説明

リアクーリングユニットの仮保持構造

【課題】リアクーリングユニットの仮保持作業の作業性を向上させることができるリアクーリングユニットの仮保持構造を提供する。
【解決手段】リアクーリングユニット10の左右両側部に係合部13が設けられ、被係合部3を備えたサイドブラケット2が車両の天井部1に左右一対設けられ、被係合部3は、車幅方向内側W1が開口するフック状に形成され、リアクーリングユニット10を押し上げて、係合部13で被係合部3を下から押圧すると、サイドブラケット2が弾性変形して、左右一対の被係合部3の開口部3Kが互いに離間し、さらにリアクーリングユニット10を押し上げると、被係合部3が係合部13を乗り越え、サイドブラケット2が弾性復元するとともに、左右一対の被係合部3の開口部3Kの間隔が元の間隔に戻り、リアクーリングユニット10を支える力を除くことにより係合部13が被係合部3に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
車両の天井部にリアクーリングユニットが仮保持されるリアクーリングユニットの仮保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクーリングユニットは天井部にボルトにより締め付け固定される。このリアクーリングユニットは重量物であることから、締め付け固定作業中にリアクーリングユニットを作業者が保持すると作業者の負担が非常に大きくなる。そこで、締め付け固定前にリアクーリングユニットを天井部に仮保持し、その後に天井部にボルトで締め付け固定している。
従来、上記のリアクーリングユニットの仮保持構造は、特許文献1に開示されているように、吊下げ形リアクーラー(以下、「リアクーリングユニット」と称する)の上面に、上端に係止部を備えた仮保持爪を樹脂で一体に成形し、車体側に設けた取り付け板に穿設した鍵穴状の孔に仮保持爪を差込んで係止するよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4214823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアクーリングユニットを車両の天井部に仮保持させる工程において作業者はリアクーリングユニットを下から支える姿勢になっている。そのために、上記従来の技術のように鍵穴状の孔に仮保持爪を差込む構造では、鍵穴状の孔がリアクーリングユニットに隠れて見えず、鍵穴状の孔に仮保持爪を挿入することが困難であった。その結果、仮保持作業の作業性が低下していた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、リアクーリングユニットの仮保持作業の作業性を向上させることができるリアクーリングユニットの仮保持構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
車両の天井部にリアクーリングユニットが仮保持されるリアクーリングユニットの仮保持構造であって、
前記リアクーリングユニットの左右両側部に係合部が設けられ、
前記係合部が係合する被係合部を備えたサイドブラケットが前記車両の天井部に左右一対設けられ、
前記左右一対のサイドブラケットの被係合部は、車幅方向内側が開口するフック状に形成され、
前記リアクーリングユニットを前記天井部側に押し上げて、前記係合部で前記被係合部を下から押圧すると、前記左右一対のサイドブラケットが弾性変形して、前記左右一対の被係合部の開口部が互いに離間し、
さらに前記リアクーリングユニットを押し上げると、前記被係合部が前記係合部を乗り越え、前記左右一対のサイドブラケットが弾性復元するとともに、前記左右一対の被係合部の開口部の間隔が元の間隔に戻り、
前記リアクーリングユニットを支える力を除くことにより前記係合部が前記被係合部に係合する点にある。(請求項1)
【0006】
