説明

ラベル移送装置及びラベル貼付装置

【課題】 ラベル発行部におけるラベルの発行速度(印字速度)よりもラベル移送装置のベルトの移送速度の方が速い場合であっても、ラベルを安定してラベル移送装置のベルトへ受け渡せることが可能なラベル移送装置を提供する。
【解決手段】 ラベル発行部Bより発行されたラベルLを無端回動する回転帯3に付着して所定位置まで移送するラベル移送装置Aにおいて、前記回転帯3は、ラベル発行部B近傍位置と、該位置よりラベル移送方向下流側で前記所定位置近傍位置と、に設けられた軸に亘って架設され、前記ラベル発行部近傍位置に配置した軸2と同軸に、前記回転帯3の表面より外側に突出する外径を有した回転輪8を遊転自在に嵌着すると共に、該回転輪8は回転帯3に付着されるラベルLの幅内に位置させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル移送装置及びラベル貼付装置に関し、詳しくはラベル発行部から発行されたラベルを、移動する被貼付物(物品)まで移送して貼付するラベル移送装置及びそのラベル移送装置を備えたラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル発行部にて発行されたラベルを無端回動するベルトに付着(吸着)させて、被貼付物(物品)を搬送するコンベアの開口部まで移送し、コンベアの駆動で移動する被貼付物の底面にラベルを貼付するラベル貼付の技術(下貼り)が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、ラベル発行部でラベルを発行する駆動と、発行されたラベルをコンベアの開口部まで移送するベルト(移送手段)の駆動とは別駆動になっているので、ラベル発行の速度とラベルを移送するベルトの速度を同じ速度に近づけたとしても僅かな速度差が生じる場合があり、ラベルを移送するベルトの速度の方が速い場合で、ラベルがラベル発行部とベルトに跨った場合、例えば印字するラベルであればラベルは引っ張られるようになるのでラベル上で印字の伸びが生じる、或いはラベルに塗布されている糊も必ずしもラベル面に均一に塗布されているとは限らないので、ラベルが引っ張られた後、ラベルを移送するベルト上でラベルの向きが傾き、ラベルを安定して移送できないという問題が生じる。
【0003】
また、前記のように駆動が別で、前記のようにコンベアによって連続的に搬送される多くの物品に対して順次ラベルを貼付するため、ラベル発行部から発行されたラベルをより早く所定位置(貼付位置)まで移送する必要があり、その為にラベル発行部におけるラベルの発行速度より、ラベル移送装置のベルトの移送速度の方が速くなっている場合がある。
【0004】
このような場合、ラベル移送装置のベルトの回転速度が、ラベル発行部におけるラベルの発行速度よりも速いと、発行されたラベルを、ラベル発行速度より速い速度で常時回転しているラベル移送装置のベルトに前記のように安定して受け渡すことができないという問題が生じる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−122234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ラベル発行部の駆動と、ラベル移送装置の駆動が別であってもラベルの印字の伸び等がなく、安定してラベルを発行することが可能なラベル移送装置及びラベル貼付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に本発明のラベル移送装置は、ラベル発行部より発行されたラベルを無端回動する回転帯に付着して所定位置まで移送するラベル移送装置において、前記回転帯は、ラベル発行部近傍位置と、該位置よりラベル移送方向下流側で前記所定位置近傍位置と、に設けられた軸に亘って架設され、前記ラベル発行部近傍位置に配置した軸と同軸に、前記回転帯の表面より外側に突出する外径を有した回転輪を遊転自在に装着すると共に、該回転輪は回転帯に付着されるラベルの幅内に位置させた構成を特徴とする(請求項1)。
前記回転帯は、ゴム製、樹脂製等のベルトに限らず、金属製のチェーン等でもよい。又、前記回転帯の帯幅(ベルト幅)は広狭何れでもよいが、ラベルの付着移送と剥離性を考慮した場合は、幅狭い回転帯を幅方向に所定間隔をおいて複数本を配置するのが好適である。
