ランプ及び照明器具
【課題】 口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線の不一致を抑制可能なランプを提供する。
【解決手段】 ランプ11は、口金12、反射鏡21、電球31、接着剤25、及び少なくとも3個のセンタリング凸部17を具備する。口金12は、一端が開口された大径部13aの他端に小径部13bを設けた口金ハウジング13を有する。反射鏡21は、凹面状の反射面22aを有した反射面部22と、これに連続し大径部13aの内側に挿入されたネック部23を備える。口金12に電気的に接続して反射鏡21に収容される電球31をネック部23に支持し、大径部13aとネック部23をこれらの間に設けた接着剤25で接着する。各センタリング凸部17を、大径部13aとネック部23のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設する。各センタリング凸部17の先端を前記他方に接触若しくは近接させて、口金12と反射鏡21及び電球31とのセンター合わせしたことを特徴としている。
【解決手段】 ランプ11は、口金12、反射鏡21、電球31、接着剤25、及び少なくとも3個のセンタリング凸部17を具備する。口金12は、一端が開口された大径部13aの他端に小径部13bを設けた口金ハウジング13を有する。反射鏡21は、凹面状の反射面22aを有した反射面部22と、これに連続し大径部13aの内側に挿入されたネック部23を備える。口金12に電気的に接続して反射鏡21に収容される電球31をネック部23に支持し、大径部13aとネック部23をこれらの間に設けた接着剤25で接着する。各センタリング凸部17を、大径部13aとネック部23のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設する。各センタリング凸部17の先端を前記他方に接触若しくは近接させて、口金12と反射鏡21及び電球31とのセンター合わせしたことを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、反射鏡付きのランプ、及びこのランプを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
無口金形のハロゲン電球と、この電球の一端部に接続された口金と、ハロゲン電球を収容して口金に接着された反射鏡を組み合わせた構成のランプが、従来技術として知られている。
【0003】
このランプにおいて、口金は口金シェルを支持した磁器製ハウジングを備え、このハウジングは口金と反対側の端が開口された大径部を有している。反射鏡は、凹面状の反射面とネック部が一体に形成された凹面反射鏡であり、そのネック部は、口金が有した大径部の内側に挿入されている。ネック部と大径部とはこれらの間に存在するセメント製の接着剤により接着されている。更に、ハロゲン電球は、ハウジングの大径部の内側に挿入されかつ接着剤により接着されている。
【0004】
ハウジングの大径部内への反射鏡のネック部の挿入を容易にする上で、大径部とネック部との間に比較的大きな隙間が確保されていて、そこに接着剤が設けられている。このため、製造上、未硬化の接着剤が固化するまでの間に、口金のハウジングの大径部に対し反射鏡のネック部が動く可能性があり、この状態で電球が反射鏡のネック部の内周に接着されると、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線とが不一致になる。
【0005】
このように口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線とが不一致であると、電球のフィラメント等の発光源の中心軸線が口金の中心軸線からずれた状態となるため、所定の配光特性及び中心光度を確保することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−185958号公報
【特許文献2】特開平11−40111号公報
【特許文献3】特開2002−298637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線の不一致を抑制可能なランプ及びこのランプを備えた高品質な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、実施形態のランプは、口金、反射鏡、電球、接着剤、及び少なくとも3個のセンタリング凸部を具備する。口金は、一端が開口された大径部の他端に小径部を設けた口金ハウジングを有する。反射鏡は、凹面状の反射面を有した反射面部、及びこれに連続して設けられて大径部の内側に挿入されたネック部を備える。口金に電気的に接続する電球を、ネック部内に接着止めして反射鏡に収容し、接着剤を大径部とネック部との間に設けてこれらを接着する。各センタリング凸部を、大径部とネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設する。これらセンタリング凸部の先端を前記他方に接触若しくは近接させて、口金と反射鏡及び電球のセンター合わせをしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
実施形態1のランプによれば、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線の不一致を抑制可能である、という効果を期待できる。
【0010】
実施形態2のランプによれば、実施形態1において、更に、接着剤の注入量を定量化できるとともに、口金の大径部と反射鏡のネック部との接着箇所及び接着面積を規定できるので、口金と反射鏡との接着不良を抑制可能である、という効果を期待できる。
【0011】
実施形態3のランプによれば、実施形態1又は2において、更に、反射鏡を下向きにした状態でランプが使用された状態で反射鏡が脱落しようとする場合でも、反射鏡に設けた係合溝の引掛け溝部が口金の係合凸部に引っ掛かっているので、反射鏡が脱落する恐れがない、という効果を期待できる。
【0012】
実施形態4のランプによれば、実施形態1において、更に、反射鏡のセンタリング溝とこれに挿入された口金のセンタリング凸部によって、反射鏡がその中心軸線回りに回動することを抑制でき、しかも、センタリング溝に接着剤が入り込む場合には、口金と反射鏡との接着強度が向上されて、反射鏡に対する電球の支持強度を更に向上させることが可能である、という効果を期待できる。
【0013】
実施形態5の照明器具によれば、実施形態1から4のうちのいずれか一項に記載したランプを備えるので、所定の配光特性及び中心光度のばらつきが抑制され、品質を向上することが可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】図1の照明器具が備えるランプを示す断面図である。
【図3】図2のランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す斜視図である。
【図4】図2のランプの反射鏡と口金との関係を、電球を省略して図2中F4−F4線に沿って示す概略的な断面図である。
【図5】実施例2に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す概略的な斜視図である。
【図6】図5のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図7】実施例3に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す概略的な斜視図である。
【図8】図7のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図9】実施例4に係るランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図10】実施例5に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す斜視図である。
【図11】図10のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態1のランプは、一端が開口された大径部の他端に小径部が一体に設けられた口金ハウジングを有した口金と;凹面状の反射面を有した反射面部、及びこの反射面部に連続して設けられて前記大径部の内側に挿入されたネック部を備える反射鏡と;前記ネック部内に接着止めされて前記反射鏡に収容されるとともに前記口金に電気的に接続された電球と;前記大径部と前記ネック部との間に設けられてこれらを接着した接着剤と;前記大径部と前記ネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設されるとともに前記他方に接触若しくは近接して、前記口金の大径部と前記反射鏡のネック部とのセンター合わせを担う少なくとも3個のセンタリング凸部を有するセンタリング手段と;を具備することを特徴としている。
【0016】
この実施形態1で、ランプの発光源をなす電球には、その中心軸線上に発光部を有する白熱電球、ハロゲン電球、HIDランプ、又はLED電球等を使用可能であるとともに、この電球の形状は、反射鏡形、直管形、BT管形、A形、又はG形のいずれであっても差し支えない。この実施形態1で、接着剤には無機質系接着剤例えば粘度が比較的低いセメントを好適に使用することができる。これとともに、接着剤は、口金の大径部に反射鏡のネック部が挿入される前に、大径部の内周に予め塗布して設けても良く、或いは、大径部にネック部が挿入された状態でこれらの間に形成される隙間に注入して設けることも可能である。又、この実施形態1のランプは、例えばスポットライトの光源部として好適に適用できる他、各種照明器具の光源部に適用可能である。
【0017】
この実施形態1で、センタリング手段は、少なくとも3個のセンタリング凸部のみで形成されていてもよく、或いは、これらセンタリング凸部を利用して更に口金に対する反射鏡の中心軸線回りの回転を規制することができるように、センタリング凸部と同数でかつこれらが挿入されるセンタリング溝を有して構成されていてもよい。更に、3個のセンタリング凸部は、大径部又はネック部の周方向に等間隔に設けることが好ましいが、不等間隔であっても差し支えない。
