説明

リアクタコンポーネント

核分裂リアクタ内において用いられるのに適したリアクタコンポーネントは、第1の材料からなるコア(2)および第2の材料からなる層(3)を備える。層(3)は、コア(2)を少なくとも部分的に包囲する。コンポーネント(1)は、コア(2)と層(3)との間に中間層(4)を備える。中間層(4)は、コア(2)から層(3)への第1の材料の濃度の減少、およびコア(2)から層(3)への第2の材料の濃度の増加を含む材料勾配を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核分裂リアクタ内において用いられるのに適したリアクタコンポーネントに関し、第1の材料からなるコアおよび第2の材料からなる層を備え、層はコアを少なくとも部分的に包囲する。
【背景技術】
【0002】
核分裂リアクタのためのリアクタコンポーネントは、核分裂プロセスによって影響される環境内に、または核分裂プロセスの付近に位置するコンポーネントである。この種のリアクタコンポーネントは、さまざまな機能(例えば、核燃料要素内の構造材料、核分裂プロセスを制御するためのコンポーネント、リアクタにおける異なるパラメータの測定のためのコンポーネント、など)を有することができる。リアクタコンポーネントは、しばしば、外側周囲(例えば、核分裂リアクタ内の反応環境)と接している。この外側周囲(outer surrounding)は、高温および高圧で化学的にアグレッシブである物質を含むことができる。リアクタコンポーネントのまわりの外側周囲は、例えば、減速材および冷却媒体から成ることができる。そしてそれは、加圧水型および沸騰水型原子炉内の軽水を含む。
【0003】
外側周囲におけるアグレッシブな物質は、例えば異なる種類の腐食の影響によって、リアクタコンポーネントと反応し得る。そして、これにより、コンポーネントの機能は、悪化するかまたは完全に終わり得る。腐食の影響の例は、いわゆる影腐食(shadow corrosion)である。そしてそれは、結果として、核分裂プロセスの付近に位置するリアクタコンポーネント上の局所的に増加した腐食になり得る。影腐食は、リアクタコンポーネント上の局所的に高い酸化膜厚を引き起こし得る。そしてそれは、リアクタコンポーネントの機能が悪化するかまたは完全に終わる結果となり得る。リアクタコンポーネントはまた、異なる形の摩滅プロセス、または腐食と組み合わされる摩耗、または他の相互作用によって影響され得る。また、異なる形の材料除去プロセス(例えば、材料を除去する摩滅(abrasion)、フレッチング(fretting)および浸食腐食(erosion corrosion))は、リアクタコンポーネント上に起こり得る。摩滅は、コンポーネントの近いものとの間の接触によって、またはリアクタコンポーネントと外側周囲の材料ストリーム(例えば、リアクタを通る冷却媒体ストリーム)との間の接触によって、例えば発生し得る。後者の場合、高速の外側周囲の媒体がリアクタコンポーネントと衝突して、コンポーネントの表面から材料を除去するときに、材料は、リアクタコンポーネントから除去され得る。1つ以上のリアクタコンポーネントが摩滅、腐食または他の影響を受けたときに、リアクタコンポーネントの欠陥を取り除くために、リアクタを停止させることが必要でもよい。稼動停止は、結果として、生産の損失を形成する大きな経費、およびリアクタコンポーネントの欠陥の修理または交換のための経費となる。
【0004】
リアクタコンポーネントは、リアクタ内におけるその稼動によって起動することができて、放射性になり得る。リアクタコンポーネントのまわりのリアクタ内における外側周囲は、互いに反応するリアクタコンポーネントおよび外側周囲によって、またはさまざまな形の材料除去プロセスによって、汚染され得る。リアクタコンポーネントからの材料を有する外側周囲の汚染は、結果として、リアクタ内における放射性物質の分散を招く。リアクタコンポーネントからの材料の除去はまた、結果として、磨り減っているリアクタコンポーネントの部分になり得る。これらの部分は、冷却システムにおいて位置ずれを起こし、そして他のリアクタコンポーネント(例えば燃料要素内の被覆管)上の摩滅を起こし得る。そしてそれは、リアクタコンポーネントの機能が悪化するかまたは終わる結果となり得る。燃料要素内の燃料棒上の摩滅を有する例において、これはいわゆる燃料の欠陥の結果となり得る。ここで、核分裂性物質は外側周囲と接することになり、外側周囲を汚染する。外側周囲の汚染の結果、保守作業員は、増加した放射線量に曝されているリアクタで保守作業を行うことになる。リアクタが停止され、そして欠陥のあるリアクタコンポーネントが交換されることも必要であり得る。
【0005】