【0008】
前記回転輪は、前記回転帯の上流側(始端側)が巻回される軸に対して遊転可能に嵌合され、且つその回転輪の外径は前記軸に巻回される回転帯の外表面より外側に突出している。回転帯の外表面より外側に突出する量(高さ)は、例えば0.1〜0.5mm位とする。
又、前記回転輪の外周面は易剥離処理(例えば、フッ素樹脂加工処理等)を施して、ラベルの糊が付着しづらくすると更に好適である。
【0009】
上記手段によれば、ラベル発行部から発行されるラベルの先端側は、ラベル移送装置における回転帯の始端側に乗り移るように送り出されるが、その回転帯の始端側が巻回支持される軸に、回転帯の外表面より外側に突出する外径の回転輪が遊転可能に取り付けられているため、前記ラベルのラベル移送装置への乗り移り開始時は駆動回転する回転帯に乗り移らず、先ず軸に対して遊転する回転輪に乗り移る。従って、例えラベル発行部の発行速度とラベル移送装置の回転帯の移送速度に速度差が生じたとしても、ラベルが引っ張られることがなく、ラベルの乗り移りは安定して行われる。
【0010】
前記回転輪が装着された軸のラベル移送方向への回転に対して、回転帯にラベルが乗り移ることで負荷が作用した時、該軸の回転速度を制御する回転速度制御手段を設けてもよい(請求項2)。その回転速度制御手段は、ラベル発行部から発行されたラベルが、該ラベル発行部近傍に位置する軸に巻回された回転帯の始端側に乗り移った時、前記回転帯の回転速度を減速制御するものである。
回転帯の回転速度を制御する方法としては、軸を駆動するモータに低トルクモータを用いて行う方法、或いは機械的、例えば軸に滑りクラッチ内蔵する方法等、何れの方法でもよい。
【0011】
上記手段によれば、発行されたラベルが繰り出されるにつれてラベル発行部から発行されたラベルの始端側が回転帯に乗り移った時点でラベルの後端部はラベル発行部で押さえられているので回転帯に負荷がかかり、回転帯の回転速度が減速制御されるので、ラベル発行部の発行速度よりもラベル移送装置の回転帯の移送速度が速い場合であっても、回転帯の始端側にラベルの先端側が乗り移った時(ラベルの後端側は発行部で押さえられている)、ラベルを引っ張ることがない。従って、ラベル発行部が印字機能を備えたラベルプリンタであっても、ラベルに施される印字の伸びを防ぐことができる。尚、ラベル発行部から発行されるラベルの後端側が該発行部の押さえから切り離された時、ラベル移送装置の回転帯の回転速度は元の速度に復帰される。
【0012】
更に、前記回転輪が装着された軸の近傍には、前記ラベル発行部から発行されたラベルが回転輪に乗り移るのを補助するエアー吹出し部を配置してもよい(請求項3)。そのエアー吹出し部の数は特に限定されず、要はラベル発行部から発行されるラベルの送り出し方向を、ラベル移送装置の回転輪に乗り移る方向に方向付けできればよい。
【0013】
上記手段によれば、ラベル発行部から発行されたラベルはエアー吹出し部からのエアーによってラベル移送装置の回転輪(回転帯の始端側)に乗り移る方向に方向付けられる為、ラベルは確実に回転輪に乗り移り、回転帯の回動で確実に移送されて被貼付物(物品)に貼付される。
【0014】
そして、上記ラベル移送装置は、例えば、回転帯の始端側(上流側)をラベル発行部の発行口近傍に配置し、前記回転帯の終端側(下流側)を、被貼付物を搬送する搬送手段の開口部に配置し、搬送手段により移動する被貼付物の底面にラベルを貼付するラベル貼付装置とすることができる(請求項4)。
【0015】
上記手段によれば、搬送手段の駆動によって多数の被貼付物(物品)が連続的に搬送され、その被貼付物(物品)の底面にラベルを貼付するラベル貼付装置であっても、特に移送方向に沿ったラベル長が長いラベルの時、ラベル発行部から発行されるラベルの先端側は最初に駆動の掛かっていない回転輪に乗り移るので、発行されるラベルには引張り力が作用せず、ラベルは安定した乗り移りが行われるのでラベルが搬送手段上で曲がることがなく、姿勢の整った状態でラベルが搬送される。それにより、被貼付物(物品)の底面の一定位置にラベルを安定して貼付することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラベル移送装置は請求項1記載の構成により、ラベル発行部から発行されるラベルは最初、駆動の掛かっていない回転輪に乗り移り、発行されたラベルが繰り出されるにつれてその後に回転帯に乗り移り付着するので、ラベル発行部から回転帯への乗り移りを安定して行うことができる。