【0018】
この実施形態1のランプは、センタリング手段が有した少なくとも3個のセンタリング凸部で、口金の大径部に対しこの内側に挿入された反射鏡のネック部をセンタリングすることが可能である。このため、センタリング手段を除いて大径部とネック部との間に比較的大きな隙間が確保されていても、口金と反射鏡を接着して組立てる際、前記隙間に設けられた未硬化の接着剤が固化するまでの間に、大径部に対しネック部が動くことをセンタリング手段により抑制できる。これより、口金の中心軸線と反射鏡及びこれに支持された電球の中心軸線とが一致された状態で、大径部とネック部との間の接着剤で口金に反射鏡を接着止めすることができる。したがって、所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0019】
実施形態2のランプは、実施形態1において、複数の前記センタリング凸部が前記大径部及び前記ネック部の中心軸線と平行であり、これらセンタリング凸部の長手方向一端が前記大径部の前記一端開口の付近に達しているとともに、長手方向他端が前記口金の大径部と小径部と間の中継部に達しており、隣接した前記センタリング凸部間でかつ前記大径部の一端部に注入口が形成されていて、この注入口を互の間に設けて隣接した前記センタリング凸部間に前記接着剤が充填されていることを特徴としている。
【0020】
この実施形態2で、センタリング凸部が大径部の一端開口の付近に達しているとは、センタリング凸部の一端が、大径部の開口された一端と同じ高さで互に面一に連続するように設けられた状態、又は、センタリング凸部の一端が、大径部の開口された一端の近傍でこの一端とは異なる高さとなるように設けられた状態を含んでいる。実施形態2で、大径部と小径部とを一体に接続した中継部は、その内周面が斜面を有して形成されていても、或いは大径部の内周面と小径部の内周面との間に形成された段差面を有する境界部で形成されていても差し支えない。更に、実施形態2で、注入口は、周方向に隣接されたセンタリング凸部間の全てに対して個々に設けられていてもよく、或いは、選択された一部のセンタリング凸部間のみに対して設けられてもよい。
【0021】
実施形態2では、実施形態1において、更に、大径部に反射鏡のネック部を挿入するに伴って、隣接したセンタリング凸部と、大径部とネック部とで仕切られてかつ注入口が連通する領域を形成できるので、この領域に注入口を通して未硬化の接着剤を注入して、口金の大径部と反射鏡のネックを接着止めすることが可能である。この場合、接着剤を注入口から溢れるように注入することで、この接着剤が既述のように仕切られた領域にこれを略埋め尽くすように充填される。したがって、接着剤の注入量を定量化できるとともに、大径部とネック部との接着箇所及び接着面積も規定できるので、口金と反射鏡との接着不良を抑制可能である。
【0022】
実施形態3のランプは、実施形態1又は2において、前記大径部の内周に係合凸部が突設され、この係合凸部が係合する係合溝が前記ネック部に設けられており、前記係合溝が、一端を前記ネック部の端面に開放して前記ネック部の中心軸線と平行でかつ前記係合凸部が通過可能な溝部と、この溝部の他端に折れ曲がるように連続されて前記係合凸部に引っ掛かる引掛け溝部を有して形成されていることを特徴としている。
【0023】
この実施形態3では、実施形態1又は2において、更に、反射鏡のネック部に設けられた係合溝の引掛け溝部が、口金の大径部に設けられた係合凸部に引っ掛かった状態で、口金と反射鏡とが組立てられている。このため、反射鏡を下向きにした状態でランプが使用される場合、仮に、口金の大径部と反射鏡のネック部との接着不良などを原因として反射鏡が脱落しようとすることがあっても、前記引っ掛かりで反射鏡が口金に支持されるので、反射鏡が脱落する恐れがない。
【0024】
実施形態4のランプは、実施形態1において、前記センタリング凸部が前記大径部の内周に突設されており、これらセンタリング凸部と同数のセンタリング溝が、前記センタリング凸部と同じ配置で、かつ、前記ネック部の端面に開放して前記ネック部に設けられており、これらセンタリング溝に前記センタリング凸部が挿入されていることを特徴としている。
【0025】
この実施形態4で、センタリング凸部は、センタリング溝と同じ長さであってもよいが、センタリング溝より短い方が、センタリング溝に接着剤の一部が入り込むことが可能となり、この入り込んだ接着剤により、口金と反射鏡の接着強度を向上することが可能である点で好ましい。又、こうして接着強度を向上させるための他の溝をネック部に付加することは差し支えない。
【0026】
この実施形態4では、実施形態1において、更に、センタリング溝とこれに挿入されたセンタリング凸部によって、口金の中心軸線と反射鏡の中心軸線とを一致させることが可能である他、製造時等において反射鏡がその中心軸線回りに回動することを抑制できる利点がある。更に、センタリング溝の一部に接着剤が入り込んでいる場合は、この入り込んだ接着剤で口金と反射鏡を更に接着可能であるので、これら口金と反射鏡との接着強度をより向上することが可能である。しかも、センタリング溝を通った接着剤が、反射鏡のネック部に支持された電球の外面に達する場合、この電球の反射鏡に対する支持強度も向上させることが可能である。
【0027】
実施形態5の照明器具は、器具本体と;この器具本体に配設された請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のランプと;を具備していることを特徴としている。
【0028】
この実施形態5で、器具本体に配設されたランプは、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載したランプと同じ作用を奏するので、所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能なランプを備えたことによって、高品質な照明器具を提供することが可能である。
【実施例1】
【0029】
以下、実施例1のランプ及びこれを備えた照明器具について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1中符号1は照明器具例えばスポットライトを示している。このスポットライト1は、基台2、支持ポール3、自在継手4、器具本体5、及びランプ11を具備している。
【0031】
基台2は例えば屋内の天井等に設置される。支持ポール3は基台2から下向きに突設されている。自在継手4は、支持ポール3の下端部と器具本体5の継手部5aとを回動可能に連結している。器具本体5は、例えば円筒形状であり、その一端は開口されている。器具本体5の一端部にその開口に対向して図示しないランプソケットが内蔵されている。この器具本体5の他端側に図示しないランプ点灯装置が内蔵されている。
【0032】
ランプ11は器具本体5が有した前記ランプソケットに着脱可能に取付けられている。次に、ランプ11について図2〜図4を参照して説明する。
【0033】
ランプ11は、口金12と、センタリング手段例えば少なくとも3個のセンタリング凸部17と、反射鏡21と、接着剤25と、光学ガラス27と、電球31を具備している。
【0034】
口金12は、口金ハウジング13、口金シェル14、及びアイレット部15を備えている。
【0035】
口金ハウジング13は、ステータイトやコージライト等のセラミックスの成形品からなり、図2及び図3に示すように中空円筒状の大径部13aと、中空円筒状の小径部13b、これらを一体に連続した中継部13cを有している。大径部13aの一端は開口されており、小径部13bは大径部13aの他端に中継部13cを介して設けられている。中継部13cは、例えば大径部13aから小径部13bに向かうに従い次第に縮径されている。そのため、この中継部13cの内周面13d(図2参照)は円錐状の面で形成されている。小径部13bの先端部は先細り状に縮径されている。
【0036】
口金シェル14は、金属製であって、小径部13bの外周に取付けられている。この口金シェル14付きの小径部13bは、器具本体5の前記ランプソケットに着脱可能にねじ込まれる。尚、このねじ込みによって口金ハウジング13の一部は器具本体5に挿入され支持される。金属製のアイレット部15は、小径部13bの先細りとなった先端に装着されている。
【0037】
図3及び図4に示すように各センタリング凸部17は、大径部13aの内周に一体に突設されていて、互に周方向に離れている。これらセンタリング凸部17の突出寸法は同じである。実施例1のセンタリング凸部17は、2個一組となっていて、3組のセンタリング凸部17が大径部13aの周方向に等間隔で設けられている。そして、実施例1では6個のセンタリング凸部17が大径部13aの周方向に不等間隔で設けられている。
【0038】
各センタリング凸部17はその幅が次第に狭くなるように先細り状に形成されている。これらセンタリング凸部17は、大径部13aの中心軸線と平行であり、その長手方向一端は大径部13aの開口された一端の付近に達しており、かつ、センタリング凸部17の長手方向他端は図2に示すように中継部13cの内面に達して(接して)いる。
【0039】
注入口19は、大径部13aの開口された一端部に形成されていて、例えば半円形状の溝からなる。この注入口19は、大径部13aの周方向に沿って隣接されて前記組をなしたセンタリング凸部17間に夫々設けられている。
【0040】
反射鏡21は、硬質ガラス、耐熱性合成樹脂、又は金属等の成形品であって、図2及び図3に示すように反射面部22と、ネック部23を備えている。
【0041】
反射面部22は、回転放物面又は回転楕円面等の形状をなした凹面状の反射面22a(図2参照)を有している。この反射面22aは光・熱を反射する反射膜(図示しない)でコーテングされている。ネック部23は、反射面部22の縮径された端部から円筒形状をなして反射面部22から離れるように一体に突設されている。ネック部23の先端は開口されている。
【0042】
