説明

ラメルテオンの調製方法

以下に図示する構造(I)を有したN−[2−(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]プロピオンアミド(ラメルテオン)の工業規模での調製方法を記載する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性のある分子の合成方法の分野について言及するものであり、特には、化合物N−[2−(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル]プロピオンアミドの工業規模での調製方法である;この化合物は、その分野においてラメルテオンという名称で知られており、一般には睡眠障害、具体的には不眠症の治療に使用されている。
【背景技術】
【0002】
ラメルテオンは、以下に図示する構造式(I)
【化1】


を有しており、文献において知られている生成物であり、Takeda Chem.Ind.の特許EP885210B1において、関係のある合成と共に、初めて記載された。
【0003】
ラメルテオンを調製するための出発生成物は、2,3−ジヒドロベンゾフラン又は6−ヒドロキシ−インダノンとすることができる。それ故、3番目の環を形成するための環化は、2つの経路に従うことができる。
【化2】

【0004】
アミン官能基は、タイプ(3)の中間体上でのウィッティヒ反応(Wittig reaction)と、その後の、タイプ(4)の中間体を与えるための基
【化3】


の還元とによって導入される:
【化4】

【0005】
中間体(4)の8位において得られた二重結合の還元は、立体化学がSの最終生成物を与える必要がある。このため、キラル触媒を使用でき、又は、得られた混合物をその後に分離する場合にアキラル触媒を使用できる。
【化5】

【0006】
アミンからアミドへの変換は、有機塩基の存在下における酸塩化物の使用による通常の方法で行われ、以下の反応によって図式化される。
【化6】

【0007】
ラメルテオンのような光学活性な生成物の合成経路についての非常に重要な点の1つは、全原子の空間的配置が正確な所望の生成物を得るために、プロセスの立体化学を制御することである。
【0008】
特許EP885210B1では、実験パートに記載されるように、2つの経路に従って、上記のものが得られている。
【0009】
第一経路によれば、段落[380]の例11において説明されるように、キラルカラムによる分取HPLCによって、ラメルテオンを光学的に分割し、少量の生成物に取り組む。その例は、[α]20、融点及びNMRのデータを与えるものの、最も大きな指標となるデータ、即ち得られた生成物の鏡像異性体過剰率を提供していない。「光学分割」の指標は、数値データがない場合、ラメルテオンがどの程度分割されたのか明確ではなく、それ故、この点における文章は、この経路を通じてラセミ混合物を分割できる可能性に関し、完全な指標を与えるものではない。その上、キラルカラム上での分割のオプションは、明らかに分析的興味のあるもののみであり、工業規模での製造へは適用されていない。
【0010】
EP885210B1に記載の第二の可能性は、参考例20、21及び22において、異なる方法でその問題に取り組み、合成に干渉する。この場合、キラル触媒によって水素化を行い、鏡像異性体過剰率(e.e.)が最大で90%の還元生成物が得られている。段落[302]の参考例20では、100%のe.e.が得られているが、それは、88.8%のe.e.から始めた結晶化を繰り返し行った場合のみである。引用した例の実験手順から、水素化の圧力が50〜100barの間で異なることが観察できる。このような高い圧力値は、実験室レベルで特定の装置を既に必要としており、通常の工場反応装置には容易に適用できない;むしろ、それらは、常に制御される特別な専用反応装置を必要とする。
【0011】
段落[310]及び[311]の参考例29に関して、同様に観察できるが、ここでは、中間体(E)−N−[2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチル]プロピオンアミドを70℃及び圧力90barで水素化する;この例では、クロマトグラフ精製及び結晶化の後にe.e.が99%に達する。立体化学の観点から、その結果は、合成の第一中間体の一つに関して得られるということを除き、非常に満足できるものである。これは、段落[311]に記載のショートカラムクロマトグラフィーがそのようなものであって、実験室レベルのみで通常の装置を用いて行うことができることを意味する;それは、工業的な製造の場合に適用されないことは確かである。
【0012】
論文「“Approach to the stereoselective synthesis of melatonin receptor agonist ramelteon via asymmetric hydrogenation”, Toru Yamano et al., Tetrahedron: Asymmetry, vol. 17 (2006), 184-190」は、特許EP885210B1のおおよそ10年後に発表されたものであるが、それは、幾つかの基質(3、4a及び4bとして示される)の不斉水素化生成物の精製を記載しており、説明された技術が、通常、最終クロマトグラフィー精製をどの程度必要とするのかを示す(特に、数mgで行った基質3、及び基質4aの水素化を参照)。該論文の結論では、得られた結果が、より効率的な方法の開発を促すものとして定められている。
【0013】
最後に、最近の特許出願EP1792899A1には、純度の高い(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの合成が記載されており、それは、工業的に適用でき、高いプロセス収率を特徴とする。この出願は、医薬生成物の合成について非常に重要な別の側面、即ち合成それ自体によって生成される不純物について触れている。前記の(多くの)不純物の記載は詳細にわたり、その構造は省略せずに与えられ、それらのラメルテオン中における最終含量は、それぞれが0.15%未満であって、良好なものであるものの、その結果物を得る方法は、複雑で費用のかかるものであるように思われる。例2に記載されるように、その方法は、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン上での2種類の異なる触媒を用いた二重水素化と、次いで結晶化と、その後、このようにして得られたアミンのプロピオンアミド(即ちラメルテオン)への別個の操作における変換と、更には精製とを含む。
【0014】
従って、既知の方法に代わるもので、工業規模での適用により簡単なラメルテオンの製造方法を開発することが依然として必要であることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP885210B1
【特許文献2】EP1792899A1
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】“Approach to the stereoselective synthesis of melatonin receptor agonist ramelteon via asymmetric hydrogenation”, Toru Yamano et al., Tetrahedron: Asymmetry, vol. 17 (2006), 184-190
【発明の概要】
【0017】
そこで、本発明の1つの目的は、ラメルテオンの合成方法を提供することにあり、それは、特別な工場の必要性もなく工業的に適用でき、加えて、その化合物が再処理及びクロマトグラフィーを制限する単純な方法において医薬品質で且つ高収率で得られることを可能にする。
【0018】
本発明の更なる目的は、これまでに知られている方法と比べて実用的な立体選択的還元を含むラメルテオンの合成方法を提供することにある。
【0019】
それらの及び更なる目的は、本発明に従い、以下に示す反応を含んだ、式(I)
【化7】


のN−[2−(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル]プロピオンアミド(ラメルテオン)の調製方法によって得られる:
【0020】
)6−アリルオキシ−インダン−1−オン(III)を得るための、6−ヒドロキシ−インダノン(II)のヒドロキシルのアルキル化:
【化8】

【0021】
)7−アリル−6−ヒドロキシ−インダン−1−オン(IV)を得るための、(III)上での熱クライゼン(Claisen)転移:
【化9】

【0022】
)式(V)の中間体を得るための、(IV)の遊離ヒドロキシルの保護:
【化10】


ここで、(PG−OH)は、塩基性環境下において安定な保護基によって保護されたヒドロキシル基を示す;
【0023】
)式(VI)の中間体を得るための、式(V)の中間体のシアノメチルホスホン酸ジアルキルとの反応
【化11】

【0024】
タイプ(VI)の中間体を得て、2つの合成経路に続くことができる:反応がエナンチオ選択的である順序(以下、と示す);又は反応がエナンチオ選択的である順序(以下、と示す)である。
【0025】
<順序
)式(VII)の中間体を得るための、式(VI)の中間体上でのエナンチオ選択的還元:
【化12】

【0026】
)式(VIII)の中間体を得るための、式(VII)の中間体の二重結合の酸化的破壊:
【化13】

【0027】
)式(IX)の中間体を得るための、式(VIII)の中間体に存在するカルボニル官能基の還元:
【化14】

【0028】
)一般式(X)[ここで、(LG)は、脱離基を示す]を持つ中間体を得るため、式(IX)の中間体に存在する遊離ヒドロキシル基を良好な脱離基にするための該遊離ヒドロキシル基の変換:
【化15】

【0029】
)(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)アセトニトリル(XI)を得るための、式(X)の中間体の分子内環化:
【化16】

【0030】
<順序
)式(7)の中間体を得るための、式(VI)の中間体上にある末端二重結合の選択的酸化的破壊:
【化17】

【0031】
)式(8)の中間体を得るための、式(7)の中間体に存在するカルボニル官能基の還元:
【化18】

【0032】
)式(9)[ここで、(LG)は、脱離基を示す]の中間体を得るため、式(8)の中間体に存在する遊離ヒドロキシル基を良好な脱離基にするための該遊離ヒドロキシル基の変換:
【化19】

【0033】
)式(10)の(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)アセトニトリルを得るための、式(9)の中間体の分子内環化:
【化20】

【0034】
)式(XI)の(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)アセトニトリルを得るための、式(10)の中間体上でのエナンチオ選択的還元:
【化21】

【0035】
中間体(XI)、2つの合成経路の共通の生成物は、以下に示す2つの経路のうちの1つに従って、ラメルテオンを得るために反応させることができる:
【0036】
α)ラメルテオン(I)を得るための、プロピオン酸無水物の存在下における三重結合
【化22】


の水素化:
【化23】

【0037】
又は
β)中間体(XII)を得るため、基
【化24】


の三重結合を−CHNH基に還元させること;及び
β)ラメルテオン(I)を得るため、中間体(XII)をプロピオン酸無水物又はプロピオニルクロリドと反応させること:
【化25】