前記リアクーリングユニットを前記天井部側に押し上げて、前記係合部で前記被係合部を下から押圧すると、前記左右一対のサイドブラケットが弾性変形して、前記左右一対の被係合部の開口部が互いに離間する。さらに前記リアクーリングユニットを押し上げると、前記被係合部が前記係合部を乗り越え、前記左右一対のサイドブラケットが弾性復元するとともに、前記左右一対の被係合部の開口部の間隔が元の間隔に戻り、リアクーリングユニットを支える力を除くことにより前記係合部が前記被係合部に係合する。これにより、リアクーリングユニットが車両の天井部に仮保持される。
上記の構成によれば、作業者は複雑な動作をすることなく、リアクーリングユニットを車両の天井部側に押し上げてリアクーリングユニットを支える力を除くだけの簡易な動作でリアクーリングユニットを天井部に仮保持させることができ、リアクーリングユニットの仮保持作業の作業性を向上させることができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記係合部は前記リアクーリングユニットの車両後方側の両側部に設けられ、
前記リアクーリングユニットの車両前方側の両側部に第2の係合部が設けられ、
前記第2の係合部に係合する第2の被係合部が前記車両の天井部に左右一対設けられ、
前記第2の被係合部は車両後方側が開口するフック状に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
リアクーリングユニットの車両前方側の両側部に設けられた第2の係合部を、天井部に設けられた左右一対の第2の被係合部に係合させて、リアクーリングユニットの車両前方側の位置を決める。この状態で、リアクーリングユニットの車両後方側の端部を天井部側に押し上げると、リアクーリングユニットが第2の被係合部を支点として上方に回転し、前記係合部が前記被係合部を下から押圧する。そして、前記左右一対のサイドブラケットが弾性変形し、前記左右一対の被係合部の開口部が互いに離間する。
さらに前記リアクーリングユニットの車両後方側の端部を押し上げると、前記被係合部が前記係合部を乗り越え、前記左右一対のサイドブラケットが弾性復元するとともに、前記左右一対の被係合部の開口部の間隔が元の間隔に戻り、リアクーリングユニットを支える力を除くことにより前記係合部が前記被係合部に係合する。これにより、リアクーリングユニットが車両の天井部に仮保持される。
そして、リアクーリングユニットを車両の天井部に合計4箇所で仮保持することができ、安定した精度の高い組み付けが可能となる。
このように、リアクーリングユニットの車両前方側の両側部に設けられた左右一対の第2の係合部を、天井部に設けられた左右一対の第2の被係合部に各別に係合させ、リアクーリングユニットの車両後方側の端部を、前記第2の被係合部を支点として上方に回転させ、リアクーリングユニットを支える力を除くだけの簡易な動作でリアクーリングユニットを天井部に仮保持させることができ、例えば、リアクーリングユニット全体を水平姿勢のまま持ち上げて前記係合部を被係合部に係合させる構造に比べると、リアクーリングユニットを天井部により簡単に仮保持させることができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記第2の被係合部は開口部の奥側に縦壁を備えていると、リアクーリングユニットの車両前後方向の位置決めがより容易となる。
さらに、リアクーリングユニットの車両後方側の端部を押し上げる際の支点位置が容易にわかり、リアクーリングユニットの仮保持のための組み付け作業が簡易になる。(請求項3)
【0010】
本発明において、
前記第2の被係合部は前記縦壁の下端部から車両後方側に延びる下壁を備え、
前記下壁の車両後方側の端部は山形状に屈曲形成されて前記第2の係合部に対するガイド部に構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0011】
リアクーリングユニットの第2の係合部を第2の被係合部に差し込み易く、しかも、第2の係合部が第2の被係合部から落下しにくくすることができる。(請求項4)
【0012】
本発明において、
仮保持状態の前記リアクーリングユニットの車両後方側への位置変更を許す空間が前記リアクーリングユニットの周りに形成され、前記仮保持状態のリアクーリングユニットを車両後方側に位置変更させるに伴って、前記係合部が前記被係合部に対して車両後方側にスライド移動するとともに、前記第2の被係合部に対する前記第2の係合部の係合が解除され、