反射鏡21は、そのネック部23を大径部13a内に挿入して接着剤25で口金12に接着されている。大径部13aに挿入されたネック部23の先端(図2の状態では下端)は、中継部13cの内周面に軽微に接触又は近接されている。これとともに、大径部13aに挿入されたネック部23の外周は、図4に示すように各センタリング凸部17の先端に接触若しくは近接している。それによって、ネック部23と大径部13aとのセンター合わせが行われて、口金12の中心軸線と反射鏡21の中心軸線が一致されている。
【0043】
尚、ネック部23に向けて大径部13aから突出された各センタリング凸部17の先端がネック部23の外周に接触する場合、センター合わせの精度をより高める上で好ましい。又、後述する接着剤25の漏れを抑制できる程度に各センタリング凸部17の先端がネック部23の外周に近接する場合、大径部13a内にネック部23を挿入する際、ネック部23が各センタリング凸部17に競ることが抑制されて、前記挿入がより容易となる点で好ましい。
【0044】
接着剤25は、液状ではなく、ある程度の粘度を有するセメント等からなる。この接着剤25は、大径部13aの周方向に隣接したセンタリング凸部17、例えば注入口19の両側に位置されるように配設された前記各組をなす2本のセンタリング凸部17と、大径部13a及びネック部23とで区画された領域に充填されていて、大径部13aとネック部23とを接着している。したがって、この実施例1では、図4に示すように120度毎3箇所で接着が行われている。尚、前記領域は、既述のように注入口19を間において配設された2本のセンタリング凸部17に、ネック部23の外周が軽微に接触又は近接するとともに、ネック部23の先端(図2の状態では下端)が中継部13cの内周面に軽微に接触又は近接することで、区画されている。又、接着剤25による接着箇所は3箇所に制約されず、任意に設定可能である。
【0045】
接着剤25は、大径部13aにネック部23が挿入された状態で注入口19から前記両域に注入される。こうして注入された未硬化の接着剤25が、注入口19から溢れ出るようになった時点で、接着剤25の注入は停止される。
【0046】
光学ガラス27は反射面部22の大径端の開口を塞いで反射鏡21に取付けられている。この光学ガラス27は、レンズやプリズムの機能を有していても、いなくても良い。又、光学ガラス27は必須ではなく省略することも可能である。
【0047】
電球31は例えばハロゲン電球からなる。図2に示すように電球31は、ガラスバルブ32と、一対の封着導体33と、一対の内部リード線34と、ガラスビード35と、フィラメント36と、一対の金属細線37と、一対の外部リード線38,39と、封入ガスを備えている。
【0048】
ガラスバルブ32は一端部に封着部32aを有している。封着導体33は封着部32a内に気密封止されている。内部リード線34は、封着部32aに埋設されて封着導体33に後述のように接続されているとともにガラスバルブ32内に延在されている。ガラスビード35は一対の内部リード線34の中間部を埋設固定している。フィラメント36は、コイル状であって、ガラスバルブ32内に延在された内部リード線34の一端部に継線されて、これら内部リード線34で支持されている。このフィラメント36はガラスバルブ32の中心軸線上に配設されている。金属細線37は、内部リード線34より細く、封着導体33の一端に接続され、かつ、他端は内部リード線34に接続されている。外部リード線38は封着導体33の他端に接続されてガラスバルブ32外に導出されている。
【0049】
電球31は反射鏡21の内部に収容されている。電球31の封着部32a側の端部は、ネック部23の内側に挿入されて図示しない耐熱性接着剤によりネック部23に固定されている。
【0050】
一方の外部リード線38は、口金12の内部に配線されたヒューズ線41及び外部導線42を介して前記アイレット部15に電気的に接続されている。他方のリード線39は、口金12を貫通して設けられた他の外部導線43を介して口金シェル14に電気的に接続されている。ヒューズ線41は細線からなり、その径方向断面積は外部リード線38及び外部導線42の径方向断面積より小さい。それによって、過電流が流れた際に溶断することが可能になっている。
【0051】
以上説明した反射鏡付きのランプ11は、反射鏡21のネック部23が挿入されて接着止めされる口金12に、ネック部23の外周面に接触若しくは近接する3個のセンタリング凸部17を周方向に互に離れて突設してあるから、ランプ製造時に、口金12の大径部13aに対しこの内側に挿入された反射鏡21のネック部23を、センタリング凸部17でセンタリングすることが可能である。
【0052】
こうして大径部12の大径部13aと反射鏡21のネック部23のセンターが合わせされた状態では、センタリング凸部17が存在した部分を除いて、これらセンタリング凸部17の突出寸法に応じた比較的大きい隙間が大径部13aとネック部23との間に形成される。それにも拘らず、大径部13aとネック部23との間に注入される未硬化の接着剤25が固化するまでの間に、大径部13aに対しネック部23が動くことをセンタリング凸部17によって抑制できる。
【0053】
これにより、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線とが一致された状態が維持されて、接着剤25の固化により大径部13aとネック部23とを接着止めできる。したがって、前記構成のランプ11及びこれを備えたスポットライトは所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0054】
更に、接着剤25による口金12と反射鏡21との接着は、予め、口金12の大径部13aの内周に接着剤25を塗布しておくのではなく、以下の手順で行うことができる。つまり、大径部13aにネック部23を挿入するに伴って、隣接したセンタリング凸部17と、これらの間にわたる大径部13aとネック部23の各部位とで仕切られた領域が形成されるので、この領域に連通している注入口19を通して未硬化の接着剤25を前記領域に注入することが可能である。
【0055】
この場合、接着剤25が注入口19から溢れるように注入された時点で、その注入を停止することで、前記領域の大きさに略見合った量の接着剤を注入できる。これにより、接着剤25の注入量が定量化されるとともに、大径部13aとネック部23との接着箇所及び接着面積も規定されるので、口金12と反射鏡21との接着不良を抑制可能である。したがって、例えばランプ11がその反射鏡21を下向きにして点灯されるようにスポットライト1が使用された状態で、仮に、前記ヒューズ線41が断線した場合にも、接着剤25による接着が全うされているので、不用意にランプ11が口金12から脱落する恐れがない。
【実施例2】
【0056】
図5及び図6は実施例2を示している。実施例2は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じである。このため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図5及び図6に図示されない構成については図2等を参照して説明する。
【0057】
この実施例2で、3個のセンタリング凸部17は、反射鏡21が有したネック部23の外周面に、その周方向に例えば等間隔毎に、かつ、口金12と反射鏡21が組み合わされた状態で大径部13aに向けて突出するように突設されている。これらセンタリング凸部17は、反射鏡21の中心軸線と平行であり、ネック部23の全長にわたって延びている。これとともに、センタリング凸部17の反射面部22と反対側の端は、ネック部23が口金12の大径部13aに挿入されることにより、中継部13cの内周面13d(図2参照)にネック部23の先端とともに軽微に接触若しくは近接されて、接着剤25を充填可能な領域を仕切っている。
【0058】
更に、注入口19は大径部13aの開口端部にセンタリング凸部17と同数設けられている。これら注入口19は、ネック部23が口金12の大径部13aに挿入された状態で、周方向に隣接された各センタリング凸部17間に配設される。そして、隣接されたセンタリング凸部17が仕切った領域のうちの少なくとも一つ、好ましくは全てに、接着剤25が充填されて口金12と反射鏡21が接着されている。
【0059】
実施例2のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例2においても、実施例1で説明したのと同様な理由により、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0060】
これとともに、大径部13aにネック部23を挿入した後に、接着剤25を充填可能に仕切られた領域に、これに連通している注入口19を通して未硬化の接着剤25を注入して、口金12と反射鏡21との接着できる。そのため、接着剤25の注入量が定量化されるとともに、大径部13aとネック部23との接着箇所及び接着面積も規定されるので、口金12と反射鏡21との接着不良を抑制可能である。
【実施例3】
【0061】
図7及び図8は実施例3を示している。実施例3は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じである。このため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図7及び図8に図示されない構成については図2等を参照して説明する。
【0062】
この実施例3で、センタリング手段は、口金12の大径部13aの内周に周方向に例えば等間隔に設けられた3個以上例えば3個のセンタリング凸部17と、これらセンタリング凸部17と同数でかつ同じ配置で反射鏡21のネック部23に形成されたセンタリング溝18とを有して形成されている。
【0063】
各センタリング凸部17は、センタリング溝18の全長より短いとともに、例えば大径部13aの一端開口側に寄せて設けられていて、口金12の中継部13cの内周面13d(図2参照)には達していない。各センタリング溝18は、ネック部23の中心軸線と平行であるとともに、センタリング凸部17より長く、かつ、その一端はネック部23の端面に夫々開放されている。これらセンタリング溝18の夫々にセンタリング凸部17が挿入されている。センタリング溝18とセンタリング凸部17との嵌め合い隙間は狭いほど好ましい。