【0038】
中間体(XII)は、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸等の有機酸、又は塩酸若しくは臭化水素酸等の無機酸を用いて塩化され、結晶化し、第一の精製を得ることができる。
【0039】
得られたラメルテオンは、酢酸エチル及び酢酸イソプロピル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ヘキサンの異性体混合物、ヘプタンの異性体混合物、トルエン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はエチルエーテル等の通常の有機溶媒を単独で又は混合して用いた結晶化によって確実に精製される。
【0040】
一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(7)、(8)及び(9)を有する中間体は、本発明の更なる目的を構成する。
【0041】
既知の方法に対し、本発明の方法は、例えば結晶化による単純な精製によって、高純度のラメルテオンを提供する利点を提示するものであり、工業的な製造には本質的に利用できないクロマトグラフィー精製に頼る必要もなく、とりわけ、圧力90〜100barでのキラル水素化を排除する。
【0042】
本発明の方法の特徴及び利点を、唯一の図面(図1)を参照しながら、以下の記載において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】記載された方法を用いて得ることのできるラメルテオンのキラルカラムによるHPLC分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
出発生成物、6−ヒドロキシ−インダノンは、容易に利用できる工業用の生成物である。
【0045】
反応(中間体(III)、6−アリルオキシ−インダン−1−オンの調製)は、既知の方法によって容易に行うことができ、例えば、Magn. Reson. Chem., 2000, 38, 970-4に記載されるように、塩基の存在下における6−ヒドロキシ−インダノンの臭化アリルとの反応による。該反応は、還流アセトン中で容易に行うことができ、臭化アリルは化学量論量に対してわずかに過剰である。中間体(III)は、n−ヘプタン若しくはヘプタンの異性体混合物又はシクロヘキサンを用いた結晶化によって精製される。
【0046】
反応(中間体(IV)、7−アリル−6−ヒドロキシ−インダン−1−オンの調製)は、Magn. Reson. Chem., 2000, 38, 970-4に記載されるように、溶媒をなんら追加することのない溶融によって作動させるか又はDowtherm A(Dow Chemical Companyによって生産され、熱伝達に使用される、ジフェニル26.5重量%及び酸化ジフェニル73.5重量%からなる液体混合物)の存在下において作動させることによる、中間体(III)の熱クライゼン転移によって行うことができる。該反応は、45分〜80時間の間、140〜250℃の温度で行うことができる。該反応は、Dowtherm Aの存在下、70時間以下の間、210℃未満の温度で行われるのが好ましい。中間体(IV)は、塩基を用いた処理、水を用いた抽出、その後の酸性化によって、又は、トルエンを用いた結晶化によって、未反応の中間体(III)から容易に精製される。インダンの5位におけるアリル基の転移の副生成物は、4%未満の割合で生成する。
【0047】
反応(一般式(V)の中間体を得るためのフェノール性ヒドロキシルの保護)は、塩基性環境下において安定な保護基によって行うことができる。エーテル、例えば2−メトキシプロペン又はシリルエーテルの形成を生じる保護が、この目的に有用である。好ましくは、ケイ素化合物が、イミダゾール又はジメチルアミノピリジン(DMAP)等の塩基の存在下において使用され、「“Greene's Protective Groups in Organic Synthesis” 4a Ed. Wiley」又は「“Protecting groups”, P.J.Kocienski, ed. Thieme」に記載されるように、トリイソプロピルシリルクロリド(TIPS)−Cl、トリメチルシリルクロリド(TMS)−Cl、トリフェニルシリルクロリド(TPS)−Cl、t−ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPS)−Cl、テキシルジメチルシリルクロリド(TDS)−Cl、t−ブチルジメチルシリルクロリド(TBS)−Cl、及び類似物が挙げられる。この目的に好適な化合物は、(TBDPS)−Cl及び(TMS)−Clである。反応溶媒は、ヒドロキシル基のない溶媒であり、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、塩化メチレン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される;DMFが好適である。反応温度は、0℃と溶媒の沸点の間にすることができ、好ましくは0〜50℃であり、更に好ましくは0〜25℃である。反応時間は、1〜12時間であり、好ましくは3〜9時間である。このようにして得られた反応生成物は、ヘプタンを用いた結晶化によって、副生成物及び未反応中間体(IV)の残留物から容易に精製できる。
【0048】
反応(式(VI)の中間体の調製)は、塩基性環境下において、シアノメチルホスホン酸ジアルキル、例えばシアノメチルホスホン酸ジエチルを用い、中間体(V)上で行うことができる。以下のものを塩基として使用できる:カリウムt−ブチラート、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、安定化水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、リチオジイソプロピルアミドである。好ましくは、オイルに60%分散した水素化ナトリウムを使用する。その溶媒は、エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン又はジメトキシエタン等のエーテル;トルエン、シクロヘキサン又はヘプタン等の炭化水素;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド;又はジメチルスルホキシドのうちの1種又は混合物とすることができる;好ましくは、THFを使用する。反応温度は、0℃と溶媒の沸点の間であり、好ましくは15〜30℃である。
【0049】
エナンチオ選択的還元反応及びは、それぞれが式(VI)の中間体及び式(10)の中間体から出発して式(VII)及び(XI)の中間体を生成するための反応であり、溶媒としての炭化水素中、銅(II)化合物、シラン及びアルコールの存在下、(S)−(R)系の「ジョシホス(Josiphos)」型試薬を用いて行うことができる。「ジョシホス」試薬は、2つのホスフィンが結合するフェロセン構造を特徴とし、エナンチオ選択的還元に適した触媒群である。使用できるジョシホス試薬のうち、(S)−(R)−PPF−Pcy(CAS no.162291−02−3)として市販される(S)−1−[(R)−2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィンのエタノール付加物が特に有効である。該反応に使用できるジョシホスの量は、試薬(VI)及び(10)に対して、0.1〜6%のモル百分率で変化し、好ましくは該モル百分率が1〜5%である。反応温度は、−5℃から+20℃まで変えることができるが、好ましくは0〜5℃の間で維持される。使用でき且つ市販されているシランのうち、ポリシランを含めて、ジフェニルシランが好適である。使用できる銅化合物(II)のうち、酢酸銅(II)が好適である。使用できるアルコールのうち、tert−ブタノールが好適である。使用できる反応溶媒は、反応条件に不活性であり、例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン又はトルエンであり、後者のものが好適である。
【0050】
上記反応は、酸素の無い不活性雰囲気、好ましくは窒素雰囲気において行われる。得ることのできる鏡像異性体過剰率は、通常75%を超えるものであるが、(S)−(R)−PPF−Pcyを用いると90%を超える。
【0051】
上記試薬は、3つの段階において加えられる:1)銅(II)化合物+ジョシホス+シラン+トルエン;2)反応基質+トルエン;3)アルコール+トルエンである。
【0052】
反応及びは、それぞれが中間体(VII)及び中間体(VI)から出発し、炭素原子の酸化的破壊による式(VIII)及び(7)の中間体の生成をもたらす。中間体(VI)の場合、前記破壊は、末端二重結合に関して選択的であるものの、官能基
【化26】


と共役している二重結合は、不活性である。前記反応は、水性環境下において、触媒量の四酸化オスミウム(OsO)と共に4−メチルモルホリン−N−オキシドを用いることによって行われる。4−メチルモルホリン−N−オキシドは、一水和物としても又は水溶液としても無関係に使用できる。四酸化オスミウムは、そのまま使用してもよいし、tert−ブタノール又はイソプロパノール中に溶かしてもよい。OsOを用いた反応は、水中でのメタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)の添加を受けて、該反応を完了する。OsOを用いた処置によって得られる、メタ過ヨウ素酸塩を添加する前の、酸化的破壊の中間体ジオール(以下に与える式を有する)は、反応環境から単離できる。
【化27】