リアクタコンポーネントの材料の厚みは、例えば腐食および摩滅からの異なる種類の相互作用の発生に対する特定の安全域をもって寸法取りされる。異なる種類の改良によって、リアクタコンポーネントの材料の厚みを減らすことは、望ましい。コンポーネントの材料の厚みを減少させる1つの理由は、使用されたリアクタコンポーネントがそれらの反応性のせいで、それらの反応性が特定のレベルに減少するまで貯蔵の特別な処理を必要とすることである。この種の処理または貯蔵は、高コストであり、リアクタコンポーネントの材料の量の減少が望ましい理由である。特定のリアクタコンポーネントの機能は、それらの材料の厚みが減少するときに高められる。材料の厚みの減少によって機能が高められるリアクタコンポーネントの1つの例は、いわゆるスペーサである。そしてそれは、燃料要素内の燃料棒を切り離して、燃料棒から冷却媒体への熱の移動のための冷却媒体の流れに乱流を生成するように機能する。スペーサの材料の厚みを減らすことによって、スペーサによって生じる燃料要素内の圧力損失は、減少する。これにより、例えば、燃料要素内のスペーサの個数は、冷却媒体に対する改良された熱移動能力と共に増加することができる。そして、同時に、燃料要素全体の総圧力損失は維持される。
【0006】
燃焼済み(burned out)の核燃料のさらなる貯蔵のための処理についての技術は、特許文献1に記載されている。特許文献1において、燃焼済みの核燃料は、冷間静水圧成形法(CIP)によって圧力がかけられたアルミニウムおよびボロンの粉末で処理され、次いで、プラズマ焼結によって共に焼結される。
【0007】
特許文献2は、燃料要素のためのセラミック材料のスペーサを開示する。セラミックスペーサは、従来の焼結方法によって製造される。共構造材料としてセラミック材料を使用するときの課題は、材料の機械的性質(例えば強さ、耐疲労性など)を保証することである。セラミックコンポーネントの従来の製造において、異なる種類の欠陥は、材料の内部に導入される。そしてそれは、機械的性質にネガティブな意味を有する。特許文献2は、2つの異なる材料の間にいかなる材料勾配も開示しない。
【0008】
特許文献3は、燃料要素および制御棒上の耐摩耗性コーティングを開示する。コーティングは、ガラスマトリックスに混入されるセラミック(ceramical)材料から成る。ここで、ガラスマトリックスは、以下の金属(metallical)材料に対するバインド(binding)を形成する。コーティングは、スプレー法によって金属材料に塗布される。特許文献3は、2つの異なる材料の間にいかなる材料勾配も開示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1249844号
【特許文献2】国際公開第97/50091号
【特許文献3】国際公開第94/14164号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、改良された特性を有するリアクタコンポーネントを提供することである。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴付けられた部分において規定された特徴を含む、最初に規定された要素でもって達成される。
【0012】
リアクタコンポーネントは、コアと層との間にある中間層により上述の目的を達成する。中間層は、第1の材料および第2の材料の混合物を含むか、またはそれから成る。
【0013】
リアクタコンポーネントは、核分裂リアクタにおいて用いられるのに適したコンポーネントに関する。リアクタコンポーネントは、コアおよびコアを少なくとも部分的に包囲する層を備える。コンポーネントのコアは、第1の材料から成り、コンポーネントの層は、第2の材料から成る。
【0014】
中間層は、第1の材料から第2の材料まで特性の遷移を提供するコアと層との間の層である。中間層は、第1の材料と第2の材料との濃度の段階的または漸次的な遷移を含む。中間層は、材料勾配を有する。そしてそれは、中間層における第1の材料および第2の材料の濃度がゼロよりも大きいことを意味する。材料勾配は、コアおよび層と比較した場合の濃度変化を含む。材料勾配は、第1および第2の材料が均質(homogenous)の混合物を含むことができる。材料勾配はまた、第1の材料と第2の材料との濃度の間の比の、中間層内での変化を含むことができる。これにより、材料勾配は、リアクタコンポーネントの良好な材料特性を得るために、第1および第2の材料の、例えば温度の広がり(expansion)に関する物質特性を考慮して調整されることができる。材料勾配により、コア内の第1の材料と層内の第2の材料との間に遷移が形成される。そしてそれは、層とコアとの間に強い接着を提供する。中間層における材料勾配により、第1の材料と第2の材料との間の熱的および弾性的な違いによって生成されるコンポーネントの内部応力は、減少する。これにより、層のコアに対する接着は改善して、コンポーネントに対して改善された機能性を提供する。
【0015】