又、請求項2記載の構成により、ラベル発行部から発行されたラベルが回転帯に乗り移った時点で、回転帯の回転速度が減速制御されるので、ラベル発行部の発行速度よりもラベル移送装置の回転帯の移送速度が速い場合であっても、回転帯の始端側にラベルの先端側が乗り移った時(ラベルの後端側は発行部で押さえられている)、ラベルを引っ張ることがない。従って、ラベル発行部が印字機能を備えたラベルプリンタであっても、ラベルに施される印字の伸びを防ぐことができる。
【0017】
更に、請求項3記載の構成により、ラベル発行部から発行されたラベルを回転輪上に確実に乗り移らせることができ、それによってラベルを確実に移送して被貼付物に貼付することができる。
又、請求項4記載の構成により、ラベル発行部から発行されるラベルの先端側は最初に駆動の掛かっていない回転輪に乗り移るので、発行されるラベルには引張り力が作用せず、ラベルは安定した乗り移りが行われる。それにより、ラベルは曲がることなく整った姿勢で供給されるので被貼付物(物品)の底面の一定位置にラベルを安定して貼付することができるラベル貼付装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るラベル移送装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るラベル移送装置をラベル下貼り装置に組み込み配置した外観図で、図中、Aはラベル移送装置で、ラベル発行部Bと被貼付物Wを搬送する搬送手段Cとの間に配置され、ラベル発行部Bから発行されたラベルLを、搬送手段Cで移動される被貼付物Wまで移送し、該被貼付物Wの底面に貼付し得るように構成されている。
尚、ラベル発行部Bは今日周知の構造である為詳細な説明は省略し、図面では台紙11に仮着されたラベルLに印字部(印字ヘッドとプラテンローラ)12で印字し、印字部より下流側のディスペンサ13で前記台紙11が屈曲されて、ラベルLが台紙11から剥離される部分のみを示す。また、印字部のプラテンローラを駆動させるモータ(図示省略)を駆動させることで、ラベルLが一定速度で発行される。
又、ラベル発行部Bは印字機能を備えたラベルプリンタに限らず、予め所定事項を印字したラベルが台紙に仮着され、その印字済みのラベルを台紙から剥離して発行するものでもよい。
また、ラベルLは必ずしも台紙に仮着されているタイプに限らず、台紙が無い所謂台紙レスラベルがラベル発行部から発行されるタイプであってもよい。
【0019】
ラベル移送装置Aは、所定間隔をおいて対向する側板1,1’間に、ラベルLを付着して移送する回転帯3を巻回保持する一対の回転軸2,2’が所定間隔をおいて架設支持され、前記ラベル発行部B近傍に配置される回転軸2はモータ4(前記プラテンローラを駆動する為のモータとは別のモータ)及び動力伝達手段5によって駆動回転するように構成されている。
【0020】
前記回転軸2,2’は、前記ラベル発行部Bから発行されたラベルLを受け取り、その受け取ったラベルLを回転帯3表面に付着して、搬送手段Cで移動される被貼付物Wまで移送し得る間隔を設けて配置されている。
そして、モータ4及び動力伝達手段5によって駆動回転する回転軸2は巻回される回転帯3との間でスリップ等を生じないように外周面に凹凸(セレーション)6が形成され、回転帯3を確実に駆動し得るように構成されている。尚、搬送手段C近傍に配置される回転軸2’は、前記回転軸2と同様、外周面に凹凸(セレーション)を形成してもよいし、凹凸を形成せず平滑面としてもよい。
【0021】
又、前記回転軸2には回転帯3の回転速度を制御する滑りクラッチ(回転速度制御手段)7が装備されている。
前記滑りクラッチ7は、ラベル発行部Bから発行されたラベルLを付着して移送する回転帯3に負荷が作用した時、該回転帯を駆動する回転軸2への動力伝達を遮断し、前記負荷が解除された時は元の動力伝達し得る状態に戻す作用を行う。その滑りクラッチの具体例としては、例えば、回転軸2を内外二重構造とし、内側の軸と外側の軸との間に滑りクラッチを介在し、両者間で動力の伝達が断続されるようになっている。
【0022】