【0053】
反応溶媒は、反応条件において反応せず、また部分的に水と混合できる通常の有機溶媒から選択され、例えば、メチル−テトラヒドロフラン、メチルtertブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルであり、好ましくはTHFである。反応温度は、0〜50℃、好ましくは15〜30℃である。この場合、不活性雰囲気下において作業を行う必要がない;しかしながら、この作業条件は、安全性を理由に好適である。
【0054】
反応及びは、それぞれが中間体(VIII)及び中間体(7)から出発し、式(IX)及び(8)の中間体の生成をもたらす反応であり、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)又は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)等の水素化物を用いた還元によって行うことができる。該水素化物は、固体(粉末、顆粒、フレーク)として、又は、2−メトキシエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル若しくはトリエチレングリコールジメチルエーテル中における溶液として使用でき、また、NaBHに関しては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又はNaOHを用いてpH>8まで塩基性化した水溶液として使用できる。反応溶媒は、THF、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tertブタノール、エチルエーテル、水又はそれらの混合物から選択される;イソプロパノールが好適である。使用できる水素化物の量は、反応の経過によって決まり、それが完了するまで追加の水素化物を加える。反応温度は、0〜50℃であり、好ましくは15〜30℃である。この場合も、必要なことではないが、安全上の理由から不活性雰囲気下において作業を行うことが可能であり、望ましい。
【0055】
反応及びは、式(X)及び(9)の中間体をもたらすものであり、ここで、(LG)は、以下に示す環化反応において良好な脱離基である。LG基は、メシラート−O−SO−CH及びトシラート−O−SO−C−CHであるのが好ましい;それらの脱離基を含有するタイプ(X)及び(9)の中間体は、それぞれが中間体(IX)及び中間体(9)から出発し、ピリジン中における塩化メシル(CHSOCl)又は塩化トシル(CH−C−SOCl)を用いた反応によって調製できる。反応の完了のため、試薬中間体の1モル当たり、2〜8モル、好ましくは5モルの塩化物が必要である。反応温度は、0〜40℃であり、好ましくは15〜30℃である。該塩化物は、反応の開始時にすべて同時に加えてもよいし、TLCを用いて生成物の形成を監視しながら分けて加えてもよい。
【0056】
反応及びは、それぞれが中間体(X)及び中間体(9)から出発し、その番においてフッ化水素酸のアミンとの反応から得られる塩を用いた反応によって、式(XI)及び(10)の中間体をもたらす。このため、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオリド水和物、アンモニウムフルオリド、ピリジニウムフルオリド又はテトラブチルアンモニウムフルオリドを、純粋な塩の形態で、シリカゲル上に担持させて、水溶液として、又は水和した形態で使用することができる;三水和物としてのテトラブチルアンモニウムフルオリドの使用が好適である。テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物は、出発中間体のモルに対して5%〜200%のモル量で使用できる。反応を有利にするため、KFを、前記中間体のモルに対して5%〜300%のモル量で加えることができる。反応溶媒は、THF、エチルエーテル、メチルtertブチルエーテル、メチルテトラヒドロフラン、塩化メチレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルから選択され、それらは単独でも混合物でもよい。また、上記反応は、二相条件で行うこともできる。反応温度は、0〜40℃である。上記反応は、好ましくは、THF−水の二相系において、10〜30℃の温度で、KFの存在下、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物を用いて行われ、ここで、テトラブチルアンモニウムフルオリド及びKFは、出発中間体のモルに対してそれぞれ10%〜20%及び150%〜250%のモル量である。
【0057】
最後に、先に報告した式(I)を有するラメルテオンは、プロピオン酸無水物若しくはプロピオン酸の存在下における中間体(XI)の還元によって直接的に、又は中間体(XI)の新規中間体(XII)を形成させるための還元と、後者のプロピオニルクロリド、プロピオン酸無水物若しくはプロピオン酸との反応とによって、生成できる。
【0058】
中間体(XI)のラメルテオンへの直接転化(反応α)は、プロピオン酸無水物又はプロピオン酸の存在下における、炭素若しくはアルミナ等の不活性担体又はラネーニッケル(水性懸濁液で市販されている物)上に担持したPd、Rh及びPtに基づいた触媒を用いた、触媒水素化によって行うことができる。貴金属を不活性担体上に用いる場合、該担体に対する金属の重量百分率は、5%〜10%である。上記反応は、圧力6〜60bar及び温度20〜120℃で行われる。反応溶媒は、反応条件において水素化しない溶媒から選択され、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、メチル−テトラヒドロフラン、水、シクロヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール又はイソプロパノール等であり、単独でも混合物でもよい。上記水素化は、好ましくは、Pt/C ESCAT22(BASF SE社製のカーボン上の白金からなる触媒)を用い、THF中、圧力8〜14bar及び温度60〜70℃で行われる。プロピオン酸無水物は、好ましくは水素化されるべき試薬のモル数の2倍のモル数で使用される。
【0059】
別の調製方法では、最初に反応βによって中間体(XI)を還元してアミン(中間体(XII))を形成させ、次いで、反応βにおいてラメルテオンに転化させる。
【0060】
ラメルテオンへの中間体(XII)の転化は、そのままの状態の、即ち遊離アミンとしての該中間体上で、又はその酸との塩の一つ、例えば塩酸塩の上で行われる。
【0061】
この調製方法に従う反応βは、様々な方法で行うことができる:
【0062】
・中間体(XI)のラネーニッケルを用いた水素化;該水素化は、温度10〜20℃及び圧力1〜60barにて、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、DMF、DMA、メチル−テトラヒドロフラン、水、シクロヘキサン、トルエン、メタノール及びイソプロパノール等の反応条件において水素化しない溶媒中(単独でも混合物でもよい)、場合によりアンモニアの存在下において、行うことができる。その還元は、好ましくは、圧力が1〜18barで、温度が10〜40℃で、アンモニアを加えたTHF−メタノール混合物中で行われる;
【0063】
・KOHの存在下においてイソプロパノールを含んだ反応条件に不活性な混合物中における、水素を加えない、ラネーニッケルを用いた中間体(XI)の還元;その反応は、30℃から反応懸濁液の還流温度までの温度にて行うことができる。その反応は、好ましくは、溶媒として純粋なイソプロパノールを用い、反応懸濁液の還流温度で作動させながら行われる。使用されるKOHの量は、還元すべき中間体(XI)の量に対して20〜40重量%、好ましくは30重量%である;
【0064】
・THF中における中間体(XI)の水素化アルミニウムリチウムを用いた還元;その反応は、不活性雰囲気下、温度0〜40℃、好ましくは15〜25℃にて、該反応が完了する(TLCを用いた確認)までの該水素化物のその後の添加によって行われる。使用される水素化物の量は、少なくとも、重量の点で還元すべき中間体(XI)の量と等しい;
【0065】
・水素の存在下における、Pd、Rh及びPtが炭素及びアルミナ等の不活性担体上に担持されたものに基づく触媒を用いた中間体(XI)の触媒水素化;担体に対する金属の重量百分率は、5〜10%である。その反応は、水素圧6〜60bar及び温度20〜120℃で、アンモニア又は塩酸が加えられた溶媒中において行われる。溶媒は、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、DMF、DMA、メチル−テトラヒドロフラン、水、シクロヘキサン、トルエン、メタノール又はイソプロパノール等、反応条件において水素化しないもの(単独でも混合物でもよい)から選択される。その反応は、好ましくは、Pt/C ESCAT22を用い、THF−メタノール−アンモニア混合物中、圧力8〜14bar及び温度60〜70℃で作動させながら行われる。
【0066】
中間体(XII)は、先に説明した4つの可能な方法のうちのいずれか1つに従って得られるものであり、次に、塩基の存在下において、プロピオニオルクロリド、プロピオン酸又はプロピオン酸無水物から選択される試薬を用いた単純な反応(β)によって、ラメルテオンへ転化される。好ましくは、プロピオニルクロリドは、有機溶媒中での反応のため、トリエチルアミン(TEA)と共に使用され、プロピオン酸無水物は、溶媒混合物の一部として水が存在する場合の反応のために使用される。
【0067】
中間体(XII)が、アミンの塩化についての通常の方法により容易に得られる酸の塩として使用される場合、使用されるべき塩基の量は、必然的に増加するであろう。
【0068】
以下に示す例によって、本発明を更に説明する。該例の記載において、プロセス段階後の(TLC)の語は、薄層クロマトグラフィーによる反応の進行度合いの制御又は反応終了の確認を示す。
【実施例】
【0069】
例1
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
6−ヒドロキシ−インダノン20kgをアセトン120l中に懸濁させ、炭酸カリウム29.9kg及び臭化アリル19.7kgを加える。その反応混合物を加熱して還流させ、15時間後にチェックする(TLC)。それを20〜25℃に冷却し、ろ過し、ろ過した固体をアセトン40lで洗浄する。ろ過した溶液を乾燥するまで減圧下にて濃縮する。得られたオイルをヘプタン25lによって回収し、乾燥するまで再濃縮し、固体が得られる(25.9kg)。このようにして得られた固体を60℃にてヘプタン125l中に溶解し、次いで、少なくとも1時間0℃に冷却する。それをろ過し、冷ヘプタン25lで洗浄する。合成の継続に適した品質の淡黄色固体として中間体(III)22.3kgを得る。
【0070】
このようにして得られた生成物の一部を、分析目的のためクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン8−酢酸エチル2)によって精製し、それについてのH−NMR(500MHz、CDCl)分光分析を行い、以下の結果が得られる:
2.74 ppm, t J= 6Hz, 2H; 3.10 ppm, t, J= 6 HZ, 2H; 4.60 ppm, ブロード d, J= 5 Hz, 2H; 5.32 ppm, dd, J= 10 Hz, 1H; 5.45 ppm, ブロード dd, J= 16 Hz, 1H; 6.02-6.13 ppm, m, 1H; 7.20-7.27 ppm, m, 2H; 7.40 ppm, d, J= 8Hz, 1H.
【0071】
例2
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
例1に記載のとおり調製した式(III)の中間体20kgを、窒素フローの下、Dowtherm A 50l中に懸濁させる。不活性雰囲気下において、それを、約5時間、約200℃に加熱する。反応完了時(TLC)、黒色ピッチの形成もなく、透明な赤褐色の溶液が得られる。反応混合物をゆっくり25℃まで冷却する(部分的な沈殿が観察される)。シクロヘキサン100l(5ボリューム)を加え、それを0〜5℃に1時間冷却する。シクロヘキサンを用いた洗浄によってそれをろ過し、減圧下、T=45℃にて、少なくとも12時間乾燥させる。黄色固体16.8kgが得られ、脱色炭の存在下、トルエン80l中で還流させる。その懸濁液をろ過し、それを熱トルエンで洗浄する。結晶化が始まるまで、溶媒の一部を減圧下にて蒸留する。それを室温にて冷却し、次いで、0〜5℃にて少なくとも1時間冷却する。
【0072】
ろ過した固体を冷トルエンで洗浄し、減圧下、T=45℃にて少なくとも12時間乾燥させる。合成の継続に適した品質であるほとんど白色の固体として中間体(IV)15.3kgを得る。
【0073】
このようにして得られた生成物の一部を、分析目的のためクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン7体積部−酢酸エチル3体積部)によって精製し、それについてのH−NMR及び質量分光分析を行い、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 188