前記左右一対のサイドブラケットを弾性変形させて前記左右一対の被係合部の開口部を互いに離間させることで、前記被係合部に対する前記係合部の係合が解除されるよう構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0013】
前記仮保持状態のリアクーリングユニットを車両後方側に位置変更させるに伴って、前記係合部が前記被係合部に対して車両後方側にスライド移動するとともに、前記第2の被係合部に対する前記第2の係合部の係合が解除される。
その後、前記左右一対のサイドブラケットを弾性変形させて前記左右一対の被係合部の開口部を互いに離間させることで、前記被係合部に対する前記係合部の係合が解除される。
これにより、前記仮保持状態のリアクーリングユニットの仮保持を解除することができ、仮保持解除作業を簡単に行うことができる。(請求項5)
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、
リアクーリングユニットの仮保持作業の作業性を向上させることができるリアクーリングユニットの仮保持構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】リアクーリングユニットとリアクーリングユニットの周辺の部品を表した概略図
【図2】車両への組み付け前のクーリングユニットを示す分解斜視図
【図3】(a)は車両左側のサイドブラケットの取り付け構造の斜視図、(b)は車両右側のサイドブラケットの取り付け構造の斜視図
【図4】リアクーリングユニットの車体への取り付け方法を示す側面図
【図5】第2係合部と第2被係合部の係合構造を示す斜視図
【図6】第2被係合部を形成するクランク状の係合片の斜視図
【図7】リアクーリングユニットの車両後方側の端部の天井部への組み付け方法を示す縦断正面図
【図8】(a)は車両左側の係合部と被係合部の係合状態を示す縦断正面図、(b)は車両右側の係合部と被係合部の係合状態を示す縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2に、自動車の天井部1(図3(a),図3(b),図7参照)にリアクーリングユニット10が仮保持されるリアクーリングユニットの仮保持構造を示してある。リアクーリングユニット10は自動車の車室内を冷房する装置であり、天井部1にボルトにより締め付け固定される。このリアクーリングユニット10は重量物であることから、締め付け固定作業中にリアクーリングユニット10を作業者が保持すると作業者の負担が非常に大きくなる。そこで、締め付け固定前にリアクーリングユニット10を天井部1に仮保持し、その後に天井部1に複数のボルトで締め付け固定している。
【0017】
[リアクーリングユニット10の構造]
図2,図4に示すように、リアクーリングユニット10は縦断側面視で上下逆の台形状に形成され、車幅方向に長く形成されている。そして、リアクーリングユニット10の上面の車両後方側Rrの端部に、車幅方向に長い板状の固定用メンバ20が重ねられて複数のボルトBで固定されている。固定用メンバ20にはボルト挿通孔Sが形成されている。図2の符号10Tはリアクーリングユニット10の底壁、10Sは側壁、図4の符号10Aはリアクーリングユニット10の前壁、10Bは後壁である。
【0018】
固定用メンバ20はリアクーリングユニット10の車幅方向の長さよりも長く設定され(図1参照)、固定用メンバ20の左右両端部がリアクーリングユニット10の左右両端部の両側壁10Sからリアクーリングユニット10の幅方向外側(車幅方向外側W2)に各別に突出している。
【0019】
図4,図8(a),図8(b)に示すように、固定用メンバ20の車両前方側Frの端部からフランジ状の前壁20F1が下方に延び、固定用メンバ20の車両後方側Rrの端部に、前記前壁20F1に対向する断面U字状の後壁20Kが形成されている。固定用メンバ20の長手方向の両端部(車幅方向の両端部)は、固定用メンバ20の長手方向外方側ほど下方に位置するように傾斜して第1係合部13(係合部に相当)に構成されている。このように、リアクーリングユニット10の車両後方側Rrの左右両側部に第1係合部13が設けられている。