本発明の実施形態によれば、材料勾配は、コアから層への第1の材料の濃度の連続的な減少、および、コアから層への第2の材料の濃度の連続的な上昇を含む。これにより、材料勾配は、第1の材料から第2の材料へ(逆もまた然り)の特性の漸次的な遷移を提供するように調整される。
【0016】
本発明の実施形態によれば、リアクタコンポーネントは、焼結によって製造される。そしてそれは、コンポーネントに、第1の材料および第2の材料の共に良好な焼結を提供する焼結方法は、圧力を加え、および/または温度を上昇させることを含み得るか、または組み合わされ得る。焼結方法は、焼結されたコンポーネントのいくつかの物質特性(例えば粒子サイズおよび孔隙率(porosity))が広い間隔の範囲内で制御可能であることを保証する。焼結方法は、第2の材料が第1の材料を少なくとも部分的に包囲するような仕方で、第1の材料および第2の材料をツールのスペースに供給する工程と、コアと層との間に中間層が形成されるように、第1の材料および第2の材料を共に、リアクタコンポーネントに焼結する工程と、を含むことができる。第1の材料および第2の材料を供給する工程において、スペースの内側部分とスペースの外側部分との間に中間ゾーンが形成される。中間ゾーンは、スペースの内側部分からスペースの外側部分への第1の材料の濃度の減少、および、スペースの内側部分からスペースの外側部分への第2の材料の濃度の増加、を含む。さらにまた、第1および第2の材料が、共にもたらされて中間ゾーンを形成するような仕方で、スペースは振動されることができる。供給される第1の材料は、粉末形状であり得る。供給される第2の材料は、粉末形状であり得る。
【0017】
さらにまた、スペースは、内側部分を備える内側分離部材、および外側部分を備える外側分離部材によって分けられることができ、外側分離部材と内側分離部材との間に中間部分が形成される。分離部材は、製造されるコンポーネントの形状に依存するパイプとして、例えば構成されることができる。中間部分は、中間ゾーンを形成するために、第1の材料および第2の材料の混合物が供給される。中間部分もまた、少なくとも中間部材の分割部分に分けられることができる。分割部分は、第1の材料の濃度と第2の材料の濃度との間で異なる比率の混合物が供給される。
【0018】
本発明の実施形態によれば、層は、コアを例えば外側周囲から保護するように調整される。これにより、リアクタコンポーネントのコアは、相互作用(例えば、異なる種類の腐食および摩滅)から保護される。相互作用は、リアクタコンポーネントと外側周囲との間の反応(例えば、リアクタコンポーネントの腐食またはリアクタコンポーネント上の材料の除去)を含むことができる。相互作用はまた、隣接するリアクタコンポーネント間の摩滅を含むことができる。層によりリアクタコンポーネントのコアに提供される保護によって、リアクタコンポーネントの機能性は保証されることができ、リアクタコンポーネントの稼動信頼性は改善される。同様に、層は、周囲のコンポーネントがリアクタコンポーネントから影響(例えば影腐食からの相互作用)を受けないように保護する。これにより、リアクタコンポーネントの欠陥に起因するリアクタの操作上の稼動停止(operational shut down)は、回避されることができる。リアクタコンポーネントのコアに対する層の保護機能のために、リアクタコンポーネントのコアの部分の摩滅もまた回避される。これらの部分は、例えば、燃料要素上の燃料の欠陥の形の他のリアクタコンポーネント上の損傷を生成し得る。リアクタコンポーネントが層によって保護されるので、放射性物質を含むリアクタコンポーネントからの材料の除去も回避される。これにより、外側周囲における放射性物質の分散は、回避されることができる。外側周囲が汚染されることを回避することにより、リアクタの保守作業での保守作業員の放射線被曝線量は、減少する。層の保護機能はまた、リアクタコンポーネントの材料の厚みを減らすために用いることができる。これにより、使用されたリアクタコンポーネントの廃棄物処理のための経費は、低減することがあり得る。特定のリアクタコンポーネント(例えば燃料要素内のスペーサ)にとって、リアクタコンポーネントの材料の厚みの減少は、改良された性能を提供する。この改良された性能は、例えばリアクタの効率を向上させるために使用可能することができる。
【0019】
外側周囲は、リアクタコンポーネントのまわりの周囲から成る。そしてそれは、主に減速材および冷却媒体を含む。リアクタの稼動で、外側周囲は、接触でリアクタコンポーネントと反応し得る反応環境を形成する。
【0020】
本発明の実施形態によれば、層は、実質的に、核分裂リアクタの環境内において耐食性である。実質的に耐食性であることは、層が化学的に不活性であり、または実質的に化学的に不活性であり、それによる保護の効果が、核分裂リアクタ内における外側周囲に曝された場合にも維持されることを意味する。層が耐食性であることにより、リアクタコンポーネントのコアは、外側周囲との相互作用から保護される。これにより、リアクタコンポーネントの完全性および機能は、保証される。