前記回転軸2,2’に亘って巻回する回転帯3は、ゴム又は樹脂等で形成された細幅の歯付ベルトで形成され、その歯付ベルトが多数本、回転軸2,2’の軸方向に沿い一定間隔をおいて並設配置され、ベルトの内側に形成された歯部3aが前記回転軸2の凹凸(セレーション)6に係合して確実に回動されるようになっている。
そして、前記回転帯3の歯付ベルトは、ベルトの外側にも歯部3a’が形成された両面歯付ベルトとしてもよく、その場合は回転帯3の表面に付着されるラベルLとの接触面積が少なくなることで、回転帯3からラベルを剥離する動作を円滑に行うことができる。
【0023】
又、前記回転軸2には並設した回転帯3に付着されるラベルLの幅内に位置させて、前記回転軸2周りに巻回される回転帯3の外表面より外方に突出する回転輪8が遊転可能に装着されている。
この回転輪8は、前記回転軸2に対して遊転し得る内径を有し、外径は回転軸2周りに巻回される回転帯3の外表面より所定量(例えば、0.1mm〜0.5mm)突出する外径を有したリング(短筒)形状をなし、且つ、回転輪8の外表面はラベルLの糊が付着しにくいようにフッ素樹脂加工が施されている。そして、ラベル発行部Bから発行されるラベルLの先端が最初に該回転輪8に乗り移り、ラベルLの発行(送り出し)に伴い該ラベルLの先端側が回転輪8から回転帯に乗り移るようになる。ラベルが回転輪8から回転帯3に乗り移ると、前記滑りクラッチが働き、ラベル発行部Bから発行されるラベルLの速度に対し、ラベルLを付着移送する回転帯3の移送速度が速いことで生じるラベルLの引っ張りが解消され、ラベル発行部Bにおける印字の伸び等を防止することができる。
【0024】
他方、前記回転軸2’の同軸上には前記回転帯3の表面より外側に突出するラベル剥離部9が一体に形成されている。
このラベル剥離部9は、薄い円板9aに形成され、その外周面には周方向に沿い凹凸9bが歯車形状のように形成されている。このラベル剥離部9の外表面と回転帯3の外表面との差は、回転帯3の表面に付着されたラベルLを、移送の終端となる回転軸2’部分で回転帯3表面より外側に突出するラベル剥離部9に乗り上げることで、該ラベルLを回転帯3の表面から強制的に剥離できる段差があればよい。前記差は、例えばラベル剥離部9の外表面を回転帯3の表面より約0.6mm高く設定する。
又、前記ラベル剥離部9は外周面を凹凸面とすることなく平滑面のままでもよいが、図示するように凹凸面とすることでラベルLとの接触面積を少なくできるので、ラベル剥離部9に糊が付く面積が少なくなるので、ラベル剥離部9がラベル移送での障害となることもなく、剥離したラベルLを被貼付物Wへ貼付する貼付動作を円滑に行うことができる。
【0025】
更に、前記ラベル剥離部9は、図3に示すように、回転軸2’に巻回される各回転帯(歯付ベルト)3を挟むように配置形成されている。これにより、ラベル剥離部9は回転軸2,2’に亘って並設した多数本の回転帯3が軸方向に移動(蛇行)するのを防止するガイド部を兼ねることができる。
【0026】
図4は回転軸2,2’に亘って巻回する回転帯3の他の取り付け例を示し、図4(a)はラベルLの幅方向両側部を付着し得るように回転帯3’が間隔を置いて2本取り付けられ、更に回転軸2には回転帯3’間に位置させて幅広い回転輪8’が遊転可能に装着され、回転軸2’には2本の回転帯3’の間にラベル剥離部9が複数並設配置されている。
又、図4(b)はラベルLの幅方向両側を除く中央部分を付着し得るように幅広の回転帯3”が1本取り付けられ、更に回転軸2には前記回転帯3”の両側を挟む位置(ラベルの両側と対応する位置)に短筒状の回転輪8”が遊転可能に装着され、回転軸2’には前記回転帯3”の両側を挟む位置(ラベルの両側と対応する位置)にラベル剥離部9が複数並設配置されている。尚、前示実施の形態で示した部材と同じ部材は同一の符号を付し、説明を省略する。
図4(a)、(b)何れの場合でも、回転軸2’に配置されているラベル剥離部9が、移送されるラベル幅内に位置しているので、回転帯3’や回転帯3”に貼付されて移送されるラベルLが回転軸2’に位置するとラベル剥離部9にて剥離されるようになる。
【0027】
又、ラベル発行部Bのラベル発行側とラベル移送装置Aの無端回動する回転帯3の始端側を支持する回転軸2との間には、前記ラベル発行部Bから発行されるラベルをラベル移送装置Aの回転帯3の始端側に向かうように方向付けするエアー吹付け部10が配置されている。