【0064】
隣接されたセンタリング凸部17が大径部13a及びネック部23の周方向に仕切った領域のうちの少なくとも一つ、好ましくは全てに、接着剤25が充填されて口金12と反射鏡21が接着されている。なお、この実施例3では、注入口に相当する構成は省略されているが、注入口を大径部13aに設けてもよい。接着剤25の一部は、センタリング凸部17より長いセンタリング溝18の一部に入り込んでいるとともに、このセンタリング溝18に電球31が近接して臨んでいる場合には、センタリング溝18を通った接着剤を利用して電球31を接着することも可能である。
【0065】
ランプ11(図2参照)を製造する際、接着剤25は、ネック部23を大径部13aに挿入する以前に、大径部13aの内周に塗布しておいてもよく、実施例1,2のようにネック部23を大径部13aに挿入した後に、ネック部23の外周面を大径部13aの内周面との間に充填してもよく、又、これらの場合、センタリング溝18に予め未硬化の接着剤を塗布してからネック部23を大径部13aに挿入することもできる。
【0066】
この実施例3では、センタリング溝18とセンタリング凸部17とを位置合わせした状態で、ネック部23を大径部13aの内側に挿入することにより、各センタリング凸部17を各センタリング溝18に夫々挿入させる。それにより、ネック部23と大径部13aとのセンターが合わされて、口金12と反射鏡21とが組み合わされる。
【0067】
こうした組み合わせ状態で、かつ、ネック部23と大径部13aとの間に隙間に注入された未硬化の接着剤が固化する前に、ネック部23が大径部13aの径方向に移動しようとした場合、移動方向下流側に位置するセンタリング凸部17にこれに嵌っているセンタリング溝18の縁が直ちに接するので、それ以上動くことがなく、センタリングされた状態が維持される。例えば、図8中上側のセンタリング凸部17の突出方向にネック部23が移動しようとした場合、図8中下側に位置された2個のセンタリング凸部17が、前記上側のセンタリング凸部17に対して斜めになっているので、これら斜めのセンタリング凸部17がストッパとして機能し、これらに嵌っているセンタリング溝18の縁が直ちに接することで、口金12の大径部13aの径方向に対する反射鏡21のネック部23の移動が抑制されて、前記センタリング状態が維持される。
【0068】
実施例3のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例3においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0069】
更に、実施例3のランプ11は以下の利点がある。即ち、センタリング溝18とこれに挿入されたセンタリング凸部17によって、製造時等において反射鏡21がその中心軸線回りに回動することを抑制できる。その上、センタリング凸部17より長いセンタリング溝18の一部に接着剤25が入り込んでいて、この入り込んだ接着剤25を介して口金12と反射鏡21を接着可能であるので、これらの接着強度を更に向上することが可能である。また、既述のようにセンタリング溝18を通った一部の接着剤25が、反射鏡21のネック部23に支持された電球31の外面に達して接着する場合には、この電球31の反射鏡21に対する支持強度も向上させることが可能である。
【実施例4】
【0070】
図9は実施例4を示している。実施例4は以下説明する事項が実施例3とは相違しており、それ以外の構成は実施例3と同じである。このため、実施例3と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
この実施例4で、センタリング手段のセンタリング凸部17は先細り状に形成されていて、その根元部の幅はセンタリング溝18の幅より広く、先端部の幅はセンタリング溝18の幅より狭い。センタリング凸部17は、その両側面をセンタリング溝18の縁に接触させた状態でセンタリング溝18に挿入されている。この実施例4で、センタリング凸部17の長さは、センタリング溝18より短くても、或いは同じ長さであってもよい。
【0072】
実施例4のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例3と同じである。したがって、この実施例4においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制される。この場合、予め、センタリング凸部17の両側面とセンタリング溝18の縁が接しているので、実施例3の構成よりもセンタリングされた状態をより正確に維持することが可能である。したがって、実施例4のランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。又、実施例3と同様に製造時等において反射鏡21がその中心軸線回りに回動することも抑制できる。
【実施例5】
【0073】
図10及び図11は実施例5を示している。実施例5は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じであるため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図10及び図11に図示されない構成については図2等を参照して説明する。尚、図10は、説明の都合上、口金12に対して反射鏡21が適正な位置から中心軸線回りに180度回転させた状態で描いた。
【0074】
この実施例5のランプ11は引掛け手段を更に備えている。この引掛け手段は、係合凸部45とこれに引掛った状態に係合される係合溝47とからなる。
【0075】
係合凸部45は、口金12が有した大径部13aの一端開口に寄せて、この大径部13aの内周に突設されている。しかも、この係合凸部45は図11に示すように接着剤25から外れた位置に設けられている。
【0076】
係合溝47は反射鏡21のネック部23に設けられている。この係合溝47は、溝部47aと、引掛け溝部47bを有して形成されている。図10に示すように溝部47aは、ネック部23の中心軸線と平行であり、その一端はネック部23の端面に開放されている。この溝部47aは係合凸部45が通過可能な幅を有している。引掛け溝部47bは、溝部47aの他端(図10では上端)に折れ曲がるように連続して設けられている。
【0077】
口金12と反射鏡21を組立てる際、溝部47aに係合凸部45を位置合わせした状態で、大径部13aにネック部23が挿入される。この挿入と同時に、係合凸部45は、相対的に溝部47aに入り込んで図10中上向きに通過するように移動する。そして、ネック部23の挿入が終わった時点で、反射鏡21が所定方向に回動される。これにより、係合凸部45が、相対的に溝部47aから引掛け溝部47bに入り込んで、この引掛け溝部47bに引っ掛かる。
【0078】
実施例5のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例5においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を得ることが可能である。
【0079】
更に、実施例5のランプ11は既述の引掛け手段を備えていて、口金12の大径部13aに設けられた係合凸部45が、反射鏡21のネック部23に設けられた係合溝47の引掛け溝部47bに引っ掛かった状態で、組立てられている。この構成により、反射鏡21を下向きにした状態でランプ11が使用される場合、仮に、口金12の大径部13aと反射鏡21のネック部23との接着不良、及びヒューズ線41の断線などを原因として反射鏡21が脱落しようとすることがあっても、前記引っ掛かりで反射鏡21が口金12に支持されるので、反射鏡21が不用意に脱落する恐れがない。
【符号の説明】
【0080】
1…スポットライト(照明器具)、5…器具本体、11…ランプ、12…口金、13…口金ハウジング、13a…大径部、13b…小径部、13c…中継部、13d…中継部の内周面、17…センタリング凸部(センタリング手段)、18…センタリング溝(センタリング手段)、19…注入口、21…反射鏡、22…反射面部、22a…反射面、23…ネック部、25…接着剤、31…電球、45…係合凸部、47…係合溝、47a…溝部、47b…引掛け溝部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、反射鏡付きのランプ、及びこのランプを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
無口金形のハロゲン電球と、この電球の一端部に接続された口金と、ハロゲン電球を収容して口金に接着された反射鏡を組み合わせた構成のランプが、従来技術として知られている。
【0003】
このランプにおいて、口金は口金シェルを支持した磁器製ハウジングを備え、このハウジングは口金と反対側の端が開口された大径部を有している。反射鏡は、凹面状の反射面とネック部が一体に形成された凹面反射鏡であり、そのネック部は、口金が有した大径部の内側に挿入されている。ネック部と大径部とはこれらの間に存在するセメント製の接着剤により接着されている。更に、ハロゲン電球は、ハウジングの大径部の内側に挿入されかつ接着剤により接着されている。
【0004】
ハウジングの大径部内への反射鏡のネック部の挿入を容易にする上で、大径部とネック部との間に比較的大きな隙間が確保されていて、そこに接着剤が設けられている。このため、製造上、未硬化の接着剤が固化するまでの間に、口金のハウジングの大径部に対し反射鏡のネック部が動く可能性があり、この状態で電球が反射鏡のネック部の内周に接着されると、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線とが不一致になる。
【0005】