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
2.72 ppm, t, J= 6Hz, 2H; 3.03 ppm, t, J= 6Hz, 2H; 4.03 ppm, d, J= 6 Hz, 2H; 5.13-5,20, Σd, 2H; 5.60 ppm, s, 1H; 5.98-6.10 ppm, m, 1H; 7.13 ppm, d, J= 8Hz, 1H; 7.25, d, J= 8 Hz, 1H.
【0074】
例3
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
先の例に記載のとおり調製した中間体(IV)20kgをDMF200l中に溶解する。イミダゾール25.2kgを加え、それを温度0〜5℃に冷却する。tert−ブチルジフェニルクロロシラン38kgを滴下しながら加え、それを、反応を監視しながら(TLC)、20℃及び攪拌下にて放置する。反応が完了して、0〜5℃に冷却し、反応混合物に水400lを加え、それを数分間かき混ぜた後、形成される固体をろ過する。該固体をトルエン300lで溶解し、そのトルエン溶液を水で洗浄した後、トルエンを減圧下で蒸留する。油状残留物をヘプタン100lを用いて回収し、ヘプタンを減圧下で蒸留する。その固体をヘプタン340lで再び回収し、60℃にて溶解させる。それを少なくとも1時間0〜5℃に冷却する。冷ヘプタンを用いて洗浄しつつ、ろ過を行う。それを減圧下T=45℃にて少なくとも8時間乾燥させる。合成の継続に適した品質の白色固体として中間体(V)34kgを得る。
【0075】
このようにして得られた生成物のサンプルは、分析目的のためイソプロピルエーテルを用いた結晶化により精製した後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 426, [M+] = 426 - C4H9 = 369
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.15 ppm, s, 9H; 2.70 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 2.94, t, J= 6Hz, 2H; 4.13 ppm, ブロード d, J= 6 Hz, 2H; 5.00-5.18 ppm, Σd, 2H; 6.10-6.20 ppm, m, 1H; 6.65 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.85 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.38-7.50 ppm, m, 6H; 7.75 ppm, ブロード d, J= 6 Hz, 4H.
【0076】
例4
この例は、本発明の方法の反応)について言及する。
60%の水素化ナトリウム3.0kgを、不活性雰囲気下、温度を20±5℃に維持しながら、THF70kgと共に攪拌する。適当に冷却しつつ、温度を20±5℃に維持しながら、ジエチル(シアノメチル)ホスホナート14.4kgを加え、わずかに発熱性の反応を与える。それを45分間20±5℃で維持する。反応混合物は、溶液になる。
【0077】
先の例に記載のとおり調製した中間体(V)13.9kgを、温度20±5℃にて、THF35kg中に溶解する。適当に冷却しつつ、温度を20±5℃に維持しながら、中間体(V)の溶液をホスホナート溶液に加える。反応混合物を5時間20±5℃で攪拌し続ける。反応が完了して(TLC)、予め5±5℃に冷却された水118リットル及び氷酢酸2.4リットルからなる溶液中で反応混合物を急冷する;加えている間、生成物の沈殿が起こる。その系を30分間5±5℃で攪拌し続け、その後、固体をろ過し、水25リットルを用いて洗浄する。次いで、湿った固体を水85lを用いて回収し、20±5℃にて30分間攪拌し、固体を水30lで洗浄しつつ、再ろ過する。該固体を真空下で45±5℃にて重量が一定なるまで乾燥させる。未処理の中間体(VI)11.5kgが得られる;その固体をトルエン25kg中に還流下で溶解させ、炭素で処理し、ろ過する。溶媒の一部を蒸留しつつ、その溶液を濃縮し、生成物の結晶化が得られる。ヘプタン16kgを加え、それを少なくとも1時間0±5℃に冷却し、結晶化を完了させる。ヘプタンを用いて洗浄しながらその固体をろ過し、減圧下及びT=45℃にて少なくとも8時間乾燥させる。合成の継続に適した品質の白色固体として中間体(VI)9.4kgを得る。
【0078】
このようにして得られた中間体(VI)のサンプルは、分析目的のためクロマトグラフィーにより精製した後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 449, [M+] = 449 - C4H9 = 392, [M+] = 449 - C4H9 - C6H6 = 314
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.10 ppm, s, 9H; 2.94 ppm, m, 2H; 3.12, m, 2H; 3.81 ppm, m, 2H; 4.96 ppm, ブロード d, J= 16 Hz, 1H; 5.20 ppm, ブロード d, J= 12 Hz, 1H; 5.73 ppm, t, J= 1Hz, 1H; 6.06-6.15 ppm, m, 1H; 6.50 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.81 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.40 ppm, t, J= 6 Hz, 4H; 7.46 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 7.72 ppm, d, J= 6 Hz, 4H.
【0079】
例5
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
この反応の全段階は、不活性雰囲気(窒素)中において行われる。トルエン20l、ジョシホス163g、酢酸銅(II)46gの混合物を0〜5℃に冷却する。ジフェニルシラン2.7kgを加え、それを0〜5℃で約30分間攪拌し続ける。トルエン20l及び中間体(VI)3.8kgの懸濁液を、T=10℃に維持しつつ、別に用意する。この懸濁液を、系の温度を0〜5℃に維持しながら、ジョシホスを含有する混合物に移す。トルエン9.7l中におけるtertブタノール2.2kgの溶液を別に用意し、T=10℃に冷却する。tertブタノールの溶液を、系の温度を0〜5℃に維持しながら、中間体(VI)及びジョシホスの懸濁液に移す。反応が終了するまで(TLC)、それを攪拌する;反応が進むにつれて、初めの懸濁液は、溶液になる。水中30%のNaOH6.4kg及び水14lの溶液を別に用意し、T=10℃に冷却する。反応が完了して(TLC)、反応溶液に、その温度を0〜5℃に維持しながら、上記塩基性溶液を移す;二相系が得られる。その添加が完了して、二相系をT=20℃に戻し、相を分ける。水相をトルエン30lで再抽出し、有機相を集め、中性のpHが得られるまで水で洗浄する。ジカライト1kgを有機相に加え、その懸濁液をろ過する。減圧下でT=40〜50℃にて蒸留しながら、有機相から溶媒を除去する。得られた油状残留物をT=20〜25℃にてヘプタン76lを加えることにより結晶化させる。それを少なくとも2時間T=0〜5℃にて冷却し、固体をろ過する。減圧下、温度45〜50℃にて、それを重量が一定になるまで乾燥させる。合成の継続に適した品質の中間体(VII)2.91kgを得る。
【0080】
このようにして得られた生成物のサンプルは、分析目的のためクロマトグラフィーにより精製した後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 451, [M+] = 451 - C4H9 = 394, [M+] = 451 - C4H9 - C6H6 = 316
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.10 ppm, s, 9H; 2.15 ppm, m; 2.30-2.42 m, 2H; 2.65-2., 1H; 80 ppm, m, 2H; 2.95-3.05 ppm, m, 1H; 3.48-3.70 ppm, m, 3H; 5.00 ppm, ブロード d, J= 18Hz, 1H; 5.12 ppm, ブロード d, J= 10 Hz, 1H; 6.10-6.22 ppm, m, 1H; 6.35 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.68 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.35-7.50 ppm, m, 6H; 7.68-7.78 ppm, dd, J= 6 Hz, 22 Hz, 4H.
【0081】
例6
この例は、本発明の方法の反応及びについて言及する。この例では、中間体(VIII)を単離しないで、中間体(IX)を直接得る。
【0082】
例5において上述されるようにして得た式(VII)の生成物2.75kgをTHF46l中に溶解する。その溶液に、T20〜25℃で維持しつつ、水7l及びtert−ブタノール1.9l中に溶解した四酸化オスミウム46.5gを加える。最後に、同じ温度の50%水溶液中におけるN−メチルモルホリン−N−オキシド3.3kgを加え、反応が終了するまで(TLC)、それを攪拌し続ける。水39l中におけるNaIO3.9kgの懸濁液を、OsOを用いた混合物に加え、反応が終了するまで(TLC)、T=20〜25℃にて攪拌する。反応が完了し、その反応混合物に酢酸イソプロピル46lを加え、懸濁液をろ過し、相を分ける。水相を酢酸イソプロピルにより再抽出し、有機相を集め、2.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液150lと5%のNaCl水溶液100lとを用いて洗浄する。減圧下、T=40〜50℃での蒸留によって、油状残留物が得られるまで、有機相から溶媒を除去し、該油状残留物をイソプロパノール28lで回収し、T=40〜50℃に加熱し、次いで、T0〜5℃に冷却する(部分的な沈殿がある)。NaBH230gを加え、反応が終了するまで(TLC)、T=20〜25℃にて攪拌し続ける。反応が完了して、それをT0〜5℃に冷却し、水中80%の酢酸460gと、続いて、水28lとをT=20〜25℃にて加える。数分攪拌した後(全ての気体が発生した後)、残留体積が約35lになるまで、減圧下、T=45〜50℃で溶媒を蒸留する。それをT=20〜25℃に戻し、酢酸イソプロピル56lを用いて抽出する。その水相を、酢酸イソプロピル30lを用いて再抽出し、次いで、有機相を集め、水110lで洗浄する。有機相を脱色炭300gとジカライト1kgと共に回収する。その懸濁液をろ過し、減圧下、T=40〜50℃にて蒸留しながら、有機相から溶媒を除去する。得られる油状残留物(2.35kg)は、合成の継続に適した品質の中間体(IX)である。
【0083】
中間体(IX)は、分析目的のためのクロマトグラフィー精製の後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 455, [M+] = 455 - C4H9 - C6H6= 320
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.12 ppm, s, 9H; 1.58 ppm, ブロード s, > 1H; 2.12-2.20 ppm, dd, J= 6 Hz, J= 12 Hz, 1H; 2.30-2.40 ppm, m, 1H; 2.42-2.50 ppm, dd, J= 10 Hz, J= 16 Hz, 1H; 2.70-2.82 ppm, m, 2H; 2.95-3.08 ppm, m, 2H; 3.10-3.18 ppm, m, 1H; 3.65-3.70, m, 1H; 3.98-4.10 ppm, m, 2H; 6.36 ppm, d, J= 8 HZ, 1H; 6.68 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.36-7.49 ppm, m, 6H; 7.68-7.76 ppm, dd, J= 8, J= 16 Hz, 4H.
【0084】
例7
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
例6に記載のとおりにして得た式(IX)の生成物2.35kgを、T40〜45℃に加熱しながら、ピリジン4.9l中に溶解させる。この溶液に、0±5℃に冷却しながら、メタンスルホニルクロリド1kgをゆっくり加える。温度を20±5℃にし、反応の進行を監視しながら(TLC)、攪拌下で約2時間放置する。別の反応装置では、重炭酸ナトリウム2.2kg、水24l、酢酸イソプロピル21kgを用いた二相溶液を用意し、10±5℃に冷却する。反応が終了し、その反応混合物を塩基性混合物上に充填し、温度を10±5℃に維持しつつ攪拌する。全ての気体が発生した後、その温度を20±5℃に戻し、相を分ける。水相を酢酸イソプロピル10kgによって再抽出し、有機相を集め、酸性溶液(水17l+濃縮塩酸1.8kg)を用いて2回洗浄する。有機相を、水18l中におけるNaCl3.2kgの溶液によって洗浄する。減圧下、T45±5℃にて溶媒を蒸留しつつ、有機相を濃縮乾燥させる。合成の継続に適した品質の油状残留物として中間体(X)3kgを得る(TLC)。
