付したことを特徴とする商品包装体のラベル貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−94404(P2008−94404A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275326(P2006−275326)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】