このように口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線とが不一致であると、電球のフィラメント等の発光源の中心軸線が口金の中心軸線からずれた状態となるため、所定の配光特性及び中心光度を確保することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−185958号公報
【特許文献2】特開平11−40111号公報
【特許文献3】特開2002−298637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線の不一致を抑制可能なランプ及びこのランプを備えた高品質な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、実施形態のランプは、口金、反射鏡、電球、接着剤、及び少なくとも3個のセンタリング凸部を具備する。口金は、一端が開口された大径部の他端に小径部を設けた口金ハウジングを有する。反射鏡は、凹面状の反射面を有した反射面部、及びこれに連続して設けられて大径部の内側に挿入されたネック部を備える。口金に電気的に接続する電球を、ネック部内に接着止めして反射鏡に収容し、接着剤を大径部とネック部との間に設けてこれらを接着する。各センタリング凸部を、大径部とネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設する。これらセンタリング凸部の先端を前記他方に接触若しくは近接させて、口金と反射鏡及び電球のセンター合わせをしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
実施形態1のランプによれば、口金の中心軸線と反射鏡及び電球の中心軸線の不一致を抑制可能である、という効果を期待できる。
【0010】
実施形態2のランプによれば、実施形態1において、更に、接着剤の注入量を定量化できるとともに、口金の大径部と反射鏡のネック部との接着箇所及び接着面積を規定できるので、口金と反射鏡との接着不良を抑制可能である、という効果を期待できる。
【0011】
実施形態3のランプによれば、実施形態1又は2において、更に、反射鏡を下向きにした状態でランプが使用された状態で反射鏡が脱落しようとする場合でも、反射鏡に設けた係合溝の引掛け溝部が口金の係合凸部に引っ掛かっているので、反射鏡が脱落する恐れがない、という効果を期待できる。
【0012】
実施形態4のランプによれば、実施形態1において、更に、反射鏡のセンタリング溝とこれに挿入された口金のセンタリング凸部によって、反射鏡がその中心軸線回りに回動することを抑制でき、しかも、センタリング溝に接着剤が入り込む場合には、口金と反射鏡との接着強度が向上されて、反射鏡に対する電球の支持強度を更に向上させることが可能である、という効果を期待できる。
【0013】
実施形態5の照明器具によれば、実施形態1から4のうちのいずれか一項に記載したランプを備えるので、所定の配光特性及び中心光度のばらつきが抑制され、品質を向上することが可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】図1の照明器具が備えるランプを示す断面図である。
【図3】図2のランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す斜視図である。
【図4】図2のランプの反射鏡と口金との関係を、電球を省略して図2中F4−F4線に沿って示す概略的な断面図である。
【図5】実施例2に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す概略的な斜視図である。
【図6】図5のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図7】実施例3に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す概略的な斜視図である。
【図8】図7のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図9】実施例4に係るランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【図10】実施例5に係るランプの反射鏡と口金とを分離した状態で示す斜視図である。
【図11】図10のランプの反射鏡と口金との関係を示す図4相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態1のランプは、一端が開口された大径部の他端に小径部が一体に設けられた口金ハウジングを有した口金と;凹面状の反射面を有した反射面部、及びこの反射面部に連続して設けられて前記大径部の内側に挿入されたネック部を備える反射鏡と;前記ネック部内に接着止めされて前記反射鏡に収容されるとともに前記口金に電気的に接続された電球と;前記大径部と前記ネック部との間に設けられてこれらを接着した接着剤と;前記大径部と前記ネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設されるとともに前記他方に接触若しくは近接して、前記口金の大径部と前記反射鏡のネック部とのセンター合わせを担う少なくとも3個のセンタリング凸部を有するセンタリング手段と;を具備することを特徴としている。
【0016】
この実施形態1で、ランプの発光源をなす電球には、その中心軸線上に発光部を有する白熱電球、ハロゲン電球、HIDランプ、又はLED電球等を使用可能であるとともに、この電球の形状は、反射鏡形、直管形、BT管形、A形、又はG形のいずれであっても差し支えない。この実施形態1で、接着剤には無機質系接着剤例えば粘度が比較的低いセメントを好適に使用することができる。これとともに、接着剤は、口金の大径部に反射鏡のネック部が挿入される前に、大径部の内周に予め塗布して設けても良く、或いは、大径部にネック部が挿入された状態でこれらの間に形成される隙間に注入して設けることも可能である。又、この実施形態1のランプは、例えばスポットライトの光源部として好適に適用できる他、各種照明器具の光源部に適用可能である。
【0017】
この実施形態1で、センタリング手段は、少なくとも3個のセンタリング凸部のみで形成されていてもよく、或いは、これらセンタリング凸部を利用して更に口金に対する反射鏡の中心軸線回りの回転を規制することができるように、センタリング凸部と同数でかつこれらが挿入されるセンタリング溝を有して構成されていてもよい。更に、3個のセンタリング凸部は、大径部又はネック部の周方向に等間隔に設けることが好ましいが、不等間隔であっても差し支えない。
【0018】
この実施形態1のランプは、センタリング手段が有した少なくとも3個のセンタリング凸部で、口金の大径部に対しこの内側に挿入された反射鏡のネック部をセンタリングすることが可能である。このため、センタリング手段を除いて大径部とネック部との間に比較的大きな隙間が確保されていても、口金と反射鏡を接着して組立てる際、前記隙間に設けられた未硬化の接着剤が固化するまでの間に、大径部に対しネック部が動くことをセンタリング手段により抑制できる。これより、口金の中心軸線と反射鏡及びこれに支持された電球の中心軸線とが一致された状態で、大径部とネック部との間の接着剤で口金に反射鏡を接着止めすることができる。したがって、所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0019】
実施形態2のランプは、実施形態1において、複数の前記センタリング凸部が前記大径部及び前記ネック部の中心軸線と平行であり、これらセンタリング凸部の長手方向一端が前記大径部の前記一端開口の付近に達しているとともに、長手方向他端が前記口金の大径部と小径部と間の中継部に達しており、隣接した前記センタリング凸部間でかつ前記大径部の一端部に注入口が形成されていて、この注入口を互の間に設けて隣接した前記センタリング凸部間に前記接着剤が充填されていることを特徴としている。
【0020】
この実施形態2で、センタリング凸部が大径部の一端開口の付近に達しているとは、センタリング凸部の一端が、大径部の開口された一端と同じ高さで互に面一に連続するように設けられた状態、又は、センタリング凸部の一端が、大径部の開口された一端の近傍でこの一端とは異なる高さとなるように設けられた状態を含んでいる。実施形態2で、大径部と小径部とを一体に接続した中継部は、その内周面が斜面を有して形成されていても、或いは大径部の内周面と小径部の内周面との間に形成された段差面を有する境界部で形成されていても差し支えない。更に、実施形態2で、注入口は、周方向に隣接されたセンタリング凸部間の全てに対して個々に設けられていてもよく、或いは、選択された一部のセンタリング凸部間のみに対して設けられてもよい。
【0021】
実施形態2では、実施形態1において、更に、大径部に反射鏡のネック部を挿入するに伴って、隣接したセンタリング凸部と、大径部とネック部とで仕切られてかつ注入口が連通する領域を形成できるので、この領域に注入口を通して未硬化の接着剤を注入して、口金の大径部と反射鏡のネックを接着止めすることが可能である。この場合、接着剤を注入口から溢れるように注入することで、この接着剤が既述のように仕切られた領域にこれを略埋め尽くすように充填される。したがって、接着剤の注入量を定量化できるとともに、大径部とネック部との接着箇所及び接着面積も規定できるので、口金と反射鏡との接着不良を抑制可能である。
【0022】
実施形態3のランプは、実施形態1又は2において、前記大径部の内周に係合凸部が突設され、この係合凸部が係合する係合溝が前記ネック部に設けられており、前記係合溝が、一端を前記ネック部の端面に開放して前記ネック部の中心軸線と平行でかつ前記係合凸部が通過可能な溝部と、この溝部の他端に折れ曲がるように連続されて前記係合凸部に引っ掛かる引掛け溝部を有して形成されていることを特徴としている。
【0023】
この実施形態3では、実施形態1又は2において、更に、反射鏡のネック部に設けられた係合溝の引掛け溝部が、口金の大径部に設けられた係合凸部に引っ掛かった状態で、口金と反射鏡とが組立てられている。このため、反射鏡を下向きにした状態でランプが使用される場合、仮に、口金の大径部と反射鏡のネック部との接着不良などを原因として反射鏡が脱落しようとすることがあっても、前記引っ掛かりで反射鏡が口金に支持されるので、反射鏡が脱落する恐れがない。