【0085】
このようにして得られた生成物のサンプルは、分析目的のためのクロマトグラフィー精製の後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 533, [M+] - C4H9 - C6H6-CN = 372
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.13 ppm, s, 9H; 2.13-2.19 ppm, dd, J= 6 Hz, 1H; 2.30-2.40 ppm, m, 1H; 2.48-2.56 ppm, dd, J= 8 Hz, J= 16 Hz, 1H; 2.63-2.78 ppm Σdd, 2H; 2.86 ppm, s, 3H; 2.98-3.06 ppm, m, 1H; 3.15-3.22 ppm, m, 1H; 3.31-3.38 ppm, m, 1H; 3.63-3.69 ppm, m, 1H; 4.50-4.63 ppm, m, 2H; 6.40 ppm, d, J= 8 HZ, 1H; 6.72 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.38-7.50 ppm, m, 6H; 7.68-7.75 ppm, m, 4H.
【0086】
例8
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
例7に記載の通りにして得た式(X)の生成物を室温でTHF22kg中に溶解させる。温度が30℃を超えないよう確認しながら、その溶液にテトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物2.8kgを加える(わずかな発熱)。反応の進行を監視しながら(TLC)、それを少なくとも1時間T=25±5℃で攪拌し続ける。
【0087】
別の反応装置では、水45l中におけるNaCl9kgの溶液を用意する。反応が終了し、その反応溶液に、温度が30℃を超えないよう調整しながら、NaClの溶液を注ぐ。それを数分間攪拌し、次いで、酢酸イソプロピル18kgを用いて2回再抽出する。集めた有機相を水30kgによって2回洗浄する。減圧下、T=45±5℃にて溶媒を蒸留しながら、有機相を濃縮乾燥させる。油状残留物2.40kgが得られ、シリカゲル40kg上でのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル85:15)によって精製する。減圧下、T=45±5℃で溶媒を除去した後、中間体(XI)934gが得られ、脱色炭の存在下、メタノール2.8l中で還流させる。懸濁液を熱ろ過する。残留体積が約2.4lになるまで、減圧下、溶媒の一部を蒸留する。それを約2時間0<T<5℃に冷却した後、固体をろ過する。生成物をT=45℃にて減圧下約12時間乾燥させる。合成の継続に適した品質の中間体(XI)577gを得る。このようにして得られた生成物のサンプルは、分析目的のための更なるクロマトグラフィー精製の後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 199; [M+] - CH2CN = 159
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.98-2.08 ppm, m, 1H; 2.40-2.50 ppm, m, 1H; 2.52-2.59 ppm, dd, J= 8 Hz, J= 15 Hz, 1H; 2.66-2.75 ppm, dd, J= 6 Hz, J= 15 Hz, 1H; 2.81-2.88 ppm, m, 1H; 2.96-3.04 ppm, m, 1H; 3.13-3.22 ppm, m, 1H; 3.28-3.36 ppm, 1H, m; 3.48-3.56 ppm, m, 1H; 4.52-4.69 ppm, m, 2H; 6.69 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.02 ppm, d, J= 8 Hz, 1H.
【0088】
例9
この例は、本発明の方法の反応αについて言及する(ラメルテオンの調製)。
例8に記載のようにして得られた式(XI)の生成物470gをTHF84kg中に溶解させる。その溶液に、プロピオン酸無水物615g及びPt/C Escat22(炭素上5%Pt)150gを加える。その懸濁液をT=65±5℃にして、P=8/9barにて水素化する。4時間後、反応の進行をチェックし(TLC)、それをろ過し、更に50gのPt/C Escat22を充填する。その懸濁液をT=65±5℃にして、反応の進行をチェックしながら(TLC)、P=8/9barにて水素化する。反応が終了し、触媒をろ過し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を酢酸イソプロピル11kgによって回収する。有機相を、塩基性水溶液(水10l中におけるNaHCO900g)と、NaCl水溶液(水10l中におけるNaCl500g)とによって洗浄し、次いで、中性のpHに達するまで水を用いて洗浄する。溶媒を減圧下でT=55±5℃にて蒸留する。得られた残留物は、自然に結晶化する傾向があるが、ヘプタン及び酢酸エチルを用いて結晶化させる。ラメルテオン380gが得られ、その分析特性は、論文において報告されたデータに一致する。
【0089】
この生成物は、キラルHPLC(Ceramospher Chiral RU−1)を用いて分析したところ、100%のe.e.を示す。
【0090】
例10
この例は、本発明の方法の反応αについて言及する(ラメルテオンの調製)。
式(XI)の生成物20gをTHF1.8kg中に溶解させる。その溶液に、26gのプロピオン酸無水物及び5gのPt/C Escat22を加える。その懸濁液をT=65±5℃にして、P=10/12barにて水素化する。4時間後、反応の進行をチェックし(TLC)、それをろ過し、更に2.5gのPt/C Escat22を充填する。その懸濁液をT=65±5℃にして、反応の進行をチェックしながら(TLC)、P=10/12barにて水素化する。反応が終了し、触媒をろ過し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を酢酸イソプロピル1lによって回収する。有機相を、塩基性水溶液(水1l中におけるNaHCO10g)と、NaCl水溶液(水1l中におけるNaCl10g)とによって洗浄し、最後に、中性のpHに達するまで水を用いて洗浄する。溶媒を減圧下でT=55±5℃にて蒸留する。得られた残留物は、自然に結晶化する傾向があるが、ヘプタン及び酢酸エチルを用いて結晶化させる。ラメルテオン16.7gが得られ、その特性は、論文において報告されたデータに一致する。
【0091】
例11
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
その方法全体は、不活性雰囲気(窒素)中において行われる。例4に記載されるようにして得た中間体(VI)100gを室温でTHF1.7l中に溶解させる。水170ml、tert−ブタノール中2.5%のOsO溶液84ml、及び4−メチルモルホリン−N−オキシド一水和物60gを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それをT=20±5℃にて攪拌し続ける。反応が終了し、その反応混合物に、5%のNaCl水溶液1l及び酢酸イソプロピル1.7lを加える。相を分けて、水相を酢酸イソプロピル700mlによって再抽出する。集めた有機相を、NaCl水溶液1lによって更に洗浄した後、減圧下、T40±5℃にて濃縮乾燥させる。残留物152gが得られ、それをシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル3:1)によって精製し、中間体ジオール96gを白色固体として与える。
【0092】
このようにして得られた生成物のサンプルは、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 483
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.13 ppm, s, 9H; 1.6 ppm, s, 1H; 2.03 ppm ブロード s, 1H; 2.45 ppm, d, J= 4 Hz, 1H; 2.92 ppm, m, 2H; 3.05-3.35 ppm, m, 3H; 3.72 ppm, m, 1H; 3.85 ppm, m, 1H; 4.18 ppm, m, 1H; 6.08 ppm, t, J= 2 Hz, 1H; 6.55 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.79 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.37-7.50 ppm, m, 6H; 7.67-7.76 ppm, m, 4H;
【0093】
中間体ジオール38gを室温でTHF680ml中に溶解させる。温度を<35℃に維持しながら、その溶液に、水56ml中におけるNaIO56gを加えて、攪拌する。反応が終了し(TLC)、それを酢酸イソプロピル700mlによって回収し、ジカライト上にろ過し、有機相を分離する。水相を酢酸イソプロピル800mlによって再抽出し、集めた有機相を、還元溶液(2.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液1.5l)と、食塩水(5%の塩化ナトリウム水溶液1.5l)とによって洗浄する。減圧下、T=40±5℃にて、溶媒を除去する。合成の継続に適した品質の淡黄色固体として、中間体(7)36gを得る。
【0094】
このようにして得られた生成物のサンプルは、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 451
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.10 ppm, s, 9H; 2.95 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 3.14 m, 2H; 4.18 ppm, d, 2H; 5.66 ppm, t, 1H; 6.58 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.86 ppm, d, J= 8Hz, 1H; 7.42 ppm, t, J= 8 Hz, 4H; 7.48 ppm, m, 2H; 7.72 ppm, ブロード d, J= 6 Hz, 4H; 9.85, t, 1H.
FT-IR (Kbr):バンド1716 cm-1
【0095】
例12
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
その方法全体は、不活性雰囲気(窒素)中において行われる。例4に記載されるようにして得た中間体(VI)180gを室温でTHF3l中に溶解させる。水540ml、tert−ブタノール中2.5%のOsO溶液150ml、及び4−メチルモルホリン−N−オキシド一水和物108gを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それをT=20±5℃にて攪拌し続ける。反応が終了し、その反応混合物に、酢酸イソプロピル3l及び5%のNaCl溶液1800mlを加え、次いで、相を分ける。水相を酢酸イソプロピル1.3lによって抽出する。集めた有機相を、3.5%の亜硫酸ナトリウム溶液2.5lと、5%のNaCl溶液2.5lとによって洗浄する。
【0096】
有機相を減圧下にて濃縮乾燥させ、黄色オイル(中間体ジオール)230gを得、更なる精製を行わずにそのまま使用する。それを、45℃に加熱しながら、THF3.0l中に溶解させ、次いで、その溶液を20℃に冷却する。水4l中におけるNaIO390gの懸濁液を用意し、上記生成物を用いた溶液に加える;温度を<40℃に保ちながら、それを攪拌する。反応が終了し(TLC)、それを酢酸イソプロピル2.7lによって回収し、ジカライト上にろ過し、有機相を分離する。水相を酢酸イソプロピル1.8lによって再抽出する。集めた有機相を、還元溶液(3.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液1.8l)と、食塩水(5%の塩化ナトリウム水溶液1.8l)とによって洗浄する。減圧下、T=40±5℃にて、溶媒を除去する。固体生成物211gが得られ、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル9:1)によって精製し、例11の生成物のものに相当する分析特性を持った淡黄色固体として中間体(7)145gを与える。
【0097】
例13
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