【0020】
また、図1,図5に示すように、リアクーリングユニット10の車両前方側Frの両側部に第2係合部14(第2の係合部に相当)が設けられている。この第2係合部14はリアクーリングユニット10の車両前方側Frの側部の両側壁10Sからリアクーリングユニット10の幅方向外側(車幅方向外側W2)に突出し、複数箇所で縦軸芯周りに円弧状に屈曲した縦壁状に形成されている。
【0021】
[天井部1の構造]
図3(a),図3(b),図6,図7に示すように、第1係合部13が係合する第1被係合部3(被係合部に相当)を下面に備えた板状のサイドブラケット2が前記天井部1に左右一対設けられている。サイドブラケット2は、下端部側の取り付け部2Aが天井部1の側壁1Sに車室内側(車幅方向内側W1)から重ねられてボルトBにより固定されている。
【0022】
取り付け部2Aよりも上側に位置するブラケット本体2Bは、取り付け部2Aに対して車室内側に折曲されて、車幅方向内側W1(車室内側)ほど上方に位置するように傾斜し、このブラケット本体2Bの上部側の下面(斜め下方を向く車室内側の面)に前記第1被係合部3が設けられている。
【0023】
サイドブラケット2の幅方向(車両前後方向)の両端部は車室内側に折曲するフランジ2F1,2F2に構成されている。車両後方側Rrのフランジ2F1の高さ寸法は車両前方側Frのフランジ2F2の高さ寸法よりも低く(短く)設定されている。
【0024】
図3(a),図3(b),図7,図8(a),図8(b)に示すように、前記第1被係合部3は、クランク状の係合片の一片をブラケット本体2Bの上部側の下面(車室内側の面)に溶接固着して形成され、車幅方向内側W1が開口(車幅方向内側W1の上方に向かって開口)するフック状に形成されている。
【0025】
すなわち、第1被係合部3は、ブラケット本体2Bの上部側の下面に溶接固着された基端部3Aと、基端部3Aに対して直角に折曲する縦壁3Bと、縦壁3Bに対して直角に折曲し、ブラケット本体2Bの上部側の下面に対向する下壁3Cとから成る。これにより、左右一対のサイドブラケット2の第1被係合部3の開口部3K同士が車幅方向で互いに向かい合っている。
【0026】
図4〜図6に示すように、前記第2係合部14に係合する第2被係合部4(第2の被係合部に相当)が前記天井部1に左右一対設けられている。前記第2被係合部4は、クランク状の係合片の一片を天井部1の下面に溶接固着して形成され、車両後方側Rrが開口するフック状に形成されている。
【0027】
すなわち、第2被係合部4は、天井部1の下面に溶接固着された基端部4Aと、基端部4Aに対して直角に折曲する縦壁4Bと、縦壁4Bに対して直角に折曲し、天井部1の下面に対向する下壁4Cとから成る。このように、第2被係合部4は、開口部4Kの奥側に縦壁4Bを備えるとともに、縦壁4Bの下端部から車両後方側Rrに延びる下壁4Cを備えている。
【0028】
下壁4Cの車両後方側Rrの端部4C1は車幅方向から見て、上側に凸の山形状に屈曲形成されて第2係合部14に対するガイド部に構成されている。前記第2係合部14は、下壁4Cの車両後方側Rrの端部4C1(車両後方側Rrほど下方に位置するように傾斜した下壁4Cの先端部と、この先端部に連なる凸部4D)にガイドされて、縦壁4Bと下壁4Cに係合する。図6の符号4C2は、縦壁4Bに対して直角に屈曲した略水平姿勢の下壁4Cの基端部である。
【0029】
図7,図8に示すように、
(1) リアクーリングユニット10を天井部1側(矢印C方向)に押し上げて、第1係合部13で第1被係合部3の下壁3Cを下から押圧すると、左右一対のサイドブラケット2が矢印D方向に弾性変形して、左右一対の第1被係合部3の開口部3Kが互いに離間し、
(2) さらにリアクーリングユニット10を押し上げると、第1被係合部3の下壁3Cが第1係合部13を乗り越え、左右一対のサイドブラケット2が弾性復元するとともに、左右一対の第1被係合部3の開口部3Kの間隔が元の間隔に戻り、
(3) リアクーリングユニット10を支える力を除くことにより、図8(a),図8(b)に示すように、第1係合部13が第1被係合部3の下壁3Cに係合する。