前記エアー吹付け部10は、ラベル発行部Bから発行されるラベルLの表面(印字面)と裏面(糊面)を挟み、且つラベルの送り出し方向が前記回転帯3の始端側を向くように3個配置されている。尚、エアー吹出し部10の設置箇所は3箇所に限らず、要はラベル発行部Bから発行されるラベルLをラベル移送装置Aに安定して乗り移るように案内方向付けできればよく、その個数及び配置位置は問わない。
【0028】
次に、ラベル発行部Bから発行されるラベルLがラベル移送装置Aに乗り移る動作を図5に基づいて説明する。
ラベル発行部Bで台紙11に仮着されたラベルLに、印字ヘッド12aとプラテンローラ12bとからなる印字部12で所定事項が印字され、ディスペンサ13で前記ラベルLが台紙11から剥離されて送り出され、その送り出されたラベルLは途中エアー吹出し部10から吐出されるエアーの補助もあってラベル移送装置Aに向けて案内される。そして、発行されたラベルLの先端は、図5(a)に示すように、ラベル移送装置Aの回転帯3の始端側を支持する回転軸2に遊転可能に嵌合され、且つ回転帯3の外表面より外方に突出する回転輪8の外周面に乗り移る。
【0029】
ラベル発行部BにおけるラベルLへの印字の進行に伴い、ラベルLの先端側は、図5(b)に示すように、回転輪8と回転帯3の両方に乗り、ラベルLの後端側は印字部12の印字ヘッド12aとプラテンローラ12bで挾着されて押えられている。そして、ラベルLの先端側が回転帯3に乗り粘着面が前記回転帯3に付着し始めると、回転帯3の回転に負荷(印字の圧力>回転帯の移送力)が作用し、該回転帯3は滑りクラッチ7の作用で通常の速度より減速され、みかけ上、ラベル発行部Bにおける印字速度(発行速度)と略同じ速度で回転する。従って、発行されるラベルLには張力が作用せず、印字は安定して行われ、綺麗に印字されたラベルLが発行される。
【0030】
更に、印字部12で印字が進むと、図5(c)に示すように、ラベルLの後端は前記印字部12の印字ヘッド12aとプラテンローラ12bの挾着から解放されて送り出され、ラベルが剥離される。それにより、ラベルLに作用していた負荷(印字の圧力)がなくなることで前記滑りクラッチ7が繋がり、回転帯3は通常の速度で回転し、ラベルLを搬送手段Cの開口部14に向けて移送し、搬送手段Cで移動される被貼付物Wの底面にラベルLを貼付する。尚、図中、15はラベル剥離部9近傍の下流側に位置して側板1,1’間に亘って遊転可能に配置したガイドローラで、ラベル剥離部9で剥離されて送り出されるラベルLの後端側が跳ね返って被貼付物Wに弛んで貼付されるのを防止する働きをする。
【0031】
上記したように、発行されたラベルLの先端側は最初に駆動の掛からない回転輪8の周面に載りあがる為、該ラベルLには移送方向に向けて引っ張る力が殆ど作用せず、しかも、ラベルLが印字部で押えられている間は滑りクラッチ7が働き、みかけ上、回転帯3の回転速度は印字速度(発行速度)と略同じになり、ラベルLへの印字が終了して印字部12から解放されラベルが剥離されると前記滑りクラッチ7が繋がり、回転帯3は通常の回転速度に戻り、付着したラベルLを搬送手段の開口部に向けて移送する。
【0032】
上記構成により、仮にラベル発行部Bにおけるラベルの印字速度(例えば、約12m/分)よりもラベル移送装置Aの回転帯3の回転速度(例えば、約30m/分)の方が速い場合でも、発行されるラベルLの先端側が遊転する回転輪8に乗り移った時、該ラベルLには移送方向に向けて引っ張る力が作用せず、又、印字が進み回転帯3にラベルが付着し始めると、滑りクラッチの作用により移送方向へ引っ張る力が生じない。従って、印字がラベルの移送方向に伸びる印字の伸び(印字不良)等を防止することができる。
【0033】
本発明は図示の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜改良、変更等は可能である。
(1)上記実施の形態は、回転帯を支持する回転軸2の回転速度制御手段として滑りクラッチ7を設けたが、滑りクラッチを設けずに駆動用モータとして低トルクモータを使用してもよい。
(2)ラベル移送装置における回転帯の本数、配置位置、更に回転輪の数、形状、形態及び配置位置は、実施の形態に限らない。例えば、ラベルが付着できる程度に回転輪をラベル剥離部9のように先端を凸状にしても良く、また、回転輪を回転帯の軸に対して多少の偏心する位置になるようにしてもよい。