【0024】
実施形態4のランプは、実施形態1において、前記センタリング凸部が前記大径部の内周に突設されており、これらセンタリング凸部と同数のセンタリング溝が、前記センタリング凸部と同じ配置で、かつ、前記ネック部の端面に開放して前記ネック部に設けられており、これらセンタリング溝に前記センタリング凸部が挿入されていることを特徴としている。
【0025】
この実施形態4で、センタリング凸部は、センタリング溝と同じ長さであってもよいが、センタリング溝より短い方が、センタリング溝に接着剤の一部が入り込むことが可能となり、この入り込んだ接着剤により、口金と反射鏡の接着強度を向上することが可能である点で好ましい。又、こうして接着強度を向上させるための他の溝をネック部に付加することは差し支えない。
【0026】
この実施形態4では、実施形態1において、更に、センタリング溝とこれに挿入されたセンタリング凸部によって、口金の中心軸線と反射鏡の中心軸線とを一致させることが可能である他、製造時等において反射鏡がその中心軸線回りに回動することを抑制できる利点がある。更に、センタリング溝の一部に接着剤が入り込んでいる場合は、この入り込んだ接着剤で口金と反射鏡を更に接着可能であるので、これら口金と反射鏡との接着強度をより向上することが可能である。しかも、センタリング溝を通った接着剤が、反射鏡のネック部に支持された電球の外面に達する場合、この電球の反射鏡に対する支持強度も向上させることが可能である。
【0027】
実施形態5の照明器具は、器具本体と;この器具本体に配設された請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のランプと;を具備していることを特徴としている。
【0028】
この実施形態5で、器具本体に配設されたランプは、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載したランプと同じ作用を奏するので、所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能なランプを備えたことによって、高品質な照明器具を提供することが可能である。
【実施例1】
【0029】
以下、実施例1のランプ及びこれを備えた照明器具について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1中符号1は照明器具例えばスポットライトを示している。このスポットライト1は、基台2、支持ポール3、自在継手4、器具本体5、及びランプ11を具備している。
【0031】
基台2は例えば屋内の天井等に設置される。支持ポール3は基台2から下向きに突設されている。自在継手4は、支持ポール3の下端部と器具本体5の継手部5aとを回動可能に連結している。器具本体5は、例えば円筒形状であり、その一端は開口されている。器具本体5の一端部にその開口に対向して図示しないランプソケットが内蔵されている。この器具本体5の他端側に図示しないランプ点灯装置が内蔵されている。
【0032】
ランプ11は器具本体5が有した前記ランプソケットに着脱可能に取付けられている。次に、ランプ11について図2〜図4を参照して説明する。
【0033】
ランプ11は、口金12と、センタリング手段例えば少なくとも3個のセンタリング凸部17と、反射鏡21と、接着剤25と、光学ガラス27と、電球31を具備している。
【0034】
口金12は、口金ハウジング13、口金シェル14、及びアイレット部15を備えている。
【0035】
口金ハウジング13は、ステータイトやコージライト等のセラミックスの成形品からなり、図2及び図3に示すように中空円筒状の大径部13aと、中空円筒状の小径部13b、これらを一体に連続した中継部13cを有している。大径部13aの一端は開口されており、小径部13bは大径部13aの他端に中継部13cを介して設けられている。中継部13cは、例えば大径部13aから小径部13bに向かうに従い次第に縮径されている。そのため、この中継部13cの内周面13d(図2参照)は円錐状の面で形成されている。小径部13bの先端部は先細り状に縮径されている。
【0036】
口金シェル14は、金属製であって、小径部13bの外周に取付けられている。この口金シェル14付きの小径部13bは、器具本体5の前記ランプソケットに着脱可能にねじ込まれる。尚、このねじ込みによって口金ハウジング13の一部は器具本体5に挿入され支持される。金属製のアイレット部15は、小径部13bの先細りとなった先端に装着されている。
【0037】
図3及び図4に示すように各センタリング凸部17は、大径部13aの内周に一体に突設されていて、互に周方向に離れている。これらセンタリング凸部17の突出寸法は同じである。実施例1のセンタリング凸部17は、2個一組となっていて、3組のセンタリング凸部17が大径部13aの周方向に等間隔で設けられている。そして、実施例1では6個のセンタリング凸部17が大径部13aの周方向に不等間隔で設けられている。
【0038】
各センタリング凸部17はその幅が次第に狭くなるように先細り状に形成されている。これらセンタリング凸部17は、大径部13aの中心軸線と平行であり、その長手方向一端は大径部13aの開口された一端の付近に達しており、かつ、センタリング凸部17の長手方向他端は図2に示すように中継部13cの内面に達して(接して)いる。
【0039】
注入口19は、大径部13aの開口された一端部に形成されていて、例えば半円形状の溝からなる。この注入口19は、大径部13aの周方向に沿って隣接されて前記組をなしたセンタリング凸部17間に夫々設けられている。
【0040】
反射鏡21は、硬質ガラス、耐熱性合成樹脂、又は金属等の成形品であって、図2及び図3に示すように反射面部22と、ネック部23を備えている。
【0041】
反射面部22は、回転放物面又は回転楕円面等の形状をなした凹面状の反射面22a(図2参照)を有している。この反射面22aは光・熱を反射する反射膜(図示しない)でコーテングされている。ネック部23は、反射面部22の縮径された端部から円筒形状をなして反射面部22から離れるように一体に突設されている。ネック部23の先端は開口されている。
【0042】
反射鏡21は、そのネック部23を大径部13a内に挿入して接着剤25で口金12に接着されている。大径部13aに挿入されたネック部23の先端(図2の状態では下端)は、中継部13cの内周面に軽微に接触又は近接されている。これとともに、大径部13aに挿入されたネック部23の外周は、図4に示すように各センタリング凸部17の先端に接触若しくは近接している。それによって、ネック部23と大径部13aとのセンター合わせが行われて、口金12の中心軸線と反射鏡21の中心軸線が一致されている。
【0043】
尚、ネック部23に向けて大径部13aから突出された各センタリング凸部17の先端がネック部23の外周に接触する場合、センター合わせの精度をより高める上で好ましい。又、後述する接着剤25の漏れを抑制できる程度に各センタリング凸部17の先端がネック部23の外周に近接する場合、大径部13a内にネック部23を挿入する際、ネック部23が各センタリング凸部17に競ることが抑制されて、前記挿入がより容易となる点で好ましい。
【0044】
接着剤25は、液状ではなく、ある程度の粘度を有するセメント等からなる。この接着剤25は、大径部13aの周方向に隣接したセンタリング凸部17、例えば注入口19の両側に位置されるように配設された前記各組をなす2本のセンタリング凸部17と、大径部13a及びネック部23とで区画された領域に充填されていて、大径部13aとネック部23とを接着している。したがって、この実施例1では、図4に示すように120度毎3箇所で接着が行われている。尚、前記領域は、既述のように注入口19を間において配設された2本のセンタリング凸部17に、ネック部23の外周が軽微に接触又は近接するとともに、ネック部23の先端(図2の状態では下端)が中継部13cの内周面に軽微に接触又は近接することで、区画されている。又、接着剤25による接着箇所は3箇所に制約されず、任意に設定可能である。
【0045】
接着剤25は、大径部13aにネック部23が挿入された状態で注入口19から前記両域に注入される。こうして注入された未硬化の接着剤25が、注入口19から溢れ出るようになった時点で、接着剤25の注入は停止される。
【0046】
光学ガラス27は反射面部22の大径端の開口を塞いで反射鏡21に取付けられている。この光学ガラス27は、レンズやプリズムの機能を有していても、いなくても良い。又、光学ガラス27は必須ではなく省略することも可能である。
【0047】
電球31は例えばハロゲン電球からなる。図2に示すように電球31は、ガラスバルブ32と、一対の封着導体33と、一対の内部リード線34と、ガラスビード35と、フィラメント36と、一対の金属細線37と、一対の外部リード線38,39と、封入ガスを備えている。
【0048】
ガラスバルブ32は一端部に封着部32aを有している。封着導体33は封着部32a内に気密封止されている。内部リード線34は、封着部32aに埋設されて封着導体33に後述のように接続されているとともにガラスバルブ32内に延在されている。ガラスビード35は一対の内部リード線34の中間部を埋設固定している。フィラメント36は、コイル状であって、ガラスバルブ32内に延在された内部リード線34の一端部に継線されて、これら内部リード線34で支持されている。このフィラメント36はガラスバルブ32の中心軸線上に配設されている。金属細線37は、内部リード線34より細く、封着導体33の一端に接続され、かつ、他端は内部リード線34に接続されている。外部リード線38は封着導体33の他端に接続されてガラスバルブ32外に導出されている。
【0049】
電球31は反射鏡21の内部に収容されている。電球31の封着部32a側の端部は、ネック部23の内側に挿入されて図示しない耐熱性接着剤によりネック部23に固定されている。