【0030】
より詳しくは、図4に示すように、リアクーリングユニット10を斜め前上方(矢印A方向)に移動させ、リアクーリングユニット10の車両前方側Frの両側部に設けられた第2係合部14(図5参照)を、天井部1に設けられた左右一対の第2被係合部4に係合させて、リアクーリングユニット10の車両前方側Frの位置を決める。この状態で、リアクーリングユニット10の車両後方側Rrの端部を天井部1側(矢印B方向)に押し上げると、リアクーリングユニット10が第2被係合部4を支点として上方に回転し、第1係合部13が第1被係合部3を下から押圧する。そして、左右一対のサイドブラケット2が弾性変形し、左右一対の第1被係合部3の開口部3Kが互いに離間する。
そして、前記(2),(3)の工程を経て第1係合部13が第1被係合部3の下壁3Cに係合する。
これにより、リアクーリングユニット10を自動車の天井部1に合計4箇所(第1係合部13と第1被係合部3との係合箇所が左右一対あり、第2係合部14と第2被係合部4との係合箇所が左右一対ある)で仮保持することができ、安定した精度の高い組み付けが可能となる。
【0031】
このように、リアクーリングユニット10の車両前方側Frの両側部に設けられた左右一対の第2係合部14を、天井部1に設けられた左右一対の第2被係合部4に各別に係合させ、リアクーリングユニット10の車両後方側Rrの端部を、第2被係合部4を支点として上方に回転させ、リアクーリングユニット10を支える力を除くだけの簡易な動作でリアクーリングユニット10を天井部1に仮保持することができる。従って、リアクーリングユニット10の仮保持作業の作業性を向上させることができる。
【0032】
また、前記第2被係合部4は開口部4Kの奥側に縦壁4Bを備えているから、リアクーリングユニット10の車両前後方向の位置決めがより容易となる。さらに、リアクーリングユニット10の車両後方側Rrの端部を押し上げる際の支点位置が容易にわかり、リアクーリングユニット10の仮保持のための組み付け作業が簡易になる。
【0033】
そして、前記第2被係合部4は前記縦壁4Bの下端部から車両後方側Rrに延びる下壁4Cを備え、下壁4Cの車両後方側Rrの端部は山形状に屈曲形成されて第2係合部14に対するガイド部に構成されているから、リアクーリングユニット10の第2係合部14を第2被係合部4に差し込み易く、しかも、第2係合部14が第2被係合部4から落下しにくくすることができる。
【0034】
図1に示すように、仮保持状態のリアクーリングユニット10の車両後方側Rrへの位置変更を許す空間Kがリアクーリングユニット10の周りに形成されている。
そして、仮保持状態のリアクーリングユニット10を車両後方側Rrに位置変更させるに伴って、前記第1係合部13が第1被係合部3に対して車両後方側Rrにスライド移動するとともに、第2被係合部4に対する第2係合部14の係合が解除され、左右一対のサイドブラケット2を上下方向に弾性変形させて左右一対の第1被係合部3の開口部3Kを互いに離間させることで、第1被係合部3に対する第1係合部13の係合が解除されるよう構成されている。
【0035】
すなわち、
(1) 仮保持状態のリアクーリングユニット10を車両後方側Rrに位置変更させ、第1係合部13を第1被係合部3に対して車両後方側Rrにスライド移動させて、第2被係合部4に対する第2係合部14の係合を解除させる。
(2) リアクーリングユニット10を押し上げ、左右一対の第1被係合部3の開口部3Kを互いに離間させる。そして、リアクーリングユニット10の左右いずれか一方の側部を他方の側部よりも高く押し上げてリアクーリングユニット10を傾斜させ、一方の側部側の第1被係合部3に対する第1係合部13の係合を解除し、その後に他方の側部側の第1被係合部3に対する第1係合部13の係合を解除する(別の手段で係合解除してもよい)。
【0036】
リアクーリングユニット10の仮保持状態での固定用メンバ20の前壁20F1と第1被係合部3の下壁3Cとの車両前後方向の間隔は、第2被係合部4の下壁4Cの車両前後方向の長さよりも長く設定されている。