その方法全体は、不活性雰囲気(窒素)中において行われる。例4に記載されるようにして得た中間体(VI)20gを室温でTHF340ml中に溶解させる。水60ml、tert−ブタノール中2.5%のOsO溶液16.7ml、及び4−メチルモルホリン−N−オキシド一水和物12.1gを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それをT=20±5℃にて攪拌し続ける。反応が終了し、その反応混合物に、酢酸イソプロピル340ml及び5%のNaCl溶液200mlを加え、その後、相を分ける。水相を酢酸イソプロピル140mlによって抽出する。集めた有機相を、3.5%の亜硫酸ナトリウム溶液280mlと、5%のNaCl溶液280mlとによって洗浄する。
【0098】
有機相を減圧下で濃縮乾燥させ、黄色オイル(中間体ジオール)26gが得られ、これを45℃に加熱しながらTHF340mlに溶解させる;次いで、その溶液を20℃に冷却する。
【0099】
水430ml中におけるNaIO43gの懸濁液を用意し、上記中間体を用いた溶液に加え、温度を<40℃に保ちながら、攪拌する。反応が終了して(TLC)、全ての物を酢酸イソプロピル300mlによって回収し、ジカライト上にろ過し、有機相を分離し、水を用いて洗浄する。水相を酢酸イソプロピル200mlによって再抽出する。集めた有機相を還元溶液(水中の亜硫酸ナトリウム)と食塩水(水中の塩化ナトリウム)とによって洗浄する。その溶媒を減圧下でT=40±5℃にて除去する。未処理の中間体(7)23gを得る。
【0100】
上記中間体(7)をイソプロパノール100mlと共に60℃で30分間攪拌し、0℃に1時間冷却し、ろ過する。イソプロパノールを用いて洗浄し、乾燥させた後、合成の継続に適した品質の中間体(7)18.3gを得る。
【0101】
例14
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
上述のようにして得た中間体(7)120gをイソプロパノール1.2l中に溶解し、NaBH10gを用いて処理する。還元剤を添加している間、その反応温度を15℃以下に保つ。次いで、反応が終了するまで(TLC)、それを室温にて激しく攪拌し続ける。反応が終了し、それを氷酢酸16ml及び冷水1.2lによって回収し、T<10℃に維持しながら、約1時間攪拌する。
【0102】
イソプロパノールを減圧下で蒸留し、次いで、水相を酢酸イソプロパノール1lによって2回抽出する。集めた有機相を水によって洗浄する。その溶媒を減圧下でT=40±5℃にて除去し、合成の継続に適した品質の中間体(8)104gを得る。
【0103】
中間体(8)は、分析目的のためのクロマトグラフィー精製の後、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 453 - C4H9 = 396
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.15 ppm, s, 9H; 1.75 ppm, ブロード s, > 1H; 2.92 ppm, t, J= 6 Hz, 2H;
3.15 ppm, m, 2H; 3.37 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 4.0 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 6.0 ppm, m, 1H; 6.55 ppm, d, J= 8 Hz 1H; 6.80 ppm, d, J= 8 Hz 1H;
7.40 ppm, ブロード t, J= 6 Hz, 4H; 7.46 ppm, ブロード t, J= 6 Hz, 2H; 7.75 ppm, ブロード d, J= 6 Hz, 4H.
【0104】
例15
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
例14に記載のとおりにして得た中間体(8)96gを、温度40〜45℃に加熱しながら、ピリジン190ml中に溶解する。その溶液に、メタンスルホニルクロリド50mlを、約10℃に冷却しつつ、ゆっくり加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それを攪拌下で20±5℃にて約2時間放置する。反応が終了し、その反応混合物中に、酢酸イソプロピル2l及び重炭酸ナトリウムが飽和した水溶液1.8lを充填する。温度を約20℃に維持しながら、それを約30分間攪拌する。相を分けて、水相を酢酸イソプロピル0.6lによって3回再抽出する。有機相を集め、酸性水溶液(1MのHCl)1lで2回洗浄し、NaClが飽和した水溶液1lで3回洗浄する。減圧下及びT=45±5℃にて溶媒を蒸留しながら、有機相を濃縮乾燥させる。合成の継続に適した品質の固体残留物として、中間体(9)103gを得る(TLC)。
【0105】
このようにして得られた生成物のサンプルは、分析目的のためのクロマトグラフィー精製の後、H−NMR分析を受け、以下の結果が得られる:
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
1.15 ppm, s, 9H; 2.92 ppm, t, J= 6 Hz, 2H; 2.97 ppm, s, 3H; 3.15 ppm, m, 2H; 3.55 ppm, t, J= 6 Hz, 2H ; 4.50 ppm, t, J= 6 Hz, 2H ; 5.88 ppm, ブロード s, 1H; 6.55 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 6.82 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.40 ppm, t, J= 8 Hz, 4H; 7.48 ppm, t, J= 8 Hz, 2H; 7.72 ppm, d, J= 8 Hz, 4H.
【0106】
例16
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
例15に記載のようにして得た中間体(9)97gを室温にてTHF1l中に溶解する。その溶液に、温度が40℃を超えないように調整しながら、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物86gを加える(わずかに発熱性の反応)。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それを少なくとも1時間T=25±5℃にて攪拌し続ける。NaClが飽和した溶液1.5lを別に用意する。反応が終了し、そのNaCl溶液を反応溶液上に注ぎ、全ての物を酢酸イソプロピル1lによって2回抽出する。集めた有機相を水1.5lによって2回洗浄する。溶媒を減圧下及びT=45±5℃にて蒸留しながら、有機相を濃縮乾燥させる。残留物89gが得られ、それをシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル8:2)によって精製する。減圧下及びT=45±5℃にて溶媒を除去した後、合成の継続に適した品質の中間体(10)35gを得る。
【0107】
このようにして得られた生成物のサンプルは、H−NMR及び質量分析を受け、以下の結果が得られる:
電子衝撃質量:[M+] = 197
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ(ppm)
3.08 ppm, m, 2H; 3.12 ppm, m, 2H; 3.31 ppm, t, J= 8 Hz, 2H; 4.68 ppm, t, J= 8 Hz, 2H; 5.46 ppm, 未分解 t, 1H; 6.88 ppm, d, J= 8 Hz, 1H; 7.12 ppm, d, J= 8 Hz, 1H.
【0108】
例17
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
反応の全ての段階は、不活性雰囲気下において行われ、窒素を用いて脱気した溶媒を用いて作業される。890mgの酢酸銅(II)及び3.12gのジョシホスSL−J001−2をトルエン200ml中に懸濁させ、全ての物をT=0℃で攪拌し、次いで、ジフェニルシラン53mlを加える。45分後、トルエン200ml中において、この懸濁液に中間体(10)32gを加える。最後に、得られた懸濁液に、tert−ブタノール53ml及びトルエン80mlを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それをT=0±2℃にて攪拌し続ける。反応が終了し、T=0±2℃を維持しつつ、その反応混合物を2.5NのNaOH水溶液160mlによって回収する。それを約30分間攪拌させ、その温度を自然に20℃まで上昇させ、次いで、相を分ける。水相をトルエン250mlによって抽出する。そのトルエン相を水(250ml、3回)によって洗浄する。有機相を、ジカライトパネル上にろ過し、減圧下及びT=40±5℃にて蒸発させる。オレンジ色のオイルが得られ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーを行い(ヘプタン:酢酸エチル9:1)、一定の重量まで蒸発させ、固体27gを得る。
【0109】
この生成物は、合成の継続に適した品質のものであり、メタノールから結晶化し、中間体(XI)23gを与えることができる。この分析特性は、例8において得られた生成物と一致する。
【0110】
例18
この例は、本発明の方法の反応βを行うことができる第一の方法について言及する。
例17に記載のようにして得た式(XI)の生成物10gをメタノール0.5l中に溶解させる。その溶液に、メタノール中におけるNH410ml(12.2%w/w)及びラネーニッケルの水性懸濁液12gを加える。反応の進行を2時間毎にチェックしながら、それを周囲圧力及び温度にて水素化する。反応が終了し(TLC)、その触媒をろ過によって除去する。その溶液を減圧下で濃縮乾燥させる。残留物を、酢酸エチル500ml中に溶解させ、酸性溶液(1MのHCl100ml)を用いて2回洗浄する。NaOH水溶液を用いて、集めた水相をpH>9に塩基性化させる。カード上にろ過し、NaCl55gを用いて塩分を加えた後、それをTHF200mlによって4回抽出する。その溶媒を減圧下及びT=45±5℃で蒸留する。合成の継続に適した品質の黄色固体(中間体(XII))11gを得る。
【0111】
例19
この例は、本発明の方法の反応βを行うことができる第二の方法について言及する。
水で湿らせたラネーニッケル25gをイソプロパノール200mlと共に数分間攪拌する。その固体のデカンテーションによって、溶媒の大部分を除去する。その操作を2回繰り返す。次いで、その触媒に、イソプロパノール100ml、中間体(XI)10g及びKOH3gを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、その懸濁液を少なくとも2時間還流させる。反応が終了し、触媒をろ過し、溶媒を減圧下で蒸留して除去する。残留物を回収し、3Mの水性塩酸100mlと共に20℃で30分間攪拌する。10%のNaOH水溶液をpH=9になるまで加える。その結果をTLCによってチェックする。
【0112】
反応混合物に、NaCl50gを加え、次いで、それをTHF500mlによって2回抽出する。溶媒を減圧下及びT=45±5℃で蒸留する。得られた残留物をイソプロパノール中におけるHCl100ml(20重量%)によって回収する。ろ過及び乾燥(減圧、T=45±5℃)後、中間体(XII)の塩酸塩7gを得る。
【0113】
このようにして得られた生成物のサンプルは、H−NMR(DMSO)及び質量(電子衝突)分析を受ける:
1.6-1.8 ppm, m, 2H; 2.05-2.25 ppm, m, 2H; 2.65-2.90 ppm, m, 4H; 3.05-3.25 ppm, m, 3H; 4.4-4.6 ppm, m, 2H; 6.55 ppm, d, J=8Hz, 1H; 6.97 ppm, d, J=8Hz, 1H; 8.00-8.15 ppm ブロードシグナル
電子衝撃質量:[M+] = 203; [M+] - NH3= 186
【0114】
塩酸塩中間体(XII)を、水中に溶解させ、NaOHを用いて遊離塩基に戻し、高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC Silica gel 60 F254 ガラスプレート Merck 1.13727.0001)において、先の例において記載の中間体(XII)と比較し、完全な重なりが得られる。
【0115】
例20
この例は、本発明の方法の反応βを行うことができる第三の方法について言及する。
先に記載のようにして得た中間体(XI)23gを不活性雰囲気(窒素)中において室温でTHF900ml中に溶解する。次いで、それをT=0±5℃にする。
【0116】
T=15℃で攪拌しながら、LiAlHを注意して加える。少なくとも1時間後に反応の進行をチェックする(TLC)。反応が終了し、最初に酢酸エチルを注意して加え、次いで、氷が加えられたNaCl飽和溶液(NaClss)中に、それを注ぐ。相を分けて、それを酢酸エチルによって再抽出し、NaClssを用いて洗浄し、亜硫酸ナトリウム上で無水化する。その溶媒を減圧下及びT=45℃で除去し、未処理の中間体(XII)20gを得る。