【0050】
一方の外部リード線38は、口金12の内部に配線されたヒューズ線41及び外部導線42を介して前記アイレット部15に電気的に接続されている。他方のリード線39は、口金12を貫通して設けられた他の外部導線43を介して口金シェル14に電気的に接続されている。ヒューズ線41は細線からなり、その径方向断面積は外部リード線38及び外部導線42の径方向断面積より小さい。それによって、過電流が流れた際に溶断することが可能になっている。
【0051】
以上説明した反射鏡付きのランプ11は、反射鏡21のネック部23が挿入されて接着止めされる口金12に、ネック部23の外周面に接触若しくは近接する3個のセンタリング凸部17を周方向に互に離れて突設してあるから、ランプ製造時に、口金12の大径部13aに対しこの内側に挿入された反射鏡21のネック部23を、センタリング凸部17でセンタリングすることが可能である。
【0052】
こうして大径部12の大径部13aと反射鏡21のネック部23のセンターが合わせされた状態では、センタリング凸部17が存在した部分を除いて、これらセンタリング凸部17の突出寸法に応じた比較的大きい隙間が大径部13aとネック部23との間に形成される。それにも拘らず、大径部13aとネック部23との間に注入される未硬化の接着剤25が固化するまでの間に、大径部13aに対しネック部23が動くことをセンタリング凸部17によって抑制できる。
【0053】
これにより、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線とが一致された状態が維持されて、接着剤25の固化により大径部13aとネック部23とを接着止めできる。したがって、前記構成のランプ11及びこれを備えたスポットライトは所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0054】
更に、接着剤25による口金12と反射鏡21との接着は、予め、口金12の大径部13aの内周に接着剤25を塗布しておくのではなく、以下の手順で行うことができる。つまり、大径部13aにネック部23を挿入するに伴って、隣接したセンタリング凸部17と、これらの間にわたる大径部13aとネック部23の各部位とで仕切られた領域が形成されるので、この領域に連通している注入口19を通して未硬化の接着剤25を前記領域に注入することが可能である。
【0055】
この場合、接着剤25が注入口19から溢れるように注入された時点で、その注入を停止することで、前記領域の大きさに略見合った量の接着剤を注入できる。これにより、接着剤25の注入量が定量化されるとともに、大径部13aとネック部23との接着箇所及び接着面積も規定されるので、口金12と反射鏡21との接着不良を抑制可能である。したがって、例えばランプ11がその反射鏡21を下向きにして点灯されるようにスポットライト1が使用された状態で、仮に、前記ヒューズ線41が断線した場合にも、接着剤25による接着が全うされているので、不用意にランプ11が口金12から脱落する恐れがない。
【実施例2】
【0056】
図5及び図6は実施例2を示している。実施例2は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じである。このため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図5及び図6に図示されない構成については図2等を参照して説明する。
【0057】
この実施例2で、3個のセンタリング凸部17は、反射鏡21が有したネック部23の外周面に、その周方向に例えば等間隔毎に、かつ、口金12と反射鏡21が組み合わされた状態で大径部13aに向けて突出するように突設されている。これらセンタリング凸部17は、反射鏡21の中心軸線と平行であり、ネック部23の全長にわたって延びている。これとともに、センタリング凸部17の反射面部22と反対側の端は、ネック部23が口金12の大径部13aに挿入されることにより、中継部13cの内周面13d(図2参照)にネック部23の先端とともに軽微に接触若しくは近接されて、接着剤25を充填可能な領域を仕切っている。
【0058】
更に、注入口19は大径部13aの開口端部にセンタリング凸部17と同数設けられている。これら注入口19は、ネック部23が口金12の大径部13aに挿入された状態で、周方向に隣接された各センタリング凸部17間に配設される。そして、隣接されたセンタリング凸部17が仕切った領域のうちの少なくとも一つ、好ましくは全てに、接着剤25が充填されて口金12と反射鏡21が接着されている。
【0059】
実施例2のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例2においても、実施例1で説明したのと同様な理由により、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0060】
これとともに、大径部13aにネック部23を挿入した後に、接着剤25を充填可能に仕切られた領域に、これに連通している注入口19を通して未硬化の接着剤25を注入して、口金12と反射鏡21との接着できる。そのため、接着剤25の注入量が定量化されるとともに、大径部13aとネック部23との接着箇所及び接着面積も規定されるので、口金12と反射鏡21との接着不良を抑制可能である。
【実施例3】
【0061】
図7及び図8は実施例3を示している。実施例3は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じである。このため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図7及び図8に図示されない構成については図2等を参照して説明する。
【0062】
この実施例3で、センタリング手段は、口金12の大径部13aの内周に周方向に例えば等間隔に設けられた3個以上例えば3個のセンタリング凸部17と、これらセンタリング凸部17と同数でかつ同じ配置で反射鏡21のネック部23に形成されたセンタリング溝18とを有して形成されている。
【0063】
各センタリング凸部17は、センタリング溝18の全長より短いとともに、例えば大径部13aの一端開口側に寄せて設けられていて、口金12の中継部13cの内周面13d(図2参照)には達していない。各センタリング溝18は、ネック部23の中心軸線と平行であるとともに、センタリング凸部17より長く、かつ、その一端はネック部23の端面に夫々開放されている。これらセンタリング溝18の夫々にセンタリング凸部17が挿入されている。センタリング溝18とセンタリング凸部17との嵌め合い隙間は狭いほど好ましい。
【0064】
隣接されたセンタリング凸部17が大径部13a及びネック部23の周方向に仕切った領域のうちの少なくとも一つ、好ましくは全てに、接着剤25が充填されて口金12と反射鏡21が接着されている。なお、この実施例3では、注入口に相当する構成は省略されているが、注入口を大径部13aに設けてもよい。接着剤25の一部は、センタリング凸部17より長いセンタリング溝18の一部に入り込んでいるとともに、このセンタリング溝18に電球31が近接して臨んでいる場合には、センタリング溝18を通った接着剤を利用して電球31を接着することも可能である。
【0065】
ランプ11(図2参照)を製造する際、接着剤25は、ネック部23を大径部13aに挿入する以前に、大径部13aの内周に塗布しておいてもよく、実施例1,2のようにネック部23を大径部13aに挿入した後に、ネック部23の外周面を大径部13aの内周面との間に充填してもよく、又、これらの場合、センタリング溝18に予め未硬化の接着剤を塗布してからネック部23を大径部13aに挿入することもできる。
【0066】
この実施例3では、センタリング溝18とセンタリング凸部17とを位置合わせした状態で、ネック部23を大径部13aの内側に挿入することにより、各センタリング凸部17を各センタリング溝18に夫々挿入させる。それにより、ネック部23と大径部13aとのセンターが合わされて、口金12と反射鏡21とが組み合わされる。
【0067】
こうした組み合わせ状態で、かつ、ネック部23と大径部13aとの間に隙間に注入された未硬化の接着剤が固化する前に、ネック部23が大径部13aの径方向に移動しようとした場合、移動方向下流側に位置するセンタリング凸部17にこれに嵌っているセンタリング溝18の縁が直ちに接するので、それ以上動くことがなく、センタリングされた状態が維持される。例えば、図8中上側のセンタリング凸部17の突出方向にネック部23が移動しようとした場合、図8中下側に位置された2個のセンタリング凸部17が、前記上側のセンタリング凸部17に対して斜めになっているので、これら斜めのセンタリング凸部17がストッパとして機能し、これらに嵌っているセンタリング溝18の縁が直ちに接することで、口金12の大径部13aの径方向に対する反射鏡21のネック部23の移動が抑制されて、前記センタリング状態が維持される。
【0068】
実施例3のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例3においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。
【0069】
更に、実施例3のランプ11は以下の利点がある。即ち、センタリング溝18とこれに挿入されたセンタリング凸部17によって、製造時等において反射鏡21がその中心軸線回りに回動することを抑制できる。その上、センタリング凸部17より長いセンタリング溝18の一部に接着剤25が入り込んでいて、この入り込んだ接着剤25を介して口金12と反射鏡21を接着可能であるので、これらの接着強度を更に向上することが可能である。また、既述のようにセンタリング溝18を通った一部の接着剤25が、反射鏡21のネック部23に支持された電球31の外面に達して接着する場合には、この電球31の反射鏡21に対する支持強度も向上させることが可能である。
【実施例4】
【0070】