【0021】
本発明の実施形態によれば、層は、コアを外側周囲から少なくとも部分的に電気的に絶縁するように調整される。電気的絶縁は、層が電流の導通に抵抗することを意味する。層がコアを少なくとも部分的に電気絶縁するので、リアクタコンポーネント上のさまざまなタイプの腐食の影響(例えば影腐食)、または異なるリアクタコンポーネント間の腐食の影響は、防止される。
【0022】
本発明の実施形態によれば、層は、リアクタコンポーネントのコアよりも、より高い耐摩耗性を有する。これにより、層は、リアクタコンポーネントのコアを異なる形の摩滅(例えば、隣接するリアクタコンポーネント間の機械的摩滅、浸食腐食、など)から保護する。これにより、リアクタコンポーネントの完全性および機能は、保証される。
【0023】
本発明の実施形態によれば、リアクタコンポーネントの層は、金属材料およびセラミック材料のうちの少なくとも1つを含む。これらの群からの特定の材料は、リアクタ環境内において特に適切である性質を有する。例えば、特定のセラミック材料(例えばSiC)は、高い耐食性があり、高い硬度を有し、耐熱性がある。例えば、特定の金属材料(例えばZr)は、高い耐食性および良好な機械的特性を有する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、リアクタコンポーネントの層は、Ti、Zr、Al、Fe、Cr、Ni、SiC、SiN、ZrO2、Alおよびそれらの混合物の群より選択される少なくとも1つの物質、ならびに他のあり得る残部からなる。この群からの物質は、リアクタコンポーネントの層にとって好ましい特性を有する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、層は、コアを完全に包囲する。これにより、コアは、外側周囲から完全に保護されて、切り離される。
【0026】
本発明の実施形態によれば、リアクタコンポーネントは、燃料要素のためのスペーサの少なくとも一部を含む。これにより、スペーサは、異なる構成の1つ以上のリアクタコンポーネントから組み立てられることができる。これにより、スペーサは、異なる種類のリアクタにおいて用いるために適応される。層によって、スペーサは、異なる形の相互作用(例えば影腐食(shadow corrosion)、摩滅(abrasion)、フレッチング(fretting)、浸食腐食(erosion corrosion)、など)から保護される。
【0027】
スペーサの機能は、燃料要素内の燃料棒を切り離して、燃料棒から冷却媒体への熱の移動のための冷却媒体の流れに乱流を生成することである。スペーサは、燃料棒を受け入れるのに適したスペーサ・セルのグリッドを備える。スペーサの格子は、例えば、結合されたスリーブの縦および横のスペーサ壁64から、または他の設計によって、作られることができる。リアクタコンポーネントは、例えばスペーサ壁によって備えることができる。そしてそれは、複数のスペーサ壁と共にスペーサに組み立てられる。同様に、リアクタコンポーネントは、スペーサスリーブを備えることができる。そしてそれは、複数のスペーサスリーブと共にスペーサ要素に組み立てられる。また、それらが個々に、または共にスペーサ60を形成するように、リアクタコンポーネントの他の調整は、組み合わされることができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、スペーサは、沸騰水型原子炉タイプの軽水核分裂リアクタ内において用いられるように調整される。
【0029】
本発明の実施形態によれば、リアクタコンポーネントは、燃料要素の内部に、またはそれに隣接して挿入されるのに適した制御棒先端の少なくとも一部を構成する。層によって、制御棒先端は、異なる形の相互作用(例えば影腐食、摩滅、フレッチング、浸食腐食、など)から保護される。
【0030】
制御棒の機能は、核分裂リアクタの反応性を制御することである。制御棒は、隣接するコンポーネント(例えば、加圧水型原子炉のための燃料要素内の案内管、または沸騰水型原子炉のための燃料要素内の燃料チャネル)と接することができるかまたはそれによって影響されることができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、制御棒先端は、沸騰水型原子炉タイプの軽水核分裂リアクタ内において用いられるように調整される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明はここで、本発明の異なる実施形態を参照することにより、そして添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るリアクタコンポーネントの、側面から見た断面を示す。