【0117】
例21
この例は、本発明の方法の反応βを行うことができる第四の方法について言及する。
先に記載のようにして得た式(XI)の生成物10gを5%のTHF−アンモニアメタノール1l中に溶解させる。その溶液に、5gのPt/C Escat22を加える。その懸濁液をT=65±5℃にして、P=10/12barで水素化する。4時間後、反応の進行をチェックし(TLC)、それをろ過し、更に2.5gのPt/C Escat22を充填する。その懸濁液をT=65±5℃にして、反応の進行をチェックしながら(TLC)、P=10/12barで水素化する。反応が終了し、触媒をろ過し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を回収し、3Mの水性塩酸100mlと共に20℃で30分間攪拌する。10%のNaOH水溶液をpH=9まで加える(約20℃の温度を維持するために冷却する)。反応混合物に、NaCl50gを加え、次いで、THF500mlを用いてそれを2回抽出する。溶媒を減圧下及びT=45±5℃にて蒸留する。得られた残留物をイソプロパノール中におけるHCl100ml(20重量%)によって回収する。ろ過及び乾燥(減圧、T=45±5℃)後、塩酸塩中間体(XII)5gを得る。
【0118】
例22
この例は、本発明の方法の反応β−ラメルテオンの調製−について言及する。
例18に記載の通りにして得た中間体(XII)10gを室温でTHF500ml中に懸濁させる。それをT=0〜5℃に冷却し、トリエチルアミン13.6ml及び塩化プロピオニル5.6mlを加える。それを攪拌し、温度を約25℃に上昇させる。1時間以上した後に反応の進行をチェックする(TLC)。
【0119】
反応が終了し、それをT=0〜5℃に冷却し、水500mlを加え、それを酢酸エチル(500ml、3回)によって抽出する。集めた有機相を、NaClが飽和した水溶液を用いて洗浄し、減圧下及びT=45℃での蒸留によって濃縮乾燥させる。未処理のラメルテオン(13g)をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル4:6)によって精製し、先に示したようにヘプタン及び酢酸エチルを用いて結晶化させる(10.3g)。
【0120】
例23
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
先に記載の通りにして得た式(9)の生成物3gを室温でTHF30ml中に溶解させる。その溶液に、温度が40℃を超えないように調整しながら、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物0.179g及びKF0.68gを加える。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それを不活性雰囲気中において少なくとも12時間T=25±5℃で攪拌し続ける。反応が終了し、その反応溶液に、酢酸イソプロピル30ml及びNaClが飽和した溶液45mlを加える。相分離(緩徐な分離)の後、水相を酢酸イソプロピル25mlによって2回再抽出する。有機相を集め、水を用いて洗浄する。減圧下での蒸留によって、有機相から溶媒を除去し、固体2.8gを得る(シングル−ステインTLC)。
生成物をイソプロパノール11mlから結晶化させる。
【0121】
例24
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
先に記載の通りにして得た式(9)の生成物3gを室温でTHF30ml中に溶解させる。その溶液に、温度が40℃を超えないように調整しながら、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物0.178g、水10ml及びKF0.68gを加える。反応混合物は、はっきりと異なる2つの相を有する。反応の進行をチェックしながら(TLC)、それを不活性雰囲気中において約3時間T=25±5℃で攪拌し続ける。反応が終了し、その反応溶液に、酢酸イソプロピル10mlを加え、相を分離させる。水相を酢酸イソプロピル10mlによって2回再抽出する。有機相を集め、NaCl水溶液を用いて洗浄する。減圧下での蒸留によって、有機相から溶媒を除去し、固体2.5gを得る(シングル−ステインTLC)。
生成物を例23に記載の通りに結晶化させる。
【0122】
例25
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
中間体(7)8.0gをイソプロパノール80ml中に懸濁させる;その懸濁液をT=0〜5℃に冷却する。NaBH0.69gを、2.5%のNaHCO水溶液2ml中に溶解し、中間体(7)の溶液にゆっくりと加える。反応混合物を25℃にして、約4時間攪拌し続ける。反応が終了し(TLC制御)、その反応混合物に、温度を15℃以下に保つために冷却しながら、氷酢酸1.1mlを含有する水80mlを加える。淡い色の固体の沈殿が観察され、フラスコの壁に沿って黄色オイルの形成が観察される。固体を砕き、オイルを溶解させるため、その混合物を45℃に30分間加熱する。水40mlを加え、その混合物を氷中で1時間冷却する。得られた固体をろ過によって単離し、水(40ml、3回)を用いて洗浄し、ストーブ中、真空下及び45℃にて一晩乾燥させ、合成の継続に適した品質の中間体(8)7.5gを得る。
【0123】
例26
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
中間体(8)6.0gをピリジン18ml中に溶解させる。その混合物を約5℃に冷却し、次いで、温度を20℃以下に保ちながら、塩化メシル2.15mlを加える。反応混合物は、懸濁液からなるが、それを次に約25℃にする。約2時間後(TLC制御)、反応混合物を約5℃に冷却し、温度を20℃以下に保ちながら、更に塩化メシル2.15ml及びピリジン6mlを加える。25℃にて約1時間後、反応は完了する(TLC)。温度を25℃以下に保つために冷却しながら、酢酸イソプロピル120ml及びNaHCO飽和溶液108mlを加える。二相混合物をカード上にろ過し、不溶性固体(約2.5g湿潤)を単離する。なお、それはTLC分析によって所望の生成物であることが確認される。水相を酢酸イソプロピル72mlによって2回抽出する。ろ過によって単離された固体を、集めた有機相に加える;完全な溶解度を得るためには、45℃に加熱する必要がある。有機相を、1MのHCl120mlを用いて3回洗浄し、NaCl飽和溶液120mlを用いて3回洗浄し、減圧下で濃縮乾燥させ、淡い色の固体6.8gを得る。その固体を酢酸イソプロピル14mlと共に45℃にて1時間攪拌する。その熱懸濁液にヘプタン7mlを加え、次いで、それを氷中で1時間冷却する。その固体を、ろ過によって単離し、冷ヘプタン7mlを用いて洗浄し、ストーブ中において真空下及び45℃で乾燥させる;合成の継続に適した品質の白色固体として、中間体(9)6.1gを得る。
【0124】
例27
この例は、本発明の方法の反応について言及する。
中間体(8)6.0gをピリジン24ml中に溶解させる。温度を25〜35℃に保ちながら、塩化メシル(d=1.48g/ml)5.10ml(基質1mol当たり5mol)を滴下しながら加える。その反応混合物は、密度が高いものの攪拌可能な懸濁液からなり、それを次に25〜30℃で保つ。30’後、反応の進行をチェックする(TLC)。温度を25〜35℃に維持しながら、塩化メシル0.54ml(基質1mol当たり0.5mol)を滴下しながら加える。30’後、反応は完了する(TLC)。温度を20℃以下に保つために冷却しながら、反応混合物に、NaHCO飽和溶液120mlを加える。それがpH=7であることをチェックする。その懸濁液を45℃で30’間攪拌し、次いで、氷中で30’間冷却する。その固体をろ過によって単離し、水28mlを用いて洗浄し、次いで、反応フラスコ中に再充填し、酢酸エチル175ml中に溶解させる。有機相を1MのHCl70mlによって洗浄し、残留ピリジンを除去する。次いで、有機相を水70mlによって3回洗浄し、最後の洗浄後のpHが6〜7であることをチェックする。有機相を減圧下で濃縮乾燥させ、淡い色の固体6.8gを得る。その固体を酢酸イソプロピル21mlによって45℃で30’間回収する。その熱懸濁液に、ヘプタン14mlを加える。懸濁液を氷中で1時間冷却する。得られた固体を、ろ過によって単離し、酢酸イソプロピル4.5%v/vを含有する冷ヘプタン7mlを用いて洗浄し、ストーブ中において真空下及び45℃にて乾燥させる;合成の継続に適した品質の中間体(9)6.2gを得る。
【0125】
例28
この例は、中間体(XII)をHCl塩(塩酸塩)として作るための反応及びβについて言及する。
0.829gの無水酢酸銅(II)及び2.923gのジョシホスSL−J001−2をトルエン190ml中に懸濁させる。懸濁液を0℃に冷却し、次いで、ジフェニルシラン49.5mlを加え、温度を0〜5℃にて更に45’間保つ。その反応混合物に、温度を0〜5℃に保ちながら、中間体(10)30.0g及びトルエン190mlを加える。トルエン70ml中に希釈したtert−ブタノール50mlを加え、反応が終了するまで反応温度を0℃に保ちながら、それを攪拌する。反応が終了し(TLC制御)、温度を0℃に保ちながら、塩基性水溶液を加える(水150ml中におけるNaOH18g)。その混合物を20〜25℃に加熱し、次いで、相を分離する。水相をトルエン75mlによって抽出する。集めた有機相を、NaCl27g及び1MのHCl40mlを含有する水240mlと、NaCl27gを含有する水240mlと、水240mlとによって順に洗浄する(水相のpHは約7である)。有機相を炭素1.5g及びシリカ3gによって処理し、攪拌下で15’間放置し、次いで、ジカライト上にろ過する;最後に、そのパネルをトルエンによって洗浄する。
【0126】
有機相を減圧下で濃縮乾燥させ、オレンジ色オイル104.2gを得、それをアンモニアメタノール溶液807g中に溶解させる。その溶液に、ラネーNi20.9g(水から静かに移す)及びメタノール650mlを加える。わずかに過度の水素圧の下、室温にて、水素化を行い、TLCによって進行を監視する。反応が終了し、その反応混合物をジカライト上にろ過し、そのパネルをメタノールによって洗浄する。その溶液を減圧下で濃縮乾燥させ、オレンジ色オイル90.7gを得、それをトルエン61mlで処理する(溶液)。その溶液に、温度を20℃以下に保つために氷中で冷却しつつ、6MのHCl(水25mlを用いて希釈した濃縮HCl25ml)を滴下しながら加える:固体の沈殿を得る。その懸濁液を0℃で30’間保つ。その固体をろ過によって単離し、トルエン30mlを用いてフィルター上で洗浄する。次いで、湿った固体をトルエン90ml中において室温で30’間パルプ状にし、ろ過により単離し、トルエン30mlを用いて洗浄する。真空下45℃で約12時間乾燥させた後、合成の継続に適した品質の塩酸塩中間体(XII)29.9gを得る。
【0127】
その中間体をアセトンによって更に精製することができる。塩酸塩中間体(XII)を、アセトン320ml中に懸濁し、20/25℃で30分間攪拌した後、ろ過する。45℃及び減圧下で約12時間乾燥させた後、塩酸塩中間体(XII)24gを得る。
【0128】
例29
この例は、本発明の反応βを経由した塩酸塩中間体(XII)からのラメルテオンの調製について言及する。
その操作を窒素フロー下で行う。塩酸塩中間体(XII)15gをTHF450ml中に懸濁させる。その懸濁液にTEA31mlを加え、全ての物を0℃に冷却する。反応混合物に、温度を15℃以下に保ちながら、塩化プロピオニル7.2mlを加える。その懸濁液を20〜25℃にして、反応が終了するまで前述の温度で攪拌する(TLC制御)。反応混合物を0℃に冷却し、温度を15℃以下に保ちつつ、水240ml及び酢酸イソプロピル150mlを加える。相を分けて、水相を酢酸イソプロピル150mlによって抽出する。集めた有機相をNaCl42.5gを含有する水240mlによって洗浄する。有機相を乾燥するまで減圧下で乾燥させ、未処理のラメルテオン16.2gを得、次いで、先の例に記載されるようにして又は論文において既に記載されるようにしてそれを精製する。
【0129】
例30
この例は、本発明の反応βを経由した塩酸塩中間体(XII)からのラメルテオンの調製について言及する。
塩酸塩中間体(XII)25gをTHF63ml中に懸濁させる。その懸濁液に水88mlを加え、完全な溶解を得る。次いで、その反応混合物に、30%のNaOH水溶液31.4gを加え、二相溶液を得る。反応温度を20〜25℃に保ちつつ、プロピオン酸無水物15.5mlを加え、添加後、反応の終了をチェックしながら(TLC)、それを同一温度にて1時間攪拌する。反応が終了し、その懸濁液を冷却し、少なくとも2時間T=0℃で攪拌する。得られた固体をろ過し、水を用いて洗浄する。減圧下で少なくとも12時間T=45℃にて乾燥させた後、ラメルテオン(白色固体)26.9gを得る。
【0130】
使用する塩酸塩中間体XIIが水−イソプロパノール混合物によって予め結晶化されている場合、得られるラメルテオンは、HPLC力価が99%より大きく、鏡像異性体過剰率が99.9%より大きい。その生成物の純度は、先の例及び論文に記載の精製を行うことによって更に増大させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