従って、仮保持状態のリアクーリングユニット10を車両後方側Rrに位置変更させた場合、前壁20F1が第1被係合部3の下壁3C側に到達する前に第2被係合部4に対する第2係合部14の係合が解除する。
また、サイドブラケット2の車両後方側Rrのフランジ2F1の高さ寸法はサイドブラケット2の車両前方側Frのフランジ2F2の高さ寸法よりも低く(短く)設定されているので、固定用メンバ20の後壁20Kがサイドブラケット2の車両後方側Rrのフランジ2F1に干渉することを回避することができる。
固定用メンバ20の長手方向(車幅方向)両端部側の後壁20Kは、車幅方向外側ほど車両前方側Frに位置するように傾斜して、仮保持状態のリアクーリングユニット10の車両後方側Rrへの位置変形の際に前記固定用メンバ20の後壁20Kが天井部1側の部品に干渉することを回避するようにしてある。
【符号の説明】
【0037】
1 天井部
2 サイドブラケット
3 被係合部(第1被係合部)
3K 被係合部の開口部
4 第2の被係合部(第2被係合部)
4B 縦壁
4C 下壁
10 リアクーリングユニット
13 係合部(第1係合部)
14 第2の係合部(第2係合部)
Fr 車両前方側
K 空間
Rr 車両後方側
W1 車幅方向内側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部にリアクーリングユニットが仮保持されるリアクーリングユニットの仮保持構造であって、
前記リアクーリングユニットの左右両側部に係合部が設けられ、
前記係合部が係合する被係合部を備えたサイドブラケットが前記車両の天井部に左右一対設けられ、
前記左右一対のサイドブラケットの被係合部は、車幅方向内側が開口するフック状に形成され、
前記リアクーリングユニットを前記天井部側に押し上げて、前記係合部で前記被係合部を下から押圧すると、前記左右一対のサイドブラケットが弾性変形して、前記左右一対の被係合部の開口部が互いに離間し、
さらに前記リアクーリングユニットを押し上げると、前記被係合部が前記係合部を乗り越え、前記左右一対のサイドブラケットが弾性復元するとともに、前記左右一対の被係合部の開口部の間隔が元の間隔に戻り、
前記リアクーリングユニットを支える力を除くことにより前記係合部が前記被係合部に係合するリアクーリングユニットの仮保持構造。
【請求項2】
前記係合部は前記リアクーリングユニットの車両後方側の両側部に設けられ、
前記リアクーリングユニットの車両前方側の両側部に第2の係合部が設けられ、
前記第2の係合部に係合する第2の被係合部が前記車両の天井部に左右一対設けられ、
前記第2の被係合部は車両後方側が開口するフック状に形成されている請求項1記載のリアクーリングユニットの仮保持構造。
【請求項3】
前記第2の被係合部は開口部の奥側に縦壁を備えている請求項2記載のリアクーリングユニットの仮保持構造。
【請求項4】
前記第2の被係合部は前記縦壁の下端部から車両後方側に延びる下壁を備え、
前記下壁の車両後方側の端部は山形状に屈曲形成されて前記第2の係合部に対するガイド部に構成されている請求項3記載のリアクーリングユニットの仮保持構造。
【請求項5】
仮保持状態の前記リアクーリングユニットの車両後方側への位置変更を許す空間が前記リアクーリングユニットの周りに形成され、前記仮保持状態のリアクーリングユニットを車両後方側に位置変更させるに伴って、前記係合部が前記被係合部に対して車両後方側にスライド移動するとともに、前記第2の被係合部に対する前記第2の係合部の係合が解除され、
前記左右一対のサイドブラケットを弾性変形させて前記左右一対の被係合部の開口部を互いに離間させることで、前記被係合部に対する前記係合部の係合が解除されるよう構成されている請求項2〜4のいずれか一つに記載のリアクーリングユニットの仮保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−32031(P2013−32031A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167849(P2011−167849)
【出願日】平成23年7月30日(2011.7.30)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】