【図2】図2は、リアクタコンポーネントの断面の物質濃度の異なる例を有する線図を示す。
【図3】図3は、リアクタコンポーネントの断面の物質濃度の異なる例を有する線図を示す。
【図4】図4は、リアクタコンポーネントの断面の物質濃度の異なる例を有する線図を示す。
【図5】図5は、リアクタコンポーネントの断面の物質濃度の異なる例を有する線図を示す。
【図6a】図6aは、燃料要素のためのスペーサの形の本発明の例の斜視図を示す。
【図6b】図6bは、スペーサのスペーサ壁の断面を示す。
【図7a】図7aは、加圧水型原子炉のための制御棒先端の形の本発明の例の斜視図を示す。
【図7b】図7bは、加圧水型原子炉のための制御棒先端の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、側面から見た断面図において、本発明の実施形態に係るリアクタコンポーネント1の一例を開示し、以下では、コンポーネントとして示す。図1のコンポーネント1は、中心が0(ゼロ)にあり、表面がx軸に沿ったRにあるボディである。コンポーネントは、リアクタにおけるその機能によって与えられる任意の形状を有することができる。例えば、コンポーネント1の形状は、平板、矩形、方形、球形、円筒形等であり得る。
【0034】
コンポーネント1は、核分裂リアクタにおいて用いるのに適していて、第1の材料からなるコア2、および第2の材料からなる層3を備える。コンポーネントの層3は、図1に示された例では、コア2を完全に包囲して、その保護特性(例えば、耐食性および電気絶縁性)によって外側周囲(outer surrounding)からコア2を保護する。
【0035】
コンポーネント1は、適切な焼結方法を用いて焼結により製造される。本発明のために用いることができる適切な焼結方法の例は、大気圧かつ上昇した温度にて焼結する従来の焼結技術、冷間静水圧成形法(CIP)、熱間静水圧成形法(HIP)、放電プラズマ焼結等である。
【0036】
中間層4がコア2と層3との間に形成されるような方法で、焼結は実行される。中間層4は、第1の材料および第2の材料の両方を含む。中間層4は、コア2から層3へは第1の材料の濃度が減少し、かつ、コア2から層3へは第2の材料の濃度が増加する材料勾配を有する。中間層4は、コア2と層3との間の遷移を形成し、こうして第1の材料の物質特性は第2の材料の特性へと遷移し、逆もまた然りである。これにより、コア2と層3との間の良好な接着が生成される。
【0037】
図2〜図5は、リアクタコンポーネントの断面の物質濃度の例を示す。図のx軸は寸法の軸であり、ここで0(ゼロ)はコンポーネントの中心を示し、Rはコンポーネントの外周を示す。図のy軸は、コンポーネントの第1の材料(ここでAで示しかつ点線で示される)、および第2の材料(ここでBで示しかつ実線で示される)についての物質濃度を百分率で示す。図において、コア2、中間層4、および層3は、図のx軸に沿って指定される。
【0038】
図2は、リアクタコンポーネントの範囲内での物質濃度のバリエーションの一例を示す。ここで、コア2と層3との間の中間層4は、コア2から層3へ第1の材料の濃度が段階的に減少し、かつ、コア2から層3へ第2の材料の濃度が段階的に増加する材料勾配を有する。図2の例では、コア2から中間層4への第1の材料の濃度の減少は、段階的に生じる。第1の材料の濃度は、コア2において実質的に100%から、中間層4において実質的に50%に減少する。第1の材料の濃度は、中間層4の範囲内では一定である。さらに、中間層4から層3への第1の材料の濃度の減少は、段階的に生じて、実質的に50%から実質的に0%となる。逆に、コア2から中間層4へは、第2の材料の濃度が段階的に増加する。ここで、第2の材料の濃度は、コア2において実質的に0%から、中間層4において実質的に50%に増加する。第2の材料の濃度は、中間層4の範囲内では一定である。さらに、中間層4から層3への第2の材料の濃度の増加は、段階的に生じて、実質的に50%から実質的に100%となる。
【0039】
図3は、図2と同様に、リアクタコンポーネントの範囲内での物質濃度の段階的なバリエーションの一例を示す。違いは、中間層4が2つの濃度エリア、すなわち第1の濃度エリア41および第2の濃度エリア42を含むことであり、第1の材料と第2の材料とは異なる濃度である。第1の材料および第2の材料の濃度は、第1の濃度エリア41および第2の濃度エリア42の範囲内で一定である。図3の例では、コア2から中間層4への第1の材料の濃度の減少は、段階的に生じる。ここで、第1の材料の濃度は、コア2において実質的に100%から、中間層4の第1の濃度エリア41において実質的に70%に減少する。中間層4の範囲内では、第1の濃度エリア41から、第2の濃度エリア42への第1の材料の濃度の段階的な減少が生じて、実質的に70%から実質的に30%となる。中間層4の第2の濃度エリア42から層3への第1の材料の濃度の段階的な減少は、生じて、実質的に30%から実質的に0%となる。逆に、コア2から中間層4へは、第2の材料の濃度の増加が生じる。