図9は実施例4を示している。実施例4は以下説明する事項が実施例3とは相違しており、それ以外の構成は実施例3と同じである。このため、実施例3と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
この実施例4で、センタリング手段のセンタリング凸部17は先細り状に形成されていて、その根元部の幅はセンタリング溝18の幅より広く、先端部の幅はセンタリング溝18の幅より狭い。センタリング凸部17は、その両側面をセンタリング溝18の縁に接触させた状態でセンタリング溝18に挿入されている。この実施例4で、センタリング凸部17の長さは、センタリング溝18より短くても、或いは同じ長さであってもよい。
【0072】
実施例4のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例3と同じである。したがって、この実施例4においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制される。この場合、予め、センタリング凸部17の両側面とセンタリング溝18の縁が接しているので、実施例3の構成よりもセンタリングされた状態をより正確に維持することが可能である。したがって、実施例4のランプ11は所定の配光特性及び中心光度を確保することが可能である。又、実施例3と同様に製造時等において反射鏡21がその中心軸線回りに回動することも抑制できる。
【実施例5】
【0073】
図10及び図11は実施例5を示している。実施例5は以下説明する事項が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じであるため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略するとともに、図10及び図11に図示されない構成については図2等を参照して説明する。尚、図10は、説明の都合上、口金12に対して反射鏡21が適正な位置から中心軸線回りに180度回転させた状態で描いた。
【0074】
この実施例5のランプ11は引掛け手段を更に備えている。この引掛け手段は、係合凸部45とこれに引掛った状態に係合される係合溝47とからなる。
【0075】
係合凸部45は、口金12が有した大径部13aの一端開口に寄せて、この大径部13aの内周に突設されている。しかも、この係合凸部45は図11に示すように接着剤25から外れた位置に設けられている。
【0076】
係合溝47は反射鏡21のネック部23に設けられている。この係合溝47は、溝部47aと、引掛け溝部47bを有して形成されている。図10に示すように溝部47aは、ネック部23の中心軸線と平行であり、その一端はネック部23の端面に開放されている。この溝部47aは係合凸部45が通過可能な幅を有している。引掛け溝部47bは、溝部47aの他端(図10では上端)に折れ曲がるように連続して設けられている。
【0077】
口金12と反射鏡21を組立てる際、溝部47aに係合凸部45を位置合わせした状態で、大径部13aにネック部23が挿入される。この挿入と同時に、係合凸部45は、相対的に溝部47aに入り込んで図10中上向きに通過するように移動する。そして、ネック部23の挿入が終わった時点で、反射鏡21が所定方向に回動される。これにより、係合凸部45が、相対的に溝部47aから引掛け溝部47bに入り込んで、この引掛け溝部47bに引っ掛かる。
【0078】
実施例5のランプ11は、以上説明した事項以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例5においても、前記課題が解決されて、口金12の中心軸線と反射鏡21及びこの内側に支持された電球31の中心軸線の不一致が抑制されるので、このランプ11は所定の配光特性及び中心光度を得ることが可能である。
【0079】
更に、実施例5のランプ11は既述の引掛け手段を備えていて、口金12の大径部13aに設けられた係合凸部45が、反射鏡21のネック部23に設けられた係合溝47の引掛け溝部47bに引っ掛かった状態で、組立てられている。この構成により、反射鏡21を下向きにした状態でランプ11が使用される場合、仮に、口金12の大径部13aと反射鏡21のネック部23との接着不良、及びヒューズ線41の断線などを原因として反射鏡21が脱落しようとすることがあっても、前記引っ掛かりで反射鏡21が口金12に支持されるので、反射鏡21が不用意に脱落する恐れがない。
【符号の説明】
【0080】
1…スポットライト(照明器具)、5…器具本体、11…ランプ、12…口金、13…口金ハウジング、13a…大径部、13b…小径部、13c…中継部、13d…中継部の内周面、17…センタリング凸部(センタリング手段)、18…センタリング溝(センタリング手段)、19…注入口、21…反射鏡、22…反射面部、22a…反射面、23…ネック部、25…接着剤、31…電球、45…係合凸部、47…係合溝、47a…溝部、47b…引掛け溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開口された大径部の他端に小径部が一体に設けられた口金ハウジングを有した口金と;
凹面状の反射面を有した反射面部、及びこの反射面部に連続して設けられ前記大径部の内側に挿入されたネック部を備える反射鏡と;
前記ネック部内に接着止めされて前記反射鏡に収容されるとともに前記口金に電気的に接続された電球と;
前記大径部と前記ネック部との間に設けられてこれらを接着した接着剤と;
前記大径部と前記ネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設されるとともに前記他方に接触若しくは近接して、前記口金の大径部と前記反射鏡のネック部とのセンター合わせを担う少なくとも3個のセンタリング凸部を有するセンタリング手段と;
を具備することを特徴とするランプ。
【請求項2】
複数の前記センタリング凸部が前記大径部及び前記ネック部の中心軸線と平行であり、これらセンタリング凸部の長手方向一端が前記大径部の前記一端開口の付近に達しているとともに、長手方向他端が前記口金の大径部と小径部との間の中継部に達しており、隣接した前記センタリング凸部間でかつ前記大径部の一端部に注入口が形成されていて、この注入口を互の間に設けて隣接した前記センタリング凸部間に前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記大径部の内周に係合凸部が突設され、この係合凸部が係合する係合溝が前記ネック部に設けられており、前記係合溝が、一端を前記ネック部の端面に開放して前記ネック部の中心軸線と平行でかつ前記係合凸部が通過可能な溝部と、この溝部の他端に折れ曲がるように連続されて前記係合凸部に引っ掛かる引掛け溝部を有して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記センタリング凸部が前記大径部の内周に突設されており、これらセンタリング凸部と同数のセンタリング溝が、前記センタリング凸部と同じ配置で、かつ、前記ネック部の端面に開放して前記ネック部に設けられており、これらセンタリング溝に前記センタリング凸部が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項5】
器具本体と;
この器具本体に配設された請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
一端が開口された大径部の他端に小径部が一体に設けられた口金ハウジングを有した口金と;
凹面状の反射面を有した反射面部、及びこの反射面部に連続して設けられ前記大径部の内側に挿入されたネック部を備える反射鏡と;
前記ネック部内に接着止めされて前記反射鏡に収容されるとともに前記口金に電気的に接続された電球と;
前記大径部と前記ネック部との間に設けられてこれらを接着した接着剤と;
前記大径部と前記ネック部のうちの一方に周方向に互に離れてかつ他方に向けて突設されるとともに前記他方に接触若しくは近接して、前記口金の大径部と前記反射鏡のネック部とのセンター合わせを担う少なくとも3個のセンタリング凸部を有するセンタリング手段と;
を具備することを特徴とするランプ。
【請求項2】
複数の前記センタリング凸部が前記大径部及び前記ネック部の中心軸線と平行であり、これらセンタリング凸部の長手方向一端が前記大径部の前記一端開口の付近に達しているとともに、長手方向他端が前記口金の大径部と小径部との間の中継部に達しており、隣接した前記センタリング凸部間でかつ前記大径部の一端部に注入口が形成されていて、この注入口を互の間に設けて隣接した前記センタリング凸部間に前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記大径部の内周に係合凸部が突設され、この係合凸部が係合する係合溝が前記ネック部に設けられており、前記係合溝が、一端を前記ネック部の端面に開放して前記ネック部の中心軸線と平行でかつ前記係合凸部が通過可能な溝部と、この溝部の他端に折れ曲がるように連続されて前記係合凸部に引っ掛かる引掛け溝部を有して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記センタリング凸部が前記大径部の内周に突設されており、これらセンタリング凸部と同数のセンタリング溝が、前記センタリング凸部と同じ配置で、かつ、前記ネック部の端面に開放して前記ネック部に設けられており、これらセンタリング溝に前記センタリング凸部が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項5】
器具本体と;
この器具本体に配設された請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−174406(P2012−174406A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33262(P2011−33262)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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