のN−[2−(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル]プロピオンアミド(ラメルテオン)の調製方法であって、以下に示す反応を含むことを特徴とする方法。
)中間体(III),6−アリルオキシ−インダン−1−オンを得るための、6−ヒドロキシ−インダノン(化合物(II))のヒドロキシルのアルキル化:
【化2】


)中間体(IV),7−アリル−6−ヒドロキシ−インダン−1−オンを得るための、中間体(III)上での熱クライゼン転移:
【化3】


)式(V)の中間体を得るための、中間体(IV)の遊離ヒドロキシルの保護:
【化4】


[ここで、(PG−OH)は、塩基性環境下において安定な保護基によって保護されたヒドロキシル基を示す]
)式(VI)の中間体を得るための、中間体(V)の反応:
【化5】


−)中間体(VI)の、中間体(XI),(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)アセトニトリルへの変換:
【化6】


−)中間体(XI)の、ラメルテオンへの変換:
【化7】

【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、中間体(VI)の中間体(XI)への前記変換が、以下の反応を含むことを特徴とする方法。
)式(VII)の中間体を得るための、中間体(VI)上での立体特異的還元:
【化8】


)式(VIII)の中間体を得るための、中間体(VII)の二重結合の酸化的破壊:
【化9】


)式(IX)の中間体を得るための、中間体(VIII)のカルボニル官能基の還元:
【化10】


)一般式(X)[ここで、(LG)は、脱離基を示す]を持つ中間体を得るため、中間体(IX)に存在する遊離ヒドロキシル基を良好な脱離基にするための該遊離ヒドロキシル基の変換:
【化11】


)中間体(XI)を得るための、中間体(X)の分子内環化:
【化12】

【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、中間体(VI)の中間体(XI)への前記変換が、以下の反応を含むことを特徴とする方法。
)式(7)の中間体を得るための、中間体(VI)上にある末端二重結合の選択的酸化的破壊:
【化13】


)式(8)の中間体を得るための、中間体(7)に存在するカルボニル官能基の還元:
【化14】


)中間体(9)[ここで、(LG)は、脱離基を示す]を得るため、中間体(8)の遊離ヒドロキシル基を良好な脱離基にするための該遊離ヒドロキシル基の変換:
【化15】


)中間体(10),(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)アセトニトリルを得るための、中間体(9)の分子内環化:
【化16】


)中間体(XI)を得るための、中間体(10)上での立体特異的還元:
【化17】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法であって、中間体(XI)のラメルテオンへの前記変換が、1つの単一反応α)において、プロピオン酸無水物又はプロピオン酸の存在下における前記中間体(XI)の基
【化18】


の三重結合の直接水素化によって行われることを特徴とする方法。
【化19】

【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法であって、中間体(XI)のラメルテオンへの前記変換が、中間体(XII),2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを得るために、前記中間体(XI)の基
【化20】


の三重結合を−CHNH基に還元するための第一反応β)と、中間体(XII)をプロピオン酸、プロピオン酸無水物又はプロピオニルクロリドによって処理するための第二反応β)との二段階反応において行われることを特徴とする方法。
【化21】

【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、エナンチオ選択的還元反応が、無酸素の不活性雰囲気下、−5〜+20℃、好ましくは0〜5℃の温度で、反応条件に不活性な溶媒中において、フェロセン誘導体、銅(II)化合物、シラン及びtert−ブタノールの存在下における前記中間体(VI)の化学的還元によって行われることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、エナンチオ選択的還元反応が、無酸素の不活性雰囲気下、−5〜+20℃、好ましくは0〜5℃の温度で、反応条件に不活性な溶媒中において、フェロセン誘導体、銅(II)化合物、シラン及びtert−ブタノールの存在下における前記中間体(10)の化学的還元によって行われることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の方法であって、前記フェロセン誘導体は、(S)−(R)系のジョシホス試薬であり、中間体(VI)又は(10)のモル量に対するモル量が0.1〜6%、好ましくは1〜5%で使用されることを特徴とする方法。
【請求項9】
一般式(V):
【化22】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項10】
一般式(VI):
【化23】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項11】
一般式(VII):
【化24】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項12】
一般式(VIII):
【化25】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項13】
一般式(IX):
【化26】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項14】
一般式(X):
【化27】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示し、(LG)は、環化反応における脱離基を示す]の化合物。
【請求項15】
(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)アセトニトリルである化合物(XI)。
【化28】

【請求項16】
一般式(7):
【化29】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項17】
一般式(8):
【化30】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。
【請求項18】
一般式(9):
【化31】

[ここで、(PG−HO)は、塩基性環境下において安定なヒドロキシルの保護基を示す]の化合物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−520291(P2012−520291A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553604(P2011−553604)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000088
【国際公開番号】WO2010/103553
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(507182830)インダストリアレ チミカ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (2)
【Fターム(参考)】