【0040】
図4は、リアクタコンポーネントの範囲内での物質濃度のバリエーションの一例を示す。ここで、コア2と層3との間の中間層4は、コア2から層3への第1の材料の濃度の連続的な減少、ならびに、コア2から層3への第2の材料の濃度の連続的な増加を含む材料勾配を有する。中間層4の範囲内では、コア2から層3へ、第1の材料の濃度は、実質的に100%から実質的に0%へ一定した比率で減少する。逆に、中間層の範囲内において、第2の材料の濃度は、コア2から層3へ、実質的に0%から実質的に100%へ増加する。
【0041】
図5は、リアクタコンポーネントの範囲内での物質濃度のバリエーションの一例を示す。ここで、コア2と層3との間の中間層4は、コア2から層3への第1の材料の濃度の連続した減少、ならびにコア2から層3への第2の材料の濃度の連続した増加を含む材料勾配を含む。図5の例では、コア2から中間層4への第1の材料の濃度の減少は、連続的に生じる。中間層4の範囲内では、第1の材料の濃度の漸次的な減少が生じて、実質的に100%から実質的に0%となる。コア2と層3との間の遷移は、例えば、非線形の仕方で生じ得る。逆に、コア2から、第2の材料の濃度の増加は、生じる。開示された例において、中間層4はコンポーネントの主たる部分を構成し、他方でコア2および層3はコンポーネントの少ない部分を構成する。
【0042】
図6aは、燃料要素のためのスペーサ60の形のリアクタコンポーネントの例の斜視図を示す。スペーサ60の機能は、燃料要素(図において示されない)内の燃料棒を切り離して、燃料棒から冷却媒体への熱の移動のための冷却媒体の流れに乱流を生成することである。スペーサ60は、燃料棒を受け入れるためのスペーサ・セル62を備える。スペーサ60は、複数のスペーサ壁64から作られる。スペーサ60の格子は、例えば、結合されたスリーブの縦および横のスペーサ壁64から、または他の構造によって、作られることができる。スペーサ壁64は、リアクタコンポーネントを単独で構成することができる。そしてそれは、複数のスペーサ壁64と共にスペーサ60に組み立てられる。同様にして、リアクタコンポーネントは、スペーサスリーブで構成することができる。そしてそれは、複数のスペーサスリーブと共にスペーサ60に組み立てられる。また、それらが個々に、または共にスペーサ60を構成するように、リアクタコンポーネントの他の調整は、組み合わされることができる。
【0043】
図6bは、スペーサ60のスペーサ壁64の断面を示す。スペーサ壁64は、金属材料(例えばインコネルまたはジルカロイ)のコア2、およびセラミック材料(例えば二酸化ジルコニウム(ZrO))の層3を含む。層3とコア2との間に中間層4が設けられる。そしてそれは、コア2から層3まで物質特性の漸次的な遷移を形成する。層3は、スペーサ壁の材料の厚みが、層3のないスペーサと比較して減少することができる保護特性を有する。そして、燃料要素においてスペーサ60によって形成される圧力低下は、減少する。層3によって、スペーサ60は、異なる形の相互作用(例えば影腐食、摩滅、フレッチングおよび浸食腐食、など)に対して保護される。層3の保護効果によって、リアクタコンポーネントのまわりの周囲のコンポーネントもまた、異なる形の相互作用(例えば影腐食、摩滅、フレッチングおよび浸食腐食、など)から保護される。
【0044】
図7aは、加圧水型原子炉用の制御棒70の制御棒先端74の形のリアクタコンポーネントの例の斜視図を示す。複数の制御棒70は、制御棒要素(図において示されない)に取り付けられる。そしてそれは、興味のある燃料設計にしたがって調整される。制御棒70の機能は、加圧水型原子炉の核分裂プロセスを終了することである。制御棒は、中性子吸収物質72(例えば硼素、ハフニウム、カドミウム、など)で満たされる制御棒管を備える。制御棒70は、リアクタが停止される(turned off)ときに、燃料要素(図において示されない)の案内管内に降下する。
【0045】
図7bは、制御棒先端74の断面を示す。制御棒先端74は、中性子吸収物質のコア2、およびセラミック材料(例えばシリコーン・カーバイド(SiC))の層3を含む。層3とコア2との間に中間層4がある。そしてそれは、コア2から層3まで物質特性の漸次的な遷移を形成する。層3は、制御棒先端74が燃料要素の案内管との接触で損傷を受けないことを保証する保護特性を有する。層3の保護効果によって、リアクタコンポーネントのまわりの周囲のコンポーネント(例えば、制御棒のための案内管、位置決めデバイス(「ガイド・カード」)、など)もまた、異なる形の相互作用(例えば影腐食、摩滅、フレッチングおよび浸食腐食、など)から保護される。