(3)実施の形態では、被貼付物(商品)の底面にラベルを貼付する下貼りタイプのラベル貼付装置を示したが、本ラベル移送装置は被貼付物の上面や側面にラベルを貼付するラベル貼付装置に組み込み配置することも可能である。
また、回転軸2’の直後に剥離されたラベルを吸着するアプリケータを待機させ、該アプリケータにより吸着されたラベルLを所定箇所に位置する被貼付物(商品)の表面(上面、下面、側面)に貼付させるような機構に本発明のラベル移送装置を利用してもよい。また、ラベルが貼付される被貼付物(商品)は上記実施の形態のように搬送される被貼付物(商品)に対して貼付する他、前記のように所定箇所に作業者によって置かれた被貼付物(商品)にラベルを前記アプリケータにより貼付するようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、ラベルの印字速度が約12m/分、ラベル移送装置の回転速度が約30m/分と、速度差が大きい例で示したが、両速度を可能な限り近づけても駆動源が異なることによる僅かな速度差が生じるような場合であってもよい。
(5)上記実施形態のラベル発行部Bに、これから印字するラベルが台紙に連続して仮着されたラベルロールをラベル発行のために回転させる駆動モータを備える、或いはラベル発行後の台紙を巻き取るための巻取り部を、巻き取りのために回転させる駆動モータを備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るラベル移送装置を、下貼りラベル貼付装置に組み込んだ状態を示す正面図。
【図2】ラベル移送装置の拡大断面図。
【図3】同側面図。
【図4】(a)、(b)は回転帯、及び回転輪の他の取り付け例を示すラベル移送装置の側面図。
【図5】(a)〜(c)はラベル発行部から発行されるラベルがラベル移送装置の回転帯に乗り移る状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0035】
A…ラベル移送装置 B…ラベル発行部
C…搬送手段 L…ラベル
W…被貼付物(商品) 2,2’…回転軸(軸)
3…回転帯 7…滑りクラッチ(回転速度制御手段)
8…回転輪 10…エアー吹出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル発行部より発行されたラベルを無端回動する回転帯に付着して所定位置まで移送するラベル移送装置において、
前記回転帯は、ラベル発行部近傍位置と、該位置よりラベル移送方向下流側で前記所定位置近傍位置と、に設けられた軸に亘って架設され、前記ラベル発行部近傍位置に配置した軸と同軸に、前記回転帯の表面より外側に突出する外径を有した回転輪を遊転自在に装着すると共に、該回転輪は回転帯に付着されるラベルの幅内に位置させたことを特徴とするラベル移送装置。
【請求項2】
前記回転輪が装着された軸のラベル移送方向への回転に対して、回転帯にラベルが乗り移ることで負荷が作用した時、該軸の回転速度を制御する回転速度制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のラベル移送装置。
【請求項3】
前記回転輪が装着された軸の近傍に、前記ラベル発行部から発行されたラベルが回転帯に付着乗り移るのを補助するエアー吹出し部を配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のラベル移送装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れか1項記載のラベル移送装置が、被貼付物を搬送する搬送手段の下方に配置され、搬送手段により移動する被貼付物の底面に前記ラベル移送装置から移送されたラベルを貼付することを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120663(P2010−120663A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294308(P2008−294308)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】