【0046】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、以下の請求項の範囲内において修正および変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核分裂リアクタ内において用いられるのに適合し、第1の材料からなるコア(2)および第2の材料からなる層(3)を備え、前記層(3)は、前記コア(2)を少なくとも部分的に包囲する、リアクタコンポーネント(1)であって、前記コア(2)と前記層(3)との間に中間層(4)を備え、前記中間層(4)は、前記コア(2)から前記層(3)への前記第1の材料の濃度の減少、および前記コア(2)から前記層(3)への前記第2の材料の濃度の増加を含む材料勾配を有する、リアクタコンポーネント(1)。
【請求項2】
前記材料勾配は、前記コア(2)から前記層(3)への前記第1の材料の濃度の連続した減少、および前記コア(2)から前記層(3)への前記第2の材料の濃度の連続した増加を含む、請求項1に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項3】
前記リアクタコンポーネント(1)は、焼結によって製造される、請求項1または2に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項4】
前記層(3)は、核分裂リアクタの環境内において実質的に耐食性である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項5】
前記層(3)は、前記コア(2)を外側周囲から保護するように調整される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項6】
前記層(3)は、前記コア(2)を外側周囲から少なくとも部分的に電気的に絶縁するように調整される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項7】
前記層(3)は、前記コア(2)よりも、より高い耐摩耗性を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項8】
前記層(3)は、金属材料およびセラミック材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項9】
前記層(3)は、Ti、Zr、Al、Fe、Cr、Ni、SiC、SiN、ZrO2、Alおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの物質、ならびに他のあり得る残部からなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項10】
前記層(3)は、前記コア(2)を完全に包囲する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項11】
前記コンポーネント(1)は、燃料要素のためのスペーサ(60)の少なくとも一部を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項12】
前記スペーサ(60)は、沸騰水型原子炉タイプの軽水核分裂リアクタ内において用いられるように調整される、請求項11に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項13】
前記リアクタコンポーネント(1)は、燃料要素の内部または付近に挿入されるように調整される制御棒先端(74)の少なくとも一部を構成する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリアクタコンポーネント(1)。
【請求項14】
前記制御棒先端(74)は、沸騰水型原子炉タイプの軽水核分裂リアクタ内において用いられるように構成される、請求項13に記載のリアクタコンポーネント(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2013−521493(P2013−521493A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556038(P2012−556038)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/SE2011/050203
【国際公開番号】WO2011/108974
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504446548)ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー (26)